JP2019138592A - 熱処理装置 - Google Patents

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道也 横田
Michiya Yokota
道也 横田
粟野 英和
Hidekazu Awano
英和 粟野
古屋 昌浩
Masahiro Furuya
昌浩 古屋
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Abstract

【課題】被処理物の昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化させる温度制御構造を有する熱処理装置の提供。【解決手段】回転炉1に供給された粉状又は粉粒状の被処理物Bを、回転炉の回転動作により回転炉の炉面11に沿って回転炉の周方向へ揺動させながら熱処理する熱処理装置Aであって、被処理物の供給口Ba及び排出口Bbと連通して回転自在に設けられる外熱式の回転炉と、回転炉の炉面に周方向へ分割して形成され、回転炉内に供給した被処理物がそれぞれ堆積する複数の加熱面部12a、12bと、複数の加熱面部を温度制御する制御部6と、を備え、制御部は、複数の加熱面部に亘って堆積した被処理物の堆積部B1、B2を、回転炉の回転動作に伴い周方向へ揺動しながら、ガス発生温度域まで昇温させる一次昇温過程において、複数の加熱面部を被処理物の堆積部が周方向へ所定の温度差で昇温されるように温度制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、粉状又は粉粒状などの被処理物を回転炉の回転動作により熱処理(加熱処理)するために用いられる熱処理装置に関する。
従来、この種の熱処理装置として、上下方向に傾斜可能に設置された炉体の内周に電気ヒーターが配置され、電気ヒーターと同心に炉体を貫通して回転するレトルトの少なくとも一端が開放自在な蓋体で閉塞されてレトルトがほぼ閉塞されるようにしたバッチ式ロータリーキルンがある(例えば、特許文献1参照)。
バッチ式ロータリキルンの稼働は、レトルトを傾斜させて、レトルトの上側の端部から粉状または粒状の被処理物が投入される。その後、レトルトを水平姿勢にし、電気ヒーターに通電して発熱させるとともに、レトルトの回転に伴って被処理物が撹拌されながら加熱されて全体を均一に加熱する。そのとき、流通管からガスをレトルト内に導入し、レトルト外に排出してレトルト内の雰囲気を調節している。その後に加熱処理された被処理物は、レトルトを傾けて回転することにより排出される。
特開2002−277166号公報
ところで、被処理物には、目標温度まで加熱する過程において被処理物からガスを発生(放出)する加熱時ガス発生タイプの粉状体や粉粒体などがある。この発生ガスの種類としては、水蒸気や水素などの可燃性ガス、塩素などの有害なガスなどがある。
しかし乍ら、特許文献1のような従来の熱処理装置では、レトルト(回転炉)の全体が電気ヒーター(熱源)により加熱されて被処理物の全体をほぼ同時に等しく温度上昇(昇温)させている。
このため、被処理物が加熱時ガス発生タイプの粉状体や粉粒体などである場合には、熱源により被処理物の温度が所定温度領域(ガス発生温度域)に達すると、被処理物の全体からガスが発生し始め、更なる昇温によりガスの発生量(放出量)が一気に増える。ガスの発生量が最大値まで増えた後は一気に減少し、被処理物の温度がガス発生温度域を越えると、粉状体や粉粒体などからのガス発生が止み、それ以降は目標温度まで昇温されてもガスの放出は無い。
このような被処理物の全体からの急峻なガス発生は、回転炉の内圧が急激に上昇して作動上の危険性があるだけでなく、回転炉外への排気量を無理して急増させるために排気能力アップの改造を必要とするという問題があった。さらに急峻なガス発生に伴い粉状体や粉粒体などが撹拌され、回転炉内に舞い上がって粉塵となる。この粉塵は、流通管から回転炉内へ導入されるガスに随伴して回転炉の外へ排出されてしまい、排出用の流通管が粉塵で閉塞し易くなることや、被処理物の回収率を低下させるという問題があった。
特に発生ガスが塩素などの有害なガスである場合には、回転炉外へ排気してからのガス後処理の負担が増えるという問題もあった。
そこで、前述した問題を解決するために、回転炉に対して熱源による総加熱量を低下させることや、熱源を一時的にON・OFFして、被処理物の全体からの急峻なガス発生を抑えるように温度制御することが考えられる。しかし、このような温度制御では、被処理物が目標温度に昇温されるまでの時間が大幅に遅れ、被処理物の熱処理全体に時間を要して、高速化が図れないという問題があった。
このような状況下で、熱源による総加熱量の低下や熱源の一時的なON・OFFを行うことなく、被処理物の昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化させる温度制御構造が要望されている。
とりわけ、回転炉における径方向サイズ(炉径)の拡大によって、被処理物となる粉状体や粉粒体などの熱処理量を増大させると、回転炉の特徴である被処理物の全体の均一な加熱により、大量な熱処理中の被処理物から大量のガス発生を急峻に起こす危険性がある。このため、特に回転炉の炉径拡大による熱処理量の増大に対しても、被処理物の昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化させる温度制御構造が要望されている。
