JPH1199070A - 調理器具 - Google Patents

調理器具

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JPH1199070A
JPH1199070A JP26425897A JP26425897A JPH1199070A JP H1199070 A JPH1199070 A JP H1199070A JP 26425897 A JP26425897 A JP 26425897A JP 26425897 A JP26425897 A JP 26425897A JP H1199070 A JPH1199070 A JP H1199070A
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JP
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lid
heating
container
resin material
main body
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JP26425897A
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Kazuya Miyake
一也 三宅
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Toshiba Home Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Home Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や
断熱性を向上する。 【解決手段】 微細な中空部材を含有したポリプロピレ
ンなどの樹脂材料により、調理物を収容する容器たる鍋
6の外周を覆う本体1の外郭3を形成する。樹脂材料の
内部に独立した中空層が形成されることにより、断熱性
を有する本体1の外郭3が鍋6の外周を覆うように形成
される。したがって、鍋6内の調理物からの熱の逃げを
抑制して、調理器具の保温性や断熱性を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気湯沸かし器,
電気釜,ジャー兼用電気釜,真空保温調理器具,電気
鍋,電気ホットプレートなどの、少なくとも保温性(保
温・保冷)や断熱性が調理性能の向上や省エネルギー効
果に作用する調理器具に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】一般に、調理物を収容
する容器の外周囲や、容器の上方への熱の逃げを抑制す
る要素は、調理時に容器を加熱したときの加熱効率の向
上や、この加熱効率の向上に伴なう加熱ムラの抑制によ
る調理性能の向上だけでなく、使用電力の抑制による省
エネルギー効果や、本体および蓋体における外面温度の
抑制の他に、温度上昇の抑制に伴って本体の小型化設計
が可能になるなど、多様な利点を有する。また、本体や
蓋体の内部に加熱手段を持たずに、保温性を保持するこ
とによって調理を行なう調理器具でも、同様に調理性能
が向上する。
【0003】通常、断熱性や保温性を向上するには、断
熱材を使用することになるが、断熱材の要求としては、
熱が伝達しにくい低熱伝導材料を使用し、さらに、軽量
化という観点から、内部に空隙を設けるなどして低比重
化した材料を選定するのが好ましい。このため、グラス
ウールやセラミックスファイバーを使用したり、空気層
を形成したり、あるいは真空層を設けるなどの技術が一
般的に行われている。しかし、断熱材を使用するのは部
品点数の増加を招き、また、空気層や真空層を形成する
には、ある程度のスペースを確保する必要があることか
ら、いずれの場合も本体構造が複雑になり、本体が大型
化する要因になる。つまり、断熱性能や保温性能の向上
は、調理器具の性能を向上する上で、極めて重要な技術
課題の一つとなっている。
【0004】また、蓋体は容器の上部開口部を塞ぐため
のものであるが、通常容器からの放熱は、この上部開口
部からの逃げが多く、容器内に収容した調理物などの保
温性を高めるには、特に容器の上部開口部からの放熱を
低減することが重要な課題となる。よって、蓋体の断熱
性を向上することは、調理物の保冷や保温の保温性を向
上する点で非常に重要な要素になる。これは、容器を何
らかの加熱手段で加熱するものに限らず、容器内に収容
した調理物を保冷や保温するあらゆる調理器具に共通し
た課題である。
【0005】また、調理器具の中には、誘導加熱用の加
熱コイルにより、電磁誘導加熱にて容器に収容した調理
物を電磁誘導加熱するものが知られているが、容器が発
熱した影響により、加熱コイルの温度が、コイル電線を
被覆した絶縁物の使用温度以上になる場合があり、従来
は、容器と加熱コイルの取付け部に隙間を設けたり、あ
るいは、加熱コイルの外側を空気に露出させて、加熱コ
イルの熱放出を疎外させないなどの構成を採用してい
る。しかし、こうした隙間や加熱コイルの外側に形成し
た空気露出部は、特別なスペースを必要とし、また、万
一コイル電線の絶縁被覆が破壊に至れば、コイル電線が
短絡して、ブレーカーが作動するなどの不具合を生じ
る。
【0006】さらに、上記の電磁誘導加熱式の調理器具
は、特に容器の外周囲への放熱により容器が冷えやすい
欠点がある。このため、炊飯などの加熱調理時や保温時
には、大幅な温度低下を防止するために頻繁に容器を加
熱する必要があり、電力消費が多くなる要因になってい
る。容器の冷えを防止することは、特に電磁誘導加熱に
より調理を行なう調理器具において、省エネルギー性向
上の観点から、重要な課題の一つとなっている。
【0007】他方、蓋体の内部において、蓋加熱手段に
よる蓋体下面の加熱効率を向上することも、炊飯などの
加熱調理時や保温時に使用電力量を低減する要素として
重要である。このため、従来は、グラスウールなどの多
量に空気を含んだ低比重断熱材や、金属製の遮熱板を、
蓋加熱手段の上方に設けることで、外蓋から外部への放
熱を抑止して、加熱効率を向上する構成が一般的に採用
されている。また、本体の内部においても、上記蓋体の
場合と同様に、断熱材や遮熱板を介在させて、空気層に
よる断熱構造が織り込まれている。しかし、断熱材を設
けることは部品点数の増加を招くと共に、単なる金属製
の遮熱板では十分な断熱性が得られない。
【0008】ところで、調理器具の中には、蓋体を自動
的に開くために、ネジリコイルバネなどの弾性部材を本
体後方のヒンジ部に備えたものが知られている。このよ
うなものは、蓋体係止部によって容器の上部開口部を覆
うように蓋体を閉じた状態でも、弾性部材により常時蓋
体を開く方向に弾性力が作用するため、炊飯などの加熱
調理時に発生する調理物からの蒸気や、加熱調理時およ
び保温時における蓋加熱の影響により、蓋体を構成する
プラスチック樹脂材料が膨張収縮して、特に弾性力にて
応力が加わる部分の蓋体が変形しやすい問題点がある。
このような事態を避けるには、蓋体の軽量化を図ること
により、弾性部材の弾性力を低減する必要がある。ま
た、本体の外側面に、この本体を持ち運ぶためのハンド
ルを設けた調理器具も知られているが、ハンドルは本体
重量に耐え得る強度を有していなければならない。よっ
て、ハンドル強度の信頼性を高めるには、本体外郭の重
量を低減して、ハンドルに加わる質量を少なくする必要
がある。
【0009】また、本体を載置する面は、床やテーブル
などが一般的であるが、畳の上などの想定が難しい場所
や、耐熱性の低いビニルクロスなどのプラスチック面
や、ニス処理を施した表面処理面などの場合もある。こ
れらの接地面に対し、本体底面からの熱影響を低減する
には、本体の底面部材の熱抵抗を増大させ、接地面への
熱の放出を抑制すればよく、熱抵抗を増大させるには、
底面部材の肉厚を増加させたり、空気層を形成したり、
あるいは断熱層を介在させればよい。しかし、これらの
方法は、いずれも本体の質量増加や本体の大型化に何ら
かの影響を及ぼすため、調理器具として使い勝手のよ
い、伴なう状況となっている。
【0010】また、炊飯などの加熱調理時や保温時に、
調理物を収容する容器の加熱効率を向上させるには、容
器の外周囲に配置した加熱手段の発熱を本体の外部に放
出しにくいように、熱抵抗の大きい部材で加熱手段の外
側を覆うのが有効である。同様に、炊飯などの加熱調理
時や保温時に、鍋の上部開口部を覆う蓋体の下面の加熱
効率を向上させるには、蓋加熱手段の発熱を蓋体の外へ
放出しにくいように、熱抵抗の大きい部材で蓋加熱手段
を覆うことが有効である。この方法としては、例えば、
真空断熱,空気断熱,あるいは断熱材の配置などの構造
的手段が応用されている。また、単純に加熱手段を覆う
部材の熱抵抗を増大させるには、その部材を厚くすれば
よい。しかし、これらの各方法は、いずれも本体の軽
量,小型化に支障を伴なうものである。
【0011】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、調理
物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上す
ることのできる調理器具を提供することを共通の目的と
し、構造部品を追加することなく、且つ断熱層の形成に
特別なスペースを形成することなく、保温性や断熱性を
向上できる調理器具を提供することをその第1の目的と
する。
【0012】また、本発明の第2の目的は、特に蓋体の
断熱性を向上した調理器具を提供することにある。
【0013】また、本発明の第3の目的は、特に容器の
保温性を向上しつつ、加熱コイルの温度上昇を抑制でき
る調理器具を提供することにある。
【0014】また、本発明の第4の目的は、電磁誘導加
熱により加熱される容器の冷えを防止して、省エネルギ
ー性を改善できる調理器具を提供することにある。
【0015】また、本発明の第5の目的は、本体や蓋体
の断熱作用を向上して、省エネルギー性を改善できる調
理器具を提供することにある。
【0016】また、本発明の第6の目的は、蓋体や本体
の外郭を軽量化して、蓋体の変形防止やハンドル強度の
信頼性向上を図ることのできる調理器具を提供すること
にある。
【0017】また、本発明の第7の目的は、本体を質量
増加および大型化させることなく、本体の底面部の熱抵
抗を増加できる調理器具を提供することにある。
【0018】また、本発明の第8の目的は、本体を質量
増加および大型化させることなく、加熱手段の外側を覆
う部材の熱抵抗を増加できる調理器具を提供することに
ある。
【0019】また、本発明の第9の目的は、本体を質量
増加および大型化させることなく、蓋加熱手段の上側を
覆う部材の熱抵抗を増加できる調理器具を提供すること
にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
調理器具は、前記第1の目的をも達成するために、微細
な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料に
より、調理物を収容する容器の外周を覆う本体の外郭を
形成したものである。
【0021】この請求項1の構成によれば、樹脂材料の
内部に独立した中空層が形成されることにより、断熱性
を有する本体の外郭が容器の外周を覆うように形成され
るので、断熱材などの構造部品を追加することなく、且
つ、空気層や真空層などの断熱層を形成する際のよう
に、特別なスペースを形成することもなく、従来使用の
樹脂材料部材に中空部材を含有するだけの構成で、調理
器具の保温性や断熱性を向上できる。これにより、調理
性能を向上できる他に、本体外面温度の抑制に伴って本
体の小型化設計が可能になるなど、多様な利点を有する
調理器具を提供できる。
【0022】また、本発明の請求項2記載の調理器具
は、前記請求項1の構成において、前記中空部材は粒径
が5〜100 μmで、前記樹脂材料よりも耐熱温度および
硬度の高いガラスやセラミックスなどの無機質材料より
選定したものであることを特徴とする。
【0023】この請求項2の構成によれば、樹脂材料に
中空部材を混ぜて、本体の外郭を射出成形する際に、中
空部材が樹脂材料中に容易に分散し、また、微細である
ために射出圧時に樹脂材料に中空部材がなじみやすく、
成形性の悪化が防止される。さらに、射出成形時におい
て、シリンダー内などで溶解した樹脂材料中でも、中空
部材が溶解することが防止され、確実に樹脂材料中に中
空部を形成することができる。
【0024】また、本発明の請求項3記載の調理器具
は、前記第1の目的をも達成するために、微細な中空部
材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料により、調
理物を加熱する加熱手段を内蔵した本体の外郭を形成し
たものである。
【0025】この請求項3の構成によれば、加熱手段が
断熱性を有する本体の外郭に内蔵されるので、断熱材な
どの構造部品を追加することなく、且つ、断熱層を形成
する際のように、特別なスペースを形成することもな
く、従来使用の樹脂材料の部材に中空部材を含有するだ
けの構成で、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性
や断熱性を向上することが可能になる。これにより、調
