JPH09316114A - 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤 - Google Patents

光重合性組成物及びアクリル系粘着剤

Info

Publication number
JPH09316114A
JPH09316114A JP8135122A JP13512296A JPH09316114A JP H09316114 A JPH09316114 A JP H09316114A JP 8135122 A JP8135122 A JP 8135122A JP 13512296 A JP13512296 A JP 13512296A JP H09316114 A JPH09316114 A JP H09316114A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitive adhesive
photopolymerizable composition
wavelength
photopolymerization initiator
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8135122A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Sawada
英一 澤田
Akira Nakasuga
章 中壽賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP8135122A priority Critical patent/JPH09316114A/ja
Publication of JPH09316114A publication Critical patent/JPH09316114A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線重合法において、反応系に存在する酸
素の影響を受けにくく、100μm 以下の薄い膜厚のも
のであっても高い重合率を維持しながら重合度が高く、
高速の重合が可能な光重合性組成物及び粘着力と耐熱凝
集力とのバランスに優れたアクリル系粘着剤を得る。 【解決手段】 この発明の光重合性組成物は、(メタ)
アクリル酸エステルを主成分とするビニル系モノマー
に、波長365nmの分子吸光係数が200(l・mo
-1・cm-1)以上の光重合開始剤(A)と波長365
nmの分子吸光係数が200(l・mol-1・cm-1
以下の光重合開始剤(B)とが含有されてなる。また、
この発明のアクリル系粘着剤は、上記光重合性組成物に
紫外線を照射することによりビニル系モノマーを重合さ
せてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光重合性組成物
及びこの光重合性組成物を用いて得られるアクリル系粘
着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸アルキルエステルを
主成分とするビニル系モノマーに光重合開始剤が含有さ
れてなる光重合性組成物は、主にアクリル系粘着剤の製
造に用いられている。アクリル系粘着剤は、粘着力、凝
集力等の粘着性能及び耐候性、耐熱性等の耐老化性能に
優れ、特に粘着テープもしくはシートとして、包装用、
事務用、電気絶縁用、表面保護用、医療用、自動車や建
材等の各種部材の接合用などに広く利用されている。
【0003】従来、この種のアクリル系粘着剤は、通
常、アルキルの炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸
アルキルエステルを主成分とする主成分とするビニル系
モノマーを、主に、溶液重合法、水性エマルジョン重合
法及び紫外線重合法により重合させて製造されている。
【0004】特に、紫外線重合法は、溶液重合法のよう
に有機溶剤を使用しないので溶剤回収が不要で、安全保
持も容易であり、また水性エマルジョン重合法のように
多量の水を使用しないので多大な乾燥エネルギーも必要
でなく、水溶性モノマーへの限定もない。さらに、厚膜
の形成が容易で、しかも高分子量にできるので粘着性能
や耐熱性の点でも有利である。
【0005】しかし、空気中のように酸素が存在する雰
囲気で紫外線重合を行うと、反応系の酸素により重合反
応が阻害され、重合速度が低下し、また残存モノマーも
多くなる。
【0006】このような問題を改善するために、主に、
光重合性組成物の表面を剥離性を有するポリエステルフ
ィルムやテフロンフィルム一時的に覆い、酸素(空気)
との接触を防止して紫外線を照射する方法、或いは窒素
ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスでイナート化されたボ
ックス内で、このボックスの石英ガラスやパイレックス
ガラスやホウ酸ガラスごしに、紫外線を照射する方法が
採用されている(例えば、特公昭55−2239号公報
及び特公平7−68497号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特に100
μm 以下の薄い膜厚のアクリル系粘着剤を得る場合に
は、酸素による影響を強く受け、例えば、紫外線の照射
雰囲気の酸素濃度が300ppm以下であっても、単官
