JP2001187421A - テンタークリップ及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

テンタークリップ及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JP2001187421A
JP2001187421A JP2000000339A JP2000000339A JP2001187421A JP 2001187421 A JP2001187421 A JP 2001187421A JP 2000000339 A JP2000000339 A JP 2000000339A JP 2000000339 A JP2000000339 A JP 2000000339A JP 2001187421 A JP2001187421 A JP 2001187421A
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film
clip
tenter
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stretching
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Mika Aeba
美加 饗場
Yutaka Harada
裕 原田
Naohiro Takashima
直弘 高島
Ryoji Furuno
良治 古野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】幅方向に沿って物性が均一であり、かつ熱寸法
安定性、機械的特性にも優れ、平面性も良好な熱可塑性
樹脂フィルムを生産性よく得ることが可能となるテンタ
ークリップと熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供す
ること。 【解決手段】テンターにおける延伸、熱処理及び/また
は冷却する工程に用いるテンタークリップにおいて、ク
リップ把持部の機構が延伸工程ではクリップ把持部内に
おいてフィルムが長手方向に移動せず、熱処理及び/ま
たは冷却工程ではクリップ把持部内においてフィルムが
長手方向に移動可能となる機構に変化することを特徴と
するテンタークリップ及び熱可塑性樹脂フィルムの製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テンタークリップ
及び熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものであ
る。更に詳しくは、テンターにおいて、フィルムをクリ
ップ外れが生じることなく機能性よく、延伸もしくは熱
処理及び/または冷却するためのテンタークリップ、及
び熱寸法安定性、機械的特性に優れ、平面性が良好で幅
方向の物性が均一な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムは、その物理的、
熱的特性に応じて様々な分野で利用されている。特に、
縦方向、横方向の二軸方向に延伸をかけたポリエステル
フィルムは、機械的特性などにも優れるため、より好ま
しく用いられている。中でもポリエステルフィルム、特
にポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6
ナフタレートフィルムは、その機械的特性、熱的特性、
電気的特性が優れるため、複写機やプリンタなどに使用
されるオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用シート
や製図用原紙、モーターやトランスなどにおける電気絶
縁用材料、また、ICカード用途、FPC基板用や磁気
記録用ベースフィルム、プリンタリボンなどのOA用途
などさまざまな用途で用いられている。
【0003】ここで、ポリエステルの二軸配向フィルム
は、延伸により分子配向させることで、ヤング率などの
機械的特性を向上させたものであるが、このフィルムに
は延伸による歪みが分子鎖に残留するため、加熱により
この分子鎖の歪みが開放され、収縮するという性質を持
っている。この収縮特性を利用して、包装用のシュリン
クフィルムなどへ展開されているが、一般には、上述し
たような用途においては、この収縮特性は障害となるこ
とが多い。
【0004】そこで、二軸延伸後に、横延伸に用いられ
るテンター中で、横延伸に引き続き、熱処理(熱固定と
も呼ばれる)を行うことで、この分子鎖の歪みを開放す
る方法が用いられている。一般に、この熱処理の温度に
応じて熱収縮量は低下していくが、この熱処理だけでは
完全に歪みを除去することができず、熱収縮が残留する
という問題が生じる。従来、この残留歪みを除去するた
めに、テンターのレール幅を先細りになるようにして
(トウイン、リラックスなどと呼ばれる)、幅方向に若
干収縮させるようにして、この残留歪みを完全除去する
方法が採用されている。
【0005】しかしながら、この方法では、幅方向の熱
収縮率は除去可能であるが、長手方向の熱収縮を除去す
ることはできない。このため長手方向の熱収縮を除去す
る方法について、過去にいろいろな方法が検討されてい
る。
【0006】例えば、特公平4−28218号公報で
は、テンターのクリップ間隔が除々に狭くなるようにす
ることで、長手方向に弛緩処理を行う方法が提案されて
いる。
【0007】しかしながら、この方法では、装置上の問
題で弛緩率に上限があり、また、弛緩率を大きくする
と、弛緩処理前のクリップ間隔が広くなり、クリップ把
持部と非把持部の物性むらが大きくなるという問題が生
じる。また、いったん、フィルムを巻き取った後に、ゆ
っくりと巻き出しながらオーブンで加熱処理し、その際
に長手方向に速度差をつけて弛緩処理を施す方法が行わ
