JPH0548837B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動車のスライドドアの前部
ロツク、又はバツクドア用のロツク等として用い
ることのできる車両用ドアロツク装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

一般に、スライドドアは、該スライドドアの外
側に設けたアウトサイドハンドル、および車内側
に設けたインサイドハンドルとに連係されたドア
ロツク開閉操作装置と、このドアロツク開閉操作
装置に連結された後側ドアロツク装置とを備えて
いる。

後側ドアロツク装置は、ドア後方の車体側に固
着されたストライカ係合し、これとの係脱によ
り、ドアの開閉がなされる。

このようなスライドドアにおいては、ドアが横
方向の荷重を受けると、ドア後部は、後側ドアロ
ツク装置とストライカとの係合により支持力が強
固となつているのに対し、ドア前部は、ドアまた
は車体に設けられた適宜のスライド用案内手段に
よりのみ支持されているため、支持力が弱い。

そのため、衝突等によりドアが変形した場合で
も、容易に乗降口が開閉しないように、案内手段
やドア等の肉厚を厚くするなどして、強度剛性を
高める必要があるが、これは、車両の小型化かつ
軽量化の面で好ましくない。

このような問題のため、スライドドアの前部
に、前側ドアロツク装置を設けて、ドアの支持強
度を高めたものが種々提案されている。

この種の前側ドアロツク装置としては、例えば
実公昭48−33125号公報、および特開昭60−40482
号公報に開示されているものがある。

前者は、車体側に、弾性材からなるリングを嵌
入したピン穴を設け、ドア側には、このピン穴と
嵌合可能な突出ピンを設けて、ドアを閉じた際、
双方が係合することにより、ドアのガタ等を防止
し得るようにしたものである。

後者は、車体前側のピラ一部にストライカを固
着し、ドア側には、ドアロツク開閉操作位置に連
結され、かつドアに設けられたアウトサイドハン
ドル、およびインサイドハンドルにより操作され
るフツクを設け、ドアが閉じられた際に、このフ
ツクがストライカと係合することにより、ドアの
支持強度を高めている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来例における前側ドアロツク装置では、
いずれも、ドアに対する横方向の荷重が作用した
際におけるドア前部の支持強度は十分とは言え
ず、特に、ピンによる係合形態のものは、係止突
起がないため、ドアが変形した場合、ピンとピン
穴との係合が容易に離脱する恐れがある。

また、ストライカとフツクによるドアロツク装
置においては、経時変化等により、ドアが上下方
向に位置ずれした場合等を考慮して、ピラーおよ
びドア側に、何らかの位置決め、又は位置合わせ
手段を別途設ける必要がある。

本発明は、上記問題点を解決するためになされ
たもので、ドアと車体との噛み合い強度の増大を
図るとともに、ドアと車体との位置ずれを防止し
得る車両用ドアロツク装置の提供を目的としてい
る。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するための手段は、ドアを閉
じたとき互いに対向するドアの端面と車体の端面
とのいずれか一方に凹部を、またその他方に前記
凹部と嵌合する凸部を形成し、前記凸部に、案内
孔と係合孔を穿設し、かつ凹部の奥端に、前記案
内孔に突入する先尖状のガイドピンを突設すると
ともに、前記係合孔に嵌合し、かつドアロツク開
閉操作装置に連係されて、前記係合孔の一縁部に
形成された係合部に係脱するフツクを設けたこと
を特徴とするものである。

〔作用〕

ドアを閉じる際、ガイドピンが、その尖先から
基部にかけて漸次案内孔内に突入することによ
り、ドアは、車体に対して定位置に閉じるように
案内され、かつ位置決めされる。

また、フツクが係合孔に嵌合し、かつその係合
孔の一縁部に形成された係合部に係合することに
より、ドアの開きが阻止される。

さらに、ドアと車体との各対向面に形成された
凸部が凹部に嵌合することにより、ドア閉止時に
おけるドアと車体との噛み合い強度が増大する。

したがつて、ドア閉止時には、ガイドピンが案
内孔に突入していることと、フツクが係合部に係
合していることとにより、ドアと車体との一次的
な結合がなされ、また万一の自動車衝突時等にお
いては、凹部と凸部との噛み合いによる二次的な
結合により、強力な外部負荷に対する補強作用が
付加され、もつてドアと車体との噛み合い強度が
増大する。

