JPH09295345A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法Info
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- JPH09295345A JPH09295345A JP11260496A JP11260496A JPH09295345A JP H09295345 A JPH09295345 A JP H09295345A JP 11260496 A JP11260496 A JP 11260496A JP 11260496 A JP11260496 A JP 11260496A JP H09295345 A JPH09295345 A JP H09295345A
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Abstract
向きの分布が0°以上10°以下であることを特徴とす
る二軸配向ポリエステルフィルム。 【効果】本発明により、フィルムの幅方向において、主
配向軸の分布が小さく、袋としたときのツイストカール
が小さく、また、コーティング、ラミネート、印刷など
の加工時に蛇行などのトラブルが少なく、さらに、フロ
ッピーディスクなどに使用した場合に、面内等方性が高
いため、磁気記録時のトラブルなどが少ないフィルムを
得ることが可能となる。さらに、この様なトラブルを回
避するために、フィルムの中央部近傍のみを製品化し、
端部の製品を屑として回収、あるいは製品ランクを下げ
て安売りするなどの対処をする必要がなく、生産性の向
上、コストダウンが可能となるものである。
Description
ルフィルムおよびその製造方法に関わるものである。更
に詳しく言えば、フィルムの幅方向における物性の分布
の原因となるボーイング現象、および、横延伸に伴う主
配向軸のゆがみを根本的に解決し、収率を高めることが
可能な二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法に関す
るものである。
れた特性のため、磁気記録媒体用ベースフィルム、コン
デンサなどの誘電体として、また電気絶縁用途、プリン
タリボンなどのOA用途、熱により穿孔して印刷する感
熱孔版原紙、表面に易接着処理を施して印刷の受容シー
トなど、様々な用途で用いられている。これらのほとん
どの用途において、物性のむらは大きな障害となってい
る。例えば、熱収縮特性や、熱膨張係数などが異なるフ
ィルムを貼り合わせて袋を作った場合、内容物を詰めて
熱によるシールを行った場合、袋の両面を構成するフィ
ルムの熱特性の違いから、ツイストカールと呼ばれる袋
がねじれる現象が生じ、商品としての価値が大きく低下
する。また、幅方向に強度や熱特性に分布を持ったフィ
ルムにコーティングや印刷などの加工を施す場合、その
加工機内において、伸縮特性の幅方向分布のため、フィ
ルムが蛇行したり、印刷などの寸法精度に偏りが生じる
などの問題が発生する。一方、コンピュータ関係で用い
られるフロッピーディスクにおいては、回転しながら記
録、読み取りする関係上、フィルム面内における等方性
が厳しく要求されるが、フィルムの幅方向に分布を持っ
ていると、ある部分で等方的なフィルムも、他の部分で
は等方性を欠くために、装置内でのそりなどによる記録
特性低下などのトラブルにより使用に耐えないという問
題点がある。
分布は、いわゆるボーイング現象に起因すると考えら
れ、各種の対策が検討されてきた。ボーイング現象と
は、例えば、成形加工第4巻第5号312〜317頁に
記載されているように、テンタの入口で幅方向に真っ直
ぐに引いた線が、テンタを出てくると弓状にゆがむとい
うものである。このゆがみにより、フィルムの幅方向で
物性の分布が発生する。
ムの製造工程である、横延伸と熱処理工程を同一のテン
タで、連続に行なうことに起因している。このために、
横延伸と熱処理の間で緩和を行なう技術(特公昭35−
11774号公報)、狭幅ニップロールによってフィル
ム中央部を強制的に前進させる技術(特公昭63−24
459号公報)、横延伸と熱処理工程の間にニップロー