このような課題を解決するために本発明に係る熱処理装置は、回転炉に供給された粉状又は粉粒状の被処理物を、前記回転炉の回転動作により前記回転炉の炉面に沿って前記回転炉の周方向へ揺動させながら熱処理する熱処理装置であって、前記被処理物の供給口及び排出口と連通して回転自在に設けられる外熱式の前記回転炉と、前記回転炉の前記炉面に前記周方向へ分割して形成され、前記回転炉内に供給した前記被処理物がそれぞれ堆積する前記複数の加熱面部と、前記複数の加熱面部を温度制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の加熱面部に亘って堆積した前記被処理物の堆積部を、前記回転炉の回転動作に伴い前記周方向へ揺動しながら、ガス発生温度域まで昇温させる一次昇温過程において、前記複数の加熱面部を前記被処理物の前記堆積部が前記周方向へ所定の温度差で昇温されるように温度制御することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る熱処理装置の全体構成を示す説明図であり、(a)が一次昇温過程(昇温初期工程)の縦断正面図、(b)が図1(a)の(1B)−(1B)線に沿える拡大縦断側面図である。 被処理物の熱処理状態を示す説明図であり、(a)が一次昇温過程(昇温後期工程)の拡大縦断側面図で、(b)が二次昇温過程の拡大縦断側面図である。 本発明の実施形態に係る熱処理装置の変形例を示す説明図であり、(a)が一次昇温過程(昇温初期工程)の縦断正面図、(b)が図3(a)の(3B)−(3B)線に沿える拡大縦断側面図である。 被処理物の熱処理状態を示す説明図であり、(a)が一次昇温過程(昇温後期工程)の拡大縦断側面図で、(b)が二次昇温過程の拡大縦断側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る熱処理装置Aは、図1〜図4に示すように、回転炉1の内部に供給される被処理物Bを、回転炉1の回転動作により回転炉1の炉面11に沿って回転炉1の周方向θへ揺動させながら熱処理(加熱処理)して排出するロータリーキルンなどである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱処理装置Aは、被処理物Bの供給口Ba及び排出口Bbと連通して回転自在に設けられる円筒状の回転炉1と、回転炉1の外側に設けられる加熱機構2と、回転炉1の内部空間S1から外部空間S2に向けて連通する排気機構3と、を主要な構成要素として備えている。さらに、供給口Baから被処理物Bを回転炉1内に供給する供給機構Cと、回転炉1の内部空間S1において被処理物Bの熱処理で発生したガスの発生量を検出するためのガス測定器Dと、を備えている。
なお、回転炉1の軸方向Zを以下「軸方向Z」という。軸方向Zと交差する回転炉1の周方向θを以下「周方向θ」という。回転炉1の径方向Rを以下「径方向R」という。
被処理物Bの供給口Baは、後述する回転炉1において被処理物Bの移送方向上流側に設けられ、被処理物Bが収容されたホッパーなどの供給源(図示しない)から回転炉1の内部空間S1に向けて所定量の被処理物Bを供給する供給機構Cが設けられる。
供給機構Cは、被処理物Bの供給源から回転炉1の内部空間S1に亘って架設される原料供給管C1を有することが好ましい。
供給機構Cの具体例として図1(a)や図3(a)に示される場合には、原料供給管C1となるスクリューフィーダのフィーダ管が、回転炉1の内部空間S1に向けて回転炉1の軸線と略平行に配置され、所定量の被処理物Bを連続して送り込んでいる。原料供給管C1の外周には、不活性ガスなどのキャリアガスなどからなる気体の給気源(図示しない)と連通する給気通路C2が設けられる。原料供給管C1からの被処理物Bの送り込みと同時に、キャリアガスなどの気体を給気通路C2を回転炉1の内部空間S1に向けて流すことにより、被処理物Bの熱処理に伴って発生した可燃性ガスや有害なガスなどの排出ガスが原料供給管C1内へ入り込んで、被処理物Bの供給を妨げないようにしている。
また、その他の例として図示しないが、供給口Baと後述する回転炉1の内面との隙間を可能な限り小さくするためのシュートを設けて、被処理物Bが自由落下せずに滑り落ちる構造に変更することも可能である。供給機構Cとして原料供給管C1を有しない原料投入タイプのものを用いることも可能である。この場合には給気通路C2を設けなくてもよい。
回転炉1は、その少なくとも内面側の一部又は全体を例えばセラミックやカーボンなどの耐熱性非金属や、例えばインコネル(登録商標)などのニッケル基合金、コバルト基合金、クロム基合金などの耐熱性金属を含む材料で円筒状に形成した炉心管である。
回転炉1は、その軸方向Z全体が長尺状の一体管に形成される一体構造とするか、又は管全体若しくは一部を軸方向Zへ複数に分割して着脱自在に連結する分割構造に構成され、その軸線を中心として回転自在に支持される。
回転炉1は、その一部がモータなどの回転駆動部(図示しない)とチェーンなどの伝動部材(図示しない)を介して連係される。この回転駆動部の作動により、回転炉1は、その軸線を中心として連続的又は間欠的に回転移動させるように構成されている。
回転炉1の内部空間S1において軸方向Zの一端側には、被処理物Bの供給口Baと連通する入口部1aが形成され、軸方向Zの他端側には、被処理物Bの排出口Bbと連通する出口部1bが形成される。
回転炉1の具体例として図1(a)や図3(a)に示される場合には、入口部1a側に第一連通管1cが連結固定され、出口部1b側に第二連通管1dが連結固定され、第一連通管1c及び第二連通管1dを含めて回転炉1が一体化されるとともに、第一連通管1cと第二連通管1dをそれぞれ軸受部材1eで回転自在に支持している。
