JPH11216759A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JPH11216759A
JPH11216759A JP10023127A JP2312798A JPH11216759A JP H11216759 A JPH11216759 A JP H11216759A JP 10023127 A JP10023127 A JP 10023127A JP 2312798 A JP2312798 A JP 2312798A JP H11216759 A JPH11216759 A JP H11216759A
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film
thermoplastic resin
cast
sheet
drum
Prior art date
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JP10023127A
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English (en)
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Shunichi Osada
俊一 長田
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
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Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、キャス
トドラムにて、熱可塑性樹脂シート端部の伝熱係数(h
e)とシート中央部の伝熱係数(hc)とが下記式
(1)を満たすように成形した後、リニアモーター方式
により駆動されるテンターにて延伸する。 0.36 ≦ hc/he ≦ 0.8 (1) 【効果】二軸延伸フィルムの製膜時における、キャスト
フィルム端部の成形性を良化させる効果があるととも
に、二軸延伸フィルムの端部近傍での物性ムラを低減
し、さらに製膜速度の大幅な向上による生産性向上効果
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法の改良に関するものである。詳しく言え
ば、二軸延伸フィルムの製膜時における、キャストフィ
ルム端部の成形性を良化させる効果があるとともに、二
軸延伸フィルムの端部近傍での物性ムラを低減し、さら
に製膜速度の大幅な向上による生産性向上効果が得られ
る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムは、包装用途をは
じめとして、各種工業材料用途などに広く用いられてい
る。中でも、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミ
ドの二軸延伸フィルムは、その優れた機械的特性、熱的
特性、電気的特性等により、未延伸フィルムでは使用に
耐えない用途に広く使用され、需要量も増大している。
しかしながら、用途の拡大、生産量の増大に伴い、フィ
ルム特性や、生産性に対する要求がますます激しくなっ
てきている。
【0003】特に、生産性向上のために、製膜速度を高
める傾向にあり、結果として、キャスト速度および/ま
たはフィルム長手方向の延伸倍率を向上させざるえな
い。キャスト速度を速くすると、押出機によりダイから
押し出された溶融シートが、キャストドラム上で冷却固
化される際に、キャストフィルム端部が結晶化し、延伸
時にフィルム破れが起きたり、あるいは端部の平面性が
悪化し、製品における中央部と端部の物性ムラになるば
かりでなく、ひどい場合にはフィルムの両端を把持する
テンタークリップに噛まないことさえある。これらのキ
ャスト速度を上げることにより生じるキャストフィルム
端部に関する問題の原因は、キャストドラム上でのキャ
ストフィルム中央部と端部の冷却速度の差に起因するも
のである。一般に、キャストフィルムの中央部と端部と
の冷却速度を比較すると、中央部の方が冷却速度が速
い。これは、キャストフィルムの端部は、中央部に比べ
厚みが厚いことや端部であるため片側からの張力が存在
しないことによる、キャストドラムとの密着力低下によ
るものである。また、キャスト速度を速くした場合の他
の問題として、たとえ成形性の良好なキャストフィルム
が得られたとしても、従来の技術では、製品を巻き取る
製膜速度は、300m/min.以上にすることは困難
であった。これは、フィルムを延伸するテンターの速度
の上限が、機械的に制約され、従来技術では300m/
min.以上にできないためであった。一般に逐次二軸
延伸フィルムの製膜速度は、キャスト速度×長手方向延
伸倍率であり、例えば、通常のポリエステルの二軸延伸
では、長手方向延伸倍率が4倍程度であるから、キャス
ト速度を75m/min.以上速くできても、意味がな
いことにある。
【0004】このことは、長手方向延伸倍率を上げたと
きにも生じる問題であって、テンターの速度が律速にな
っていた。また、製膜速度300m/min.の範囲内
においても、延伸倍率をむやみに大きくすることは、フ
ィルムの機械的物性や厚み均一性に悪影響を与えること
になるので好ましくない。
【0005】キャスト速度を向上させる手段としては、
例えば特公昭37−6142号公報、特公昭48−29
311号公報に示されるように、溶融ポリエステルシー
トをドラム面と反対側から静電印可し、キャストドラム
とポリエステルシートとの密着力を高める方法がある。
