JP2000141471A - 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JP2000141471A
JP2000141471A JP31311998A JP31311998A JP2000141471A JP 2000141471 A JP2000141471 A JP 2000141471A JP 31311998 A JP31311998 A JP 31311998A JP 31311998 A JP31311998 A JP 31311998A JP 2000141471 A JP2000141471 A JP 2000141471A
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cooling
thermoplastic resin
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Mika Aeba
美加 饗場
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
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Toray Industries Inc
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】幅方向における物性が均一であり、かつ熱寸法
安定性に優れ、平面性も良好な二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムを生産性よく得ること。 【解決手段】フィルムを二軸延伸後に熱処理を施した
後、少なくとも2段階以上の冷却工程で、隣り合う冷却
工程間の温度差が5℃以上、30℃以下で、かつ、第1
冷却工程の冷却温度が(Tg+60)℃以上、(熱処理
温度−10)℃以下で、冷却時間が0.5秒以上、20
秒以下となるように冷却し、引き続き、第2冷却工程か
ら最終冷却工程の冷却時間が3秒以上、80秒以下で、
該最終冷却工程温度が(Tg+10)℃以下となるよう
に冷却することを特徴とする二軸配向熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二軸延伸された熱
可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。更
に詳しくは、熱寸法安定性に優れ、かつ平面性も良好で
あり、幅方向における物性が均一な二軸配向熱可塑性樹
脂フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムはその物理的およ
び熱的特性に応じて、様々な分野で利用されている。特
に、縦方向と横方向の二軸方向に延伸されたポリエステ
ルフィルムは、機械的特性などに優れるため、より好ま
しく用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリ
エチレンテレフタレート(PETとも称する)やポリエ
チレン−2,6ナフタレートフィルム(PENとも称す
る)はその機械的特性、熱的特性、電気的特性が優れる
ため、複写機やプリンタなどに使用されるオーバーヘッ
ドプロジェクター(OHP)用シートや製図用原紙、モ
ーターやトランスなどにおける電気絶縁用材料、また、
ICカード用途、FPC基板用や磁気記録用ベースフィ
ルム、プリンタリボンなどのOA用途など様々な用途で
用いられている。
【0003】ここで、ポリエステルの二軸配向フィルム
は、延伸により分子配向させることで、ヤング率などの
機械的特性を向上させたものであるが、このフィルムに
は延伸による歪みが分子鎖に残留するため、加熱により
この分子鎖の歪みが開放され、収縮するという性質を持
っている。この収縮特性を利用して、包装用のシュリン
クフィルムなどへ展開されているが、一般には、上述し
たような用途においては、この収縮特性は障害となるこ
とが多い。
【0004】そこで、二軸延伸後に、横延伸に用いられ
るテンター中で、横延伸に引き続き、熱処理(熱固定と
も呼ばれる)を行うことで、この分子鎖の歪みを開放す
る方法が用いられている。一般に、この熱処理の温度に
応じて熱収縮量は低下していくが、この熱処理だけでは
完全に歪みを除去することができず、熱収縮が残留する
という問題が生じる。従来、この残留歪みを除去するた
めに、テンターのレール幅を先細りになるようにして
(トウイン、リラックスなどと呼ばれる)、幅方向に若
干収縮させるようにして、この残留歪みを完全除去する
方法が採用されている。しかしながら、この方法では、
幅方向の熱収縮率は除去可能であるが、長手方向の熱収
縮を除去することはできない。このため長手方向の熱収
縮を除去する方法について、過去にいろいろな方法が検