ル群を設ける技術(特開昭50−73978号公報)な
どが検討されている。
報、特開平3−216326号公報などで示されるよう
に、ある長さ以上の冷却工程を横延伸と熱処理工程の間
に設ける手法により、ボーイングがかなり低減されると
考えられている。
ボーイング現象のみによって生じるものではないことが
明らかとなりつつある。例えば、高分子論文集第48巻
第11号671〜678頁に記載されているように、テ
ンタによる横延伸により、フィルムの配向状態を示す屈
折率楕円体がゆがみ、幅方向に配向状態の分布が発生す
るというものである。
分布が生じることは事実であるが、本発明者らの検討の
結果では、このボーイング現象を完全に抑えた場合で
も、幅方向に未だ物性の分布が残っており、後者の横延
伸時の配向分布の発生に起因していると考えられる。す
なわち、前述したような手法により、ボーイング現象を
抑えても、幅方向の物性の分布を完全に抑えることは未
だできていない。
性の分布がある場合、用途によっては、例えば、製膜さ
れたフィルムの中央付近は使用できるが、端部付近は使
用できないといったことが起きるため、製膜されたフィ
ルム全幅の半分の幅しか製品として採取できないなど、
生産性の悪化につながっている。
対する要求は強いのに対し、未だ効果が十分でないとい
う問題点がある。
イング現象を低減し、さらにテンタにおける延伸時に発
生する配向の分布を低減し、幅方向で物性の均一なフィ
ルムを得て、フィルムの品質を向上し、さらに生産性を
高めるための二軸配向ポリエステルフィルムおよびその
製造方法を提供することを目的とするものである。
るために、鋭意検討の結果、前述の課題を解決すること
が可能となったものである。
m長の間の主配向軸の向きの分布が0°以上10°以下
であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム
である。
る。
とジカルボン酸とから縮重合により得られるポリマであ
り、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、などで代表されるものであり、また、ジオ
ールとは、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるもの
である。具体的には例えば、ポリメチレンテレフタレー
ト、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエー
ト、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレートなどがあげられる。もちろん、これらのポリ
エステルは、ホモポリマであってもコポリマであっても
良く、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコ
ールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸などのジカルボン酸成分があげられる。本発明の場
合、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレートが機械的強度、耐熱性、耐薬品
性、耐久性などの観点から好ましい。
各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核
剤、また、フィルムに易滑性を付与するために無機粒
子、有機粒子などが添加されていてもよい。
に1m長の間の主配向軸の向きの分布が0°以上10°
以下である必要がある。好ましくは、0°以上5°以
下、より好ましくは、0°以上3°以下である。ここで
言う主配向軸の向きとは、直交ニコル下の偏光顕微鏡に
コンペンセータを装着してフィルムの複屈折を測定し、
最も屈折率の高い方向を主配向軸の方向とし、フィルム
の幅方向を0°として、反時計方向に主配向軸の方向の
角度を測定したものである。ここで言う主配向軸の向き
の分布とは、フィルムの幅方向に1mの長さを、5cm
間隔で21点の主配向軸の向きを測定し、その最大値と
最小値の差の絶対値を言う。ここで、角度の最大値、最
小値に関しては、当然、最大値と最小値が鋭角側になる