しかしながら、静電印可する範囲をキャストドラム全面
にすると、静電印加装置からドラムへの放電が生じるた
め、実際にはキャストフィルム端部にまでは、静電印可
できない。従って、キャストフィルム端部の冷却速度
は、キャストフィルム中央部の冷却速度より遅く、キャ
スト速度を速くした場合、押出機からの吐出量によって
は、キャストドラムの直径を従来よりはるかに大きくし
ない限り、キャストフィルム端部の結晶化や成形不良の
問題は生じる。さらに、この方法においては、キャスト
速度がはやく速くなると、静電印加により抑える力以上
の随伴気流が発生し、キャストフィルム中央部に空気の
噛み込みムラが生じなどの問題がある。
【0006】また、キャスト速度を向上させる別の手段
として、溶融熱可塑性樹脂を空気の圧力によりキャスト
ドラムに成型する方法がある。この際には、キャストド
ラムの面粗さを粗面化することにより、随伴気流による
空気の噛み込みムラはなくなるが、フィルム表面があれ
るため、フィルムの品質上、限られた用途にしか使用で
きない。さらに、この方法においては、キャストフィル
ムとキャストドラムとの密着力が弱いため、キャストフ
ィルム全体の冷却速度が遅く、結晶化速度の速い熱可塑
性樹脂においては、フィルムが結晶化してしまい二軸延
伸することは困難である。
【0007】たとえ、キャスト速度を高速化し、且つ端
部まで成形性の良好なキャストフィルムが得られとして
も、従来の技術ではテンターの速度が機械的に向上不可
能であったため、製膜速度を300m/min.以上に
することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように従来より、
生産性向上のための製膜速度向上に対する要望は以前か
ら高く、成形性の良好で且つ結晶化を抑制した端部を有
する製造方法については、種々の方法が試みられてきた
が、充分ではなかった。
【0009】本発明は、上記課題を解決し、キャストフ
ィルム端部の結晶化を抑制し、キャストフィルム端部の
成形性が良好であり、二軸延伸フィルムの幅方向の物性
ムラが少なくなるとともに、さらに従来より製膜速度を
大幅に向上した、生産性に非常に優れた熱可塑性樹脂フ
ィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶融状態の熱
可塑性樹脂シートを、キャストドラムにて、熱可塑性樹
脂シート端部の伝熱係数(he:kcal/m2・hr
・℃)とシート中央部の伝熱係数(hc:kcal/m
2・hr・℃)とが下記式(1)を満たすように成形す
ることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で
ある。
【0011】 0.36≦he/hc≦0.8……… (1)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を詳細に説明する。
【0013】本発明における熱可塑性樹脂としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど
のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66など
のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレン
−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレート、および共重合成分と
して、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグ
リコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成
分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン
酸成分などを共重合したポリエステルなどのポリエステ
ル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレン
スルフィド樹脂などを用いることができる。特に、本発
明においては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエス
テルを用いた場合にその効果が高く、好ましい。中で
も、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフ
タレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途
で用いられ、応用・適用効果が高い。また、これらの熱
可塑性樹脂は、ホモ樹脂であってもよく、共重合または
ブレンドであってもよい。また、これらの樹脂の中に、
公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、
結晶核剤、無機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤などが添
加されていてもよい。
【0014】ところで、溶融状態の熱可塑性樹脂シート
を、キャストドラムにて、熱可塑性樹脂シート端部の伝
熱係数heとシート中央部の伝熱係数hcとが下記式
(1)を満たすように成形すると、キャストフィルム端
部の結晶化を抑制し、キャストフィルム端部の成形性が
良好であり、キャスト速度を向上しても、空気の噛み込
みムラによる欠点が発生しないので、生産性を向上でき
る。
【0015】 0.36≦he/hc≦0.8 ………(1) 式1の比は、より好ましくは、0.2≦he/hc≦1
である。さらに好ましくは、0.3≦he/hc≦0.