理時に調理物を加熱したときの加熱効率の向上や、この
加熱効率の向上に伴なう加熱ムラの抑制による調理性能
の向上だけでなく、使用電力の抑制による省エネルギー
効果や、本体の外面温度抑制の他に、温度上昇の抑制に
伴って本体の小型化設計が可能になるなど、多様な利点
を有する調理器具を提供できる。
【0026】また、本発明の請求項4記載の調理器具
は、前記請求項3の構成において、前記本体の外郭に、
加熱動作の開始や停止などの操作部を設けたものであ
る。
【0027】この請求項4の構成によれば、本体の外郭
の温度抑制効果が有るため、加熱開始や停止などの操作
時に、操作部に手を触れても熱くなく、調理器具として
の実用性が向上する。
【0028】また、本発明の請求項5記載の調理器具
は、前記請求項3の構成において、前記本体の外郭に、
該本体を持ち運ぶための手掛り部を設けたものである。
【0029】この請求項5の構成によれば、手掛り部や
その周辺にある本体の外郭の温度抑制効果により、手掛
り部に手を触れた際の熱さを感じず、調理器具としての
実用性を向上できる。
【0030】また、本発明の請求項6記載の調理器具
は、前記第1および第2の目的をも達成するために、微
細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料
により、調理物を収容する容器の上部開口部を覆う蓋体
の外郭を形成したものである。
【0031】この請求項6の構成によれば、断熱材など
の構造部品を追加することなく、且つ、空気層や真空層
などの断熱層を形成する際のように、特別なスペースを
形成することもなく、従来使用の樹脂材料の部材に中空
部材を含有するだけの構成で、蓋体の外郭の熱伝導率が
少なくなって、容器内の調理物から蓋体の外郭を経て外
部へ放出する熱の逃げを抑制でき、保温性や断熱性を向
上することが可能になる。これにより、調理性能を向上
できる他に、本体の外面温度の抑制に伴って本体の小型
化設計が可能になるなど、多様な利点を有する調理器具
を提供できる。また、蓋体の断熱性を向上できること
で、容器の上部開口部からの放熱を低減できる。
【0032】また、本発明の請求項7記載の調理器具
は、前記請求項6の構成において、前記蓋体は、この蓋
体の下面を形成する蓋下面部材と、該蓋体の外郭を形成
する外蓋とを組み合せてなり、前記蓋下面部材と前記外
蓋との間に空間を形成したものである。
【0033】この請求項7の構成によれば、蓋体の内部
に断熱空間が形成され、外蓋の断熱効果と相俟って、蓋
体の断熱性がさらに向上する。これにより、調理器具と
しての保温性や断熱性をさらに向上することが可能にな
る。
【0034】また、本発明の請求項8記載の調理器具
は、前記請求項7の構成において、前記空間にこの空間
を仕切る仕切り部材を設け、前記蓋体内部に複数の空間
を形成したものである。
【0035】この請求項8の構成によれば、蓋体内部の
断熱性は複数の空間により一層向上し、調理器具として
の保温性や断熱性も一層向上できる。
【0036】また、本発明の請求項9記載の調理器具
は、前記第3の目的をも達成するために、誘導加熱用の
加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて容器に収容した調
理物を加熱する構成を有すると共に、前記容器と前記加
熱コイルとの間に、微細な中空部材を含有したポリエチ
レンテレフタレートなどの耐熱性の高い樹脂材料部材を
介在させたものである。
【0037】この請求項9の構成によれば、容器と加熱
コイルとの間が樹脂材料部材で電気絶縁されると共に、
容器からの輻射熱が加熱コイルへ放射されるのを遮断す
ることができる。したがって、加熱コイルへの熱影響が
緩和して、温度上昇を低減することができる。また、樹
脂材料部材には中空部材が含有されることにより、内部
に中空層が形成されるので、樹脂材料部材自体の熱伝導
性が悪くなる。このため、樹脂材料部材の内面で受けた
輻射熱は、樹脂材料部材の外面側にある加熱コイルに伝
導しにくくなり、加熱コイルの温度上昇は一層抑制され
る。また、容器への加熱を停止している間は、樹脂材料
部材による容器の外周囲における断熱作用の向上によ
り、容器が冷えにくくなり、調理物からの熱の逃げを抑
制して、容器の保温性や断熱性が向上すると同時に、加
熱効率の向上を図れる。
【0038】また、本発明の請求項10記載の調理器具
は、前記第4の目的をも達成するために、誘導加熱用の
加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて容器に収容した調
理物を加熱する構成を有すると共に、前記容器の周囲に
所定の隙間を形成して、該容器の外周囲を微細な中空部
材を含有したプラスチック樹脂材料にて覆ったものであ
る。
【0039】この請求項10の構成によれば、微細な中
空部材を含有したプラスチック樹脂材料を容器の外周囲
に覆うことにより、プラスチック樹脂材料の内部に中空
層を含有した分だけ、通常のプラスチック樹脂よりも熱
抵抗を大きいものにでき、効果的に加熱効率を向上でき
る。また、容器とプラスチック樹脂材料との間には、所
定の隙間が形成されるので、容器の発熱によりプラスチ
ック樹脂材料が溶解することがなく、且つ、この隙間に
て容器の保温性および断熱性を一層高めることができ
る。したがって、容器内の調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができると共に、
電磁誘導加熱により加熱される容器の冷えを防止して、
省エネルギー性を改善できる。さらに、加熱効率の改善
に伴ない、調理物を加熱ムラなく加熱できるといった調
理性能向上の効果も得られる。
【0040】また、本発明の請求項11記載の調理器具
は、前記第4の目的をも達成するために、誘導加熱用の
加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて容器に収容した調
理物を加熱する構成を有すると共に、前記容器の外周囲
を覆うプラスチック樹脂材料の外側に前記加熱コイルを
備え、該加熱コイルの外側を微細な中空部材を含有した
プラスチック樹脂材料にて覆ったものである。
【0041】この請求項11の構成によれば、加熱コイ
ルの自己発熱した熱が、プラスチック樹脂材料により外
部へ放出しにくくなり、また、プラスチック樹脂材料は
微細な中空部材を含有することでその熱抵抗が増大し、
さらに、プラスチック樹脂材料から外部に熱が放出しに
くくなる。したがって、容器内の調理物からの熱の逃げ
を抑制して、保温性や断熱性を向上することができると
共に、電磁誘導加熱により加熱される容器の冷えを防止
して、省エネルギー性を改善できる。さらに、加熱効率
の改善に伴ない、調理物を加熱ムラなく加熱できるとい
った調理性能向上の効果も得られる。
【0042】また、本発明の請求項12記載の調理器具
は、前記第5の目的をも達成するために、本体の内部に
備えた容器の外周囲に、この容器と所定の隙間を形成し
て、微細な中空部材を含有した樹脂材料部材を配置した
ものである。
【0043】この請求項12の構成によれば、容器の外
周囲を包囲する部分の熱抵抗が、微細な中空部材を含有
した樹脂材料部材により増加し、容器の保温性が向上す
る。また、容器と樹脂材料部材との間に所定の隙間が有
るので、炊飯などの加熱調理時に容器が高温になって
も、樹脂材料部材は溶解することが防止され、且つ、隙
間により容器の保温性および断熱性を一層高めることが
できる。したがって、容器内の調理物からの熱の逃げを
抑制して、保温性や断熱性を向上することができると共
に、本体の断熱作用を向上して、省エネルギー性を改善
できる。
【0044】また、本発明の請求項13記載の調理器具
は、前記第5の目的をも達成するために、本体の内部に
容器を収容する容器収容部を設け、この容器収容部と、
前記本体の外郭を構成する外面部材との間に、微細な中
空部材を含有した樹脂材料部材を配置したものである。
【0045】この請求項13の構成によれば、容器収容
部の外周囲に断熱空間が形成されると共に、樹脂材料部
材の内部に中空層が形成されて熱抵抗が増大し、容器の
断熱性や保温性を向上することができる。したがって、
容器内の調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断
熱性を向上することができると共に、本体の断熱作用を
向上して、省エネルギー性を改善できる。
【0046】また、本発明の請求項14記載の調理器具
は、前記第5の目的をも達成するために、容器の上部開
口部を覆う蓋体の内部に、この蓋体の外面部材と該蓋体
の下面部材とを仕切るための、微細な中空部材を含有し
た樹脂材料部材からなる遮熱板を配置したものである。
【0047】この請求項14の構成によれば、従来の遮
熱板による遮熱効果の他に、遮熱板に形成した中空部材
により中空層が形成されることで、遮熱板の熱抵抗を増
大させ、容器の保温性を向上することができる。したが
って、容器内の調理物からの熱の逃げを抑制して、保温
性や断熱性を向上することができると共に、蓋体の断熱
作用を向上して、省エネルギー性を改善できる。
【0048】また、本発明の請求項15記載の調理器具
は、前記第6の目的をも達成するために、容器の上部開
口部を覆う蓋体と、この蓋体に対し常時開方向の弾性力
を作用させる弾性部材と、前記蓋体にて前記容器の上部
開口部を覆うように前記弾性部材の弾性力を抑止する蓋
体係止部とを備え、前記蓋体を形成するポリプロピレン
などの樹脂材料部材に、微細な中空部材を含有したもの
である。
【0049】この請求項15の構成によれば、蓋体を形
成するポリプロピレンなどの樹脂材料部材に、微細な中
空部材を含有させたことにより、この樹脂材料部材の比
重が小さくなり、蓋体の質量を少なくすることができ
る。この蓋体の軽量化に伴ない、従来よりも弾性部材の
弾性力を低減することが可能であり、蓋体に加わる応力
も低減し、蓋体が変形する不具合も一掃できる。また、
樹脂材料部材中に含有した中空部材により、中空層が形
成されるので、容器内の調理物からの熱の逃げを抑制し
て、保温性や断熱性を向上することができる。
【0050】また、本発明の請求項16記載の調理器具
は、前記第6の目的をも達成するために、本体の外側面
に、この本体を持ち運ぶためのハンドルを設け、前記本
体の外郭を形成するポリプロピレンなどの樹脂材料部材
に、微細な中空部材を含有したものである。
【0051】この請求項16の構成によれば、本体の外
郭を形成するポリプロピレンなどの樹脂材料部材に、微
細な中空部材を含有しているので、本体の外郭の比重が
小さくなり、本体の質量を少なくすることができる。こ
の本体の軽量化に伴ない、ハンドルに加わる質量を従来
よりも低減することが可能になり、ハンドルの強度に対
する信頼性を向上できる。また、樹脂材料の部材中に含
有した中空部材により、中空層が形成されるので、調理
物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上す
ることができる。
【0052】また、本発明の請求項17記載の調理器具
は、前記第5の目的をも達成するために、微細な中空部
材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料により、容
器の周囲を覆う本体の外郭と、容器の上部開口部を覆う
蓋体の外郭とを形成し、前記本体の内部に前記容器を加
熱する容器加熱手段を設けると共に、前記蓋体の内部に
該蓋体を加熱する蓋加熱手段を設けたものである。
【0053】この請求項17の構成によれば、本体や蓋
体の外郭を形成する樹脂部材の内部に、中空部材による
熱伝導の悪い中空層が形成されるので、容器の周囲部全
体の熱抵抗が増大して、調理物からの熱が本体や蓋体か
ら外部へ放出されるのを抑制でき、調理器具としての保
温性や断熱性を向上することができる。また、本体や蓋
体の断熱性能が向上することにより、容器加熱手段や蓋
加熱手段による本体や蓋体への加熱効率を従来より向上
して、省エネルギー効果を改善することができる。ま
た、本体や蓋体の外郭を使用中に触れても熱くなく、調
理器具としての実用性も向上する。
【0054】また、本発明の請求項18記載の調理器具
は、前記請求項17の構成において、前記樹脂材料に含
有する前記中空部材は、粒径が5〜100 μmのガラスま
たはセラミックスであることを特徴とする。
【0055】この請求項18の構成によれば、粒径を10
0 μm以下にすると、樹脂材料の射出成形時に高圧力が
加わるシリンダー内で中空部材が潰れにくくなり、外観
の光沢がなくなる等の問題を一掃できる。また、中空部
材として硬質のガラスやセラミックスを選定すれば、射
出成形時の潰れを抑制できる。
【0056】また、本発明の請求項19記載の調理器具
は、前記請求項17の構成において、前記樹脂材料に含
有する前記中空部材の含有量は、重量比で該中空部材を
含んだ樹脂全体の10〜50%、好ましくは15〜40%にした
ことを特徴とする。
【0057】この請求項19の構成によれば、樹脂材料
による断熱性向上の効果を期待できると共に、樹脂材料
の衝撃性も低下せず、且つ、外観光沢も低下しない。
【0058】また、本発明の請求項20記載の調理器具
は、前記第7の目的をも達成するために、本体に収容さ
れる容器の底面を加熱する加熱手段を備え、この加熱手
段の下側を、微細な中空部材を含有したポリプロピレン
