JP2002172696A - 二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法

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JP2002172696A JP2000370443A JP2000370443A JP2002172696A JP 2002172696 A JP2002172696 A JP 2002172696A JP 2000370443 A JP2000370443 A JP 2000370443A JP 2000370443 A JP2000370443 A JP 2000370443A JP 2002172696 A JP2002172696 A JP 2002172696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性に優れかつ幅方向の物性差が小さ
い二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 実質的に無配向のポリエステルフィルム
を長手方向に延伸して得られた一軸延伸フィルムの長手
方向の熱収縮応力が全幅において 6.0N/mm2以下、かつ
幅方向の熱収縮応力の差が10%以下を満たす長手方向一
軸延伸フィルムを更に幅方向に延伸することを特徴とす
る二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも寸法安
定性に優れ かつ 幅方向の物性差の小さい二軸延伸ポリ
エステルフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械
的強度や熱的寸法安定性などが優れていることから磁気
記録用の基材、電子・電気材料、各種包装材料などに広
く使用されている。二軸延伸ポリエステルフィルムは、
一般に速度の異なる複数のロール間を通過させる事によ
りロールの速度差を利用して長手方向に延伸した後、テ
ンター式横延伸機で幅方向に延伸した後熱固定を行う逐
次二軸延伸法によって製造されている。
【0003】しかし、従来の製造方法では製品フィルム
の幅方向の物性を均一にすることは極めて困難であっ
た。この理由は、延伸工程の横延伸装置内においてフィ
ルムの両端はクリップに把持されていて、幅方向延伸に
よって生じる長手方向の延伸応力と熱によって生じる収
縮応力、そして、熱固定工程によって発生する収縮応力
は、フィルムの端部においては把持手段であるクリップ
によって拘束されているに対し、フィルムの中央部は把
持手段の影響が低く拘束力が弱くなり、上記の応力の影
響によってクリップで把持されている端部に対してフィ
ルムの中央部分は遅れが生じるためである。そして、幅
方向延伸と熱固定を連続に同一の横延伸装置で行う場合
において、横延伸装置に入る前のフィルムの面上に幅方
向に沿って直線を描いておくと、この直線は横延伸装置
内で変形してフイルムの進行方向に対して延伸工程の始
めの領域で凸型に変形し、延伸工程の終わり直前の領域
で直線に戻り、延伸工程終了後には凹型に変形する。さ
らに熱固定工程の領域で凹形の変形は最大値に達し、こ
のまま曲線は変化しないでその後の横延伸装置を通過
し、横延伸装置を出たフィルムには凹形の変形が残る。
この現象はボーイング現象と称されているものである
が、このボーイング現象はフィルムの物性値を幅方向に
不均一にする原因となっている。ボーイング現象によっ
て、幅方向両端部のフィルムには長手方向に対して傾斜
した配向主軸が生じ、その配向主軸の角度は幅方向で異
なる傾向がある。この結果、例えば熱収縮率の縦方向か
ら±45°方向の物性値の差がフィルムの幅方向で異な
ってくる。このボーイング現象は、包装用途を一例とす
ると、印刷ラミネート加工、製袋工程等において印刷ピ
ッチずれ、斑の発生、カーリング、蛇行などのトラブル
の原因になっている。
【0004】さらに詳しく述べると、幅方向延伸と熱固
定間に冷却工程を設ける従来技術としては、特公昭35
−11774号公報には幅方向延伸と熱固定工程の間に
20℃〜150℃の弛緩工程を介在させ、実質冷却工程
を設けた製造方法が提案されている。しかし、この冷却
