JPH059248Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のバンパ取付構造、特にキヤブ
オーバ型車等の車体前面を形成するフロントパネ
ルが車体前部下方に配設された剛性部材からオー
バーハングされている自動車のバンパ取付構造に
関する。

（従来技術） 例えば、実開昭60−9771号公報に示されている
ように、キヤブオーバ型車の車体前部において
は、該車体の前面を形成するフロントパネルの下
方にバンパが配設されるが、その場合、該バンパ
は、フロントパネルの変形を防止する必要上、該
パネルに直接取付けることができず、補強部材等
により十分な強度や剛性を確保した上で取付けな
ければならない。

一方、この種のキヤブオーバ型車においては、
外観におけるデザイン上の要請のため、或はキヤ
ビン前方における足元のスペースを拡大して居住
性を向上させる等のため、フロントパネルの下部
を前方に膨出させる場合がある。その場合、該パ
ネルは、車体前部の剛性を確保する部材としてフ
ロアパネル下方に設けられたクロスメンバーから
オーバーハングすることになり、、これに伴つて
下向きの大きなオーバーハング荷重が該フロント
パネルに作用することになる。従つて、該フロン
トパネルの変形を防止する必要上、上記オーバー
ハング荷重を支持する補強構造も必要となる。そ
の結果、フロントパネルが前方に膨出されたキヤ
ブオーバ型車の場合には、車体前部に、フロント
パネルの変形等を生じることなくバンパを確実に
支持することができる補強構造に加えて、該フロ
ントパネルのオーバーハング荷重を支持するため
の補強構造が必要となり、車体前部の構造が著し
く複雑化するという問題が生じる。

（考案の目的） 本考案は自動車、特にフロントパネルが前方に
膨出されたキヤブオーバ型車における車体前部の
構造に関する上記のような問題に対処するもの
で、フロントパネル下方の補強構造に改良を加え
ることにより、該フロントパネルの下部ないしバ
ンパ取付部の強度や剛性を簡単な構造で向上さ
せ、これにより該パネルの変形を防止し且つバン
パが確実に支持されるようにすることを目的とす
る。

（考案の構成） 本考案に係る自動車のバンパ取付構造は上記目
的達成のため、次のように構成したことを特徴と
する。

即ち、車体前部下方の両側部と中央部との３箇
所でバンパが取付けられる自動車の車体前部にお
いて、上辺部がフロントパネルの下部に、後辺部
がフロアパネルの前端部下方に配設されたクロス
メンバー等の剛性部材に夫々接合された取付ステ
ーを備える。そして、この取付ステーの前部に上
記バンパの中央部を取付けるようにする。

このような構成によれば、フロントパネルが前
方に膨出されている場合に、該フロントパネルの
下部がバンパの中央部を支持する取付ステーを介
して車体前部の剛性部材に結合されることにな
る。従つて、上記取付ステーによつて、フロント
パネル下部の剛性が向上されると共にバンパが確
実に支持されることになる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、フロントパネル
の下部が取付ステーを介して剛性部材と結合され
るので、該フロントパネル下部の強度や剛性が著
しく向上することになる。これにより、フロント
パネルが前方に膨出され、これに伴つて該パネル
に下方向のオーバーハング荷重が作用しても、該
パネルの変形が防止されることになる。そして、
上記取付ステーを利用してバンパの中央部が取付
けられるので、例えばフロントパネル等にバンパ
を取付けるための補強部材を別途設けることが不
要となり、その分だけ構造が簡素化されてコスト
が低減されると共に、バンパが確実に支持される
ことになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について説明する。

第１図に示すように、キヤブオーバ型車におけ
る車体１の前面はフロントパネル２により形成さ
れ、該パネル２の上方にはフロントガラス３が、
下方にはバンパ４が夫々配設されていると共に、
下部両側方にはヘツドランプ５が配設されてい
る。

また、第２図に示すように、上記車体１の前部
内側にはキヤビンの底面を形成するフロントフロ
アパネル６が配設されていると共に、該フロント
フロアパネル６の前端部下面には車幅方向に延び
て車体１の前部下方の剛性を確保する第１クロス
メンバー７が配設されている。尚、図示しない
が、上記フロントフロアパネル６の下面には上記
第１クロスメンバー７の後方に夫々車幅方向に延
びる第２、第３のクロスメンバーが配設されてい
る。また、車体１の前部上方の剛性を確保するた
めのものとして上記フロントパネル２の上部内面
にも車幅方向に延びるフロントクロスメンバー８
が配設され、該メンバー８の上端に形成されたフ
ランジ部８ａと上記フロントパネル２の上端に形
成されたフランジ部２ａとが接合されていると共
に、この接合部によりフロントガラス３の下縁部
（図示せず）が支持されるようになっている。

ところで、上記フロントパネル２は下部が前方
に大きく膨出され、車体前部下方の剛性部材であ
る上記第１クロスメンバー７から該パネル２の前
端までのオーバーハング量Ｈが大きく設定されて
いる（第４図参照）。そして、これに伴つて該フ
ロントパネル２の下端と上記第１クロスメンバー
７ないしフロントフロアパネル６の前端との間に
フロントパネル２を後方に延長するロアフロント
パネル９が配設されていると共に、該ロアフロン
トパネル９の上面にロアフロントクロスメンバー
１０が閉断面を形成した状態で配設されている。
尚、上記フロントパネル２の下部両側方の車内側
には上記ヘツドランプ５を収納するためのランプ
ハウジング１１が配設され、また、上記フロント
パネル２の側端部は車体側方に配設されたフロン
トサイドパネル１２に接合されている。更に、こ
の実施例においては、フロントパネル２の内面
に、幅方向全域に渡つて横方向に延びる第１補強
部材１３と、上下方向に延びる第２補強部材１４
とが十字状に配設されている。