能の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを光重合する
場合は、上記従来の方法では改善の効果が小さく、まだ
重合速度が低下し、また残存モノマーも多くなるという
問題がある。
【0008】この場合、光強度を上げることにより、酸
素に捕捉される以上のラジカルを発生させると、酸素に
よる影響を軽減することができるが、光重合開始剤の効
率が悪くなり、また重合の制御も難しくなる。また、多
官能のアクリル系プレポリマーやオリゴマー、或いは多
官能のアクリル系モノマーを使用すると、架橋度は高く
できるが重合度の高いものは得られず、粘着力と耐熱凝
集力とのバランスに優れたアクリル系粘着剤を得るのが
難しくなる。
【0009】この発明は、上記の問題を解決するもので
あり、その目的とするところは、紫外線重合法におい
て、反応系に存在する酸素の影響を受けにくく、100
μm 以下の薄い膜厚のものであっても高い重合率を維持
しながら且つ重合度が高く、高速の重合が可能な光重合
性組成物及び粘着力と耐熱凝集力とのバランスに優れた
アクリル系粘着剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の光重合性組成
物は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするビニ
ル系モノマーに、波長365nmの分子吸光係数が20
0(l・mol-1・cm-1)以上の光重合開始剤(A)
と波長365nmの分子吸光係数が200(l・mol
-1・cm-1)以下の光重合開始剤(B)とが含有されて
なる(請求項1の発明)。
【0011】また、この発明のアクリル系粘着剤は、上
記アクリル系光重合性組成物に紫外線を照射することに
よりビニル系モノマーを重合させてなる。上記の構成に
より、この発明の目的を達成することができる。
【0012】この発明に用いる(メタ)アクリル酸アル
キルエステルは、粘着力、凝集力等の粘着性能を発現さ
せるために、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)
アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の
炭素数が4〜9の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
がさらに好ましい。
【0013】このような(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルとしては、例えばアクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピ
ル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル
酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸
イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリ
ルが挙げられる。これ等の(メタ)アクリル酸アルキル
エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以
上を適宜に組み合わせて用いてもよい。
【0014】また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル以外に、必要に応じてこれと共重合可能な他のビ
ニル系モノマーを併用することができる。このような他
のビニル系モノマーとしては、接着界面との分子間力を
高め得る高極性や中極性のモノマーが好ましく、例えば
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイン
酸、(無水)フマル酸、(メタ)アクリロニトリル、N
−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタ
ム、アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリルアミ
ド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メ
タ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノ
ロピルアクリルアミド、スチレン、酢酸ビニルなどが挙
げられる。
【0015】これ等の他のビニル系モノマーは、上記
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して、一般に
30重量%以下の範囲で併用されるのが好ましく、30
重量%を越えると、得られる粘着剤の凝集力が高くなり
すぎて凹凸面への接着性が低下する。
【0016】この発明においては、光重合開始剤とし
て、波長365nmの分子吸光係数が200(l・mo
-1・cm-1)以上の光重合開始剤(A)と波長365
nmの分子吸光係数が200(l・mol-1・cm-1
未満の光重合開始剤(B)とを併用する。この場合、光
重合開始剤(A)の上記分子吸光係数と光重合開始剤
(B)との上記分子吸光係数とは、約100(l・mo
-1・cm-1)以上離れているものが好ましい。
【0017】ここで、光重合開始剤の分子吸光係数ε
