JPWO2017188199A1 - 保護膜形成用フィルムおよび保護膜形成用複合シート - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2016年4月28日に、日本に出願された特願2016−092011号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
なお、図7中、符号11、12、16、17、19及び21は、それぞれ基材、粘着剤層、治具用接着剤層、リングフレーム、分割されたシリコンウエハ、およびエネルギー線照射装置を示す。
本発明の保護膜形成用フィルムにおいては、前記光ラジカル開始剤は、1分子内に芳香環を3個以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤であることが好ましい。
また、本発明の保護膜形成用フィルムにおいては、前記光ラジカル開始剤は、1分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤であることが好ましい。
また本発明は上記記載の保護膜形成用フィルムを支持シート上に備えてなる、保護膜形成用複合シートであってもよい。
本発明の保護膜形成用フィルムは、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、前記保護膜形成用フィルムにおいて、波長365nmの吸光係数が4.0×101ml/(g・cm)以上の光ラジカル開始剤を含む。
本発明に係る前記光ラジカル開始剤は、1分子内に芳香環を3個以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤であっても良い。
本発明に係る前記光ラジカル開始剤は、1分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤であっても良い。
本発明に係る光ラジカル開始剤は、波長365nmの吸光係数が1.0×104ml/(g・cm)以下であることが好ましい。
光ラジカル開始剤の波長365nmの吸光係数が上記値以下であると、蛍光灯下や自然光下で使用する際に、意図せず反応することを抑制でき、安定して複合シートを使用できるという効果がある。
発明の保護膜形成用フィルムは、少なくとも一方の表面に第1の剥離フィルムを有していてもよく、他方の表面に第2の剥離フィルムを更に有していてもよい。本発明の保護膜形成用フィルムは、ロール状に巻回した長尺状フィルムとして提供することができる。 図6は、本発明の保護膜形成用フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。図6では、第1の剥離フィルム15b、保護膜形成用フィルム13(23)及び第2の剥離フィルム15aが、この順で積層されている。
本発明の保護膜形成用複合シートは、支持シート上に、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムを備えてなり、前記保護膜形成用フィルムにおいて、波長365nmの吸光係数が4.0×101ml/(g・cm)以上の光ラジカル開始剤を配合したものである。
なお、本明細書において、「保護膜形成用フィルム」とは硬化前のものを意味し、「保護膜」とは、保護膜形成用フィルムを硬化させたものを意味する。
そして、保護膜形成用フィルムの表面抵抗値率を1012Ω・cm以下とすることにより、本発明の保護膜形成用複合シートは、帯電防止性を有する。例えば、ダイシング工程を経ても、半導体チップが帯電すること防止することができる。そのため、リール詰めして出荷し、次工程でカバーテープを剥離する際に、カバーテープに半導体チップが付着することが防止される。
また、半導体チップ自体が帯電することが防止されるので、静電気により半導体チップに塵や埃などが付着することが防止される。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味する。「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
以下、本発明の構成について、詳細に説明する。
前記支持シートは、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。支持シートが複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味する。さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
また、硬化後の保護膜形成用フィルム13(すなわち保護膜)と支持シート10との間の粘着力、換言すると保護膜と粘着剤層12との間の粘着力は、50〜1500mN/25mmであることが好ましい。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Cは、粘着剤層12を備えていない点以外は、図1に示す保護膜形成用複合シート1Aと同じものである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Cにおいては、支持シート10が基材11のみからなる。そして、基材11の一方の表面11a(支持シート10の一方の表面10a)に保護膜形成用フィルム13が積層される。次いで保護膜形成用フィルム13の表面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層16が積層される。保護膜形成用フィルム13の表面13aのうち、治具用接着剤層16が積層されていない面と、治具用接着剤層16の表面16a(上面及び側面)に、剥離フィルム15が積層されている。
また、硬化後の保護膜形成用フィルム13(すなわち保護膜)と支持シート10との間の粘着力、換言すると保護膜と基材11との間の粘着力は、50〜1500mN/25mmであることが好ましい。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Dは、治具用接着剤層16を備えていない点以外は、図3に示す保護膜形成用複合シート1Cと同じものである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Dにおいては、基材11の一方の表面11aに保護膜形成用フィルム13が積層される。そして、保護膜形成用フィルム13の表面13aの全面に剥離フィルム15が積層されている。
ここに示す保護膜形成用複合シート1Eは、保護膜形成用フィルムの形状が異なる点以外は、図1に示す保護膜形成用複合シート1Aと同じものである。すなわち、保護膜形成用複合シート1Eは、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に保護膜形成用フィルム23を備えてなるものである。支持シート10は、基材11及び粘着剤層12の積層体である。保護膜形成用複合シート1Eは、換言すると、支持シート10の一方の表面10a上に保護膜形成用フィルム23が積層された構成を有する。また、保護膜形成用複合シート1Eは、さらに保護膜形成用フィルム23上に剥離フィルム15を備えている。
また、硬化後の保護膜形成用フィルム23(すなわち保護膜)と支持シート10との間の粘着力、換言すると保護膜と粘着剤層12との間の粘着力は、50〜1500mN/25mmであることが好ましい。
また、図1、2及び5に示す保護膜形成用複合シートにおいては、基材11と粘着剤層12との間に中間層が設けられていてもよい。すなわち、本発明の保護膜形成用複合シートにおいて、支持シートは、基材、中間層及び粘着剤層がこの順に積層されてなるものでもよい。ここで中間層とは、図3及び4に示す保護膜形成用複合シートにおいて設けられていてもよい中間層と同じものである。
