JPH06102698B2 - 光重合性組成物 - Google Patents

光重合性組成物

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JPH06102698B2
JPH06102698B2 JP2113034A JP11303490A JPH06102698B2 JP H06102698 B2 JPH06102698 B2 JP H06102698B2 JP 2113034 A JP2113034 A JP 2113034A JP 11303490 A JP11303490 A JP 11303490A JP H06102698 B2 JPH06102698 B2 JP H06102698B2
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acrylic
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は光重合性組成物に関する。 更に詳細には、アクリル系光重合性組成物に関する。
【従来の技術】
アクリル系モノマーと光重合開始剤とからなる光重合性
組成物は公知であり、このアクリル系光重合性組成物に
光を照射し、重合させたアクリル系粘弾性製品は、例え
ば、アクリル系粘着剤、アクリル系粘着テープ、アクリ
ル系粘着シート、両面粘着テープ、感熱接着シート、シ
ーリング材、発泡体類の粘着加工製品等として使用さ
れ、良く知られている。 このアクリル系粘弾性製品は、アクリル系ポリマーを主
成分としているため、耐光性、耐候性、耐油性等に優れ
ている。このアクリル系粘弾性製品をプラスチックフィ
ルムや、紙等を基材表面に設けたアクリル系粘着テープ
やフィルムは、粘着力、凝集力等の粘着性能、および耐
熱性、耐候性等の耐老化性に優れている。従って、これ
らの製品は広く使用されている。 これらのアクリル系粘弾性製品の代表的な製品であるア
クリル系粘着テープを例にとり、詳細に説明すると、こ
の粘着テープは、一般に、アルキルアクリレートおよび
/又はアルキルメタクリレート等のアクリル系モノマー
を主成分とするビニル系モノマーを有機溶剤中で溶液重
合して得られる粘着剤溶液を、基材に塗布または含浸
し、これを加熱乾燥して製造していた。 又、別の方法として、このビニル系モノマーを水中に乳
化剤と共に入れ、これらビニルモノマーを乳化した後、
重合して得られるエマルジョンを、基材に塗布又は含浸
し、これを加熱乾燥して製造している。 最近、アクリル系モノマーを主成分とするビニル系モノ
マーにベンゾインメチルエーテルのような光重合開始剤
を含有させた光重合性組成物が、米国特許第4,181,752
号明細書で提案された。この米国特許では、この光重合
性組成物層を基材上に設け、この光重合性組成物に波長
300〜400nmの紫外線を0.1〜7mW/cm2の光強度で照射し
て、重合させ、アクリル粘着テープを製造する方法が開
示されている。
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記ビニル系モノマーを有機溶剤中で重合させ
る方法は、粘着剤溶液を高温で乾燥するため、多くのエ
ネルギーを必要とし、しかも、有機溶剤による大気汚染
を防止するためと、爆発や火災等の危険を防止する安全
保持のために、大規模な溶剤回収装置を必要とするとい
う問題がある。 又、エマルジョンを用いる方法では、水を蒸発させるた
めに、有機溶剤を用いる場合より更に大きなエネルギー
を必要とし、又、性能面でも、エマルジョンをつくると
きに混入する乳化剤により、耐水性が低下するという問
題がある。更に、このエマルジョンを用いる方法は、水
溶性モノマーが使用できないという問題もある。 光重合性組成物を使用する方法は、有機溶剤や水を使用
することなく、粘着テープを製造するため、前記した有
機溶剤や水を使用する問題点は解消され、性能の良いア
クリル系粘着剤が製造できる。しかし、この方法では、
重合反応が遅いため、実用化するには生産性が悪いとい
う問題がある。 一般に、アクリル系モノマー等のビニル系モノマーの光
重合反応の重合速度は、光重合開始剤と光強度の積の平
方根に比例する。そこで、発明者等が、生産性を高める