れているが、この方法ではフィルムが幅固定されていな
いため、フィルム面が波打つような状況が生じて、平面
性が悪化するという問題が生じる。また、特公昭60−
226160号公報には、フィルムの製膜工程中に、オ
ーブンによる長手方向の弛緩処理装置を設ける方法が提
案されているが、フィルムの製膜速度との兼ね合いで、
処理温度を高めるとフィルムの平面性が悪化するため、
温度をあまり高められず、結果として熱収縮が十分に除
去されないという問題が生じるため、低熱収縮性、平面
性に優れたフィルムが得られていない。
【0008】また、製品化されるフィルム幅方向の物性
の均一化は、収率を向上させる上で重要である。一般
に、幅方向の物性むらは、テンターにおける加熱時に生
じる熱収縮応力によるものと、テンターにおける横延伸
工程で生じる縦方向の収縮力により、熱処理室での加熱
から、剛性が低いフィルムのうち長手方向への拘束が弱
いフィルム中央部が、横延伸工程側に引き込まれること
により生じると考えられている。
【0009】また、このようにして生じる物性むらは、
テンター入り口でフィルムの横方向に平行に引いた直線
が、出口で弓状に湾曲するボーイング現象と同様に、フ
ィルム幅方向に分布を示す。そこで、このボーイング現
象を抑える方法として、例えば、一軸延伸したフィルム
をテンターで横延伸し、いったん、クリップ把持を開放
し、更に再度クリップでフィルムを把持し、120〜2
40℃の温度領域において昇温させながら熱固定する方
法(例えば、特開昭57−87331号公報)、未延伸
フィルムを延伸温度以上で予熱した後、縦横方向に同時
二軸延伸し、次いで等温ずつ多段階に分割昇温させて再
熱処理する方法(例えば、特開昭54−137076号
公報)、横延伸直後にフィルム温度をいったんガラス転
移温度以下まで下げて剛性を増し、熱処理室側のフィル
ムが延伸室に引き込まれるの防止する方法(例えば、特
開平3−13027号公報、特開平3−216326号
公報)、冷却工程を入れる代わりに、横延伸と熱処理間
にニップロールを設けて、中央部を強制的に進行させる
方法(例えば、特公昭63−24459号公報)、ま
た、フィルムを二軸延伸後、フィルムの中央部より端部
の温度が高くなるように加熱する方法(例えば、特開昭
61−233523号公報、特開昭62−83327号
公報、特開昭62−183328号公報)などが提案さ
れている。
【0010】しかしながら、このような方法ではボーイ
ング現象を多少抑制することはできても、熱寸法安定
性、機械的特性、平面性などを損なわずにフィルム幅方
向における諸物性を均一化するには不十分であったり、
装置が大型化するといった問題が生じる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
を解決し、幅方向において物性が均一であり、かつ熱寸
法安定性に優れ、平面性も良好な二軸配向熱可塑性樹脂
フィルムの製造を可能にするテンタークリップと、該テ
ンタークリップを用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方
法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のテン
タークリップは、延伸、熱処理及び/または冷却する工
程に用いるテンタークリップにおいて、クリップ把持部
の機構が延伸工程ではクリップ把持部内においてフィル
ムが長手方向に移動せず、熱処理及び/または冷却工程
ではクリップ把持部内においてフィルムが長手方向に移
動可能となる機構に変化することを特徴とするテンター
クリップである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明におけるテンタークリップとは、テ
ンターにおける製膜工程で使用するクリップをいい、テ
ンターにおける延伸、熱処理または冷却する工程に用い
るテンタークリップにおいて、クリップ把持部の機構が
延伸工程ではクリップ把持部内においてフィルムが長手
方向に移動せず、一方、熱処理及び/または冷却工程で
はクリップ把持部内においてフィルムが長手方向に移動
可能となる機構に変化するものである。
【0015】従来、通常用いられてきたテンタークリッ
プは、テンターにおける各製膜工程においてクリップ把
持部の機構が変化することはなく、クリップ把持部内の
フィルムは長手方向にも拘束されているため、クリップ
自体の動きに伴って移動している。そのため、加熱や冷
却時に発生する収縮応力により、フィルム中央部は発生
する収縮応力に応じて比較的自由に収縮することができ
るが、端部はクリップの動きに伴って移動しているため
に収縮することができず、中央部と端部とで物性の異な
ったフィルムとなってしまう。
【0016】しかしながら、本発明のテンタークリップ
はクリップ把持部の機構が、延伸工程においてはクリッ
プ外れを起こすことなく延伸できる機構となり、熱処理
及び/または冷却工程においてはフィルム端部が収縮応
力に応じて長手方向に移動可能となる機構に変化するた
め、装置を大型化することなく長手方向に弛緩処理を施
すことが可能となる。そのため、ボーイング現象を抑制
して幅方向に物性が均一なフィルムを容易に得ることが
可能となる。
【0017】また、本発明においては、熱処理及び/ま
たは冷却工程において、フィルム長手方向のフィルム拘
束力x(N)のクリップ把持幅L1 (mm)に対する比
x/L1 (N/mm)が2(N/mm)以下であり、か
つ、フィルム幅方向のフィルム把持力y1 (N)のクリ
ップ把持幅L2 (mm)に対する比y1 /L2 (N/m
m)が0.5(N/mm)以上であることが好ましい。
より好ましくはx/L 1 は1(N/mm)以下、更に好
ましくは0.5(N/mm)以下、最も好ましくは0.