また、図1〜5に示す保護膜形成用複合シートは、前記中間層以外の層が、任意の箇所に設けられていてもよい。
また、本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、剥離フィルムと、この剥離フィルムと直接接触している層との間に、一部隙間が生じていてもよい。
また、本発明の保護膜形成用複合シートにおいては、各層の大きさや形状は、目的に応じて任意に調節できる。
なかでも、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、支持シートはエネルギー線を透過させるものが好ましい。
一方、支持シートにおいて、波長375nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
一方、支持シートにおいて、波長532nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
一方、支持シートにおいて、波長1064nmの光の透過率の上限値は特に限定されないが、例えば、95%とすることが可能である。
次に、支持シートを構成する各層について、さらに詳細に説明する。
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、以下のものがあげられる。低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等である。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
そして、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、基材はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
また、基材は、表面がプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材は、帯電防止コート層、保護膜形成用複合シートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着することや、基材が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
これらの中でも基材は、ダイシング時のブレードの摩擦による基材の断片の発生が抑制される点から、特に表面が電子線照射処理を施されたものが好ましい。
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味する。例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
そして、保護膜形成用フィルムがエネルギー線硬化性を有する本発明においては、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
粘着剤層は、粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味する。例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられる。より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
前記粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられる。さらに、粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
ここまでは、粘着剤組成物(I−1)、粘着剤組成物(I−2)及び粘着剤組成物(I−3)について主に説明した。しかしながら、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、以下のものが挙げられる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)を含有する粘着剤組成物(I−4)が挙げられる。中でもアクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I−1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)における粘着性樹脂(I−1a)としては、粘着剤組成物(I−1)における粘着性樹脂(I−1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)や、粘着剤組成物(I−4)等の粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されない。例えば、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
本発明において、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜と、支持シートとの間の粘着力は、50〜1500mN/25mmであることが好ましい。52〜1450mN/25mmであることがより好ましく、53〜1430mN/25mmであることがさらに好ましい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、保護膜付き半導体チップのピックアップ時に、目的外の保護膜付き半導体チップのピックアップが抑制される。そしてその結果、目的とする保護膜付き半導体チップを高選択的にピックアップできる。また、前記粘着力が前記上限値以下であることで、保護膜付き半導体チップのピックアップ時に、半導体チップの割れ及び欠けが抑制される。このように、前記粘着力が特定の範囲内であることで、保護膜形成用複合シートは、良好なピックアップ適性を有する。
すなわち、幅が25mmで長さが任意の保護膜形成用複合シートをその保護膜形成用フィルムにより被着体へ貼付する。
次いで、エネルギー線を照射して保護膜形成用フィルムを硬化させて、保護膜を形成する。しかる後、被着体へ貼付されているこの保護膜から、支持シートを剥離速度300mm/minで剥離させる。このときの剥離は、保護膜及び支持シートの互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、支持シートをその長さ方向(保護膜形成用複合シートの長さ方向)へ剥離させる、いわゆる180°剥離とする。そして、この180°剥離のときの荷重(剥離力)を測定し、その測定値を前記粘着力(mN/25mm)とする。
一方、保護膜形成用フィルムと前記支持シートとの間の粘着力の上限値は、特に限定されない。例えば、4000mN/25mm、3500mN/25mm、3000mN/25mm等のいずれかとすることができる。ただし、これらは一例である。
一方、支持シートにおける保護膜形成用フィルムを設ける層が、基材である場合には、保護膜又は保護膜形成用フィルムと支持シートとの間の粘着力は、基材の構成材料以外に、基材の表面状態でも調節できる。そして、基材の表面状態は以下の処理を施すことにより調節できる。例えば、基材の他の層との密着性を向上させるものとして先に挙げた表面処理、すなわち、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理;プライマー処理等のいずれかを施す。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。
