JPH0595782A - 微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法 - Google Patents
微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法Info
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Abstract
可能な菌と、複合培地を使用することにより、この菌体
を高濃度化し、5−アミノレブリン酸を高収率で製造す
る方法とを提案する。 【構成】本発明菌は、ロドバクター セファロイデス等
の光合成細菌を変異処理して得られる5−アミノレブリ
ン酸生産菌であって、複合培地で5−アミノレブリン酸
を生産することができる。本発明菌を使用し、複合培地
で培養することにより、5−アミノレブリン酸を高収率
で製造する。光合成細菌は、複合培地中では、高増殖性
を示すものの、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ阻
害物質の添加の有無に拘らず、5−アミノレブリン酸を
殆ど生成しない場合が多いが、本発明菌によれば、複合
培地中で高増殖性を示すと共に、5−アミノレブリン酸
を高収率で製造することができる。
Description
を複合培地で生産することのできる菌と、該菌を複合培
地で培養して5−アミノレブリン酸を高収率で製造する
方法とに関する。
ミノレブリン酸は、テトラピロール化合物のプレカーサ
として生体系中の重要な役割を果たしている化合物であ
る。この5−アミノレブリン酸は、除草剤,殺虫剤とし
て優れた効果を示し、しかも人畜に対して毒性を示さ
ず、分解性が高いため環境への残留性もないという優れ
た性質を有する天然化合物である(特許出願公表61−
502814号,特開平2−138201号公報参
照)。しかし、この天然の5−アミノレブリン酸は、コ
ストが高く、除草剤や殺虫剤として使用するには実用性
に欠ける(Chemical Week/Octobe
r,29,1984)。このような現状において、多く
の化学合成法が検討されている(例えば、特開平2−1
11747号公報参照)が、未だ充分な方法が開発され
ていない。
アミノレブリン酸の製造方法も検討されている(特開平
2−92293号公報,特開平3−172191号公報
等参照)。5−アミノレブリン酸は、生体系中におい
て、グリシンとコハク酸により生合成され、5−アミノ
レブリン酸デヒドラターゼにより2分子が縮合されてポ
ルフォビリノーゲンとなり、逐次反応して各種のテトラ
ピロール化合物へと代謝されていくが、この5−アミノ
レブリン酸デヒドラターゼは一般に強い酵素であり、通
常生体系中に5−アミノレブリン酸が蓄積されることは
稀である。
めには、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性を
弱める必要がある。この方法として、一般には、レブリ
ン酸に代表される5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ
の活性阻害物質を添加する方法が知られている(上記の
特開平2−92293号や特開平3−172191号の
微生物を用いた5−アミノレブリン酸の製造方法でも、
5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性阻害物質と
してレブリン酸が使用されている)。
の天然成分を含んだ培地(複合培地)で培養を行うと、
最小培地で培養した場合に比べ、非常に高い増殖性を示
す。従って、光合成細菌等の微生物を用いた5−アミノ
レブリン酸の製造方法においても、その培養に複合培地
を使用することにより菌体濃度を数倍に上昇させること
ができる。しかしながら、光合成細菌は複合培地中では
高増殖性を示しながらも、5−アミノレブリン酸デヒド
ラターゼの活性阻害物質の添加、無添加にかかわらず、
5−アミノレブリン酸を殆ど生成しない場合が多い。
中でも5−アミノレブリン酸を生産することのできる5
−アミノレブリン酸生産菌を提案すること、及び複合培
地を使用することにより菌体を高濃度化し、5−アミノ
レブリン酸を高収率で製造する方法を提案することを目
的とする。
的を達成するために研究を重ねた結果、(1)光合成細
菌を変異させたものの中に、複合培地で5−アミノレブ
