JPH06169758A - 微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法 - Google Patents

微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法

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JPH06169758A
JPH06169758A JP13347091A JP13347091A JPH06169758A JP H06169758 A JPH06169758 A JP H06169758A JP 13347091 A JP13347091 A JP 13347091A JP 13347091 A JP13347091 A JP 13347091A JP H06169758 A JPH06169758 A JP H06169758A
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aminolevulinic acid
acid
producing
bacterium
aminolevulinic
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JP13347091A
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Keitaro Watanabe
圭太郎 渡辺
Toru Tanaka
徹 田中
Yasushi Hotta
康司 堀田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性が弱
く、かつ嫌気明条件でも好気暗条件でも5−アミノレブ
リン酸の生産が可能な5−アミノレブリン酸生産菌と、
該菌,その休止菌体又は酵素により、5−アミノレブリ
ン酸デヒドラターゼ阻害剤を添加せず、かつ嫌気明条件
又は好気暗条件での5−アミノレブリン酸の製造方法と
を提供する。 【構成】ロドバクター セファロイデス等の光合成細菌
を変異処理して得られる5−アミノレブリン酸生産菌で
あって、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性が弱
く、嫌気明条件下でも、好気暗条件下でも5−アミノレ
ブリン酸を生産することができる。この菌,その休止菌
体又は酵素を使用し、5−アミノレブリン酸デヒドラタ
ーゼ阻害剤を添加せず又は少量の添加で、かつ嫌気明条
件又は既存の醗酵設備の設定条件である好気暗条件で、
高収率,低コストで5−アミノレブリン酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、5−アミノレブリン酸
生産菌、及び5−アミノレブリン酸生産菌,その休止菌
体又はその菌体由来の酵素により5−アミノレブリン酸
デヒドラターゼの活性を阻害する物質を添加することな
く、かつ嫌気明条件下ではもとより、好気暗条件下でも
高収率で5−アミノレブリン酸を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】5−ア
ミノレブリン酸は、テトラピロール化合物のプレカーサ
として生体系中の重要な役割を果たしている化合物であ
る。この5−アミノレブリン酸は、除草剤,殺虫剤とし
て優れた効果を示し、しかも人畜に対して毒性を示さ
ず、分解性が高いため環境への残留性もないという優れ
た性質を有する天然化合物である(特許出願公表61−
502814号,特開平2−138201号公報参
照)。しかし、この天然の5−アミノレブリン酸は、コ
ストが高く、除草剤や殺虫剤として使用するには実用性
に欠ける(Chemical Week/Octobe
r,29,1984)。このような現状において、多く
の化学合成方法が検討されている(例えば、特開平2−
111747号公報参照)が、未だ充分な方法が開発さ
れていない。
【0003】一方、光合成細菌等の微生物を用いた5−
アミノレブリン酸の製造方法も検討されている(特開平
2−92293号公報,特願平1−307216号明細
書等参照)。5−アミノレブリン酸は、生体系中におい
て、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼにより2分子