3(N/mm)以下であり、またy1 /L2 は1(N/
mm)以上がより好ましく、更に好ましくは2(N/m
m)以上、最も好ましくは3(N/mm)以上である。
x/L1 が2(N/mm)以下であることにより、フィ
ルム端部も収縮応力に応じて長手方向に移動可能となり
幅方向に物性が均一なフィルムを得ることが可能となる
ため好ましい。また、一般に同じ条件で得た厚みの異な
る未熱処理二軸延伸フィルムは、厚みの薄いフィルムの
方が収縮力が小さくなる。そのため、x/L1 が上記範
囲を超えると、特に厚みの薄いフィルムの場合はフィル
ム端部が長手方向に移動しにくくなるため好ましくな
い。
【0018】また、一般にテンターにおいて熱処理及び
/または冷却などを施す際にはフィルムの幅方向におい
て収縮応力が発生するが、円滑に製膜を行うためには、
これらの応力によるクリップ外れを生じさせないことが
重要である。しかしながら、y1 /L2 (N/mm)が
0.5(N/mm)未満であると収縮応力に耐えきれ
ず、フィルムのクリップ外れが生じやすくなるため好ま
しくない。
【0019】さらに、本発明においては、延伸工程にお
いて、フィルム幅方向のフィルム把持力y2 (N)のク
リップ把持幅L2 mmに対する比y2 /L2 (N/m
m)が1(N/mm)以上であることが好ましい。より
好ましくは5(N/mm)以上、更に好ましくは6(N
/mm)以上、最も好ましくは8(N/mm)以上であ
る。一般にテンターで延伸を行う際には延伸応力が発生
するために、この応力によるクリップ外れを生じさせな
いことが重要である。しかしながら、y2 /L2(N/
mm)が1(N/mm)未満であると、特に、横延伸倍
率が3倍を越えるような高倍率延伸の際に延伸応力に耐
えきれずフィルムのクリップ外れが生じやすくなるため
好ましくない。
【0020】なお、本発明において、1つのクリップが
フィルム幅方向を把持している長さをクリップ把持幅L
1 とし、フィルム長手方向を把持している長さをクリッ
プ把持幅L2 (mm)とした。また、フィルム拘束力と
は、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートのフィ
ルム両端部をクリップで把持し、(株)今田製作所製の
プッシュスケール「PS−10K」及び「PSH−10
0K」を使用して、フィルムを引張り速度0.3m/分
で長手方向に走行させた際の走行力を測定し、該走行力
をクリップの拘束力x(N)とした。さらに、フィルム
把持力とは、自作製フィルム把持力試験機(クリップテ
スター)を用いて、厚み75μmのポリエチレンテレフ
タレートのフィルム両端部をクリップで把持し、フィル
ムを引張り速度0.3m/分で幅方向に引張った際に、
フィルムがクリップ外れを起こした際の張力を測定し、
該張力をクリップのフィルム把持力y1 (N)とし、同
様にして測定した厚み300μmのポリエチレンテレフ
タレートのフィルム把持力をy2 (N)とした。
【0021】また、本発明においては、熱処理及び/ま
たは冷却工程におけるテンタークリップの把持部の形態
はロール形状であることが好ましい。
【0022】ここで、本発明における熱処理及び/また
は冷却工程における把持部とは、図1〜4に示す下ロー
ル3と上ロール9を指し、円柱形状、そろばん玉形状お
よび太鼓ロール形状等がより好ましい。特に、円柱形状
のものを用いることはフィルム両端部を把持しながらフ
ィルムを長手方向に自由に移動させることが容易となる
ため、該テンタークリップの機能性を向上させる上でも
好ましいことである。
【0023】また、この際、該把持部の上ロール1個と
下ロール1個を一組とした場合、該組数に対する該クリ
ップ把持幅L2 の比は1/60以上が好ましく、更に好
ましくは1/30以上であり、また該把持部のロールの
表面粗さを表すパラメータである最大高さは2μm以下
が好ましく、より好ましくは1μm以下、更に好ましく
は0.6μm以下である。
【0024】以下に、本発明のテンタークリップを図面
に基づいて説明する。
【0025】図1ないし図4は、本発明の一実施例に係
るテンタークリップの構造例をモデル的に示した概略図
であり、図1および図4は本発明のテンタークリップの
フィルム解放状態を示す側断面図、図2は延伸工程にお
けるテンタークリップのフィルム把持状態を示す側断面
図、図3は熱処理及び/または冷却工程におけるテンタ
ークリップのフィルム把持状態を示す側断面図である。
【0026】図において、1はフィルム4の幅方向端部
を把持・解放するテンタークリップを示しており、テン
タークリップ1はクリップ台(図示せず)に支持されて
いる。テンタークリップ1はベース1aとアーチ形に起
立した形状の起立部1bを有し、ベース1aの凹部には
軸2に支持されフィルム長手方向に回転自在に軸支さ
れ、内部に軸受材が組み込まれた下ロール3が複数個設
けられている。
【0027】起立部1bの先端部にはクリップレバー軸
5が設けられている、6はそのほぼ中央部を軸5に回転
自在に軸支されたクリップレバーで、クリップレバー6
は軸5による軸支部を境に上部レバー6aと下部レバー
6bとで構成されている。下部レバー6bにはベース1
aとほぼ同等の長さを有する爪部7と、凹部にフイルム
長手方向に回転自在に軸8に支持され、内部に軸受材が
組み込まれた上ロール9が複数個設けられている。ここ
