JPS6215232Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は輻射管付き鋼材加熱炉に関し、とくに
ウオーキングビーム式連続鋼片加熱炉等に適用し
て好結果を得られるものである。

〔従来の技術〕

鋼材製造における代表的な加熱炉としてスラ
ブ、ビレツト等を熱間圧延に先立つて加熱する連
続鋼片加熱炉が公知である。

従来の連続鋼片加熱炉は、炉内でバーナにより
燃料を直接燃焼させ、その輝炎輻射、ガス輻射及
び壁面輻射を主体として被加熱材を加熱してい
た。

しかるにこのような燃焼方式は、バーナより噴
出したガスと燃焼空気を炉内空間で燃焼させるも
のであるため、最近の炉の如く炉長、炉幅とも大
型化した炉の場合には、炉内温度分布の均一化が
図れないという問題がある。

また、被熱材の搬送手段として一般にウオーキ
ングビーム方式が採用されているが、このウオー
キングビーム方式では、被熱材を断熱水冷構造の
固定及び可動スキツドで支持搬送する方式のた
め、このスキツド直上にある被熱材部分は、スキ
ツドパイプのシヤドウ効果により伝熱が阻害され
るため被熱材の他の部分に比べて加熱されにくい
という欠点を有しており、被熱材の均一加熱のた
めには加熱初期の段階でこのスキツドシヤドウ部
を積極的に加熱する、いわゆるピーク温度を有し
た炉温分布を形成することが望ましいが、従来の
直火燃焼方式の加熱炉では、任意点、すなわちス
キツド部にピーク炉温を作ることは一般的に不可
能であつた。

これらの対策として提案されたものに特開昭57
−32321及び、特開昭58−126927が公知である。
特開昭57−32321は、炉床の輻射有効率を高める
ために第７図に示すように炉の下部に両端開放端
を有するセラミツク質輻射管１３を多数配置し、
該輻射管内で燃焼を行なわせ、燃焼ガスを輻射管
１３の開放端より炉内に放出し、加熱するもので
ある。１２は炉側壁１１に設けたサイドバーナで
ある。また、特開昭58−126927は、サイドバーナ
１２の先端に第８図に示す半円筒輻射管１４と燃
焼ガス分散壁（図示省略）を配置することにより
炉内の所要位置へ燃焼ガスの分散供給を図る加熱
方式である。図中１５は支持台を示す。

しかるに、特開昭57−32321は円筒型輻射管１
３による輻射伝熱のみであり、加熱帯ではシヤド
ウ効果によりスキツドパイプ部５の被熱材８温度
が上がり難く在炉時間を延長して炉幅方向の温度
偏差を減少しているのが現状である。

また、特開昭58−126927は、燃焼ガスが下向き
約45度方向に放出され、ウオーキングビームのシ
ールトラフ内を加熱してそこからの熱放散が著し
いことのほか、燃焼ガスが下向きのためスキツド
パイプ部５の被熱材８温度が低く、在炉時間を延
長して炉幅方向の温度偏差を減少しているのが現
状である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、スキツドシヤドウ部の温度改善を通
じ炉幅方向温度偏差の少ない加熱特性が得られ、
かつシールトラフからの熱放散の少ない輻射管付
き鋼材加熱炉の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、上記の如き問題を有利に解決するた
め、円筒型輻射管にその水平最大径断面線より上
部位置に燃焼ガス吐出穴を設け、該燃焼ガス吐出
穴を有する円筒型輻射管を炉側壁下部に設けたサ
イドバーナと同軸に炉内へ配置して構成した加熱
装置を備えたことを特徴とする輻射管付き鋼材加
熱炉として構成したものである。

ここに、上記水平最大径断面線とは、第２図ロ
に示す如く円筒型輻射管の軸芯を通る水平断面線
Ｌのことである。

〔作用〕

本考案は、円筒型輻射管の水平最大径断面線よ
り上部位置に燃焼ガス吐出穴を形成した加熱装置
を構成したので、該穴より燃焼ガスが上向きに排
出され鋼材裏面のスキツドシヤドウ部を積極的に
加熱する。

また、半円筒輻射管の場合は、下向きに燃焼ガ
スが噴出するので、シールトラフからの熱放散が
あつたが、本考案は燃焼ガス流が上向きに噴出す
るためシールトラフ部への燃焼ガス流れがない。

〔実施例〕

第１図〜第４図は本考案実施例を示し、第１図
は、炉天井部を図示省略したウオーキングビーム
式連続鋼片加熱炉の幅方向断面を示し、本考案の
構成を示す説明図。第２図は同じく円筒型輻射管
に燃焼ガス吐出穴を形成する位置を示す説明図。

図において１は連続鋼片加熱炉の炉壁、２は炉
側壁下部に設けたサイドバーナ、３は支持台４に
支持されサイドバーナ２と同軸に炉内に配置され
た円筒型輻射管で、サイドバーナ２と円筒型輻射
管３とで加熱装置が構成されている。

