JPS6137738Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車車体表面に沿う方向に引戸式に
スライド開閉するドアを全閉時に拘束するための
自動車用スライドドアの拘束装置に関する。

例えば第１図に示すように、車体Ａの側表面に
沿つてスライド開閉するドアＢを備えた自動車の
場合、ドアＢは、車体Ａのドア開口上下が設けら
れたスライドレール１ａ，１ｂによりガイドされ
る。煽戸式のドアと異なり、ドアＢを強固に車体
Ａに連結するヒンジが存在しないので、全閉時に
ドアＢをガタつかないようにするための拘束装置
がドアＢの車両前側に設けられるのが一般的であ
る。

従来の拘束装置は第２図に示すように、ドアＢ
の前側においてドアＢ全閉時にスライド方向に向
かつて対向する車体ＡとドアＢの夫々の対向面Ａ
１，Ｂ１にその一方にダブテールフイメールＣ１
を設け、他方にダブテールフイメールＣ１の嵌入
部Ｃ２に嵌合する先細テーパー状のダブテールメ
ールＣ３を設け、ドアＢ全閉時に相互に嵌合させ
てドアＢの前方、上下方向、車幅方向の動きを拘
束するもので、これらを上下数箇所に設けるもの
であつた。

しかし、この従来の拘束装置は、ドアと車体と
が対向する面に設けられているため、取付面の強
度剛性が不足しがちである。このような不具合を
解消する手段のひとつである取付面を強化するた
めに板厚を増加したり補強材を設けることは重量
増あるいは組立工数の増加を招き、自動車の軽量
化を阻害したり生産性低下のためのコスト上昇を
きたしたりする。また、取付位置も限られ、対向
面が存しない部位には設けにくいという問題点が
あつた。

本考案は、上記従来の問題点に着目してなされ
たもので、スライドドアを車体に連結支持するた
めのガイドブラケツトを利用し、もともと強度剛
性の高いその取付部位を足場にし、しかも、効果
的にドアを拘束する自動車用スライドドアの拘束
装置を提供することを目的としている。

かかる目的を達成するため、本考案において
は、車体に設けられたガイドレールに係合するロ
ーラーを備えたガイドブラケツトがドアに固設さ
れ、該ガイドレールに沿つてスライド開閉するド
アを全閉時に拘束する自動車用スライドドアの拘
束装置であつて、該ガイドブラケツトの固定部材
の先端部に、先端に向かい細くなるテーパー状の
係合部が形成され、車体には、ドア全閉時に該係
合部を受納して嵌合する嵌合部が固設され、該嵌
合部は、車体に固着され、該ガイドブラケツトの
係合部に向かつて開口する溝形の支持部が形成さ
れた支持部材と、該支持部に設けられた弾性材料
より成る緩衝体とを具備し、該緩衝体の該係合部
に対向する側に、表面に介在片を設けてなる嵌合
溝が形成されていることを特徴とする自動車用ス
ライドドアの拘束装置としたものである。

以下、図面に示す実施例に基づき本考案を説明
する。

第３図乃至第６図は本考案の一実施例を示お
り、拘束装置は、例えば、第１図に示す部位Ｄ、
すなわち、ドア前下方に設けられる。

ガイドブラケツト１はドアＢにボルトＢ２，Ｂ
２により固着された固定部材１１とその先端に揺
動部材１２が枢着された二つの部材からなつてい
る。揺動部材１２には車体Ａに固設されたガイド
レール２に転動可能に嵌合し、ドアの摺動抵抗を
減ずると共にドアの車幅方向を規制するローラー
１３，１３と縦方向を規制するローラー１４とが
備えられている。

固定部材１１の基部１５に形成された取付フラ
ンジ１６がドアＢ全閉時のドア移動軌跡方向に延
出する先端部に沿つて連続形成され、フランジ１
６の先端には先端に向かいフランジ幅が狭くなる
テーパー状の係合部３が形成されている。一方、
車体Ａには係合部３に対しドアＢ全閉時に係合部
３と若干の角度をもたせて係合可能の嵌合部４が
支持部材４１を介して固設されている。

