JPH0572810B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は炊飯器に関し、さらに詳しくは炊飯時
の蒸気の放散を低減もしくは解消することができ
るようにした炊飯器に関する。

＜従来の技術＞ 従来から用いられている電気炊飯器では、炊飯
時に内部の水分の沸騰に伴つて発生する蒸気を蓋
の上面に形成した蒸気口から器外に放散させるよ
うにしている。

＜発明が解決しようとする課題＞ しかしながら、一般家庭における電気炊飯器の
通常の使用態様では、少なくとも炊飯時には所定
の場所に据え置かれて用いられるのが一般的であ
る。このため、いわゆるおねばを含んだ蒸気が炊
飯器の上方へ放出され、上方の壁や天井に汚れや
変質が生じたりするという問題があつた。また、
炊飯器の上方の壁面などに時計が設置されている
場合などには、時計を狂わせてしまうという不具
合も生じていた。しかも、最近のマイコン制御型
の炊飯器では、吸水工程、炊き上げ工程、沸騰工
程およびむらし工程を含む炊飯工程を予め定めた
所定の温度変化が得られるように加熱制御するこ
とによつて美味しいご飯を炊き上げるようにされ
ているが、このような炊飯器において吸水工程を
省略して炊飯時間を短縮するいわゆる「早炊き」
動作が行われる場合には、おねばが飛びやすく、
上記の問題が一層顕著となる。

さらに、最近ではいわゆるシステムキツチンや
ワゴンなどの収納空間に炊飯器が収納され、この
収納状態で炊飯が行われることも少なくなくなつ
てきているが、この場合に炊飯器の上方側の天板
に汚れや変質が生じ、また天板などが金属製のも
のである場合には錆や腐食が生じたりするという
問題が生じるに至つている。

そこで、本発明は、上述の技術的課題を解決
し、炊飯時に生じる蒸気の放散を低減もしくは解
消することができるようにした炊飯器を提供する
ことを目的とする。

＜課題を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するための本発明の炊飯器
は、飯器が取出自在に収容された炊飯器本体と、
炊飯器本体の上方を覆う蓋ユニツトとを有し、上
記蓋ユニツト内には、飯器内で生じた蒸気が導か
れる第１の蒸気通路が設けられ、上記炊飯器本体
内には、上記蓋ユニツトが閉じられているときに
は上記第１の蒸気通路と連通する第２の蒸気通路
が設けられ、上記炊飯器本体内の下部には蒸気受
け手段が設けられ、上記炊飯器本体内に設けられ
た第２の蒸気通路の放出口が上記蒸気受け手段に
臨まされていることを特徴とするものである。

＜作用＞ 上記の構成によれば、炊飯時に飯器内で生じた
蒸気は第１の蒸気通路および第２の蒸気通路を通
つて炊飯器本体内の下部に導かれる。そして放出
口から炊飯器本体内の下部に設けられた蒸気受け
手段に放出される。よつて、炊飯器上方への蒸気
の放散がなく、しかも、蒸気は炊飯器本体内の下
部に設けられた蒸気受け手段で受け取められるの
で、蒸気は直接室内空間等へ放散されない。

＜実施例＞ 以下実施例を示す添付図面によつて詳細に説明
する。

第１図は本発明の一実施例の炊飯器の要部の構
成を示す断面図である。この炊飯器は、本体５０
と蓋ユニツト１０とからなり、本体５０は筒状の
外ケース１を有し、この外ケース１内に断熱材２
を介して内ケース３が収納されており、この内ケ
ース３内に飯器４が取出自在に収容されている。
内ケース３の底面には、ニクロム線５を埋設状態
で保持したリング状の炊飯ヒータ６が配置されて
おり、このヒータ６により飯器４を加熱して炊飯
が行われる。内ケース３の側壁の外周には、保温
ヒータ７が配設されており、図外の温度検出器の
出力に基づく通電の制御により、飯器４内のご飯
などの内容物の温度がほぼ一定（約70℃）に保た
れる。