討されている。
【0005】例えば、特公平4−28218号公報で
は、テンターのクリップ間隔が除々に狭くなるようにす
ることで、長手方向に弛緩処理を行う方法が提案されて
いる。しかしながら、この方法では、装置上の問題で弛
緩率に上限があり、また、弛緩率を大きくすると、弛緩
処理前のクリップ間隔が広くなり、クリップ把持部と非
把持部の物性むらが大きくなるという問題が生じる。ま
た、いったん、フィルムを巻き取った後に、ゆっくりと
巻き出しながらオーブンで加熱処理し、その際に長手方
向に速度差をつけて弛緩処理を施す方法が行われている
が、この方法ではフィルムが幅固定されていないため、
フィルム面が波打つような状況が生じて、平面性が悪化
するという問題が生じる。また、特公昭60−2261
60号公報には、フィルムの製膜工程中に、オーブンに
よる長手方向の弛緩処理装置を設ける方法が提案されて
いるが、フィルムの製膜速度との兼ね合いで、処理温度
を高めるとフィルムの平面性が悪化するため、温度をあ
まり高められず、結果として熱収縮が十分に除去されな
いという問題が生じるため、低熱収縮性、平面性に優れ
たフィルムが得られていない。
【0006】また、製品化されるフィルム幅方向の物性
の均一化は、収率を向上させる上で重要である。一般
に、幅方向の物性むらは、テンターにおける加熱時に生
じる熱収縮応力によるものと、テンターにおける横延伸
工程で生じる縦方向の収縮力により、熱処理室での加熱
から、剛性が低いフィルムのうち長手方向への拘束が弱
いフィルム中央部が、横延伸工程側に引き込まれること
により生じると考えられている。また、このようにして
生じる物性むらは、テンター入り口でフィルムの横方向
に平行に引いた直線が、出口で弓状に湾曲するボーイン
グ現象と同様に、フィルム幅方向に分布を示す。
【0007】そこで、このボーイング現象を抑える方法
として、例えば、一軸延伸したフィルムをテンターで横
延伸し、いったんクリップ把持を開放し、更に再度クリ
ップでフィルムを把持し、120〜240℃の温度領域
において昇温させながら熱固定する方法(例えば、特開
昭57−87331号公報)、未延伸フィルムを延伸温
度以上で予熱した後、縦横方向に同時二軸延伸し、次い
で等温ずつ多段階に分割昇温させて再熱処理する方法
(例えば、特開昭54−137076号公報)、横延伸
直後にフィルム温度をいったんガラス転移温度以下まで
下げて剛性を増し、熱処理室側のフィルムが延伸室に引
き込まれるの防止する方法(例えば、特開平3−130
27号公報、特開平3−216326号公報)、冷却工
程を入れる代わりに、横延伸と熱処理間にニップロール
を設けて、中央部を強制的に進行させる方法(例えば、
特公昭63−24459号公報)、また、フィルムを二
軸延伸後、フィルムの中央部より端部の温度が高くなる
ように加熱する方法(例えば、特開昭61−23352
3号公報、特開昭62−83327号公報、特開昭62
−183328号公報)などが提案されている。しかし
ながら、このような方法ではボーイング現象を多少抑制
することはできても、熱寸法安定性、機械的特性、平面
性などを損なわずにフィルム幅方向における諸物性を均
一化するには不十分であったり、装置が大型化するとい
った問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を解決し、二軸配向フィルムの宿命である熱収縮を十
分に低減させ、かつ、幅方向において物性が均一で平面
性が良好な二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、フ
ィルムを二軸延伸後に熱処理を施した後、少なくとも2
段階以上の冷却工程で、隣り合う冷却工程間の温度差が
5℃以上、30℃以下で、かつ、第1冷却工程の冷却温
度が(Tg+60)℃以上、(熱処理温度−10)℃以
下で、冷却時間が0.5秒以上、20秒以下となるよう
に冷却し、引き続き、第2冷却工程から最終冷却工程の
冷却時間が3秒以上、80秒以下で、該最終冷却工程温
度が(Tg+10)℃以下となるように冷却することを
特徴とする二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に
関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明においにおける熱可塑性樹脂として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテ
ンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6,ナイロン6
6などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、その