で、下ロール3と上ロール9の内部に組み込む軸受材は
すべり軸受やベアリング等を用いる。
【0028】10はクリップレバー6のフィルム把持・
解放の位置を保持するための圧縮コイルバネである。1
1はクリップクローザーであり、テンター入口部に、1
2はクリップ制御板であり、熱処理及び/または冷却工
程に、13はクリップオープナーであり、テンター出口
部にそれぞれ設けられている。
【0029】次に、テンタークリップの動作について説
明する。
【0030】テンター入口部では図1に示すようにテン
タークリップは解放状態であり、フィルム4がテンター
クリップ1のベース1aと下部レバー6bとの間に挿入
される。次に、テンター入口部に設けられたクリップク
ローザー11により図2に示すように、クリップレバー
6がクリップレバー軸5を中心に回動し、フィルム4の
端部をベース1aの下ロール3と下部レバー6bの爪部
7で把持される。その後、テンタークリップ1はレール
(図示せず)に案内され延伸工程でフィルム4の横延伸
が行われる。ここで、下ロール3と上ロール9の関係
は、クリップレバー軸5の中心から下ロール3の外周
(下ロール3の上面)に向け引いた垂線Sの長さと、ク
リップレバー軸5の中心に上ロール9の下面までの最大
径Rが同じかまたは短くなっており、クリップクローザ
ー11の作用により下ロール3に当接せず、下ロール3
の外側(フィルム4の中央方向)へ回動可能な構造にな
っている。一方、下部レーバ6bの爪部7は軸心がクリ
ップレバー5の中心とXだけ離れたところにオフセット
されており、またその軸長Lは垂線Sの長さと等しい
か、または長く設定されいるため、フィルム4が横延伸
工程でa方向に引っ張られと、それにつられてクリップ
レバー軸5を中心に爪部7が回動するため、下ロール3
との間で、フィルム4の把持力が増大するセルフロック
機構となっているため、横延伸工程でフィルム4がクリ
ップから外れることがない。
【0031】延伸工程が終わると、クリップはレールに
案内され熱処理及び/または冷却工程に入る。
【0032】テンタークリップ1は熱処理及び/または
冷却工程で、上部レバー6aがクリップ制御板12と当
接し、クリップレバー6が図3に示すようにクリップレ
バー軸5を中心に回動し、フィルム4の耳部をベース1
aの下ロール3と下部レバー6bの上ロール9で把持す
る。ここで、下ロール3と上ロール9はフィルム4の長
手方向に回転自在となっているため、フィルム4の端部
はフィルム4の長手方向に自由に移動が可能で、熱処理
及び/または冷却工程で発生する収縮応力に応じてテン
タークリップ上をフィルム長手方向に移動する。その結
果、フィルム中央部に対する端部の遅れを低減でき、ボ
ーイング現象を抑制して幅方向に物性が均一なフィルム
を容易に得ることが可能となる。
【0033】その後、テンタークリップ1はレールに沿
ってテンター出口部へ案内される。テンター出口部には
クリップオープナー13があり、テンタークリップ1は
上部レバー6aがクリップオープナー13に当接し、ク
リップレバー6が図4に示すようにクリップレバー軸5
を中心に回動し、フィルム4の端部をテンタークリップ
1から解放する。その後、テンタークリップ1はレール
に案内されて180度反転して入口部へ戻る。
【0034】上述したような把持部機構であるテンター
クリップとすることにより、テンターにおける延伸工程
と、熱処理及び/または冷却工程で機構を容易に変化さ
せることが可能となるのである。
【0035】本発明において、該テンタークリップを用
いて、テンターにおいて延伸、熱処理及び/または冷却
することは、熱寸法安定性、機械特性に優れ、平面性が
良好で幅方向の物性が均一なフィルムを容易に得ること
ができるため好ましい。特に、上記特性を持った熱可塑
性樹脂フィルムを得る上で有効である。
【0036】ここで、本発明における熱可塑性樹脂とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6,ナイロン
66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメ
チレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、その
他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹
脂などを用いることができる。また、これらの樹脂はホ
モ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであって
もよい。また、これらの樹脂の中に、公知の各種添加
剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒
子および有機粒子などが添加されてもよい。特に無機粒
子や有機粒子はフィルムの表面に易滑性を与え、フィル
ムの取り扱い性を高めるためにも有効である。
【0037】また、本発明のフィルムは、積層構造をと
っていることも好ましい。積層構造としては、フィルム
を横延伸する前に塗材をフィルムに塗布して、テンター
内で溶媒の乾燥、横延伸および熱処理を行う方法が好ま
しく行われる。例えば、インクやトナーなどの易接着
性、静電気を抑える帯電防止性などの多様な特性の付与
に効果的である。