やポリアミド,ポリエチレンテレフタレートなどの、炊
飯などの加熱調理時や保温時の容器加熱に耐え得る耐熱
性を有する合成樹脂材料で覆ったものである。
【0059】この請求項20の構成によれば、炊飯など
の加熱調理時や保温時に、合成樹脂材料が溶解するのを
防止できる。また、合成樹脂材料には中空部材が含有さ
れるので、内部に中空部材による中空層が形成され、比
重が軽くなって軽量化が図れると共に、加熱手段の下側
にある本体の底面部の熱抵抗を増大することが可能にな
る。これにより、本体の質量を増加させることなく、む
しろ本体の質量低下を図り、加熱手段の発熱を本体底面
から下方の接地面に放出しにくい構造とすることができ
る。
【0060】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、本
体を質量増加および大型化させることなく、本体の底面
部の熱抵抗を増加でき、本体の接地面に対する温度上昇
を低減できる。さらに、調理物を加熱したときの加熱効
率が向上することにより、省エネルギー効果も得られる
他、本体の質量の抑制により、調理器具としての使い勝
手が向上する。
【0061】また、本発明の請求項21記載の調理器具
は、前記第8の目的をも達成するために、本体に収容さ
れる容器の外側に、炊飯などの加熱調理時や保温時にこ
の容器を加熱する加熱手段を備え、この加熱手段の外側
を、微細な中空部材を含有したポリプロピレンやポリア
ミド,ポリエチレンテレフタレートなどの、炊飯などの
加熱調理時や保温時の容器加熱に耐え得る耐熱性を有す
る合成樹脂材料で覆ったものである。
【0062】この請求項21の構成によれば、炊飯など
の加熱調理時や保温時に、合成樹脂材料が溶解するのを
防止できる。また、合成樹脂材料には中空部材が含有さ
れるので、内部に中空部材による中空層が形成され、比
重が軽くなって軽量化が図れると共に、加熱手段の外側
の熱抵抗を増大することが可能になる。これにより、本
体の質量を増加させることなく、むしろ本体の質量低下
を図り、加熱手段の発熱を本体の外側に放出しにくい構
造とすることができる。
【0063】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、本
体を質量増加および大型化させることなく、本体の外側
を覆う部材の熱抵抗を増加できる。さらに、調理物を加
熱したときの加熱効率が向上することにより、省エネル
ギー効果も得られる他、本体の質量の抑制により、調理
器具としての使い勝手が向上する。
【0064】また、本発明の請求項22記載の調理器具
は、前記第9の目的をも達成するために、本体の内部に
容器を収容し、この容器の上部開口部を覆う蓋体の内部
に、炊飯などの加熱調理時や保温時に該蓋体の下面を加
熱する蓋加熱手段を備え、前記蓋加熱手段の上側を、微
細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの、炊飯な
どの加熱調理時や保温時の蓋体下面加熱に耐え得る耐熱
性を有する合成樹脂材料で覆ったものである。
【0065】この請求項22の構成によれば、炊飯など
の加熱調理時や保温時に、合成樹脂材料が溶解するのを
防止できる。また、合成樹脂材料には中空部材が含有さ
れるので、内部に中空部材による中空層が形成され、比
重が軽くなって軽量化が図れると共に、蓋加熱手段の上
側の熱抵抗を増大することが可能になる。これにより、
蓋体の質量を増加させることなく、むしろ蓋体の質量低
下を図り、蓋加熱手段の発熱を蓋体の外側に放出しにく
い構造とすることができる。
【0066】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、蓋
体を質量増加および大型化させることなく、蓋加熱手段
の上側を覆う部材の熱抵抗を増加できる。さらに、調理
物を加熱したときの加熱効率が向上することにより、省
エネルギー効果も得られる他、蓋体の質量の抑制によ
り、調理器具としての使い勝手が向上する。
【0067】
【発明の実施形態】以下、本発明の一実施例について、
図1〜図6を参照しながら説明する。なお、本実施例で
は、調理器具の一種である炊飯器を例にして説明する。
炊飯器の全体断面図を示す図1において、1は本体、2
はこの本体1の外側部である外郭3をなす外枠で、外枠
2の開口した底部下端には、本体1の外郭3の底面をな
す底板4が嵌合し固定されている。また、外枠2の内部
には有底筒状の容器収容部たる鍋収容部5が配設され、
この鍋収容部5に容器たる鍋6が着脱可能に収容され
る。鍋収容部5の側面を構成する鍋収容壁7は、この鍋
収容部5の上部を形成する外枠2と一体に形成される。
外枠2は、図2にも示すように、ポリプロピレンなどの
電気絶縁物からなるプラスチックの樹脂材料11からな
り、外観が光沢を有し、しかも、電気用品取締法に定め
るボールプレッシャー温度が140 ℃以上の材料から選定
したものを使用している。また、この外枠2には、粒径
が5〜100 μm、好ましくは、平均5〜50μm程度であ
って、樹脂材料11よりも耐熱温度および硬度の高い微細
なガラスまたはセラミックス粉末などの無機質材料の中
に、中空部である空間12を形成した中空部材13が、樹脂
材料11の重量(中空部材13を含む全重量)に対して重量
比で10〜50%,好ましくは15〜40%含有してあり、これ
により空間12による独立した中空層すなわち空気層を形
成して、低比重化を図っている。そして、この外枠2に
より形成された本体1の外郭3が、容器6の外周を覆う
ようにして設けられている。
【0068】一方、外枠2とは別部品であって、鍋収容
部5の底部を形成するコイルベース14は、例えばポリエ
チレンテレフタレートやポリアミド樹脂などの電気絶縁
物からなり、難燃性を有し、電気用品取締法に定める電
気絶縁物の使用温度の上限が120 ℃以上のプラスチック
樹脂材料11から選定したものを使用している。また、図
2に示すように、コイルベース14は外枠2と同様の中空
部材13を含有している。つまり、本体1の内部に備えた
鍋6の外周囲には、いずれも微細な中空部材13を含有し
た樹脂材料11の部材からなるコイルベース14および外枠
2の鍋収容壁7が、鍋収容部5として配置されているこ
とになる。
【0069】図3にも示すように、鍋6は、アルミニウ
ムやマグネシウム、またはアルミニウム合金やマグネシ
ウム合金,ジュラルミンなどの、熱伝導性の良い材料か
ら選定した材料を主材料として、鍋母体21を形成してい
る。このなかで、特にマグネシウム合金やジュラルミン
を使用した場合には、熱伝導性が良好で加熱ムラの少な
い調理が可能になると共に、軽量化が図れて、調理器具
としての実用性の向上が図れる利点がある。
【0070】鍋母体21は、ダイキャストや溶湯鍛造製法
により形成され、成形時において、鍋母体21の底面と側
面下部に、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料
から選定した材料を所定の皿形状に成形した発熱体22を
接合してある。これに代わり、予め熱伝導性の良好な材
料と磁性金属材料を接合したクラッド材などの板をプレ
スして、所定の鍋6の形状に形成してもよい。
【0071】発熱体22の内面には、PTFE樹脂などの
フッ素系塗料からなるプライマーコート層23がコーティ
ング(塗装)形成される。さらに、このプライマーコー
ト層23の内面すなわち鍋6の内面には、鍋6のご飯に対
する非粘着性を向上させ、かつ、鍋6の外観性を改善す
るために、PFA樹脂などのフッ素系塗料からなる鍋内
面層24がコーティング形成される。一方、鍋6の発熱体
22を含む外面には、複数の独立した中空部に相当する空
間25から成る断熱層26がコーティング形成される。この
断熱層26は、シリコーン樹脂やフッ素樹脂を主体とした
塗料27に、平均粒径が10〜100 μm程度のガラスまたは
アルミナなどのセラミックスから選定した微細で耐熱性
の高い硬質の中空部材たる粉末28を、重量比で10〜40%
含有させたものであり、50〜200 μm程度の膜厚でコー
ティングが施されている。粉末28の内部には、前記空間
25が閉塞状態で設けられており、この粉末28の内部を中
空化することで、低比重および低熱伝導率の断熱作用向
上の特性を得る構成になっている。粉末28は塗料27中に
分散積層しており、複数の空間25が塗料27中に形成され
ることで、断熱作用の向上が図れることになる。なお、
粉末28の粒径や材質,塗料27の種類,塗料27に含有する
粉末28の量,塗料27の塗膜厚さなどは、これに限定され
るものではなく、鍋6の外観と断熱特性および製造性な
どを考慮して適宜選定すればよい。この断熱層26を鍋6
の外面に形成した後、例えばシリコーン系塗料からなる
鍋外面層29がコーティング形成される。
【0072】鍋6の上部には、水平方向外側に延出した
フランジ部31が形成されており、フランジ部31の下面を
鍋収容部5の上端部に載置することにより、鍋収容部5
の内部にて鍋6を吊設状態に収容する構成となってい
る。このとき、鍋6の外面と鍋収容壁7およびコイルべ
ース14の内面との間には、1〜7mm程度の隙間32が形成
され、第1の断熱空間として鍋6の断熱性および保温性
を高める構成になっている。この隙間32は密閉した構造
が理想であるが、鍋6の外面に水が付着した場合、炊飯
時に水が内部にこもらずに外へ放出されるように、鍋6
の載置部において多少の隙間を形成するほうが、実用面
を考慮すると好ましい。
【0073】35は、コイルベース14の底部中央に設けら
れた鍋温度検出手段たる鍋温度センサである。この鍋温
度センサ35は、通常の炊飯器では鍋6ひいては鍋6内の
被炊飯物または被保温物の温度を検出するために設けら
れており、図示しないコイルスプリングにより、鍋6の
外面底部に弾性的に押圧接触している。しかし、断熱性
の高い断熱層26を鍋6の外面に施した状態では、鍋6の
温度を精度よく検出することは困難になる。そこで、鍋
温度センサ35の接する部分は前記塗料27の塗装を行なわ
ずに、他の部分で一回目の塗料27の塗装を行ない、さら
に粉末28を含有しない塗料で、一回目の塗装を行なわな
かった部分も含めて2回目の塗装を行ない、鍋6の外面
全体に鍋外面層29を形成する。こうすることで、鍋6の
収容時に鍋温度センサ35が断熱層26に接触しない構成と
し、温度検出精度の悪化を防止することが可能になる。
なお、一回目の塗料27の塗装時には、鍋温度センサ35の
接触部をマスキングして塗装する必要があるが、本実施
例のように、鍋6の外底面の中央部に鍋温度センサ35の
接触部を示す凸部36を意図的に設ければ、1回目の塗装
時において、この凸部36に板(図示せず)などの隠蔽部
材を置くだけでよく、位置合わせなどを行なう必要がな
くなって製造性が向上する。
【0074】41は、本体1内部のコイルベース14の外面
に設けられ、加熱手段の一要素であって、容器加熱手段
でもある誘導加熱用の加熱コイルである。この加熱コイ
ル41は、炊飯と保温にて兼用して鍋6を電磁誘導加熱す
ることにより、鍋6内の調理物を加熱するものであり、
発熱体22に対向する状態で、鍋6の底面と側面下部に対
向する位置に設けられる。なお、鍋6の底面のみ、ある
いは、鍋6の側面の複数箇所に対向する状態に、この部
分を加熱する加熱コイル41を設けてもよい。前記鍋収容
壁7の外方すなわち鍋収容部5の外側には、1〜9mmの
隙間、好ましくは1〜5mmの隙間を有する側面空間42を
介在して、鍋収容部5を覆う壁部としての胴断熱壁43が
設けられる。この胴断熱壁43は、前記鍋収容壁7と同様
に外枠2と一体に形成され、その材厚は0.8 〜3.0 mmに
形成される。したがって、鍋収容壁7や胴断熱壁43は、
外枠2と同一材料にて、プラスチックの射出成形時に同
時に形成される合理的な製造性を有して、すべての樹脂
材料11に中空部材13を含有した構造になっている。
【0075】コイルベース14の外方には、1〜9mmの隙
間、好ましくは1〜5mmの隙間を有する底面空間44を介
在して、前記胴断熱壁43とともに鍋収容部5を覆う壁部
を形成するコイルカバー45が設けられる。但し、底面空
間44の前記加熱コイル41を配置した箇所は、加熱コイル
41の厚さ以上の隙間を有している。加熱コイル41の外側
にあるコイルカバー45の材料は、コイルベース14と同様
に、ポリエチレンテレフタレートやポリアミド樹脂など
の電気絶縁物であって、難燃性を有し、電気用品取締法
に定める電気絶縁物の使用温度の上限が120 ℃以上の材
料から選定したものを使用している。また、図2に示す
ように、コイルカバー45は、外枠2やコイルベース14と
同様の中空部材13を含有している。つまり、鍋収容部5
と本体1の外郭3を構成する外面部材たる外枠2との間
にも、胴断熱壁43およびコイルカバー45からなる微細な
中空部材13を含有した樹脂材料11の部材が配置されてい
ることになる。
【0076】コイルカバー45の材厚は、1.2 〜3.5 mmに
形成されている。そして、コイルカバー45にてコイルベ
ース14の底部を覆うと、鍋収容壁7の下端にある隙間が
略遮蔽され、鍋収容部5の外底面と外側面に、各々側面
空間42と底面空間44が第2の空間として連通形成される
構成になっている。なお、この側面空間42および底面空
間44は、完全に密閉された空間であることが望ましい
が、各部材の嵌合部や、加熱コイル41のリード線(図示