ここで、「保護膜形成用フィルムの厚さ」とは、保護膜形成用フィルム全体の厚さを意味する。例えば、複数層からなる保護膜形成用フィルムの厚さとは、保護膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
例えば、保護膜形成用フィルムの硬化時における、エネルギー線の照度は、4〜280mW/cm2であることが好ましい。そして、前記硬化時における、エネルギー線の光量は、3〜1000mJ/cm2であることが好ましい。
保護膜形成用フィルムは、その構成材料を含有する保護膜形成用組成物を用いて形成できる。例えば、保護膜形成用フィルムの形成対象面に保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に保護膜形成用フィルムを形成できる。保護膜形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、保護膜形成用フィルムの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
保護膜形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)及び光ラジカル開始剤(c’)を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、保護膜形成用フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が、後述する架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、以下のものが挙げられる。例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
前記官能基を有するアクリル系重合体(a11)としては、例えば、前記官能基を有するアクリル系モノマーと、前記官能基を有しないアクリル系モノマーと、が共重合してなるものが挙げられ、これらモノマー以外に、さらにアクリル系モノマー以外のモノマー(非アクリル系モノマー)が共重合したものであってもよい。
また、前記アクリル系重合体(a11)は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
前記アクリル系重合体(a11)を構成する前記非アクリル系モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;
ジイソシアネート化合物又はポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらの中でも、前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートであることが好ましい。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が有するエネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられる。好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
前記アクリレート系化合物としては、以下のものが挙げられる。例えば、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート)、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン等の2官能(メタ)アクリレート;
トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤(f)によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル等が挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、以下のものが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
前記置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等が挙げられる。
前記反応性官能基は、架橋剤(f)の種類等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、架橋剤(f)がポリイソシアネート化合物である場合には、前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、これらの中でも、イソシアネート基との反応性が高い水酸基が好ましい。また、架橋剤(f)がエポキシ系化合物である場合には、前記反応性官能基としては、カルボキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でもエポキシ基との反応性が高いカルボキシ基が好ましい。ただし、半導体ウエハや半導体チップの回路の腐食を防止するという点では、前記反応性官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
本発明の保護膜形成用組成物に用いる光ラジカル開始剤は、波長365nmの吸光係数が4.0×101ml/(g・cm)以上のもの(本明細書においては、「光ラジカル開始剤(c’)」と称することがある)である。
光ラジカル開始剤(c’)としては、波長365nmの吸光係数が4.0×101ml/(g・cm)以上のものであれば良く、特に限定されない。
光ラジカル開始剤(c’)としては、以下のものが挙げられる。例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4´−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名IRGACURE651、BASFジャパン製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名 IRGACURE184、BASFジャパン製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名 DAROCUR1173、BASFジャパン製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名 IRGACURE2959、BASFジャパン製)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名 IRGACURE907、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名IRGACURE369、2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名 IRGACURE907、BASFジャパン製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名 IRGACURE369、BASFジャパン製)、2−(4−メチルベンジル)−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名 IRGACURE379、BASFジャパン製)、ジベンゾイル等が挙げられる。
