JP2006348230A - 接着剤用紫外線硬化性液状組成物及び接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組成物の全量に対して、(A)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物30〜98質量%、及び(B)0.1質量%溶液の365nmにおける吸光度(光路長1cm)が0.2以上である光重合開始剤0.1〜15質量%を含み、(A)成分が、その全量を100質量%として、2個の重合性不飽和基を有する化合物50〜80質量%、及び3個の重合性不飽和基を有する化合物10〜40質量%を含み、かつ、(A)成分が、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物1〜20質量%を含む接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
【選択図】なし
Description
高分子材料の接着手段に対して、生産性の向上や、溶媒を使用しない環境保護に優れた無溶媒系接着剤の使用を望む傾向が、近年は強まってきている。放射線、特にUV光を照射して接着させることができる無溶媒系の接着剤は、このような要望を満たす材料として期待されている。
このような高密度記録媒体として、DVD(デジタルビデオディスク)が、次世代の汎用の記録媒体として開発されている。DVDは、従来のCD(コンパクトディスク)と異なり、2枚のディスクを貼り合わせて製造されるために、貼り合わせのための接着剤が必要である。
かかる接着剤として、ホットメルト接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等を用いることが試みられている。
しかし、ホットメルト接着剤を用いた場合、熱安定性や耐候性が十分ではなく、高温環境下で軟化するため、接着強度が低下して、貼り合わせたディスクが剥がれたり変形したりする問題がある。また、透明性が高くないため、記録膜として半透過膜を有する二層構造のDVDに対しては、使用が困難である。
また、熱硬化型接着剤を用いた場合、硬化する時の熱によって、ディスクを構成する基材が変形したり、硬化に長時間を要する等の問題がある。
さらに、嫌気型接着剤を用いた場合、硬化に長時間を要するため、生産性が低いという問題がある。
そこで、このような種々の問題を解決するために、光硬化型の接着剤が提案されている。例えば、特許文献4〜6には、ウレタンアクリレートを主成分とする紫外線硬化型樹脂接着剤が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2の組成物は、接着力が十分でない等の問題があった。
また、特許文献4、5等の従来の光硬化性樹脂は、次のような問題があった。すなわち、365nmにシャープな発光スペクトルを持つLED光源は、従来の水銀ランプやメタルハライドランプよりも寿命が長く、また、照射強度のバラツキを大きく低減させる特長があり、光硬化性接着剤を用いたDVDの構成部品同士の貼り合わせに有用である。しかし、接着後の光硬化性接着剤からなる硬化膜は、硬化不良を生じる傾向があった。また、DVDの記録層である金属蒸着膜の水分による腐食を十分に防止できる光硬化性樹脂は、得られていなかった。さらに、光硬化性接着剤の硬化速度が過大であると、硬化膜(接着剤層)に反りを生じる結果、DVDディスク等の接着対象物が変形する問題があった。
したがって、本発明の目的は、365nmの光(紫外線)で硬化させる際に、硬化不良が生じず、接着性に優れるとともに、硬化速度が適度で、硬化膜(接着剤層)の反りが少ない接着剤用紫外線硬化性液状組成物を提供することである。
[1]組成物の全量に対して、
(A)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物30〜98質量%、及び(B)0.1質量%溶液の365nmにおける吸光度(光路長1cm)が0.2以上である光重合開始剤0.1〜15質量%を含み、(A)成分が、その全量を100質量%として、2個の重合性不飽和基を有する化合物50〜80質量%、及び3個の重合性不飽和基を有する化合物10〜40質量%を含み、かつ、(A)成分が、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物1〜20質量%を含むことを特徴とする接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
[2]前記(A)成分中の前記3個の重合性不飽和基を有する化合物は、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物5〜30質量%を含む前記[1]に記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
[3]前記組成物に含まれる重合性不飽和基を有する化合物は、その全量を100質量%として、前記(A)成分を80質量%以上の含有率で含む前記[1]又は[2]に記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
[4]前記(A)成分は、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート及びトリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレートを含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の紫外線硬化性液状組成物からなることを特徴とする接着剤。
本発明の紫外線硬化性液状組成物は、例えば、DVD−Rにおける銀もしくは銀合金からなる部材の面とポリカーボネートからなる部材の面とを当接させて貼り合わせるための接着剤として有用である。
また、本発明の紫外線硬化性液状組成物は、無溶媒であるため、環境保護の観点から好ましい。
