JPH059267B2 - - Google Patents
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- JPH059267B2 JPH059267B2 JP62215212A JP21521287A JPH059267B2 JP H059267 B2 JPH059267 B2 JP H059267B2 JP 62215212 A JP62215212 A JP 62215212A JP 21521287 A JP21521287 A JP 21521287A JP H059267 B2 JPH059267 B2 JP H059267B2
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Landscapes
- Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
本発明はポリエステルフイルムの熱処理方法に
関し、更に詳しくは二軸配向ポリエステルフイル
ムを特定の条件でロール状に巻取り、次いでロー
ル状に巻取つた状態で熱処理して、比較的低い温
度での寸法安定性を均一に向上させることを特徴
とするポリエステルフイルムの熱処理方法に関す
る。 従来技術とその問題点 ポリエステルフイルムは各種の特性がバランス
しかつすぐれているために広い用途に使用されて
いる。特に磁気記録媒体のベースフイルムとして
は不可欠の材料となつている。 近年、磁気記録媒体の高密度化、高信頼性化に
ともなつて使用環境の温湿度変化による媒体の寸
法変化も益々小さなものが要求され、特にデイス
ク状の磁気記録媒体では60℃付近の温度での永久
歪(寸法変化率)が0.05%程度以下と小さなもの
が待望されている。磁気記録媒体の寸法変化率
は、ベースフイルムであるポリエステルフイルム
の寸法変化率によつて大きく支配される。このた
め、低温での寸法変化率を低下させた磁気記録媒
体用として好適なポリエステルフイルムが要望さ
れている。 ポリエステルフイルムの寸法変化率を低下させ
る方法の1つとして、二軸延伸フイルムを緊張下
で熱処理することは知られている。しかし、この
方法では比較的高温での熱寸法変化率を低下させ
ることはできるけれどもポリエステルのガラス転
移温度に近い、比較的低温での縦方向の熱寸法変
化率を低下させることは難しい。 また、ガラス転移温度付近の熱寸法変化率を低
下させるには、この温度近くでフイルムを弛緩さ
せるのが有効ではないかとの考えに基いて、ロー
ル状に巻取つたフイルムを比較的低い温度で熱処
理(エージング)することが提案されている。例
えば、特開昭50−51174号公報には、フイルムを
裁断し、スリツトロール状に巻取る温度より約15
〜35℃高い温度に保持した雰囲気に、そのスリツ
トロールを24時間以上保持する方法が開示されて
いる。 しかし、本発明者の検討結果によれば、この方
法はフイルの厚みが20μm程度以下の場合に有効
で、この場合にはフイルムの比較的低温(約60℃
〜80℃)での寸法変化率を低下させることがで
き、かつ巻の長さ方向に均一に低下させることが
できる。しかし、フイルム厚みが30μm程度以上
の場合、ロールの表層から内層〜芯層に近くなる
に従つて寸法変化率が小さくなる傾向を示し、ロ
ール状フイルムの長さ全体にわたつてその寸法変
化率を均一に低下させることができない、という
問題のあることが明らかとなつた。更に、この問
題はエージング条件を変更して、例えば温度条件
を大巾に変えても解決できないことも明らかとな
つた。 発明の目的 本発明者は、この問題を解消し、ロール状フイ
ルムのエージング処理法においてフイルム長手方
向に寸法変化率を均一に低下させる方法を開発す
べく更に検討を進めた結果、特定の条件でロール
状に巻取つたフイルムをエージング処理すると、
フイルム長手方向に寸法変化率を均一に低下させ
得ることを見出し、本発明に到達した。 従つて、本発明の目的は、比較的低い温度での
寸法安定性を向上しかつこの向上がフイルム長手
方向で均一なポリエステルフイルムの熱処理方法
を提供することにある。 発明の構成・効果 本発明の目的は、本発明によれば、厚み30μm
以上の二軸配向ポリエステルフイルムのロールを
40〜90℃の温度雰囲気下に24時間以上保持する熱
処理方法において、該ロールが内層部の巻取張力
を高く、外層部の巻取張力を低くして巻取つたロ
ールであることを特徴とするポリエステルフイル
ムの熱処理方法によつて達成される。 本発明におけるポリエステルとは芳香族ジカル
ボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルであ
る。かかるポリエステルは実質的に線状であり、
そしてフイルム形成性特に溶融成形によるフイル
ム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸として
は、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸等を好ましく挙げることができ
る。また、脂肪族グリコールとしては、例えばエ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テ
トラメチレングリコール等の如きポリメチレング
リコール、あるいはシクロヘキサンジメタノール
の如き脂環族ジオール等を好ましく挙げることが
できる。 本発明におけるポリエステルの具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等が好ましく挙げられ
る。本発明におけるポリエステルは滑剤、他の添
加剤を含んでいてもよい。 本発明において、二軸配向ポリエステルフイル
ムは上述のポリエステルを公知の方法、条件で延
伸し、熱固定をすることによつて得ることができ
る。フイルム厚みは30〜80μmが好ましい。 そして、この二軸配向ポリエステルフイルムを
ロール状に巻取る時に巻取りロールの内層部の巻
取張力を高く、外層部の巻取張力を低くするよう
にしてロール状に巻取る。本発明における巻取張
力の程度はロール状で熱処理したフイルムの低温
熱収の値及びその値のフイルム長手方向のバラツ
キを考慮して決めるのが好ましい。 巻取張力は、巻芯から巻の全長の約1/3の長さ
までを0.5〜1.0Kg/mm2、更には0.7〜0.9Kg/mm2と
するのが好ましく、それ以降(残りの約2/3の長
さ)の内層〜表層では徐々に直線的に張力を下げ
るとか、ステツプ状に張力を下げるとかするのが
好ましい。この内層〜表層の巻取張力は0.5〜
0.10Kg/mm2、更に0/4〜0.10Kg/mm2とするのが
好ましい。この張力が0.10Kg/mm2より小さくなる
と、スリツトフイルムロールが軟巻きとなつて端
面ズレを起こしたり、エージング時にしわを発生
したりする問題を起こすので好ましくない。 本発明においては、次いで、ロール状に巻取つ
た二軸配向ポリエステルフイルムを40〜90℃の温
度雰囲気下に24時間以上保持処理する。保持温度
は45〜85℃、更には65℃〜80℃が好ましい。ま
た、保持時間は72時間以上が好ましい。保持時間
の上限は240時間、更には120時間が好ましい。保
持時間が40℃より低いと寸法安定性を向上させる
効果が殆どないか又は効果があつたとしても所望
の値を得るためには極めて長時間を要するため実
用的ではない。一方、保持温度が90℃より高いと
ロールの巻芯近くでフイルム巻層間の層間圧力が
著しく上昇するためポリエステルフイルムの表面
特性(たとえば表面粗さ)が処理前のフイルムと
は変つてしまうという問題や、巻芯の表面の凹凸
がフイルム面に強く転写するという問題があり、
磁気記録媒体用フイルムとしては使えないという
結果となる。保持処理時間が短すぎると、ロール
全体が均一な温度とはならず、得られるフイルム
の寸法変化率の値のバラツキが大となるので好ま
しくない。 保持処理において、ガラス転移温度の比較的低
いポリエチレンテレフタレートの場合にはこれら
の温度範囲の低い方を、またガラス転移温度の比
較的高いポリエチレン−2,6−ナフタレートの
場合にはこれらの温度範囲のより高い温度を選ぶ
とよい。また、保持処理の効果は雰囲気の湿度に
よつて変化し、湿度が高い場合にはエージングの
効果がより短時間で進む傾向があるので、雰囲気
の湿度はフイルム結露しない程度までは高目にし
た方がよい。 ロールの巻芯として紙製のものや塩化ビニール
製のものを用いる場合は、湿度が低すぎると寸法
が変化(収縮)して巻芯が変形するので湿度は50
%RH以上に調節するのが好ましい。また、巻芯
がアルミニウム、ステンレス等の金属、ベークラ
イトや繊維強化樹脂製等の湿度による変形への影
響を殆ど受けない材料の場合には、雰囲気の湿度
についてはフイルムに結露しない範囲で高めた方
が良い。エージング処理を効率的に行なうには、
巻芯として湿度により寸法変化を起こさないよう
なアルミニウム、ステンレス等の金属製、ベーク
ライト製、繊維強化樹脂製のものを用いるのが最
も好ましい。 本発明によれば、比較的低い温度での寸法変化
