JP2697969B2 - 後架橋型光重合性組成物を用いた粘着テープもしくはシートの製造方法 - Google Patents

後架橋型光重合性組成物を用いた粘着テープもしくはシートの製造方法

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JP2697969B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1分子中に光による開
裂点を2か所以上有する特定の光重合開始剤を含有する
アクリレート系の後架橋型光重合性組成物を用いた粘着
テープもしくはシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐光性、耐候性、耐油性などに優れてい
るアクリル系ポリマーからなる粘弾性製品として、例え
ば、アクリル系粘着剤、アクリル系粘着テープ、アクリ
ル系粘着シート、両面粘着テープ、発泡体類の粘着加工
製品などが広く知られている。アクリル系の粘着テープ
もしくはシートは、粘着力、凝集力などの粘着性能、お
よび耐熱性、耐候性などの耐老化性能に優れているた
め、広く使用されている。
【0003】一般にアクリル系の粘着テープもしくはシ
ートの製造において、粘着力と凝集力を制御することが
重要とされている。これは、線状高分子を別の高分子と
架橋することを制御することによって、行われている。
【0004】架橋は、一般に、架橋剤を添加することに
よって行なわれる。アクリル系粘着テープを製造する際
には、つぎのようにして、架橋剤が用いられている。
【0005】溶剤系の場合には、ところどころに反応性
官能基(例えばカルボン酸)を含んだ未架橋の高分子の
溶液に、適当量の架橋剤(多官能基:例えば、ジイソシ
アネート)を混合し、この混合物を直ちにテープ基材に
含浸させ、加熱乾燥させ、架橋した粘弾性体からなる粘
着テープを得る。また、無溶剤系では、米国特許第4,
181,752号明細書にあるように、単官能アクリル
モノマーと適当量の多官能モノマー(重合性架橋剤)に
光重合開始剤を含有させた溶剤不含の光重合性液状組成
物をテープ基材に含浸させるなどし、これに紫外線を照
射して、一挙に、架橋した粘弾性体からなるアクリル系
粘着テープを製している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
いずれの方法でも、架橋剤が必要であり、また、一旦架
橋により製品化した後は、架橋度の制御が難しく、架橋
度が足りず所要の保持力が得られなかったりした場合
に、さらに架橋剤を加え架橋度を上げることは不可能で
あった。
【0007】したがって、本発明の目的は、光重合開始
剤を用いた実質的に溶剤不含の光重合組成物から粘着テ
ープもしくはシートを製造する方法において、光重合に
よる製品化の後でもこれにさらに光照射することによ
り、架橋度を任意に制御できる新規な後架橋型光重合性
組成物を用いた粘着テープもしくはシートの製造方法を
提供することにある。
【0008】本発明者は、前記従来技術の有する問題点
を解決するために鋭意研究した結果、アクリレート系モ
ノマーを主成分とするモノマー成分に、1分子中に光に
よる開裂点を2ケ所以上有する光重合開始剤を含有せし
めた特定の後架橋型光重合性組成物を用いると、光重合
により粘着テープもしくはシートを製造した後でもこれ
にさらに光照射することにより、架橋度を任意に制御で
きることを見い出し、その知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、 (a) アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸ア
ルキルエステルからなる群から選択される少なくとも1
種のアクリレート系モノマーを60〜100重量%、お
よびアクリレート系モノマーと共重合可能なビニル系モ
ノマーを0〜40重量%含むモノマー成分100重量部
と、 (b) 一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、〔 〕は1つの結合単位を示し、
nは2〜11の整数である。P1 は光により開裂する分
部を有する置換基であり、R1 はP1 を結合しかつ隣の
結合単位中のR1 と結合し得る原子団からなる3価の連
結基を意味する)で表される化合物の中から選択される
少なくとも1種の光重合開始剤0.001〜5重量部と