9である。
【0016】このような条件を満たす方法で、キャスト
されたフィルムは、キャストフィルムと中央部の密着力
の差が少ないため、端部も中央部と同程度の冷却速度を
有するようになり、従来の技術のように端部が著しく結
晶化したり、結晶化しないまでも端部の冷却不足のため
に起こる、端部のカールやたれ下がりなどの成形不良が
抑制される。これらが抑制されることにより、キャスト
速度を従来より大幅に向上できる他に延伸時のクリップ
はずれや破れが起こらなくなるため、生産性が大幅に向
上できる。
【0017】本発明においては、伝熱係数を求めるに際
し、1次元非定常熱伝導の数値解法を利用する。これに
ついては、化学工学協会編化学工学便覧改訂5版P326〜
360に詳しく記述されている。この数値解法(差分法)
の計算は、パーソナルコンピューターを用いて行った。
本発明における伝熱係数とは、ドラム面の伝熱係数のこ
とであり、以下にその求め方を述べる。口金から吐出さ
れたポリマがドラムに着地した後、1s経過したキャス
トフィルムの表面温度について、ドラム面伝熱係数を1
00から4000の範囲で100間隔で振って前述の差
分法に従い計算により求める。ここで言うキャストフィ
ルムの表面温度とは、非ドラム面側すなわちキャストフ
ィルムがドラム面に接している面とは反対側の面側から
厚さ50μmでのキャストフィルム温度のことを指す。
また、計算に際しては、実際の製膜条件であるキャスト
ドラム径・キャストドラム温度・キャスト速度・ポリマ
吐出温度・フィルム厚みを代入するとともに、仮定条件
として非ドラム面雰囲気温度40℃、非ドラム面伝熱係
数15kcal/m2・hr・℃(但し、吹き付け空気
の場合は40kcal/m2・hr・℃とした)、フィ
ルムの熱伝導度0.14kcal/m2・hr・℃、フ
ィルム比熱0.44kcal、フィルム密度1300k
g/m3を代入した。このようにして求めたある伝熱係
数の時のキャストフィルム温度と、実際に放射温度計に
て測定した口金から吐出されたポリマがドラムに着地し
た後、1s経過したキャストフィルム中央部の表面温度
およびキャストフィルム端部の表面温度とを、比較しも
っとも値が近い温度のときの伝熱係数を、キャストフィ
ルム中央部の伝熱係数he及びキャストフィルム端部の
伝熱係数hcとした。この際のキャストフィルム中央部
およびキャストフィルム端部の表面温度の測定位置は、
前者がキャストフィルムの幅方向中心位置であり、後者
はキャストフィルムの端から約10mm中心とした位置
である。
【0018】ここで、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを
得る方法として、代表的な例を挙げる。一般に市販され
ている押出機を用いて、熱可塑性樹脂を供給部に供給
し、押出機内の加熱されたシリンダ部におけるスクリュ
ーの回転により、樹脂を溶融し、押出機から送り出され
た溶融樹脂を、加熱された流路(ポリマー管)内を通し
て口金に導く。必要に応じてフィルターを通して異物、
変性ポリマーを除去し、また、定量供給性を上げるため
にギアポンプを設けても良い。このように導かれたポリ
マーは口金内部で必要な幅に拡幅され、口金から吐出し
溶融状態の熱可塑性樹脂シートを得る。このようにして
得られた溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、キャストド
ラム上にて冷却固化し成形する際の、以下の方法により
熱可塑性樹脂シート端部の伝熱係数heとシート中央部
の伝熱係数hcとが式(1)を満たすことができる。
キャストドラム上にて冷却固化し成形する際の、熱可塑
性樹脂シート端部の伝熱係数heとシート中央部の伝熱
係数hcとが式(1)を満たすような方法としては、溶
融状態の熱可塑性樹脂シートを、水膜あるいは液滴を有
したキャストドラムにて成形する方法と、表面温度が熱
可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃以上熱可
塑性樹脂の融点以下(Tm)のキャストドラムにて成形
する方法の二つが挙げられる。これら二つの方法は、キ
ャストフィルムとキャスティングドラムとの密着力が、
それぞれ水膜による表面張力あるいはポリマーとキャス
トドラムとの粘着により、著しく高く、シート端部の側
面からの空気の噛み込みを大幅に抑制できるため、シー
ト端部の伝熱係数が大きい。そのため、高い冷却効果が
得られ、本発明により期待される効果が十分得られる。
【0019】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、水膜あ
るいは液滴を有したキャストドラムにて成形する方法に
おいては、水膜あるいは液滴はキャストドラムの幅方向
にわたって全面に塗布されていてもよいし、キャストフ
ィルム端部とキャストドラムが接触する部分にのみ塗布
されていてもよい。このキャストフィルム端部とキャス
トドラムが接触する部分の範囲としては、キャストフィ
ルムの端から5cmから10cmの範囲が適当である。
水膜の厚みとしては、0.1μm〜10μmの範囲内で
あることが好ましい。より好ましくは、0.1μm〜5