せず)の引出口や、鍋温度センサ35を装着する部分な
ど、多少の隙間があっても構わない。また、加熱コイル
41は螺旋状をなし、コイルベース14の外面にシリコーン
接着剤などにて部分的に接着固定され、コイルカバー45
にてさらに下方から覆って落下しない構造になってい
る。したがって、加熱コイル41は、コイルベース14とコ
イルカバー45との隙間すなわち底面空間44に配置される
構成となる。また、落下防止や振動防止のためには、加
熱コイル41を設けた部分のコイルベース14とコイルカバ
ー45との隙間は、形成しないことが好ましい。コイルカ
バー45の外側には、加熱コイル41からの磁束の漏れを防
止するフェライト部材46が装着される。
【0077】前記側面空間42および底面空間44からなる
第2の空間の外側には、本体1の周囲を形成する外枠2
と、本体1の底部を形成する底板4が設けられており、
壁部をなす胴断熱壁43およびコイルカバー45の外側と、
外枠2および底板4の内側との間に形成した第3の空間
48には、熱影響を受けやすい制御回路部品を備えた基板
たる加熱基板51が設けられる。この加熱基板51は、加熱
コイル41の制御回路である加熱基板ユニット52と発熱部
品であるスイッチング素子53が搭載される。加熱基板ユ
ニット52は、加熱コイル41に所定の高周波電流を供給す
るインバータ回路などを備え、加熱コイル41に所定の高
周波電流を供給するものである。そして、この高周波電
流の供給により、加熱コイル41に磁界が発生すること
で、鍋6の発熱体22を電磁誘導加熱にて発熱させて、鍋
6を加熱する構成は、従来周知の電磁誘導加熱式の炊飯
器と同一である。また、高周波電流を発生させるスイッ
チング素子53と加熱基板51の間には、スイッチング素子
53を冷却するために、下方に向けて多数のフィン54を形
成した放熱板55が、熱的に密着した状態で取り付けられ
る。フィン54の下側に位置する底板4の通気口56には、
この通気口56から外気を導入して、加熱基板51側に送風
する冷却ファン57が、加熱基板51を冷却する冷却手段と
して設けられている。
【0078】58は、前記第3の空間48の外側にあって、
底板4の外底部に設けられた電源電線巻取機構に相当す
るコードリールである。このコードリール58は、加熱基
板41に電源を供給する電源電線(図示せず)が巻取可能
に収容されている。コードリール58の内部において、電
源電線は螺旋状に巻かれた状態になっており、図示しな
いゼンマイバネの弾性力を利用して、電源電線は引き出
された後、自動的に巻き取られる構造になっている。底
板4の材料は、ポリプロピレンなどのプラスチック樹脂
材料11からなる電気絶縁物であって、外観光沢を有し、
電気用品取締法に定めるボールプレッシャー温度が140
℃以上の材料から選定したものを使用している。また、
図2に示すように、底板4は、外枠2と同様の中空部材
13を含有している。
【0079】第2の空間である側面空間42および底面空
間44の外側には、前記加熱基板51の他に、熱影響を受け
やすい制御回路部品を備えた基板61が設けられる。この
基板51には、後述する蓋ヒータ82の制御回路などを備え
た電源ユニット62や、制御用のマイクロコンピュータ
(以下、マイコンと称する)111 と、LCDやLEDな
どの表示手段118 と、各種スイッチからなる操作手段11
2 とを備えた表示操作ユニット63が、外枠2の前面であ
る本体1の外郭3に装着された加熱動作の開始や停止な
どの操作部に相当する操作パネル64に対向して設けられ
る。
【0080】本体1の外郭3に位置する外枠2の側面に
は、本体1を手で持ち運ぶ際に手を差し入れることがで
きる手掛り部としての凹部65が形成されている。この凹
部65により、本体1を移動する際に手で容易に持ち運ぶ
ことができる。また、本体1の外側両面には、ハンドル
66が回動自在に取付けられており、このハンドル66を起
立させて手で持てば、同様に本体1を容易に持ち運ぶこ
とができる。このハンドル66の材料は、ポリプロピレン
などの樹脂材料からなり、外枠2の外形形状に合わせ
て、ハンドル66を倒した状態で、本体1からのはみ出し
が極力少ない形状に考慮してある。
【0081】71は、鍋6の上部開口部を直接覆う蓋体で
ある。蓋体71は、蓋体71の外側上面を形成する外蓋72
と、蓋体71の下部外周にあって、鍋6の上部開口部に対
向しない部分を形成し、外蓋72の下端部がその外周囲端
面に嵌合する外蓋カバー73と、鍋6側に面した蓋体71の
下面を形成し、鍋6の上部開口部に対向する蓋下面部材
74とを組み合わせて概ね構成され、外蓋72と蓋下面部材
74との間には空間75が形成される。このなかで、蓋下面
部材74はアルミニウムなどの熱伝導性に優れた部材をダ
イキャスト成形して所定形状にしたものであり、その鍋
6側表面には、PFA樹脂などの弗素系樹脂による塗装
が施されている。
【0082】蓋下面部材74の外周部には、図示しないね
じを介して外蓋カバー73に取付け固定されると共に、こ
の外周部の内側は、凹部76を除いてねじなどが露出しな
い平坦状の鍋6側表面が形成される。このように鍋6側
の表面を形成すると、蓋体61を開けた時の外観性および
清掃性を良好に維持できる。また、蓋下面部材74の裏面
すなわち上面には、円環状の溝77が形成される。これら
の凹部76や溝77は、蓋下面部材74の外周部の温度上昇を
抑制するために設けられている。
【0083】蓋下面部材74の上面すなわち裏面には、こ
の蓋下面部材74の温度を検出する蓋温度検出手段たる蓋
温度センサ81の他に、コード状の電熱ヒータからなる蓋
ヒータ82が、図示しない両面テープによって接着固定さ
れている。なお、この蓋体71の内部に設けられる蓋加熱
手段は、本実施例のような構成の蓋ヒータ82に限定され
ない。例えば、蓋下面部材74を磁性金属材料で形成する
と共に、蓋体71の内部に加熱コイルを備え、この加熱コ
イルに所定の高周波電流を供給して、蓋下面部材74を電
磁誘導加熱する構成であってもよい。蓋ヒータ82は、炊
飯などの調理加熱時や保温時において、蓋体71ひいては
この蓋体71の下面を形成する蓋下面部材74を加熱するも
のである。
【0084】蓋下面部材74の上側には、蓋下面部材74か
らの熱を遮断する蓋下面遮熱板83が、空間を介して設け
られる。また、外蓋72の内側にも、別の外蓋遮熱板84が
設けられる。蓋下面遮熱板83は、空間75を仕切る仕切り
部材に相当し、これにより蓋体71内部には、蓋下面遮熱
板83を境界として、各々区画された複数の空間75A,75
Bが形成される。また、この蓋下面遮熱板83は、蓋体71
の外面部材である外蓋72と、蓋体71の下面部材である蓋
下面部材74とを仕切るものでもある。
【0085】遮熱板たる蓋下面遮熱板83は、アルミニウ
ム板を使用し、軽量化を図ると共に、蓋ヒータ82からの
輻射熱を反射しやすくし、また、蓋下面部材74を電磁誘
導加熱する場合は、蓋体71の外側への磁束の漏れを遮蔽
する作用を有する。また、図4に示すように、蓋下面遮
熱板83の外蓋72側の上面には、シリコーン樹脂やアクリ
ル樹脂を主体にした樹脂材料たる塗料85に、平均粒径が
10〜100 μm程度のガラスまたはアルミナなどのセラ
ミックスから選定した微細で耐熱性の高い硬質の中空部
材たる粉末86を、重量比で10〜40%含有させたものであ
り、20〜100 μm程度の膜厚でコーティングが施されて
いる。粉末86の内部には、中空部たる空間87が閉塞状態
で設けられており、この粉末86の内部を中空化すること
で、低比重および低熱伝導率の断熱作用向上の特性を得
る構成になっている。粉末86は塗料85中に分散積層して
おり、複数の空間87が塗料85中に形成されることで、断
熱作用の向上が図れることになる。なお、粉末86の粒径
や材質,塗料85の種類,塗料85に含有する粉末86の量,
塗料85の塗膜厚さなどは、これに限定されるものではな
く、断熱特性および製造性などを考慮して適宜選定すれ
ばよい。蓋下面遮熱板83を形成するアルミニウム板の材
厚は、0.2 〜1.0 μm程度であるが、この材厚は、塗料
85のコーティング性や経済性を考慮して選定すればよ
い。
【0086】前記外蓋72は、ポリプロピレンなどのプラ
スチック樹脂材料11からなり、図2にも示すように、外
枠2と同様の中空部材13を含有している。そして、蓋下
面遮熱板83や外蓋遮熱板84の上側を覆って、所定の形状
にて蓋体71の外観を形成する構成になっている。また、
外蓋カバー73も、ポリプロピレンなどのプラスチックの
樹脂材料11からなり、外枠2と同様の中空部材13を含有
している。つまり、蓋体71を構成する外蓋72と外蓋カバ
ー73は、いずれもポリプロピレンなどの樹脂材料11の部
材からなり、しかも、樹脂材料11には微細な中空部材13
が含有されている。
【0087】なお、図2における樹脂材料11は、ポリプ
ロピレンやポリエチレンテレフタレート,あるいはポリ
アミドが用いられているが、こうしたものに限定される
ことはなく、少なくとも炊飯などの調理加熱時や保温時
において、容器である鍋6や蓋体71の下面を形成する蓋
下面部材74を加熱したときに、これに耐え得る耐熱性を
有する樹脂を用いればよい。
【0088】外蓋カバー73と蓋下面部材74との間には、
環状の弾性体からなり、蓋体71を閉塞した際に、その下
部が鍋6の上面に密着する蓋パッキン88が配設される。
蓋体71は、本体1の後方部に設けたヒンジ部89により本
体1と軸支されており、ヒンジ部89には、蓋体71に対し
常時開方向の弾性力を作用させる弾性部材としてのネジ
リコイルバネ90が配設される。また、ヒンジ部89の反対
側にある本体1の前方には、蓋体係止部たるクランプボ
タン91が設けられており、このクランプボタン91により
蓋体71の前方部を係止することによって、ネジリコイル
バネ90の弾性力が抑止され、蓋体71が鍋6の上部開口部
を覆う構成となっている。したがって、このクランプボ
タン91を手動操作すれば、蓋体71とクランプボタン91と
の係止が解除され、蓋体71はネジリコイルバネ90の弾性
力によって、自動的に開くことになる。
【0089】前記外蓋72の上面には、鍋6側に陥没した
凹部93が設けられる。また、凹部93の中央に対応して、
蓋下面部材74には孔94が設けられており、この孔94に蒸
気口95の下部を形成する蒸気筒96が装着される。そし
て、孔94の周囲に位置する凹部93の底部裏側と、蓋下面
部材74の裏面との間は、シリコーンゴム製の蒸気口パッ
キン97でシールされる。蒸気口95は、いずれも耐蒸気性
に優れた例えばポリプロピレン樹脂からなる蒸気口キャ
ップ98と蒸気口ケース99とにより構成され、前記蒸気口
パッキン97に係合,離脱して、凹部93の開口した外側よ
り着脱自在に装着される。蒸気口キャップ98は蒸気口ケ
ース99の上部開口部に着脱自在に設けられ、その上面部
には複数の蒸気放出孔100 が形成される。また、この蒸
気口キャップ98の中央部には、下方へ垂下する筒壁部10
1 が形成される。この筒壁部101 のテーパー状に形成さ
れた下端は、前記蒸気筒96の上端部外周側に小さな隙間
102を介して対向しているとともに、筒壁部101 の側面
上部には、複数の蒸気通路103 が開口形成される。さら
に、筒壁部101 の上部には、この筒壁部101 の上部開口
部を閉じる調圧弁104 が取り付けられる。この調圧弁10
4 は、その下側に形成された複数の係止爪105 が前記各
蒸気通路103 に係合することにより、筒壁部101 に対し
て抜け止めされている。そして、蒸気口95内において、
前記蒸気筒96の上方で、筒壁部101 および調圧弁104 に
より囲まれた空間が第1の調圧室106 をなしており、筒
壁部101 および調圧弁104 の外周側の空間が第2の調圧
室107 をなしている。なお、108 は、蒸気筒96の根元部
に開口形成されたおねば戻し孔である。
【0090】そして、炊飯中に鍋6内に発生した蒸気
は、閉じた蓋体71の蒸気口95から外部に排出される。す
なわち、鍋6内の蒸気は、吹き上がるおねば(澱粉の煮
汁)などの水分とともに、まず蒸気口ケース99の蒸気筒
96内を上昇して、この蒸気筒96の上部開口部の周囲にあ
る第1の調圧室106 に吹き出す。ここで、水分と蒸気と
が互いに分離され、蒸気は蒸気通路103 からその周囲の
第2の調圧室107 の上部へ排出され、さらに、ここから
蒸気口キャップ98の蒸気放出孔100 を通って蒸気口95の
外部に放出される。一方、蒸気と分離された水分は、隙
間102 を通って第2の調圧室107 の下部へ落下する。こ
のように、第1の調圧室106 の内部で上記と水分が分離
されることにより、水分が蒸気口95の上面にある蒸気放
出孔100 から吹きこぼれる現象が抑制される。そして、
第2の調圧室107 内の下部に溜まった水分は、鍋6内か
らおねば戻し孔108 を通って第2の調圧室107 に入る蒸
気により加熱されることにより、第2の調圧室107 の内
部で煮沸することがあるが、この煮沸により発生した蒸
気は、蒸気放出孔100 から外へ放出される。炊飯が終了
し、むらしになって蒸気の発生が殆どなくなると、第2
の調圧室107 内に溜まった水分は、おねば戻し孔108 を
通って鍋6の内部に戻り、回収される。
【0091】次に、電気的な構成を図5に基づき説明す
ると、111 はマイクロコンピュータ(以下、マイコンと