を含む後架橋型光重合性組成物を、剥離紙の上に塗布す
るか或いは基材に塗布または含浸し、これに光を照射し
て前記モノマー成分を重合させた後、さらに光を照射し
て架橋を行うことを特徴とする後架橋型光重合性組成物
を用いた粘着テープもしくはシートの製造方法が提供せ
られる。
【0012】ここで、本発明に用いる後架橋型光重合性
組成物において、「後架橋型」とは後架橋型光重合性組
成物に光を照射してモノマー成分を重合させた後、さら
に光を照射して架橋を行うことができる性質を有してい
ることを意味する。
【0013】以下、本発明の構成要素について詳述す
る。
【0014】(モノマー成分) 本発明で使用するモノマー成分は、アルキル基の炭素数
が1〜12であるアクリル酸アルキルエステルおよびメ
タクリル酸アルキルエステルからなる群から選択される
少なくとも1種のアクリレート系モノマー60〜100
重量%、およびアクリレート系モノマーと共重合可能な
ビニル系モノマー0〜40重量%を含むものである。
【0015】アクリレート系モノマー アクリレート系モノマーとしては、アルキル基の炭素数
が1〜14、好ましくは4〜12のアクリル酸アルキル
エステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが用いら
る。これらアクリレート系モノマーの具体例としては、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、
(メタ)アクリル酸イソノニルなどを挙げることができ
る。
【0016】これらモノマーは、それぞれ単独でまたは
2種以上を組み合わせて用いられる。粘着性と凝集性の
バランスなどから、通常、ホモポリマーのガラス転移温
度が−50℃以下のアクリル酸アルキルエステルを主成
分とし、コモノマーとして低級アルキル基の(メタ)ア
クリル酸エステルや下記のビニル系モノマーを用いるこ
とが好ましい。
【0017】ビニル系モノマー アクリレート系モノマーと共重合可能な他のビニル系モ
ノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、N−置換アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリ
レート、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、イタコン
酸、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチル
メタクリレートなどを例示することができる。
【0018】また、ガラス転移温度の低い重合体を形成
するビニル系モノマー、例えば、テトラヒドロフルフリ
ルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレー
ト、ポリプロピレングリコールアクリレート、ふっ素ア
クリレート、シリコンアクリレートなどのビニル系モノ
マーも用いることができる。
【0019】これらのビニル系モノマーは、単独でまた
は2種以上を組み合わせて使用できるが、全モノマー成
分中における使用割合が40重量%を超えると、アクリ
ル系粘着テープもしくはシートとしての粘着特性などが
低下するので、好ましくない。
【0020】(光重合開始剤) 一般式(1)の光重合開始剤 本発明の光重合開始剤を示す一般式(1)の定義に関し
て説明する。
【0021】P1 は光により開裂する部分を有する置換
基である。光により開裂する部分とは、つぎに挙げるよ
うな開始剤の基本構造(基本骨格)を備えたものであ
る。すなわち、P1 で示される置換基の構造は、つぎに
挙げる開始剤の基本構造を含む。4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)
ケトン[ダロキュアー2959:メルク社製]、α−ヒ
ドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン[ダロキ
ュアー1173:メルク社製]などのアセトフェノン系
開始剤、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプ
ロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤;ベ
ンジルジメチルケタールなどのケタール系開始剤;その