が縮合されてポルフォビリノーゲンとなり、逐次反応し
て各種のテトラピロール化合物へと代謝される。
【0004】ところで、上記の5−アミノレブリン酸デ
ヒドラターゼは、一般に強い酵素であり、通常は生体系
中の5−アミノレブリン酸を速やかに反応させるため、
生体系中に5−アミノレブリン酸が蓄積することは稀で
ある。この5−アミノレブリン酸を蓄積させるには、5
−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性を弱める必要
がある。この手法として、一般には、レブリン酸に代表
される5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性阻害
物質を添加する方法が知られている(上記の特開平2−
92293号や特願平1−307216号の微生物を用
いた5−アミノレブリン酸の製造方法でも、5−アミノ
レブリン酸デヒドラターゼの活性阻害物質としてレブリ
ン酸が使用されている)。この方法では、添加するレブ
リン酸等の活性阻害物質のコストがかかる上、5−アミ
ノレブリン酸の蓄積後に、該5−アミノレブリン酸とこ
れら活性阻害物質とを分離する必要もある。
【0005】一方、光合成細菌は、好気暗条件で培養す
ると、5−アミノレブリン酸を生成しない。これに対
し、現在の実用的な醗酵設備は好気暗条件の培養に設定
されている。従って、光合成細菌を使用する5−アミノ
レブリン酸の製造技術においては、既存の醗酵設備が使
用できず、新たな設備あるいは既存の設備の改造を必要
とし、5−アミノレブリン酸の製造コストの上昇が必至
であった。
【0006】本発明は、以上の諸点を考慮し、5−アミ
ノレブリン酸デヒドラターゼ活性が弱く、しかも嫌気明
条件又は好気暗条件において5−アミノレブリン酸を生
産することのできる5−アミノレブリン酸生産菌を提案
すること、及び5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの
活性阻害物質の添加を要せず、かつ嫌気明条件,好気暗
条件のいずれでも行うことのできる高収率かつ低コスト
の5−アミノレブリン酸の製造方法を提案することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために研究を重ねた結果、(1)光合成細
菌を変異させたものの中に、最小培地で生育が弱く、ポ
ルフォビリノーゲンを添加した最小培地で強い生育を示
すものがあり、この菌株が5−アミノレブリン酸デヒド
ラターゼ活性の弱い菌株であること、また光合成細菌を
変異させたものの中に好気暗条件において5−アミノレ
ブリン酸を生産する菌株が存在することを確認し、更に
(2)上記の菌株を使用すれば、5−アミノレブリン酸
デヒドラターゼ活性阻害物質を添加せずに、あるいは極
めて少量の添加により、また好気暗条件に設定された既
存の醗酵設備を使用しても5−アミノレブリン酸を高収
率で製造できることを確認して、本発明を開発するに至
った。
【0008】すなわち、本発明の5−アミノレブリン酸
生産菌は、光合成細菌を変異処理して得られることを特
徴とする。また、本発明の5−アミノレブリン酸生産菌
は、親株である光合成細菌として、例えば、ロドバクタ
ー セファロイデス(Rhodobacter sph
aeroides)を使用するものである。更に、本発
明の5−アミノレブリン酸生産菌は、5−アミノレブリ
ン酸デヒドラターゼ活性の弱い菌株及び好気暗条件又は
嫌気明条件で5−アミノレブリン酸を生産することので
きる菌株で、その一例として、工業技術院微生物工業技
術研究所に微工研寄第11752号(FERM P−1
1752)として寄託されたものが挙げられる。本菌株
は、上記2つの性質を同時に持つ変異株の一例である。
本発明の5−アミノレブリン酸の製造方法は、5−アミ
ノレブリン酸生産菌を、グリシン及びコハク酸の存在
下、嫌気明条件又は好気暗条件下で培養させることを特
徴とする。また、本発明の5−アミノレブリン酸の製造
方法は、上記の5−アミノレブリン酸生産菌のグロース
系のものに限らず、5−アミノレブリン酸生産菌の休止
菌体又は菌体由来の酵素を、グリシン及びコハク酸と接
触させることをも特徴とする。更に、本発明の5−アミ
ノレブリン酸の製造方法に使用される5−アミノレブリ
ン酸生産菌は、例えば上記した本発明の5−アミノレブ
リン酸生産菌であることを特徴とする。