他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹
脂などを用いることができる。また、これらの樹脂はホ
モ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであって
もよい。また、これらの樹脂の中に、各種の添加剤、例
えば酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子およ
び有機粒子などが添加されてもよい。特に無機粒子や有
機粒子はフィルムの表面に易滑性を与え、フィルムの取
り扱い性を高めるためにも有効である。
【0012】また本発明のフィルムは、積層構造をとっ
ていることも好ましい。積層構造としては、フィルムを
横延伸する前に塗材をフィルムに塗布して、テンター内
で溶媒の乾燥、横延伸および熱処理を行う方法が好まし
く行われる。例えば、インクやトナーなどの易接着性、
静電気を抑える帯電防止性などの多様な特性の付与に効
果的である。
【0013】本発明における二軸配向熱可塑性樹脂フィ
ルムとは、フィルムの長手方向と、長手方向と垂直な方
向(幅方向)に分子を配向させたフィルムを言う。具体
的には、溶融押出し、実質的に無配向なフィルムを長手
方向に延伸後、幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸
後、長手方向に延伸する方法、あるいは、長手方向、幅
方向を同時に延伸する方法、また長手方向の延伸と幅方
向の延伸を複数回組み合わせて行ってもよい。本発明に
おいては、二軸配向フィルムの宿命である熱収縮を十分
に低減させ、かつ、幅方向において物性が均一で平面性
が良好な二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法とし
ては、フィルムを二軸延伸後に熱処理を施した後、少な
くとも2段階以上の冷却工程で、隣り合う冷却工程間の
温度差が5℃以上、30℃以下で、かつ、第1冷却工程
の冷却温度が(Tg+60)℃以上、(熱処理温度−1
0)℃以下で、冷却時間が0.5秒以上、20秒以下と
なるように冷却し、引き続き、第2冷却工程から最終冷
却工程の冷却時間が3秒以上、80秒以下で、該最終冷
却工程温度が(Tg+10)℃以下となるように冷却す
ることが必要である。好ましくは、隣り合う冷却工程間
の温度差は20℃以下、更に好ましくは10℃以下であ
り、また、第1冷却工程の冷却温度は(Tg+75)℃
以上、更に好ましくは(Tg+85)℃以上であり、該
冷却時間は15秒以下が好ましく、更に好ましくは10
秒以下である。第2冷却工程から最終冷却工程間の冷却
時間は5秒以上が好ましく、更に好ましくは15秒以上
である。また、該最終冷却工程の温度はTg以下が好ま
しく、更に好ましくは(Tg−10)℃以下である。上
述したように、熱処理だけでは歪みは除去しきれず、熱
収縮が残留している。一般に、フィルムを熱処理後に冷
却する工程では、熱処理により収縮した長さに匹敵する
収縮応力の増大がみらると考えられている。このような
冷却工程ではフィルム温度の高い領域と低い領域が隣接
しているため、クリップで固定されているため、端部は
この収縮量が蓄積され、中央部は緩和する挙動をとり、
フィルムにさまざまな変形を生じさせ、平面性の悪化を
招く原因となる。また、冷却速度が速い程、冷却過程で
の応力増加も大きくなり、フィルム幅方向の応力分布に
おける端部と中央部の応力差、従って弾性回復量の差が
拡大されることとなり、この結果、中だるみが助長され
る。さらに、冷却速度が速いと冷却速度むらが大きくな
り、平面性の悪化が一層顕著になるだけでなく、幅方向
における物性も不均一なものとなってしまう。このた
め、冷却工程での平面性の維持と、幅方向の物性を均一
化するためには、冷却過程で発生する応力の中央部と端
部の差を少なくすること、及び冷却速度むらそのものを
少なくすることが重要であり、そのために徐冷が必要で
ある。また、鋭意検討の結果、熱処理後の冷却を徐冷と
することにより、前述したような平面性維持と幅方向の
物性均一化の効果が得られるだけでなく、熱処理時に残
留していた歪みが除去され、熱収縮が抑制でき、熱寸法
安定性に優れたフィルムが得られることが判明した。
【0014】つまり、熱処理後の冷却工程において、隣
り合う冷却工程間の温度差、第2冷却工程から最終冷却
工程間の冷却時間を上記範囲とし、上記温度範囲の最終
冷却工程までフィルムを徐冷することにより、平面性、
熱寸法安定性に優れ、幅方向の物性が均一なフィルムが
得られる。一方、隣り合う冷却工程間の温度差が上記範
囲を越えたり、第2冷却工程から最終冷却工程間の冷却
時間が上記範囲未満であったり、最終冷却工程の温度が
上記範囲を越えると、フィルムの冷却状態が急冷となる
ため好ましくない。また、上述した冷却時間が上記範囲