ために、光重合開始剤の添加量を増加したり、光強度を
高くして、重合反応速度を速くしようとしたところ、得
られる重合体の分子量が低下し、粘着テープの粘着力と
凝集力とのバランスを高水準に保持することができず、
良好な粘着テープが製造できなかった。 粘着テープ以外のアクリル系粘弾性製品も重合速度を速
くすると、同様に劣悪な製品しか製造できなかった。 そこで、本発明は、重合速度を速くしても、重合体の分
子量の低下を招かない性能のよいアクリル系光重合性組
成物を提案することを目的ととする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決し、上記目的を達成するため
になしたものであって、アクリル系モノマーを主成分と
するビニル系モノマーと光重合開始剤とからなる光重合
性組成物において、光重合開始剤として下記構造式
〔1〕もしくは〔1′〕で表される光重合開始材を使用
するのである。 構造式〔1〕、〔1′〕中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は直鎖
状または分岐状のアルキル基であり、R1とR2、R3とR4
の両組、または、そのいずれか1組が相互に結合して環
を形成してもよい。 Zは置換または未置換の芳香族もしくは構造式〔2〕で
示されるものである。又、Yは直鎖状または分岐状のア
ルキレン基である。 −Ar1−T−Ar2− 〔2〕 構造式〔2〕中、Ar1、Ar2は、置換または未置換の芳香
族基であり、Tは、直鎖状または分岐状のアルキレン
基、カルボニル基、酸素原子もしくは硫黄原子である。 本発明において、アクリル系モノマーとは、アルキルア
クリレートと、アルキルメタクリレートとを総称するも
のである。本発明においては、これらすべてのアクリル
系モノマーが使用できるが、炭素数1〜14のアルキル基
が結合したアクリル系モノマーが好適に使用される。更
に好適な範囲は、炭素数が4〜12のアルキル基が結合し
たアクリル系モノマーである。 これらのアクリル系モノマーの例を挙げると、n−ブチ
ルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタ
クリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタ
クレート等がある。 本発明においては、これらのアクリル系モノマーを単独
または2種以上組み合わせて用いる。 本発明におけるアクリル系モノマーを主成分とするビニ
ル系モノマーとは、上記アクリル系モノマーのみでも良
いし、このアクリル系モノマーと共重合可能なビニル系
モノマーを混合したものでも良いことを意味する。この
混合比率はアクリル系モノマー60〜100重量部とビニル
系モノマー0〜40重量部が好適な範囲である。 かかるアクリル系モノマーと共重合可能なビニル系モノ
マーの好適なものとして、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリ
ル、メタアクリロニトリル、N−置換アクリルアミド、
ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリド
ン、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリル
アミド、ヒドロキシエチルメタクリレート等を挙げられ
る。 粘着剤を製造するときには、粘着性と凝集性とのバラン
ス等から、ガラス転移点の低いポリマーがよく、上記モ
ノマーを適宜選択して使用する。 即ち、アクリル系モノマーのホモポリマーの場合には、
ガラス転移点が−50℃以下のものを使用するとよい。
又、コポリマーの場合には、このアクリル系モノマーと
低級アルキル系モノマーや共重合可能なビニル系モノマ
ーとの共重合体がよい。 かかるガラス転移点の低い重合体を形成するアクリル系
モノマーと共重合可能なビニル系モノマーの好適なもの
として、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ポリエ
チレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコ
ールアクリレート、弗素アクリレート、シリコアクリレ
ート等のビニル系モノマーを挙げることができる。 本発明において構造式〔1〕もしくは〔1′〕で示され
る光重合開始剤は、1分子中に光による開裂点を2ケ所
以上有する。従って、光を照射すると、2ケ所以上の開
裂点から重合が開始されるから、重合速度が速くなり、
しかも、この光重合開始剤が橋掛けられて高分子の粘弾
性製品が生成する。その結果、諸物性に優れたアクリル
系粘弾性製品の高速生産を可能とする。 かかる光による開裂点を2ケ所以上有する重合開始剤の
例としては、 4・4′−ビス(α−ヒドロキシ−2−イソブチリル)
ベンゾフェノン 1・2−ビス(4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プ
ロパノイル)−フェニル)−エタン 2・3−ビス(4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プ
ロパノイル)−フェニル)−2.3−ジメチル−ブタン 3.4−ビス(4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロ
パノイル)−フェニル)−3・4−ジメチル−ヘキサン ポリ〔4−(α−ヒドロキシイソブチリル)−α−メチ
ルスチレン〕 1・1−ビス(4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プ
ロパノイル)−フェニル)−メタン 4・4′−ビス−(α−ヒドロキシ−イソブチル)−ジ
フェニルオキシド 4・4′−ビス−(α−ヒドロキシ−イソブチル)ジフ
ェニルスルフィド 等を挙げることができる。 更に、本発明では、これらの開裂点を2ケ所以上有する
光重合開始剤〔1〕もしくは〔1′〕は、単独で使用し
てもよいが、従来、光重合開始剤として使用されている
開発裂点を1ケ所有する単官能光重合開始剤を混合して
使用してもよい。この単官能光重合開始剤の混合割合は
約20重量%以上内が好適である。 構造式〔1〕もしくは〔1′〕で示される光重合開始剤
を単独で使用した場合には、光強度を低くし過ぎると、
光重合性組成物の組成によってはゲル化が起こり、粘着
力が低下することがある。 このような場合には、単官能光重合開始剤を併用する
と、ゲル化を抑えることができる。又、これら単官能光
重合開始剤を併用すると、開裂点を2ケ所以上有する光
重合開始剤の濃度を低くしても高速の重合を達成できる
という長所もある。 かかる単官能重合開始剤としては、4−(2−ヒドロキ
シエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピ
ル)ケトン:〔メルク社製ダロキュアー2959〕、α−ヒ
ドロキシ−α・α′−ジメチル−アセトフェノン;〔メ
ルク社製ダロキュアー1173〕、メトキシアセトフェノ
ン、2・2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
等のアセトフェノン系やベンゾインエチル−エーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテ
ル系やベンジルジメチルケタール等のケタール系等を挙
げることができる。更に、その他に、ハロゲン化ケト
ン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等
を挙げることができる。 本発明光重合性組成物においてアクリル系モノマーを主
成分とするビニル系モノマーと光重合開始剤との混合割
合は適宜でよいが、構造式〔1〕もしくは〔1′〕で表
される光重合開始剤を主成分とする光重合開始剤を、前
記モノマー成分100重量部に対して0.001〜5重量部の割
合で混合したときが最も良好な結果が得られる。 即ち、この光重合開始剤の量が0.001重量部未満である
と、光重合開始剤が光エネルギーにより重合初期に消費
されるために、未反応モノマーが残存し易く、モノマー
の臭いが残るだけでなく、凝集力が低下する。逆に、5
重量部を越えると、重合反応速度は速くなるが、光重合
開始剤の分解臭が激しくなり、又、分子量のばらつきが
大きくなり、粘着性能も低下する。 本発明光重合性組成物を重合する場合、粘着特性から、