他、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィンオキシド、ア
シルホスフォナート。
【0022】R1 はP1 を結合しかつ隣の結合単位中の
1 と結合し得る原子団からなる3価の連結基であり、
例えば、直鎖状または分枝状の、置換または非置換の、
脂肪族系または芳香族系の3価連結基などである。上記
脂肪族系の3価連結基の例としては、 −CH−、−CHCH2 −、−C(CH3 )CH2 − | | | などの式で表わされる基がある。上記芳香族系の3価連結基の例としては、 −Ph−、−Ph(CH3 )−、−Ph(CH3 3 −、 | | | −Ph(OCH3 )− | などがある。
【0023】本発明の光重合開始剤としては、特に好適
なものは、下記の化学式(2)及び(3)で表わされる
化合物である。但し、本発明の開始剤はこれらに限定さ
れるものではない。
【0024】
【化4】
【0025】(式中、〔 〕は1つの結合単位を示し、
nは2〜11の整数である) 化学名:ポリ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4
−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン] 別名:ポリ[4−(α−ヒドロキシイソブチリル)−α
−メチルスチレン]以下、P1と略記する) 商品名:ESACURE KIP(fratelli lamberti
社製)
【0026】
【化5】
【0027】(式中、〔 〕は1つの結合単位を示し、
nは2〜11の整数である) 化学名:ポリ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4
−(2−アクリロイロキシエトキシ)フェニル}プロパ
ノン] ZLI−3331(メルク社製)の熱重合物(加藤清視
著「紫外線硬化システム」(1990)120頁の方法によ
)。
【0028】(使用可能な単官能光重合開始剤) 一般式(1)で表される光重合開始剤は、単独で使用し
てもよいが、これに一般に用いられている単官能光重合
開始剤を全開始剤量の約20重量%以下の範囲内で併用
することもできる。但し、単官能開始剤の種類によって
は、加える量を多くし過ぎると、光による後架橋効果が
減じることがあるので、過剰の使用は好ましいことでは
ない。
【0029】単官能光重合開始剤の例としては、例え
ば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒ
ドロキシ−2−プロピル)ケトン[ダロキュアー295
9:メルク社製]、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチ
ルアセトフェノン[ダロキュアー1173:メルク社
製]などのアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエチル
エーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベン
ゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケタノール
などのケタノール系開始剤;その他、ハロゲン化ケト
ン、アシルホスフインオキシド、アシルホスフォナート
などを挙げることができる。
【0030】本発明の光重合組成物においては、一般式
(1)で表される光重合開始剤を主成分とする光重合開
始剤は、前記モノマー成分100重量部に対して0.0
01〜5重量部の割合で含有させる。
【0031】この配合割合が0.001重量部未満であ
ると、光重合開始剤が光エネルギーにより重合初期に消
費されるために、未反応モノマーが残存しやすく、モノ
マーの臭いが残るだけでなく、凝集力が低下する。逆
に、配合割合が5重量部を超えると、重合反応速度は早
くなるが、光重合開始剤の分解臭が激しくなり、また、
分子量のばらつきが大きくなり、粘着性能も低下する。
【0032】光重合による重合体の重量平均分子量は、
粘着特性からみて、約30万〜100万に調節するのが
好ましく、約50万〜100万に調節するのがさらに好
ましい。したがって、目標とする重合体の分子量に応じ
て、光重合開始剤の配合割合は、上記範囲内で適宜調節
される。
【0033】(架橋剤) 粘着テープもしくはシートに耐熱性や高温での凝集力な
