JP4224885B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の前部車体構造、特に、前後方向に延びるフロントフレームと車幅方向に配設されたシュラウドパネルとを備え、上記フロントフレームの前部にタイダウンフックが固定された車両の前部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両の前部車体構造として、車両前部の左右側方において前後方向に延びる一対のフロントフレームと、エンジンルームの前部に位置し車幅方向に配設されたシュラウドパネルとを備えたものは公知であり、普通乗用車などの車両の一般的な前部車体構造として幅広く採用されている。
また、周知のように、自動車等の車両の前部には、車両故障時あるいは車両運搬時などに、牽引用または固定用のロープやワイヤ等を引っ掛け又は係止させるためのタイダウンフックが備えられるが、このような車両牽引用あるいは車両運搬時の固定用のタイダウンフックを設ける場合、車体前部において前後方向の強度・剛性が最も高い基本構成部材であるフロントフレームに荷重が作用するように取り付けるのが一般的である。
【0003】
一方、この車体前部における基本構成部材であるフロントフレームには、上記シュラウドパネルや車体前部の側部外板を成すフロントフェンダパネルも取り付けられる。
このようにシュラウドパネルやフロントフェンダパネルをフロントフレームに取り付ける場合、従来では、例えば図15に示すように、フロントフレーム103に固定される第1ブラケット141と、下部内側が第1ブラケット141に固定され上端部にシュラウドパネル110の上部(シュラウドアッパ)が接合される第2ブラケット142と、一端が第2ブラケット142に固定され他端側にフロントフェンダパネル105が取り付けられる第3ブラケット143、の3つのブラケットが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、構造が複雑で部品点数が多くなり、また、フロントフレーム103に対するシュラウドパネル110及びフロントフェンダパネル105の支持強度・剛性も十分に確保することは難しい。尚、具体的には図示しなかったが、上記フロントフェンダパネル105の先端側の近傍には、通常、フロントランプが配置される。
そして、かかるブラケット141,142及び143が固定されたフロントフレーム103にタイダウンフック(不図示)を取り付けると更に構造が複雑化し、また、タイダウンフックの支持強度・剛性も低くなるという問題があった。
【0005】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、車体前部においてフロントフレームにタイダウンフック,シュラウドパネル,フロントフェンダパネル及びフロントランプ等を支持させるに際して、できるだけ少ない部品点数で十分な支持強度・剛性を確保することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本願の請求項1の発明(以下、これを本願の第1の発明という。)に係る車両の前部車体構造は、前後方向に延びるフロントフレームと、エンジンルームの前部に位置し車幅方向に配設されたシュラウドパネルとを備えた車両の前部車体構造であって、
上記フロントフレームの前部にタイダウンフックが固定され、該タイダウンフックの後方に、所定距離隔てて上記シュラウドパネルが配設されており、
上記タイダウンフックは、車体前後方向に配置される板状に形成され、上記フロントフレームの外側面に固定される板状の本体部と、該本体部の後側周縁部を垂直に折り曲げて形成した折り曲げ補強部と、該折り曲げ補強部を延長させて形成された連結部とを備え、
このタイダウンフックの連結部に、上記シュラウドパネルとの結合部を有する連結ブラケットが固定されており、
該連結ブラケットは、上記シュラウドパネル以外で車両の前部に配設される所定の部材を取り付ける取付部と、上記タイダウンフックの連結部と結合される前面結合部と、上記シュラウドパネルと結合される後面結合部と、を備えている、
ことを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明(以下、これを本願の第2の発明という。)は、上記第1の発明において、上記所定の部材が、フロントフェンダパネル及び/又はフロントランプ及び/又はフロントバンパであることを特徴としたものである。
【0010】