光重合による重合体の重量平均分子量は約30〜100万に
調節するのが好ましく、更に、好ましい範囲は約50〜10
0万である。 従って、この目標とする重合体の分子量に応じて、光重
合開始剤の種類、量や光の強度を調節して、上記範囲内
になるようにする。 更に、本発明においては、耐熱性や高温での凝集力を向
上させるために、光架橋剤を含有させることがある。 かかる光架橋剤としては、ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジア
クリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート、プロピレング
リコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ
アクリレート、プロピレングリコールジメタクリレー
ト、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトール
トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、
ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を挙げ
ることができる。更に、その他に、エポキシアクリレー
ト、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート
等を挙げることができる。 かかる光架橋剤の好ましい添加量は前記モノマー成分10
0重量部に対して、5重量部以下である。この光架橋剤
を添加することにより光重合反応の過程で重合体分子間
に架橋結合が生じ、粘着剤の耐熱性が向上する。粘着テ
ープの場合には、高温での凝集力が増加し、高温での保
持力が向上する。 本発明においては、その他に、増粘剤やチキソトロープ
剤、増量材や充填材等、粘着剤等に通常用いられる添加
剤を配合してもよい。 増粘剤としては、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴ
ムなどが用いられる。 又、増量材としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、ク
レー等が用いられる。 又、充填材としては、ガラスバルン、アルミナバルン、
セラミックバルン等の無機中空体、ナイロンビーズ、ア
クリルビーズ、シリコンビーズ等の有機球状体、塩化ビ
ニリデンバルン、アクリルバルン等の有機中空体、ポリ
エステル、レーヨン、ナイロン等の単繊維等がある。 本発明光重合性組成物を光重合したものは、アクリル系
粘着剤、アクリル系粘着テープ、アクリル系粘着シー
ト、両面粘着テープ、感熱接着シート、建築用や自動車
用等のシーリング材、防振材中間膜等種々の粘弾性製品
の製造に使用される。 本発明の光重合性組成物を用いて粘弾性製品を製造する
には、通常、この組成物中に溶存する酸素を除去し、光
重合性組成物の中の溶存酸素濃度を1ppm以下にした後、
この光重合性組成物に光を照射して重合する。 この光重合性組成物の中に溶存する酸素を除去するに
は、光重合性組成物に窒素ガス等の不活性ガスを吹き込
むか、あるいは、フェニルジイソデシルホスファイト、
トリイソデシルホスファイト、オクタン酸第一錫等の酸
素除去効果のある化合物を添加する。この酸素除去効果
のある化合物の添加により、雰囲気酸素濃度がある程度
高くても充分な重合(硬化)が実現できる。 粘着テープを製造する場合には、光重合性組成物を剥離
紙、剥離型枠等の上に塗布または注入し、光を照射して
光重合し、剥離紙や剥離型枠から剥離すると、基材のな
い両面粘着テープが製造できる。又、プラスチックフィ
ルム、紙、セロファン、布、不織布、金属箔等の基材に
塗布または含浸し、これに光を照射して光重合すると、
基材の表面に粘着材層が設けられた粘着シートが得られ
る。 又、シーリング材を製造する場合には、内面が剥離性の
よい細長い型に光重合性組成物を注入して、これに光を
照射して重合させ、その後、型から重合体を取り出す
と、シーリング材ができあがる。 光重合性組成物を型枠や基材等に塗布、含浸または注入
する際に、作業が円滑に行われるように、光重合性組成