称する。)であって、これはいずれも図示しないが、周
知のマイクロプロセッサを構成する制御装置および演算
装置の他に、計時装置,ROMやRAMなどの記憶装
置,および入出力装置を備えて構成される。そして、前
記表示操作ユニット63の操作手段112 からの各操作信号
と、鍋温度センサ35および蓋温度センサ81から各温度検
出信号をマイコン111 が入力し、それに基づいて、加熱
基板ユニット52を構成するIH駆動回路113 および高周
波電流発生手段114 を介して、加熱コイル41の出力であ
る加熱量と、加熱コイル41の通断電時間とを制御すると
共に、ヒータ駆動回路115 および通断電手段116 を介し
て蓋ヒータ82の通断電を制御し、さらに、表示手段駆動
回路117 を介して、表示操作ユニット63の表示手段118
の表示動作を制御するように構成している。前記マイコ
ン111 は、それ自身が保有するプログラムの制御シーケ
ンスとして、鍋6内の被炊飯物を炊き上げる通常の炊飯
動作を行なう炊飯制御手段121 と、鍋6内の被保温物を
所定温度に保温する保温制御手段122 を備えている。こ
の炊飯制御手段121 と保温制御手段122 の動作について
は、後程詳述する。
【0092】つぎに、炊飯時および保温時の加熱制御に
ついて、図6のグラフを参照しながら説明する。なお、
同図における上段の実線のグラフは、鍋温度センサ35の
温度を示しており、上段の点線のグラフは蓋温度センサ
81の温度を示している。また、同図の中段のグラフは加
熱コイル41の通断電のタイミングおよび出力を示してお
り、同図の下段のグラフは蓋ヒータ82の通断電のタイミ
ングおよび出力を示している。そして、同図の中段およ
び下段のグラフにおいて、ハッチングを付してある部分
が通電時期を示している。炊飯行程においては、ひたし
炊き行程と沸騰加熱行程と沸騰継続加熱行程と炊き上げ
行程とむらし行程とが順次行なわれる。以下、これらの
行程の制御に付いて説明するが、具体的に例示している
数値や時間は、炊飯コースや製品などに応じて変わる。
【0093】炊飯制御手段121 による炊飯を開始する
と、最初に鍋6内の米の吸水を促進するひたし炊き行程
が行なわれる。このひたし炊き行程は、鍋6の誘導加熱
の出力を比較的低くして、鍋6内の水温を30〜55℃に10
〜20分保持するものである。その後の沸騰加熱行程で
は、鍋6内の水が沸騰するまで、加熱コイル30を最大加
熱量の出力1300Wにて連続加熱を行なう。鍋6内の水の
沸騰を鍋温度センサ35が検出すると、沸騰継続加熱行程
に移行し、加熱コイル41の加熱出力を1000Wに落とすと
ともに、10秒オフと30秒オンの通断電サイクルの繰り返
しにて加熱コイル41を通断電し、鍋6への加熱(鍋加
熱)を断続的に行って、鍋6の平均加熱量を低減しつつ
沸騰を継続する。そして、3〜7分経過して、鍋6内の
水がほぼ無くなった頃合に、加熱コイル41の出力を再び
1300Wにし、10秒オフと10秒オンの通断電サイクルの繰
り返しにて加熱コイル41を通断電する炊き上げ行程を行
なう。鍋6の温度上昇が所定値に達すると、この炊き上
げ行程は終了し、むらし行程に移行する。むらし中は、
鍋6内のご飯の温度が98〜100 ℃の高温を10〜15分保持
するように、鍋6の誘導加熱の出力を比較的低くして、
鍋温度センサ35の検出温度に応じて断続的に加熱を行な
う。なお、炊飯中は、加熱基板51および基板61の温度上
昇を抑制するために、冷却ファン57による本体1内部の
強制冷却を行なう。
【0094】そして、所定時間のむらしが終了すると、
それまでの炊飯制御手段121 による炊飯に代わって、保
温制御手段122 による保温を行なう。この保温行程で
は、鍋温度センサ35の検出温度に応じて低い加熱量で加
熱が行なわれ、鍋6内のご飯の温度を70〜76℃に保持す
るように温度調節しながら、鍋加熱を断続的に行なう。
保温加熱は、加熱コイル30の出力を400 Wに低減し、0.
5 秒オンと5秒オフの通断電サイクルの繰り返しにて加
熱コイル41を通断電し、鍋6の温度が71℃以上の場合に
は0.5 秒の通電(オン)を省略して5秒オフにし、鍋6
の温度が71℃未満の場合には、0.5 秒の通電を実行し
て、鍋6の温度を71℃に保持する構成になっている。な
お、保温中は鍋6への加熱量が少ないこともあり、ま
た、騒音防止のために、冷却ファン57による加熱基板51
および基板61の冷却は行なわない。
【0095】また、炊飯中は、蓋ヒータ82により蓋体71
の下面である蓋下面部材74を加熱する。具体的には、前
記沸騰加熱が終了すると、60秒オンと30秒オフの断続加
熱により蓋下面部材74を加熱し、むらしになると、蓋下
面部材74の温度が100 ℃以上、実際には105 〜110 ℃程
度になるように、蓋温度センサ81の検出温度に基づいて
蓋下面部材74を加熱する。これにより、炊飯直後には、
蓋体71の下面に殆ど結露が生じない構成にする。また、
保温中において、鍋6内の保温温度が安定するまでの間
は、20秒オンと40秒オフの断続加熱により、蓋下面部材
74を加熱し、前記保温温度が安定したら、鍋6内のご飯
の温度よりも僅かに高温になるように蓋下面部材74を加
熱し(ご飯温度の+1〜3℃程度にする。ご飯表面の乾
燥を防止するため、常にご飯より高温に維持するより
も、一時的に高温にするのが好ましい。)、蓋体71の下
面への結露を防止する。なお、蓋下面遮熱板83の材厚
や、蓋下面遮熱板83の上面に形成した空間75Bすなわち
断熱層の厚さ、および、蓋ヒータ82と蓋下面遮熱板83と
の距離などは、炊飯またはむらし中に、蓋下面部材74を
100 ℃以上に加熱しているときに、外蓋72の外面温度が
65℃以下になるように調節する。外蓋72の外面温度全体
が65℃以下であることが望ましいが、蒸気口95の周囲な
ど構造上温度低下が困難な場所もある。よって、実用面
を考慮すれば、蒸気口95と、蓋体71前面の間の蓋体71を
閉じるときに手を触れる場所が65℃以下であれば、主た
る目的は達成される。
【0096】以上のように、本実施例によれば、微細な
中空部材13を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料11
により、調理物を収容する容器たる鍋6の外周を覆う本
体1の外郭3を形成している。このように構成すると、
調理加熱用の加熱手段が有る無しに拘らず、樹脂材料11
の内部に独立した中空層(空間12)が形成されることに
より、断熱性を有する本体1の外郭3が鍋6の外周を覆
うように形成されるので、断熱材などの構造部品を追加
することなく、且つ、空気層や真空層などの断熱層を形
成する際のように、特別なスペースを形成することもな
く、従来使用の樹脂材料11の部材に中空部材13を含有す
るだけの構成で、鍋6内の調理物からの熱の逃げを抑制
して、調理器具の保温性や断熱性を向上できる。これに
より、調理性能を向上できる他に、本体1の外面温度の
抑制に伴って本体1の小型化設計が可能になるなど、多
様な利点を有する調理器具を提供できる。
【0097】また、このような構成において、本実施例
では、粒径が5〜100 μmで、樹脂材料11(実施例では
ポリプロピレン)よりも耐熱温度および硬度の高いガラ
スやセラミックスなどの無機質材料より、前記中空部材
13を選定している。この場合、樹脂材料11に中空部材13
を混ぜて、本体1の外郭3を射出成形する際に、中空部
材13が樹脂材料11中に容易に分散し、また、微細である
ために射出圧時に樹脂材料11に中空部材13がなじみやす
く、成形性の悪化が防止される。さらに、射出成形時に
おいて、シリンダー内などで溶解した樹脂材料11中で
も、中空部材11が溶解することが防止され、確実に樹脂
材料11中に中空部である空間12を形成することができ
る。
【0098】また、特に調理物を加熱する加熱手段(加
熱コイル41)を内蔵した調理器具にあっては、調理加熱
時に、本体1の外郭3の温度上昇が抑制され、本体1の
外部への放熱が低減して加熱効率が向上し、省エネルギ
ー効果が得られる。したがって、微細な中空部材13を含
有したポリプロピレンなどの樹脂材料11により、調理物
を加熱する加熱コイル41を内蔵した本体1の外郭3を形
成すれば、加熱コイル41が断熱性を有する本体1の外郭
3に内蔵されるので、断熱材などの構造部品を追加する
ことなく、且つ、断熱層を形成する際のように、特別な
スペースを形成することもなく、従来使用の樹脂材料11
の部材に中空部材13を含有するだけの構成で、調理物か
らの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上するこ
とが可能になる。これにより、調理時に調理物を加熱し
たときの加熱効率の向上や、この加熱効率の向上に伴な
う加熱ムラの抑制による調理性能の向上だけでなく、使
用電力の抑制による省エネルギー効果や、本体1の外面
温度抑制の他に、温度上昇の抑制に伴って本体1の小型
化設計が可能になるなど、多様な利点を有する調理器具
を提供できる。
【0099】ところで、炊飯や保温などの加熱開始時に
は、切状態から加熱を開始するので、本体1の外郭3の
温度はそれほど高くない場合が多いが、炊飯や保温を終
了して加熱動作を終了させる場合は、それまでの加熱コ
イル41による調理物への加熱により、本体1の外郭3の
温度も高くなっており、操作部である操作パネル64に手
を触れると、熱く感じる不具合がある。しかし、本実施
例では、上述の構成により、本体1の外郭3の温度抑制
効果が有るため、加熱開始や停止などの操作時に、操作
パネル64に手を触れても熱くなく、調理器具としての実
用性が向上する。また、本体1の外郭に操作パネル64を
設ける他に、本体1を持ち運ぶための手掛り部である凹
部65を設けても、凹部65やその周辺にある本体1の外郭
3の温度抑制効果により、凹部65に手を触れた際の熱さ
を感じず、同様に実用性を向上できる。なお、本体1の
外郭3の温度は、65℃以下、好ましくは60℃以下に抑制
できるように、外郭3の材厚や、中空部材13の形成を考
慮する。
【0100】また、調理物を収容する鍋6の上部開口部
を覆う蓋体71の外郭たる外蓋72を、微細な中空部材13を
含有したポリプロピレンなどの樹脂材料11で形成したこ
とで、断熱材などの構造部品を追加することなく、且
つ、空気層や真空層などの断熱層を形成する際のよう
に、特別なスペースを形成することもなく、従来使用の
樹脂材料11の部材に中空部材13を含有するだけの構成
で、外蓋72の熱伝導率が少なくなって、鍋6内の調理物
から外蓋72を経て外部へ放出する熱の逃げを抑制でき、
保温性や断熱性を向上することが可能になる。これによ
り、調理性能を向上できる他に、本体1の外面温度の抑
制に伴って本体1の小型化設計が可能になるなど、多様
な利点を有する調理器具を提供できる。また、鍋6を加
熱手段にて加熱するか否かに拘わらず、蓋体71の断熱性
を向上できることで、鍋6の上部開口部からの放熱を低
減できる。
【0101】このような構成において、本実施例では、
蓋体71の下面を形成する蓋下面部材74と、蓋体71の外郭
を形成する外蓋72とを組み合せて蓋体71を構成し、蓋下
面部材74と外蓋72との間に空間75を形成しているので、
蓋体71の内部に断熱空間が形成され、外蓋72の断熱効果
と相俟って、蓋体71の断熱性がさらに向上する。これに
より、調理器具としての保温性や断熱性をさらに向上す
ることが可能になる。
【0102】この場合、空間75を仕切る仕切り部材とし
ての蓋下面遮熱板83を空間75に設け、蓋体71の内部に複
数の空間75A,75Bを形成すると、蓋体71内部の断熱性
は複数の空間75A,75Bにより一層向上し、調理器具と
しての保温性や断熱性も一層向上できる。
【0103】このような特徴を有する蓋体71の構成にお
いて、本実施例のように蓋体71の内部にこの蓋体71を加
熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ82を内蔵している
と、外蓋72の断熱作用により、蓋体71を加熱している時
の蓋体71への加熱効率が向上すると共に、蓋体71の外面
温度が抑制されて、保温中に蓋体71を開け閉めする際に
蓋体71に手を触れても熱く感じず、調理器具としての実
用性が向上する。
【0104】ところで、電磁誘導加熱により鍋6を加熱
する調理器具は、鍋6から加熱コイル41への熱影響が大
きいという問題がある。このような点に関し、本実施例
では、容器である鍋6と加熱コイル41との間に、微細な
中空部材13を含有したポリエチレンテレフタレートなど
の耐熱性の高い樹脂材料11の部材(コイルベース14)を
介在させているので、鍋6と加熱コイル41との間が樹脂
製のコイルベース14により電気絶縁されると共に、鍋6
からの輻射熱が加熱コイル41へ放射されるのを遮断する
ことができる。したがって、加熱コイル41への熱影響が
緩和して、温度上昇を低減することができる。また、コ
イルベース14は中空部材13が含有されることにより、内
部に中空層が形成されるので、コイルベース14自体の熱
伝導性が悪くなる。このため、コイルベース14の内面で
受けた輻射熱は、コイルベース14の外面側にある加熱コ
イル41に伝導しにくくなり、加熱コイル41の温度上昇は
一層抑制される。また、鍋6への加熱を停止している間
は、コイルベース14による鍋6の外周囲における断熱作