また、更に、本願の請求項3に係る発明(以下、これを本願の第3の発明という。)は、上記第1又は第2の発明において、上記タイダウンフックの本体部は、上記フロントフレームの前部下側で左右のフロントフレームを互いに連結するクロスメンバに固定されていることを特徴としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係る車両の右側(車室内から見た右側)の前部車体の基本構造を示す斜視図、図2はその正面説明図、図3はその平面説明図、また図4は上記前部車体の左側面説明図である。
これらの図に示すように、本実施の形態に係る前部車体構造では、車体前後方向に延びるフロントフレーム3と、エンジンルーム1の前部に位置して車幅方向に配設されたシュラウドパネル10とを備えている。
【0012】
該シュラウドパネル10の左右側部には、図5に示すように側端パネル部11がそれぞれ設けられ、この側端パネル部11の内側には、図6に示すように補強用のステー15(シュラウドサイドステー)がそれぞれ配置されている。尚、より好ましくは、このシュラウドサイドステー15の下端側は上記フロントフレーム3に結合されている。
また、左右の側端パネル部11はシュラウドパネル10の上部を形成するシュラウドアッパ12によって互いに連結されている。尚、本実施の形態では、左右の側端パネル部11とシュラウドアッパ12とは、プレス加工によって一体成形されている。
【0013】
上記フロントフレーム3は、このシュラウドパネル10の側端パネル部11の下方に配設されており、より好ましくは、その外側および内側の側壁には複数の波形ビード状に成形された補強部が設けられている。
そして、上記フロントフレーム3の先端部分の外側部には、車両故障時あるいは車両運搬時などに牽引用または固定用のロープやワイヤ等を引っ掛け又は係止させるためのタイダウンフック20(図1〜図4参照)が直接に固定されている。この固定は、例えばボルト及びナットを用いて行われる。
【0014】
また、上記フロントフレーム3の先端部の下側には、左右のフロントフレーム3を互いに連結するクロスメンバ30が配置されている。
該クロスメンバ30は、図7および図8に示すように、閉断面状の本体部31と、該本体部31の端部を閉塞するエンドプレート32と、本体部31の上面とフロントフレーム3の側面とを連結する連結プレート33とを備えるとともに、本体部31の端部の内面には、本体部31の底面とエンドプレート32とを連結してクロスメンバ30の端部を補強する断面L字状の補強プレート34が配設されている。尚、上記フロントフレーム3及び補強プレート34の縦壁内面には、タイダウンフック20を締結固定するボルト21Bとそれぞれ螺合するナット3N及び34Nが溶着されている。
【0015】
上記タイダウンフック20は、全体としては車体前後方向に配置される板状に形成され、フロントフレーム3の先端部分の外側面およびクロスメンバ30の端面に例えば締結固定される板状の本体部21と、この本体部21の前側周縁部の一部および後側周縁部を垂直に折り曲げて形成した折り曲げ補強部22と、後側の折り曲げ補強部22の上端を延長させて形成された上端連結部23とを備えており、本体部21の下部に、車両故障時あるいは車両運搬時などに牽引用または固定用のロープやワイヤ等を引っ掛け又は係止させる穴部24が設けられている。また、上端連結部23は、ユニットブラケット40の前端部に連結されている。
このように、折り曲げ補強部22の一部を延長させてユニットブラケット40との結合部23(上端連結部)を設けたので、非常に簡単な構成でタイダウンフック20のユニットブラケット40との結合部23を設けることができる。
【0016】
上記ユニットブラケット40は、図9〜図12に詳しく示すように、所定厚さの鋼板をプレス加工により一体成形したもので、後述するように、このブラケット40を介してフロントランプを車体前部に支持することができる。
ユニットブラケット40には、上記タイダウンフック20の上端連結部23と結合される前面結合部41と、上記シュラウドパネル10の側端パネル部11と結合される後面結合部42と、該後面結合部42に連接して斜め側方に延長された側面結合部43とを備え、上記前面結合部41と後面結合部42とは、断面形状がL字状に形成された中間部44で連結されている。
【0017】
上記ユニットブラケット40は、その前面結合部41がタイダウンフック20の上端連結部23に例えばボルト部材を用いて締結固定される。また、ユニットブラケット40の後面結合部42は、複数箇所(図1及び図2における4箇所の×印参照)で例えばスポット溶接によりシュラウドパネル10の側端パネル部11の下部と接合される。