ドアロツク開閉操作装置により、フツクを係合
部から外すと、ドアは自由に開くことができるよ
うになる。

ドアを開く際、ガイドピンは案内孔から、また
フツクは係合孔から、それぞれ離脱する。

〔実施例〕

以下、本発明を自動車のスライドドアの前側ド
アロツク装置に適用した場合の一実施例を、図面
に基づいて説明する。

第１図は、本発明を適用した車両の外観図、第
２図は、スライドドアにおけるドアロツク機構の
全体構成を略示したものである。

まず、このドアロツク機構の全体構成について
簡単に説明する。

ドアロツク機構は、スライドドア１側に設けら
れたドアロツク開閉操作装置２、前側ドアロツク
装置３、及び後側ドアロツク装置４とから成つて
いる。

ドアロツク開閉操作装置２は、施解錠レバー、
ノブレバー、オープンレバー（いずれも図示略）
等の施解錠機構（図示略）を備え、スライドドア
１の外側に設けられたアウトサイドハンドル５、
同じく車内側に設けられたインサイドハンドル
６、車内側のノブ７等に連結されている。

前側ドアロツク装置３および後側ドアロツク装
置４は、ドアロツク開閉操作装置２における図示
しない施解錠機構に連結され、この施解錠機構が
解錠状態のとき、アウトサイドハンドル５又はイ
ンサイドハンドル６を操作することにより、同時
にロツク状態が解除されてスライドドア１を開く
ことができるようになつている。

次に、本発明の前側ドアロツク装置３について
詳細に説明する。

第３図乃至第８図に示すように、スライドドア
１の前端面１ａには、板材の中央を後方に膨出さ
せて凹部８ａを形成したベース部材８が固着さ
れ、この凹部８ａの奥端面には、先端部を下方へ
鉤状に屈曲させたフツク９と、ほぼ中央部より先
がテーパ状に細径となつた先尖状のガイドピン１
０とが突設されている。

フツク９は、ベース部材８の凹部８ａの奥端に
突設された縦長の開口１１を貫通し、その後端部
は、ベース部材８に固着されたブラケツト１２
に、ほぼ水平なピン１３をもつて回動可能に枢支
され、かつ引張りコイルばね１４により、常時下
方の係止位置（第４図反時計方向）に向けて付勢
されている。

フツク９の後部は、ブラケツト１２にピン１６
をもつて枢着されたレバー１５と係合し、レバー
１５は、前述のドアロツク開閉操作装置２に、ロ
ツド１７をもつて連結されている。

これにより、フツク９は、ドアロツク開閉操作
装置２に連係されているアウトサイドハンドル
５、およびインサイドハンドル６を操作すること
により、引張りコイルばね１４の付勢力に抗して
上方（第４図時計方向）に回転させることができ
る。

１８は、凹部８ａに形成された縦長の開口１１
を可能な限り閉塞して、ドア１内に塵埃等が侵入
するのを防止する弾性カバーである。

なお、凹部８ａは、第６図に示すように、車内
側を深く、外方を浅くして内側を向くように傾
け、これに固着されたガイドピン１０、おびブラ
ケツト１２に枢着されたフツク９が、車内側に若
干傾斜するようにしてある。

これは、スライドドア１が斜外側方へ移動して
開閉されるため、後記する車体側のベース部材２
０との係脱を容易とするためである。

ベース部材８より突出しているフツク９の前部
は、例えばナイロン系を素材とする硬質合成樹脂
材９ａによりモールドして覆つてある。

スライドドア１に固着されたベース部材８と相
対する車体側のフロントピラー１９の後端面１９
ａには、板材の中央を後方に膨出させて凸部２０
ａを形成したベース部材２０が固着されている。

このベース部材２０には、前面中央を前方に袋
状に膨出させたカバー２１が、一体的に固着され
ている。

ベース部材２０の凸部２０ａには、前記フツク
９が進入し得る係合孔２２と、ガイドピン１０が
突入可能な案内孔２３とが突設されている。

案内孔２３並びにフツク９が係合する係合孔２
２の下縁に形成された係合部２２ａには、例えば
ナイロン系を素材とした硬質合成樹脂材２４によ
るモールドが、一体的に、かつ連続して施され、
ガイドピン１０およびフツク９が進入する際にお
ける摩擦抵抗、並びに金属打撃音等の低減が図ら
れている。

樹脂モールド後における案内孔２３の穴径は、
ガイドピン１０の太径部１０ａの外径とほぼ同一
か又は若干大きい程度とし、ドア１が経時変化等
により、上下又は左右方向の位置ずれ等が発生し
た際に、定位置に位置決めしうるようにしてあ
る。

ベース部材２０の凸部２０ａは、第８図に示す
ように、内方車内側を高く、外方を低くして若干
外側方に傾斜させ、膨出面に形成された係合孔２
２、並びに案内孔２３が斜後方を向くようにして
ある。