リン酸を生産する菌株が存在することを確認し、更に
(2)上記の菌株を使用すれば、複合培地での菌体の高
濃度化が計られ、5−アミノレブリン酸を高収率で製造
できることを確認して、本発明を開発するに至った。
生産菌は、光合成細菌を変異処理して得られることを特
徴とする。また、本発明の5−アミノレブリン酸生産菌
は、親株である光合成細菌として、例えば、ロドバクタ
ー セファロイデス(Rhodobacter sph
aeroides)を使用するものである。更に、本発
明の5−アミノレブリン酸生産菌は、複合培地で5−ア
ミノレブリン酸を生産できる菌株であり、その例とし
て、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第1
2542号(FERM P−12542)又は微工研菌
寄第12543号(FERM P−12543)として
寄託されたものが挙げられる。本菌株は、上記の性質を
持つ変異株の例である。
は、5−アミノレブリン酸生産菌を複合培地で培養し、
5−アミノレブリン酸を製造させることを特徴とする。
また、本発明の5−アミノレブリン酸の製造方法に使用
される5−アミノレブリン酸生産菌は、例えば上記した
本発明の5−アミノレブリン酸生産菌であることを特徴
とする。
菌及び5−アミノレブリン酸の製造方法の詳細を説明す
る。先ず、本発明の5−アミノレブリン酸生産菌は、例
えば、光合成細菌であるロドバクター セファロイデス
を親株とし、これを変異して得られるものであって、上
記のように複合培地中で5−アミノレブリン酸を生産す
ることができる。このような性質を有する本発明の5−
アミノレブリン酸生産菌の分離方法の詳細を以下に例示
する。
分注し、滅菌した後、親株を接種し、光照射下において
静置培養する。この培養液を緩衝液で洗浄した後、変異
操作を行う。この変異操作としては、通常の変異手法を
採用することができる。例えば、紫外線,電離放射線等
の物理的変異原を寒天培地上の親株に照射したり、エチ
ルメタンスルフォネート(EMS),N−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG),エチル
ニトロソ尿素(ENU)等のアルキル化剤やブロモデオ
キシウリジン(BrdUrd)等の塩基アナログ等の化
学的変異原を添加した緩衝液中で親株を培養したり、あ
るいはトランスポゾン変異法等の生物的変異原を用いる
方法がある。
を変異した後、更に緩衝液で洗浄し、寒天培地等に撒
き、培養する。なお、この培養により生育した変異株の
中から、複合培地においても5−アミノレブリン酸を生
産することのできる菌株を選択するには、これらの変異
株を後述するような複合培地で培養し、培養液中の5−
アミノレブリン酸を測定し、5−アミノレブリン酸が生
成されているか否かを確認することによって行われる。
には、変異前の親株の場合,変異後の変異菌の場合とも
同様のものでよく、グルタミン酸,リンゴ酸,酢酸,ピ
ルビン酸,乳酸,コハク酸,フマル酸,酒石酸,グルコ
ン酸,エタノール,グリセロール,グルコース,フルク
トース,マンニトール,ソルビトール,酵母エキス等の
炭素源の他に、一般的な培地成分、あるいは通常光合成
細菌の培養に用いられる成分が添加される。一般的な培
地成分としては、窒素源として、例えばアンモニア,塩
化アンモニウム,燐酸アンモニウム,硫酸アンモニウ
ム,炭酸アンモニウム,酢酸アンモニウム,硝酸アンモ
ニウム,硝酸ナトリウム,尿素等の無機窒素化合物や、
酵母エキス,乾燥酵母,ペプトン,肉エキス,コーンス
ティープリカー,カザミノ酸等の有機窒素源を用いるこ
とができる。また無機塩類として、例えばカリウム,ナ
トリウム,鉄,マグネシウム,マンガン,銅,カルシウ
ム,コバルト等の各塩類等を用いることができる。
約5〜10,温度約15〜45℃,培養時間約1〜10
日間で、菌体を成育させるには、親株、変異株とも約
0.5〜50Kluxの光照射嫌気条件下が好ましく、
また好気暗条件下であっても良い。
株の例であるCR−286及びCR−2S5は、親株と
ほぼ同様の菌学的性質を有し、かつ複合培養地中で5−
アミノレブリン酸を生産する。このCR−286及びC
R−2S5株は、工業技術院微生物工業技術研究所に寄
託されている〔微工研菌寄第12542号(FERM
P−12542)及び第12543号(FERM P−
12543)〕。
造方法の詳細を説明する。本発明方法では、上記したC