率を均一かつ著しく減少させたポリエステルフイ
ルムを得ることができる。そして、得られたポリ
エステルフイルムは寸法変化率が小さいため、こ
のフイルムをベースフイルムとして用いて磁気記
録媒体を作成した場合、媒体の熱寸法変化率も小
さいものが得られる。特にベースフイルムの長さ
が30μm程度以上の磁気記録フレキシブルデイス
ク用として用いるとき、すぐれた寸法安定性、そ
の他の効果を発揮する。すなわち、60℃付近の温
度での寸法変化率が小さいため、このような比較
的低い温度におけるトラツキングずれが極めて小
さい高密度の磁気記録フレキシブルデイスクを製
造することができる。 実施例 以下、実施例を掲げて本発明を更に説明する。 なお、本発明におけるフイルム特性は次のよう
にして測定したものである。 寸法変化率 フイルムサンプルを測定方向に長さ350mm以上、
巾10mmで切り出す。得られた短冊状サンプルに長
さ300mmの標点をつけ、23℃×60%RHに調湿さ
れた恒温恒湿室に24時間以上保持する。その後、
取出し、読取顕微鏡にて標点間の寸法を読む。次
いで、この短冊状サンプルを60℃×80%RHの恒
温恒湿室に72時間自由長で保持した後、再び23℃
×60%RHの恒温恒湿室に24時間以上保持後標点
間の寸法を読む。60℃×80%RH×72時間処理前
後の標点間の寸法の差を元の標点間の寸法に対す
る100分率で示す。 実施例1,2及び比較例1,2 滑剤として平均粒径0.3μmのシリカを0.15重量
%添加した固有粘度(オルソクロロフエノール、
35℃)0.60のポリエチレンテレフタレートを溶融
押出して急冷し、未延伸フイルムを作成した。次
いで該未延伸フイルムを縦方向に3.6倍延伸し、
引続いてフイルムの幅方向の両端をステンターク
リツプにより把持しつつ横方向に3.7倍延伸し、
更に緊張状態で215℃で熱固定し、引続いて把持
を解除して緊張状態で冷却ロールに接触させて急
冷し、両端部を切除して厚み33μm,巾1m、長さ
2000mのロールに巻取った。 このロールを親ロールとして用いてスリツト
し、幅700mm、長さ2000mのスリツトロールを作
成した。この際、表1に示すように巻取条件を変
えてスリツトロールを得た。巻取り用の巻芯とし
ては6インチ径の紙管を用いた。 これらのスリツトロールを55℃、50%RHに調
節された恒温恒湿室に入れ72時間放置した。その
後ロールを当該室からとり出し、23℃、60%RH
の恒温恒湿室に24時間以上保持してから冷却し
た。次いでロールフイルムを巻返しながら500m
の長さ毎にサンプルを切り出して、その熱収縮率
(寸法変化率)を測定した。寸法変化率の値は大
体においてロールフイルムの巻芯部(巻芯の表面
に近いところ)で最小値を示し、ロールフイルム
の表層部で最大値を示した。 表1にこれらの熱収値を示す。また、ロール全
長における寸法変化率の均一さの程度を表わす尺
度として最大値と最小値との差も示す。 表1から明らかな様に、比較例1,2のロール
フイルムでは熱収の最大値も大きく、更に最大値
と最小値との差も大きく、本発明の目的を達成す
ることできなかつた。実施例1,2のフイルムは
寸法変化率の最大値も小さく、かつ最大値と最小
値との差も小さく、良好なものであることがわか
る。 【表】
関し、更に詳しくは二軸配向ポリエステルフイル
ムを特定の条件でロール状に巻取り、次いでロー
ル状に巻取つた状態で熱処理して、比較的低い温
度での寸法安定性を均一に向上させることを特徴
とするポリエステルフイルムの熱処理方法に関す
る。 従来技術とその問題点 ポリエステルフイルムは各種の特性がバランス
しかつすぐれているために広い用途に使用されて
いる。特に磁気記録媒体のベースフイルムとして
は不可欠の材料となつている。 近年、磁気記録媒体の高密度化、高信頼性化に
ともなつて使用環境の温湿度変化による媒体の寸
法変化も益々小さなものが要求され、特にデイス
ク状の磁気記録媒体では60℃付近の温度での永久
歪(寸法変化率)が0.05%程度以下と小さなもの
が待望されている。磁気記録媒体の寸法変化率
は、ベースフイルムであるポリエステルフイルム
の寸法変化率によつて大きく支配される。このた
め、低温での寸法変化率を低下させた磁気記録媒
体用として好適なポリエステルフイルムが要望さ
れている。 ポリエステルフイルムの寸法変化率を低下させ
る方法の1つとして、二軸延伸フイルムを緊張下
で熱処理することは知られている。しかし、この
方法では比較的高温での熱寸法変化率を低下させ
ることはできるけれどもポリエステルのガラス転
移温度に近い、比較的低温での縦方向の熱寸法変
