JPH0570306A - 工業用殺菌剤及び工業用殺菌方法 - Google Patents

工業用殺菌剤及び工業用殺菌方法

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JPH0570306A
JPH0570306A JP3283062A JP28306291A JPH0570306A JP H0570306 A JPH0570306 A JP H0570306A JP 3283062 A JP3283062 A JP 3283062A JP 28306291 A JP28306291 A JP 28306291A JP H0570306 A JPH0570306 A JP H0570306A
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栄 片山
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英則 平嶋
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芳正 山田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (1)α−クロロ−ベンズアルドキシムを有
効成分として含有、及び(2)上記物質と、公知の工業
用殺菌成分である有機窒素硫黄系化合物例えばメチレン
ビスチオシアネート;有機ブロム系化合物、例えば2,
2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド;有機窒
素系化合物、例えばN、4−ジヒドロキシ−2−オキソ
ベンゼンエタンイミドイルクロライド;有機硫黄系化合
物、例えば3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロ
チオフェン−1,1−ジオキシドから選ばれた1種以上
とを有効成分として含有する工業用殺菌剤。 【効果】 亜硫酸イオン等の還元性物質存在下において
も、顕著な殺菌効果を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、工業用殺菌剤及び殺
菌方法に関する。さらに詳しくは紙・パルプ工業におけ
る抄紙工程水、各種工業用の冷却水や洗浄水、重油スラ
ッジ、金属加工油剤、繊維油剤、ペイント、紙用塗工
液、ラテックス、糊剤の防腐や殺菌用として有用である
工業用殺菌剤及び殺菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から紙・パルプ工業における抄紙工
程や各種工業における冷却水系統には、細菌や真菌によ
るスライムが発生し、生産品の品質低下や生産効率の低
下などの障害があることが知られている。また、多くの
工業製品、例えば重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油
剤、ペイント類、各種ラテックス、糊剤等では細菌や真
菌による腐敗や汚染が発生し、製品を汚損し価値を低下
させる。
【0003】これらの微生物による障害を防止するた
め、多くの殺菌剤が使用されてきた。古くは有機水銀化
合物や塩素化フェノール化合物などが使用されていた
が、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、
環境汚染をひき起こすため使用が規制されるようにな
り、最近では比較的低毒性の有機窒素硫黄系化合物、有
機ハロゲン系化合物及び有機硫黄系化合物が工業用殺菌
剤として汎用されている〔防菌防黴剤事典(昭61、日
本防菌防黴学会発行)、特開平3-170404号公報、特開平
3-83902号公報、特開平3-167101号公報等参照〕。
【0004】そして、この点に関し、α−クロロ−ベン
ズアルドキシムから合成されるα−クロロ−O−アシル
ベンズアルドキシム類、α−クロロ−クロロ−ベンズア
ルドキシム類等が工業用殺菌剤として知られている(特
公昭50-15844号、同54-36647号。同51-33171号公報)。
しかしながら、これらのアルドキシム系殺菌剤の合成用
原料(中間体)であるα−クロロ−ベンズアルドキシム
自体が殺菌性を有することは知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記に示したアルドキ
シム系殺菌剤及び従来の有機系殺菌剤は、非還元的な工
業対象系には、有効な殺菌効果を示す。しかしながら、
亜硫酸イオン等の還元性物質が存在する工業対象系にお
いてかかる有機系殺菌剤を使用した場合には、これらの
殺菌効力が著しく減退し、その結果、前述した障害を有
効に防止することができなかった。
【0006】この発明は、かかる状況下なされたもので
あり、ことに、還元性の工業対象系においても著効を奏
する新しい殺菌剤を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】かくしてこの発
明によれば、α−クロロ−ベンズアルドキシムを有効成
分として含有する工業用殺菌剤が提供される。この発明