図示例では、回転炉1の入口部1a側に連結固定された第一連通管1cと、回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管1dの末端部を、後述する外壁23から軸方向Zへそれぞれ突出させて非加熱としている。
また、回転炉1は、被処理物Bの酸化防止や、熱処理により被処理物Bから発生した可燃性ガスの爆発防止などを目的として、少なくとも加熱時に内部空間S1を窒素又はアルゴンなどの雰囲気に保つことがある。この場合には、被処理物Bの供給口Ba、回転炉1の入口部1a側、出口部1b側、被処理物Bの排出口Bbなどのいずれかに開閉弁(図示しない)を設けて、外部空間S2から回転炉1内への外気(酸素)の侵入を防ぐことが好ましい。
さらに回転炉1は、その内周に沿って形成される炉面11を有する。炉面11には、供給機構Cで供給口Baから供給した被処理物Bが堆積して接触する。
回転炉1の炉面11は、回転炉1の内周面に沿って周方向θ及び軸方向Zへ凹凸がほとんど無い略平滑な曲面状に形成され、回転炉1の回転停止時には、図1(b),図3(b)に一点鎖線で示されるように、炉面11の底部に沿って被処理物Bがその表面を略水平にして堆積される。回転炉1が回転動作を開始すると、被処理物Bの粉状体や粉粒体などは、炉面11に沿って周方向θの所定領域に亘って揺動し始める。
詳しく説明すると、回転炉1の回転動作に伴う被処理物Bの基本的な動きは、先ず図1〜図4に実線で示されるように、炉面11の底部に堆積した被処理物Bの粉状体や粉粒体などが、炉面11との静止摩擦力で回転炉1の回転方向へ持ち上げられる。これに続いて図1〜図4に二点鎖線で示されるように、被処理物Bの粉状体や粉粒体などがより高い位置まで持ち上げられると、回転炉1の回転方向と逆向きへ崩落移動と滑落移動を起こす。被処理物Bの崩落移動とは、持ち上げられた粉状体や粉粒体などが安息角の安息角の限界に達した時に、炉面11から粉状体や粉粒体などが剥がれ落ちる現象である。被処理物Bの滑落とは、持ち上げられた粉状体や粉粒体などの自重が炉面11との静止摩擦力を越えた時に、炉面11に沿って粉状体や粉粒体などが滑り落ちる現象である。
つまり、回転炉1の回転動作により被処理物Bの粉状体や粉粒体などは、図1〜図4に二点鎖線で示す「持ち上がり移動」と、図1〜図4に実線で示す「崩落移動」及び「滑落移動」が交互に繰り返され、振り子のような動き(揺動)となる。
これに加えて被処理物Bは、この揺動と同時に熱処理される。所定の目標温度まで熱処理された被処理物Bは、排出口Bbに向けて排出される。
特に、被処理物Bの熱処理において被処理物Bの「崩落移動」は、炉面11に堆積した粉状体や粉粒体などが撹拌されて温度差を減少させる効果が見込める。このため、被処理物Bの「崩落移動」を、回転炉1内(内部空間S1)における粉状体や粉粒体などの舞い上がりが少ない範囲で発生して、粉状体や粉粒体などを強制的に撹拌させることが好ましい。
被処理物Bの「崩落移動」により粉状体や粉粒体などの舞い上がりが可能な限り少ない範囲で被処理物Bを強制的に撹拌させるには、炉面11に凹凸状や羽根状の突起などからなる撹拌部(図示しない)を形成することも可能である。
ところで、被処理物Bには、目標温度まで加熱する過程において所定温度領域(ガス発生温度域)に達すると、水蒸気や水素などの可燃性ガスや塩素などの有害なガスを一気に発生(放出)する粉状体や粉粒体などがある。
このような被処理物Bの全体から急峻なガス発生は、回転炉1の内圧が急激な上昇、回転炉1外への排気量の急増、粉状体や粉粒体などの舞い上がりによる粉塵の急増、有害ガスの場合には回転炉1外へ排気してからのガス後処理の負担が増えるなどの問題がある。
この問題を解決するには、被処理物Bの昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化させる必要がある。
そこで、本発明の実施形態に係る熱処理装置Aでは、回転炉1の炉面11に周方向θへ複数に分割して形成される加熱面部12を有し、これら複数の加熱面部12に亘って、供給口Baから供給した被処理物Bがそれぞれ堆積され、複数の加熱面部12と接触する。複数の加熱面部12は、後述する加熱機構2で別々に加熱制御され、複数の加熱面部12に堆積される被処理物Bの堆積部を所定の目標温度まで昇温するように構成される。
被処理物Bの堆積部は、回転炉1の回転動作により複数の加熱面部12に亘って周方向θへ揺動し、前述の如く回転炉1の回転方向への「持ち上がり移動」と反回転方向への「崩落移動」及び「滑落移動」を交互に繰り返す。これにより、被処理物Bの周方向θへ揺動に伴って、複数の加熱面部12にそれぞれ堆積する量が増減を繰り返す。
さらに、後述する制御部6により被処理物Bの堆積部をガス発生温度域まで昇温させる一次昇温過程では、複数の加熱面部12を被処理物Bの堆積部が周方向θへ所定の温度差で昇温されるように温度制御している。
複数の加熱面部12の一例として図1〜図4に示される場合には、回転炉1の周方向θへ二分割され、回転炉1の回転方向上流側が第一加熱面部12aとなり、回転炉1の回転動作に伴い被処理物Bの持ち上がり移動を生じる回転炉1の回転方向下流側が、第二加熱面部12bとなるように形成している。これに伴い、被処理物Bの堆積部としては、第一加熱面部12aに堆積された粉状体や粉粒体などを第一堆積部B1とし、第二加熱面部12bに堆積された粉状体や粉粒体などを第二堆積部B2としている。