μmである。さらに好ましくは、0.3μm〜2μmで
ある。ここで、 キャストドラムに水膜を塗布する方法
としては、キャストドラム面に水蒸気を吹き付ける方法
や結露させる方法などがよい。また、液滴を塗布する際
には、液滴としては、最大水滴径が70μm以下であ
り、水滴個数が50〜500個/0.1mm2であるこ
とが好ましい。液滴の塗布方法としては、不織布を多数
枚重畳してなるロールにて塗布する方法がよい。このよ
うに溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、水膜あるいは液
滴を有したキャストドラムにて成形する際に、熱可塑性
樹脂シートの非冷却側から静電印加するとさらに好まし
い。また、非冷却側から空気の圧力により圧着する方法
を併用しても好ましい。この方法では、キャストドラム
とキャストフィルムの間に介在する水の表面張力によ
り、キャストフィルムが従来のキャスト方法にくらべ高
い密着力を有するため、端部の結晶化や端部の成形不良
を抑制するばかりか、従来の技術では不可能であったキ
ャスト速度を容易に達成することができる。従来の技術
では、キャスト速度がある程度速くなった場合、キャス
トフィルムとキャストドラムとの密着力に空気の噛み込
み力がまさるため、えられるキャストフィルムには空気
のカミコミによるムラできてしまい、表面欠点となって
キャスト速度の上限になっていた。しかしながら、該方
法によれば高い密着力が得られるため、キャスト速度の
向上、すなわち生産性の向上にもなる。 溶融状態の熱
可塑性樹脂シートを、水膜あるいは液滴を有したキャス
トドラムにて成形する際に、溶融状態の熱可塑性樹脂シ
ートに静電荷を印加しキャストドラムに密着させる方
法、キャストフィルム中央部のみに印加する電極(ワイ
ヤー状、テープ状、針状)と端部にのみに印加する電極
(ワイヤー状、テープ状、針状)を用意し、各々個別の
電圧で印可する方法、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを
空気の圧力によりキャストドラム上で成形する方法、キ
ャストフィルム中央部と端部をエアーチャンバーにより
圧着し、端部部分にはエアーナイフや小型ロールや小型
のコロを併用して圧着する方法などを併用しても構わな
い。
【0020】次に、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、
表面温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−1
0℃以上、熱可塑性樹脂の融点(Tm)以下のキャスト
ドラムにて成形する方法について説明する。溶融状態の
熱可塑性樹脂シートが、キャストドラムに接触する際の
キャストドラムの表面温度が、熱可塑性樹脂のガラス転
移温度(Tg)−10℃以上、熱可塑性樹脂の融点(T
m)以下であることが好ましい。より好ましくは、ガラ
ス転移温度(Tg)以上、熱可塑性樹脂の冷結晶化温度
(Tcc)以下である。また、キャストフィルムがキャ
ストドラムより離れる直前のキャストドラムの表面温度
は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以下である
ことが好ましい。より好ましくは、キャストフィルムが
キャストドラムより離れる直前のキャストドラムの表面
温度が、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10
℃以下である。このような方法でキャストされたフィル
ムは、キャストフィルムがキャストドラムに接地した
際、粘着力が発生しつよい密着力が生じるため、伝熱係
数が向上し、端部の成形性不良や結晶化を抑制できるほ
か、従来に比べ大幅なキャスト速度を向上できる。 溶
融状態の熱可塑性樹脂シートが、キャストドラムに接触
する部分を加熱する方法として、外部から非接触の遠赤
外線ヒーター・赤外線ヒーター・近赤外線ヒーターなど
を使用して加熱する方法や、ドラム内部に埋め込まれた
ヒーターにより必要な範囲のみを瞬間的に加熱する方法
などがある。また、これらを併用加熱しても良い。好ま
しくは、キャストフィルムがキャストドラムから離れる
点から、口金から吐出された溶融熱可塑性樹脂シートが
キャストドラムに接地する間の範囲を、近赤外線ヒータ
ーを用いて加熱する。この際、キャストドラム内部には
5℃〜溶融熱可塑性樹脂シートのガラス転移温度−10
℃以下の流体が流れていると好ましい。 溶融状態の熱
可塑性樹脂シートを、水膜あるいは液滴を有したキャス
トドラムにて成形する際に、溶融状態の熱可塑性樹脂シ
ートに静電荷を印加しキャストドラムに密着させる方
法、キャストフィルム中央部のみに印加する電極(ワイ
ヤー状、テープ状、針状)と端部にのみに印加する電極
(ワイヤー状、テープ状、針状)を用意し、各々個別の
電圧で印可する方法、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを
空気の圧力によりキャストドラム上で成形する方法、キ
ャストフィルム中央部と端部をエアーチャンバーにより
圧着し、端部部分にはエアーナイフや小型ロールや小型