一方、上記フロントパネル２の下方に配設され
たバンパ４は、本体１５が樹脂で形成されている
と共に、上部内側には幅方向全域に渡る芯金１６
が配設されており、該芯金１６が両側部と中央部
との３箇所で車体１側に結合されている。つま
り、第３図に示すように、バンパ４の両側部につ
いては、上記芯金１６に連結部材１７を介して上
下に延びる取付部材１８が固着されており、該取
付部材１８の上端が車体１における上記ヘツドラ
ンプ５の下方に位置するメンバー１ａにボルト１
９により結合され、また該取付部材１８の下端が
ブラケツト２０を介して車体１におけるバンパ４
の下部後方に位置するメンバー１ｂにボルト２１
により結合されている。また、第２，４図に示す
ように、バンパ４の中央部においては、上記芯金
１６が車体１に取付けられた取付ステー２２に結
合されている。尚、第３図に示すように、バンパ
４における本体１５の下部のスカート部１５ａに
はエンジンルーム内の換気を行うためのエアダム
１５ｂ……１５ｂが設けられていると共に、該バ
ンパ４の左右側部には方向指示ランプ２３とキヤ
ビン内に外気を導入するための開口部２４……２
４とが設けられている。

次に、上記取付ステー２２の構造を説明する
と、第４〜６図に示すように、該取付ステー２２
は、１枚の鉄板を折曲して平面視で断面略コ字状
とされ、後面部２２ａの左右から側面部２２ｂ，
２２ｂが前方に延びた形状となつている。そし
て、各側面部２２ｂの前辺及び上辺には外側に折
曲されてフランジ２２ｃ，２２ｄが形成されてい
る。また、該側面部２２ｂにはリブ２２ｅ……２
２ｅが設けられていると共に、両側面部２２ｂ，
２２ｂの下辺は夫々内側に折曲され、両折曲部２
２ｆ，２２ｆが互いに重合されて該取付ステー２
２自体の剛性が高められている。更に、上記後面
部２２ａには２個の孔２２a′，２２a′が上下に設
けられ、また側面部２２ｂの上辺のフランジ２２
ｄには２個の孔２２d′，２２d′が前後に設けられ
ていると共に、該側面部２２ｂの前辺のフランジ
２２ｃには各１個の孔２２c′が設けられ且つ該孔
２２c′の後面側にはナツト２５が固着されてい
る。そして、上記後面部２２ａが各孔２２a′に
夫々挿通されたボルト２６によつて上記第１クロ
スメンバー７の前面に、また側面部上辺のフラン
ジ２２ｄ，２２ｄが各孔２２d′に夫々挿通された
ボルト２７によつて上記ロアフロントパネル９の
下面に結合されていると共に、側面部前辺のフラ
ンジ２２ｃ，２２ｃに、上記孔２２c′に挿通され
且つナツト２５に螺合されるボルト２８により、
上記バンパ４の中央部における芯金１６が結合さ
れている。尚、上記ロアフロントパネル９の上面
には上記ステー２２の側面部上辺のフランジ２２
ｄ，２２ｄを固定するボルト２７……２７が螺合
されるナツト２９……２９が予め固着されている
と共に、同様に上記第１クロスメンバー７の後面
にも上記取付ステー２２の後面部２２ａを固定す
るボルト２６，２６が螺合されるナツト３０，３
０が予め固着されている。

上記の構成によれば、フロントパネル２の下部
を構成するロアフロントパネル９の下方と、第１
クロスメンバー７の前方との間の空間には取付ス
テー２２が配設され、該ステー２２は側面部上辺
のフランジ２２ｄ，２２ｄがロアフロントパネル
９の下面に、後面部２２ａが第１クロスメンバー
７の前面に接合されているので、フロントパネル
２ないしロアフロントパネル９が取付ステー２２
を介して第１クロスメンバー７に結合支持された
状態となり、該フロントパネル２の下部の強度や
剛性が向上することになる。従つて、フロントパ
ネル２が前方に大きくオーバーハングし、これに
伴つて大きなオーバーハング荷重が作用するにも
拘らず、該オーバーハング荷重に十分に対抗し得
る剛性が確保されることになり、これによりフロ
ントパネル２ないしロアフロントパネル９の変形
が防止されることになる。

そして、上記取付ステー２２の側面部前辺のフ
ランジ２２ｃにバンパ４の中央部が取付けられて
いるので、車体１の前部下方にバンパ４の中央部
を取付けるための補強部材を別途設けることが不
要となり、その分だけ構造が簡素化されてコスト
が低減されることになると共に、バンパ４が両側
部に加えて、取付ステー２２に取付けられた中央
部によつて確実に支持されることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
該実施例が適用されたキヤブオーバ型車の前部斜
視図、第２図は車体前部を車内側から見た斜視
図、第３図はバンパの一部破断拡大正面図、第４
図は第３図−線で切断した要部縦断拡大側面
図、第５，６図は取付ステーの拡大平面図及び拡
大背面図である。 ２，９……フロントパネル（ロアフロントパネ
ル）、４……バンパ、６……フロアパネル、７…
…剛性部材（第１クロスメンバー）、２２……取
付ステー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体前部下方の両側部と中央部との３箇所でバ
   ンパが取付けられる自動車のバンパ取付構造であ
   つて、上記バンパの中央部は、上辺部がフロント
   パネルの下部に、後辺部がフロアパネルの前端部
   下方の剛性部材に夫々接合された取付ステーの前
   部に取付けられていることを特徴とする自動車の
   バンパ取付構造。