JPH0543954B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はバツチ式焼成炉に関し、特にたとえ
ばセラミツクコンデンサなどを製造するためのセ
ラミツク成形体を焼成するためのバツチ式焼成炉
に関する。

（従来の技術） バツチ式焼成炉としては、製品の出し入れの形
式によつて扉開閉式と炉床昇降式とがあるが、第
３図および第４図に炉床昇降式のバツチ式焼成炉
が示される。このバツチ式焼成炉１は、炉体２を
含む。この炉体２は、内部に空洞部３を有し、か
つ下方に開口部４が形成されている。この開口部
４に炉床５が嵌め込まれることによつて、炉体２
内に室が形成される。

炉体２内には、その内壁に沿つて複数のヒータ
６が取り付けられる。さらに、炉体２の壁には、
室内に保護雰囲気ガスを供給するためのガス供給
管７が形成される。また、炉体２の天井には、排
ガスを排出するためのガス排出管８が形成され
る。

このバツチ式焼成炉１を使つてセラミツク成形
体などの被焼成物を焼成する場合、炉床５上に被
焼成物を入れた匣９が載置される。そして、炉床
５を上昇させることによつて炉体２の開口部４に
嵌め込まれ、被焼成物を入れた匣９がバツチ式焼
成炉１の室内に納められる。そして、ガス供給管
７から保護雰囲気ガスを供給しながら、ヒータ６
によつて被焼成物が焼成される。被焼成物を焼成
することによつて発生する排ガスは、ガス排出管
８に排出される。

なお、炉床の形状としては、第３図および第４
図に示すような４角形状が一般的であるが、第５
図に示すように、炉内容積の有効利用およびガス
雰囲気の均一化のために炉床５を円形状にしたも
のもある。

（発明が解決しようとする問題点） このようにバツチ式焼成炉では、被焼成物の量
を増やして処理量を多くしようとすれば、炉体や
炉床を大きくしなければならない。しかしなが
ら、炉体や炉床を大型化すると室内の容積が大き
くなつてしまうため、室内の温度分布が不均一に
なつてしまう。また、室内の保護雰囲気ガスの分
布も不均一になつてしまう。そのため、バツチ式
焼成炉内の被焼成物の位置によつて焼成むらが起
こり、製品の品質にばらつきが生じる。

それゆえに、この発明の主たる目的は、焼成む
らが起こりにくく製品の品質のばらつきが生じに
くい、バツチ式焼成炉を提供することである。

（問題点を解決するための手段） この発明は、下方に開口を有しかつ環状の空洞
部を有する炉体と、炉体の開口に嵌まり合うこと
によつて炉体と協働して環状の室を形成する炉床
と、空洞部の内周側および外周側に配置されるよ
うに炉体に形成される複数のヒータと、炉体の内
周側壁と外周側壁とに形成され室内にガスを供給
するためのガス供給管とを含み、炉床が回転する
ことによつて室内の床が移動する、バツチ式焼成
炉である。

（作用） 環状の室内の内周側および外周側にヒータが配
置されるため、室内の温度が均一化される。さら
に、炉床が回転することによつて室内の保護雰囲
気ガスが対流し、保護雰囲気ガスの分布が均一化
される。

（発明の効果） この発明によれば、バツチ式焼成炉の室内の温
度分布および保護雰囲気ガスの分布が均一化され
るため、被焼成物に焼成むらが起こりにくい。そ
のため、このバツチ式焼成炉を使用することによ
つて、安定した品質の製品を得ることができる。

この発明の上述の目的、その他の目的、特徴お
よび利点は、図面を参照して行う以下の実施例の
詳細な説明から一層明らかとなろう。

（実施例） 第１図はこの発明の一実施例を示す縦断面図で
あり、第２図は第１図実施例の横断面図である。
このバツチ式焼成炉１０は炉体１２を含む。炉体
１２は、円筒状の内周側壁１２ａおよび外周側壁
１２ｂを含む。そして、内周側壁１２ａと外周側
壁１２ｂの上部には、天板１２ｃが形成される。
したがつて、この炉体１２の内部には空洞部１４
が形成され、炉体１２の下方には開口１６が形成
される。