は、従来のアルドキシム系殺菌剤の一原料であるα−ク
ロロ−ベンズアルドキシム自体が、意外にも還元性環境
において顕著な殺菌作用を発現し、アルドキシム系殺菌
剤よりも優れた殺菌剤として使用できるという事実の発
見に基づく。
【0008】この発明のα−クロロ−ベンズアルドキシ
ムは下式(I):
【0009】
【化1】 で表わされる化合物である。この発明の殺菌剤は、上記
化合物を通常液剤に製剤化した形態であるのが望まし
い。液剤とする場合に用いる溶媒としては、通常の有機
溶媒が適している。ことに殺菌対象が紙パルプ工業に於
ける抄紙工程水等の各種水系、及び紙用塗工液、糊剤等
の場合には、親水性有機溶媒を用いた液剤とするのが好
ましい。この親水性有機溶媒としては、ジエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネ
ート、グルタル酸ジメチル等の溶媒が挙げられる。但
し、上記化合物自体を単独で用いてもよく、適当な固体
担体と混合して用いてもよい。
【0010】かかる殺菌剤は、種々の工業用対象系にお
いて顕著な殺菌作用を奏し、ことに前述した抄紙工程
水、紙用塗工液、糊剤等の殺菌剤として極めて有用であ
る。中でも、還元性の系、例えば紙、パルプ工業の抄紙
系、脱墨紙(DIP)を含有する中質紙のように、還元
性物質が5ppm(亜硫酸イオン換算)以上存在する工業
用対象系中において、顕著な殺菌剤効果が発揮され、と
くにこのような系中に於いてその有用性が高いものであ
る。
【0011】なお、かかる工業用対象系における適切な
添加量は、対象系の異なりや微生物の発生度合等の付帯
条件によって異なるが、通常、式(I)の化合物の添加
量として0.5〜50mg/l程度が適している。また、この
発明の殺菌剤中には、この発明による効果を阻害しない
程度の量の添加剤(例えば、製剤分散安定性向上用とし
ての界面活性剤、水溶性ポリマや有効成分自体の安定性
向上用としての塩酸等)が含まれていてもよく、場合に
よっては、他の公知の工業用殺菌成分が含まれていても
よい。
【0012】かくして、この発明の1つの観点によれば、
α−クロロ−ベンズアルドキシムと公知の工業用殺菌成
分(以後、但し4,5-ジクロロ−1,2-ジチオール−3−オ
ン,5−クロロ−2,4,6-トリフルオロイソフタロニトリ
ル及び5−クロロ−2,4-ジフルオロ−6−メトキシイソ
フタロニトルルを除く。)とからなる工業用殺菌剤が提
供される。この発明による、α−クロロ−ベンズアルド
キシムは、公知の工業用殺菌成分とを組合せることによ
り、抗菌スペクトルの拡大、抗菌力の相加又は相乗効果
に有効である。
【0013】公知の工業用殺菌成分としては、有機窒素
硫黄系化合物、有機ブロム系化合物、有機窒素系化合
物、有機硫黄系化合物があげられる。有機窒素硫黄系化
合物としては、メチレンビスチオシアネート;5−クロ
ル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン,2−
メチル−4−イソチアゾリン−3−オン,4,5-ジクロロ
−2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン,2−
n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン,1,2-ベンゾ
イソチアゾリン−3−オン等の3−イソチアゾロン系化
合物;N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム,N
−メチルジチオカルバミン酸ナトリウム,ジメチルジチ
オカーバメート(ナトリウム塩),エチレンチウラムモ
ノサルファイド,エチレンビスジチオカルバミン酸二ナ
トリウム,エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン等
のジチオカーバメート化合物;クロラミンT,N,N-ジメ
チル-N'-(フルオロジクロルメチルチオ)-N'-フェニル
スルファミド等のスルホンアミド系化合物;2−(4−
チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール,2−メルカ
プトベンゾチアゾールナトリウム等のチアゾール系化合
物;ヘキサヒドロ-1,3,5−トリス−(2−エチル)−S
−トリアジン,ヘキサヒドロ-1,3,5−トリス−(2−ヒ
ドロキシエチル)−S−トリアジン等のS−トリアジン
系化合物;N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタ
ルイミド;3,5-ジメチル−1,3,5-2H−テトラヒドロチア
ジアジン−2−チオン,ジチオ-2,2'-ビス(ベンズメチ
ルアミド)等があげられる。
【0014】有機ブロム系化合物としては、2,2-ジブロ
モ−3−ニトリロプロピオンアミド,2−ブロモ−2−
ブロモメチル−グルタロニトリル等の有機ブロムシアノ
系化合物;2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3-ジオ