図示例では、第一加熱面部12aと第二加熱面部12bが、回転炉1の中心軸を通った縦断面が境界面となるように回転炉1の半周ずつ二分割され、第一加熱面部12a,第二加熱面部12bの各面積(周方向θへの長さ寸法)を同じに設定している。このため、第一堆積部B1と第二堆積部B2の堆積量は、回転炉1の回転動作によって、回転炉1の回転方向上流側に配置される第一堆積部B1の方が、回転炉1の回転方向下流側に配置される第二堆積部B2よりも少なくなる。
また、その他の例として図示しないが、回転炉1の炉面11において被処理物Bと接触する部位のみを周方向θへ二分割して第一加熱面部12a,第二加熱面部12bとすることや、複数の加熱面部12を周方向θへ三分割以上にすることや、複数の加熱面部12の各面積を図示例外の大きさに設定するなどの変更が可能である。
さらに必要に応じて、複数の加熱面部12をそれぞれ軸方向Zへ複数に分割し、複数の加熱面部12の軸方向分割部位を、被処理物Bの堆積部において軸方向Zへ分割された部位がそれぞれ所定の温度差で昇温されるように温度制御することも可能である。
加熱機構2は、複数の加熱面部12を加熱することで、回転炉1の内部空間S1に供給された被処理物Bを所定温度に熱処理するための加熱装置である。
加熱機構2から回転炉1への熱移動方法としては、回転炉1と非接触で加熱機構2が配置され、複数の加熱面部12に対して伝導や放射や対流などにより伝熱させることが好ましい。
詳しく説明すると、加熱機構2は、複数の加熱面部12の外側をそれぞれ覆うように設けられる複数の加熱室21と、複数の加熱室21にそれぞれ設けられる複数の熱源22と、を有することが好ましい。
複数の加熱面部12を有する回転炉1の外側(周囲)は、外壁23で気密状に覆われ、回転炉1と外壁23の間に形成される加熱空間には、複数の加熱室21を区画形成している。複数の加熱室21には、複数の熱源22や温度センサーなどからなる複数の温度検出器24がそれぞれ設けられる。
外壁23は、断熱材などからなり、角筒状や円筒状又はそれに類似した形状に形成される。
複数の熱源22としては、電気ヒーターやガスバーナーなどの電気以外のものが用いられる。回転炉1の内部空間S1において被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などを850〜1000℃程度の焼成温度で熱処理する場合には、加熱室21を1000℃以上に加熱している。
つまり、複数の加熱室21は、複数の熱源22で別々に加熱され、それぞれの室内温度を複数の温度検出器24で検出して後述する制御部6に送信することにより、複数の加熱面部12をそれぞれ所定の温度差で加熱するように構成される。
さらに、複数の加熱面部12の外側には、外壁23で囲まれた加熱空間を複数の加熱室21に分けるための分離壁25を設けることが好ましい。
加熱機構2の一例として図1(a)(b),図2(a)(b)に示される場合には、四角筒状の外壁23で囲まれた加熱空間に複数の加熱室21として、第一加熱面部12aの外側には径方向Rへ対向するように第一加熱室21aが配置され、第二加熱面部12bの外側には径方向Rへ対向するように第二加熱室21bが配置されている。
第一加熱室21aと第二加熱室21bの内部には、複数の熱源22として第一熱源22aと第二熱源22bがそれぞれ配設されている。図示例では、第一加熱室21a及び第二加熱室21bの内側面に、第一熱源22a及び第二熱源22bとして平面状の電気ヒーターを、第一加熱面部12a及び第二加熱面部12bと部分的に対向するように配置している。
さらに、第一加熱室21aと第二加熱室21bの内側上部には、複数の温度検出器24として、第一温度検出器24aと第二温度検出器24bがそれぞれ配設されている。図示例では、第一加熱室21a及び第二加熱室21bの天井面に、第一温度検出器24a及び第二温度検出器24bとして熱電対の温度センサーを配置している。回転炉1の軸方向Zの寸法が比較的に長い場合には、複数の温度検出器24を軸方向Zへ複数組ずつ配置することが好ましい。
また、加熱機構2の他の例として図3(a)(b),図4(a)(b)に示される場合には、外壁23で囲まれた加熱空間を複数の加熱室21に分ける分離壁25が設けられた変形例である。
分離壁25は、断熱材などからなり、複数の加熱室21の境界部位に配設されて、相互の熱気移動を防ぐものである。詳しく説明すると、分離壁25は、外壁23の内側表面又は外壁23の近傍から第一加熱面部12aと第二加熱面部12bの境界部位に向けて配置される。このため、分離壁25の先端部は、回転炉1の回転動作に支障が無い範囲で可能な限り回転炉1の外表面と接近させることが好ましい。
図示例では、外壁23の天井面から第一加熱面部12a及び第二加熱面部12bの頂部境界部位に向け第一分離壁25aを突設している。さらに加えて、外壁23の内底面から第一加熱面部12aと第二加熱面部12bの底部境界部位に向け第二分離壁25bを突設することも可能である。
なお、図示しないが、複数の熱源22として曲面状の電気ヒーターなどを用いることや、複数の加熱面部12の全面と対向するように複数の熱源22を配置することや、回転炉1の外面において複数の加熱面部12となる箇所の外面に複数の熱源22を設けて直接的に加熱する構造など、複数の加熱室21,複数の熱源22,外壁23,複数の温度検出器24を図示例以外の構造に変更することが可能である。
さらに図示例では、第一熱源22a及び第二熱源22bを軸方向Zへ複数に分割して別々に温度制御しているが、第一熱源22a及び第二熱源22bを軸方向Zへ一体化して温度制御することも可能である。
排気機構3は、被処理物Bの熱処理に伴って発生した可燃性ガスや有害なガスなどの排出ガスを回転炉1の内部空間S1から外部空間S2に排気するための換気装置である。排気機構3は、回転炉1内の被処理物Bの表面から離れた位置を通って、回転炉1の入口部1a側及び出口部1b側を連通するように形成される。
