JP3782756B2 - 連続真空浸炭炉の加熱方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は昇温室を有する合金部品用の連続真空浸炭炉の加熱方法に関し、特に連続真空浸炭炉の昇温室の加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の昇温室を有する合金部品用の連続真空浸炭炉の昇温室の加熱方法は、例えば特開2002−115042号公報図7などに開示されている。この図7では、装入室とそれぞれ真空シール扉で仕切られた独立した、昇温室、浸炭室、拡散室、又は浸炭拡散室及び降温室を含む合金部品用の連続真空浸炭炉が開示されている。図7の昇温室は加熱ゾーンである第1、第2及び第3ポジションが設けられ、昇温室では、合金部品である被処理物が昇温室の第1ポジションから第3ポジションに移動する間に、被処理物を浸炭処理に適した高温まで昇温する、と〔0024〕に記載され、図7では第1ポジションと第2ポジションに下方加熱装置とも思われる装置が記載されているので、第1ポジションと第2ポジションは同じ加熱装置で、同様に加熱されているとも思われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の昇温室を有する合金部品用の連続真空浸炭炉の昇温室の加熱方法は、加熱ゾーンである第1ポジションでは被処理物であるワークは常温から加熱されるが、複数のワークは加熱装置に近いものから順次加熱され幅射により次の被処理物が加熱されるのでワークの位置により温度の上昇が異なる。即ち第1ポジションではワークにより温度差があっても加熱することを重点にする。そして第2ポジション、第3ポジションではそれぞれ各ワークを均等に加熱することを目的にしている。
しかしながら、第1ポジションではワークは温度差があっても加熱されており、第2ポジションのワークが第1ポジションと第3ポジションの各加熱されたワークからの幅射熱により加熱され、第3ポジションのワークが第2ポジションの加熱されたワーク及び加熱された内壁からの幅射熱により加熱されるので、第2ポジション、第3ポジションで第1ポジションと同様に加熱すると過剰な加熱となり、約1000°の高温の昇温室内に余分の熱容量を蓄積させ、昇温室を含む各熱処理室及び特に接続部は、かかる高温による大きい熱膨張をするので、これを防止し補修費用を節約することが望まれる。また各加熱装置はコストがかかり、大きい加熱エネルギーを消費するので、その節約も望まれた。
【0004】
本発明の課題は、かかる従来技術の問題を解決し、約1000°の高温の昇温室内に余分の熱容量を蓄積させることがなく、昇温室を含む各熱処理室及び特に接続部の、かかる高温による大きい熱膨張を防止し、熱変形せず、補修費用がかからない長寿命のピットを必要とする連続真空浸炭炉であって、かつ加熱装置を少なくとも1個省略し、加熱装置の加熱エネルギーを節約することができる連続真空浸炭炉の加熱方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、昇温室を有する鉄合金部品の連続真空浸炭炉に於いて、前記昇温室の第1加熱ゾーンの加熱装置はワークの両サイドに配置された一対の第1サイド加熱装置とワークの下方に配置された下方加熱装置により構成され、前記昇温室の第2及び第3以降の加熱ゾーンはワークの両サイドに配置された各一対の第2及び第3以降のサイド加熱装置のみで加熱するようにされ、前記第2加熱ゾーンの加熱装置は、前記第1加熱ゾーンの加熱装置より加熱容量を少なくしされ、かつ各前記第3以降の加熱ゾーンの加熱装置は、第2サイド加熱装置よりも加熱容量を少なくしたことを特徴とする連続真空浸炭炉の加熱方法。を提供することで前述した課題を解決した。
【0006】
【発明の効果】
かかる構成により、前記第2加熱ゾーン以降の加熱装置は、前記第1加熱ゾーンの加熱装置より加熱容量を少なくし、かつ各第3以降の加熱ゾーンの加熱装置は、第2サイド加熱装置よりも加熱容量を少なくしたので、第2加熱ゾーンのワークが第1加熱ゾーンと第3加熱ゾーンの各加熱されたワークからの幅射熱により加熱されること及び第3加熱ゾーンのワークが第2加熱ゾーンの加熱されたワーク及び加熱された内壁からの幅射熱により加熱されることを相殺して、約1000°の高温の昇温室内に余分の熱容量を蓄積させることがなく、昇温室を含む各熱処理室及び特に接続部は、かかる高温による大きい熱膨張を防止し、熱変形せず、補修費用がかからない長寿命のピットを必要とする連続真空浸炭炉であって、かつ加熱装置を少なくとも1個省略し、加熱装置の加熱エネルギーを節約することができる連続真空浸炭炉の加熱方法を提供するものとなった。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に使用される連続真空浸炭炉の立面概念ブロック図を示し、図2は図1のA−A線に沿ったA矢視方向概略断面図、図3は図1のB−B線に沿ったA矢視方向概略断面図を示すが、図1には記載しない外殻部15をも記載している。本発明の実施の形態に使用される連続真空浸炭炉20は、装入室1とそれぞれ真空シール扉12で仕切られた独立した、昇温室2、浸炭室浸炭拡散室3、降温室4及び焼入室5、搬出室6を含む合金部品用の連続真空浸炭炉である。11は被処理物であるワーク、10は昇降コンベア、13は装入扉、14は搬出扉である。