ール,1,1-ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール,
2,2-ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノール,1,1-ジブ
ロモ−1−ニトロ−2−アセトキシエタン,1,1-ジブロ
モ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン,2−ブロモ
−2−ニトロ−1,3-ジアセトキシ−プロパン,トリブロ
モニトロメタン,β−ブロモ−β−ニトロスチレン,5
−ブロモ−5−ニトロ−1,3-ジオキサン,5−ブロモ−
2−メチル−5−ニトロ−1,3-ジオキサン等の有機ブロ
モニトロ系化合物、1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−
エタン,1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−プロパン,
1,4-ビス−(ブロモアセトキシ)−2−ブテン,メチレ
ンビスブロモアセテート,ベンジルブロモアセテート,
N-ブロモアセトアミド,2-ブロモアセトアミド等の有機
ブロム酢酸エステル又はアミド類;2−ブロモ−4'−ヒ
ドロキシアセトフェノン;2,5-ジクロル−4−ブロムフ
ェノール;2,4,6-トリブロモフェノール;α−ブロムシ
ンナムアルデヒド;ビストリブロモメチルスルホン,2
−ヒドロキシエチル−2,3-ジブロモプロピオネート等が
あげられる。
【0015】有機窒素系化合物としては、N,4-ジヒドロ
キシ−α−オキソベンゼンエタンイミドイルクロライ
ド;ジクロロイソシアヌール酸ナトリウム,トリクロロ
イソシアヌール酸等の塩素化イソシアヌール酸系化合
物;塩化デカリウム,臭化アルキルイソキノリニウム,
塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム化合物;
2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸メチル,3−ヨー
ド−2−プロパルギルブチルカルバミン酸等のカルバミ
ン酸又はそのエステル;1−〔2−(2,4-ジクロロフェ
ニル)〕−2'−〔(2,4-ジクロロフェニル)メトキシ〕
エチル−3−(2−フェニルエチル)1H−イミダゾリ
ウムクロライド,1−〔2−(2,4-ジクロロフェニル)
−2−(2−プロペニルオキシ)エチル〕−1H−イミ
ダゾール等のイミダゾール系化合物;2−(2−フリ
ル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)−アクリル酸ア
ミド,2−クロルアセトアミド等のアミド系化合物;N
−(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメタノール,2
−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール等のアミノア
ルコール系化合物;2−ピリジンチオールナトリウムオ
キシド;2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル;N
−(2−メチル−1−ナフチル)マレイミド,ポリ〔オ
キシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイ
ミノ)エチレンジクロライド〕等があげられる。
【0016】有機硫黄系化合物としては、3,3,4,4-テト
ラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1-ジオキシド;ジ
チオ-2,2'-ビス−1−ベンズメチルアミド;2−ヒドロ
キシプロピルメタンチオスルホネート,エチレンチウラ
ムモノスルフィド等があげられる。また、その他の公知
の殺菌成分としては、3−アセトキシ-1,1,2-トリヨー
ド-1−プロペン;グルタルジアルデヒド;ジクロロフェ
ン;過酸化水素,無水マレイン酸等があげられる。
【0017】これら公知の工業用殺菌成分のうちでα−
クロロベンズアルドキシムと併用することにより、相乗
効果が発揮される点で好ましい化合物としては、有機窒
素硫黄系殺菌剤の中ではメチレンビスチオシアネート,
5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オ
ン,2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン,4,5-
ジクロロ−2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オ
ン,2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン,1,
2-ベンゾイソチアゾリン−3−オン等の3−イソチアゾ
ロン系化合物である。さらに顕著な相乗効果が発揮され
る点で特に好ましい化合物は、メチレンビスチオシアネ
ート,5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−