(l・mol-1・cm-1)は、Lambert−Bee
rの法則により、式log(I/I0 )=−εdcで表
され、波長365nmの光を用い、I、I0 、d及びc
を測定することにより得られる。但し、I0 は系に入射
した光の強度、Iは透過した光の強度、dは系の厚さ
(cm)、cは光重合開始剤の濃度(mol/l)であ
る。
【0018】上記光重合開始剤(A)としては、例えば
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフ
ィンオキサイド〔ルシリンTOP:BASF社製〕(波
長365nmの分子吸光係数ε=550)、ベンジル−
2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニ
ル)−ブタン−1〔イルガキュア369:チバガイギー
社製〕(波長365nmの分子吸光係数ε=3000)
などが挙げられる。
【0019】これ等の光重合開始剤(A)は、(メタ)
アクリル酸エステルを主成分とするビニル系モノマー1
00重量部に対して、一般に0.5重量部以下の範囲で
含有されるのが好ましい。この光重合開始剤(A)の含
有量が0.5重量部を越えると、得られる粘着剤(ポリ
マー)の分子量が低下し、必要な初期凝集力が得られな
くなることがある。
【0020】また、光重合開始剤(B)としては、例え
ば4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒド
ロキシ−2−プロピル)ケトン〔ダロキュアー295
9:メルク社製〕(波長365nmの分子吸光係数ε=
10)、α−ヒドロキシ−α,α′−ジメチル−アセト
フェノン〔ダロキュアー1173:メルク社製〕(波長
365nmの分子吸光係数ε=10)、2,2−ジメト
キシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア65
1:チバガイギー社製)(波長365nmの分子吸光係
数ε=110)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシル
アセトフェノン(イルガキュア184:チバガイギー社
製)(波長365nmの分子吸光係数ε=20)などが
挙げられる。
【0021】これ等の光重合開始剤(B)は、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モ
ノマー100重量部に対して、一般に0.01〜5重量
部の範囲で含有されるのが好ましく、0.05〜3重量
部の範囲で含有されるのがさらに好ましい。この含有量
が0.01重量部よりも少ないと、重合を充分に完結さ
せるのが難しくなり、得られる粘着剤(ポリマー)にモ
ノマーが残存し、モノマーの臭いが残る。逆に、この含
有量が5重量部を超えるときは、ラジカル発生量が多く
なって、得られる粘着剤(ポリマー)の分子量が低下
し、必要な初期凝集力が得られなくなることがある。得
られなくなる恐れがある。
【0022】なお、得られる粘着剤(ポリマー)の分子
量を調節するために、チオール化合物やハロゲン化合物
などの連鎖移動剤を用いることができる。チオール化合
物としては、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプ
トエタノール、β−メルカプトプロピオン酸、β−メル
カプトプロピオン酸オクチル、β−メルカプトプロピオ
ン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス−
(β−チオプロピオネート) 、チオグリコール酸ブチ
ル、プロパンチオール類、ブタンチオール類、チオホス
ファイト類などが挙げられ、ハロゲン化合物としては四
塩化炭素などが挙げられる。得られる粘着剤(ポリマ
ー)の重量平均分子量は、一般に30〜100万に調節
するのが好ましく、特に60〜100万に調節するのが
さらに好ましい。
【0023】さらに、この発明においては、上記光重合
開始剤とともに、多官能ビニル系モノマー化合物からな
る光架橋剤を用いるのが好ましい。このような光架橋剤
としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ペンタエルスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタ
エルスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。
【0024】これ等の光架橋剤は、得られる粘着剤(ポ
リマー)の耐熱性や高温での凝集性を向上させるもの
で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とす
るビニル系モノマー100重量部に対して、一般に0.
01〜5重量部の割合で使用される。この使用量が0.
01重量部よりも少ないと、得られる粘着剤(ポリマ
ー)に充分な架橋構造が生成せず高温での凝集力が充分
に増加しない。逆に、この使用量が5重量部を超える
と、架橋構造の生成が多すぎて粘着力が低下する。
【0025】さらに、この発明においては、従来のアク
リル系粘着剤に配合されているような粘着付与剤を配合
してもよい。このような粘着付与剤としては、ロジン系
樹脂、変性ロジン系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェ
ノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、石油樹脂(脂肪
族系、芳香族系、脂環族系)、クマロン樹脂等が挙げら
れる。これ等の粘着付与剤は、一般に上記光重合性の液
状組成物100重量部に対して3〜10重量部の範囲で
配合される。
【0026】また、この発明においては、上記光重合性
組成物に、増粘剤やチキソトロープ剤、増量剤や充填剤
などの通常用いられる配合剤を添加してもよい。増粘剤
としては、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなど
があり、チキソトロープ剤としは、コロイドシリカ、ポ
リビニルピロリドンなどがある。光重合性の液状組成物
を増粘する方法としては、上記の増粘剤やチキソトロー
プ剤によるほか、例えば紫外線を少量照射して、予め光
重合性組成物を一部重合させる方法も採用される。
【0027】増量剤としては、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、クレーなどがあり、充填剤としては、ガラスバル
ン、アルミナバルン、セラミックバルンなどの無機中空
体、ナイロンビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズ
などの有機球状体、塩化ビニリデンバルン、アクリルバ
ルンなどの有機中空体、ポリエステル、レーヨン、ナイ
ロンなどの短繊維がある。上記のような充填剤は、一般
に支持体となる基材のない粘着テープもしくはシートを
製造する場合に補強のために添加される。
【0028】この発明の光重合性組成物は、通常、剥離
紙、剥離型枠などの上に塗布又は注入されるか、或いは
プラスチックフィルム、紙、セロハン、布、不織布、金
属箔などの基材に塗布又は含浸される。前者の場合は基
材のない粘着テープもしくはシートが得られる。また、
光重合性組成物を構成する(メタ)アクリル酸エステル
を主成分とするビニル系モノマーの組成によっては、粘
着剤とは異なる用途に使用される表面硬度の高い硬化塗
膜を得ることも可能である。
【0029】なお、この発明の光重合性組成物の光重合
は、反応系に存在する酸素の影響を受けにくく、厚い膜
厚の場合は空気中での紫外線重合が可能であるが、特に
100μm 以下の薄い膜厚のアクリル系粘着剤を得る場
合には、従来と同様に光重合性組成物の表面を剥離性を
有するポリエステルフィルムやテフロンフィルム一時的
に覆い、酸素(空気)との接触を防止して紫外線を照射
する方法、或いは窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガス
でイナート化されたボックス内で、このボックスの石英
ガラスやパイレックスガラスやホウ酸ガラスごしに、紫
外線を照射する方法が採用される。しかし、この場合、
紫外線の照射雰囲気の酸素濃度は、従来よりも高くする
ことができ、照射雰囲気の酸素濃度は5000ppm以
下とするのが好ましく、1000ppm以下とするのが
さらに好ましい。
【0030】照射に用いられる紫外線ランプとしては、
波長450nm(ナノメートル)以下に発光分布を持つ
ものが用いられ、その例としては、ケミカルランプ、ブ
ラックライトランプ、マイクロウェーブ励気水銀ラン
プ、低圧、高圧、超高圧水銀ランプ、メタルハライドラ
ンプ、蛍光灯などが挙げられる。この中でもケミカルラ
ンプンプは、光重合開始剤の活性波長領域の光を効率よ
く発光し、得られる粘着剤(ポリマー)の粘弾性的性質
を架橋によりて低下させるような短波長の光や光重合性
組成物を蒸発させるような長波長の光を多く発光しない
ため、好適である。
【0031】紫外線が照射されると、光重合開始剤の作
用により、光重合性組成物を構成する(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを主成分とするビニル系モノマーが
重合し、高分子量の粘着剤(ポリマー)が得られる。紫
外線の光強度は、得られる粘着剤(ポリマー)の重合度
を左右する主な因子であり、目的の粘着剤の性能ごとに
適宜制御される。例えば、光重合開始剤の光分解に有効
な波長領域(通常は波長430nm以下に発光分布を持
つものが用いられ、波長365nm付近に強い発光分布
を持つものが用いられる)の光強度は、得られる粘着剤
(ポリマー)の重合度を高くするために、一般に0.1
〜10mW(ミリワット)/cm2 の範囲に設定するのが
好ましい。
【0032】紫外線の照射による重合反応は、比較的低
温で重合反応を行うことが可能となり、重合反応の制御
が容易で最大の反応温度が30℃以下となるように冷却
しながら行われる。これよりも高い温度では重合反応が
制御できなくなってゲル化を引き起こし、得られる粘着
剤の粘着性能にバラツキが生じる。重合反応の温度を制
御するには、例えば基材に塗布された光重合性の液状組
成物に紫外線を照射して重合させる際に、塗布面と反対
側の基材面に冷却水や冷却風を吹きかけたり、塗布面と
反対側の基材面に冷却されたステンレスベルトを接触さ
せる方法等により容易に行うことができる。
【0033】(作用)(メタ)アクリル酸エステルを主
成分とするビニル系モノマーに波長365nmの分子吸
光係数が200(l・mol-1・cm-1)以上の光重合
開始剤(A)と波長365nmの分子吸光係数が200