工程の長さについては全く記載されていないばかりか、
ボーイング現象の抑制の効果も全く不明である。
【0005】さらに、ボーイング現象を抑制ないし解消
する技術として、特開昭50−73978号公報には延
伸工程と熱固定工程との間にニップロール群を設置する
フィルムの製造方法が提案されている。しかし、この技
術ではニップロールを設置する中間帯の温度がガラス転
移点以上なので、ニップ点でのフイルムの剛性が低いた
め改良効果が少ない。
【0006】また、特公昭63−24459号公報には
横延伸完了後のフイルムの両端部を把持しながら中央付
近の狭い範囲のみをニップロールによって強制的な前進
をもたらす工程が提案されている。しかし、この技術で
はニップロールを横延伸装置内の高温領域に設置する必
要があり、ロール及びその周辺装置を冷却する必要があ
り、またフィルムが高温であるためロールによる傷が発
生するおそれあり、実用面で制約される。
【0007】また、特公昭62−43856号公報に
は、横延伸直後のフイルムをガラス転移点以下に冷却し
た後、多段に熱固定を行ない熱固定と同時に幅方向に伸
張する技術が提案されている。しかし、この技術では冷
却工程でボーイング現象の抑制が少ないためか、又は熱
固定でボーイング現象が再発生しやすいためか冷却工程
に加えて多段に熱固定する工程と再延伸との複雑な工程
となっている。そのため横延伸装置内の雰囲気湿度やフ
ィルム温度を長時間にわたり安定して制御することが困
難ではないかと懸念される。
【0008】また、この技術も特公昭35−11774
号公報と同様に冷却工程の長さなどは記載されていな
い。
【0009】また、特開平1−165423号公報には
幅方向延伸後のフィルムを幅方向延伸温度以下に冷却し
た後、多段に昇温しながら幅方向に再度伸張する技術が
提案されている。しかし、この技術では、特公昭62−
43856号公報の場合と同様に冷却工程でのボーイン
グ現象の抑制効果が少ないためか、また、熱固定工程で
ボーイングが発生しやすいためか、冷却工程に加えて多
段に熱固定する工程と再延伸する工程との複雑な工程と
なっている。そのため横延伸装置内の雰囲気温度やフィ
ルム温度を長時間にわたり安定して制御することが困難
ではないかと懸念される。また、冷却温度はガラス転移
点以上延伸温度以下が好ましいとの記載がある。しか
し、この程度の冷却工程の長さや冷却工程の温度がガラ
ス転移点以上では、ボーイング現象の抑制効果が少ない
ことが危惧され、上記のような複雑な工程を採用せざる
を得なかったと推測される。
【0010】また、特公平1−25694号公報、特公
平1−25696号公報には、フィルムの走行方向を逆
転させて横延伸、熱固定をする技術が提案されている。
しかし、この技術ではフィルムの走行方向を逆転させる
のにフィルムを一旦巻き取る必要があり、オンラインで
の製造方法であるため生産性の面で制約を受けるなどの
問題点がある。
【0011】さらに、特開昭32−183327号公報
には縦延伸後、横延伸装置で横延伸、熱固定する際に、
横延伸工程と熱固定工程との間に側端部分のみガラス転
移点以上熱固定温度以下の温度の予熱工程を設置する技
術が提案されている。しかし、この技術では、予熱工程
の温度を幅方向に温度勾配を持たせながら制御しなけれ
ばならないため、フィルム温度を長時間にわたり制御す
ることが困難ではないかと懸念される。なお、この技術
の実施例ではこの予熱工程の長さがフイルム幅の半分と
短いことからボーイング現象の抑制の効果が少ないと推
測される。
【0012】また、特公平2−45976号公報には、
熱固定工程を2段階に分けて、第2段階目でフイルム幅
方向に温度分布を付与する熱処理方法が提案されてい
る。しかし、この技術では熱処理工程で発現するボーイ
ング現象の抑制に効果があるものの、延伸工程で発現す
るボーイング現象の抑制効果がなく、最終的に得られる
ボーイング現象の抑制効果が少ないことが推測される。
【0013】さらに、これを解決するため幅方向延伸方
法や熱固定方法に関する工夫が提案されているが、十分
とはいえない。(特開平1−150521、特開昭57
−87331)
【0014】つまり、従来の逐次二軸延伸ポリエステル
フィルムの製造方法においては幅方向端部の製品は熱収