3−オン,4,5-ジクロロ−2−n−オクチル−イソチア
ゾリン−3−オンである。
【0018】有機ブロム系化合物の中では、2,2-ジブロ
モ−3−ニトリロプロピオンアミド,2−ブロモ−2−
ブロモメチル−グルタロニトリル等の有機ブロムシアノ
系化合物、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3-ジオ
ール,2,2-ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノール,1,
1-ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール,1,1-ジブ
ロモ−1−ニトロ−2−アセトキシエタン,1,1-ジブロ
モ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン,2−ブロモ
−2−ニトロ−1,3-ジアセトキシ−プロパン,トリブロ
モニトロメタン,β−ブロモ−β−ニトロスチレン,5
−ブロモ−5−ニトロ−1,3-ジオキサン,5−ブロモ−
2−メチル−5−ニトロ−1,3-ジオキサン等の有機ブロ
モニトロ化合物、1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−エ
タン,1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−プロパン,1,
4-ビス−(ブロモアセトキシ)−2−ブテン,メチレン
ビスブロモアセテート,ベンジルブロモアセテート,N-
ブロモアセトアミド,2-ブロモアセトアミド等の有機ブ
ロム酢酸エステル又はアミド類である。顕著な相乗効果
が発揮される点で特に好ましい化合物は、2,2-ジブロモ
−3−ニトリロプロピオンアミド,2−ブロモ−2−ブ
ロモメチル−グルタロニトリル,2,2-ジブロモ−2−ニ
トロ−1−エタノール,2−ブロモ−2−ニトロ−1,3-
ジアセトキシ−プロパン,1,2-ビス−(ブロモアセトキ
シ)−エタン,1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−プロ
パン,1,4-ビス−(ブロモアセトキシ)−2−ブテン,
N-ブロモアセトアミドである。
【0019】有機窒素系化合物の中で顕著な相乗効果が
発揮される点で特に好ましい化合物は、N,4-ジヒドロキ
シ−α−オキソベンゼンエタンイミドイルクロライドで
ある。有機硫黄系化合物の中で顕著な相乗効果が発揮さ
れる点で特に好ましい化合物は、3,3,4,4-テトラクロロ
テトラヒドロチオフェン−1,1-ジオキシドである。
【0020】この発明におけるα−クロロ−ベンズアル
ドキシムと公知の工業用殺菌成分との組み合せにおいて
相乗効果が発揮される比率(重量比)としては、50:
1〜1:20とするのが適しており、20:1〜1:1
0とするのがより好ましい。なお、工業用殺菌成分は、
1種以上組合せて使用してもよい。工業用殺菌成分とα
−クロロ−ベンズアルデヒドを組合せて用いる場合、通
常液剤の形態で一液製剤化して用いるのが好ましい。
【0021】一液製剤とする場合には、通常の有機溶媒
や分散剤が用いられる。殺菌対象系が製紙工程のプロセ
ス水や工場用冷却水等の各種水系の場合には、有効成分
の溶解、分散性を考慮して、水又は親水性有機溶媒及び
分散剤を用いた液剤とするのが好ましい。この親水性有
機溶媒としては、ジメチルホルムアミド等のアミド類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール
類、メチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、炭素数8
までのアルコール類もしくはメチルアセテート、エチル
アセテート、3−メトキシジブチルアセテート、2−エト
キシメチルアセテート、2−エトキシエチルアセテー
ト、プロピレンカーボネート等のエステル類が挙げられ
る。
【0022】分散剤としては、カチオン性界面活性剤、
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性
界面活性剤が適当であり、製剤としての安定性の点でノ
ニオン性界面活性剤が好ましい。このノニオン性界面活
性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加
物(エチレンオキサイドは以下E.Oと略す)、アルキ
ルフェノール(E.O)付加物、脂肪酸(E.O)付加
物、多価アルコール脂肪酸エステル(E.O)付加物、
高級アルキルアミン(E.O)付加物、脂肪酸アミド
(E.O)付加物、油脂の(E.O)付加物、プロピレ
ンオキサイド[P.Oと略す](E.O)共重合体、ア
ルキルアミン(P.O)(E.O)共重合体付加物、グ
リセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂
肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エ
ステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのア
ルキルエーテル、アルキロールアミド等が挙げられる。
これらの製剤の配合割合は、有効成分の合計量が1〜50
重量部で、分散剤が該有効成分の合計1重量部に対して
少なくとも0.01重量部であり、残部を親水性有機溶媒と
するのが好ましい。
【0023】また、殺菌対象系が重油スラッジ、切削
油、油性塗料などの油系の場合には、灯油、重油、スピ
ンドル油等の炭化水素溶媒を用いた一液製剤とするのが
好ましく、前述した各種界面活性剤を用いてもよい。こ
の発明の殺菌剤の添加量は、殺菌対象物により異なる
が、ことに製紙工程のプロセス水系や工業用の冷却水系
に添加される場合、微生物の発育を抑制する濃度(静菌
濃度)としては、通常有効成分の合計濃度として0.05〜
20mg/l程度の添加で十分である。また、殺菌的に使用す
る場合には、有効成分の合計濃度として0.5〜50mg/lで
目的を達成することができる。
【0024】この発明において、α−クロロベンズアル
ドキシムと公知の工業用殺菌成分を併用する際に、同時
に添加する場合には、前述したように同一製剤として用
いるのが簡便であるが、製剤の長期貯蔵安定性等の点で
それぞれ分離しておくのが好ましい場合や別々に添加す
る場合には、それぞれ、別の製剤として用いられる。こ
の発明によれば、さらに、工業用殺菌対象系中に、上記
α−クロロベンズアルドキシムと任意に公知の工業用殺
菌成分を添加することからなる殺菌方法が提供される。
【0025】上記の方法で、有効成分の添加濃度、α−
クロロベンズアルドキシムと公知の工業用殺菌成分との
配合割合は、殺菌対象の菌の種類と量、工業用殺菌成分
の種類によって異なるが、上記の添加濃度と配合割合と
を考慮すればよい。以下、この発明を実施例及び試験例
により説明する。
【0026】
【実施例】
(試験例1)[還元性物質共存下における殺菌効果確認
試験]紙・パルプ工業における工程水、各種工業用の冷
却水、ペイント、紙用塗工液、ラテックス、糊剤中に認
められるグラム陰性菌の代表株であるシュードモナス・
アルギノーサを用いて、還元性物質の共存下における殺
菌効力の確認試験を行った。
【0027】還元性物質として亜硫酸ナトリウムを用い
た。予めブイヨン培地により前培養した菌液を、SO3
2-濃度として5,10,20,50ppmの滅菌水に生菌
数が106個/m1以上となるように加え、これに薬剤を
添加し、37°Cにて1時間振盪し、その後生存した菌
数を測定し、初期菌数の99.9%以上が死滅する最小殺菌
濃度を求めた。
【0028】試験結果を比較例と共に表1に示す。試験
結果より明らかなように亜硫酸イオン存在下(5〜50
ppm)においては、この発明の化合物は類似化合物または
既存汎用化合物よりも著しい殺菌効果が認められた。
【0029】
【表1】 (試験例2)[抄紙工程の白水に対する殺菌効力試験]
某製紙工場の新聞紙抄造機(酸性抄造)より採取した白
水(pH5.0、還元性物質JISK0101:SO3 2-
換算30ppm、シュードモナス属、フラボバクテリウム
属、バチルス属菌主体)に薬剤を5,10及び20ppm
添加し37°Cで1時間振とうし、その後生存した菌数
を測定した。
【0030】その結果を図1に示す。試験結果より明ら
かな様に、還元性物質の存在する白水において、この発
明の化合物は非常に有効な殺菌効果が認められた。 (実施例)この発明の実施例である製剤例を以下に示
す。例中の部はすべて重量部を示す。 (製剤例1) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 ポリエチレングリコール 85部 (製剤例2) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 85部 (製剤例3) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 メチレンビスチオシアネート 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例4) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例5) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-イソチアゾリン-3-オン 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例6) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例7) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例8) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 2,2-ジブロモ-2-ニトロ-1-エタノール 