ユニットブラケット40は、その前面結合部41がタイダウンフック20の上端連結部23に締結固定された状態では、該タイダウンフック20の一部と見なすことができ、この場合、タイダウンフック20にシュラウドパネル10を支持する支持機構(ユニットブラケット40)が設けられていることになる。具体的には、上記タイダウンフック20に、上記シュラウドパネル10との結合部(後面結合部42)を有する連結ブラケット(ユニットブラケット40)が固定され、該連結ブラケット40が上記支持機構を形成していることになる。
【0018】
つまり、上記ユニットブラケット40が本願請求項に記載した「支持機構」及び「連結ブラケット」に相当し、上記後面結合部42が本願請求項に記載したシュラウドパネルとの「結合部」に相当している。
このように、フロントフレーム3の前部にタイダウンフック20を直接に固定し、このタイダウンフック20にシュラウドパネル10との結合部(後面結合部42)を有するユニットブラケット40(シュラウドパネル10を支持する支持機構をなす連結ブラケット)を設けたので、極めて少ない部品点数でタイダウンフック20とシュラウドパネル10とをフロントフレーム3に取り付けることができる。この場合、上記ユニットブラケット40は強固なタイダウンフック20に設けられており、かつ簡単な構成でシュラウドパネル10の取り付けが可能で、該シュラウドパネル10の支持強度・剛性を十分に確保することができる。
【0019】
一方、ユニットブラケット40の側面結合部43には、シュラウドパネル10以外で車両前部に配設される所定の部材として、フロントフェンダパネルやフロントバンパ更にはフロントランプを取り付けて支持することができる。
すなわち、図1〜図4に示されるように、上記側面結合部43の端末側には、フロントフェンダパネル5の前端下部がボルト5Bによって締結固定されている。尚、このフロントフェンダパネル5の前端上部は、シュラウドアッパ12の側部上面に締結固定される。
また、図11において仮想線で示されるように、上記側面結合部43の前部には、フロントバンパ7の側部がボルト7Bによって締結固定され、側面結合部43の端末側には、フロントランプLの側端部がフロントフェンダパネル5の前端下部と共締めされて締結固定されている。
【0020】
図13および図14に示すように、上記フロントランプLは、その上部が取付ブラケット51および52を介してシュラウドアッパ12に、その下部内側が取付ブラケット53を介して側端パネル部11にそれぞれ支持されている。そして、その外側部が上記ユニットブラケット40で支持されるようになっている。
尚、フロントランプLの内方にはラジエータRが配設され、該ラジエータRはラジエータブラケット55を介してシュラウドアッパ12に支持されている。また、上記シュラウドサイドステー15は、好ましくは、上記フロントランプLとラジエータRの間に位置している。
【0021】
以上のようにして、上記ユニットブラケット40に、シュラウドパネル以外で車両前部に配設される所定の部材として、フロントフェンダパネル5とフロントバンパ7とフロントランプLとを取り付けることができる。この場合、これら部材5,7及び9は全て上記ユニットブラケット40を介して支持されるので、複数の部材5,7及びLの位置決めを精度良く行うことができる。
【0022】
尚、以上の実施の形態では、シュラウドパネル以外で車両前部に配設される所定の部材として、フロントフェンダパネル5とフロントバンパ7とフロントランプLの3つの部材が取り付けられていたが、いずれか一つのみ或いは二つのみを取り付けるようにしても良い。
このように、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更あるいは設計上の改良等が可能であることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
本願の第1の発明に係る車両の前部車体構造によれば、フロントフレームの前部にタイダウンフックを直接に固定し、このタイダウンフックにシュラウドパネルとの結合部を有する連結ブラケットが固定され、該連結ブラケットが上記シュラウドパネルを支持する支持機構を形成しているので、極めて少ない部品点数でタイダウンフックとシュラウドパネルとをフロントフレームに取り付けることができる。この場合、上記支持機構は強固なタイダウンフックに設けられており、かつ簡単な構成でシュラウドパネルの取り付けが可能で、該シュラウドパネルの支持強度・剛性を十分に確保することができる。しかも、上記連結ブラケットに、シュラウドパネル以外で車両前部に配設される所定の部材を取り付けることができる。また、特に、タイダウンフックの本体部の後側周縁部を垂直に折り曲げて折り曲げ部補強部を形成し、この折り曲げ補強部を延長させて連結ブラケットとの連結部を設けたので、非常に簡単な構成でタイダウンフックの連結ブラケットとの連結部を補強することができる。