物に増量材やチキソトロープ剤を加えて増粘することが
好ましい。又、上記のように増量材やチキソトロープ剤
を添加する以外に、光重合性組成物を増粘する方法とし
ては、この光重合性組成物に紫外線を少量照射して、予
め、モノマー成分を一部重合させる方法がある。 この塗布、含浸または注入する作業は、光重合性組成物
の中の溶存酸素濃度が大とならないように、空気(酸
素)と接触しないように工夫された装置が用いられる。 型枠や基材等に塗布、含浸あるいは注入後に、光重合性
組成物は光重合室内に移され、ここで、この光重合性組
成物に光を照射して、重合させる。 普通、この光重合室は不活性ガスを導入して、雰囲気酸
素濃度を減少させ、光重合中に光重合性組成物の中の溶
存酸素濃度が増加させないようにしている。又、不活性
ガスを導入する以外の方法として、予め、溶存酸素濃度
を減少させた光重合性組成物の表面にポリエステルフィ
ルム等の酸素透過性の少ないフィルムで覆って、光重合
室を通過させる方法もある。このようにすると、雰囲気
酸素濃度を減少させた光重合室内でなくても、酸素が光
重合性組成物の中に溶解しない。この場合には、酸素除
去効果のある化合物を添加しておくが好ましい。 本発明では光で重合する組成物であるが、この時使用す
る光とは、可視光線、紫外線、電子線等の電磁波を使用
する。通常、紫外線が使用される。 光重合室は、上面が光を透過する材料で作られている。
例えば、照射する光が紫外線であれば、石英ガラス、パ
イレックスガラス、硼酸ガラス等の紫外線の透過する材
質で作られ、そして、この光重合質の上面から、この紫
外線透過する材質を通して紫外線が照射される。 この紫外線を輻射する紫外線ランプとしては、通常、波
長300〜400nmの領域にスペクトル分布を持つものが用い
られる。 かかる紫外線ランプとしては、ケミカルランプ、ブラッ
クライトランプ(東芝電材(株)の商品名)、低圧水銀
ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハ
ライドランプ、マイクロウエーブ励起水銀ランプ等があ
る。前二者のランプは、比較的低い光強度を照射すると
きに用いられ、後五者のランプは、比較的高い光強度を
照射するときに用いられる。 光強度は、被照射体までの距離や電圧を調整して、一般
に被照射体面で5〜300mW/cm2程度とし、照射時間は0.3
〜5分程度とするのが好ましい。 紫外線等の光の照射により、アクリル系モノマーを主成
分とするモノマー成分が重合し、粘弾性製品が得られ
る。上記の光強度、照射時間で、通常、残存モノマーが
0.5重量%以下の製品となる。この程度の残存モノマー
では通常粘弾性製品の性能に悪影響を及ぼさない。 尚、光の照射は、重合期間中、一定の光強度で行っても
よいが、2段階以上に分けてそれぞれ光強度を変えて照
射することもできる。このように、2段階以上に分けて
重合することにより、粘弾性製品の物性を更に精密に調
整することができる。
【作用】
本発明は、アクリル系モノマーを主成分とするモノマー
成分に、1分子中に光による開裂点を2ケ所以上有する
特定の光重合開始剤を含有させた光重合性組成物であ
る。このような特定の光重合開始剤を含有する光重合製
組成物に光を照射すると、この光重合開始剤が開裂して
ラジカルが生じ、上記モノマー成分が速やかに重合し、
残存モノマー量が極めて少ない高分子量の粘弾性製品が
生成する。 このようにして得られる粘弾性製品の高分子化する機構
は必ずしも明らかでないが、光重合開始剤として1分子
中に光による開裂点が2ケ所以上ある化合物を用いる
と、開裂により多官能のラジカルが生じる。そして、こ
の多官能のラジカルを始点としてポリマー分子が成長し
て行き、ラジカルがある程度のところで再結合して高分
子化されるが、開始点から反応停止点までの生成ポリマ
ーの長さが、光強度が大であったり、光重合開始剤が多
かったりして、従来の単官能光開始剤の場合と同じよう
に短くなっても、各ポリマー分子は多官能のラジカルに
なる開始剤を起点として二方面あるいは三方向に伸びて
いくため、全体としてポリマーが高分子量になるものと
推定される。
【実施例】
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具