を越えることは、生産性を悪くするため好ましくない。
【0015】また、熱処理後に第一冷却工程において
は、上記冷却温度範囲であれば、上記冷却時間の範囲で
フィルムを冷却しても、平面性が悪化することはなく、
幅方向の物性が不均一となることもない。一方、冷却時
間が上記範囲を越えると、該冷却工程を長くしたり、製
膜時間が長くなること等から生産性が悪くなり好ましく
ない。また、冷却温度、及び冷却時間が上記範囲未満で
あると、熱処理工程から冷却工程に移行する際のフィル
ムの冷却速度が増大し、平面性の悪化を招いたり、幅方
向における物性が不均一となるため好ましくない。
【0016】さらに、本発明においては、より熱寸法安
定性に優れ、幅方向の物性が均一なフィルムを得るため
に、該冷却工程の第2冷却工程以降において、長手方向
に弛緩処理を施すことが好ましく、該弛緩率は1%以
上、5%以下とすることが好ましく、更に好ましくは3
%以下である。この際、弛緩処理の方法としては、各種
の方法が考えられるが、特に平面性を維持するために
は、フィルムをテンターのクリップで把持しながらクリ
ップ間隔を縮めていく方法、または、フィルム幅方向に
おける両端部を把持し、かつ、該クリップの把持部にお
いてフィルムが長手方向に移動可能なテンタークリップ
を用いる方法などが好ましい。
【0017】また、本発明におけるフィルム長手方向の
150℃で30分における熱収縮率が−0.1%以上、
1%以下であり、かつ、フィルムの幅方向における熱収
縮率の最大値と最小値の差x(%)のフィルム幅L
(m)に対する比x/L(%/m)が0%/m以上、
0.07%/m以下となるように製造することが好まし
い。更に好ましくは長手方向の熱収縮率が0.7以下、
より好ましくは0.5%以下であり、またx/L(%/
m)は0.05%/m以下が更に好ましく、より好まし
くは0.03%/mである。熱収縮率が上記範囲をはず
れると、高温多湿下での長期保存によるフィルムの伸縮
や変形が生じ易くなったり、加工時の蛇行等が生じるた
め好ましくない。また、x/L(%/m)が上記範囲を
外れると、例えば、ICカード、FPCやインクプルー
フの用途等においてはラミネート時にツイストカールが
生じやすくなり、またOHP用途やリボン用途において
は使用時にフィルムのたるみなどの平面性悪化を招いた
り、収縮による締め付けなどの不具合や印刷時のずれが
生じ易くなる。また、要求の厳しい用途では、幅方向の
物性むらが大きくなり各用途における加工や使用時に、
熱の伝達むら等の問題を引き起こす原因となり好ましく
ない。
【0018】次に、本発明の製造法について具体的に説
明するが、かかる例に限定されるものではない。また、
ここでは熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレー
トの例を示すが、これに限定されるものではない。
【0019】まず、重合したポリエチレンテレフタレー
トのペレットを180℃で5時間真空乾燥した後、27
0〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダ
イよりシート状にに押出す。この溶融されたシートを、
ドラム表面温度25℃に冷却されたドラム上に静電気力
により密着固化し、実質的に非晶状態の成形フィルムを
得る。このフィルムを80〜120℃の加熱ロール群で
加熱し長手方向に3〜6倍に一段もしくは多段で縦延伸
し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、テン
タに導いてこのフィルムの両端部をクリップで把持しな
がら、80〜140℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱
し、幅方向に3〜6倍に横延伸し、熱処理を行い二軸延
伸フィルムを得る。この際、熱処理温度は220〜25
0℃、好ましくは235〜250℃にするのが、熱寸法
安定性に優れたフィルムを得るのに有効である。また、
横延伸後に90〜235℃で熱処理温度に昇温しながら
長手方向に2〜10%の弛緩処理を施し、引き続き20
0〜255℃で熱処理を行うことは低熱収縮性のフィル
ムが得られるだけでなく、幅方向における物性をより均
一にする上でも効果的である。
【0020】ここで、本発明においては、特に平面性を
損なわずに熱寸法安定性に優れ、かつ幅方向における物
性が均一なフィルムを得るために、熱処理後に、まず第
1冷却工程において135〜(熱処理温度−10)℃で
冷却時間が0.5〜20秒となるように一旦冷却し、引
き続き、隣り合う冷却工程間の温度差が5〜30℃とな
るように温度調整した各冷却工程においてフィルムを徐
冷しながら最終冷却工程に導き、該最終冷却工程におい
て温度が65〜165℃で冷却時間が5〜80秒となる
ように冷却する。この際、上記冷却条件が満たされるよ