縮率などの物性に異方性がありかつ斜めに歪んでいるた
めそれを用いた最終製品でも問題が生じている。
【0015】一方、従来の逐次二軸延伸ポリエステルフ
ィルムの製造方法における長手方向の延伸方法として
は、フィルムをその軟化温度付近まで予備加熱したの
ち,速度の異なるロール間にフィルム移動方向に交差す
るように配置した近赤外線ヒータによりフィルムを延伸
温度まで加熱しながらロールの速度差を利用して長手方
向に延伸する方法が知られている。
【0016】上記従来技術を利用して長手方向に延伸す
ると幅方向にフィルムの中央と端部で物性差が生じ,更
にそれを幅方向に延伸することによって得られる二軸延
伸ポリエステルフィルムは中央と端部の物性差が拡大さ
れ、端部のフィルムは熱収縮率などの物性に歪みがある
という問題がみられた。特に、スケールの大きな工程
(例えば、生産実機など)においては、上記の問題が顕
著であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題を解
決するためになされたものであり、ボーイング現象を低
減することによって、幅方向に延伸した二軸延伸後フィ
ルムの中央と端部の物性差が小さく端部のフィルムの歪
みが少ない二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法を
目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者は 上記目的を
解決するため鋭意研究した結果、本発明に至った。すな
わち、本発明の逐次二軸延伸ポリエステルフィルムの製
造方法は、実質的に無配向のポリエステルフィルムを長
手方向に延伸して得られた一軸延伸フィルムの長手方向
の熱収縮応力が全幅において 6.0N/mm2以下、かつ 幅方
向の熱収縮応力の差が10%以下を満たす長手方向一軸延
伸フィルムを更に幅方向に延伸するものである。
【0019】この場合において、前記製造方法におい
て、長手方向に延伸する直前に、フィルム端部を加熱す
ることが好適である。
【0020】またこの場合において、前記製造方法にお
いて、長手方向に延伸する直前、幅方向フィルム温度に
温度分布を与えることが好適である。
【0021】さらにまた、この場合において、前記製造
方法において、、長手方向に延伸する際に、端部の温度
の方が中央部より1〜10℃高いことが好適である。
【0022】さらにまた、この場合において、前記製造
方法において、、長手方向に延伸する際に、フィルム端
部の延伸点手前30〜1000mmの位置を遠赤外線ヒ
ータ又は近赤外線ヒータで加熱することが好適である。
【0023】さらにまた、この場合において、前記製造
方法において、、長手方向に延伸直後の一軸延伸フィル
ムの加熱した位置を冷却ファン等の冷却手段で冷却する
ことが好適である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下,本発明を詳細に説明する。
【0025】本発明に使用されるポリエステルとは,ポ
リエチレンテフタレート、ポリブチレンテフタレート、
ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類であ
り、これらの混合物あるいは共重合ポリエステルでも構
わない。前記ポリエステルは、上記ポリエステル以外に
本発明の効果を損なわない範囲で、有機もしくは無機の
滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤などの添加物を含むポリエステル組成物を用いること
ができる。
【0026】本発明におけるポリエステルを押出機に代
表される周知の溶融押出装置に供給し、前記ポリエステ
ルの軟化点以上の温度で加熱溶融する。溶融した該組成
物は、Tダイなどのスリット状ダイから押し出し、冷却
ロール上に密着せしめ冷却固化し、実質的に無配向のポ
リエステルフィルムを得る。実質的に無配向のポリエス
テルフィルムを複数のロール間に供給することにより、
連続的に長手方向に延伸した一軸延伸フィルムを得る。
すなわち 低周速回転に設定した複数のロール(以下、
ロール群という)と高周速回転に設定したロール群を通