ようにして計算しなければならない。例えば、角度にお
いては360°=0°であるから、−10°という角度
は+350°とも言い表される。ここで、最大値と最小
値が+10°と−10°であった場合、|+10°−
(−10°)|=20°が主配向軸の向きの変化であ
り、|350°−(+10°)|=340°ではないと
いうことである。ここで、フィルム幅方向に1m長の間
の主配向軸の向きの分布が10°を超える場合、前述し
たようなフィルム加工時の蛇行、製袋時のカール、フロ
ッピーディスクの記録性低下などの問題が発生しやす
い。一方、フィルム幅方向に1m長の間の主配向軸の向
きの分布が0°ということは、幅方向に配向の向きが均
一であるということであり、最も望ましく、0°未満は
ありえない。
れていることが好ましい。二軸配向フィルムは、大きく
分けて、テンタを用いて製膜する方法(テンタ法)と、
インフレーションダイを用いて筒状に成形されたフィル
ムを風船のように空気で膨らませて延伸するチューブラ
法がある。しかしながら、フィルムの生産性、品質を考
えるとテンタ法で製膜されたものが好ましい。特にポリ
エステルを用いた場合、その樹脂の溶融粘度が低いため
に、チューブラ法では安定して製膜することが難しい。
れた場合、二軸配向フィルムにおいて、フィルム全幅の
うち、両端の100mmづつを除いた残りの部分全域に
わたり、主配向軸の向きの分布が0°以上30°以下で
あることが好ましい。より好ましくは、0°以上15°
以下である。すなわち、テンタを用いて製膜された場合
には、テンタのクリップに把持されたフィルム端部は十
分な二軸配向がなされないままテンタから出てくる。こ
の部分は通常エッジと呼ばれ、テンタを出て巻き取られ
るまでの間に、切り落とされて、粉砕され、再度原料と
して回収されている。ここで、エッジを除いて製品化さ
れるフィルム全幅における主配向軸の向きの分布が0°
以上30°以下であることが好ましいということであ
る。ここで、主配向軸の向きの分布が30°を超える場
合、特に、幅方向で異なる位置から採取されたフィルム
を重ねて製袋した場合に、非常に大きなカール現象を起
こす。また、フロッピーディスクに利用する場合、端部
近傍から採取された製品は、面内等方性が悪く、記録特
性の低下が大きい。また、前述のように0°未満はあり
得ない。
0°として、フィルム全幅のうち、両端の100mmづ
つを除いた残りの部分全域にわたり、フィルムの主配向
軸の向きが、−15°以上+15°以下であることが好
ましい。より好ましくは、−10°以上+10°以下、
さらに好ましくは−5°以上+5°以下である。すなわ
ち、通常製膜される二軸配向フィルムは横方向に主配向
軸を持っており、包装用やフロッピーディスクなどもこ
のようなものが多い。そこで、主配向軸の向きは絶対値
として、フィルム全幅のうち、両端の100mmづつを
除いた残りの部分全域にわたり−15°以上+15°以
下であることが好ましい。−15°未満あるいは+15
°を超える場合、前述のカールや記録特性の低下などの
問題が生じやすい。
を0°として、フィルム全幅のうち、両端の100mm
づつを除いた残りの部分全域にわたり、フィルムの主配
向軸の向きが、75°以上105°以下であることも好
ましい。より好ましくは、80°以上100°以下、さ
らに好ましくは、85°以上95°以下である。近年、
感熱転写方式に用いられるインクリボンのベースフィル
ムにポリエステルフィルムが用いられているが、厚みを
薄くしてコストダウンを図るために、弾性率の大きなフ
ィルムとする要求が強い。また、さらに、印字時にかか
る熱によるしわの発生が、弾性率を高めることにより小
さくなるなどの知見が明らかとなりつつある。このため
に、フィルムの弾性率を高める場合、縦方向の延伸倍率
を高め、あるいは多段に縦方向の延伸を行い、最終的な
製品フィルムの配向を縦方向にすることが行われる。こ
のような場合、主配向軸の向きは絶対値としてフィルム
全幅のうち、両端の100mmづつを除いた残りの部分
全域にわたり、フィルムの主配向軸の向きが、75°以
上105°以下であることが好ましい。75°未満ある