体的に説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定
されるものでない。 (物性の測定) 実施例および比較例で得られた両面粘着テープについ
て、次の測定方法により、粘着剤の重量平均分子量(光
架橋剤を添加しない場合についてのみ測定)、残存モノ
マー量、ゲル分率・膨潤度、粘着力、保持力を測定し
た。 (1)重量平均分子量 テトラヒドロフランに溶解し、24時間放置したものから
不溶を除いて得た試料溶液を、ゲル透過クロマトグラフ
ィー(GPC)により、標準ポリスチレンを基準として、
屈折率検出計を用いて測定した。 (2)残存モノマー量 ポリエチレングリコール(ガスクロ工業(株)社製商品
名20M)を担持したchromosorb Wを酸処理した分離カラ
ム、および、水素炎イオン化検出器を有するガスクロマ
トグラフ(GC-6A、島津製作所製)を用いて測定した。 尚、測定用試料は、粘着剤試料100mgを5ccの酢酸メチル
に溶解した溶液から2ccを採取し、この溶液2ccと2−エ
チルヘキシルメタクリレートを酢酸メチルに溶解した内
部標準液2ccとを混合して調整した。 (3)ゲル分率・膨潤度 粘着剤試料100mgをテトラヒドロフランに溶解し、24時
間放置したものを200メッシュのステンレスフィルター
でろ過する。 ろ過された膨潤ゲルの重量と、膨潤ゲルを100℃で2時
間乾燥した乾燥ゲルの重量を測定することによって求め
た。 (4)粘着力 両面粘着テープの片面に厚さ25μmのポリエステルフィ
ルムに貼り付けて巾25mm、長さ300mmの粘着テープと
し、これを#280番の紙ヤスリで研磨されたスチール板
に、テープの一端から長さ100〜120mm部分を置き、その
上を2kgのローラーで一往復させて貼り付け、23℃、65
%RHの条件で、このテープの他端をインストロン引張試
験機で300mm/分の速度で180度角の反対方向に剥離し、
そのときの剥離抵抗を測定し、粘着力(g/mm巾)とし
た。 (5)保持力 両面粘着テープの片面に厚さ100μmのアルミニウム箔
を貼り付けて巾25mmの粘着テープとし、これを#280番
の紙ヤスリで研磨されたスチール板に、テープの一端部
を接着面積が巾25mm、長さ25mmとなるように置き、その
上を2kgのローラーで一往復させて貼り付け、このテー
プの他端に1kgの錘を固定し、これを100℃の雰囲気で吊
るし、テープとともに錘が落下するまでの時間を測定し
て、保持力(時間)とした。 尚、この保持力は、通常、40℃で測定されるが、この測
定では100℃の過酷な条件で測定を行い、測定時間を短
縮して測定した。又、最大150時間で測定を打ち切っ
た。 (実施例1) 2−エチルヘキシルアクリレート97重量%およびアクリ
ル酸3重量%からなるモノマー成分100重量部に、4・
4′−ビス(α−ヒドロキシ−イソブチリル)−ベンゾ
フェノン;メルク社試作品(なお、この化合物をこれよ
りP1と略記する)1.0重量部を添加し、攪拌機で攪拌し
て均一に混合した光重合性組成物を製造した。 得られた光重合性組成物に窒素ガスを吹き込み、溶存酸
素を除去してから、剥離剤で処理した透明ポリエステル
フィルム上に置いたナイロン不織布に含浸させ、その平
面を上記と同じフィルムでカバーし、これをアプリケー
ターの絞りロールに通して均一な厚みの積層体を作成し
た。 この積層体に超高圧水銀ランプから輻射される光強度25
mW/cm2(中心の波長365nm)の光を照射して、膜厚200μ
mの両面粘着テープを製造した。 この両面粘着テープの粘着剤は、99.7%のモノマーが重
合し、実質的に重合完結状態となった。このときに要し
た時間は1.5分であった。 得られたポリマーのゲル分率は22%、ゲルを除いたポリ
マーの膨潤度は45、重量平均分子量は33万であった。 (比較例1) 光重合開始剤として単官能のダロキュアー1173(α−ヒ
ドロキシ−α,α′−ジメチル−アセトフェノン;メル
ク社製)を用い、その量を0.4重量部とした以外は、実
施例1と同様な方法で両面粘着テープを作成したとこ
ろ、重合完結に要した時間は1.5分となり、実施例と同
様であったが、得られたポリマーの重量平均分子量は18