これにより、凸部２０ａと、前記ドア側のベー
ス部材８における凹部８ａとが、互いにほぼ平行
状態で嵌合し合うとともに、係合孔２２とフツク
９、および案内孔２３とガイドピン１０もほぼ平
行に係脱し得るようになる。

スライドドア１が閉じられると、第４図に示す
ように、フロントピラー１９側に固着されたベー
ス部材２０における凸部２０ａが、スライドドア
１に固着されたベース部材８の凹部８ａに若干入
り込むような態様で嵌合し、同時に、フツク９、
ガイドピン１０が、ベース部材２０に穿設された
係合孔２２および案内孔２３にそれぞれ突入して
係合される。

この状態におけるスライドドア１は、ガイドピ
ン１０が、その尖先から基部にかけて案内孔２３
に突入することにより、上下および左右方向に正
確に位置決めされながら閉じられ、しかもドア１
に横方向の荷重が作用して、ドア１が変形しよう
としたときでも、車体側におけるベース部材２０
の凸部２０ａと、ドア側のベース部材８における
凹部８ａとが当接して、その衝撃力が、受け止め
られる。

また、ドア１が大きく変形して後方への引張り
荷重が作用した場合、フツク９が係合孔２２に形
成された係合部２２ａに係止されるので、ドア１
が容易に開扉される恐れはない。

さらに、車体側のベース部材２０をドア１側に
膨出させるとともに、ドア１側に設けたベース部
材８に凹部８ａを形成し、この凹部８ａの奥端よ
りフツク９およびガイドピン１０を突出させたこ
とにより、フツク９およびガイドピン１０のドア
１の前端面１ａからの突出長さを短くすることが
でき乗降時の安全性が向上する。

本発明における前側ドアロツク装置の取付位置
は、スライドドアの前方部であれば、特に限定さ
れないし、又必要に応じて複数設けることも可能
である。

本発明は、上記スライドドア以外に、上下に開
閉するバツクドア等にも適用することができる。

ドアと車体との各対向面に形成する凹部と凸部
との関係等を、上述の実施例のものと逆にして実
施してもよい。

〔発明の効果〕

本発明のドアロツク装置によれば、ドアの閉扉
時には、ガイドピンが案内孔に突入しているとと
もに、フツクが係合部に係合していることによ
り、ドアと車体との一次的結合がなされ、また万
一の衝突時においては、凹部と凸部との係合によ
る二次的な結合により、強力な外力に対する二重
の補強作用がなされる。

その結果、ドアと車体との噛み合い強度が増大
し、ドアが容易に開扉されるという恐れはなくな
り、信頼性が高い。

経時変化等により、ドアに位置ずれ等が生じた
場合、ガイドピンと案内孔により、これが修正さ
れ、ガタ等の発生を防止することができる。

また、凹部側にフツクとガイドピンを設け、こ
れを凸部側に係合させるようにしたから、フツク
並びにガイドピンのドア端面からの突出長さを短
くすることができ乗降時の安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を適用した車両の
外観図、第２図は、スライドドアのロツク機構全
体を略示する概略側面図、第３図は、スライドド
アを若干開いたときの前側ドアロツク装置の斜前
方斜視図、第４図は、ドア閉扉時における前側ド
アロツク装置の縦断面図、第５図は、前側ドアロ
ツク装置におけるドア側部分の斜後方斜視図、第
６図は、第５図におけるＸ−Ｘ線に沿う横断平面
図、第７図は、前側ドアロツク装置における車体
側部分の背面図、第８図は、第７図におけるＹ−
Ｙ線に沿う横断平面図である。 １……スライドドア、２……ドアロツク開閉操
作装置、３……前側ドアロツク装置、８……ベー
ス部材、８ａ……凹部、９……フツク、９ａ……
硬質合成樹脂材、１０……ガイドピン、１９……
フロントピラー、２０……ベース部材、２０ａ…
…凸部、２２……係合孔、２２ａ……係合部、２
３……案内孔、２４……硬質合成樹脂材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ドアを閉じたとき互いに対向するドアの端面
   と車体の端面とのいずれか一方に凹部を、またそ
   の他方に前記凹部と嵌合する凸部を形成し、前記
   凸部に、案内孔と係合孔を穿設し、かつ凹部の奥
   端に、前記案内孔に突入する先尖状のガイドピン
   を突設するとともに、前記係合孔に嵌合し、かつ
   ドアロツク開閉操作装置に連係されて、前記係合
   孔の一縁部に形成された係合部に係脱するフツク
   を設けたことを特徴とする車両用ドアロツク装
   置。 ２ 凸部における案内孔の縁と係合孔の係合部と
   を、硬質合成樹脂材をもつて連続してモールドし
   てなる特許請求の範囲第１項に記載の車両用ドア
   ロツク装置。