いは105°を越える場合、特に、弾性率を高めている
にも拘わらず、しわの発生が改善されにくい傾向にあ
る。
とは、フィルムの縦方向(あるいは機械方向)および横
方向(あるいは幅方向)に延伸を行い、縦と横の二軸方
向に分子配向を付与したフィルムを言う。一般には、溶
融押出したポリエステルをキャスティングドラム上で冷
却し、シート状に成形した、非晶無配向のフィルムに縦
延伸、横延伸を順に、あるいは同時に行って得られる。
本発明においては、縦、横延伸を同時に行うことが好ま
しい。縦延伸の後に横延伸を行う場合(逐次二軸延
伸)、縦延伸後のフィルムが縦方向に配向した状態でテ
ンタに入るため、縦に長い形の屈折率楕円体がテンタの
横延伸工程に入るところで斜めの方向に傾き、その斜め
を向いた屈折率楕円体の状態で横延伸されるため、屈折
率楕円体が斜めに歪んだ形に形成される。この様子を図
1に示す。この歪みはフィルムの端部に行くほど、横延
伸工程に入る際の楕円体の傾きが大きいために、歪みが
より大きくなる。ところが同時に延伸する場合、テンタ
に入る際の屈折率楕円体は円(無配向)であるために、
同時延伸工程に入るところで斜めの方向に傾いても円の
ままであるから、延伸を行っても斜めに歪むことがな
い。
をテンタにおいて同時二軸延伸した後、フィルムを構成
するポリエステルのガラス転移点未満の温度まで冷却し
た後に、熱処理することが好ましい。より好ましくは、
ガラス転移点−10℃未満の温度まで冷却することが好
ましい。一般にフィルムに熱寸法安定性を付与するため
に、延伸後に熱処理を施すことが多い。ところが、前述
のように、同時二軸延伸を行うことにより、屈折率楕円
体の歪みを抑えることが可能となるが、延伸後そのまま
熱処理を行った場合、延伸時の応力と熱収縮応力により
熱処理工程における軟化したフィルムが延伸工程に引き
ずり込まれ、ボーイング現象を生じ、屈折率楕円体が歪
み、幅方向の物性分布を生じる。そこで、延伸後に、フ
ィルムを構成するポリエステルのガラス転移点未満の温
度まで冷却した後に熱処理することにより、延伸工程と
熱処理工程の間に硬い部分を設け、ボーイング現象を抑
制することが可能となる。
ルムを構成するポリエステルの融点−80℃以上、融点
以下の温度が好ましい。より好ましくは融点−60℃以
上、融点−15℃以下である。融点−80℃未満である
と熱寸法安定性に欠け、また、融点を超える温度である
と、フィルムが融解し、製膜時に破れが発生する。
クリップがリニアモータ方式により駆動されていること
が好ましい。テンタを用いて同時二軸延伸を行う場合、
レール幅を広げていくことにより横延伸を行うのと同時
に、クリップ同士の間隔を広げて縦延伸も行う必要があ
る。そのために、従来、スクリューの溝にクリップを乗
せて、クリップ間隔を広げていくスクリュー方式、パン
タグラフを用いてクリップ間隔を広げていくパンタグラ
フ方式が用いられていた。しかし、製膜速度が遅い、延
伸倍率などの条件変更が困難であるなどの問題点があっ
た。ところが、近年、リニアモータの原理を用いて、各
クリップを独自に制御して、クリップ間隔を調整するテ
ンタが開発され、製膜速度が、従来の縦、横、順次に延
伸する逐次二軸延伸と変わらないところまで高めること
が可能となった。また、前述したような、縦方向に配向
の強いフィルムを製膜するためには、縦方向に多段階に
延伸することが好ましく、各クリップを個別に制御可能
な該テンタを用いることで簡易に達成することが可能と
なる。
ルムの製造方法について説明する。まず、原料となるポ
リエステルのペレットを真空乾燥して、含有する水分を
除去する。ポリエチレンテレフタレート(PET)やポ
リエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)の場合に
は、180℃程度の温度で、真空下、撹拌しながら2〜
10時間程度乾燥すればよい。次に、乾燥したポリエス
テルペレットを押出機に供給し、未溶融物のない状態で
押出を行う。PETやPENの場合には、270〜30
0℃程度の温度で溶融する。用いる押出機としては、吐
出量に合わせて口径を選ぶが、実験的な小さいもので口
径30mm程度、生産に用いるような大きなもので30