過させることにより、各ロール群の速度差によってフィ
ルムに張力を与えて長手方向に延伸する。本発明の方法
は、実質的に無配向のポリエステルフィルムを長手方向
に延伸する際、長手方向に延伸した後の一軸延伸フィル
ムの長手方向熱収縮応力が全幅において6.0N/mm2以下、
かつ 幅方向で長手方向熱収縮応力の差が10%以下を満た
すことが必要である。この範囲外の時は二軸延伸後フィ
ルムの端部の熱収縮率(150℃×30分)の斜め差が大きく
なり、本特許の目的を満足しない。
【0027】長手方向への延伸に際し、長手方向に延伸
した後の一軸延伸フィルムの長手方向熱収縮応力が全幅
において6.0N/mm2以下、かつ 幅方向で長手方向熱収縮
応力の差が10%以下にするためには、低周速回転に設定
されたロール群の最終のロールと高周速回転に設定され
たロール群の最初のロールとの間の延伸区間の直前にフ
ィルム端部を加熱する手段を配設することが好ましい。
このとき、ポリエステル樹脂の押出し後の未延伸シート
は端部の厚みを中央部より厚くすることでクリップで把
持しやすくしている。フィルム端部を加熱する手段を配
設する位置と幅は、横延伸工程でフィルムをクリップに
把持しやすいようにするため、無配向フィルムの端部の
厚さを中央部の厚さより厚くしている部分に相当する位
置と幅が適している。このとき、フィルムの厚みが中央
部の厚みの1.1倍以上の位置を加熱するのが好まし
い。さらに、1.3倍以上の位置を加熱するのが好まし
い。この理由として、中央より厚みが大きい部分は、温
度が上がりにくいためである。前記フィルム端部の加熱
手段は、フィルムの表裏面の片面あるいは両面いずれに
位置させてもよい。
【0028】前記フィルム端部の加熱手段としては 熱
風、ロール、近赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ 等種々
の熱源を使用することができる。また、幅方向にフィル
ム全体を加熱することができる長尺のヒータの中央部に
遮蔽板を設置してもよい。該フィルム端部の加熱は、フ
ィルム温度が中央部より1〜10℃高くなるように加熱
することが好ましい。この理由として、中央より温度を
上げることで、一軸延伸後のフィルムの長手方向の熱収
縮応力の幅方向の差を小さくすることができる。
【0029】本発明の方法は,長手方向への延伸手段と
して一段延伸、二段以上で延伸する多段延伸のどちらで
もよいが、幅方向に物性差が大きい一段延伸方法に用い
ると効果的である。
【0030】上記方法で得られた該一軸延伸フィルム
は、通常の予熱、幅方向延伸、熱固定、冷却を行う横延
伸装置を用いて二軸延伸フィルムにする。この際、前記
二軸延伸ポリエステルフィルムの熱収縮率の斜め差は横
延伸条件や熱固定条件の影響を受けるので、適宜公知の
方法で条件を選択することができる。
【0031】
【作用】実質的に無配向のポリエステルフィルムを長手
方向に延伸する際に、一軸延伸後フィルムの中央と端部
の熱収縮応力に差が生じる。該一軸延伸フィルムを幅方
向に延伸することにより二軸延伸フィルムの中央と端部
の物性の差が拡大される。そこで長手方向に延伸する
際、長手方向の延伸点直前でフィルムの端部を加熱する
ことにより長手方向一軸延伸フィルムの長手方向熱収縮
応力が全幅において6.0N/mm2以下、かつ 幅方向で長手
方向熱収縮応力の差が10%以下にすることで、前記一軸
延伸フィルムを幅方向に延伸し熱固定した後の二軸延伸
フィルムのボーイング現象を抑制できるとともに幅方向
の熱収縮率の差を小さくでき、結果として熱収縮率の斜
め差を小さくすることができる。
【0032】
【実施例】次に 本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお,実施例及び比較例の評価に用いた測定方法
は次の通りである。
【0033】1.熱収縮率 フィルムの中央部、及び 中央から両側にそれぞれ幅方
向に45%(フィルムの全幅を100%として) 離れた位置のフ
ィルムを,23℃×65%RHの雰囲気中で、幅方向に15mm、
長さ方向に200mmの寸法にカットし、標線間の寸法
(L0)を読取顕微鏡によって正確に測定した後、150℃
のオーブン内30分間入れ、オーブンからフィルムを出し