外ケース１には、図外のヒンジ機構を介して蓋
ユニツト１０が回動自在に連結されている。蓋ユ
ニツト１０は、外面側に設けた合成樹脂製の外カ
バー１１と、断熱材１２を介して内面側に設けた
合成樹脂製の内カバー１３と、この内カバー１３
の中央部に突設したワンタツチピン１４を内蓋止
めゴム１５に形成した孔１６に挿通させることに
よつて取り付けた内蓋１７とを有している。１８
は、外ケース１の肩部に設けた肩ヒータであつ
て、蓋ユニツト１０を閉じた状態では、内蓋１７
の縁部が接触し、この縁部からの熱伝導により内
蓋１７の表面に生じた水滴を蒸発させて、飯器４
内へ水滴の落下を防ぐ。１９，２０はパツキンで
あつて、それぞれ飯器４内の空間、内蓋１７と内
カバー１３との間の空間２２を気密に保つ。

蓋ユニツト１０において、内カバー１３には、
内蓋１７に形成した孔２１を介して飯器４から内
蓋１７と内カバー１３との間の空間２２に導入さ
れた蒸気を排出するための蒸気排出口２３が形成
されている。この蒸気排出口２３には、アルミニ
ウムなどの材料からなり、第１の蒸気通路を形成
する蒸気管２５の一端部２５ａが高周波溶着によ
り気密に結合されている。この蒸気管２５は外カ
バー１１と内カバー１３との間を通つて、内カバ
ー１３の外ケースの肩部に対向する部位に延びて
配設され、ここに形成した連絡孔２６の縁部に他
端部２５ｂが高周波溶着によつて気密に結合され
ている。

外ケース１と内ケース３との間の本体５０内の
空間には、アルミニウムなどのような熱伝導性の
良好な材料で構成され、蓋ユニツト１０から連絡
孔２６を通つた蒸気が導かれる第２の蒸気通路を
形成する蒸気管２７が配設されている。このよう
に蒸気管２７は本体５０内の空間に配設されてい
るから、空空間を利用して蒸気管２７を設けるこ
とができ、従来の炊飯器に比べて本体５０が出つ
張つたりすることはない。蒸気管２７と連絡孔２
６との間は、蓋ユニツト１０を閉じた状態では、
パツキン２８により気密に結合されている。蒸気
管２７は内ケース３に沿つて下方に向かつて延
び、本体５０の下部で中央部に向かつて屈曲さ
れ、さらに下方に向けて屈曲されて、その放出口
が蒸気受け手段である水受は２９に導かれてい
る。この水受け２９は、本体５０に対して着脱自
在に取り付けられており、使用者は把手２９ａを
把持してこの水受け２９を本体５０から引き出す
ことができ、また引き出した水受け２９を本体５
０にセツトすることができる。

内ケース３の底面には、ペルチエ素子などで構
成したサーモモジユール３０が冷却手段として取
り付けられている。このサーモモジユール３０
は、冷却面３０ａを蒸気管２７の表面に密着さ
せ、発熱面３０ｂを内ケース３の底面に密着させ
て配置されている。蒸気管２７は熱伝導性の良好
な材料で構成されているので、サーモモジユール
３０による冷却効果は、蒸気管２７のほぼ全域に
及ぶ。

第２図は上記の炊飯器の電気的構成を示す電気
回路図である。この第２図において第１図に示さ
れた各部に対応する部分には同一の参照符号を付
して示す。商用交流電源５１からの電力は、主基
板５２上に形成した電気回路（図示せず）の制御
の下、温度ヒユーズ５３を介して、炊飯ヒータ
５、保温ヒータ７および肩ヒータ１８に供給され
る他、炊飯ヒータ５に並列に接続したサーモモジ
ユール３０にも供給される。したがつて、炊飯ヒ
ータ５への通電が行われる期間中は、サーモモジ
ユール３０は蒸気管２７を冷却することになる。

なお、第２図において、５４は炊飯動作の設定
などを行うための各種のスイツチを接続したスイ
ツチ基板であり、５５は飯器４の温度を検出して
所定の温度曲線に従う加熱を行わせるための温度
センサである。