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例9) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-ジアセトキシ-プロパン 15部 コハク酸ジメチル 70部 (製剤例10) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 1,2-ビス-(ブロモアセトキシ)-エタン 15部 コハク酸ジメチル 70部 (製剤例11) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 1,2-ビス-(ブロモアセトキシ)-プロパン 15部 コハク酸ジメチル 70部 (製剤例12) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 1,4-ビス-(ブロモアセトキシ)-2-ブテン 15部 コハク酸ジメチル 70部 (製剤例13) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 3,3,4,4-テトラクロロチオラン-1,1-ジオキシド 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例14) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 2-ブロモ-2-ブロモメチル-グルクロニトリル 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (製剤例15) α−クロロ−ベンズアルドキシム 15部 N,4-ジヒドロキシ-α-オキソベンゼンエタンイミドイルクロライド 10部 ジエチレングリコールモノメチルエーテル 70部 ジメチルホルムアミド 5部 (試験例3)〔α−クロロ−ベンズアルドキシムと公知の工業用殺菌剤との各配 合割合による相乗効果確認試験〕 某製紙工場の新聞紙抄造機(酸性抄造)より採取した白
水(pH5.1、SO3 2-27ppm 、バチルス属,ミクロコッ
カス属,シュードモナス属,フラボバクテリウム属,ア
ルカリゲネス属菌主体)に、各種有効成分の総量として
5ppm を添加し、37℃にて30分間振盪した。その
後、生菌数を測定し、初期菌数(7.5×105 個/m
l)に対する殺菌率を求めた。
【0031】(試験結果)試験結果を表2に示す。表中
の数値は、殺菌率(%)を示す。
【0032】
【表2】 表2中A,B及び(a)〜(n)は下記の化合物を表
す。 A:α−クロロ−ベンズアルドキシム B:下記(a)〜(m)の殺菌剤から選ばれた少なくとも1種
の化合物 (a):メチレンビスチオシアネート (b):5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン (c):4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-イソチアゾリン-3-オ
ン (d):2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド (e):2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール (f):2,2-ジブロモ-2-ニトロ-1-エタノール (g):2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-ジアセトキシ-プロパン (h):1,2-ビス-(ブロモアセトキシ)-エタン (i):1,2-ビス-(ブロモアセトキシ)-プロパン (j):1,4-ビス-(ブロモアセトキシ)-2-ブテン (k):3,3,4,4-テトラクロロチオフェン,1-ジオキシド (l):2-ブロモ-2-ブロモメチル-グルタロニトリル (m):N,4-ジヒドロキシ-α-オキソベンゼンエタンイミ
ドイルクロライド (n):N-ブロモアセトアミド
【0033】
【発明の効果】この発明の殺菌剤によれば各種工業用殺
菌対象系において、効率の良い殺菌処理を行うことがで
きる。ことに還元性環境下において、従来の工業用殺菌
剤に比較して顕著な殺菌効果が発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の殺菌剤の殺菌効果を比較例と共に例
示するグラフ図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (A01N 35/10 37:02) (A01N 35/10 37:34) (A01N 35/10 37:46) (A01N 35/10 43:10) (A01N 35/10 43:32) (A01N 35/10 43:80) (A01N 35/10 47:02) (A01N 35/10 47:48)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α−クロロ−ベンズアルドキシムを有効
    成分として含有する工業用殺菌剤。
  2. 【請求項2】 公知の工業用殺菌成分(以後、但し4,5-
    ジクロロ−1,2-ジチオール−3−オン,5−クロロ−2,