1分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤(c’)としては、以下のものが挙げられる。例えば、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名 369IRGACURE127、BASFジャパン製)、1−[4−(4−ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン(商品名 ESURE1001M)、メチルベンゾイルフォーメート(商品名 SPEEDCURE MBF LAMBSON製)、O−エトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名 SPEEDCURE PDO LAMBSON製)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン(商品名 ESCURE KIPI50 LAMBERTI製)等が挙げられる。
1分子内に芳香環を3個以上有する水素引き抜き型ラジカル開始剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]1,2−オクタンジオン(商品名 IRGACURE OXE 01、BASFジャパン製)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)エタノン(商品名 IRGACURE OXE 02、BASFジャパン製)、4−ベンゾイル−4´メチルジフェニルサルファイド、4−フェニルベンゾフェノン、4,4´,4´´−(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン等が挙げられる。また、深部硬化性改善を特徴とする2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名 DAROCUR TPO、BASFジャパン製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名 IRGACURE819、BASFジャパン製)、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤が挙げられる。
他の化合物との組み合わせとしては、具体的には、以下のものが挙げられる。4,4´−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等のアミンとの組み合わせ、さらにこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩を組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたもの等が挙げられる。
光ラジカル開始剤(c’)の含有量が前記上限値以下であることにより、蛍光灯下や自然光下で使用する際に、意図せず反応することを抑制でき、安定して複合シートを使用できるという効果が得られる。
光ラジカル開始剤(c’)の含有量が前記下限値以上であることにより、反応不足を抑制することが出来るという効果が得られる。
保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となる。さらに、この熱膨張係数を保護膜の形成対象物に対して最適化することで、保護膜形成用複合シートを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、保護膜形成用フィルムが充填材(d)を含有することにより、保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(d)としては、例えば、熱伝導性材料からなるものが挙げられる。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた粒度分布曲線における、積算値50%での粒子径(D50)の値を意味する。
カップリング剤(e)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、保護膜形成用フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(e)を用いることで、保護膜形成用フィルムを硬化して得られた保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
好ましい前記シランカップリング剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
架橋剤(F)を用いて、上述のエネルギー線硬化性成分(a)やエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)架橋することにより、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
着色剤(g)としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等、公知のものが挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有する熱硬化性成分(h)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(h1)及び熱硬化剤(h2)からなる。 保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムが含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(h1)としては、公知のものが挙げられる。例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基である。その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(h1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜800g/eqであることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)は、エポキシ樹脂(h1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(h2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられる。フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(h2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(h2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(h2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(h2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
汎用添加剤(z)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤等が挙げられる。
汎用添加剤(z)を用いる場合、保護膜形成用組成物(IV−1)及び保護膜形成用フィルムの汎用添加剤(z)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
保護膜形成用組成物(IV−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する保護膜形成用組成物(IV−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、以下のものが挙げられる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
保護膜形成用組成物(IV−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