排気機構3は、回転炉1の出口部1b側に向けて設けられる気体導入口3aと、回転炉1の入口部1a側に設けられる通気口3bと、外部空間S2に向けて設けられる排気口3cと、を有している。
気体導入口3aは、不活性ガスなどのキャリアガスや熱風などからなる気体の送風機(図示しない)と連通し、被処理物Bの排出方向と逆向き(上流方向)へ気体を送り込むように構成されている。気体導入口3aの送風機は、被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などが舞い上がらない風量及び風圧に設定されている。
これにより、被処理物Bの熱処理に伴って回転炉1の内部空間S1に排出ガスが発生しても、気体導入口3aからの風圧で排出ガスが通気口3b及び排気口3cを通って外部空間S2に排気される。このため、被処理物Bの加熱で発生した排出ガスを被処理物Bと確実に分離して排気可能となり、急峻なガス発生の発生に伴う回転炉1の急激な内圧上昇を防ぐことが可能となる。
さらに、回転炉1の内部空間S1から排気口3cに至る排気通路の途中には、排出ガスの発生量を検出するためのガス測定器Dが設けられ、被処理物Bの熱処理に伴って発生した可燃性ガスや有害なガスなどの増減を検知することが好ましい。ガス測定器Dとしては、風量計などが用いられ、ガスの増減量を後述する制御部6に送信する。
排気機構3の具体例として図1(a)や図3(a)に示される場合には、回転炉1の入口部1a側に連結固定された第一連通管1cに、被処理物Bの供給口Baとなるフィーダ管が遊嵌状に貫通する通気口3bを形成している。回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管1dの延長方向には、気体導入口3aが通気口3bと軸方向Zへ一直線上に固定配置される。排気口3cには、ガス測定器Dが配置されている。
また、その他の例として図示しないが、排気機構3を図示例以外の構造に変更することや、排気通路において排気口3c以外の箇所にガス測定器Dを配置することも可能である。
そして、熱処理装置Aには、傾斜状態の回転炉1に連続供給された被処理物Bを熱処理して連続的に排出する連続式と、傾斜状態の回転炉1に供給された所定量の被処理物Bを水平状態の回転炉1で熱処理した後に回転炉1の傾斜によりすべて排出するバッチ式がある。
図1〜図4では、バッチ式の熱処理装置Aを示している。
バッチ式の熱処理装置Aでは、回転炉1を所定角度に傾斜するように移動させる傾動機構4と、回転炉1を冷却する冷却機構5と、傾動機構4及び冷却機構5を作動制御する制御部6と、を備えている。
傾動機構4は、回転炉1をその回転中心が水平状態から設置床面Gに対し適宜角度まで移動自在に支持する昇降装置であり、油圧シリンダなどのアクチュエータを用いることが好ましい。
傾動機構4の具体例として図1(a)や図3(a)に示される場合には、回転炉1の入口部1a側に連結固定した第一連通管1cの一部が、軸受部材1eと設置床面Gの間に設けた傾斜支点4aを中心として昇降不能に支持され、回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管1dを、軸受部材1eと設置床面Gの間に設けられるアクチュエータ4bで昇降自在に支持している。
冷却機構5は、加熱機構2の外壁23に対し、加熱室21及び回転炉1の外部空間S2を連通させる空冷口5aと排熱口5bが、加熱室21の全体を通り抜けるように開設され、強制的に冷却することが好ましい。
また、その他の例として図示しないが、傾動機構4や冷却機構5を図示例以外の構造に変更することが可能である。
制御部6は、回転炉1の回転駆動部,被処理物Bの供給機構C,加熱機構2の複数の熱源22,排気機構3の送風機,ガス測定器D,傾動機構4,冷却機構5の他にも、給気通路C2からキャリアガスなどの気体を流す給気源などともそれぞれ電気的に接続した制御回路(図示しない)を有するコントローラである。制御部6となるコントローラは、制御回路に予め設定されたプログラムに従って、予め設定されたタイミングで順次それぞれ作動制御している。
制御部6の制御回路に設定されたプログラムを、バッチ式の熱処理方法として説明する。
バッチ式の熱処理方法は、先ず、傾動機構4により回転炉1を一時的に傾斜させて、供給機構Cにより供給口Baから所定量の被処理物Bが回転炉1の内部空間S1に供給される。次に、回転炉1を略水平に戻してから、複数の加熱室21により複数の加熱面部12を加熱して被処理物Bの堆積部を昇温させる。被処理物Bの堆積部がガス発生温度域に順次達し、その後に目標温度に到達した後は、一定の保持時間が経過してから、複数の加熱面部12による被処理物Bの昇温を停止させるとともに、冷却機構5により回転炉1の降温を行う。回転炉1が目的温度まで降温して一連の熱処理が完了した後は、回転炉1を傾斜させ、被処理物Bが炉面11に沿って出口部1bから排出口Bbに排出される。回転炉1内の被処理物Bがすべて排出口Bbに排出された後は、供給口Baから被処理物Bの供給が開始されて、前述した動作が繰り返される。
複数の加熱面部12の温度制御方法は、被処理物Bの堆積部をガス発生温度域まで昇温させる一次昇温過程と、これに続き被処理物Bの堆積部を目的温度まで昇温させる二次昇温過程と、被処理物Bの堆積部を目的温度から降温させる降温過程と、を主要な過程として含んでいる。
一次昇温過程は、被処理物Bの堆積部のすべてをガス発生温度域よりも低温の所定温度(ガス未発生温度)まで同様に昇温させる昇温初期工程と、ガス未発生温度からガス発生温度域まで被処理物Bの堆積部に温度差が付くように昇温させる昇温後期工程と、を含むことが好ましい。