万しかなく、凝集力(保持力)の小さなものであった。 (比較例2) ダロキュアー1173の配合量を0.8重量部とした以外は、
比較例1と同様な方法で両面粘着テープを作成した。 重合完結に要した時間は0.7分となり、実施例より速く
なったが、得られたポリマーの重量平均分子量は14万と
小さく、凝集力(保持力)のないものであった。 (実施例2〜5) 2−エチルヘキシルアクリレート87重量部およびアクリ
ル酸3重量部からなるモノマー成分100重量部に、光重
合開始剤(P1)1.0重量部を添加し、更に、光架橋剤と
してヘキサンジオールジアクリレートをそれぞれ0(添
加せず)、0.05、0.10、0.20重量部加え、均一に攪拌し
て液状シロップ状の光重合性組成物を作成した。 この光重合性組成物を用いて、実施例1と同様の方法に
より、両面粘着テープを作成した。 このときのランプの光強度は25mW/cm2で照射時間は1.5
分であった。 その結果を第1表に示す。 第1表から明らかなように、本発明によれば、高速反応
においても保持力の優れたポリマーが得られ、又、光架
橋剤を配合することにより、更に優れた粘着物性を発現
することができる。 (比較例3〜6) 光重合開始剤として、ダロキュアー1173を0.4重量部添
加し、又、光架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレ
ートをそれぞれ0(添加せず)、0.10、0.20、0.40重量
部を添加し、光強度を25mW/cm2で、照射時間を1.5分と
した以外、実施例2〜5と同様な方法で両面粘着テープ
を作成した。 このようにして作成した両面粘着テープの物性を評価
し、その結果を第1表に示す。 比較例3〜6の場合、主鎖高分子の分子量が小さいた
め、非架橋状態では粘着力は高いものの保持力が小さ
く、逆に、架橋状態では、粘着力が低く、しかも、界面
破壊が起こりやすいため、保持力も低くなった。
【発明の効果】
本発明光重合性組成物は、アクリレート系モノマーを主
成分とするビニル系モノマーからなるから、これを光重
合すると、耐光性、耐候性、耐油性、等に優れた粘弾性
製品であり、又、これを粘着テープとした粘弾性製品は
粘着力、凝集力等の粘着性能、耐熱性、耐候性に優れた
製品となり極めて有用である。 又、本発明光重合性組成物は、1分子中に光による開裂
点が2ケ所以上ある光重合開始剤を含有するから、この
組成物に光を照射すると、高速の反応条件でも、高い分
子量の重合体がし生成するため、生産性のよい、しか
も、粘着保持力の優れ、且つ、応力分散性、追従性、可
撓性等の優れた粘弾性製品を製造することができ、極め
て有用である。 又、本発明を、例えば、粘着テープの生産に応用する
と、従来法のような溶剤や乾燥エネルギー、溶剤回収装
置を必要としないため、省資源、省エネルギーの簡略プ
ロセスによって、低コストでの生産が可能となる。 又、本発明光重合性組生物は、乳化剤を使用しないか
ら、耐水性のよい粘弾性製品を製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系モノマーを主成分とするビニル
    系モノマーと光重合開始剤とからなる光重合性組成物に
    おいて、光重合開始剤として下記構造式〔1〕もしくは
    〔1′〕で表される光重合開始剤を使用することを特徴
    とする光重合性組成物。 構造式〔1〕、〔1′〕中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は直鎖
    状または分岐状のアルキル基であり、R1とR2、R3とR4
    の両組、またはそのいずれか1組が相互に結合して環を
    形成してもよい。 Zは置換または未置換の芳香族基もしくは構造式〔2〕
    で示されるものである。又、Yは直鎖状または分岐状ア
    ルキレン基である。 −Ar1−T−Ar2− 〔2〕 構造式〔2〕中、Ar1、Ar2は、置換または未置換の芳香
    族基であり、Tは、直鎖状または分岐状のアルキレン
    基、カルボニル基、酸素原子もしくは硫黄原子である。
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