【0008】
本発明の実施の形態図の昇温室2は、ワーク11の両サイドを加熱する各一対の第1乃至第3サイド加熱装置81、82、83(第4以上のサイド加熱装置があってもよい)を有する第1乃至第3加熱ゾーン21、22、23又は加熱ポジション(以下加熱ゾーンという、第4以上の加熱ゾーンとがあってもよい)を有する。第1加熱ゾーン21の加熱装置は一対の第1サイド加熱装置であるサイドリゼネバーナ81、81と、ワーク11の下方に配置された下方加熱装置である下方リゼネバーナ8(ワーク11の上方に配置された上方加熱装置である下方リゼネバーナ8があってもよい)により構成され、第2及び第3以降の加熱ゾーン22、23は各一対の第2及び第3以降のサイドリゼネバーナ82、82、83、83のみで加熱するようにされ、各サイド及び下方リゼネバーナの加熱容量はほぼ同じにされているので、第2加熱ゾーン22の加熱装置は、第1加熱ゾーン22の加熱装置より加熱容量を少なくされている。第3加熱ゾーン23の一対の第3サイドリゼネバーナ83は、各第1及び第2サイドリゼネバーナ81、82より加熱容量を少なくし、より熱膨張を防止し、加熱エネルギーを節約するようにした
【0009】
かかる構成により、第2加熱ゾーン22以降の加熱装置は第1加熱ゾーン21の加熱装置より加熱容量を少なくし、第3加熱ゾーン23の加熱装置は第2加熱ゾーン22の加熱装置より加熱容量を少なくしたので、第2加熱ゾーンのワークが第1加熱ゾーンと第3加熱ゾーンの各加熱されたワークからの幅射熱により加熱されること及び第3加熱ゾーンのワークが第2加熱ゾーンの加熱されたワーク及び加熱された内壁からの幅射熱により加熱されることを相殺して、約1000°の高温の昇温室内に余分の熱容量を蓄積させることがなく、昇温室2を含む各熱処理室3、4、5、6及び特に接続部10、12は、かかる高温による大きい熱膨張を防止し熱変形せず、補修費用がかからない長寿命の図示しないピットを必要とする連続真空浸炭炉であって、かつ加熱装置を少なくとも1個省略し、加熱装置の加熱エネルギーを節約することができる連続真空浸炭炉の加熱方法を提供するものとなった。
【0010】
さらに、図2の連続真空浸炭炉の代わりに、第2及び第3以降の加熱ゾーン22、23の少なくとも1は、第1加熱ゾーン81と同じように、それぞれ一対のサイドリゼネバーナと、下方リゼネバーナを配置し、各第2及び第3以降のリゼネバーナへ送るガス量を減らし、又は順次減らして各第2及び第3以降のリゼネバーナの加熱容量を少なくし、又は順次少なくしてもよい。
また、加熱装置はリゼネバーナの代わりに電熱幅射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に使用される連続真空浸炭炉の立面概念ブロック図を示す。
【図2】図1のA−A線に沿ったA矢視方向概略断面図。
【図3】図1のB−B線に沿ったA矢視方向概略断面図を示すが、図1には記載しない外殻部15を記載している。
【符号の説明】
2・・昇温室
8・・下方リゼネバーナ(下方加熱装置)
11・・ワーク
20・・連続真空浸炭炉
21、22、23・・第1、第2、第3加熱ゾーン又は加熱ポジション
81、82、83・・第1、第2、第3サイドリゼネバーナ(サイド加熱装置)

Claims (2)

  1. 昇温室を有する鉄合金部品の連続真空浸炭炉に於いて、前記昇温室の第1加熱ゾーンの加熱装置はワークの両サイドに配置された一対の第1サイド加熱装置とワークの下方に配置された下方加熱装置により構成され、前記昇温室の第2及び第3以降の加熱ゾーンはワークの両サイドに配置された各一対の第2及び第3以降のサイド加熱装置のみで加熱するようにされ、前記第2加熱ゾーンの加熱装置は、前記第1加熱ゾーンの加熱装置より加熱容量を少なくしされ、かつ各前記第3以降の加熱ゾーンの加熱装置は、第2サイド加熱装置よりも加熱容量を少なくしたことを特徴とする連続真空浸炭炉の加熱方法。
  2. 前記第1加熱ゾーンの加熱装置はワークの下方に配置された下方リゼネバーナ及びワークの両サイドに配置された一対の第1サイドリゼネバーナにより加熱され、前記第2以降の加熱ゾーンの加熱装置は各一対の第2以降のサイドリゼネバーナにより加熱され、かつ前記第2サイドリゼネバーナへ送るガス量を、前記下方ゼネバーナ及びワークの両サイドに配置された一対の第1サイドリゼネバーナへ送るガス量より減らし、さらに前記昇温室の第2以降の加熱ゾーンはワークの両サイドに配置された各一対の第2以降のサイドリゼネバーナのみにより加熱するようにされ、かつ各前記第3以降の加熱ゾーンのサイドリゼネバーナへ送るガス量を、第2サイドリゼネバーナへ送るガス量より減らしたことを特徴とする請求項1記載の連続真空浸炭炉の加熱方法。
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