JPS631743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車車体表面に沿う方向に引戸式に
スライド開閉するドアを全閉時に拘束するための
自動車用スライドドアの拘束装置に関する。

例えば第１図に示すように、車体Ａの側表面に
沿つてスライド開閉するドアＢを備えた自動車の
場合、ドアＢは、車体Ａのドア開口上下に設けら
れたスライドレール１ａ，１ｂによりガイドされ
る。煽戸式のドアと異なり、ドアＢを強固に車体
Ａに連結するヒンジが存在しないので、全閉時に
ドアＢをガタつかないようにするための拘束装置
がドアＢの車両前側に設けられるのが一般的であ
る。

従来の拘束装置は第２図に示すように、ドアＢ
の前側においてドアＢ全閉時にスライド方向に向
かつて対向する車体ＡとドアＢの夫々の対向面Ａ
１，Ｂ１に、その一方にダブテールフイメールＣ
１を設け、他方にダブテールフイメールＣ１の嵌
入部Ｃ２に嵌合する先細テーパー状のダブテール
メールＣ３を設け、ドアＢ全閉時に相互に嵌合さ
せてドアＢの前方、上下方向、車幅方向の動きを
拘束するもので、これらを上下数箇所に設けるも
のであつた。

しかし、この従来の拘束装置では、ダブテール
フイメールが樹脂の一体成形品または鋼板の絞り
成形品であるため、樹脂製は衝撃吸収性は良いが
剛性耐久性が不足しがちであり、鋼板製はその逆
になり、また、ドア取付面の強度剛性が不足しが
ちであるという問題があつた。

本考案は、上記問題点を解消した自動車用スラ
イドドアの拘束装置を提供することを目的として
いる。

かかる目的を達成するため、本考案において
は、車体に設けられたガイドレールに係合するロ
ーラーを備えたガイドブラケツトがドアに固設さ
れ、ガイドレールに沿つてスライド開閉するドア
を全閉時に拘束する自動車用スライドドアの拘束
装置であつて、該ガイドブラケツトの固定部材ま
たは車体のいずれか一方に、ドア全閉時の移動軌
跡の方向を向いた基座を形成し、該基座に水平で
かつ先端に向かい細くなつた円錐形状の係合部材
を突設し、他方の、該係合部材とドア全閉時に対
応する位置に、該係合部材が嵌入可能な筒状をし
た受納筒体が、これを包囲する弾性体を介して箱
状の基台内に支持され、かつ該基台には前記基座
に対向する頂面と該頂面に穿設された係合部材進
入用の貫通穴とが形成されて成る拘束部材が設け
られるとともに、該基座または該基台の頂面のい
ずれか一方に、他方を受け止める弾性ストツパ体
を取り付けたことを特徴とする自動車用スライド
ドアの拘束装置とし、円錐形状の係合部材の進退
位置に合わせて拘束部材の受納筒体が弾性体の弾
性作用により確実に係合部材を嵌合受納するとと
もに振動衝撃を吸収し、弾性体と受納筒体と円錐
形状の係合部材との長所を組み合わせて衝撃吸収
性、耐久性共に優れたものとし、しかも、ガイド
ブラケツトの固定部材を足場とすることにより強
度剛性も十分な自動車用スライドドアの拘束装置
としたものである。

以下、図面に示す実施例に基づき本考案を説明
する。

第３図および第４図は本考案の一実施例を示し
ている。拘束装置は、例えば、第１図に示す部位
Ｄすなわちドア前上方に設けられる。

ガイドブラケツト１はドアＢにボルトＢ２，Ｂ
２で固着された固定部材１１と、これに枢着され
た揺動部材１２とからなり、揺動部材１２には車
体に設けられたガイドレール２に転動可能に嵌合
するローラー１３，１３が備えられている。固定
部材１１の先端部にはドアＢ全閉時の移動軌跡の
方向を向いた基座１４が形成されている。基座１
４には先端に向かい細くなつた円錐形状の係合部
材３が突設されている。ドアＢ側の係合部材３と
ドアＢ全閉時に対向する車体Ａ側の対向位置には
拘束部材４が設けられている。拘束部材４の外殻
を形成する箱状に形成された基台４１の頂面４２
の中央部には係合部材３の進入用の貫通穴が穿設
され、また、基台４１内には、全閉時にこの貫通
穴を貫通して進入して来る係合部材３を受納して
嵌合する金属材料あるいは樹脂材料よりなる受納
筒体４３が弾性体４４を介して設けられている。
基台４１の頂面４２はガイドブラケツト１の固定
部材１１の基座１４に対向しており、基座１４に
はこれに固着されている保持部材５１により比較
的受圧面の広い弾性ストツパ体５が保持されて取
り付けられている。弾性ストツパ体５は頂面４２
に設けても良い。拘束部材４はボルト４５，４６
が、車体Ａの取付面Ａ２の補強部材を兼ねる板ナ
ツト４７に螺合されることにより車体Ａに固着さ
れている。