【0038】さらに、本発明における熱可塑性樹脂フィ
ルムは、フィルムの長手方向と、長手方向と垂直な方向
(幅方向)に分子を配向させることが好ましい。具体的
には、溶融押出し、実質的に無配向なフィルムを長手方
向に延伸後、幅方向に延伸する方法、幅方向に延伸後、
長手方向に延伸する方法、あるいは、長手方向、幅方向
同時に延伸する方法、また長手方向の延伸、幅方向の延
伸を複数回組み合わせて行ってもよい。
【0039】本発明においては、より熱寸法安定性に優
れ、幅方向の物性が均一なフィルムを得るために、該テ
ンターにおいて、長手方向に弛緩処理を施すことが好ま
しく、該弛緩率は0.5%以上、10%以下とすること
が好ましい。
【0040】さらに、熱寸法安定性に優れ、平面性が良
好で幅方向の物性が均一なフィルムを効果的に得るため
のテンターにおける製膜方法としては、例えば、長手方
向に一軸延伸したフィルムをテンターにおいて幅方向に
延伸した後の熱処理について、長手方向に弛緩処理を施
し、引き続き、熱固定を施すことは、熱寸法安定性に優
れたフィルムを得る上で有効であるが、特に幅方向の物
性を均一にする上で効果的である。この際、弛緩率は2
%以上、10%以下、好ましくは7%以下、さらに好ま
しくは5%以下で、弛緩処理温度は(Tm−165)℃
〜(Tm−20)℃で熱固定温度に昇温しながら行うの
が好ましい。また、熱固定温度は(Tm−30)℃〜T
m、好ましくは(Tm−20)℃〜Tmである。
【0041】また、長手方向に一軸延伸したフィルムを
テンターにおいて幅方向に延伸して熱処理を施した後、
長手方向に弛緩処理を施すことは、より熱寸法安定性に
優れたフィルムを得る上で効果的である。この際、熱処
理温度は(Tm−30)℃〜Tm、好ましくは(Tm−
20)℃〜Tmとするのが好ましい。また、弛緩率は
0.5%以上、5%以下であることが好ましく、更に好
ましくは3%以下で、弛緩処理温度は(Tg+135)
℃〜(Tg+25)℃で徐冷しながら行うのがより効果
的である。
【0042】もちろん、テンターにおける各処理条件
(温度、時間など)を適宜変更し最適化することや、幅
方向の熱収縮率を抑えるために熱処理後に冷却しながら
幅方向に弛緩処理を施すことも好ましいことである。
【0043】次に本発明の製造法について具体的に説明
するが、かかる例に限定されるものではない。
【0044】また、ここでは熱可塑性樹脂としてポリエ
チレンテレフタレートの例を示すが、これに限定される
ものではない。
【0045】まず、重合したポリエチレンテレフタレー
トのペレットを180℃で5時間真空乾燥した後、27
0〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダ
イよりシート状に押出す。この溶融されたシートを、ド
ラム表面温度25℃に冷却されたドラム上に静電気力に
より密着固化し、実質的に非晶状態の成形フィルムを得
る。このフィルムを80〜120℃の加熱ロール群で加
熱し長手方向に3〜6倍に一段もしくは多段で縦延伸
し、20〜50℃のロール群で冷却する。
【0046】続いて、テンターに導いてこのフィルムの
両端部をクリップで把持しながら、80〜140℃に加
熱された熱風雰囲気中で予熱し、幅方向に3〜6倍に横
延伸し、熱処理を行い二軸延伸フィルムを得る。この
際、熱処理温度は220〜255℃、好ましくは235
〜250℃にするのが熱寸法安定性に優れたフィルムを
得るのに有効である。
【0047】また、横延伸後に90〜235℃で熱固定
温度に昇温しながら長手方向に2〜10%の弛緩処理を
施し、引き続き200〜255℃で熱固定を行うことは
低熱収縮性のフィルムが得られるだけでなく、幅方向に
おける物性をより均一化する上でも効果的である。次い
で、熱処理後に120〜210℃で冷却する。この冷却
区間においては幅方向の熱収を抑えるために、幅方向に
5%以下の弛緩処理を行うことが好ましい。また、より
熱寸法安定性のフィルムを得るには、引き続き100〜
210℃において長手方向に0.5〜5%の弛緩処理を
行うことが好ましい。
【0048】ここで、本発明において、テンターで使用
するクリップはクリップ把持部の機構が図1〜4に示す
ような、テンターにおける延伸工程ではクリップ把持部
内においてフィルムが長手方向に移動せず、熱処理及び
/または冷却工程ではクリップ把持部内においてフィル
ムが長手方向に移動可能となる機構に変化するものを使
用することにより、熱寸法安定性に優れ、かつ、幅方向
の物性が均一なフィルムを、平面性を悪化させることな
く大規模な装置を用いずに容易に得ることが可能とな
る。また、この際、延伸工程におけるy2 /L2 (N/
mm)が1(N/mm)以上で、熱処理または冷却工程
におけるx/L1 (N/mm)が2(N/mm)以下
で、y1 /L2 (N/mm)が0.5(N/mm)以上
であるもを用いることが好ましく、さらに、熱処理及び
/または冷却工程におけるテンタークリップの把持部の
形態はロール形状のものであることが好ましい。また、
該把持部の上ロール1個と下ロール1個を一組とした場
合、該組数に対する該クリップ把持幅L2 の比は1/6
0以上が好ましく、該把持部のロールの表面粗さを表す
パラメータである最大高さは2μm以下が好ましい。こ
のようにして得られたフィルムを室温まで徐冷して巻き