上述のような本実施例の炊飯器では、炊飯ヒー
タ５への通電が行われ、飯器４内の水分の沸騰に
よりいわゆるおねばを含んだ蒸気が発生すると、
この蒸気は蓋ユニツト１０内の蒸気管２５から連
絡孔２６およびパツキング２８を介して本体５０
内の蒸気管２７に導かれ、この蒸気管２７におい
てサーモモジユール３０による冷却作用により冷
却される。この蒸気の冷却により生じた凝縮水
は、本体５０の下部に設けた水受け２９に貯留さ
れる。蒸気管２５，２７内に蒸気の発生以前から
滞留していた空気は、本体５０と水受け２９との
間に生じている〓間から、本体５０外に排出され
る。水受け２９に貯留された凝縮水は、使用者が
必要に応じて水受け２９を本体５０から引き出し
て捨て去ればよい。

蒸気管２５，２７は、管路長を長くして蒸気と
の接触面積を可及的に増大することが望ましく、
このようにすれば冷却効果を高めることができる
ので、おねばを含む蒸気を確実に凝縮させること
ができる。

上記のように本実施例の炊飯器によれば、炊飯
動作時に蒸気が炊飯器の上方へ放散するのが防が
れる。これにより、壁や天井の汚損および変質が
防がれ、さらに収納庫内などで据え置き状態で使
用する場合でも、その内部の汚損、変質または腐
食などを生じさせることなく炊飯を行うことがで
きる。また、本発明の炊飯器によれば、炊飯時の
蒸気を導く第１の蒸気通路および第２の蒸気通路
が蓋ユニツト内または炊飯器本体内の空空間を利
用して配設されているので、第１の蒸気通路およ
び第２の蒸気通路を設けたことにより炊飯器が嵩
高になることがない。すなわち、この発明にかか
る炊飯器は従来の炊飯器と同様の外形で、しかも
蒸気が上方へ直接放散されないという構成にする
ことができ、実用上の高い製品にすることができ
る。

＜発明の効果＞ 以上のように本発明の炊飯器によれば、炊飯時
の蒸気の放散が低減もしくは解消されるので、蒸
気の放散に起因する種々の問題が解決される。す
なわち、たとえば炊飯器の設置箇所の近傍の壁や
天井の汚損および変質、炊飯器を収納した収納庫
の材料の汚損および変質、ならびに炊飯器を設置
した室内の気温および湿度の上昇などの問題を生
じさせることなく、炊飯を行うことができる。

また、本発明の炊飯器によれば、炊飯時の蒸気
を導く第１の蒸気通路および第２の蒸気通路が蓋
ユニツト内または炊飯器本体内の空空間を利用し
て配設されているので、第１の蒸気通路および第
２の蒸気通路を設けたことにより炊飯器が嵩高に
なることがない。すなわち、この発明にかかる炊
飯器は従来の炊飯器と同様の外形で、しかも蒸気
が上方へ直接放散されないという構成にすること
ができ、実用上の高い製品にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例の炊飯器の要部
の構成を示す断面図、第２２図はその電気的構成
を示す電気回路図。 ２５，２７…蒸気管（蒸気通路）、２８…パッ
キン、２９…水受け（貯留手段）、３０…サーモ
モジユール（冷却手段）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 飯器が取出自在に収容された炊飯器本体と、
   炊飯器本体の上方を覆う蓋ユニツトとを有し、 上記蓋ユニツト内には、飯器内で生じた蒸気が
   導かれる第１の蒸気通路が設けられ、 上記炊飯器本体内には、上記蓋ユニツトが閉じ
   られているときには上記第１の蒸気通路と連通す
   る第２の蒸気通路が設けられ、 上記炊飯器本体内の下部には蒸気受け手段が設
   けられ、 上記炊飯器本体内に設けられた第２の蒸気通路
   の放出口が上記蒸気受け手段に臨まされているこ
   とを特徴とする炊飯器。