用の向上により、鍋6が冷えにくくなり、調理物からの
熱の逃げを抑制して、鍋6の保温性や断熱性が向上する
と同時に、加熱効率の向上を図れる。
【0105】また、誘導加熱用の加熱コイル41により、
電磁誘導加熱にて容器である鍋6に収容した調理物を加
熱する構成のものは、鍋6自体が発熱するので、鍋6の
熱を外に逃さないようにすることが重要な点である。こ
の場合、鍋6内部の調理物への加熱効率を向上するに
は、できるだけ鍋6の近傍にて熱抵抗を大きくし、放熱
を抑制することが、調理加熱も考慮するとより効果的に
なる。本実施例では、鍋6に最も近接する鍋収容部5た
る鍋収容壁7とコイルベース14に、微細な中空部材13を
含有したプラスチック樹脂材料11すなわち電気絶縁物を
使用して、これを鍋6の外周囲に覆うことにより、樹脂
材料11の内部に中空層を含有した分だけ、通常のプラス
チック樹脂よりも熱抵抗を大きいものにでき、効果的に
加熱効率を向上できる。また、鍋収容部5と鍋6との間
には、所定の隙間32が形成されるので、鍋6の発熱によ
り鍋収容部5たる鍋収容壁7とコイルベース14が溶解す
ることがなく、且つ、この隙間32にて鍋6の保温性およ
び断熱性を一層高めることができる。したがって、鍋6
内の調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性
を向上することができると共に、電磁誘導加熱により加
熱される鍋6の冷えを防止して、省エネルギー性を改善
できる。さらに、加熱効率の改善に伴ない、調理物を加
熱ムラなく加熱できるといった調理性能向上の効果も得
られる。
【0106】また、本実施例では、誘導加熱用の加熱コ
イル41により、電磁誘導加熱にて鍋6に収容した調理物
を加熱する構成を有すると共に、鍋6の外周囲を覆うプ
ラスチック樹脂材料の外側に加熱コイル41を備え、加熱
コイル41の外側を微細な中空部材13を含有したプラスチ
ック樹脂材料11からなるコイルカバー45にて覆ったの
で、加熱コイル41の自己発熱した熱が、コイルカバー45
により外部へ放出しにくくなり、また、コイルカバー45
は微細な中空部材13を含有することでその熱抵抗が増大
し、さらに、コイルカバー45から外部に熱が放出しにく
くなる。したがって、鍋6内の調理物からの熱の逃げを
抑制して、保温性や断熱性を向上することができると共
に、電磁誘導加熱により加熱される鍋6の冷えを防止し
て、省エネルギー性を改善できる。さらに、加熱効率の
改善に伴ない、調理物を加熱ムラなく加熱できるといっ
た調理性能向上の効果も得られる。
【0107】本実施例では、本体1の内部に備えた容器
たる鍋6の外周囲に、この鍋6と所定の隙間32を形成し
て、微細な中空部材13を含有した樹脂材料11の部材(鍋
収容壁7およびコイルベース14)が配置される。このよ
うに構成すると、鍋6の外周囲を包囲する部分の熱抵抗
が、微細な中空部材13を含有した樹脂材料11の部材によ
り増加し、鍋6の保温性が向上する。また、鍋6と樹脂
材料11の部材との間に所定の隙間32が有るので、炊飯な
どの加熱調理時に鍋6が高温になっても、樹脂材料11か
らなる鍋収容壁7やコイルベース14は溶解することが防
止され、且つ、隙間32により鍋6の保温性および断熱性
を一層高めることができる。したがって、鍋6内の調理
物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上す
ることができると共に、本体1の断熱作用を向上して、
省エネルギー性を改善できる。
【0108】また、本実施例では、本体1の内部に鍋6
を収容する鍋収容部5を設け、この鍋収容部5と本体1
の外郭3を構成する外面部材(外枠2および底板4)と
の間に、微細な中空部材13を含有した樹脂材料11の部材
(胴断熱壁43およびコイルカバー45)を配置している。
このように構成すると、鍋収容部5の外周囲に断熱空間
が形成されると共に、胴断熱壁43やコイルカバー45の内
部に中空層が形成されて熱抵抗が増大し、鍋6の断熱性
や保温性を向上することができる。したがって、鍋6内
の調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を
向上することができると共に、本体1の断熱作用を向上
して、省エネルギー性を改善できる。
【0109】なお、胴断熱壁43やコイルカバー45は、直
接外部に露出せず、また、鍋6を外したときも外観とし
て露出せず、さらに、筐体としての強度要求も殆どない
ことから、他の外観部分(例えば本体1の外郭3や鍋収
容部5)に比べて、多量に中空部材13を含有でき、断熱
性および保温性を一層高めることができる。
【0110】さらに、本実施例では、鍋6の上部開口部
を覆う蓋体71の内部に、この蓋体71の外面部材である外
蓋72と、蓋体71の下面部材である蓋下面部材74とを仕切
るための、微細な中空部材たる粉末86を含有した樹脂材
料(塗料85)の部材からなる遮熱板たる蓋下面遮熱板83
を配置している。このような構成では、従来の蓋下面遮
熱板83による遮熱効果の他に、蓋下面遮熱板83に形成し
た粉末86により中空層が形成されることで、蓋下面遮熱
板83の熱抵抗を増大させ、鍋6の保温性を向上すること
ができる。したがって、鍋6内の調理物からの熱の逃げ
を抑制して、保温性や断熱性を向上することができると
共に、蓋体71の断熱作用を向上して、省エネルギー性を
改善できる。
【0111】本実施例では、外蓋72や外蓋カバー73など
の蓋体71を形成するポリプロピレンなどの樹脂材料11の
部材に、微細な中空部材13を含有させたことにより、外
蓋72や外蓋カバー73の比重が小さくなり、蓋体71の質量
を少なくすることができる。したがって、蓋体71に対し
常時開方向の弾性力を作用させる弾性部材たるネジリコ
イルバネ90と、蓋体71にて鍋6の上部開口部を覆うよう
にネジリコイルバネ90の弾性力を抑止する蓋体係止部た
るクランプボタン91とを備えた調理器具において、蓋体
71の軽量化に伴ない、従来よりもネジリコイルバネ90の
弾性力を低減することが可能であり、蓋体71に加わる応
力も低減する。よって、炊飯などの調理加熱時や保温時
に発生する蒸気や、蓋体71への加熱による影響で、蓋体
71が変形する不具合も一掃できる。また、樹脂材料11の
部材中に含有した中空部材13により、中空層が形成され
るので、鍋6内の調理物からの熱の逃げを抑制して、保
温性や断熱性を向上することができる。
【0112】また、本体1の外郭3を形成するポリプロ
ピレンなどの樹脂材料11の部材(外枠2)に、微細な中
空部材13を含有しているので、外枠2の比重が小さくな
り、本体1の質量を少なくすることができる。このた
め、本体1の外側面に、この本体1を持ち運ぶためのハ
ンドル66を設けた調理器具において、本体1の軽量化に
伴ない、ハンドル66に加わる質量を従来よりも低減する
ことが可能になり、ハンドル66の強度に対する信頼性を
向上できる。また、樹脂材料11の部材中に含有した中空
部材13により、中空層が形成されるので、調理物からの
熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上することが
できる。
【0113】なお、この本体1および蓋体71の比重の低
減化は、樹脂材料11の部材に中空部材13を含有すること
で達成される。これは、中空部材13が中空であり、その
比重が樹脂材料11よりも小さい(樹脂材料11の比重は0.
9 〜0.95、中空部材13の比重は0.4 〜0.45)ことに起因
する。したがって、こうした部材を多く採用するほど、
調理器具全体の軽量化を達成できる。また、中空部材13
を樹脂材料11に含有させると、保温性や断熱性で有利に
なる他に、特に、すべり性がよくなって汚れが付着しに
くくなる利点も有る。したがって、汚れの付着しやすい
部位に、こうした中空部材13を含有させた樹脂材料11の
部材を設ければ、調理器具としての清掃性が向上する。
【0114】本実施例では、微細な中空部材13を含有し
たポリプロピレンなどの樹脂材料11により、容器である
鍋6の周囲を覆う本体1の外郭3と、鍋6の上部開口部
を覆う蓋体71の外郭(外蓋72)とを形成している。これ
により、これらの各部材を形成する樹脂部材11の内部
に、中空部材13による熱伝導の悪い中空層が形成される
ので、鍋6の周囲部全体の熱抵抗が増大して、調理物か
らの熱が本体1や蓋体71から外部へ放出されるのを抑制
でき、調理器具としての保温性や断熱性を向上すること
ができる。また、本体1の内部には、鍋6を加熱する容
器加熱手段としての加熱コイル41が設けられていると共
に、蓋体71の内部には、この蓋体71を加熱する蓋加熱手
段としての蓋ヒータ82が設けられているが、本体1や蓋
体71の断熱性能が向上することにより、加熱コイル41や
蓋ヒータ82による鍋6や蓋体71への加熱効率を従来より
向上して、省エネルギー効果を改善することができる。
また、本体1の外郭3および外蓋72を使用中に触れても
熱くなく、調理器具としての実用性も向上する。
【0115】ところで、上記構成において、中空部材13
は、樹脂材料11の射出成形時に高圧力が加わるシリンダ
ー内で潰れる可能性が有り、その粒径が約100 μm以上
になると顕著になる。よって中空部材13は、粒径を100
μm以下にすることが有効で、好ましくは平均粒径が約
5〜50μmから選定した微細なものが好ましい。また、
耐熱性や耐圧力性を考慮して、硬質のガラスやセラミッ
クスを選定して、射出成形時の潰れを抑制するのが好ま
しい。中空部材13の潰れが多くなると、射出成形後に表
面に露出する中空部材13の破片が多量になり、外観の光
沢がなくなる等の問題を生じる。また、粒径が大きくな
ると、射出成形後の表面に凹凸が発生するなどの外観上
の問題が発生する。したがって、樹脂材料11に含有する
中空部材13は、粒径が5〜100 μmのガラスまたはセラ
ミックスであることが好ましく、これにより、樹脂材料
11の成形性と外観を良好に確保することができる。
【0116】また、樹脂材料11に含有する中空部材13の
含有量が少なすぎた場合には、樹脂材料11による断熱特
性があまり向上せず、逆に中空部材13の含有量が多すぎ
る場合には、樹脂材料11の耐衝撃性が低下する要因にな
ったり、中空部材13が樹脂材料11の表面に多量に露出
し、外観に光沢がなくなるなどの問題を生じる。こうし
た問題点が発生しにくい含有量として検討した結果、樹
脂材料11に含有する中空部材13の含有量は、重量比で中
空部材13を含んだ樹脂材料11全体の10〜50%、好ましく
は15〜40%にした重量比にする。すなわち、中空部材13
の含有量が10%未満であると、樹脂材料11によるが薄い
ため、10%以上好ましくは20%以上の含有量とする。ま
た、中空部材13の含有量が50%を越えると、極端に樹脂
材料11の衝撃性が低下し、外観光沢も低下する。したが
って、中空部材13の含有量は50%以下、好ましくは40%
以下とする。
【0117】但し、この含有量は、中空部材13の粒径に
関係して変化するものであり、粒径が小さい程、樹脂材
料11内に中空部材13が分散しやすいことから、中空部材
13の含有量は多めでもよい。つまり、中空部材13の粒径
に応じて、樹脂部材11への含有量を選定すればよい。な
お、上記外観性の向上は、本体1の外郭3や蓋体71の外
郭である外蓋72についてのみ適用されるものではない。
例えば、蓋体71を開けて鍋6を取り出したときに見える
部分である鍋収容部5底部のコイルベース14なども、実
質的に外観部品としての要素を含んでおり、同様の構成
を採用することにより、外観性の向上効果が得られる。
【0118】また、本実施例では、本体1に収容される
容器である鍋6の底面を加熱する加熱手段すなわち加熱
コイル41を備えた調理器具において、この加熱コイル41
の下側を、微細な中空部材13を含有したポリプロピレン
やポリアミド,ポリエチレンテレフタレートなどの、炊
飯などの加熱調理時や保温時の容器加熱に耐え得る耐熱
性を有する合成樹脂材料11(コイルカバー45および底板
4)で覆っている。つまり、こうしたコイルカバー45お
よび底板4は、中空部材13を含有するための母材とし
て、中空部材13を混入しやすい合成樹脂材料たる樹脂材
料11を選定している。但し、炊飯などの調理加熱時や保
温時に加熱コイル41からの輻射熱や伝導熱で、樹脂が溶
解せず、鍋6への加熱時に耐え得る耐熱性の樹脂材料11
を選定する。これにより、炊飯などの加熱調理時や保温
時に、コイルカバー45や底板4が溶解するのを防止でき
る。また、樹脂材料11には中空部材13が含有されるの
で、内部に中空部材13による中空層が形成され、比重が
軽くなって軽量化が図れると共に、加熱コイル41の下側
にある本体1の底面部の熱抵抗を増大することが可能に
なる。これにより、本体1の質量を増加させることな
く、むしろ本体1の質量低下を図り、加熱コイル41の発
熱を本体1底面から下方の接地面に放出しにくい構造と
することができる。
【0119】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、本
体1を質量増加および大型化させることなく、本体1の
底面部の熱抵抗を増加でき、本体1の接地面に対する温
度上昇を低減できる。さらに、調理物を加熱したときの
加熱効率が向上することにより、省エネルギー効果も得