(l・mol-1・cm-1)以下の光重合開始剤(B)と
が含有されてなる光重合性の液状組成物に紫外線が照射
されると、光照射に用いられる紫外線ランプは、一般に
波長430nm以下に発光分布を持つものが用いられ、
波長365nm付近に強い発光分布を持っているので、
上記光重合開始剤(A)により光重合初期に多くのラジ
カルを発生し、これに反応系に存在する酸素が捕捉され
消失する。
【0034】それゆえ、酸素による影響を受けにくくな
り、反応開始までの反応誘導期間を短縮することがで
き、高速での光重合が可能となる。さらに、光重合開始
剤(B)により、反応誘導期間後の発生ラジカル量を少
なくすることで重合度を高くすることが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(実施例)以下、この発明の実施例及び比較例を示す。実施例1 アクリル酸n−ブチル97重量部、アクリル酸3重量
部、光重合開始剤(A)として2,4,6−トリメチル
ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ルシリ
ンTOP:BASF社製〕(波長365nmの分子吸光
係数ε=550)0.03重量部、光重合開始剤(B)
として4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−
ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン〔ダロキュアー29
59:メルク社製〕(波長365nmの分子吸光係数ε
=10)0.2重量部を、均一になるまで混合して、光
重合性組成物を得た。
【0036】この光重合性組成物を、10℃に冷却され
たステンレス板に密着させた38μm のポリエステルフ
ィルム(PETフィルム)上に30μm の厚さに塗布
し、その塗布面を剥離性の表面を有するポリエステルフ
ィルム(PETフィルム)で一時的にカバーし、その上
からケミカルランプを用いて照射面のランプ強度が1.
0mW/cm2 となるようにランプ高さを設定して10分
間紫外線を照射して、上記モノマーを重合させ、光重合
物(粘着剤)の層を有するシートを得た。
【0037】実施例2 光重合開始剤(B)として4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン
〔ダロキュアー2959:メルク社製〕0.2重量部に
替えて、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェ
ノン(イルガキュア651:チバガイギー社製)(波長
365nmの分子吸光係数ε=110)0.05重量部
を用い、それ以外は実施例1と同様に行って、光重合物
(粘着剤)の層を有するシートを得た。
【0038】比較例1 光重合開始剤として4−(2−ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン〔ダロ
キュアー2959:メルク社製〕(波長365nmの分
子吸光係数ε=10)0.2重量部のみ用い、それ以外
は実施例1と同様に行って、光重合物(粘着剤)の層を
有するシートを得た。
【0039】比較例2 光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン(イルガキュア651:チバガイギー社
製)(波長365nmの分子吸光係数ε=110)0.
05重量部のみ用い、それ以外は実施例1と同様に行っ
て、光重合物(粘着剤)の層を有するシートを得た。
【0040】比較例3 光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン(イルガキュア651:チバガイギー社
製)(波長365nmの分子吸光係数ε=110)0.
2重量部のみ用い、それ以外は実施例1と同様に行っ
て、光重合物(粘着剤)の層を有するシートを得た。
【0041】実施例3 アクリル酸n−ブチル97重量部、アクリル酸3重量
部、ヘキサンジオールジアクリレート0.02重量部、
光重合開始剤(A)として2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ルシリンT
OP:BASF社製〕(波長365nmの分子吸光係数
ε=550)0.03重量部、光重合開始剤(B)とし
て2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
(イルガキュア651:チバガイギー社製)(波長36
5nmの分子吸光係数ε=110)0.05重量部を、
均一になるまで混合して、光重合性組成物を得た。この
光重合性組成物を用い、それ以外は実施例1と同様に行
って、粘着剤の層を有する粘着シートを得た。
【0042】比較例4 光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン(イルガキュア651:チバガイギー社
製)(波長365nmの分子吸光係数ε=110)0.
05重量部のみ用い、それ以外は実施例3と同様に行っ
て、粘着剤の層を有する粘着シートを得た。
【0043】比較例5 光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン(イルガキュア651:チバガイギー社
製)(波長365nmの分子吸光係数ε=110)0.