のコロを併用して圧着する方法などを併用しても構わな
い。 さらに、溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、水膜
あるいは液滴を有したキャストドラムにて成形する方法
と溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、表面温度が熱可塑
性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃以上、熱可塑
性樹脂の融点(Tm)以下のキャストドラムにて成形す
る方法を併用してもよい。
【0021】本発明では、溶融状態の熱可塑性樹脂シー
トを、キャストドラムにて、熱可塑性樹脂シート端部の
伝熱係数heとシート中央部の伝熱係数hcとが式
(1)を満たすように成形した後、リニアモーター方式
により駆動されるテンターにて延伸することが好まし
い。式1を満たすような方法で得られるキャストフィル
ムは、キャストフィルム端部の結晶化が抑制され、キャ
ストフィルム端部の成形性が良好であるとともに、従来
ではキャスト時に空気の噛み込みムラ等の表面欠点発生
のため不可能であった速度でも、キャスト可能であるた
め生産性に優れる。このように従来にくらべ、大幅なキ
ャスト速度の向上を達成できても、従来の技術では延伸
時のテンター速度の機械的な速度上限があるため、意味
のないものとなってしまう。本発明においては、式1を
満たすような方法で得られるキャストフィルムを、リニ
アモーター方式により駆動されるテンターにて延伸する
ことにより、従来不可能であった製膜速度で延伸可能で
あるため、大幅な生産性向上となる。そればかりか、キ
ャストフィルム端部の結晶化が抑制され、キャストフィ
ルム端部の成形性が良好であるとともに、逐次二軸延伸
のキャストフィルムに比べテンターによる同時二軸延伸
のキャストフィルムは端部の厚みが薄くできるため、二
軸延伸されたフィルムは、フィルムの幅方向の物性差が
著しく小さく、特にフィルム端部近傍での物性差が小さ
く、非常に品質にもすぐれたものとなる。
【0022】本発明においては、キャスト速度が80m
/min.以上200m/min.以下であることが好
ましい。より好ましくは80m/min.以上180m
/min.以下である。さらに好ましくは、80m/m
in.以上150m/min.以下である。従来の二軸
延伸時のキャスト速度は、80m/min.より遅く、
このようなキャスト速度が80m/min.以上である
と、従来にくらべ大幅な生産性の向上につながる。キャ
スト速度が200m/min.以上においても、熱可塑
性樹脂の種類や条件によってキャスト自体は可能である
が、二軸延伸と延伸されたフィルムの巻き取りが困難で
あるため、事実上製膜不可能である。
【0023】本発明で言うリニアモーター方式により駆
動されるテンターは、リニアモーターの原理を用いて、
各クリップを独自に制御して、クリップ間隔を調整する
ことができるため、製膜速度が従来の逐次二軸延伸方式
以上になるとともに、さらに任意の延伸方式を取り入れ
ることができるようになる。例えば、長手方向に配向の
強いフィルムを製膜する際には、長手方向に多段階に延
伸したり、同時二軸延伸後にさらに長手方向に延伸する
こともでき、さらに、二軸延伸後に熱処理工程で長手方
向および/または幅方向に寸法を戻すリラックス処理が
可能なために、寸法安定性のよいフィルムや、幅方向に
物性ムラの少ないフィルムにすることができる。すなわ
ち、各クリップを個別に制御可能なクリップのリニア駆
動テンターを用いることで各種優れたフィルムを、従来
不可能であった製膜速度で生産性良く製膜することが可
能となる。このような従来にない高速の製膜速度が達成
でき、且つ自由な延伸形式が取れるには、本発明の特殊
なキャスト方法により、高速のキャストができること
と、キャストフィルムの端部の結晶化が抑制されてお
り、成形性が良いことで始めて可能になるのである。
【0024】二軸延伸の倍率としては、樹脂の種類によ
り異なるが、通常それぞれの方向で2〜12倍程度であ
る。なお、延伸の後に、その歪みを除去するために、リ
ラックス熱処理を行うこともしばしば行われるが、その
とき、延伸後直ちに熱処理するのではなく、延伸後一旦
該延伸フィルムのガラス転移温度以下に冷却した後、熱
処理する方が、幅方向に均一な物性を有したフィルムを
得ることができる。なお、熱処理の温度としては、延伸
温度から熱可塑性樹脂の融点近傍までの様々な温度が用
途に応じてとられる。
【0025】次に、本発明のフィルムの製造方法につい
て説明するが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。まず、熱可塑性樹脂の原料をペレットなどの形態で
用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中、あるいは真
空下で行い、押出機に供給する。押出機内において、融
点以上に加熱溶融された樹脂は、溶融状態でフィルタ、
ギアポンプ等を連結する加熱されたパイプ中を通り異物
を除去される。この際、ギアポンプを連結することで樹