0mm程度までが用いられ、スクリューの長さ(L)と
口径(D)の比L/Dは、20〜35程度のものが用い
られる。押出機で溶融されたポリマは、一般に異物を除
去するために、焼結金属や、金網等を用いたフィルタを
通し、また、定量供給性を高めるためにギアポンプを介
して口金に送られる。口金は、マニホールドと呼ばれる
部分で必要な幅に広げられ、シート上にポリマを吐出す
る部分であり、いくつかの形状が存在するが、ポリエス
テルの場合、フラットダイあるいはTダイと呼ばれるよ
うな、幅方向に平行にポリマを広げてから、吐出させる
シートの形状に合わせたスリット部を持った口金が多く
の場合に用いられることが多い。ここで、スリット部の
間隔は、各種の要因で決められるが、一般には0.5m
m〜4mm程度の間隔で用いられることが多い。
たポリマは、次に、キャスティングドラムと呼ばれる、
表面が鏡面仕上げされた、直径で0.3〜2m程度の回
転冷却ロール上に密着させ、急冷固化される。この際、
冷却能力を上げるため、キャスティングドラムにポリマ
が着地する付近にワイアやテープ状の電極を設け、ポリ
マに5〜15kV程度の静電気を印加し、密着性を高め
る方法が用いられることが多い。このように急冷固化さ
れたポリエステルフィルムは、ほぼ結晶化度が0%の非
晶状態であり、配向状態もほぼ無配向のフィルムとなっ
ている。
するわけであるが、本発明においては、クリップがリニ
アモータ方式により駆動された同時二軸延伸可能なテン
タを用いることが好ましい。まず、得られた非晶無配向
フィルムをテンタに導き、クリップにフィルム両端を把
持させ、予熱工程で、用いるポリエステルのガラス転移
点以上、昇温結晶化温度未満の温度で予熱を行う。次
に、予熱温度±20℃の範囲に加熱された延伸工程で、
縦、横方向同時に、それぞれ2〜8倍延伸を行う。それ
ぞれの延伸倍率の組み合わせは、必要なフィルムの物性
に応じて任意に選ぶことができる。さらに、同時二軸延
伸後に、さらに縦方向、または横方向、あるいは縦、横
方向同時に再延伸を行うことも好ましい。再延伸によ
り、より弾性率などの強度の高いフィルムを得ることが
可能となる。なお、再延伸を行う場合、初めの延伸と再
延伸の間に、初めの延伸温度未満となるような冷却工程
を設けることが好ましい。クリップで把持されたフィル
ム端部近傍はクリップで指定された機械的な延伸倍率で
延伸されるが、フィルム中央部は、最初の延伸と再延伸
の応力のバランスに応じて変形する、前述のボーイング
現象に似たような現象が生じやすい。そのために、間に
冷却工程を設けて、最初の延伸と再延伸の間の応力の伝
搬を遮断することが好ましい。なお、再延伸は1回に限
定されることはなく、2回、3回と行うことも好まし
い。この場合でも、再延伸と次の再延伸の間には冷却工
程を設けることが好ましい。再延伸の回数を増やすほ
ど、総合的な延伸倍率を高めることが可能となり、製膜
速度の向上につながるため、生産性が向上して好ましい
ものである。
一旦、フィルムを構成するポリエステルのガラス転移点
未満の温度まで冷却することが好ましい。この工程は、
一旦テンタから出して、クリップを外しても良いし、テ
ンタ内で冷却工程を設けても良い。テンタ内に冷却工程
を設けた方が、再度熱処理のためのクリップへの把持を
させる必要がないため、生産性が高く好ましい。
ムの厚み、速度により変化するが、フィルムの温度がガ
ラス転移点未満となるための長さ以上が好ましい。フィ
ルムの温度は実測しても良いが、公知の熱計算によって
も計算することができる。
ために、テンタで把持したまま、緊張状態で、フィルム
を構成するポリエステルの融点−80℃以上、融点以下
の温度で熱処理を行う。さらに、熱処理後、冷却しなが
ら寸法を縮めるリラックス処理を行うことで、より高い
熱寸法安定性が得られるので好ましい。特に、リニアモ
ータ方式でクリップを駆動していると、フィルムの縦方
向にもリラックス処理が自由に行えるために好ましい。
ただし、熱寸法安定性を追求するあまり、高すぎる熱処
理温度、また、大きすぎるリラックス処理を行うと、強
度の低下あるいはフィルムの平面性の悪化を引き起こす
ので好ましくない。