た後、23℃×65%RHの雰囲気中に15分以上 放置して平衝
に達してから前期標線間の寸法(L1)を測定し、次式
より求めた。 熱収縮率(%)= [(L0−L1)/L0] × 100
【0034】2.熱収縮率の斜め差 フィルムの中央部、及び端部すなわち中央から両側にそ
れぞれ幅方向に45%(フィルムの全幅を100%として) 離れ
た位置のフィルムについてフィルム幅方向に対して斜め
45°と135°方向の熱収縮率を測定し、その差を求め
た。測定サンプルは上記斜め方向に沿って幅15mm×長さ
200mmの寸法にカットし、150℃のオーブン内に30分間入
れ、オーブンからフィルムを出した後、23℃×65%RHの
雰囲気中に15分以上放置してから寸法を測定し、処理前
の寸法に対する収縮率を求めた。各斜め方向の収縮率の
差の絶対値を熱収縮率の斜め差とした。熱収縮率の斜め
差が大きいフィルムほど高温に晒された時にカールしや
すいなどの不具合が生じる。
【0035】3.熱収縮応力 フィルムの中央部、及び端部すなわち中央から両側にそ
れぞれ幅方向に45%(フィルムの全幅を100%として) 離れ
た位置の一軸延伸後フィルムを、23℃×65%RHの雰囲気
中で,幅方向に4mm,長手方向に10mmの寸法にカット
し、厚みT(mm)を測定した。それをセイコー電子工業
(株) SSC-5200型を用いて長さを固定したまま 5℃/分
で昇温して熱収縮力 G(N)を測定し、次式より熱収縮応
力を求めた。 熱収縮応力(N/mm2)= G/(4×T)
【0036】(実施例1)十分に乾燥した無機滑剤を0.
1重量%含むポリエチレンテフタレートペレット(極限粘
度0.62)を押し出し機に供給し、285℃で溶融し、Tダイ
よりフィルム状に押し出し、直流高電圧を印加した電極
を用いて冷却ロールに静電密着させ冷却固化せしめて厚
さ200μmの無配向フィルムを得た。横延伸工程でフィル
ムをクリップに把持しやすいようにするため、この無配
向フィルムの端部の厚さは中央部の厚さの1.5倍にし
た。この無配向フィルムをFig.1に示す縦延伸装置に
導いた。この装置は低速回転ロール1a〜1c、高速回転ロ
ール2a〜2cを具備し、低速回転ロール1cと高速回転ロー
ル2a間に赤外線ヒータ-Aが設置されている。近赤外線ヒ
ータ-Aと低速回転ロール1c間にフィルム端部のみを加熱
する近赤外線ヒータ-B、高速回転ロール2a上に端部加熱
した位置のみを冷却する冷却ファンが設置されている。
低速回転ロール1a〜1cの表面温度は76℃に設定され、高
速回転ロール2a〜2cの表面温度は25℃ に設定されてい
る。また近赤外線ヒータ-Aの出力は 17KWに設定されて
いる。なお低速回転ロール、高速回転ロールの温度変
化、近赤外線ヒータ-A、近赤外線ヒータ-B、冷却ファン
の出力変化は可能である。
【0037】無配向シートを低速回転ロール1a〜1c(表
面温度 76℃)で予備加熱した後、中央に比べ厚みの厚い
端部の位置のみ 近赤外線ヒータ-Bで加熱した。幅方向
の温度が均一又は端部が中央部より0℃〜9℃高くなった
無配向フィルムをフィルム幅方向より長い近赤外線ヒー
タ-A(出力 17KW)を用いて更に加熱して3.7倍長手方向に
延伸し、高速回転ロール(表面温度25℃)と冷却ファン
(温度 15℃,出力 1KW)で冷却し、一軸延伸フィルムを
得た。
【0038】引き続き一軸延伸フィルムを予熱、延伸、
熱固定、冷却工程からなる横延伸装置を用いて幅方向延
伸温度120〜150℃で4倍に幅方向に延伸した後、熱固定
温度235℃、幅方向リラックス率5%で熱固定して厚さ1
2μmの二軸延伸フィルムを得た。
【0039】(実施例2、3、4、5、6)フィルム両
端部に設置した近赤外線ヒータBの出力を表1のとおり
にし、冷却ファンの使用の有無も表1のとおりにした以
外は実施例と同様である。
【0040】(比較例1)低速回転ロール1cと近赤外線
ヒータ-Aの間に 近赤外線ヒータ-Bがない以外は実施例1
と同様である。
【0041】これら実施例,比較例の延伸製膜のし易さ
を次のようにランク付けした。 ○;破断なく製膜できた。 △;数回破断した。 ×;破断が頻発した。
【0042】
【表1】
【0043】実施例からわかるように,長手方向への延