化率を低下させることは難しい。 また、ガラス転移温度付近の熱寸法変化率を低
下させるには、この温度近くでフイルムを弛緩さ
せるのが有効ではないかとの考えに基いて、ロー
ル状に巻取つたフイルムを比較的低い温度で熱処
理(エージング)することが提案されている。例
えば、特開昭50−51174号公報には、フイルムを
裁断し、スリツトロール状に巻取る温度より約15
〜35℃高い温度に保持した雰囲気に、そのスリツ
トロールを24時間以上保持する方法が開示されて
いる。 しかし、本発明者の検討結果によれば、この方
法はフイルの厚みが20μm程度以下の場合に有効
で、この場合にはフイルムの比較的低温(約60℃
〜80℃)での寸法変化率を低下させることがで
き、かつ巻の長さ方向に均一に低下させることが
できる。しかし、フイルム厚みが30μm程度以上
の場合、ロールの表層から内層〜芯層に近くなる
に従つて寸法変化率が小さくなる傾向を示し、ロ
ール状フイルムの長さ全体にわたつてその寸法変
化率を均一に低下させることができない、という
問題のあることが明らかとなつた。更に、この問
題はエージング条件を変更して、例えば温度条件
を大巾に変えても解決できないことも明らかとな
つた。 発明の目的 本発明者は、この問題を解消し、ロール状フイ
ルムのエージング処理法においてフイルム長手方
向に寸法変化率を均一に低下させる方法を開発す
べく更に検討を進めた結果、特定の条件でロール
状に巻取つたフイルムをエージング処理すると、
フイルム長手方向に寸法変化率を均一に低下させ
得ることを見出し、本発明に到達した。 従つて、本発明の目的は、比較的低い温度での
寸法安定性を向上しかつこの向上がフイルム長手
方向で均一なポリエステルフイルムの熱処理方法
を提供することにある。 発明の構成・効果 本発明の目的は、本発明によれば、厚み30μm
以上の二軸配向ポリエステルフイルムのロールを
40〜90℃の温度雰囲気下に24時間以上保持する熱
処理方法において、該ロールが内層部の巻取張力
を高く、外層部の巻取張力を低くして巻取つたロ
ールであることを特徴とするポリエステルフイル
ムの熱処理方法によつて達成される。 本発明におけるポリエステルとは芳香族ジカル
ボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルであ
る。かかるポリエステルは実質的に線状であり、
そしてフイルム形成性特に溶融成形によるフイル
ム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸として
は、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸等を好ましく挙げることができ
る。また、脂肪族グリコールとしては、例えばエ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テ
トラメチレングリコール等の如きポリメチレング
リコール、あるいはシクロヘキサンジメタノール
の如き脂環族ジオール等を好ましく挙げることが
できる。 本発明におけるポリエステルの具体例として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等が好ましく挙げられ
る。本発明におけるポリエステルは滑剤、他の添
加剤を含んでいてもよい。 本発明において、二軸配向ポリエステルフイル
ムは上述のポリエステルを公知の方法、条件で延
伸し、熱固定をすることによつて得ることができ
る。フイルム厚みは30〜80μmが好ましい。 そして、この二軸配向ポリエステルフイルムを
ロール状に巻取る時に巻取りロールの内層部の巻
取張力を高く、外層部の巻取張力を低くするよう
にしてロール状に巻取る。本発明における巻取張
力の程度はロール状で熱処理したフイルムの低温
熱収の値及びその値のフイルム長手方向のバラツ
キを考慮して決めるのが好ましい。 巻取張力は、巻芯から巻の全長の約1/3の長さ
までを0.5〜1.0Kg/mm2、更には0.7〜0.9Kg/mm2と
するのが好ましく、それ以降(残りの約2/3の長
さ)の内層〜表層では徐々に直線的に張力を下げ
るとか、ステツプ状に張力を下げるとかするのが
好ましい。この内層〜表層の巻取張力は0.5〜
0.10Kg/mm2、更に0/4〜0.10Kg/mm2とするのが
好ましい。この張力が0.10Kg/mm2より小さくなる
と、スリツトフイルムロールが軟巻きとなつて端
面ズレを起こしたり、エージング時にしわを発生