【0009】以下、本発明の5−アミノレブリン酸生産
菌及び5−アミノレブリン酸の製造方法の詳細を説明す
る。先ず、本発明の5−アミノレブリン酸生産菌は、例
えば、光合成細菌であるロドバクター セファロイデス
を親株とし、これを変異して得られるものであって、上
記のように5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性が
弱く、グリシン及びコハク酸から生産した5−アミノレ
ブリン酸のポルフォビリノーゲンへの転化を極く僅少と
し、培養液中に多量の5−アミノレブリン酸を蓄積す
る。また、本発明の5−アミノレブリン酸生産菌は、嫌
気明条件で培養することもできるし、好気暗条件でも培
養することができる。このような性質を有する本発明の
5−アミノレブリン酸生産菌の分離方法の詳細を以下に
例示する。
【0010】上記の親株の増殖に必要な成分を試験管に
分注し、滅菌した後、親株を接種し、光照射下において
静置培養する。この培養液を緩衝液で洗浄した後、変異
操作を行う。この変異操作としては、通常の変異手法を
採用することができる。例えば、紫外線,電離放射線等
の物理的変異原を寒天培地上の親株に照射したり、エチ
ルメタンスルフォネート(EMS),N−メチル−N′
−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG),エチル
ニトロソ尿素(ENU)等のアルキル化剤やブロモデオ
キシウリジン(BrdUrd)等の塩基アナログ等の化
学的変異原を添加した緩衝液中で親株を培養したり、あ
るいはトランスポゾン変異法等の生物学的変異原を用い
る方法がある。このような変異手法によって上記の親株
を変異した後、更に緩衝液で洗浄し、寒天培地等に撒
き、培養する。
【0011】デヒドラターゼ活性の弱い菌株を効率的に
得るには、上記の操作により得られたコロニーを単離
し、最小培地で弱い生育を示すか又は全く生育せず、ポ
ルフォビリノーゲンを添加した培地で強い生育を示すこ
とを確認することにより選択することができる。また、
好気暗条件でも培養液中に多量の5−アミノレブリン酸
を蓄積する株を選択するには、変異株を好気暗条件で培
養し、培地中の5−アミノレブリン酸を測定することに
よって選択することができる。なお、1回の変異で上記
の両方の性質を得ることもできるが、どちらか一方の性
質しか持たない変異株に、更に変異を施して両方の性質
を持たせることもできる。
【0012】このような分離・変異操作に用いる培地に
は、変異前の親株の場合,変異後の変異菌の場合とも同
様のものでよく、グルタミン酸,リンゴ酸,酢酸,ピル
ビン酸,乳酸,コハク酸,フマル酸,酒石酸,グルコン
酸,エタノール,グリセロール,グルコース,フルクト
ース,マンニトール,ソルビトール,酵母エキス等の炭
素源の他に、一般的な培地成分、あるいは通常光合成細
菌の培養に用いられる成分が添加される。一般的な培地
成分としては、窒素源として、例えばアンモニア,塩化
アンモニウム,燐酸アンモニウム,硫酸アンモニウム,
炭酸アンモニウム,酢酸アンモニウム,硝酸アンモニウ
ム,硝酸ナトリウム,尿素等の無機窒素化合物や、酵母
エキス,乾燥酵母,ペプトン,肉エキス,コーンスティ
ープリカー,カザミノ酸等の有機窒素源を用いることが
できる。また無機塩類として、例えばカリウム,ナトリ
ウム,鉄,マグネシウム,マンガン,銅,カルシウム,
コバルト等の各塩類等を用いることができる。
【0013】また、光合成細菌の培養に通常用いられる
成分として、例えば、培地中に存在する鉄やコバルト等
の金属を除去し、5−アミノレブリン酸の生成を促進す
るために、キレート剤を添加することが特に好ましい。
このキレート剤としては、例えば、エチレンジアミンテ
トラ酢酸,シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸,グリコ
ールエーテルジアミンテトラ酢酸,ジエチレントリアミ
ンペンタ酢酸,トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸,ニ
トリロトリ酢酸,α,α′−ジピリジル等が挙げられ
る。これらキレート剤の培地への添加量は、培地全体に
対し約1〜10mmol/l、特に1〜4mmol/l
が好ましい。添加量が少な過ぎると鉄やコバルト等の金
属を充分除去できず、添加量が多過ぎると5−アミノレ
ブリン酸生成の阻害となる。添加方法は、連続的又は断