どを付与するために架橋が行なわれる。架橋を行なうに
は、従来は架橋剤が必要であったが、本発明に用いる後
架橋型光重合性組成物においては、光による後架橋がで
きるために、架橋剤は必須な成分ではない。しかし、重
合初期にある程度の架橋を予め行なうために本発明に用
いる後架橋型光重合性組成物に上記光重合開始剤と共に
架橋剤を含有させることも可能である。
【0034】このような架橋剤としては、例えば、ヘキ
サンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート、その他エポキシアクリレート、
ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなど
がある。
【0035】かかる架橋剤は、一般に、前記モノマー成
分100重量部に対して0.001〜5重量部の範囲で
含有される。架橋剤の使用により、光重合反応の過程で
重合体分子間に架橋結合が生じ、粘着テープもしくはシ
ートの耐熱性が向上する。また、粘着テープもしくはシ
ートの高温での凝集力が増加し、高温での保持力が向上
する。
【0036】(その他の添加剤) 本発明に用いる後架橋型光重合性組成物には、増粘剤や
チキソトロープ剤、増量剤や充填剤などの通常用いられ
る添加剤を配合してもよい。
【0037】増粘剤としては、アクリルゴム、エピクロ
ルヒドリンゴムなどが用いられる。チキソトロープ剤と
しては、コロイドシリカ、ポリビニルピロリドンなどが
用いられる。
【0038】増量剤としては、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、クレーなどが用いられる。
【0039】充填剤としては、ガラスバルン、アルミナ
バルン、セラミックバルンなどの無機中空体;ナイロン
ビーズ、アクリルビーズ、シリコンビーズなどの有機球
状体;塩化ビニリデンバルン、アクリルバルンなどの有
機中空体;ポリエステル、レーヨン、ナイロンなどの単
繊維などが用いられる。
【0040】(粘着テープもしくはシートの製造方法) 後架橋型光重合性組成物を用いて粘着テープもしくはシ
ートを製造するには、通常、この組成物中に溶存する酸
素を除去するために、組成物を窒素ガスなどの不活性ガ
スでパージするか、あるいは、組成物にフェニルジイソ
デシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、オ
クタン酸第一錫などの酸素除去効果のある化合物を添加
する。酸素除去効果のある化合物の添加により、雰囲気
中に酸素がある程度存在していても十分な重合(硬化)
を実現できる。
【0041】そして、この後架橋型光重合性組成物を剥
離紙の上に塗布するか、あるいはプラスチックフィル
ム、紙、セロハン、布、不織布、金属箔などの基材に塗
布または含浸する。前者の場合には、基材の無い粘着テ
ープが得られる。架橋型光重合性組成物を剥離紙や基材
などに塗布または含浸する際に、作業が円滑に行なわれ
るように、増粘剤やチキソトロープ剤の添加により組成
物を増粘することが好ましい。増粘方法としては、この
他に、例えば、紫外線を少量照射して、予めモノマー成
分の一部を重合させる方法もある。
【0042】これらの塗布または含浸作業においては、
後架橋型光重合性組成物が空気(酸素)と接触しないよ
うに工夫された装置が用いられる。
【0043】後架橋型光重合性組成物は、剥離紙や基材
などに塗布または含浸された後、不活性ガスで置換され
たボックス内を通され、石英ガラスやパイレックスガラ
ス、ホウ酸ガラスごしに紫外線や可塑光線などの光の照
射が行なわれる。また、不活性ガス雰囲気中でなくて
も、剥離紙や基材などに塗布または含浸された後架橋型
光重合性組成物の表面を離型性を有するポリエテスルフ
ィルムでカバーすることにより、空気(酸素)との接触
を防止して、光の照射を行なってもよい。この場合は、
酸素除去能のある化合物を添加しておくことが好まし
い。
【0044】光としては、通常、紫外線が用いられる。
紫外線ランプとしては、通常、波長300〜400nm領
域にスペクトル分布を持つものが用いられ、具体例とし
ては、ケミカルランプ、ブラックライトランプ(東芝電
材の商品名)、低圧、高圧、超高圧水銀ランプ、メタル
ハライドランプ、マイクロウェーブ励起水銀ランプなど
がある。これらのうち、前二つのランプは比較的低い光
強度を得るために用いられ、後五つのランプは比較的高
い光強度を得るのに用いられる。