したりする問題を起こすので好ましくない。 本発明においては、次いで、ロール状に巻取つ
た二軸配向ポリエステルフイルムを40〜90℃の温
度雰囲気下に24時間以上保持処理する。保持温度
は45〜85℃、更には65℃〜80℃が好ましい。ま
た、保持時間は72時間以上が好ましい。保持時間
の上限は240時間、更には120時間が好ましい。保
持時間が40℃より低いと寸法安定性を向上させる
効果が殆どないか又は効果があつたとしても所望
の値を得るためには極めて長時間を要するため実
用的ではない。一方、保持温度が90℃より高いと
ロールの巻芯近くでフイルム巻層間の層間圧力が
著しく上昇するためポリエステルフイルムの表面
特性(たとえば表面粗さ)が処理前のフイルムと
は変つてしまうという問題や、巻芯の表面の凹凸
がフイルム面に強く転写するという問題があり、
磁気記録媒体用フイルムとしては使えないという
結果となる。保持処理時間が短すぎると、ロール
全体が均一な温度とはならず、得られるフイルム
の寸法変化率の値のバラツキが大となるので好ま
しくない。 保持処理において、ガラス転移温度の比較的低
いポリエチレンテレフタレートの場合にはこれら
の温度範囲の低い方を、またガラス転移温度の比
較的高いポリエチレン−2,6−ナフタレートの
場合にはこれらの温度範囲のより高い温度を選ぶ
とよい。また、保持処理の効果は雰囲気の湿度に
よつて変化し、湿度が高い場合にはエージングの
効果がより短時間で進む傾向があるので、雰囲気
の湿度はフイルム結露しない程度までは高目にし
た方がよい。 ロールの巻芯として紙製のものや塩化ビニール
製のものを用いる場合は、湿度が低すぎると寸法
が変化(収縮)して巻芯が変形するので湿度は50
%RH以上に調節するのが好ましい。また、巻芯
がアルミニウム、ステンレス等の金属、ベークラ
イトや繊維強化樹脂製等の湿度による変形への影
響を殆ど受けない材料の場合には、雰囲気の湿度
についてはフイルムに結露しない範囲で高めた方
が良い。エージング処理を効率的に行なうには、
巻芯として湿度により寸法変化を起こさないよう
なアルミニウム、ステンレス等の金属製、ベーク
ライト製、繊維強化樹脂製のものを用いるのが最
も好ましい。 本発明によれば、比較的低い温度での寸法変化
率を均一かつ著しく減少させたポリエステルフイ
ルムを得ることができる。そして、得られたポリ
エステルフイルムは寸法変化率が小さいため、こ
のフイルムをベースフイルムとして用いて磁気記
録媒体を作成した場合、媒体の熱寸法変化率も小
さいものが得られる。特にベースフイルムの長さ
が30μm程度以上の磁気記録フレキシブルデイス
ク用として用いるとき、すぐれた寸法安定性、そ
の他の効果を発揮する。すなわち、60℃付近の温
度での寸法変化率が小さいため、このような比較
的低い温度におけるトラツキングずれが極めて小
さい高密度の磁気記録フレキシブルデイスクを製
造することができる。 実施例 以下、実施例を掲げて本発明を更に説明する。 なお、本発明におけるフイルム特性は次のよう
にして測定したものである。 寸法変化率 フイルムサンプルを測定方向に長さ350mm以上、
巾10mmで切り出す。得られた短冊状サンプルに長
さ300mmの標点をつけ、23℃×60%RHに調湿さ
れた恒温恒湿室に24時間以上保持する。その後、
取出し、読取顕微鏡にて標点間の寸法を読む。次
いで、この短冊状サンプルを60℃×80%RHの恒
温恒湿室に72時間自由長で保持した後、再び23℃
×60%RHの恒温恒湿室に24時間以上保持後標点
間の寸法を読む。60℃×80%RH×72時間処理前
後の標点間の寸法の差を元の標点間の寸法に対す
る100分率で示す。 実施例1,2及び比較例1,2 滑剤として平均粒径0.3μmのシリカを0.15重量
%添加した固有粘度(オルソクロロフエノール、
35℃)0.60のポリエチレンテレフタレートを溶融
押出して急冷し、未延伸フイルムを作成した。次
いで該未延伸フイルムを縦方向に3.6倍延伸し、
引続いてフイルムの幅方向の両端をステンターク
リツプにより把持しつつ横方向に3.7倍延伸し、
更に緊張状態で215℃で熱固定し、引続いて把持
を解除して緊張状態で冷却ロールに接触させて急
冷し、両端部を切除して厚み33μm,巾1m、長さ
2000mのロールに巻取った。 このロールを親ロールとして用いてスリツト
し、幅700mm、長さ2000mのスリツトロールを作
成した。この際、表1に示すように巻取条件を変
えてスリツトロールを得た。巻取り用の巻芯とし
ては6インチ径の紙管を用いた。 これらのスリツトロールを55℃、50%RHに調