2重量部のみ用い、それ以外は実施例3と同様に行っ
て、粘着剤の層を有する粘着シートを得た。
【0044】上記実施例1、2及び比較例1、2、3で
得られた光重合物(粘着剤)の層を有するシートにおけ
る光重合物(粘着剤)の重量平均分子量及び残存モノマ
ーを、下記の方法により測定した。その結果を表1に示
す。なお、残存モノマーが少ないことは重合率が高いこ
とを意味する。
【0045】また、実施例3及び比較例4、5で得られ
た粘着剤の層を有する粘着シートにおける粘着剤の残存
モノマー及び粘着性能(粘着力及び耐熱保持力)を、下
記の方法により測定した。その結果を表2に示す。
【0046】表1の結果から、この発明の光重合性組成
物は、100μm 以下の薄い膜厚のものであっても高い
重合率を維持しながら且つ重合度が高く、高速の重合が
可能であることがわかる。また、表2の結果から、この
発明のアクリル系粘着剤は、上記の光重合性組成物から
効率よく得られ、100μm 以下の薄い膜厚で、粘着力
と耐熱凝集力とのバランスに優れていることがわかる。
【0047】<重量平均分子量の測定>シートの光重合
物又は粘着剤をテトラヒドロフランに溶解させ、不溶解
分を取り除いて得た試料溶液を、ゲル透過クロマトグラ
フィー(GPC)により、標準ポリスチレンを基準とし
て、屈折検出計を用いて測定した。
【0048】<残存モノマーの測定>ポリエチレングリ
コール(ガスクロ工業社製の商品名20M)を担持した
Chromosorb W を酸処理した分離カラム及
び水素炎イオン化検出器を有するガスクロマトグラフィ
ー(島津製作所製の商品名GC−6A)を用いて、粘着
シートの粘着剤中の残存モノマーを測定した。
【0049】<粘着力の測定>幅25mm×長さ100mm
の上記粘着シートを、厚さ1.5mmのステンレス板(S
US304)に、重さ1 kgのゴムローラーで300mm
/分の速度で押し付けながら貼り付け、これを温度23
℃、相対湿度65%の雰囲気で20分間放置し、その後
温度23℃、相対湿度65%の雰囲気で、引張試験機を
用いて300mm/分の速度で粘着シートの自由端を18
0度の方向に引張って剥離させ、その最大の剥離強度を
粘着力とした(JIS Z 0237参照)。
【0050】<耐熱保持力の測定>幅25mm×長さ10
0mmの上記粘着シートを、厚さ1.5mmのステンレス板
(SUS304)に、重さ1 kgのゴムローラーで30
0mm/分の速度で押し付けながら粘着面積が幅25mm×
長さ25mmとなるように貼り付け、20分間放置した
後、80℃の雰囲気に1時間放置し、この粘着シートの
自由端に1 kgの重りを垂直に吊し、1時間後の粘着シ
ートのずれ長さを測定し、これを耐熱保持力とした(J
IS Z 0237参照)。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】上述の通り、この発明の光重合性組成物
は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするビニル
系モノマーに、波長365nmの分子吸光係数が200
(l・mol-1・cm-1)以上の光重合開始剤(A)と
波長365nmの分子吸光係数が200(l・mol-1
・cm-1)以下の光重合開始剤(B)とが含有されてな
り、特に光重合開始剤(A)と光重合開始剤(B)との
作用により、反応系に存在する酸素の影響を受けにく
く、100μm 以下の薄い膜厚のものであっても高い重
合率を維持しながら且つ重合度が高く、高速の重合が可
能な光重合性組成物が得られる。
【0054】また、この発明のアクリル系粘着剤は、上
記光重合性組成物に紫外線を照射することによりビニル
系モノマーを重合させてなり、上記のような光重合性組
成物の奏する効果が相まって、100μm 以下の薄い膜
厚からなり、粘着力と耐熱凝集力とのバランスに優れた
アクリル系粘着剤が効率よく得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸アルキルエステルを
    主成分とするビニル系モノマーに、波長365nmの分
    子吸光係数が200(l・mol-1・cm-1)以上の光
    重合開始剤(A)と波長365nmの分子吸光係数が2
    00(l・mol-1・cm-1)未満の光重合開始剤
    (B)とが含有されてなる光重合性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光重合性組成物に紫外線
    を照射することによりビニル系モノマーを重合させてな
    るアクリル系粘着剤。
JP8135122A 1996-05-29 1996-05-29 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤 Withdrawn JPH09316114A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8135122A JPH09316114A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8135122A JPH09316114A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09316114A true JPH09316114A (ja) 1997-12-09

Family

ID=15144345