さらに、このバツチ式焼成炉１０は炉床１８を
含む。炉床１８は円板状に形成され、その上面に
は環状の突部１８ａが形成される。この炉床１８
は昇降装置（図示せず）に取り付けられる。この
昇降装置で炉床１８を上昇させることによつて、
環状の突部１８ａが炉体１２の開口１６に嵌め込
まれる。これらの炉体１２と炉床１８との間に
は、炉体１２と炉床１８とで形成される室を外部
と遮断するためのシール材２０が形成される。

炉体１２の空洞部１４には、内周側壁１２ａお
よび外周側壁１２ｂに沿つて複数のヒータ２２が
取り付けられる。これらのヒータ２２、たとえば
炭化けい素などでＵ字状に形成される。そして、
ヒータ２２は天板１２ｃから吊り下げることによ
つて取り付けられる。

炉体１２の内周側壁１２ａおよび外周側壁１２
ｂには、ガス供給管２４が形成される。このガス
供給管２４は、室内に置かれた被焼成物を焼成す
るときに室内に保護雰囲気ガスを供給するための
ものである。さらに、炉体１２の天板１２ｃに
は、ガス排出管２６が形成される。このガス排出
管２６は、被焼成物を焼成したときに発生する排
ガスを排出するためのものである。

このバツチ式焼成炉１０を使用する場合、まず
炉床１８上に被焼成物を載せた匣２８が載置され
る。そして、匣２８を載置した炉体１８を上昇す
ることによつて、環状の突部１８ａが炉体１２の
開口１６に嵌め込まれる。このとき、シール材２
０があることによつて、炉体１２と炉床１８とで
形成される室内と外部とが遮断される。

次に、炉体１２の内周側壁１２ａおよび外周側
壁１２ｂに形成されたガス供給管２４から保護雰
囲気ガスを供給するとともに、ヒータ２２に通電
することによつて被焼成物が焼成される。このと
き、炉床１８は回転装置（図示せず）によつて回
転させられる。回転速度は、被焼成物が匣２８内
で動かない程度の高速（２〜10rpm）に設定され
る。この回転速度は、被焼成物の種類に応じて任
意に変更可能である。したがつて、匣２８に載せ
られた被焼成物は、バツチ式焼成炉１０の室内を
回転移動しながら焼成されることになる。被焼成
物を焼成するときに発生する排ガスは、炉体１２
の天板１２ｃに形成されたガス排出管２６から排
出される。

このようなバツチ式焼成炉１０では、炉体１２
の内周側壁１２ａおよび外周側壁１２ｂに沿つて
ヒータ２２が配置されているため、室内の温度分
布が均一になる。また、被焼成物が回転移動しな
がら焼成されるため、室内の保護雰囲気ガスが対
流し、保護雰囲気ガスの分布も均一となる。その
ため、このバツチ式焼成炉１０の室内では、あら
ゆる場所で焼成条件が均一となり、被焼成物に焼
成むらが発生しにくい。したがつて、このバツチ
式焼成炉１０を用いれば、安定した品質の製品を
得ることができる。第１図に示す本発明のバツチ
式焼成炉と第５図に示す従来のバツチ式焼成炉と
で炉床の単位面積当たりの処理量を比べると、本
発明のバツチ式焼成炉のほうが従来のものの1.3
倍であつた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す縦断面図で
ある。第２図は第１図に示すバツチ式焼成炉の横
断面図である。第３図はこの発明の背景となる従
来のバツチ式焼成炉を示す縦断面図である。第４
図は第３図に示す従来のバツチ式焼成炉の横断面
図である。第５図はこの発明の背景となる従来の
バツチ式焼成炉の他の例を示す横断面図である。 図において、１０はバツチ式焼成炉、１２は炉
体、１２ａは内周側壁、１２ｂは外周側壁、１４
は空洞部、１６は開口、１８は炉床、１８ａは環
状の突部、２２はヒータ、２４はガス供給管を示
す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下方に開口を有しかつ環状の空洞部を有する
   炉体、 前記炉体の前記開口に嵌まり合うことによつて
   前記炉体と協働して環状の室を形成する炉床、 前記空洞部の内周側および外周側に配置される
   ように前記炉体に形成される複数のヒータ、およ
   び 前記炉体の内周側壁と外周側壁とに形成され前
   記室内にガスを供給するためのガス供給管を含
   み、 前記炉床が回転することによつて前記室内の床
   が移動する、バツチ式焼成炉。