まで徐冷してから、ワインダにて巻取り、製品となる。
eitz社製コンペンセータNo.5892を取付けて
白色光で測定した。回転台に試料を取付け、コンペンセ
ータを試料面に平行位置に合わせ、回転台を廻しなが
ら、視野が最も暗くなる位置を探した。そこから45°
回転した位置において、コンペンセータの回転軸に垂直
な方向に一致する方向が主配向軸方向または主配向軸に
垂直な方向となる。ここで、おのおのの場合に、コンペ
ンセータを動かした時に、光のスペクトルの輪が視野中
心を横切るように動く場合が主配向軸の向きとなる。こ
の向きに回転台を合わせた状態で、フィルム上にコンペ
ンセータの回転軸に垂直な方向の線を引き、あらかじめ
引いておいたフィルム幅方向の線となす角度を分度器に
より測定した。
の長さ、あるいは、全幅のサンプルを用意し、5cm間
隔に測定点をマークし、前述の方法で主配向軸の向きを
測定する。全ての測定点の測定が終了したら、その中
で、最大値と最小値を求め、その差の絶対値|最大値−
最小値|の角度を主配向軸の向きの分布とした。なお、
最大値と最小値の決め方は、そのなす角度が鋭角となる
ように取り、0≦主配向軸の向きの分布≦90°とな
る。
点 セイコー電子工業株式会社製“ロボット”DSC−RD
C220を用い、データ処理装置に同社製ディスクステ
ーション−SSC/5200をつないで、熱特性を測定
した。サンプル約5mgをアルミニウム製の受皿に採取
し、20℃/分で300℃まで昇温したサンプルを30
0℃で5分保持し、液体窒素で急冷した後、再度、昇温
速度20℃/分で昇温し、ガラス転移点、昇温結晶化温
度、融点を測定し、それぞれのピーク温度を採用した。
MODEL−AMF/RTA−100を用いて、試料幅
10mm、試料長100mm、引張速度300mm/分
で測定した。
し、フィルム上に間隔約200mmの点を2点マーキン
グする。この2点の間隔を正確に測定し、L0(mm)
とする。次に、150℃に加熱された熱風オーブン中
に、このサンプルを30分間放置後、取り出して室温に
なるまで放置する。サンプルが完全に冷めたら、先程の
2点の間隔を再度測定し、L(mm)とする。ここで、
熱収縮率を、熱収縮率(%)=[(L0 −L)/L0 ]
×100とした。
用いて、幅方向に平行な線をフィルムの端から他端まで
数本マーキングする。延伸後にテンタから出てきたフィ
ルムを採取して、マーキングした線の端から他端を結ぶ
直線(基準線)を引く。弓状に湾曲した線とこの基準線
の最も離れた距離(弓状の湾曲線の頂点との距離)を測
定しb(mm)とする。次に、このフィルムの全幅を測
定しW(mm)とする。ここで、ボーイング量(%)=
(b/W)×100とした。
m×200mmにサンプリングし、同じ大きさの結晶化
ポリプロピレンシート(厚み50μm)をポリエステル
系接着剤を3μmの厚みで塗布した上で、それぞれにド
ライラミネートした。このラミネートされたポリプロピ
レン面同士を重ねて、インパルスシーラーを用いて、4
辺をヒートシールして袋を作成した。次に得られた袋を
120℃に加熱された熱風オーブン中に10分間放置し
た後、取り出して室温まで放冷した。室温まで冷めた袋
を、平らな平板上に置き、反り返って最も高さの高くな
った部分の平板からの高さを測定し、5mm以下のもの
を「○」、5mmを超え15mm以下のものを「△」、
15mmを超えるものを「×」とした。
に、実施例および比較例を示す。
ス転移点78℃、昇温結晶化開始温度151℃、融点2
57℃)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後
に、270℃〜290℃に加熱された押出機に供給し、
ペレットを溶融し、フィルタを通して異物を除去後、1
m幅のTダイよりシート状に成形した。さらにこのフイ
ルムを表面温度25℃に冷却されたキャスティングドラ
ム上に静電気力で密着固化し、未延伸フイルム得た。
リニアモータ方式でクリップを駆動する同時二軸延伸可
能なテンタに導き、フィルム両端部をクリップで把持し
ながら、85℃に加熱した熱風雰囲気の予熱工程で予熱
後、95℃に加熱された延伸工程で一段階に縦方向4.