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8135122A Withdrawn JPH09316114A (ja) 1996-05-29 1996-05-29 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09316114A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001240842A (ja) * 2000-02-28 2001-09-04 Nitto Denko Corp 紫外線硬化型粘着剤組成物とその粘着シ―ト類
JP2005132962A (ja) * 2003-10-30 2005-05-26 Soken Chem & Eng Co Ltd (メタ)アクリル系重合体の製造方法
JP2006348230A (ja) * 2005-06-17 2006-12-28 Jsr Corp 接着剤用紫外線硬化性液状組成物及び接着剤
WO2017188199A1 (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルムおよび保護膜形成用複合シート
KR20190005089A (ko) * 2017-07-05 2019-01-15 주식회사 에이치앤에스 광중합 아크릴계 시럽의 제조방법
JP2020186312A (ja) * 2019-05-14 2020-11-19 王子ホールディングス株式会社 粘着シートの製造方法及び積層体の製造方法
JP2020186311A (ja) * 2019-05-14 2020-11-19 王子ホールディングス株式会社 粘着剤組成物、粘着シート及び積層体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001240842A (ja) * 2000-02-28 2001-09-04 Nitto Denko Corp 紫外線硬化型粘着剤組成物とその粘着シ―ト類
JP2005132962A (ja) * 2003-10-30 2005-05-26 Soken Chem & Eng Co Ltd (メタ)アクリル系重合体の製造方法
JP2006348230A (ja) * 2005-06-17 2006-12-28 Jsr Corp 接着剤用紫外線硬化性液状組成物及び接着剤
WO2017188199A1 (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルムおよび保護膜形成用複合シート
JPWO2017188199A1 (ja) * 2016-04-28 2019-03-07 リンテック株式会社 保護膜形成用フィルムおよび保護膜形成用複合シート
KR20190005089A (ko) * 2017-07-05 2019-01-15 주식회사 에이치앤에스 광중합 아크릴계 시럽의 제조방법
JP2020186312A (ja) * 2019-05-14 2020-11-19 王子ホールディングス株式会社 粘着シートの製造方法及び積層体の製造方法
JP2020186311A (ja) * 2019-05-14 2020-11-19 王子ホールディングス株式会社 粘着剤組成物、粘着シート及び積層体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2604453B2 (ja) アクリル系粘着テープ
KR101078535B1 (ko) 아크릴계 접착제를 제조하기 위한 다단계 조사법
JPH06504809A (ja) アクリルをベースとする組成物の製造のための多段照射及びこれにより製造した組成物
WO1996004346A1 (en) Acrylic syrup curable to a crosslinked viscoelastomeric material
JPH0753849B2 (ja) アクリル系粘着テープもしくはシートの製造方法
JPH0748549A (ja) 感圧接着テープ、シート又はラベル並びにそれに使用する活性エネルギー線硬化性組成物
JP2988549B2 (ja) 両面粘着テープの製造方法
JPH10110140A (ja) 粘着テープの製造方法
JPH09324164A (ja) アクリル系粘着剤
JPH09316114A (ja) 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤
JPH08134408A (ja) アクリル系粘着テープ
JPH0733832A (ja) 光重合性組成物及び粘弾性製品の製造方法
JPH11152457A (ja) アクリル系粘着テープもしくはシート
JPH0384011A (ja) 光重合性組成物および粘着剤の製造法
JPH055014A (ja) 光重合性組成物およびその重合架橋方法
JPH06306336A (ja) 両面粘着テープの製造方法
JP2862453B2 (ja) 両面粘着テープ及びその製造方法
JP2609484B2 (ja) 粘着テープの製造方法及び粘着テープ
JPH0778202B2 (ja) アクリル系粘着テープもしくはシートの製造方法
JPH08157781A (ja) 粘着部材の製造方法
JPH04366103A (ja) 光重合性組成物及び粘弾性製品
JPH10130591A (ja) 粘着テープの製造方法
JP3117516B2 (ja) 光重合性組成物及びこの組成物より得られる粘弾性製品
JP3176428B2 (ja) 光重合性組成物及び粘弾性製品の製造方法
JP2661813B2 (ja) 光重合性組成物及びアクリル系粘着剤

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20040326