うに冷却工程数、冷却温度、冷却時間、冷却工程長、製
膜速度等を適宜調整することは好ましいことである。ま
た、該第2冷却工程以降において、長手方向に弛緩率が
1〜5%となるように弛緩処理を施すことにより、より
熱寸法安定性、幅方向の物性均一性に優れたフィルムが
得られるため好ましい。さらに、該冷却工程において幅
方向の熱収縮を抑えるために5%以下の弛緩処理を施す
ことも好ましいことである。
【0021】この際、弛緩方法としては、フィルムをテ
ンターのクリップで把持しながらクリップ間隔を縮めて
いく方法、また、フィルム幅方向における両端部を把持
し、かつ該クリップの把持部においてフィルム長手方向
に移動可能なクリップを用いて、長手方向におけるフィ
ルム端部が収縮応力により収縮させる方法が、熱寸法安
定性に優れ、かつ幅方向において物性な均一なフィルム
を、平面性を悪化させることなく大規模な装置を用いず
に容易に得ることが可能となり好ましい。このようにし
て得たフィルムを室温まで冷却して巻き取ることで本発
明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムが得られる。
【0022】
【物性値の評価方法】(1)熱特性 至差走査熱量計として、セイコー電子工業株式会社製の
ロボットDSC「RDC220」を用い、データ解析装
置として、同社製ディスクステーション「SSC/52
00」を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の
受皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素中で急冷
固化した後、室温から20℃/分で昇温した。このとき
に観測されるガラス状態からゴム状態への移転に基づ
く、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距
離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線と
が交わる点の温度をガラス転移点(Tg)とした。
【0023】(2)熱収縮率 フィルム幅方向において、等間隔で11箇所(両端部と
中央部を含む)の幅10mm、長さ250mmにサンプ
リングした試料に、約200mm間隔となるように直線
を引き、その間隔の長さを万能投影機により測定し、L
0(mm)とする。次に該サンプルを150℃に加熱さ
れた熱風オーブン中で30分間保持し、その後、室温で
2時間冷却した後、再び、直線の間隔を万能投影機で正
確に測定し、L(mm)とする。この測定結果から熱収
縮率={(L0−L)/L0)×100}(%)とし、1
1箇所の熱収縮率の平均値を採用した。
【0024】(3)x/L(%/m) フィルム幅L(m)において、等間隔に11箇所(両端
部と中央部を含む)の150℃で30分におけるフィル
ム長手方向の熱収縮率の最大値をMax(%)、最小値
をMin(%)とする。この値を用いて、x/L=
{(Max−Min)/L}(%/m)として算出し
た。
【0025】(4)平面性 A4サイズにカットしたフィルムをコルク板の上に置
き、不織布を巻き付けた棒でフィルムをしごき、空気を
排除した後、以下のようにして平面性を目視で判定し
た。
【0026】○:コルク板から浮き上がった部分が見ら
れないもの。
【0027】△:コルク板から浮き上がった部分が3ヶ
所以下であるもの。
【0028】×:コルク板から浮き上がった部分が3ヶ
所以上を越えるもの。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0030】実施例1 o−クロロフェノール中で測定した固有粘度0.65の
ポリエチレンテレフタレートを用いた。DSCを用いて
熱特性を測定したところ、Tg:75℃であった。この
ポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で5
時間真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された
押出機に供給し、Tダイよりシート状に成形した。さら
にこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電
気力で密着固化して未延伸フィルムを得た。
【0031】この未延伸フィルムを80〜120℃の加
熱ロール群で加熱し長手方向に3.3倍一段階で縦延伸
し、20〜50℃のロール群で冷却した。続いて、テン
ターへ導き、該フィルムの両端部をクリップで把持しな
がら、90℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、95
℃の熱風雰囲気中で横方向に3.5倍に横延伸し、二軸
配向フィルムを得た。
【0032】このようにして二軸配向されたフィルムを