拘束装置は上記構成を有するから、ガイドブラ
ケツト１のローラー１３，１３がガイドレール２
上をスライド移動してドアＢが全閉する際、係合
部材３が拘束部材４の受納筒体４３に嵌入する。
拘束部材４は円錐形状に形成されているので嵌入
するに従い受納筒体４３に固く嵌合する。このと
き、金属あるいは樹脂材料よりなる受納筒体が摺
動抵抗を減じさせる作用をするので摩耗に対する
耐久性は十分である。受納筒体４３は弾性体４４
を介して基台４１に支持されているからドアＢ全
閉時の衝撃やオーバーランが吸収されるとともに
全閉状態のドアＢの振動等を吸収する。また、ド
アＢ全閉時には弾性ストツパ体５が基座１４と基
台４１の頂面４２との間に挾持され、ドアＢの閉
扉力による衝撃を頂面４２が受け止める。更に、
全閉するとドアＢは上下方向を拘束されるばかり
で無く、係合部材３と拘束部材４とが車幅方向に
対し角度をもつて嵌合しているので、車内外方向
も拘束され、また、ドアロツク装置と組み合わせ
ることによつて前後方向も含めて拘束される。

なお、係合部材３と拘束部材４とは取付勝手を
逆にし、係合部材３を車体Ａに、拘束部材４をガ
イドブラケツト１の固定部材１１に取り付けるよ
うにしても良い。

本考案に係る自動車用スライドドアの拘束装置
によれば、弾性体と受納筒体と円錐形状の係合部
材との特長を生かして拘束装置の耐久性、衝撃振
動吸収能力を向上させ、もともと強度剛性のある
ガイドブラケツトの固定部材を足場としたから、
ドアは確実に拘束保持される。したがつて、自動
車走行時にドアがガタつくことは無く、シール性
も害されないので水密不良も発生せず、ドアと車
体とが干渉することも無い。また、ドアロツク装
置の負担が小さくなり確実にドアロツクされて安
全性も向上する。

更に、本考案装置では、係合部材と拘束部材と
がドア進入方向に係合するため、従来に比べ係合
する長さを長くすることができるので、ドアロツ
ク装置との組み合わせにより車両側方荷重に対し
てドアを確実に拘束することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車の概略側面図、第２図は従来例
を示す水平断面図、第３図および第４図は本考案
の一実施例を示し、第３図は要部を断面で示した
平面図、第４図は第３図の−断面図である。 Ａ……車体、Ｂ……ドア、１……ガイドブラケ
ツト、１１……固定部材、１４……基座、２……
ガイドレール、３……係合部材、４……拘束部
材、４１……基台、４２……頂面、４３……受納
筒体、４４……弾性体、５……弾性ストツパ体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体に設けられたガイドレールに係合するロー
   ラーを備えたガイドブラケツトがドアに固設さ
   れ、ガイドレールに沿つてスライド開閉するドア
   を全閉時に拘束する自動車用スライドドアの拘束
   装置であつて、 該ガイドブラケツトの固定部材または車体のい
   ずれか一方に、ドア全閉時の移動軌跡の方向を向
   いた基座を形成し、該基座に水平でかつ先端に向
   い細くなつた円錐形状の係合部材を突設し、 他方の、該係合部材とドア全閉時に対応する位
   置に、該係合部材が嵌入可能な筒状をした受納筒
   体が、これを包囲する弾性体を介して箱状の基台
   内に支持され、 かつ該基台には、前記基座に対向する頂面と該
   頂面に穿設された係合部材進入用の貫通穴とが形
   成されて成る拘束部材が設けられるとともに、 該基座または該基台の頂面のいずれか一方に、
   他方を受け止める弾性ストツパ体を取り付けたこ
   とを特徴とする自動車用スライドドアの拘束装
   置。