【0045】光強度は、被照射体までの距離や電圧の調
整によって、一般に、5〜300mW/cm2 程度とし、照
射時間は0.3〜5分程度とするのが好ましい。
【0046】紫外線などの光の照射により、アクリレー
ト系モノマーを主成分とするモノマー成分の重合が行な
われ、粘着テープもしくはシートが得られる。前記程度
の照射時間(重合反応時間)で光照射を行なうことによ
り、残存モノマー約0.3重量%以下で、粘着テープも
しくはシートの性能に悪影響を及ぼさない程度まで、重
合反応を実質的に完結させることができる。
【0047】なお、光の照射は、一定の光強度で行なっ
てもよいが、照射を二段階以上に別けて各段階での光強
度を変えて行なってもよい。後者の場合、粘着テープも
しくはシートの物性をさらに精密に調整することができ
る。
【0048】(粘着テープもしくはシートの後架橋によ
る物性向上方法) 上記光重合反応で得られた粘着テープもしくはシート
は、そのままでは粘着テープとして必要な物性を備えて
はいるが、保持力が十分であるとは言いがたい。一方、
この粘着テープもしくはシートは後架橋性を有してい
る。したがって、この後架橋性の粘着テープもしくはシ
ートにさらに光を照射して後架橋を行なうことにより、
粘着テープとして必要な物性を備えた粘着テープもしく
はシートが得られる。
【0049】光照射用の光源としては、比較的高い光強
度が得られるものが好ましく、低圧、高圧、超高圧水銀
ランプ、メタルハライドランプ、マイクロウエーブ励起
水銀ランプなどが用いられる。光強度は、被照射体まで
の距離や電圧の調整によって、一般に、重合用の前段光
照射の場合よりも高くし(具体的には25〜300mW/
cm2 程度)、照射時間は3〜90分程度とする。光強度
を高くすると迅速な架橋を行なうことができるが、余り
高くし過ぎると、架橋度の制御が難しくなることもある
ので、注意を要する。
【0050】
【作用】本発明において、アクリレート系モノマーを主
成分とするモノマー成分に、前述の一般式または化学式
で表される光重合開始剤、すなわち1分子中に光による
開裂点を2ケ所以上有する光重合開始剤を含有せしめた
後架橋型光重合性組成物を用いると、光重合により粘着
テープもしくはシートを製造した後でもこれにさらに光
照射することにより、架橋度を任意に制御できる。
【0051】このように本発明で用いる後架橋型光重合
性組成物が光重合により高分子体(粘着剤)になった後
でもこれにさらに光照射することにより、架橋度を任意
に制御できる機構は、必ずしも明らかではないが、つぎ
のように推測される。
【0052】モノマー中の開裂点を2ケ所以上有する光
重合開始剤に光が当たると、その内の1カ所で、まず開
裂が起こり、そこで発生した開始剤ラジカルを起点とし
てポリマーが生長する。アクリル系では、ポリマーラジ
カルどうしの再結合による停止反応が多く起こるため、
結果として、両末端に開始剤切片を持ったポリマーが生
成する。このような開始剤切片は、まだ開裂することが
可能なラジカル発生点(開裂点)を持っている。
【0053】しかし、そのようなポリマーに取り込まれ
た開始剤は、取り込まれていない開始剤に比べ、モビリ
ティ(易動性)が小さいため、モノマーが少なくなるま
で、反応性に乏しいと考えられる。すなわち、モノマー
が少なくなり粘弾性製品が生成するまでは、そのような
開裂点を2ケ所以上有する光重合開始剤は、単に通常の
単官能開始剤としての挙動を示す。
【0054】ところが、モノマーがなくなると、ポリマ
ーは両末端に開裂可能な開始剤切片を持っているため、
さらにこれに光を照射し続けると、そこで開裂が起こ
り、ラジカルが発生する。そして、このようなポリマー
末端での開始剤ラジカルどうしが結合すると、開裂点を
2ケ所有する光重合開始剤を用いた場合は、生成するポ
リマーどうしの絡み合いによる架橋が起こり、また開裂
点を3ケ所以上有する光重合開始剤を用いた場合は、格
子状架橋が起こる。
【0055】このようにして、本発明で用いる後架橋型
光重合性組成物が光重合により高分子体(粘着剤)にな
った後でもこれにさらに光照射することにより、架橋を
起こすことができると考えられる。
【0056】
【実施例】以下、本発明について、実施例および比較例
を挙げて具体的に説明する。但し、本発明は、これらの
実施例のみに限定されるものではない。
【0057】(実施例1) (a) 2−エチルヘキシルアクリレート95重量%および