そのままテンター中で、235℃の熱処理を行い、熱処
理後、第1冷却工程でいったん160℃で1秒間フィル
ムを冷却し、引き続き、隣り合う冷却工程間の温度差が
20℃となるように第2冷却工程から最終冷却工程(第
5冷却工程)で4秒間フィルムを徐冷した。なお、最終
冷却工程の温度は80℃とした。また、この際、該第2
冷却工程以降において、テンターのレール幅を縮めて幅
方向に5%、また、テンターのクリップの間隔を縮めて
長手方向に2%の弛緩処理を施し、テンターから取り出
し、フィルム両端部のエッジ部分をトリミングして巻き
取り、厚み50μmの本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムを得た。
【0033】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。平面性が良好で、熱寸法安定性に優
れ、幅方向における物性も均一化されたものが得られ
た。
【0034】実施例2 実施例1で、第2冷却工程から最終冷却工程間の長手方
向に弛緩処理を施さない以外は、実施例1と全く同様に
して、テンターから取り出し、フィルムエッジ部分をト
リミングして巻き取り、厚み50μmの本発明の二軸配
向熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0035】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が若
干大きいが、平面性が良好で、幅方向における物性も均
一化されたものが得られた。
【0036】比較例1 実施例1で、第2冷却工程から最終冷却工程間の冷却時
間を2秒に、該最終冷却工程温度を120℃に、冷却工
程数を3工程に変更する以外は、実施例1と全く同様に
して、テンターから取り出し、フィルムエッジ部分をト
リミングして巻き取り、厚み50μmの本発明の二軸配
向熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0037】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が大
きく、幅方向における物性も不均一であり、平面性も劣
ったものとなった。
【0038】実施例3 実施例1で、隣り合う冷却工程間の温度差を10℃に、
冷却工程数を9工程に変更する以外は、実施例1と全く
同様にして、テンターから取り出し、フィルムエッジ部
分をトリミングして巻き取り、厚み50μmの本発明の
二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0039】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と同様に平面性が良好で、
熱寸法安定性に優れ、幅方向における物性も均一化され
たものが得られた。
【0040】比較例2 実施例1で、冷却工程数を1工程に変更する以外は、実
施例1と全く同様にして、テンターから取り出し、フィ
ルムエッジ部分をトリミングして巻き取り、厚み50μ
mの本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0041】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が大
きく、幅方向における物性も不均一であり、平面性も劣
ったものとなった。
【0042】比較例3 実施例1で、第1冷却工程の冷却時間を0.3秒に変更
し、最終冷却工程の温度を60℃に変更する以外は、実
施例1と全く同様にして、テンターから取り出し、フィ
ルムエッジ部分をトリミングして巻き取り、厚み50μ
mの本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0043】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が若
干大きく、幅方向における物性も不均一であり、平面性
も劣ったものとなった。
【0044】比較例4 実施例1で、隣り合う冷却工程間の温度差を50℃に、
第2冷却工程から最終冷却工程間の冷却時間を2秒に、
最終冷却工程の温度を60℃に、冷却工程数を3工程に
変更する以外は、実施例1と全く同様にして、テンター
から取り出し、フィルムエッジ部分をトリミングして巻
き取り、厚み50μmの本発明の二軸配向熱可塑性樹脂
フィルムを得た。
【0045】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が大
きく、幅方向における物性も不均一であり、平面性も劣
ったものとなった。
【0046】実施例4 実施例1で、第1冷却工程の冷却時間を1.8秒に変更
し、第2冷却工程から最終冷却工程での冷却時間を7.