取ることで本発明の熱可塑性樹脂フィルムを得ることが
できる。
【0049】
【物性値の評価法】(1)クリップのフィルム把持力、
及びフィルム拘束力 厚み75μmのポリエチレンテレフタレートのフィルム
両端部をクリップで把持し、(株)今田製作所製のプッ
シュスケール「PS−10K」及び「PSH−100
K」を使用して、室温でフィルムを引張り速度0.3m
/分で長手方向に走行させた際の走行力を測定し、該走
行力をクリップの拘束力x(N)とした。
【0050】また、自作製フィルム把持力試験機(クリ
ップテスター)を用いて、厚み75μmのポリエチレン
テレフタレートのフィルム両端部をクリップで把持し、
室温でフィルムを引張り速度0.3m/分で幅方向に引
張った際に、フィルムがクリップ外れを起こした際の張
力を測定し、該張力をクリップのフィルム把持力y
1(N)とし、同様にして測定した厚み300μmのポ
リエチレンテレフタレートのフィルム把持力をy
2 (N)とした。 (2)熱収縮率 幅10mm、長さ250mmにサンプリングした試料
に、約200mm間隔となるように直線を引き、その間
隔の長さを万能投影機により測定し、L0 (mm)とす
る。次に、該サンプルを150℃に加熱された熱風オー
ブン中で30分間保持し、その後、室温で2時間冷却し
た後、再び、直線の間隔を万能投影機で正確に測定し、
1 (mm)とする。この測定結果から熱収縮率=
((L0 −L1)/L0)×100)(%)とし、n数5
サンプルの平均値を採用した。 (3)フィルム幅方向の物性均一性 フィルム幅方向における配向角の最大値と最小値の差z
(°)のフィルム幅Lt(m)に対する比をz/Lt
(°/m)とし、以下のようにしてフィルム幅方向物性
均一性を判定した。なお、配向角は、白色光を光源とし
て偏光顕微鏡を用い、その消光値から配向主軸とフィル
ム幅方向との狭角を求め配向角(°)とした。また、配
向主軸は幅方向を0°、幅方向と垂直な方向(長手方
向)を90°とした。
【0051】○:z/Lt(°/m)が15°/m未満
のもの。
【0052】△:z/Lt(°/m)が15°/m以
上、30未満のもの。
【0053】×:z/Lt(°/m)が30°/mを越
えるもの。 (4)F−5値 オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置テ
ンシロンAMF/RTA−100を用いて、幅10m
m、試長200mmとなるようにセットし、引張り速度
200m/分、温度25℃、湿度65RH%の条件でフ
ィルムの長手方向の5%伸長に対するF5値とした。 (5)熱特性 至差走査熱量計として、セイコー電子工業株式会社製の
ロボットDSC「RDC220」を用い、データ解析装
置として、同社製ディスクステーション「SSC/52
00」を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の
受皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素中で急冷
固化した後、室温から20℃/分で昇温した。このとき
に観測されるガラス状態からゴム状態への移転に基づ
く、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距
離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線と
が交わる点の温度をガラス転移点(Tg)とした。ま
た、融解ピークの頂点の温度を融点(Tm)とした。 (6)平面性 A4サイズにカットしたフィルムをコルク板の上に置
き、不織布を巻き付けた棒でフィルムをしごき、空気を
排除した後、以下のようにして平面性を目視で判定し
た。
【0054】○:コルク板から浮き上がった部分が見ら
れないもの。
【0055】△:コルク板から浮き上がった部分が3ヶ
所以下であるもの。
【0056】×:コルク板から浮き上がった部分が3ヶ
所以上を越えるもの。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0058】実施例1 o−クロロフェノール中で測定した固有粘度0.65の
ポリエチレンテレフタレートを用いた。DSCを用いて
熱特性を測定したところ、Tg:75℃、Tm:255
℃であった。このポリエチレンテレフタレートのペレッ
トを180℃で5時間真空乾燥した後に、270〜30
0℃に加熱された押出機に供給し、Tダイよりシート状
に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷
却ドラム上に静電気力で密着固化して未延伸フィルムを
得た。
【0059】この未延伸フィルムを80〜120℃の加
熱ロール群で加熱し長手方向に3.3倍一段階で縦延伸
し、20〜50℃のロール群で冷却して一軸延伸フィル
ムを得た。続いて、該一軸延伸フィルムの両端部をクリ
ップで把持しながらテンターに導き、90℃に加熱され
た熱風雰囲気中で予熱し、95℃の熱風雰囲気中で横方
向に4倍に横延伸し二軸配向フィルムを得た。
【0060】このようにして二軸配向されたフィルムを
そのままテンター中で、95〜230℃の昇温区間でフ
ィルムをクリップ把持部で長手方向に移動させて2%弛
緩処理を施し、引き続き250℃で熱固定を行い、熱処