R−286又はCR−2S5株に代表される本発明の5
−アミノレブリン酸生産菌に限らず、他の作出方法によ
って得られるもの,他の菌を親株として得られるものを
使用することができる。これらの5−アミノレブリン酸
生産菌を、複合培地で培養することにより、5−アミノ
レブリン酸を高収率で製造することができる。
用いた5−アミノレブリン酸の製造方法を説明する。先
ず、培地としては、上記の分離・変異操作に用いる培地
に、酵母エキス,乾燥酵母,ペプトン,肉エキス,麦芽
エキス,コーンスティープリカー,カザミノ酸等の天然
成分を添加した複合培地を使用する。培養条件は、前述
の分離・変異操作の条件と同様である。ただし、この場
合、約0.5〜50Kluxの光照射嫌気条件が望まし
い。また、培養液のpHは5〜10の範囲内で、HCl
水溶液またはNaOH水溶液を用いて一定に保つことに
より、より高濃度の5−アミノレブリン酸を生成するこ
とができる。
レカーサであるグリシンとコハク酸を添加すると、より
高濃度の5−アミノレブリン酸を生成することができる
が、培養と同時にグリシンとコハク酸を添加すると、菌
株の増殖速度が遅くなるため、ある程度増殖した時点で
添加することが好ましい。添加量は、グリシンとコハク
酸のいずれの場合も、余り少な過ぎると添加効果がな
く、逆に余り多過ぎても菌体の生育が阻害されるため、
培地全体に対し、約10〜80mmol/l、特に約1
5〜45mmol/lの範囲内とすることが好ましい。
添加方法は、一度に全量添加してもよいが、連続的に又
は断続的に添加してもよい。
ヒドラターゼの活性阻害物質を添加することもできる。
例えば、この阻害物質としてレブリン酸を使用する場
合、レブリン酸の添加方法は、菌株の培養開始時(ある
いはグリシンとコハク酸の添加時)から一定の間隔で少
量(同量)づつ添加してもよいし、培養開始時(あるい
はグリシンとコハク酸の添加時)に全量添加しておいて
もよい。菌の生育が対数増殖期中期を過ぎた後、添加す
るとなおよい。
液中の5−アミノレブリン酸は、常法により精製するこ
とができる。例えば、溶剤抽出等の方法によって回収す
ることができ、このときカラムクロマトグラフィ等の公
知の精製方法を適宜併用することもできる。
培地中で、親株では生成しない5−アミノレブリン酸を
生成し、培養液中に5−アミノレブリン酸を多量に蓄積
する作用をなす。また、本発明の5−アミノレブリン酸
の製造方法では、上記のような作用をなす本発明の5−
アミノレブリン酸生産菌をはじめ、複合培地中で5−ア
ミノレブリン酸を生成することができる他の5−アミノ
レブリン酸生産菌を使用して、5−アミノレブリン酸を
製造する。このように、本発明の製造方法では、複合培
地を使用するため、従来より菌体を高濃度化する作用が
あり、この結果として5−アミノレブリン酸を高収率で
製造することができる。
・マレート培地(培地1)の培地成分を、水道水1リッ
トルに溶かして培地1を調製した。培地1のpHは6.
8であった。
して調製した複合培地(培地2)を、外径21mmの試
験管に10ml入れ、121℃で15分間滅菌し、光合
成細菌であるロドバクター・セファロイデス(Rhod
obacter sphaeroides)IFO12
203を1白金耳植え継ぎ、30℃,5Kluxの光照
射下で3日間静置培養した。別の試験管に培地2を10
ml分注し、滅菌した。この培地2に上記の培養液1を
3白金耳植え継ぎ、30℃,250rpmで8時間往復
振盪培養した。この培養液2を、洗浄のため、15,0
00rpmにて30秒間遠心分離し、その上清を捨て、
遠心分離前の培養液2と同量になるようにトリス・マレ
イン酸バッファ(pH6.0)に懸濁させた。この洗浄
操作を更に2度繰り返した。
秒間遠心分離し、その上清を捨て、化学的変異原である
N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
(NTG)を100μg/mlの濃度になるように添加
し、30℃で80分間静置インキュベートした。
様の方法で3回洗浄した後、別の試験管に分注し、滅菌
した培地2に植え継ぎ、30℃,250rpmで2日間
往復振盪培養した。培地2に寒天17g/lを添加して
調製した培地を121℃で15分間滅菌し、同じく滅菌
したシャーレに撒いて、寒天平板培地を調製した。この
シャーレに、上記の培養液(菌1の培養液)3を滅菌水
で1,000倍に希釈して塗布し、30℃で4日間培養