つまり、一次昇温過程の昇温後期工程において被処理物Bの堆積部の全てがガス発生温度域に達し、被処理物Bの堆積部の全てから排出ガスが放出される。
その後の二次昇温過程においては、被処理物Bの堆積部のすべてを略同じとなるように昇温させることが好ましい。
さらに、降温過程においては、被処理物Bの堆積部のすべてを略同じとなるように降温させる。またその他に被処理物Bの堆積部のうち最初に目標温度に到達した一部分と対応する加熱面部12から順番に降温制御することも可能である。
複数の加熱面部12の制御例として、図1(a)(b),図3(a)(b)に示される一次昇温過程の昇温初期工程では、第一熱源22aと第二熱源22bを略同じ温度で発熱している。
このため、第一加熱室21a及び第二加熱室21bの空気が熱せられて上昇し、回転炉1を包むような対流が発生する。回転炉1は一方向に回転するから全体が加熱されて、第一加熱面部12aと第二加熱面部12bがガス未発生温度に向けて略同じ温度で加熱される。
これにより、供給機構Cで回転炉1内(内部空間S1)に供給された被処理物B(第一堆積部B1,第二堆積部B2)は、回転炉1の回転動作に伴い回転方向への持ち上がり移動と反回転方向への崩落移動及び滑落移動を交互に繰り返しながら、ガス未発生温度まで昇温される。回転炉1の回転方向上流側の第一堆積部B1の堆積量は、回転方向への持ち上がり移動によって、回転炉1の回転方向下流側の第二堆積部B2の堆積量よりも少なくなる。
その後、図2(a),図4(a)に示される昇温後期工程では、被処理物Bの持ち上がり移動が生じる下流側の第二熱源22bの発熱を停止させるか、又は下流側の第二熱源22bの昇温速度を低下させて、それよりも上流側の第一熱源22aが高温となるように変更している。なお、図中において加熱温度の差を矢印の太さで表現している。
このため、第一加熱室21aの温度が第二加熱室21bの温度よりもが高くなって、第一加熱室21a内の第一加熱面部12aが第二加熱室21b内の第二加熱面部12bに比べ高温に加熱される。また第一加熱面部12aと第二加熱面部12bの温度差は、回転炉1の形状が熱変形を生じない程度に設定される。
これにより、高温の第一加熱面部12aで昇温した少量の第一堆積部B1が先ずガス発生温度域に達する。しかし、低温の第二加熱面部12bで昇温される多量の第二堆積部B2の温度は、ガス発生温度域に至らない。その後は、低温の第二加熱面部12bで昇温される多量の第二堆積部B2のうち、高温の第一堆積部B1と接する端部位から徐々に昇温してガス発生温度域に順次達する。
さらに昇温後期工程では、排気口3cに設けられるガス測定器Dで検出した排出ガスの排気量に基づき、高温の第一加熱面部12a及び低温の第二加熱面部12bの温度差を調整することが好ましい。
特に昇温後期工程において図4(a)に示される変形例のように、外壁23で囲まれた加熱空間を分離壁25(第一分離壁25a,第二分離壁25b)で複数の加熱室21に分けた場合には、高温の第一加熱室21a内で発生した熱気が、対流により低温の第二加熱室21bに逃げ込まず、低温の第二加熱室21b内の冷気が高温の第一加熱室21a内に入り込むこともない。
これにより、第一加熱室21a内で熱気が循環し続けるから、第一加熱面部12aの温度上昇が早くなって、少量の第一堆積部B1が速やかにガス発生温度域に達する。
その後、図2(b),図4(b)に示される二次昇温過程では、下流側の第二熱源22bの発熱を再開させるか、又は下流側の第二熱源22bの昇温速度を上昇させて、上流側の第一熱源22aと略同じ温度となるように変更し、この略同温の発熱状態を維持して所定時間に亘り温度保持している。
このため、第二加熱室21bの温度が第一加熱室21aと略同じ温度まで上昇して、第一加熱面部12aと第二加熱面部12bが目的温度に向けて略同じ温度で加熱される。
これにより、先にガス発生ピークに到達した少量の第一堆積部B1と、後続してガス発生ピークに到達した多量の第二堆積部B2は、それぞれガス発生温度域を順次通過して目標温度に到達する。
このような本発明の実施形態に係る熱処理装置Aによると、粉状又は粉粒状の被処理物Bを供給口Baから回転炉1内(内部空間S1)に供給することにより、炉面11に沿って周方向θへ分割した複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)に対し、被処理物Bが堆積されて堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)となる。
一次昇温過程(昇温後期工程)では、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)により、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)が周方向θへ所定の温度差を生じるようにガス発生温度域まで昇温される。
このため、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)のうち、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)で昇温した高温側の堆積部(第一堆積部B1)の温度がガス発生温度域に達しても、低温側の加熱面部12(第二加熱面部12b)で昇温した低温側の堆積部(第二堆積部B2)の温度は、ガス発生温度域に至らない。