理後、いったん200℃まで緊張下で冷却し、200〜
120℃の冷却区間でテンターのレール幅を縮めて幅方
向に3%、長手方向に2.5%弛緩処理を施し、さらに
テンターから取り出し、フィルムエッジ部分をトリミン
グして巻き取り、厚み75μmの本発明の熱可塑性樹脂
フィルムを得た。
【0061】なお、この際に用いたテンタークリップ
は、図1〜4に示すようなクリップの機構であり、具体
的には延伸工程では把持部上部の爪部と下部の円柱形状
であるロール形状のものとの間で、フィルム長手方向を
移動させずにフィルム両端部を把持する機構となり、熱
処理及び冷却工程ではクリップ把持部上部、下部共に円
柱形状のロール形状のものが3組あり、該上ロールと下
ロール間でフィルムが長手方向に移動、かつフィルム幅
方向における両端部を把持する機構に変化するクリップ
を用いた。
【0062】また、該クリップ把持部の上ロールと下ロ
ールの表面粗さを表すパラメータである最大高さは0.
6μmであった。さらに、クリップ把持幅L1 は10m
mでL2 は73mmであり、延伸工程でのフィルム把持
力は350(N)でありy2/L2 が4.8(N/m
m)で、熱処理及び冷却工程でのフィルム拘束力は3
(N)でありx/L1 が0.3(N/mm)、フィルム
把持力が57(N)でありy1 /L2 が0.78(N/
mm)であった。
【0063】得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表
1に示す。
【0064】平面性が良好で、機械的特性、熱寸法安定
性に優れ、幅方向における物性も均一化されたものが得
られた。
【0065】実施例2 実施例1と同様にして一軸延伸フィルムを得た後、引き
続き、テンターに導き、実施例1でのテンタークリップ
の把持部のロールの組数が2組であり、延伸工程でのフ
ィルム把持力は58.4(N)でありy2 /L2 が0.
8(N/mm)で、熱処理または冷却工程でのフィルム
拘束力は3(N)でありx/L1 が0.3(N/m
m)、フィルム把持力が57(N)でありy1 /L2
0.78(N/mm)であるテンタークリップを用い
て、横延伸倍率を2.5倍に変更する以外は、実施例1
と全く同様にして、テンターから取り出し、フィルムエ
ッジ部をトリミングして巻き取り、厚み75μmの本発
明の熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0066】得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表
1に示す。
【0067】延伸工程におけるクリップのフィルム把持
力は小さい値であったが、横延伸倍率が低倍であったた
め、クリップ外れを起こすことなく、平面性が良好で、
機械的特性、熱寸法安定性に優れ、幅方向における物性
も均一化されたものが得られた。
【0068】実施例3 実施例1と同様にして一軸延伸フィルムを得た後、引き
続き、テンターに導き、実施例1でのテンタークリップ
を該把持部のロールの表面粗さを表すパラメータである
最大高さが3μmであり、延伸工程でのフィルム把持力
は480(N)でありy2 /L2 が6.6(N/mm)
で、熱処理または冷却工程でのフィルム拘束力は25
(N)でありx/L1 が2.5(N/mm)、フィルム
把持力が65(N)でありy1 /L2 が0.89(N/
mm)であるテンタークリップを用いて、厚みが200
μmのフィルムを得る以外は、実施例1と全く同様にし
て、テンターから取り出し、フィルムエッジ部をトリミ
ングして巻き取り本発明に従い熱可塑性樹脂フィルムを
得た。
【0069】得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表
1に示す。
【0070】クリップの拘束力が大きかったが、フィル
ム厚みが厚かったため若干フィルムが長手方向に移動し
にくく、設定値よりも低い実行弛緩率となったが弛緩処
理を施すことができた。また、実施例1と比較して熱収
縮率が若干高く、幅方向における物性も若干不均一なも
のとなった。
【0071】比較例1 実施例1と同様にして一軸延伸フィルムを得た後、引き
続き、テンターに導き、実施例1でのテンタークリップ
をフィルム把持部の機構が通常のテンタークリップに変
更する以外は、実施例1と全く同様にして、テンターか
ら取り出し、フィルムエッジ部をトリミングして巻き取
り、厚み75μmの本発明の熱可塑性樹脂フィルムを得
た。
【0072】なお、延伸工程でのフィルム把持力は51
0(N)であり、y2 /L2 が7(N/mm)で、熱処
理または冷却工程でのフィルム拘束力は510(N)で
ありx/L1 が51(N/mm)、フィルム把持力が5
10(N)でありy1 /L2が6.99(N/mm)で
あった。
【0073】得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表
1に示す。
【0074】クリップのフィルム拘束力が大き過ぎるた
めに、フィルムが長手方向に移動できず、結果として、
弛緩処理が施すことができなかったため、熱収縮率が大
きく、幅方向における物性も不均一なものとなった。
【0075】比較例2 実施例1と同様にして一軸延伸フィルムを得た後、引き
続き、テンターに導き、実施例1のテンタークリップを