2秒に変更する以外は、実施例1と全く同様にして、テ
ンターから取り出し、フィルムエッジ部分をトリミング
して巻き取り、厚み50μmの本発明の二軸配向熱可塑
性樹脂フィルムを得た。
【0047】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と同様に平面性が良好で、
熱寸法安定性に優れ、幅方向における物性も均一化され
たものが得られた。
【0048】実施例5 実施例1で、第1冷却工程の冷却時間を3.6秒に変更
し、隣ある冷却工程間の温度差を30℃に、第2冷却工
程から最終冷却工程での冷却時間を10.8秒に、最終
冷却工程の温度を70℃に、また、冷却工程数を4工程
に変更する以外は、実施例1と全く同様にして、テンタ
ーから取り出し、フィルムエッジ部分をトリミングして
巻き取り、厚み50μmの本発明の二軸配向熱可塑性樹
脂フィルムを得た。
【0049】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と同様に平面性が良好で、
熱寸法安定性に優れ、幅方向における物性も均一化され
たものが得られた。
【0050】比較例5 実施例1で、第1冷却工程の温度を100℃に変更する
以外は、実施例1と全く同様にして、テンターから取り
出し、フィルムエッジ部分をトリミングして巻き取り、
厚み50μmの本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム
を得た。
【0051】得られた二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
特性を表1に示す。実施例1と比較して、熱収縮率が大
きく、幅方向における物性も不均一であり、平面性も劣
ったものとなった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、フィルム幅方向におけ
る物性が均一であり、かつ熱寸法安定性に優れ、平面性
が良好な二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを生産性よく得
ることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F210 AA24 AE01 AG01 QA02 QA03 QC16 QG01 QG18 QW06 QW12 QW15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルムを二軸延伸後に熱処理を施した
    後、少なくとも2段階以上の冷却工程で、隣り合う冷却
    工程間の温度差が5℃以上、30℃以下で、かつ、第1
    冷却工程の冷却温度が(Tg+60)℃以上、(熱処理
    温度−10)℃以下で、冷却時間が0.5秒以上、20
    秒以下となるように冷却し、引き続き、第2冷却工程か
    ら最終冷却工程の冷却時間が3秒以上、80秒以下で、
    該最終冷却工程温度が(Tg+10)℃以下となるよう
    に冷却することを特徴とする二軸配向熱可塑性樹脂フィ
    ルムの製造方法。
  2. 【請求項2】該冷却工程の第2冷却工程以降において、
    長手方向に弛緩処理を施すことを特徴とする請求項1に
    記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】該弛緩率が1%以上、5%以下であること
    を特徴とする請求項2に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フ
    ィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】フィルムの長手方向の150℃で30分の
    熱収縮率が、−0.1%以上、1%以下であり、かつ、
    フィルムの幅方向における、フィルム長手方向の150
    ℃で30分の熱収縮率の最大値と最小値の差x(%)の
    フィルム幅L(m)に対する比x/L(%/m)が、0
    %/m以上、0.07%/m以下であることを特徴とす
    る請求項3に記載の二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009149065A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Toyobo Co Ltd ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、およびその製造方法
JP2009149066A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Toyobo Co Ltd ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、およびその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009149065A (ja) * 2007-11-29 2009-07-09 Toyobo Co Ltd ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、およびその製造方法
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