嵌合部４には、支持部材４１より車内側に向か
つて屈曲されて係合部３に沿う部分が形成され、
そこに、係合部３に向かつて開口する断面コ字状
溝形の支持部４２が係合部３の移動軌跡に対し若
干交るようにある角度をもたせて形成され、この
支持部４２はゴム等の弾性材料より成る緩衝体４
３にて囲繞されており、緩衝体４３の係合部３に
対向する面４４には、嵌合溝４５が形成されてお
りその表面には多少の変形は許容し、かつ摺動抵
抗を減ずるための金属材料あるいは樹脂材料より
なる介在片４６が設けられている。さらに屈曲さ
れた支持部材４１には、支持部４２を後から保持
する弾性保持体４７がその懐に充填されている。

なお緩衝体４３は支持部４２を囲繞すること無
く、片面に例えば焼付により取り付けても良い。

上記構成を有する拘束装置では、ドアＢを閉じ
るとき、全閉直前に、ガイドブラケツト１の固定
部材１１に形成された係合部３が車体Ａに固設さ
れた嵌合部４の嵌合溝４５に嵌合を始める。係合
部３はテーパー状に形成されているので始期は遊
嵌する。ドアＢが次第に閉じられると、係合部３
は嵌合溝４５の介在片４６に対し摺動しながら進
入してゆく、緩衝体４３は係合部３がこれに直接
接触することが無いよう嵌合部に介在させた摩耗
に強い介在片４６により保護されている。係合部
３が進入してゆくと、第６図に示す如く、テーパ
ー状に形成された係合部３の端面３１が嵌合溝４
５の内側に接触するようになり、係合部３は両側
から強く嵌合挾持される。ドアＢが全閉すると閉
扉力の勢いは係合部３の外側面と当接する嵌合溝
４５の底部にて受け止められると共に、係合部３
を両側より挾持する嵌合挾持力により緩衝して受
け止められる。ドアＢが全閉されると、係合部３
は嵌合部４の嵌合溝４５の内側に嵌合挾持される
から上下方向を拘束される。また、係合部３が嵌
合溝４５の底部に当接するのでドアＢは車幅方向
にも拘束される。自動車走行中に振動が加わつた
場合、緩衝体４３がその振動を吸収し、介在片４
６が摩耗を防止する。また、弾性保持体４７が嵌
合部４を保持強化している。

本考案に係る自動車用スライドドアの拘束装置
によれば、ガイドブラケツトの固定部材を足場に
拘束装置を設けたから、強度剛性が高く、しか
も、固定部材自体を拘束装置の一部として利用し
たから、ガイドブラケツトの取付が拘束装置の取
付を兼ねるので組付も簡単になる。弾性材料と樹
脂材料あるいは金属材料の長所を生かしたものに
したから、振動吸収性が良く耐久性も良い。構造
も簡単なので、小型化可能であり、拘束も確実で
ある。したがつて、自動車走行時にドアがガタつ
くことは無く、シール性も害されないので水密不
良も発生せず、ドアと車体とが干渉することも無
い。ドアロツク装置の負担が小さくなり確実にド
アロツクされて安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車の概略側面図、第２図は従来例
を示す水平断面図、第３図乃至第６図は本考案の
一実施例を示し、第３図は車体およびドアは水平
断面で示した拘束装置の平面図、第４図は要部の
斜視図、第５図は第３図の−断面図、第６図
は第３図の−断面図である。 Ａ……車体、Ｂ……ドア、１……ガイドブラケ
ツト、１１……固定部材、１２……揺動部材、１
６……フランジ、２……ガイドレール、３……係
合部、４……嵌合部、４１……支持部材、４２…
…支持部、４３……緩衝体、４５……嵌合溝、４
６……介在片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に設けられたガイドレールに係合するロー
   ラーを備えたガイドブラケツトがドアに固設さ
   れ、該ガイドレールに沿つてスライド開閉するド
   アを全閉時に拘束する自動車用スライドドアの拘
   束装置であつて、該ガイドブラケツトの固定部材
   の先端部に、先端に向かい細くなるテーパー状の
   係合部が形成され、車体には、ドア全閉時に該係
   合部を受納して嵌合する嵌合部が固設され、該嵌
   合部は、車体に固着され、該ガイドブラケツトの
   係合部に向かつて開口する溝形の支持部が形成さ
   れた支持部材と、該支持部に設けられた弾性材料
   より成る緩衝体とを具備し、該緩衝体の該係合部
   に対向する側に、表面に介在片を設けてなる嵌合
   溝が形成されていることを特徴とする自動車用ス
   ライドドアの拘束装置。