節された恒温恒湿室に入れ72時間放置した。その
後ロールを当該室からとり出し、23℃、60%RH
の恒温恒湿室に24時間以上保持してから冷却し
た。次いでロールフイルムを巻返しながら500m
の長さ毎にサンプルを切り出して、その熱収縮率
(寸法変化率)を測定した。寸法変化率の値は大
体においてロールフイルムの巻芯部(巻芯の表面
に近いところ)で最小値を示し、ロールフイルム
の表層部で最大値を示した。 表1にこれらの熱収値を示す。また、ロール全
長における寸法変化率の均一さの程度を表わす尺
度として最大値と最小値との差も示す。 表1から明らかな様に、比較例1,2のロール
フイルムでは熱収の最大値も大きく、更に最大値
と最小値との差も大きく、本発明の目的を達成す
ることできなかつた。実施例1,2のフイルムは
寸法変化率の最大値も小さく、かつ最大値と最小
値との差も小さく、良好なものであることがわか
る。 【表】
Claims (1)
- 1 厚み30μm以上の二軸配向ポリエステルフイ
ルムのロールを40〜90℃の温度雰囲気下に24時間
以上保持する熱処理方法において、該ロールが内
層部の巻取張力を高く、外層部の巻取張力を低く
して巻取つたロールであることを特徴とするポリ
エステルフイルムの熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21521287A JPS6458535A (en) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | Heat-treatment of polyester film |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21521287A JPS6458535A (en) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | Heat-treatment of polyester film |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6458535A JPS6458535A (en) | 1989-03-06 |
JPH059267B2 true JPH059267B2 (ja) | 1993-02-04 |
Family
ID=16668553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21521287A Granted JPS6458535A (en) | 1987-08-31 | 1987-08-31 | Heat-treatment of polyester film |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6458535A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62260250A (ja) * | 1986-05-07 | 1987-11-12 | Sharp Corp | 電子機器 |
JP4961191B2 (ja) * | 2006-11-09 | 2012-06-27 | 富士紡ホールディングス株式会社 | 保持パッド用ポリウレタンシートの表面平坦化方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5051174A (ja) * | 1973-08-29 | 1975-05-07 | ||
JPS61238639A (ja) * | 1985-04-12 | 1986-10-23 | Teijin Ltd | ポリエステルフイルム巻層体 |
-
1987
- 1987-08-31 JP JP21521287A patent/JPS6458535A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5051174A (ja) * | 1973-08-29 | 1975-05-07 | ||
JPS61238639A (ja) * | 1985-04-12 | 1986-10-23 | Teijin Ltd | ポリエステルフイルム巻層体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6458535A (en) | 1989-03-06 |
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