クリップ把持部の機構が延伸工程においても熱処理及び
冷却工程と同様に、クリップ把持部内においてフィルム
が長手方向に移動可能であるものに変更する以外は、実
施例1と全く同様にして、テンターから取り出し、フィ
ルムエッジ部をトリミングして巻き取り、厚み75μm
の本発明の熱可塑性樹脂フィルムを得た。なお、延伸工
程でのフィルム把持力は350(N)でありy2 /L2
が4.8(N/mm)で、熱処理または冷却工程でのフ
ィルム拘束力は3(N)でありx/L1 が0.3(N/
mm)、フィルム把持力が57(N)でありy1 /L2
が0.78(N/mm)であった。
【0076】得られた熱可塑性樹脂フィルムの特性を表
1に示す。
【0077】フィルム把持部の機構が変化しないため、
延伸工程でもクリップ把持部でフィルムが長手方向に移
動可能となり、実質的に長手方向に弛緩処理が施されて
しまったため、幅方向における物性も不均一で、平面性
が劣ったものとなった。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、フィルム幅方向におけ
る物性が均一であり、かつ熱寸法安定、機械的特性に優
れ、平面性も良好な二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを生
産性よく得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテンタークリップにおいてのフィ
ルム解放状態を示す側断面図である。
【図2】本発明に係るテンタークリップを用いたフィル
ム延伸工程におけるテンタークリップの側断面図であ
る。
【図3】本発明に係るテンタークリップを用いたフィル
ム熱処理工程及び/または冷却工程におけるテンターク
リップの側断面図である。
【図4】本発明に係るテンタークリップにおいてのフィ
ルム解放状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1:テンタークリップ 1a:ベース 1b:起立部 2:軸 3:下ロール 4:フィルム 5:クリップレバー軸 6:クリップレバー 6a:上部レバー 6b:下部レバー 7:爪部 8:軸 9:上ロール 10:圧縮コイルバネ 11:クリップクローザー 12:クリップ制御板 13:クリップオープナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古野 良治 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3F103 AA03 BD01 BD11 EA15 4F210 AA24 AE01 AG01 QA02 QC05 QG01 QG18 QL02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テンターにおける延伸、熱処理または冷却
    する工程に用いるテンタークリップにおいて、クリップ
    把持部の機構が延伸工程ではクリップ把持部内において
    フィルムが長手方向に移動せず、熱処理及び/または冷
    却工程ではクリップ把持部内においてフィルムが長手方
    向に移動可能となる機構に変化することを特徴とするテ
    ンタークリップ。
  2. 【請求項2】熱処理及び/または冷却工程において、フ
    ィルム長手方向のフィルム拘束力x(N)のクリップ把
    持幅L1 (mm)に対する比x/L1 (N/mm)が2
    (N/mm)以下であり、かつ、フィルム幅方向のフィ
    ルム把持力y 1(N)のクリップ把持幅L2 (mm)に
    対する比y1 /L2 (N/mm)が0.5(N/mm)
    以上であることを特徴とする請求項1に記載のテンター
    クリップ。
  3. 【請求項3】延伸工程において、フィルム幅方向のフィ
    ルム把持力y2 (kg)のクリップ把持幅L2 (mm)
    に対する比y2 /L2 (N/mm)が1(N/mm)以
    上であることを特徴とする請求項1または2に記載のテ
    ンタークリップ。
  4. 【請求項4】熱処理及び/または冷却工程における該テ
    ンタークリップの把持部の形態がロール形状であること
    を特徴とする請求項1、2または3に記載のテンターク
    リップ。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3、または4に記載のテン
    タークリップを用いて、テンターにおいて延伸、熱処理
    及び/または冷却することを特徴とする熱可塑性樹脂フ
    ィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】該テンターにおいて、長手方向に弛緩処理
    を施すことを特徴とする請求項5に記載の二軸配向熱可
    塑性樹脂フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】該弛緩率が0.5%以上、10%以下であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の二軸配向熱可塑性
    樹脂フィルムの製造方法。
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