保護膜形成用組成物(IV−1)等の保護膜形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよい。また、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されない。撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されない。適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
しかし、ダイシングダイボンディングシートが備える接着剤層は、半導体チップとともに支持シートからピックアップされた後、この半導体チップを基板、リードフレーム、又は他の半導体チップ等に取り付ける際の接着剤として機能する。一方、本発明の保護膜形成用複合シートにおける保護膜形成用フィルムは、半導体チップとともに支持シートからピックアップされる点では前記接着剤層と同じであるが、最終的には硬化によって保護膜となり、貼付されている半導体チップの裏面を保護するという機能を有する。このように、本発明における保護膜形成用フィルムは、ダイシングダイボンディングシートにおける接着剤層とは、用途が異なり、求められる性能も当然に異なる。そして、この用途の違いを反映して、保護膜形成用フィルムは、通常、ダイシングダイボンディングシートにおける接着剤層と比較すると、硬めで、ピックアップが難しい傾向にある。したがって、ダイシングダイボンディングシートにおける接着剤層を、そのまま保護膜形成用複合シートにおける保護膜形成用フィルムとして転用することは、通常、困難である。本発明の保護膜形成用複合シートは、エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムを備えたものとしては、保護膜付き半導体チップのピックアップ適性に関して、従来になく極めて優れたものである。
本発明の保護膜形成用複合シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、支持シートを製造するときに、基材上に粘着剤層を積層する場合には、基材上に上述の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させればよい。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
本発明の保護膜形成用複合シートは、例えば、以下に示す方法で使用できる。
すなわち、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に、保護膜形成用複合シートをその保護膜形成用フィルムによって貼付する。次いで、ダイシングによって、半導体ウエハを保護膜形成用フィルムごと分割して保護膜形成用フィルム付き半導体チップとする。次いで、保護膜形成用フィルム付き半導体チップの保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。そして、半導体チップを、この保護膜が貼付された状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)、支持シートから引き離してピックアップする。
以降は従来法と同様の方法で、得られた保護膜付き半導体チップの半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
図6は、本発明の保護膜形成用シートの一実施形態に係る保護膜形成用フィルムを模式的に示す断面図である。
図6に示したように、本実施形態に係る保護膜形成用シート1Fは、「ロール型」とするのに好適なものである。この保護膜形成用シート1Fは、剥離フィルム15a(以下、「第1の剥離フィルム」という場合がある。)と剥離フィルム15b(以下、「第2の剥離フィルム」という場合がある)の間に保護膜形成用フィルム13が配置されるように、保護膜形成用組成物を層状に適用した構造からなる。
この保護膜形成用シート1Fに用いられる保護膜形成用組成物は既出の保護膜形成用組成物に準じる。
この保護膜形成用シート1Fは、例えば、第1の剥離フィルム15aの剥離面上に保護膜形成用組成物を塗工し、乾燥させて、保護膜形成用フィルム13を形成した後、更にその露出面に、第2の剥離フィルム15bの剥離面を貼付することにより形成することができる。保護膜形成用組成物の適用方法は、上記の保護膜形成用組成物の適用方法に準じる。
本発明の保護膜形成用フィルムは、例えば、以下に示す方法で使用できる。
すなわち、半導体ウエハの裏面(電極形成面とは反対側の面)に、保護膜形成用フィルム貼付する。次いで、ダイシングによって、半導体ウエハを保護膜形成用フィルムごと分割して保護膜形成用フィルム付き半導体チップとする。次いで、保護膜形成用フィルム付き半導体チップの保護膜形成用フィルムにエネルギー線を照射して、保護膜形成用フィルムを硬化させて保護膜とする。そして、半導体チップを、この保護膜が貼付された状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)、支持シートから引き離してピックアップする。
以降は従来法と同様の方法で、得られた保護膜付き半導体チップの半導体チップを基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
・エネルギー線硬化性成分
(a2)−1:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD R−684」、2官能紫外線硬化性化合物、分子量304)
・エネルギー線硬化性基を有しない重合体
(b)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(10質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(70質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(5質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量300000、ガラス転移温度−1℃)。
(c’)−1:2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(BASF社製「Irgacure(登録商標)369」、波長365nmの吸光係数:7.9×103)
(c’)−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製「Irgacure(登録商標)OXE02」、波長365nmの吸光係数:7.7×103)
(c’)−3:1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]1,2−オクタンジオン)(BASF社製「Irgacure(登録商標)OXE01」、波長365nmの吸光係数:7.0×103)
(c’)−4:2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン (BASF社製「Irgacure(登録商標)127」、波長365nmの吸光係数:1.1×102)
(c)−1:フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル (BASF社製「Irgacure(登録商標)MBF」、波長365nmの吸光係数:3.8×101)
(d)−1:シリカフィラー(溶融石英フィラー、平均粒子径8μm)
・カップリング剤