伸の際,一軸延伸後フィルムの幅方向の中央と端部の熱
収縮応力差を減少するようにフィルム端部を加熱するこ
とによって 幅方向延伸後の二軸延伸フィルムの中央と
端部の物性差を減少することができた。また長手方向へ
の延伸直後に延伸直前に加熱したフィルム端部の冷却を
行うことで破断を減少する事ができた。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、フィルムを長手方向に
延伸する際、長手方向の延伸点直前でフィルムの端部を
加熱することにより長手方向延伸後の幅方向の中央と端
部のフィルム物性差を減少させ、該一軸延伸フィルムを
幅方向に延伸することによって寸法安定性に優れ、かつ
幅方向の物性差の小さい二軸延伸ポリエステルフィルム
を製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム製造方
法を説明するための長手方向一軸延伸装置の模式図であ
る。
【符号の説明】
1a 低周速回転ロール 1b 低周速回転ロール 1c 低周速回転ロール 2a 高周速回転ロール 2b 高周速回転ロール 2c 高周速回転ロール 3 長手方向延伸前のフィルム 4 長手方向延伸後のフィルム 5 近赤外線ヒータ-A 6 近赤外線ヒータ-B(端部加熱手段) 7 冷却ファン
フロントページの続き Fターム(参考) 4F210 AA24 AG01 AR06 AR20 QA02 QA03 QC01 QC06 QD36 QD39 QG01 QG18 QW15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 逐次二軸延伸ポリエステルフィルムの製
    造方法であって、実質的に無配向のポリエステルフィル
    ムを長手方向に延伸して得られた一軸延伸フィルムの長
    手方向の熱収縮応力が全幅において 6.0N/mm2以下、か
    つ 幅方向の熱収縮応力の差が10%以下を満たす長手方向
    一軸延伸フィルムを更に幅方向に延伸することを特徴と
    する二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の二軸延伸ポリエステル
    フィルムの製造方法であって、長手方向に延伸する直
    前、フィルム端部を加熱することを特徴とする二軸延伸
    ポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは2記載の二軸延伸ポリ
    エステルフィルムの製造方法であって、長手方向に延伸
    する直前、幅方向フィルム温度に温度分布を与えること
    を特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2、3のいずれかに記載の二
    軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法であって、長手
    方向に延伸する際に、端部の温度の方が中央部より1〜
    10℃高いことを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィ
    ルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3、4のいずれかに記載
    の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法であって、
    フィルム端部の延伸点手前30〜1000mmの位置を
    遠赤外線ヒータ又は近赤外線ヒータで加熱することを特
    徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4、5のいずれかに
    記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法であっ
    て、長手方向に延伸直後の一軸延伸フィルムの加熱した
    位置を冷却手段で冷却することを特徴とする二軸延伸ポ
    リエステルフィルムの製造方法。
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