0倍、横方向4.0倍延伸した。
ま、50℃の冷風を吹き付けながらフィルム温度65℃
まで冷却し、引き続いて220℃の熱風雰囲気下で熱処
理を行い、縦方向に2%、横方向に2%のリラックス処
理を行った後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取
り、厚み12μmの二軸配向フイルムを得た。
ィルムの幅方向において、主配向軸の分布が小さく、ま
た、ボーイング量が小さく、製袋試験の結果、カールの
小さなフィルムを得ることができた。また、縦方向の熱
収縮率も小さい。
で90℃に加熱したロール群に導き、フィルムを加熱
後、2本のロール間で一段階に縦方向に3.3倍延伸し
た。続いて通常のテンタに導き、クリップでフィルム両
端部を把持した後、90℃に加熱された熱風雰囲気下
で、3.6倍の横延伸を行った後、そのまま220℃の
熱風雰囲気下で熱処理を行い、横方向に4%のリラック
ス処理を行った後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻
き取り、厚み12μmの二軸配向フィルムを得た。
ィルムの幅方向において、主配向軸の分布が大きく、ま
た、ボーイング量が大きく、製袋試験の結果、カールが
大きく、実用上、使用に耐えないフィルムとなった。ま
た、横方向の熱収縮率は小さいが、縦方向の熱収縮の大
きなフィルムとなった。
持したまま、50℃の冷風を吹き付けながらフィルム温
度65℃まで冷却し、引き続いて220℃の熱風雰囲気
下で熱処理を行った他は、比較例1と同様にして製膜を
行い、厚み12μmの二軸配向フィルムを得た。
ーイング量は小さいものの、フィルムの幅方向におい
て、主配向軸の分布が大きく、製袋試験の結果、カール
が大きく、品質の悪いフィルムとなった。また、横方向
の熱収縮率は小さいが、縦方向の熱収縮の大きなフィル
ムとなった。
た熱風雰囲気の予熱工程で予熱後、120℃に加熱され
た延伸工程で一段階に縦方向2.0倍、横方向2.0倍
延伸した後、50℃の冷風を吹き付けながらフィルム温
度80℃まで冷却し、引き続いて85℃の熱風雰囲気下
で縦方向2.5倍、横方向2.0倍延伸した。その後は
実施例1と同様に冷却、熱処理、リラックスを行い、厚
み12μmの二軸配向フィルムを得た。
ィルムの幅方向において、主配向軸の分布が小さく、ボ
ーイング量も小さく、製袋試験の結果、カールの小さな
フィルムが得られた。また、縦、横方向ともヤング率、
F5値といった強度特性の高いフィルムが得られ、しか
も、縦、横方向とも熱収縮率が小さなフィルムが得られ
た。
度80℃まで冷却し、引き続いて85℃の熱風雰囲気下
で縦方向3.5倍延伸し、横方向は延伸しなかった。そ
の後は実施例2と同様にして製膜を行い、厚み12μm
の二軸配向フィルムを得た。
ィルムの幅方向において、主配向軸の分布が小さく、ボ
ーイング量も小さく、製袋試験の結果、カールの小さな
フィルムが得られた。また、縦方向にヤング率、F5値
といった強度特性の高いフィルムが得られ、しかも、
縦、横方向とも熱収縮率が小さなフィルムが得られた。
に、引き続き220℃の熱風雰囲気下で熱処理を行っ
た。その後は実施例1と同様にリラックスを行い、厚み
12μmの二軸配向フィルムを得た。
ーイング量が大きく、比較例1ほどではないにせよ、フ
ィルムの幅方向において、主配向軸の分布が大きく、製
袋試験の結果、カールが大きいフィルムとなった。
方向において、主配向軸の分布が小さく、袋としたとき
のツイストカールが小さく、また、コーティング、ラミ
ネート、印刷などの加工時に蛇行などのトラブルが少な
く、さらに、フロッピーディスクなどに使用した場合
に、面内等方性が高いため、磁気記録時のトラブルなど
が少ないフィルムを得ることが可能となる。さらに、こ
の様なトラブルを回避するために、フィルムの中央部近
傍のみを製品化し、端部の製品を屑として回収、あるい
は製品ランクを下げて安売りするなどの対処をする必要
がなく、生産性の向上、コストダウンが可能となるもの
である。
成過程の模式図である。
ルムの進行方向に沿った屈折率楕円体の回転運動 12:横延伸に伴う、屈折率楕円体の横方向への伸長 13:フィルムが横延伸工程を出た時に生じる、フィル
ムの進行方向に沿った屈折率楕円体の回転運動
Claims (6)
- 【請求項1】 フィルム幅方向に1m長の間の主配向軸
の向きの分布が0°以上10°以下であることを特徴と
する二軸配向ポリエステルフィルム。 - 【請求項2】 テンタを用いて製膜された二軸配向フィ
ルムにおいて、フィルム全幅のうち、両端の100mm
づつを除いた残りの部分全域にわたり、主配向軸の向き
の分布が0°以上30°以下であることを特徴とする請
求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 フィルム幅方向を0°として、フィルム
全幅のうち、両端の100mmづつを除いた残りの部分