脂の押出量の均一性が向上し、厚みむらの低減に効果が
高い。ダイから吐出されたシート状の溶融樹脂は、静電
気を印加してキャストドラム上に密着冷却固化される。
この時ドラム上に0.1μm程度の極薄い水膜あるいは
水滴を介在させておくと、ドラムへの密着力はさらに向
上して、厚み均質なフィルムとなるので好ましい。該熱
可塑性樹脂のキャストフィルムの中央部の平均厚みをキ
ャストフィルム端部の最も厚い部分の厚みで除した値
が、は3以下、1以上になるように口金などを調整して
成形することが好ましい。
【0026】上記無延伸フィルムをテンターに供試して
同時二軸延伸するが、単純に長手方向および幅方向に同
時に延伸を開始・終了させてもよいが、該同時二軸延伸
の前後に長手方向および/または幅方向に事前の延伸、
または同時二軸延伸後の再延伸をしても良い。特に同時
二軸延伸後に再度長手方向延伸をすることによってエッ
ジ近傍のフィルム形状が直線的になり、縁断率が小さく
なるばかりか、長手方向に強度の強い、平面性の良い、
厚みむらの小さいフィルムになるので好ましい。同時二
軸延伸温度は、該熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、
(ガラス転移温度Tg+100℃)未満であることが好
ましい。ここで、延伸がガラス転移温度Tg未満である
と、フィルムが破れて延伸が不可能となってしまう。一
方、(ガラス転移温度Tg+100℃)を越えると、延
伸時に分子が有効に配向できなかったり、フィルムが破
れたり、厚みむらが大きくなたりして、均一な延伸が不
可能になる。
【0027】同時二軸延伸した後、フィルムを構成する
樹脂のガラス転移点未満の温度まで、好ましくはガラス
転移点−10℃未満の温度まで冷却した後に、熱寸法安
定性付与のために熱処理することが好ましい。延伸後に
直ちにそのままの温度で熱処理を施した場合、延伸時の
応力と熱収縮応力により熱処理工程における軟化したフ
ィルムが延伸工程に引きずり込まれ、ボーイング現象を
生じ、フィルムの屈折率楕円体が歪み、その結果、幅方
向の物性分布を生じる。そこで、これらのボーイング現
象を避けるために、二軸延伸後に該樹脂のガラス転移点
未満の温度まで一旦冷却し、延伸工程と熱処理工程の間
に硬い部分を設け、それぞれの工程を分離した後に熱処
理をすることにより、ボーイング現象を抑制することが
可能となる。
【0028】さらに、熱処理中および後に、寸法を縮め
るリラックス処理を行うことで、より高い熱寸法安定性
が得られるので好ましい。ただし、熱寸法安定性を追求
するあまり、高すぎる熱処理温度、また、多すぎるリラ
ックス率の熱処理を行うと、強度・平面性などの特性の
低下を引き起こすので好ましくない。
【0029】このようにして得られたフィルムは、室温
まで徐冷してから、ワインダーにて巻取り、製品とす
る。かくして得られたフィルムは、感熱孔版用原紙、コ
ンデンサー用原反、感熱転写リボン用原反、磁気テープ
用原反などに有効である。
【0030】
【実施例および比較例】以下、本発明を実施例に基づい
て説明する。なお、実施例中で用いた物性値の評価方法
としては以下に述べる方法を用いた。
【0031】
【物性値の評価法】(1)熱特性 示差走査熱量計として、セイコー電子工業株式会社ロボ
ットDSC「RDC220」を用い、データ解析装置と
して、同社製ディスクステーション「SSC/520
0」を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の受
皿上300℃で約5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固
化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。
この際観察される二次転移をガラス転移温度(Tg)、
冷結晶化ピーク温度を冷結晶化温度(Tmc)、融解ピ
ーク温度を融解温度(Tm)とした。また、300℃ま
で昇温した後、5分間溶融保持し、降温速度20℃/分
で降温した。この際観察される降温結晶化の発熱ピーク
温度を降温結晶化温度(Tcc)とした。 (2)ポリエステルの固有粘度 オルトクロロフェノール中0.1g/ml濃度で25℃
で測定した値である。
【0032】(3)ナイロンの相対粘度 JIS−K6810に従った。
【0033】(4)F5値 株式会社オリエンテック製フィルム強伸度自動測定装置
MODEL AMF/RTA−100を用いて、試料幅
10mm、試料長100mm、引張速度300mm/分
で測定した。フィルムの幅方向の物性ムラは、サンプル
をフィルム幅方向15cm間隔で採取し、長手方向のF
5値および幅方向のF5値の範囲がそれぞれ、±3MP
a以内である場合を「○」、±5MPa「△」、±10
MPa「×」とした。
【0034】(5)伝熱係数 伝熱係数の求め方は、本文に記したとおりである。伝熱
係数を求めるために必要な熱可塑性樹脂シート中央部の
表面温度と端部の表面温度は、タスコジャパン(株)製
放射温度計THI−300を用いた。また測定の際に、
放射率は0.95とし、キャストフィルムに対して測定
面が平行で、かつキャストフィルムとの距離が、5mm