これにより、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)は、高温側から低温側へ段階的に昇温され、それぞれのガス発生タイミングやガス発生ピークに時間的なズレが生じる。
したがって、被処理物Bの昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化させることができる。
その結果、レトルトの全体が電気ヒーターにより加熱されて被処理物の全体をほぼ同時に等しく昇温させる従来のものに比べ、被処理物Bが加熱時ガス発生タイプの粉状体や粉粒体などであっても、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)が段階的にガス発生温度域を通過して目標温度まで加熱できる。このため、回転炉1の内圧が急激に上昇せず安全性に優れ、回転炉1外への排気量を無理して急増させる必要もないから、熱処理装置Aの基本構成を維持できてコストアップにならない。
これに加えて、急峻なガス発生に伴い粉状体や粉粒体などが撹拌され、回転炉内に舞い上がって粉塵となる従来のものに比べ、被処理物Bの回収率が低下せず、粉塵の排出防止用フィルタなどを設置する必要もないから、熱処理装置Aの基本構成を維持できてコストアップにならない。発生ガスが塩素などの有害なガスであっも、回転炉1から排気後にガス後処理する必要がならず経済性に優れる。
また、回転炉に対して熱源による総加熱量を低下させるものや、熱源を一時的にON・OFFして、被処理物の全体からの急峻なガス発生を抑えるように温度制御するものに比べ、熱源22による総加熱量の低下制御や熱源22の一時的なON・OFF制御する必要がないので、被処理物Bが目標温度に昇温されるまでの時間が大幅に遅れず、被処理物Bの熱処理全体に時間を要しないから、加熱処理量の増大化を図れる。
さらに、このような温度制御構造は、回転炉1の炉径拡大により被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などの熱処理量を増大させても、被処理物Bの昇温に伴う急峻なガス発生を可能な限り抑えて平準化でき、有効である。
特に、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)のうち、回転炉1の回転方向上流側に配置される加熱面部12(第一加熱面部12a)を、回転炉1の回転方向下流側に配置される加熱面部12(第二加熱面部12b)よりも高温に設定することが好ましい。
この場合には、回転炉1の回転動作に伴う被処理物Bの持ち上がり移動によって、回転炉1の回転方向上流側で高温側の加熱面部(第一加熱面部12a)に堆積した高温側の堆積部(第一堆積部B1)の堆積量は、回転炉1の回転方向下流側で且つ低温側の加熱面部(第二加熱面部12b)に堆積した低温側の堆積部(第二堆積部B2)の堆積量よりも少なくなる。
このため、高温側の加熱面部(第一加熱面部12a)で昇温した少量の堆積部(第一堆積部B1)が先ずガス発生温度域に達する。その後は、低温側の加熱面部(第二加熱面部12b)で昇温される多量の堆積部(第二堆積部B2)のうち、高温側の堆積部(第一堆積部B1)と接する端部位から徐々に昇温してガス発生温度域に順次達する。
したがって、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)に周方向θへ所定の温度差を与えながらガス発生温度域まで確実に昇温させることができる。
その結果、ロータリーキルンなどの熱処理装置Aに備えられる回転炉1の回転動作を有効利用して、被処理物Bからのガス発生量を更に平準化させることができる。
さらに、被処理物Bからのガス発生量を検出するガス測定器Dが設けられ、制御部6により複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)を、ガス測定器Dからのガス発生量に基づいて温度制御することが好ましい。
この場合には、一次昇温過程(昇温後期工程)において、回転炉1内(内部空間S1)でガス発生量の変化した時には、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)と低温側の加熱面部(第二加熱面部12b)との温度差を調整することにより、実際のガス発生量がコントロール可能になる。
したがって、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)の熱処理に伴う実際のガス発生量に対応して、その後のガス発生量を調整することができる。
その結果、被処理物Bからのガス発生量を実態に合わせて平準化させることができる。
また、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)の外側に、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)を別々に加熱する複数の加熱室21(第一加熱室21a,第二加熱室21b)が設けられ、制御部6により複数の加熱室21(第一加熱室21a,第二加熱室21b)は、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)を所定の温度差で加熱するように温度制御されることが好ましい。
この場合には、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)の外側には、高温側の加熱室21(第一加熱室21a)が設けられ、低温側の加熱面部12(第二加熱面部12b)の外側には、低温側の加熱室21(第二加熱室21b)が設けられる。