続的添加のいずれでもよい。更に、培養条件としては、
親株,変異株ともpH約5〜8,温度約15〜45℃,
時間約1〜10日間で、親株の場合は約0.5〜50K
luxの光照射嫌気条件下が好ましく、変異株の場合は
親株の場合と同様の光照射嫌気条件下あるいは好気暗条
件下であっても良い。
【0014】上記の分離・変異操作によって得られる菌
株の一例であるCR−17は、親株とほぼ同様の菌学的
性質を有し、かつポルフォビリノーゲン無添加の最小培
地では生育が弱く、ポルフォビリノーゲンを添加した培
地では生育が強い。そして、グリシンとコハク酸が添加
され、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性阻害物
質が添加されていない培地において、嫌気明条件下又は
好気暗条件下で、5−アミノレブリン酸を生成し、多量
に蓄積する。このCR−17株は、工業技術院微生物工
業技術研究所に寄託されている〔微工研菌寄託第117
52号(FERM P−11752)〕。
【0015】次に、本発明の5−アミノレブリン酸の製
造方法の詳細を説明する。本発明方法では、上記したC
R−17株に代表される本発明の5−アミノレブリン酸
生産菌に限らず、他の作出方法によって得られるもの,
他の菌を親株として得られるもの,その他の分離方法に
よって得られる5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活
性の弱い、かつ嫌気明条件又は好気暗条件で5−アミノ
レブリン酸を生産する5−アミノレブリン酸生産菌を使
用することができる。なお、好気暗条件においては、5
−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性が弱い菌株に限
らず、該活性が普通程度の菌株をも使用することができ
る。これらの5−アミノレブリン酸生産菌を、グリシン
及びコハク酸の存在下、嫌気明条件又は好気暗条件下で
培養させるか、あるいはこれらの菌体の休止菌体又は菌
体由来の酵素を、グリシン及びコハク酸と接触させるこ
とにより、5−アミノレブリン酸を製造することができ
る。
【0016】以下、CR−17株を用いた5−アミノレ
ブリン酸の製造方法を説明する。前述のCR−17株を
分離する場合と同様の培地を使用し、同様の培養条件で
培養する。このとき、生育を強めるためポルフォビリノ
ーゲンを添加してもよい。また、酵母エキス等を加えた
複合培地で培養し、集菌したものを使用すれば、培養時
間を短縮することができる。更に、培養液のpHを5〜
8の範囲内で、HCl水溶液又はNaOH水溶液を用い
て一定に保つことにより、より高濃度の5−アミノレブ
リン酸を生成することができる。また、グリシンとコハ
ク酸は、CR−17株の培養開始と同時に添加すると、
CR−17株の増殖速度が遅くなるため、或る程度増殖
した時点で添加することが好ましい。添加量は、グリシ
ンとコハク酸のいずれの場合も、培地全体に対し、約1
0〜80mmol/l、特に約15〜45mmol/l
が好ましい。また、添加方法は、一度に全量添加しても
よいが、連続的に又は断続的に添加してもよい。
【0017】また、このとき、CR−17の5−アミノ
レブリン酸デヒドラターゼの活性阻害物質を添加するこ
ともできる。この添加量は、従来の5−アミノレブリン
酸の微生物による製造方法の場合の添加量に比し、極く
少量でよく、例えばこの阻害物質としてレブリン酸を使
用する場合、従来の必要量の1/3程度の量で、従来と
同程度の5−アミノレブリン酸の収率を得ることができ
る。なお、このレブリン酸の添加方法は、CR−17の
培養開始時(あるいはグリシンとコハク酸の添加時)か
ら一定の間隔で少量(同量)づつ添加してもよいし、培
養開始時(あるいはグリシンとコハク酸の添加時)に全
量を添加しておいてもよい。更に、菌の生育が対数増殖
期中期を過ぎた後、添加するとなおよい。このとき、約
0.5〜50Kluxの光照射嫌気条件としてもよい
し、あるいは既存の設備の設定条件である好気暗条件と
してもよい。
【0018】上記のCR−17株を休止菌体又は本菌由
来の酵素として使用して5−アミノレブリン酸を製造す
るには、先ず、前述の変異・分離の場合と同様の培地を
使用し、同様の培養条件で培養したものをそのまま用い
るか、あるいは遠心分離等で菌体分離して用いる。な
お、分離した菌体は、更に、燐酸緩衝液等の溶液で洗浄