〜10mmの範囲で測定した。
【0035】(6)結晶化度 臭化ナトリウム水溶液による密度勾配管を作製し、25
℃におけるフィルムの密度を測定する。この密度から、 結晶化度(%)=(d−da)/(dc−da)×10
0 とした。ここで、daは非晶密度、dcは完全結晶密度
で、ポリエチレンテレフタレートの場合、文献値より、
da=1.335、dc=1.455g/cm3とし
た。
【0036】(7)端部の成形性 端部の成形性は、目視にて判断した。平面性が良好な場
合を「○」、平面性が幾分悪くカールしている場合を
「△」、平面性が非常に悪く、端部の垂れ下がりなどの
ためにシワなどが生じている場合を「×」とした。
【0037】実施例1 ポリエステルとして、固有粘度0.65、Tg70℃、
Tmc140℃、Tm255℃、Tcc188℃のポリ
エチレンテレフタレートを用いた。それぞれのポリエチ
レンテレフタレートのペレットを180℃で3時間真空
乾燥して押出機に供給し、285℃で溶融状態とした。
ダイは、リップ幅960mm、リップ間隙2mm、ラン
ド長45mmのマニホルドダイを用いた。この状態で樹
脂を押出し、ダイから押し出されたフィルムを、12万
Vの静電気を印加しながら、表面温度25℃に保たれ、
かつ表層には0.1μm径の微細水滴で全面が覆われて
いるΦ1800の径のキャスティングドラム上に100
m/分の高速で引き取り、急冷固化した。かくして得ら
れるキャストフィルムのhc/heは、0.5であっ
た。なお、キャストフィルム端部の結晶化度は3%であ
り、成形性も「○」であった。
【0038】該フイルムの両端をクリップで把持しなが
らリニアー駆動テンターに導き95℃に加熱された雰囲
気中で長手方向および幅方向にそれぞれ4.5倍ずつ同
時二軸延伸し、その後一旦65℃に冷却させ、同じテン
ター内で200℃の熱処理を行い、その後均一に徐冷で
室温まで冷やして巻き取り厚み12μmの二軸配向フイ
ルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの幅方向の物性
ムラは、○であった。かくして製膜した状況、および得
られた特性を表1に示した。この様にフィルム端部の伝
熱係数heとフィルム中央部の伝熱係数hとが、式1を
満たしており、リニアモーター駆動のテンターにて二軸
延伸ることが、生産性良く、且つ品質に優れた安定した
二軸延伸フィルムの製膜には必要であることが判る。
【0039】比較例1 水膜あるいは水滴が塗布されていないキャスティングド
ラム上に60m/分の高速で引き取る以外は、実施例1
と同じ条件で製膜した。かくして得られるキャストフィ
ルムのhc/heは、0.3であり、キャストフィルム
端部の結晶化度は5%、成形性は△であった。なお、二
軸延伸されたフィルムの幅方向の物性ムラは「△」であ
った。
【0040】比較例2 キャスト速度を80m/分の高速で引き取る以外は、比
較例1と同じ条件で製膜した。この方法では、キャスト
時に空気の噛み込みムラによる表面欠点があらわれ、製
品とならないほか、ひどい場合には破れが連続した。か
くして得られるキャストフィルムのhc/heは0.2
であり、キャストフィルム端部の結晶化度は11%、成
形性は×であった。 なお、二軸延伸されたフィルムの
幅方向の物性ムラは「×」であった。
【0041】比較例3 実施例1と同じ方法で得たキャストフイルムを、複数の
ロール群で加熱しロール間の周速差により、100℃の
温度でフィルム長手方向に3倍延伸し、一旦ガラス転移
温度以下まで冷却ロールにて冷却した後、クリップで把
持しながらテンターに導き95℃に加熱された雰囲気中
で幅方向に4倍し、その後一旦65℃に冷却させ、同じ
テンター内で200℃の熱処理を行い、その後均一に徐
冷で室温まで冷やして巻き取り厚み12μmの二軸配向
フイルムを得た。このような方法では、テンターの機械
速度の上限のため、縦延伸倍率が3倍以上にできず、製
膜速度を450m/分にすることはできなかった。得ら
れた逐次二軸延伸フィルムの幅方向の物性ムラは、△で
あった。
【0042】実施例2 ダイから押し出された溶融状態のシートがドラムに着地
する近傍のドラム表面温度が、85℃であり、キャスト
フィルムがドラムから剥離する際のドラム表面温度が4
0℃で、12万Vの静電気を印加しながら、120m/
分の高速で引き取るキャスト方法以外は、実施例1と同
様な方法で製膜した。かくして得られるキャストフィル
ムのhc/heは、0.8であり、キャストフィルム端
部の結晶化度は3%、成形性は○であった。なお、二軸
延伸されたフィルムの幅方向の物性ムラは「○」であっ
た。 実施例3 ポリアミドとして、相対粘度3.4、Tg45℃のナイ
ロン6を用いた。ペレットを押出機に供給し、285℃
で溶融状態とした。ダイは、リップ幅960mm、リッ
プ間隙2mm、ランド長45mmのマニホルドダイを用
いた。この状態で樹脂を押出し、ダイから押し出された
フィルムを、エアーチャンバーによりキャストドラムに
押さえつけながら、表面温度25℃に保たれ、かつ表層
には0.1μm径の微細水滴で全面が覆われているΦ1
800の径のキャスティングドラム上に100m/分の