アクリル酸5重量%からなるモノマー成分100重量部
に、化学式(2)で表される光重合開始剤のうちP1
(但し多量化度nが平均で6である混合物)1.23重
量部を添加し、撹拌して均一に混合して、後架橋型光重
合性組成物を製造した。
【0058】得られた後架橋型光重合性組成物を窒素ガ
スでパージして溶存酸素を除去してから、シリコン処理
した透明ポリエステルフィルムからなる剥離紙上のナイ
ロン不織布に含浸させ、不織布の表面を上記と同じ剥離
紙でカバーし、得られたサンドイッチ体をアプリケータ
ーの絞りロールに通して厚みを均一にした。ついで、こ
れに超高圧水銀ランプを用いて、光強度10mW/cm
2 (波長365nm中心)で5分光照射した。
【0059】このようにして、膜厚160μmの両面粘
着テープ(半製品)を製造した。
【0060】このテープに、さらに光強度50mW/cm2
で10分(b) 、30分(c) 、90分(d) それぞれ光を照
射し、後架橋を行なって、両面粘着テープ(最終製品)
を製造した。
【0061】(実施例2) 実施例1で用いた後架橋型光重合性組成物にさらにヘキ
サンジオールジアクリレート0.05重合部を加えた。
この組成物に実施例1の(a) と同様の条件で同様の操作
を施して、両面粘着テープ(半製品)を製造した。
【0062】このテープに、さらに実施例1の(b) と同
じ条件で光を照射し、後架橋を行なって、両面粘着テー
プ(最終製品)を製造した。
【0063】(比較例1) 光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュアー
1173:メルク社製)を用い、その配合量を0.98
重量部とし、光強度を6.7mW/cm2 とした以外は、実
施例1の(a) と同様な方法で両面粘着テープを作成し
た。
【0064】(比較例2) 比較例1で作成したテープに、さらに光強度50mW/cm
2 で、90分光照射した。
【0065】(比較例3) 光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1
−フエニルプロパン−1−オン(商品名:ダロキュアー
1173:メルク社製)を用い、その配合量を0.98
重量部とし、さらに、組成物に光架橋剤ヘキサンジオー
ルジアクリレートを0.05部を加え、光強度を6.7
mW/cm2 とした以外は、実施例1の(a)と同様な方法で
両面粘着テープを作成した。
【0066】(比較例4) 比較例3で作成したテープに、さらに光強度50mW/cm
2 で、90分光照射した。
【0067】<物性の測定> 粘着テープの物性測定 実施例および比較例で得られた両面粘着テープについ
て、つぎの測定方法により、粘着剤の重量平均分子量
(光架橋剤を添加しない場合についてのみ測定)、残存
モノマー量、ゲル分率・膨潤度、粘着力および保持力を
測定した。
【0068】(1) 重量平均分子量 製品をテトラヒドロフランに溶解し、24時間放置後不
溶物を除くことによって得た溶液を試料溶液とし、ゲル
透過クロマトグラフイー(GPC)により、標準ポリス
チレンを基準として、屈折率検出計を用いて測定した。
【0069】(2) ゲル分率・膨潤度 粘着剤試料100mgをテトラヒドロフランに溶解し、液
を24時間放置後200メッシュのステンレスフィルタ
ーで濾過し、濾取した膨潤ゲルの重量と、膨潤ゲルを1
00℃で2時間乾燥した乾燥ゲルの重量を測定すること
によって求めた。
【0070】(3) 保持力 両面粘着テープの片面に厚さ100μmのアルミニウム
箔を貼り付けて幅25mmの粘着テープとし、#280番
の紙ヤスリで研磨されたスチール板に、テープの一端部
を、接着面積が幅25mm、長さ25mmとなるように、2
kgのローラーを一往復させて貼り付け、このテープの他
端に1kgの重りを固定し、これを80℃の雰囲気で吊
し、テープと共に重りが落下するまでの時間を測定し
て、保持力(時間)とした。
【0071】なお、その保持力は、通常、40℃で測定
されるが、80℃の過酷な条件で測定を行ない測定時間
を短縮し、また最大150時間で測定を打ち切った。
【0072】各実施例および比較例について、光重合製
組成物の組成、光照射条件、測定した物性値を表1にま
とめて示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1から明らかなように、実施例1および
2では初めの光照射で得られた両面粘着剤テープ(半製