(e)−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−503」、シランカップリング剤)
(g)−1:フタロシアニン系青色色素(Pigment Blue 15:3)32質量部と、イソインドリノン系黄色色素(Pigment Yellow 139)18質量部と、アントラキノン系赤色色素(Pigment Red 177)50質量部とを混合し、前記3種の色素の合計量/スチレンアクリル樹脂量=1/3(質量比)となるように顔料化して得られた顔料。
<保護膜形成用複合シートの製造>
(保護膜形成用組成物(IV−1)の製造)
エネルギー線硬化性成分(a2)−1、重合体(b)−1、光ラジカル開始剤(c’)−1、光ラジカル開始剤(c’)−2、充填材(d)−1、カップリング剤(e)−1及び着色剤(g)−1を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、固形分濃度が50質量%である保護膜形成用組成物(IV−1)を調製した。なお、表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、保護膜形成用組成物(IV−1)がその成分を含有していないことを意味する。
アクリル系重合体(100質量部、固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製「タケネートD110N」)(10.7質量部、固形分)を含有し、さらに溶媒としてメチルエチルケトンを含有する、固形分濃度が30質量%の非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物(I−4)を調製した。前記アクリル系重合体は、アクリル酸−2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する)(36質量部)、BA(59質量部)、及びHEA(5質量部)を共重合してなる、重量平均分子量が600000のものである。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm。以下、「P1」と表す場合がある。)の前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物(I−4)を塗工し、120℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ10μmの非エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成した。
次いで、この粘着剤層の露出面に、基材としてポリプロピレン系フィルム(ヤング率400MPa、厚さ80μm。以下「S1」と表す場合がある。)を貼り合せることにより、前記基材の一方の表面上に前記粘着剤層を備えた支持シート(10)−1を得た。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm、P1)の前記剥離処理面に、上記で得られた保護膜形成用組成物(IV−1)をナイフコーターにより塗工し、100℃で2分乾燥させることにより、厚さ25μmのエネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルム(13)−1を作製した。
6インチシリコンウエハ(厚さ350μm)の#2000研磨面に、上記で得られた保護膜形成用複合シートをその保護膜形成用フィルム(13)−1によって貼付し、さらにこのシートをリングフレームに固定した。
次いで、ダイシングブレードを用いて、シリコンウエハを保護膜形成用フィルム(13)−1ごとダイシングして個片化し、5mm×5mmのシリコンチップを得た。
次いで、紫外線照射装置(リンテック社製「RAD2000m/8」)を用いて、照度195mW/cm2、光量170mJ/cm2の条件で、支持シート(10)−1側から保護膜形成用フィルム(13)−1に紫外線を照射することで、保護膜形成用フィルム(13)−1を硬化させ、保護膜とした。
次いで、ダイボンダー(キャノンマシナリー社製「BESTEM−D02」)を用いて、任意の15個の保護膜付きシリコンチップを1ピンで突き上げてピックアップした。このとき、シリコンチップの割れ及び欠けの有無を目視で確認し、割れ及び欠けが全くなかった場合を「A」と判定し、割れ又は欠けが僅かでもあった場合を「B」と判定し、ピックアップ適性を評価した。結果を表2に示す。表2中の「チップの割れ・欠けの抑制」の欄の記載が該当する結果である。
[実施例2]
光ラジカル開始剤として(c’)−1を用い、添加量を0.6質量部にした以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(13)−2を作製した。更に、これを用いて保護膜形成用複合シートを製造し、その特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
光ラジカル開始剤として(c’)−2を用い、添加量を0.6質量部にした以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(13)−3を作製した。更に、これを用いて保護膜形成用複合シートを製造し、その特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
光ラジカル開始剤として(c’)−3を用い、添加量を0.6質量部にした以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(13)−4を作製した。更に、これを用いて保護膜形成用複合シートを製造し、その特性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
光ラジカル開始剤として(c’)−4を用い、添加量を0.6質量部にした以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(13)−5を作製した。更に、これを用いて保護膜形成用複合シートを製造し、その特性を評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
光ラジカル開始剤として(c)−1を用い、添加量を0.6質量部にした以外は、実施例1と同じ方法で、保護膜形成用フィルム(13)−6を作製した。更に、これを用いて保護膜形成用複合シートを製造し、その特性を評価した。結果を表2に示す。
1F・・・保護膜形成用シート、
10・・・支持シート、
10a・・・支持シートの表面、
11・・・基材、
11a・・・基材の表面、
12・・・粘着剤層、
12a・・・粘着剤層の表面、
13,23・・・保護膜形成用フィルム、
13a,23a・・・保護膜形成用フィルムの表面、
15・・・剥離フィルム、
16・・・治具用接着剤層、
16a・・・治具用接着剤層
Claims (4)
- エネルギー線硬化性の保護膜形成用フィルムであって、
前記保護膜形成用フィルムにおいて、波長365nmの吸光係数が4.0×101ml/(g・cm)以上の光ラジカル開始剤を含む、保護膜形成用フィルム。 - 前記光ラジカル開始剤は、1分子内に芳香環を3個以上有する水素引き抜き型光ラジカル開始剤である、請求項1に記載の保護膜形成用フィルム。
- 前記光ラジカル開始剤は、1分子内に光分解性の基を2個以上有する光ラジカル開始剤である、請求項1または2に記載の保護膜形成用フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムを支持シート上に備えてなる、保護膜形成用複合シート。
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