    4,6-トリフルオロイソフタロニトリル及び5−クロロ−
    2,4-ジフルオロ−6−メトキシイソフタロニトルルを除
    く。)を更に含有する請求項1記載の工業用殺菌剤。
  3. 【請求項3】 公知の工業用殺菌成分が有機窒素硫黄系
    化合物、有機窒素系化合物、有機硫黄系化合物及び有機
    ブロム系化合物から選ばれた1種以上の化合物である請
    求項2記載の工業用殺菌剤。
  4. 【請求項4】 有機窒素硫黄系化合物が、メチレンビス
    チオシアネート,5−クロル−2−メチル−4−イソチ
    アゾリン−3−オン,2−メチル−4−イソチアゾリン
    −3−オン,4,5-ジクロロ−2−n−オクチル−イソチ
    アゾリン−3−オン,2−n−オクチル−イソチアゾリ
    ン−3−オン又は1,2-ベンゾイソチアゾリン−3−オン
    である請求項3記載の工業用殺菌剤。
  5. 【請求項5】 有機ブロム系化合物が、2,2-ジブロモ−
    3−ニトリロプロピオンアミド,2−ブロモ−2−ブロ
    モメチル−グルタロニトリル,2−ブロモ−2−ニトロ
    プロパン−1,3-ジオール,2,2-ジブロモ−2−ニトロ−
    1−エタノール,1,1-ジブロモ−1−ニトロ−2−プロ
    パノール,1,1-ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシ
    エタン,1,1-ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプ
    ロパン,2−ブロモ−2−ニトロ−1,3-ジアセトキシ−
    プロパン,トリブロモニトロメタン,β−ブロモ−β−
    ニトロスチレン,5−ブロモ−5−ニトロ−1,3-ジオキ
    サン,5−ブロモ−2−メチル−5−ニトロ−1,3-ジオ
    キサン,1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−エタン,1,
    2-ビス−(ブロモアセトキシ)−プロパン,1,4-ビス−
    (ブロモアセトキシ)−2−ブテン,メチレンビスブロ
    モアセテート,ベンジルブロモアセテート,N-ブロモア
    セトアミド又は2-ブロモアセトアミドである請求項3記
    載の工業用殺菌剤。
  6. 【請求項6】 有機ブロム系化合物が、2,2-ジブロモ−
    3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロ
    モメチル−グルタロニトリル、2,2-ジブロモ−2−ニト
    ロ−1−エタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3-ジ
    アセトキシ−プロパン、1,2-ビス−(ブロモアセトキ
    シ)−エタン、1,2-ビス−(ブロモアセトキシ)−プロ
    パン、1,4-ビス−(ブロモアセトキシ)−2−ブテン又
    はN-ブロモアセトアミドである請求項3記載の工業用殺
    菌剤。
  7. 【請求項7】 有機窒素系化合物が、N,4-ジヒドロキシ
    −α−オキソベンゼンエタンイミドイルクロライドであ
    る請求項3記載の工業用殺菌剤。
  8. 【請求項8】 有機硫黄系化合物が、3,3,4,4-テトラク
    ロロテトラヒドロチオフェン−1,1-ジオキシドである請
    求項3記載の工業用殺菌剤。
  9. 【請求項9】 α−クロロ−ベンズアルドキシムと公知
    の工業用殺菌成分との配合割合(重量比として)が50:1
    〜1:20である請求項2〜請求項8のいずれかに記載の工
    業用殺菌剤。
  10. 【請求項10】 α−クロロ−ベンズアルドキシムと公
    知の工業用殺菌成分との配合割合(重量比として)が2
    0:1〜1:10である請求項9に記載の工業用殺菌剤。
  11. 【請求項11】 工業用殺菌対象系中に、α−クロロ−
    ベンズアルドキシムと公知の工業用殺菌成分とを同時に
    又は別々に添加して殺菌を行うことを特徴とする殺菌方
    法。
  12. 【請求項12】 公知の工業用殺菌成分が請求項3〜7
    のいずれかに記載の化合物である請求項11記載の殺菌方
    法。
  13. 【請求項13】 α−クロロ−ベンズアルドキシムと公
    知の工業用殺菌成分とが50:1〜1:20(重量比)で、かつ
    0.05〜50mg/lの濃度に用いられる請求項12に記載の殺菌
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06183917A (ja) * 1992-12-18 1994-07-05 Somar Corp 防菌防カビ剤
JP2013253076A (ja) * 2012-05-09 2013-12-19 Japan Enviro Chemicals Ltd 防腐剤組成物

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