し、該溶液に懸濁させて使用することもできる。また、
菌体由来の酵素は、常法により精製したものを使用する
ことが望ましい。すなわち、例えば、上記した菌体の懸
濁液を、超音波,フレンチプレス,高圧ホモジナイザ等
により破砕処理して得られた菌体破砕物を、遠心分離等
により固液分離した後、カラム精製,電気泳動等の一般
的精製手段により精製酵素としたものを使用する。更
に、これらの休止菌体や菌体由来の酵素は、固定化する
と単位体積当たりの酵素量が多くなるため、固定化した
ものを使用すると、効率良く反応を行うことができる。
この固定化は、アルギン酸カルシウム法,ポリアクリル
アミドゲル法,ポリウレタン樹脂法,光架橋樹脂法等の
常法により行うことができる。
【0019】これらの休止菌体や菌体由来の酵素に、グ
リシンとコハク酸を、燐酸緩衝液中で接触させると、反
応が生じて5−アミノレブリン酸が製造される。このと
きの反応条件は、前述のCR−17株の変異・分離の場
合の条件と同様とするのが好ましい。なお、酵素を使用
する場合は、光照射は不要である。この反応において、
エネルギ−源として、ATP(アデノシン三燐酸),p
al−P(ピリドキサール燐酸),CoA(コエンザイ
ムA)、またメタノール,エタノール,水素,ニコチン
酸アミドアデニンジヌクレオチド(NAD),ホルムア
ルデヒド,蟻酸等の電子供与体を適宜添加するのが好ま
しい。なお、この反応においても、5−アミノレブリン
酸デヒドラターゼの活性阻害物質を添加することができ
る。
【0020】以上のようにして得られた培養液又は反応
液中の5−アミノレブリン酸は、常法により精製するこ
とができる。例えば、溶剤抽出等の方法によって回収す
ることができ、このときカラムクロマトグラフィ等の公
知の精製方法を適宜併用することもできる。
【0021】
【作用】本発明の5−アミノレブリン酸生産菌は、5−
アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性が弱いため、グリ
シンとコハク酸から該生産菌の作用によって生成する5
−アミノレブリン酸を、ポルフォビリノーゲンにまで転
化することができない。このため、本発明の5−アミノ
レブリン酸生産菌は、本菌の培養液中に、5−アミノレ
ブリン酸を多量に蓄積する作用をなす。また、本発明の
5−アミノレブリン酸生産菌は、嫌気明培養条件下では
もとより、好気暗培養条件下においても5−アミノレブ
リン酸を生産する作用があるため、この菌株によれば、
既存の醗酵設備の設定条件である好気暗条件でも5−ア
ミノレブリン酸を蓄積する。
【0022】また、本発明の5−アミノレブリン酸の製
造方法では、上記のような作用をなす本発明の5−アミ
ノレブリン酸生産菌をはじめ、他の5−アミノレブリン
酸デヒドラターゼ活性の弱い、又は嫌気明条件に限らず
好気暗条件でも5−アミノレブリン酸の生産が可能な5
−アミノレブリン酸生産菌、あるいはこれらの休止菌体
や菌体由来の酵素を使用して、グリシンとコハク酸から
5−アミノレブリン酸を製造するため、従来のように、
別途、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性阻害
物質を添加することなく、添加するとしても極く微量を
添加するのみで、かつ嫌気明条件、又は既存の醗酵設備
の設定条件である好気暗条件で、5−アミノレブリン酸
を高収率かつ低コストで製造することができる。
【0023】
【実施例】
実施例1 表1に示すグルタメート・マレート培地の培地成分を、
水道水1リットルに溶かして培地1を調製した。培地1
のpHは6.8であった。
【0024】
【表1】
【0025】上記の培地1に酵母エキス2g/lを添加
して調製した培地2を、外径21mmの試験管に10m
l入れ、121℃で15分間滅菌し、光合成細菌である
ロドバクター・セファロイデス(Rhodobacte
sphaeroides)IFO12203を1白
金耳植え継ぎ、30℃,5Kluxの光照射下で3日間
静置培養した。別の試験管に培地2を10ml分注し、
滅菌した。これらの培地2に上記の培養液1を3白金耳
植え継ぎ、30℃,250rpmで8時間往復振盪培養
した。この培養液2を、洗浄のため、15,000rp
mにて30秒間遠心分離し、その上清を捨て、遠心分離
前の培養液2と同量になるようにトリス・マレイン酸バ
ッファ(pH6.0)に懸濁させた。この洗浄操作を更