られる他、本体1の質量の抑制により、調理器具として
の使い勝手が向上する。
【0120】なお、ここでいう加熱手段とは、特に電磁
誘導加熱式の加熱コイル41に限定されない。例えば、鍋
6の外周囲にシーズヒータやコード状ヒータなどの電熱
式ヒータを備えたものでもよい。また、加熱コイル41の
外側を覆う部材として、コイルカバー45および底板4の
全てに中空部材13を含有させる必要はなく、部分的に採
用してもよい。勿論、全ての部材に採用すれば、その効
果は増大することになる。
【0121】また、本実施例では、本体1に収容される
容器たる鍋6の外側に、炊飯などの加熱調理時や保温時
にこの鍋6を加熱する加熱手段たる加熱コイル41を備
え、この加熱コイル41の外側を、微細な中空部材13を含
有したポリプロピレンやポリアミド,ポリエチレンテレ
フタレートなどの、炊飯などの加熱調理時や保温時の鍋
6の加熱に耐え得る耐熱性を有する樹脂材料11(外枠
2,底板4およびコイルカバー45)で覆っている。この
場合も、炊飯などの加熱調理時や保温時に、樹脂材料11
が溶解するのを防止できる。また、樹脂材料11には中空
部材13が含有されるので、内部に中空部材13による中空
層が形成され、比重が軽くなって軽量化が図れると共
に、加熱コイル41の外側の熱抵抗を増大することが可能
になる。これにより、本体1の質量を増加させることな
く、むしろ本体1の質量低下を図り、加熱コイル41の発
熱を本体1の外側に放出しにくい構造とすることができ
る。
【0122】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、本
体1を質量増加および大型化させることなく、本体1の
外側を覆う部材の熱抵抗を増加できる。さらに、調理物
を加熱したときの加熱効率が向上することにより、省エ
ネルギー効果も得られる他、本体1の質量の抑制によ
り、調理器具としての使い勝手が向上する。
【0123】なお、ここでいう加熱手段も、電磁誘導加
熱式の加熱コイル41に限定されない。また、加熱コイル
41の外側を覆う部材として、外枠2,底板4およびコイ
ルカバー45の全てに中空部材13を含有させる必要はな
く、部分的に採用してもよい。勿論、全ての部材に採用
すれば、その効果は増大する。さらに、本実施例のよう
な電磁誘導加熱式の調理器具では、鍋6の発熱体22が発
熱するので、鍋6を発熱する加熱手段としてとらえ、鍋
収容部5を構成する部材が加熱手段の外側を覆う合成樹
脂材料として扱ってもよい。
【0124】また、本実施例では、本体1の内部に容器
である鍋6を収容し、この鍋6の上部開口部を覆う蓋体
71の内部に、炊飯などの加熱調理時や保温時にこの蓋体
71の下面を加熱する蓋加熱手段たる蓋ヒータ82を備え、
蓋ヒータ82の上側を、微細な中空部材を含有したポリプ
ロピレンなどの、炊飯などの加熱調理時や保温時の蓋体
71の下面への加熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材
料としての樹脂材料11(外蓋72)やこれに相当する塗料
85(蓋下面遮熱板83)で覆っている。この場合も、炊飯
などの加熱調理時や保温時に、樹脂材料11や塗料85が溶
解するのを防止できる。また、樹脂材料11には中空部材
13が含有され、塗料85には中空の粉末86が含有されるの
で、これらの内部に中空層が形成され、比重が軽くなっ
て軽量化が図れると共に、蓋ヒータ82の上側の熱抵抗を
増大することが可能になる。これにより、蓋体71の質量
を増加させることなく、むしろ蓋体71の質量低下を図
り、加熱コイル41の発熱を蓋体71の外側に放出しにくい
構造とすることができる。
【0125】したがって、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができ、また、蓋
体71を質量増加および大型化させることなく、蓋ヒータ
82の上側を覆う部材の熱抵抗を増加できる。さらに、調
理物を加熱したときの加熱効率が向上することにより、
省エネルギー効果も得られる他、蓋体71の質量の抑制に
より、調理器具としての使い勝手が向上する。
【0126】なお、ここでいう蓋加熱手段は、電磁誘導
加熱式の加熱コイルであってもよい。また、蓋ヒータ82
の上側を覆う部材として、外蓋72および蓋下面遮熱板83
の全てに中空部材13や粉末86を含有させる必要はなく、
部分的に採用してもよい。勿論、全ての部材に採用すれ
ば、その効果は増大する。
【0127】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実
施が可能である。例えば、本発明に適用する調理器具と
しては、実施例における炊飯器の他に、電気湯沸かし
器,電気釜,ジャー兼用電気釜,真空保温調理器具,電
気鍋,電気ホットプレートなどがある。また、実施例で
は、調理物の保温についてのみ説明を行っているが、容
器内に水を冷却したり、保冷したりする冷却器および保
冷器にも適用できる。この場合、各部の断熱効果により
容器内の水を室温から断熱し、水の温度上昇を抑制でき
る点で、保温性や断熱性に対する同様の効果が得られ
る。
【0128】また、中空部材を含有する樹脂材料の部材
は、本実施例のように本体や蓋体を構成する殆ど全ての
樹脂部材に適用する必要はなく、蓋体のみや、本体の
み、または外蓋あるいは外枠のみに適用してもよい。
【0129】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の調理器具は、微
細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材料
により、調理物を収容する容器の外周を覆う本体の外郭
を形成したものであり、調理物からの熱の逃げを抑制し
て、保温性や断熱性を向上することができると共に、構
造部品を追加することなく、且つ断熱層の形成に特別な
スペースを形成することなく、保温性や断熱性を向上で
きる。
【0130】また、本発明の請求項2記載の調理器具
は、前記請求項1の構成において、前記中空部材は粒径
が5〜100 μmで、前記樹脂材料よりも耐熱温度および
硬度の高いガラスやセラミックスなどの無機質材料より
選定したものであり、請求項1の作用,効果に加えて、
本体の外郭を射出成形する際の成形性の悪化が防止で
き、併せて、確実に樹脂材料中に中空部を形成すること
ができる。
【0131】また、本発明の請求項3記載の調理器具
は、微細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹
脂材料により、調理物を加熱する加熱手段を内蔵した本
体の外郭を形成したものであり、調理物からの熱の逃げ
を抑制して、保温性や断熱性を向上することができると
共に、構造部品を追加することなく、且つ断熱層の形成
に特別なスペースを形成することなく、保温性や断熱性
を向上できる。
【0132】また、本発明の請求項4記載の調理器具
は、前記請求項3の構成において、前記本体の外郭に、
加熱動作の開始や停止などの操作部を設けたものであ
り、請求項3の作用,効果に加えて、操作部に手を触れ
ても熱くなく、調理器具としての実用性を向上できる。
【0133】また、本発明の請求項5記載の調理器具
は、前記請求項3の構成において、前記本体の外郭に、
該本体を持ち運ぶための手掛り部を設けたものであり、
請求項3の作用,効果に加えて、手掛り部に手を触れた
際の熱さを感じず、調理器具としての実用性を向上でき
る。
【0134】また、本発明の請求項6記載の調理器具
は、微細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹
脂材料により、調理物を収容する容器の上部開口部を覆
う蓋体の外郭を形成したものであり、調理物からの熱の
逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上することができ
ると共に、構造部品を追加することなく、且つ断熱層の
形成に特別なスペースを形成することなく、保温性や断
熱性を向上できる。また、特に蓋体の断熱性を向上した
調理器具を提供できる。
【0135】また、本発明の請求項7記載の調理器具
は、前記請求項6の構成において、前記蓋体は、この蓋
体の下面を形成する蓋下面部材と、該蓋体の外郭を形成
する外蓋とを組み合せてなり、前記蓋下面部材と前記外
蓋との間に空間を形成したものであり、請求項6の作
用,効果に加えて、調理器具としての保温性や断熱性を
さらに向上することが可能になる。
【0136】また、本発明の請求項8記載の調理器具
は、前記請求項7の構成において、前記空間にこの空間
を仕切る仕切り部材を設け、前記蓋体内部に複数の空間
を形成したものであり、調理器具としての保温性や断熱
性を一層向上できる。
【0137】また、本発明の請求項9記載の調理器具
は、誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて
容器に収容した調理物を加熱する構成を有すると共に、
前記容器と前記加熱コイルとの間に、微細な中空部材を
含有したポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性の高
い樹脂材料部材を介在させたものであり、調理物からの
熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上することが
できると共に、特に容器の保温性を向上しつつ、加熱コ
イルの温度上昇を抑制することができる。
【0138】また、本発明の請求項10記載の調理器具
は、誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて
容器に収容した調理物を加熱する構成を有すると共に、
前記容器の周囲に所定の隙間を形成して、該容器の外周
囲を微細な中空部材を含有したプラスチック樹脂材料に
て覆ったものであり、調理物からの熱の逃げを抑制し
て、保温性や断熱性を向上することができると共に、電
磁誘導加熱により加熱される容器の冷えを防止して、省
エネルギー性を改善できる。
【0139】また、本発明の請求項11記載の調理器具
は、誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁誘導加熱にて
容器に収容した調理物を加熱する構成を有すると共に、
前記容器の外周囲を覆うプラスチック樹脂材料の外側に
前記加熱コイルを備え、該加熱コイルの外側を微細な中
空部材を含有したプラスチック樹脂材料にて覆ったもの
であり、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断
熱性を向上することができると共に、電磁誘導加熱によ
り加熱される容器の冷えを防止して、省エネルギー性を
改善できる。
【0140】また、本発明の請求項12記載の調理器具
は、本体の内部に備えた容器の外周囲に、この容器と所
定の隙間を形成して、微細な中空部材を含有した樹脂材
料部材を配置したものであり、容器内の調理物からの熱
の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向上することがで
きると共に、本体の断熱作用を向上して、省エネルギー
性を改善できる。
【0141】また、本発明の請求項13記載の調理器具
は、本体の内部に容器を収容する容器収容部を設け、こ
の容器収容部と、前記本体の外郭を構成する外面部材と
の間に、微細な中空部材を含有した樹脂材料部材を配置
したものであり、容器内の調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができると共に、
本体の断熱作用を向上して、省エネルギー性を改善でき
る。
【0142】また、本発明の請求項14記載の調理器具
は、容器の上部開口部を覆う蓋体の内部に、この蓋体の
外面部材と該蓋体の下面部材とを仕切るための、微細な
中空部材を含有した樹脂材料部材からなる遮熱板を配置
したものであり、容器内の調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができると共に、
蓋体の断熱作用を向上して、省エネルギー性を改善でき
る。
【0143】また、本発明の請求項15記載の調理器具
は、容器の上部開口部を覆う蓋体と、この蓋体に対し常
時開方向の弾性力を作用させる弾性部材と、前記蓋体に
て前記容器の上部開口部を覆うように前記弾性部材の弾
性力を抑止する蓋体係止部とを備え、前記蓋体を形成す
るポリプロピレンなどの樹脂材料部材に、微細な中空部
材を含有したものであり、調理物からの熱の逃げを抑制
して、保温性や断熱性を向上することができると共に、
蓋体の外郭を軽量化して、蓋体の変形防止を図ることが
できる。
【0144】また、本発明の請求項16記載の調理器具
は、本体の外側面に、この本体を持ち運ぶためのハンド
ルを設け、前記本体の外郭を形成するポリプロピレンな
どの樹脂材料部材に、微細な中空部材を含有したもので
あり、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱
性を向上することができると共に、本体の外郭を軽量化
して、ハンドル強度の信頼性向上を図ることができる。
【0145】また、本発明の請求項17の調理器具は、
微細な中空部材を含有したポリプロピレンなどの樹脂材