また、本発明の紫外線硬化性液状組成物は、使用時(塗布時)に適度な粘度を有するので、作業性が良好である。
さらに、本発明の紫外線硬化性液状組成物は、高温雰囲気下や紫外線への暴露下においても色相変化が少ないため、DVD以外の光学装置や、各種建装材料、包装材料、印刷材料、表示材料、電気電子部品材料、光学部品材料、液晶パネル等に好適に用いることができる。
ここで、(A)成分は、その全量を100質量%として、2個の重合性不飽和基を有する化合物50〜80質量%、及び3個の重合性不飽和基を有する化合物10〜40質量%を含むものである。
また、(A)成分は、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物1〜20質量%を含むものでもある。
以下、本発明の組成物を構成する(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて配合しうる他の任意成分について、詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物である。
(A)成分としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
ここで、上記例示物の中で、「EO」とは、エチレンオキシドを示し、「PO」とは、プロピレンオキシドを示す。
具体的には、(A)成分の全量(100質量%)中に占める2個の重合性不飽和基を有する化合物の割合は、50〜80質量%、好ましくは50〜70質量%である。
(A)成分の全量(100質量%)中に占める3個の重合性不飽和基を有する化合物の割合は、10〜40質量%、好ましくは20〜40質量%である。
(A)成分の全量(100質量%)中に占める2個の重合性不飽和基を有する化合物及び3個の重合性不飽和基を有する化合物の合計量の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
メタクリレート化合物の含有量は、(A)成分の全量(100質量%)中、1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。メタクリレート化合物の含有量が過少であると、硬化速度が大きくなりすぎて、硬化膜に反りが生じやすい。メタクリレート化合物の含有量が過大であると、硬化速度が低下しすぎるため、特に空気との界面における硬化が不十分となって、接着面にべたつきが生じるなど、表面性が悪化することがある。
本発明の組成物に含まれる3個の重合性不飽和基を有する化合物の全量(100質量%)中、3個の重合性不飽和基を有するメタクリレート化合物の割合は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。
(B)成分は、0.1質量%溶液の365nmにおける吸光度(光路長1cm)が0.2以上の光重合開始剤である。
「0.1質量%溶液の365nmにおける吸光度(光路長1cm)」は、365nmの波長の光に対して実質的に吸収を有しない適当な有機溶剤(例えば、トルエン、アセトニトリル等)に、(B)成分を0.1質量%の濃度となるように溶解して、(B)成分を含む試料を調製した後、(B)成分を含む試料と、有機溶剤のみからなる試料を、各々、光路長1cmの測定セル中に収容し、これらの試料の吸光度をUV分光光度計によって測定することによって算出することができる。
なお、吸光度の算出は、次の式による。
吸光度=log10(S0/S1)
[式中、S0は、有機溶剤のみからなる試料を収容したセルの透過光強度を示し、S1は、(B)成分を含む試料を収容したセルの透過光強度を示す。]
本発明においては、これらの光重合開始剤も併用することができる。
本発明の紫外線硬化性液状組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、(C)酸化防止剤を配合することができる。(C)酸化防止剤を配合することにより、本発明の組成物からなる硬化膜の黄変を有効に抑制することができる。
(C)成分としては、公知の酸化防止剤を用いることができる。例えば、Irganox1035(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等のヒンダードフェノール系化合物や、メルカプトベンゾチアゾール等のイオウ系化合物が好ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、1個の重合性不飽和基を有する化合物を配合することもできる。
1個の重合性不飽和基を有する化合物としては、例えばN−ビニルピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
である。
本発明の組成物は、撹拌機を備えた反応容器に、(A)成分、(B)成分及び必要に応じて配合される他の成分を仕込み、均一な溶液になるまで液温を20〜60℃に保ちつつ撹拌して得られる。
上記のごとく調製された紫外線硬化性液状組成物の硬化物の高分子製材料に対する接着力は、例えば、PETフィルムとPETフィルムの接着においては、10N/m以上のピール強度である。
本発明の紫外線硬化性液状組成物は、365nmにシャープな発光スペクトルを持つLED光源を用いて、光ディスク(例えば、DVD等)の貼り合わせを行う場合、特に良好な硬化性及び接着性を示し、光ディスク(DVD)用接着剤として有用である。
例えば、塩ビシートにMSフィルムやPETフィルムをラミネートする用途に、本発明の組成物を用いることができる。
[実施例1]
撹拌機を備えた反応容器に表1に示す配合比(質量部)で化合物を仕込み、均一な溶液になるまで液温度50℃で撹拌し、紫外線硬化性液状組成物を得た。
[実施例2、比較例1〜2]
表1に示す割合で各成分を配合した以外は実施例1と同様にして液状組成物を得た。
硬化収縮及び重合速度の測定方法は次の通りである。