しかして、本考案で用いる該円筒型輻射管３
は、図示するようにその水平最大径断面線Ｌより
上部位置に燃焼ガス吐出穴６を設けてある。

このような円筒型輻射管３を複数本連結してサ
イドバーナ２と同軸に炉内に配置し加熱装置を構
成するものであるが、円筒型輻射管３は両端が開
放端として形成する場合（第３図）と、及びバー
ナ側を盲（図示省略）として燃焼ガス吐出穴６か
ら、より積極的に燃焼ガスを噴出させスキツドシ
ヤドウ部を強く加熱することもできる。

前記燃焼ガス吐出穴６の向きは水平最大径断面
線Ｌより90度の範囲で円筒型輻射管３の炉内位置
に応じて任意に選定して開口することができる。
例えばスキツドパイプ５下部位置に対応する円筒
型輻射管３のみに燃焼ガス吐出穴６を開口するこ
とも有効である。

このように本考案において、燃焼ガス吐出穴６
の開口位置を水平最大径断面線より上部位置とし
たのは、スキツドシヤドウ部の低温域に燃焼ガス
を積極的に指向させ、該部を効率よく加熱し炉内
幅方向温度分布を均一化するため、及び燃焼ガス
を上向きに噴出できるのでシールトラフからの熱
放散を効果的に防止できるからである。

吐出穴６の数は、図示の場合円筒型輻射管１本
当り４としてある。吐出穴６の径は、低温加熱操
業のため燃焼負荷を紋つても燃焼ガス吐出流速が
10m／ｓ以上確保できる径であれば良い。例え
ば、500φ×800Lの円筒型輻射管の場合水平最大
径断面線より上向き30度で200φで良い。第３図
は、本考案になる第１図の加熱炉の操業中の状態
を示す説明図で、図中７は円筒型輻射管３の水平
最大径断面線より上向き60度の位置に形成した燃
焼ガス吐出穴６より吐出する燃焼ガスを示す。第
４図は、第３図の円筒型輻射管３の円周方向断面
図で吐出穴６より対称的に燃焼ガス７が吐出して
いる状態を示す。

次に操業例を挙げる。

第１図と同構造の炉内幅9mのダブルウオーキ
ングビーム連続鋼片加熱炉に水平最大径断面線よ
り上向き30度で穴径200φ、穴数４の燃焼ガス吐
出穴を設けた500φ×800Lの円筒型輻射管を片側
４本ずつ設け、抽出温度1000℃設定で鋼片８を加
熱した。得られた炉幅方向温度分布を第５図に示
す。併せて燃焼ガス吐出穴のない従来例の炉幅方
向温度分布も示す。

すなわち、第５図イは予熱帯の、ロは加熱帯
の、ハは均熱帯の炉幅方向温度分布を示し、本考
案の加熱炉によるときは、何れの帯域においても
従来に比し炉幅方向温度分布の改善効果が大きい
ことを示している。

又、シールトラフ部温度測定例を第６図に示す
が、半円筒輻射管方式に比し本考案加熱炉は、シ
ールトラフ部温度が低く熱方散の少ない炉となつ
ている。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したように、本考案は、炉内温
度分布均一性の高い輻射管付き加熱炉において、
該輻射管の水平最大径断面線より上部位置に燃焼
ガス吐出穴を設けて加熱装置を構成したので、鋼
材加熱の昇温を遅らせているスキツドシヤドウ部
に燃焼ガスを積極的に噴出させて加熱することが
でき、炉内幅方向温度分布が均一となり在炉時間
を延長することなく均一に焼上げが可能である。

また、シールトラフ部温度も低くなしうるの
で、熱放散が減少でき燃料原単位を低減できると
いう産業上優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の輻射管付き鋼材加熱炉の構
成を示す説明図である。（炉天井部分図示省略）
第２図は、円筒型輻射管に燃焼ガス吐出穴を形成
する位置を示す説明図で、イは炉幅方向側面図、
ロは直径方向断面図。第３図は、本考案加熱炉の
操業中の状態を示す説明図。第４図は、第３図の
円筒型輻射管の円周方向断面図で吐出穴より燃焼
ガスが吐出している状態を示す。第５図、第６図
は本考案加熱炉と従来型加熱炉の炉温分布を比較
したグラフで、第５図イは予熱帯、ロは加熱帯、
ハは均熱帯の炉幅方向温度分布を示す。第６図
は、シールトラフ部の温度を比較したグラフ。第
７図は、従来の円筒型輻射管方式加熱炉の構成を
示す炉幅方向断面説明図。第８図は、半円筒輻射
管の断面を示す説明図。 １……ウオーキングビーム式連続鋼片加熱炉の
炉側壁、２……サイドバーナ、３…円筒型輻射
管、４……支持台、５……スキツドパイプ、６…
…燃焼ガス吐出口、７……燃焼ガス、８……鋼
片、１１……ウオーキングビーム式連続鋼片加熱
炉の炉側壁、１２……サイドバーナ、１３……円
筒型輻射管、１４……半円筒輻射管、１５……支
持台。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒型輻射管にその水平最大径断面線より上部
   位置に燃焼ガス吐出穴を設け、該燃焼ガス吐出穴
   を有する円筒型輻射管を炉側壁下部に設けたサイ
   ドバーナと同軸に炉内へ配置して構成した加熱装
   置を備えたことを特徴とする輻射管付き鋼材加熱
   炉。