高温側の加熱室21(第一加熱室21a)で加熱された高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)は、回転炉1の回転動作で低温側の加熱室21(第二加熱室21b)に移動することにより、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)から低温側の加熱室21(第二加熱室21b)に熱を放出する。これと同時に、低温側の加熱面部12(第二加熱面部12b)に片寄って堆積する低温側の堆積部(第二堆積部B2)と接触して熱を伝える。 このため、回転炉1の回転動作に伴って、高温側の加熱室21(第一加熱室21a)による高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)の加熱と、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)から低温側の加熱室21(第二加熱室21b)や低温側の堆積部(第二堆積部B2)への放熱が順次繰り返される。この放熱により低温側の堆積部(第二堆積部B2)が徐々に昇温される。
したがって、被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)に所定の温度差を与えながらガス発生温度域や目標温度まで確実に昇温させることができる。
その結果、ロータリーキルンなどの熱処理装置Aに備えられる回転炉1の回転動作を有効利用して、被処理物Bからのガス発生量を更に平準化させることができる。
またさらに、図3(a)(b),図4(a)(b)に示されるように、複数の加熱面部12(第一加熱面部12a,第二加熱面部12b)の外側に、複数の加熱室21(第一加熱室21a,第二加熱室21b)に分ける分離壁25(第一分離壁25a,第二分離壁25b)を設けることが好ましい。
この場合には、高温側の加熱室21(第一加熱室21a)内で発生した熱気が、対流により低温側の加熱室21(第二加熱室21b)に逃げ込まず、低温側の加熱室21(第二加熱室21b)内の冷気が高温側の加熱室21(第一加熱室21a)内に入り込むこともない。 このため、高温側の加熱室21(第一加熱室21a)内で熱気が循環し続け、高温側の加熱面部12(第一加熱面部12a)の温度上昇が早くなって、高温側の堆積部(第一堆積部B1)が速やかにガス発生温度域に達する。
したがって、簡単な構造で被処理物Bの堆積部(第一堆積部B1,第二堆積部B2)に所定の温度差を確実に与えながらガス発生温度域まで確実に昇温させることができる。
その結果、ロータリーキルンなどの熱処理装置Aに備えられる回転炉1の回転動作を有効利用して、被処理物Bからのガス発生量を更に平準化させることができる。
なお、前示の実施形態において図示例では、バッチ式の熱処理装置Aについてのみ説明したが、これに限定されず、連続式の熱処理装置Aに用いることも可能である。
さらに加熱機構2の熱源22として電気ヒーターを用いたが、これに限定されず、ガスバーナーなどの電気以外のものを用いてもよい。
A 熱処理装置 1 回転炉
11 炉面 12(12a,12b) 加熱面部
21(21a,21b) 加熱室 25 分離壁
6 制御部 B 被処理物
Ba 供給口 Bb 排出口
B1,B2 堆積部 D ガス測定器
R 回転炉の径方向 Z 回転炉の軸方向
θ 回転炉の周方向

Claims (5)

  1. 回転炉に供給された粉状又は粉粒状の被処理物を、前記回転炉の回転動作により前記回転炉の炉面に沿って前記回転炉の周方向へ揺動させながら熱処理する熱処理装置であって、
    前記被処理物の供給口及び排出口と連通して回転自在に設けられる外熱式の前記回転炉と、
    前記回転炉の前記炉面に前記周方向へ分割して形成され、前記回転炉内に供給した前記被処理物がそれぞれ堆積する前記複数の加熱面部と、
    前記複数の加熱面部を温度制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記複数の加熱面部に亘って堆積した前記被処理物の堆積部を、前記回転炉の回転動作に伴い前記周方向へ揺動しながら、ガス発生温度域まで昇温させる一次昇温過程において、前記複数の加熱面部を前記被処理物の前記堆積部が前記周方向へ所定の温度差で昇温されるように温度制御することを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記複数の加熱面部のうち、前記回転炉の回転方向上流側に配置される加熱面部が、前記回転炉の回転方向下流側に配置される加熱面部よりも高温に設定されることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
  3. 前記被処理物からのガス発生量を検出するガス測定器が設けられ、前記制御部により前記複数の加熱面部が、前記ガス測定器からのガス発生量に基づいて温度制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理装置。
  4. 前記複数の加熱面部の外側に、前記複数の加熱面部を別々に加熱する複数の加熱室が設けられ、前記制御部により前記複数の加熱室は、前記複数の加熱面部を所定の温度差で加熱するように温度制御されることを特徴とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱処理装置。
  5. 前記複数の加熱面部の外側に、前記複数の加熱室に分ける分離壁が設けられることを特徴とする請求項4記載の熱処理装置。
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