料により、容器の周囲を覆う本体の外郭と、容器の上部
開口部を覆う蓋体の外郭とを形成し、前記本体の内部に
前記容器を加熱する容器加熱手段を設けると共に、前記
蓋体の内部に該蓋体を加熱する蓋加熱手段を設けたもの
であり、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断
熱性を向上することができると共に、本体や蓋体の断熱
作用を向上して、省エネルギー性を改善できる。また、
本体や蓋体の外郭に触れても熱くなく、調理器具として
の実用性を向上することができる。
【0146】また、本発明の請求項18の調理器具は、
前記請求項17の構成において、前記樹脂材料に含有す
る前記中空部材は、粒径が5〜100 μmのガラスまたは
セラミックスであることを特徴とし、請求項17の作
用,効果に加えて、樹脂材料の成形性と外観を良好に確
保することができる。
【0147】また、本発明の請求項19の調理器具は、
前記請求項17の構成において、前記樹脂材料に含有す
る前記中空部材の含有量は、重量比で該中空部材を含ん
だ樹脂全体の10〜50%、好ましくは15〜40%にしたこと
を特徴とし、請求項17の作用,効果に加えて、断熱性
向上の効果が失われず、樹脂材料の衝撃性も低下しない
と共に、外観光沢も低下しない調理器具を提供できる。
【0148】また、本発明の請求項20記載の調理器具
は、本体に収容される容器の底面を加熱する加熱手段を
備え、この加熱手段の下側を、微細な中空部材を含有し
たポリプロピレンやポリアミド,ポリエチレンテレフタ
レートなどの、炊飯などの加熱調理時や保温時の容器加
熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材料で覆ったもの
であり、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断
熱性を向上することができると共に、本体を質量増加お
よび大型化させることなく、本体の底面部の熱抵抗を増
加できる。また、調理物を加熱したときの加熱効率が向
上することにより、省エネルギー効果も得られる他、本
体の質量の抑制により、調理器具としての使い勝手が向
上する。
【0149】また、本発明の請求項21記載の調理器具
は、本体に収容される容器の外側に、炊飯などの加熱調
理時や保温時にこの容器を加熱する加熱手段を備え、こ
の加熱手段の外側を、微細な中空部材を含有したポリプ
ロピレンやポリアミド,ポリエチレンテレフタレートな
どの、炊飯などの加熱調理時や保温時の容器加熱に耐え
得る耐熱性を有する合成樹脂材料で覆ったものであり、
調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断熱性を向
上することができると共に、本体を質量増加および大型
化させることなく、加熱手段の外側を覆う部材の熱抵抗
を増加できる。また、調理物を加熱したときの加熱効率
が向上することにより、省エネルギー効果も得られる
他、本体の質量の抑制により、調理器具としての使い勝
手が向上する。
【0150】また、本発明の請求項22記載の調理器具
は、本体の内部に容器を収容し、この容器の上部開口部
を覆う蓋体の内部に、炊飯などの加熱調理時や保温時に
該蓋体の下面を加熱する蓋加熱手段を備え、前記蓋加熱
手段の上側を、微細な中空部材を含有したポリプロピレ
ンなどの、炊飯などの加熱調理時や保温時の蓋体下面加
熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材料で覆ったもの
であり、調理物からの熱の逃げを抑制して、保温性や断
熱性を向上することができると共に、本体を質量増加お
よび大型化させることなく、蓋加熱手段の上側を覆う部
材の熱抵抗を増加できる。調理物を加熱したときの加熱
効率が向上することにより、省エネルギー効果も得られ
る他、蓋体の質量の抑制により、調理器具としての使い
勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す調理器具の全体断面図
である。
【図2】同上樹脂部材の拡大断面図である。
【図3】同上鍋の拡大断面図である。
【図4】同上蓋下面遮熱板の拡大断面図である。
【図5】同上電気的構成を示すブロック図である。
【図6】同上加熱のタイミングと温度の計時変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 本体 2 外枠(本体の外郭を構成する外面部材,樹脂材料部
材) 3 外郭 4 底板(本体の外郭を構成する外面部材) 5 鍋収容部(容器収容部,プラスチック樹脂材料) 6 鍋(容器) 7 鍋収容壁(樹脂材料部材) 11 樹脂材料(合成樹脂材料) 13 中空部材 14 コイルベース(樹脂材料部材) 32 隙間 41 加熱コイル(加熱手段,容器加熱手段) 43 胴断熱壁(樹脂材料部材) 45 コイルカバー(プラスチック樹脂材料,樹脂材料部
材) 64 操作パネル(操作部) 65 凹部(手掛り部) 66 ハンドル 71 蓋体 72 外蓋(蓋体の外郭,蓋体の外面部材,樹脂材料部
材,蓋体の外郭) 74 蓋下面部材(蓋体の下面部材,樹脂材料部材,蓋体
の下面) 75,75A,75B 空間 82 蓋ヒータ(蓋加熱手段) 83 蓋下面遮熱板(仕切り部材,遮熱板) 85 塗料(合成樹脂材料) 86 粉末(中空部材) 90 ネジリコイルバネ(弾性部材) 91 クランプボタン(蓋体係止部)

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細な中空部材を含有したポリプロピレ
    ンなどの樹脂材料により、調理物を収容する容器の外周
    を覆う本体の外郭を形成したことを特徴とする調理器
    具。
  2. 【請求項2】 前記中空部材は粒径が5〜100 μmで、
    前記樹脂材料よりも耐熱温度および硬度の高いガラスや
    セラミックスなどの無機質材料より選定したものである
    ことを特徴とする請求項1記載の調理器具。
  3. 【請求項3】 微細な中空部材を含有したポリプロピレ
    ンなどの樹脂材料により、調理物を加熱する加熱手段を
    内蔵した本体の外郭を形成したことを特徴とする調理器
    具。
  4. 【請求項4】 前記本体の外郭に、加熱動作の開始や停
    止などの操作部を設けたことを特徴とする請求項3記載
    の調理器具。
  5. 【請求項5】 前記本体の外郭に、該本体を持ち運ぶた
    めの手掛り部を設けたことを特徴とする請求項3記載の
    調理器具。
  6. 【請求項6】 微細な中空部材を含有したポリプロピレ
    ンなどの樹脂材料により、調理物を収容する容器の上部
    開口部を覆う蓋体の外郭を形成したことを特徴とする調
    理器具。
  7. 【請求項7】 前記蓋体は、この蓋体の下面を形成する
    蓋下面部材と、該蓋体の外郭を形成する外蓋とを組み合
    せてなり、前記蓋下面部材と前記外蓋との間に空間を形
    成したことを特徴とする請求項6記載の調理器具。
  8. 【請求項8】 前記空間にこの空間を仕切る仕切り部材
    を設け、前記蓋体内部に複数の空間を形成したことを特
    徴とする請求項7記載の調理器具。
  9. 【請求項9】 誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁誘
    導加熱にて容器に収容した調理物を加熱する構成を有す
    ると共に、前記容器と前記加熱コイルとの間に、微細な
    中空部材を含有したポリエチレンテレフタレートなどの
    耐熱性の高い樹脂材料部材を介在させたことを特徴とす
    る調理器具。
  10. 【請求項10】 誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁
    誘導加熱にて容器に収容した調理物を加熱する構成を有
    すると共に、前記容器の周囲に所定の隙間を形成して、
    該容器の外周囲を微細な中空部材を含有したプラスチッ
    ク樹脂材料にて覆ったことを特徴とする調理器具。
  11. 【請求項11】 誘導加熱用の加熱コイルにより、電磁
    誘導加熱にて容器に収容した調理物を加熱する構成を有
    すると共に、前記容器の外周囲を覆うプラスチック樹脂
    材料の外側に前記加熱コイルを備え、該加熱コイルの外
    側を微細な中空部材を含有したプラスチック樹脂材料に
    て覆ったことを特徴とする調理器具。
  12. 【請求項12】 本体の内部に備えた容器の外周囲に、
    この容器と所定の隙間を形成して、微細な中空部材を含
    有した樹脂材料部材を配置したことを特徴とする調理器
    具。
  13. 【請求項13】 本体の内部に容器を収容する容器収容
    部を設け、この容器収容部と、前記本体の外郭を構成す
    る外面部材との間に、微細な中空部材を含有した樹脂材
    料部材を配置したことを特徴とする調理器具。
  14. 【請求項14】 容器の上部開口部を覆う蓋体の内部
    に、この蓋体の外面部材と該蓋体の下面部材とを仕切る
    ための、微細な中空部材を含有した樹脂材料部材からな
    る遮熱板を配置したことを特徴とする調理器具。
  15. 【請求項15】 容器の上部開口部を覆う蓋体と、この
    蓋体に対し常時開方向の弾性力を作用させる弾性部材
    と、前記蓋体にて前記容器の上部開口部を覆うように前
    記弾性部材の弾性力を抑止する蓋体係止部とを備え、前
    記蓋体を形成するポリプロピレンなどの樹脂材料部材
    に、微細な中空部材を含有したことを特徴とする調理器
    具。
  16. 【請求項16】 本体の外側面に、この本体を持ち運ぶ
    ためのハンドルを設け、前記本体の外郭を形成するポリ
    プロピレンなどの樹脂材料部材に、微細な中空部材を含
    有したことを特徴とする調理器具。
  17. 【請求項17】 微細な中空部材を含有したポリプロピ
    レンなどの樹脂材料により、容器の周囲を覆う本体の外
    郭と、容器の上部開口部を覆う蓋体の外郭とを形成し、
    前記本体の内部に前記容器を加熱する容器加熱手段を設
    けると共に、前記蓋体の内部に該蓋体を加熱する蓋加熱
    手段を設けることを特徴とする調理器具。
  18. 【請求項18】 前記樹脂材料に含有する前記中空部材
    は、粒径が5〜100μmのガラスまたはセラミックスで
    あることを特徴とする請求項17記載の調理器具。
  19. 【請求項19】 前記樹脂材料に含有する前記中空部材
    の含有量は、重量比で該中空部材を含んだ樹脂全体の10
    〜50%、好ましくは15〜40%にしたことを特徴とする請
    求項17記載の調理器具。
  20. 【請求項20】 本体に収容される容器の底面を加熱す
    る加熱手段を備え、この加熱手段の下側を、微細な中空
    部材を含有したポリプロピレンやポリアミド,ポリエチ
    レンテレフタレートなどの、炊飯などの加熱調理時や保
    温時の容器加熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材料
    で覆ったことを特徴とする調理器具。
  21. 【請求項21】 本体に収容される容器の外側に、炊飯
    などの加熱調理時や保温時にこの容器を加熱する加熱手
    段を備え、この加熱手段の外側を、微細な中空部材を含
    有したポリプロピレンやポリアミド,ポリエチレンテレ
    フタレートなどの、炊飯などの加熱調理時や保温時の容
    器加熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材料で覆った
    ことを特徴とする調理器具。
  22. 【請求項22】 本体の内部に容器を収容し、この容器
    の上部開口部を覆う蓋体の内部に、炊飯などの加熱調理
    時や保温時に該蓋体の下面を加熱する蓋加熱手段を備
    え、前記蓋加熱手段の上側を、微細な中空部材を含有し
    たポリプロピレンなどの、炊飯などの加熱調理時や保温
    時の蓋体下面加熱に耐え得る耐熱性を有する合成樹脂材
    料で覆ったことを特徴とする調理器具。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002039860A1 (fr) * 2000-11-16 2002-05-23 Shunde Jane's Electrical Home Appliances Factory Cuiseur en gre rouge rapide et a economie d'energie
JP2011041867A (ja) * 2010-12-03 2011-03-03 Tiger Vacuum Bottle Co Ltd 電気炊飯器
JP2011234765A (ja) * 2010-05-06 2011-11-24 Tiger Vacuum Bottle Co Ltd 炊飯器
JP2014085579A (ja) * 2012-10-25 2014-05-12 Ricoh Co Ltd 定着装置と画像形成装置

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