高速で引き取り、急冷固化した。かくして得られるキャ
ストフィルムのhc/heは、0.5であった。なお、
キャストフィルム端部の結晶化度は10%であり、成形
性も「○」であった。
【0043】該フイルムの両端をクリップで把持しなが
らリニアー駆動テンターに導き110℃に加熱された雰
囲気中で長手方向および幅方向にそれぞれ4倍ずつ同時
二軸延伸し、その後一旦65℃に冷却させ、同じテンタ
ー内で190℃の熱処理を行い、その後均一に徐冷で室
温まで冷やして巻き取り厚み12μmの二軸配向フイル
ムを得た。得られた二軸延伸フィルムの幅方向の物性ム
ラは、○であった。
【0044】以上の実施例1から3および比較例の結果
をまとめたのが表1である。
【0045】
【表1】 上記表1から、キャスト端部の結晶化度を抑制し、成形
性をよくするには、シート端部と中央でのそれぞれの伝
熱係数の比he/hcは、0.36から0.8の範囲に
するとよいことが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法は、溶融状態の熱可塑性樹脂シートをキャストドラム
上でシート中央部とシート端部との伝熱係数の差が小さ
くするために、キャストドラム上でのシート端部の冷却
速度が向上するため、キャストフィルムの端部の結晶化
を抑制するとともに、端部の成形性を向上する効果があ
る。また、二軸延伸フィルムの製膜時における、キャス
トフィルム端部の成形性を良化させる効果があるととも
に、二軸延伸フィルムの端部近傍での物性ムラを低減
し、さらに製膜速度の大幅な向上による生産性向上効果
が得られるものである。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、キャス
    トドラムにて、熱可塑性樹脂シート端部の伝熱係数(h
    e:kcal/m2・hr・℃)とシート中央部の伝熱
    係数(hc:kcal/m2・hr・℃)とが下記式
    (1)を満たすように成形することを特徴とする熱可塑
    性樹脂フィルムの製造方法。 0.36≦he/hc≦0.8 ………(1)
  2. 【請求項2】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、キャス
    トドラムにて、熱可塑性樹脂シート端部の伝熱係数(h
    e)とシート中央部の伝熱係数(hc)とが式(1)を
    満たすように成形した後、引き続いてリニアモーター方
    式により駆動されるテンターにて延伸することを特徴と
    する請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、水膜あ
    るいは液滴を有したキャストドラムにて成形することを
    特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の熱可塑性
    樹脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】溶融状態の熱可塑性樹脂シートを、表面温
    度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)−10℃以
    上熱可塑性樹脂の融点以下(Tm)以下のキャストドラ
    ムにて成形することを特徴とする請求項1あるいは請求
    項3に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂シートの非冷却側から静電印
    加させつつキャストすることを特徴とする請求項1から
    請求項4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製
    造方法。
  6. 【請求項6】多段階にで延伸されすることを特徴とする
    請求項1から請求項5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】該熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリア
    ミド、ポリオレフィンの中から選ばれた一つであること
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】該キャストドラムの周速が、80m/mi
    n以上200m/min以下であることを特徴とする請
    求項1から請求項7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フ
    ィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】テンターにおいて、同時二軸延伸すること
    を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の
    同時二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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