【0026】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には上記第1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記連結ブラケットに、シュラウドパネル以外で車両前部に配設される所定の部材として、フロントフェンダパネル及び/又はフロントランプ及び/又はフロントバンパを取り付けることができる。この場合、これら所定の部材は全て上記連結ブラケットを介して支持されるので、複数の部材の位置決めを精度良く行うことが可能になる。
【0027】
また更に、本願の第3の発明によれば、基本的には上記第1又は第2の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記タイダウンフックの本体部を、上記フロントフレームの前部下側で左右のフロントフレームを互いに連結するクロスメンバに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る車両の右側前部車体の基本構造を示す斜視図である。
【図2】 上記車両の右側前部車体の基本構造を示す正面説明図である。
【図3】 上記車両の右側前部車体の基本構造を示す平面説明図である。
【図4】 上記車両の前部車体の基本構造を示す左側面説明図である。
【図5】 上記車両の車体前部に配設されるシュラウドパネルの斜視図である。
【図6】 上記シュラウドパネルにステー及びブラケットを取り付けた組立斜視図である。
【図7】 上記車両の車体前部に配設されるクロスメンバの端部における分解斜視図である。
【図8】 上記クロスメンバの端部とフロントフレーム及びタイダウンフックの結合構造を示す縦断面説明図である。
【図9】 上記車両の車体前部に配設されるユニットブラケットの斜視図である。
【図10】 上記ユニットブラケットの正面説明図である。
【図11】 上記ユニットブラケットの平面説明図である。
【図12】 上記ユニットブラケットの左側面説明図である。
【図13】 上記車両の車体前部に配設されるフロントランプの取付構造を示す平面説明図である。
【図14】 上記車両の車体前部に配設されるフロントランプの取付構造を示す正面説明図である。
【図15】 従来例に係る車両の右側前部車体の基本構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…エンジンルーム
3…フロントフレーム
5…フロントフェンダパネル
7…フロントバンパ
10…シュラウドパネル
20…タイダウンフック
22…タイダウンフックの折り曲げ補強部
23…タイダウンフックの上端連結部
40…ユニットブラケット
42…ユニットブラケットの後面結合部
L…フロントランプ
Claims (3)
- 前後方向に延びるフロントフレームと、エンジンルームの前部に位置し車幅方向に配設されたシュラウドパネルとを備えた車両の前部車体構造であって、
上記フロントフレームの前部にタイダウンフックが固定され、該タイダウンフックの後方に、所定距離隔てて上記シュラウドパネルが配設されており、
上記タイダウンフックは、車体前後方向に配置される板状に形成され、上記フロントフレームの外側面に固定される板状の本体部と、該本体部の後側周縁部を垂直に折り曲げて形成した折り曲げ補強部と、該折り曲げ補強部を延長させて形成された連結部とを備え、
このタイダウンフックの連結部に、上記シュラウドパネルとの結合部を有する連結ブラケットが固定されており、
該連結ブラケットは、上記シュラウドパネル以外で車両の前部に配設される所定の部材を取り付ける取付部と、上記タイダウンフックの連結部と結合される前面結合部と、上記シュラウドパネルと結合される後面結合部と、を備えている、
ことを特徴とする車両の前部車体構造。 - 上記所定の部材が、フロントフェンダパネル及び/又はフロントランプ及び/又はフロントバンパであることを特徴とする請求項1記載の車両の前部車体構造。
- 上記タイダウンフックの本体部は、上記フロントフレームの前部下側で左右のフロントフレームを互いに連結するクロスメンバに固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の前部車体構造。
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