ガラス基板上に、液状組成物を塗布し、空気中、メタルハライドランプの光を照射量1.0J/cm2の条件で照射して、厚さ200μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜を5cm角に切り出し、このフィルム片の重量を天秤で測定すると共に、フィルム片を糸でぶらさげて水中に入れた時の糸の張力変化から浮力を測定して、フィルム片の体積を算出し、これらの値から硬化膜の比重を得た。一方、光照射前の液状組成物の比重を比重瓶を用いて測定した。得られた硬化膜の比重と光照射前の液状組成物の比重から、次式を用いて硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)={1−(光照射前の液状組成物の比重/硬化膜の比重)}×100
硬化収縮の評価基準は、次のとおりである。
◎:7.7(%)以下
○:7.7(%)を超えて7.9(%)以下
×:7.9(%)を超える
なお、硬化収縮の評価が良好であることは、本発明の組成物からなる硬化膜(接着剤層)の反りが小さく、DVD等の接着対象物の変形を生じ難いことを示す。
アルミ基板上に、液状組成物を厚さ10μmで塗布した測定試料を、FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計:FTS6000、BIO−RAD社製;UV照射装置:USHIO SPOT CURE SP−3、ウシオ電機社製)にセットした。窒素雰囲気下で、樹脂の赤外吸収スペクトルを45ミリ秒毎に測定を開始した後、水銀ランプの光を365nmバンドパスフィルターを通して、照度20mW/cm2の条件で照射した。光照射開始後のアクリル基の810cm−1の吸収強度を、光照射開始から60秒間測定した。下式(1)により45ミリ秒毎のRpの値を算出し、前記60秒間のRpの極大値を樹脂の硬化速度(重合速度)とした。
Rp=[M]0×(A810 t−A810 t+Δt)/Δt (1)
[式中、[M]0は、光照射前の液状組成物単位重量当たりのビニル基の濃度(mmol/g)であり、A810 tとA810 t+Δtは、それぞれ、光照射t時間後とその45ms後の810nmの吸収強度であり、Δtは、45msである。]
なお、重合速度が600以下であると、接着の効率が低下し、硬化不良になり易い。逆に、重合速度が800を超えると、本発明の組成物からなる硬化膜(接着剤層)の反りが大きくなり、DVD等の接着対象物の変形を生じ易い。
[成分(A)]
(1)トリプロピレングリコールジアクリレート:KS−TPGDA(日本化薬社製)
(2)ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端アクリル酸付加物:KAYARAD R−115(日本化薬社製)
(3)トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート:ビスコート#360(大阪有機化学工業社製)
(4)トリメチロールプロパントリメタクリレート:ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社)
(5)トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート(EO:9モル):NKエステル TMPT−9EO(新中村化学工業社製)
[成分(B)]
(1)Lucirin TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF社製)
[成分(C)]
(1)Irganox1035:2,2’−チオジエチル−ビス−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
(2)メルカプトベンゾチアゾール:2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業社製)
Claims (5)
- 組成物の全量に対して、
(A)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物30〜98質量%、及び
(B)0.1質量%溶液の365nmにおける吸光度(光路長1cm)が0.2以上である光重合開始剤0.1〜15質量%
を含み、
(A)成分は、その全量を100質量%として、2個の重合性不飽和基を有する化合物50〜80質量%、及び3個の重合性不飽和基を有する化合物10〜40質量%を含み、かつ、
(A)成分は、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物1〜20質量%を含むことを特徴とする接着剤用紫外線硬化性液状組成物。 - 前記(A)成分中の前記3個の重合性不飽和基を有する化合物は、その全量を100質量%として、メタクリレート化合物5〜30質量%を含む請求項1に記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
- 前記組成物に含まれる重合性不飽和基を有する化合物は、その全量を100質量%として、前記(A)成分を80質量%以上の含有率で含む請求項1又は2に記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
- 前記(A)成分は、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート及びトリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレートを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着剤用紫外線硬化性液状組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化性液状組成物からなることを特徴とする接着剤。
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