全域にわたり、フィルムの主配向軸の向きが、−15°
以上+15°以下であることを特徴とする請求項1また
は請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
(但し、反時計方向をプラス方向とする。) - 【請求項4】 フィルム幅方向を0°として、フィルム
全幅のうち、両端の100mmづつを除いた残りの部分
全域にわたり、フィルムの主配向軸の向きが、75°以
上105°以下であることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。 - 【請求項5】 未延伸フィルムをテンタにおいて同時二
軸延伸した後、フィルムを構成するポリエステルのガラ
ス転移点未満の温度まで冷却した後に、フィルムを構成
するポリエステルの融点−80℃以上、融点以下の温度
で熱処理することを特徴とする請求項1〜請求項4のい
ずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方
法。 - 【請求項6】 同時二軸延伸を行うテンタのクリップ
が、リニアモータ方式により駆動されていることを特徴
とする請求項5に記載の二軸配向ポリエステルフィルム
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11260496A JPH09295345A (ja) | 1996-05-07 | 1996-05-07 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11260496A JPH09295345A (ja) | 1996-05-07 | 1996-05-07 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09295345A true JPH09295345A (ja) | 1997-11-18 |
Family
ID=14590896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11260496A Pending JPH09295345A (ja) | 1996-05-07 | 1996-05-07 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09295345A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000248092A (ja) * | 1999-03-02 | 2000-09-12 | Toray Ind Inc | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 |
US6791656B2 (en) | 1999-09-29 | 2004-09-14 | Nec Lcd Technologies, Ltd. | Liquid crystal display panel avoiding display unevenness and manufacturing method |
JP2007301878A (ja) * | 2006-05-12 | 2007-11-22 | Toppan Printing Co Ltd | 透明蒸着フィルム及び包装材料 |
KR100924743B1 (ko) * | 2006-12-11 | 2009-11-05 | 주식회사 코오롱 | 양방향 열수축성 폴리에스테르계 필름 |
-
1996
- 1996-05-07 JP JP11260496A patent/JPH09295345A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000248092A (ja) * | 1999-03-02 | 2000-09-12 | Toray Ind Inc | 磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造方法 |
US6791656B2 (en) | 1999-09-29 | 2004-09-14 | Nec Lcd Technologies, Ltd. | Liquid crystal display panel avoiding display unevenness and manufacturing method |
JP2007301878A (ja) * | 2006-05-12 | 2007-11-22 | Toppan Printing Co Ltd | 透明蒸着フィルム及び包装材料 |
KR100924743B1 (ko) * | 2006-12-11 | 2009-11-05 | 주식회사 코오롱 | 양방향 열수축성 폴리에스테르계 필름 |
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