に2度繰り返した。この後、再び15,000rpmに
て30秒間遠心分離し、その上清を捨て、化学的変異原
であるN−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニ
ジン(NTG)を100μg/mlの濃度で溶解させた
溶液を、もとの(2度目の遠心分離前の)培養液2と等
量加え、30℃で80分間静置インキュベートした。
【0026】このようにして処理した菌1を、上記と同
様の方法で3回洗浄した後、別の試験管に分注し、滅菌
した培地2に植え継ぎ、30℃,250rpmで2日間
往復振盪培養した。培地2に寒天17g/lを添加して
調製した培地を121℃で15分間滅菌し、同じく滅菌
したシャーレに撒いて、寒天平板培地を調製した。この
シャーレに、上記の培養液(菌1の培養液)3を滅菌水
で1,000倍に希釈して塗布し、30℃で4日間培養
した。上記のようにして得られたコロニーのうち、培地
1では生育が弱く、培地1にポルフォビリノーゲンを3
00μmol/l添加した培地1′では強い生育を示す
変異菌株を選別した。これらの変異菌株のうちの1つ
を、ロドバクター セファロイデス CR−17と命名
した。
【0027】実施例2 実施例1で得られた変異菌株CR−17(微工研菌寄1
1752号)を、培地1に植え継ぎ、30℃,5Klu
xの光照射下で1日間培養した後、トリス塩酸バッハァ
(pH8.1)で実施例1と同様の方法で菌株を3回洗
浄し、超音波破砕により粗酵素液を得た。この粗酵素液
の5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ(ALAD)活
性をSatoらの方法(J.Nutr.Sci.Vit
aminol.,27,439−447,1981)に
より測定した。それぞれのALAD活性値を、親株の活
性値と共に表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】実施例3 実施例1で得られた変異菌株CR−17(微工研菌寄1
1752号)を、培地1に接種し、30℃,5Klux
の光照射下で24時間培養した。次いで、グリシンを3
0mmol/l,コハク酸を30mmol/lとなるよ
うに添加し、培養を更に24時間続けた。培養液中の5
−アミノレブリン酸をエールリッヒ試薬による発色法に
より定量したところ、5−アミノレブリン酸が186μ
mol/l生産されていた。
【0030】実施例4 実施例1で得られた変異菌株CR−17(微工研菌寄1
1752号)を、培地1で、30℃,5Kluxの光照
射下で2日間予備培養した。これを、5−アミノレブリ
ン酸生産培地(グリシン60mmol/l,コハク酸6
0mmol/l,リンゴ酸2.7g/l,KHPO
0.5g/l,KHPO0.5g/l,CaCl
0.053g/l,pH6.8)に2g/lとなるよう
に接種し、30℃,5Kluxの光照射下で2日間培養
した。この結果、5−アミノレブリン酸が522μmo
l/l生産されていた。
【0031】実施例5 5−アミノレブリン酸生産培地による生産培養を開始
し、レブリン酸を培養開始時に5mmol/l、培養開
始後1日目に5mmol/l、2日目に5mmol/l
添加し、培養期間を3日間とした以外は、実施例4と同
様の操作を行った。この結果、5−アミノレブリン酸が
8.2mmol/l生産されていた。
【0032】実施例6 実施例1で得られた変異菌株CR−17を培地1に植え
継ぎ、30℃,5Kluxの光照射下で1日培養した
後、トリス塩酸バッファで実施例1と同様の方法で菌株
を3回洗浄し、超音波破砕により1ml当たり0.88
mg蛋白量の粗酵素液を得た。これに、ATP8.5m
mol/l,CoA−SH1mmol/l,ピリドキサ
ール燐酸1mmol/l,グリシン0.1mol/l,
コハク酸ナトリウム0.1mol/l,塩化マグネシウ
ム10mmol/l,トリス塩酸バッファ50mmol
/l,グルタチオン0.3g/lになるように添加し、
37℃,2時間インキュベートした。この結果、5−ア
ミノレブリン酸が824μmol/l生産されていた。
【0033】実施例7 実施例1で得られたCR−17と親株を培地1に接種
し、30℃の暗条件下で、かつ酸素量とレブリン酸量と
を表3に示すようにして培養した。培養開始12時間後
に、グリシンを30mmol/l、コハク酸を30mm