した。上記のようにして得られたコロニー約14,00
0個を、それぞれ培地2に植菌し、30℃,5Klux
で1.5日間静置培養した。
0mmol/l、レブリン酸を15mmol/lになる
ように添加し、培養を更に2日間続けた。その後、培養
液の上清から5−アミノレブリン酸を定量した。これら
約14,000個の変異菌株の中に、培地2中で5−ア
ミノレブリン酸を生成する菌株が数株存在していた。こ
の5−アミノレブリン酸を生成する菌株のうち生成量の
多い2株を、それぞれロドバクター セファロイデス
CR−286及びCR−2S5と命名した。
第12542号)及びCR−2S5(微工研菌寄125
43号)を、それぞれ各3本づつ試験管に入れた複合培
地(実施例1の培地2を使用)(培地量10ml)に接
種し、30℃,5Kluxの光照射下で1.5日間静置
培養した。次いで、グリシンとコハク酸をそれぞれ30
mmol/l、レブリン酸を0,10,30mmol/
lになるように添加し、培養を続けた。その後、培養液
中に生成される5−アミノレブリン酸の量の経時変化を
測定した。この結果を、表2に示す。
びCR−2S5は、複合培地中で多量の5−アミノレブ
リン酸を生成していることが判る。また、5−アミノレ
ブリン酸の生成量は、一定の時間が経過すると、減少し
てしまう。これは、培養液中に添加したレブリン酸が代
謝等により減少してしまうことにより、5−アミノレブ
リン酸デヒドラターゼへの阻害効果が弱まり、5−アミ
ノレブリン酸が代謝されるためと解される。従って、5
−アミノレブリン酸を高効率で製造するには、所定の時
間経過後(すなわち、5−アミノレブリン酸の生成量が
ピークとなった時点で)、培養を停止すればよい。
ノレブリン酸生産菌は、光合成細菌を親株として容易な
操作で作出することができる。また、本発明の5−アミ
ノレブリン酸生産菌によれば、複合培地中において、親
株では殆ど生成しない5−アミノレブリン酸を生成し、
培養液中に5−アミノレブリン酸を多量に蓄積すること
ができる。
製造方法によれば、上記した本発明の5−アミノレブリ
ン酸生産菌のような、複合培地中で5−アミノレブリン
酸の生成が可能な5−アミノレブリン酸生産菌を使用し
て、5−アミノレブリン酸を高収率で製造することがで
きる。
複合培地で培養すると、最小培地で培養した場合に比べ
非常に高い増殖率を示す。従って、本発明の5−アミノ
レブリン酸の製造方法によれば、製造中の菌体濃度を数
倍に上昇させることができ、製造効率が大幅に向上し、
5−アミノレブリン酸の製造コストを低減することがで
きる。
Claims (5)
- 【請求項1】 光合成細菌に属し、変異処理により複合
培地での5−アミノレブリン酸の生産を可能とした5−
アミノレブリン酸生産菌。 - 【請求項2】 工業技術院微生物工業技術研究所に微工
研菌寄第12542号(FERM P−12542)と
して寄託されたことを特徴とする請求項1記載の5−ア
ミノレブリン酸生産菌。 - 【請求項3】 工業技術院微生物工業技術研究所に微工
研菌寄第12543号(FERM P−12543)と
して寄託されたことを特徴とする請求項1記載の5−ア
ミノレブリン酸生産菌。 - 【請求項4】 5−アミノレブリン酸生産菌を複合培地
で培養することを特徴とする5−アミノレブリン酸の製
造方法。 - 【請求項5】 5−アミノレブリン酸生産菌が請求項
1,2,3記載の5−アミノレブリン酸生産菌であるこ
とを特徴とする請求項4記載の5−アミノレブリン酸の
製造方法。
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1991
- 1991-10-08 JP JP28930391A patent/JP2970966B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US6342377B1 (en) | 1997-05-27 | 2002-01-29 | Cosmo Research Intitute | Microorganisms producing 5-aminolevulinic acid and processes for producing 5-aminolevulinic acid by using the same |
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