品)にさらに光を照射すると、照射につれて架橋が進行
し、保持力が向上することが認められた。
【0075】これに対し、実施例1の(a) のものとほぼ
同等の物性を有する比較例1の両面粘着剤テープに、比
較例2でさらに光を照射しても、架橋は進行せず、保持
力の向上は認められなかった。
【0076】また、実施例2の(a) のものとほぼ同等の
物性を有する比較例3の両面粘着剤テープに、比較例4
でさらに光を照射しても、架橋は進行せず、保持力の向
上は認められなかった。
【0077】
【発明の効果】本発明に用いる後架橋型光重合製組成物
には、アクリレート系モノマーを主成分とするモノマー
成分に、前述の一般式または化学式で表される光重合開
始剤、すなわち1分子中に光による開裂点を2ケ所以上
有する光重合開始剤が含有されているので、同組成物
を、剥離紙の上に塗布するか或いは基材に塗布または含
浸し、これに光を照射して光重合により粘着テープもし
くはシートとした後でも、これにさらに光照射すること
により、架橋度を任意に制御できる。
【0078】したがって、本発明の後架橋型光重合製組
成物を用いた粘着テープもしくはシートの製造方法によ
れば、本書冒頭で述べた従来技術の問題点、すなわち、
架橋剤が必要であり、また、一旦架橋により製品化した
後は架橋度の制御が難しく、架橋度が足りず所要の保持
力が得られなかったりした後、さらに架橋剤を加え、架
橋度を上げることが事実上不可能であったという点を、
本発明により、巧みに解消することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) アクリル酸アルキルエステルおよび
    メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選択され
    る少なくとも1種のアクリレート系モノマーを60〜1
    00重量%、およびアクリレート系モノマーと共重合可
    能なビニル系モノマーを0〜40重量%含むモノマー成
    分100重量部と、 (b) 一般式(1) 【化1】 (式中、〔 〕は1つの結合単位を示し、nは2〜11
    の整数である。P1 は光により開裂する部分を有する置
    換基であり、R1 はP1 を結合しかつ隣の結合単位中の
    1 と結合し得る原子団からなる3価の連結基を意味す
    る)で表される化合物の中から選択される少なくとも1
    種の光重合開始剤0.001〜5重量部とを含む後架橋
    型光重合性組成物を、剥離紙の上に塗布するか或いは基
    材に塗布または含浸し、これに光を照射して前記モノマ
    ー成分を重合させた後、さらに光を照射して架橋を行う
    ことを特徴とする後架橋型光重合性組成物を用いた粘着
    テープもしくはシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 (a) アルキル基の炭素数が1〜12であ
    るアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アル
    キルエステルからなる群から選択される少なくとも1種
    のアクリレート系モノマーを60〜100重量%、およ
    びアクリレート系モノマーと共重合可能なビニル系モノ
    マーを0〜40重量%含むモノマー成分100重量部
    と、 (b) 化学式(2) 【化2】 (式中、〔 〕は1つの結合単位を示し、nは2〜11
    の整数である)で表される化合物の中から選択される少
    なくとも1種の光重合開始剤0.001〜5重量部とを
    含む後架橋型光重合性組成物を、剥離紙の上に塗布する
    か或いは基材に塗布または含浸し、これに光を照射して
    前記モノマー成分を重合させた後、さらに光を照射して
    架橋を行うことを特徴とする後架橋型光重合性組成物を
    用いた粘着テープもしくはシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 後架橋型光重合性組成物に架橋剤が0.
    001〜5重量部含有されていることを特徴とする請求
    項1または2記載の後架橋型光重合性組成物を用いた粘
    着テープもしくはシートの製造方法。
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