ol/l添加した。なお、レブリン酸の添加時期は培養
開始12時間後とした。このときの5−アミノレブリン
酸生成量を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3から明らかなように、好気暗条件下に
おいても、変異菌株CR−17は、親株に比べ、5−ア
ミノレブリン酸を大量に生成していることが判る。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の5−アミ
ノレブリン酸生産菌は、光合成細菌を親株として容易な
操作で作出することができる。また、本発明の5−アミ
ノレブリン酸生産菌によれば、グリシンとコハク酸から
5−アミノレブリン酸を生産することができ、しかも5
−アミノレブリン酸の2分子を縮合してポルフォビリノ
ーゲンに転化する5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ
の活性が弱いため、培養液中に多量の5−アミノレブリ
ン酸を蓄積することができる。更に、本発明の5−アミ
ノレブリン酸生産菌によれば、嫌気明条件下ではもとよ
り、好気暗条件でも5−アミノレブリン酸を生産するこ
とができる。
【0037】そして、本発明の5−アミノレブリン酸の
製造方法によれば、上記した本発明の5−アミノレブリ
ン酸生産菌のような5−アミノレブリン酸デヒドラター
ゼの活性の弱い、かつ嫌気明条件下及び好気暗条件のい
ずれにおいても5−アミノレブリン酸の生産が可能な5
−アミノレブリン酸生産菌あるいは該菌の休止菌体や菌
体由来の酵素を使用して、グリシンとコハク酸から高収
率で5−アミノレブリン酸を製造することができる。
【0038】このとき、5−アミノレブリン酸デヒドラ
ターゼ活性阻害物質の添加は不要であり、また添加する
としても極く微量の添加で充分であるため、本発明の5
−アミノレブリン酸の製造方法によれば、製造コストを
低減することができる。しかも、5−アミノレブリン酸
デヒドラターゼ活性阻害物質を添加しない場合は、5−
アミノレブリン酸の製造後に、該5−アミノレブリン酸
と5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ活性阻害物質の
分離工程が不要となり、設備費が低減するばかりでな
く、製造効率が大幅に向上し、製造コストを大幅に低減
することができる。加えて、好気暗条件で5−アミノレ
ブリン酸の製造ができるため、既存の醗酵設備をそのま
ま使用して5−アミノレブリン酸の工業的生産ができ、
設備コストの大幅な低減を図ることができる。更に、本
発明の5−アミノレブリン酸の製造方法によれば、上記
の5−アミノレブリン酸生産菌をグロース系で使用する
ことができるため、培養開始時に少量の5−アミノレブ
リン酸生産菌を使用するのみで、大量の5−アミノレブ
リン酸を製造することができ、製造コストはより一層低
廉となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光合成細菌を変異処理して得られる5−
    アミノレブリン酸生産菌。
  2. 【請求項2】 光合成細菌がロドバクター セファロイ
    デスであることを特徴とする請求項1記載の5−アミノ
    レブリン酸生産菌。
  3. 【請求項3】 工業技術院微生物工業技術研究所に微工
    研寄第11752号(FERM P−11752)とし
    て寄託されたことを特徴とする請求項1,2記載の5−
    アミノレブリン酸生産菌。
  4. 【請求項4】 5−アミノレブリン酸生産菌を、グリシ
    ン及びコハク酸の存在下で培養させることを特徴とする
    5−アミノレブリン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 5−アミノレブリン酸生産菌の休止菌体
    又は菌体由来の酵素を、グリシン及びコハク酸と接触さ
    せることを特徴とする5−アミノレブリン酸の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 5−アミノレブリン酸生産菌が請求項1
    〜3記載の5−アミノレブリン酸生産菌であることを特
    徴とする請求項4,5記載の5−アミノレブリン酸の製
    造方法。
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