JP2860998B2 - ローラハース式真空炉 - Google Patents

ローラハース式真空炉

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節也 森野
秀和 山崎
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は真空状態において被処理物の加熱をおこな
うローラハース式真空炉に関する。
〔従来の技術〕
一般にローラハース式真空炉においては、炉温が1200
℃を越える高温処理の場合が多いため、被処理物搬送用
のローラとしては、耐熱金属製のローラでは強度や耐久
性が得られず、金属筒状のローラ内に冷却水を流通させ
る水冷ローラが用いられている。
ところがこの水冷ローラは、炉内の熱を奪うため水冷
損失が大きく、加熱装置の電力費等のランニングコスト
がかさみ、また冷却水の給排水のため各ローラの端部を
シール装置を経て炉外へ突出させてロータリージヨイン
トを取付ける必要があるので、設備が複雑で多数のシー
ル箇所の検査費用もかさむという問題点があつた。さら
に低温の水冷ロールからの影響を受けて被処理物に加熱
むらを生じないように、またローラの熱間強度の低下に
よる変形を防ぐために、被処理物を下側から持上げて水
冷ローラの上方に保持するリフタを設ける必要がある
が、このリフタは炉体下方に昇降駆動用のシリンダが突
出するため、炉全高が大きくなり上下方向に大きな設置
スペースを必要とし、設備費もかさむうえ、リフタによ
る昇降の際のシヨツクにより被処理物の倒れを発生しや
すい等の種々の問題があつた。
〔発明が解決しようとする課題〕
この発明は上記従来の問題点を解決するもので、水冷
損失が少なく運転費が低減化されるとともに、リフタを
必要とせず設置スペースが小さくてすみ、設備費も安価
ですむローラハース式真空炉を提供しようとするもので
ある。
〔課題を解決するための手段〕
しかしてこの発明のローラハース式真空炉は、被処理
物装入用の入口および被処理物取出用の出口を両端部に
そなえた炉体内に、断熱壁で囲繞され加熱装置を内部に
有する加熱室を設け、前記入口から出口にかけて被処理
物を搬送する搬送用ローラを並設したローラハース式真
空炉において、前記加熱室を貫通する前記搬送用ローラ
の少なくとも前記加熱室内部分を、黒鉛により構成し、
この搬送用ローラの前記断熱壁から突出した軸部を軸受
により支持するとともに、前記断熱壁と前記軸受との間
において前記軸部を内面円筒状の水冷ジヤケツトにすき
まをもつて嵌合させ、この水冷ジヤケツトを前記炉体に
固定して冷却用水を給排水するようにしたことを特徴と
する。
〔作用〕
この発明のローラハース式真空炉においては、搬送用
ローラの最も高温となる加熱室内部分が耐熱性および高
温強度を有する黒鉛で構成されており、内部を水冷する
必要がなく、また搬送用ローラは加熱室内で被処理物と
同程度の高温度となるため、水冷ローラのように被処理
物に加熱むらを生じることが少なく、リフタによる被処
理物の持上げをおこなうことなく搬送用ローラ上に被処
理物を載置したままで被処理物の加熱をおこなうことが
できる。
また搬送用ローラの断熱壁から突出した軸部からの放
射熱が、この軸部にすきまをへだてて対向している水冷
ジヤケツトの内周面を介して冷却水により奪熱され、軸
部を経て軸受に達する熱量が減少するので、軸受の熱負
荷が低減化される。
〔実施例〕
以下第1図および第2図によりこの発明の一実施例を
説明する。
図中、1はローラハース式真空炉の一例である焼結炉
で、2は炉体であり、3は被処理物装入用の入口、4は
同じく取出用の出口である。5は入口3の扉、6は出口
4の扉で、それぞれ昇降装置7および8により昇降駆動
されるようになつている。また炉体2は仕切壁9,10によ
り大きく三つに区画され、その内部には、真空待機室1
1、脱ワツクス室である加熱室12a、焼結室である加熱室
12b、時効処理室である加熱室12c、および冷却室13が形
成されている。各加熱室12a〜12c(以下加熱室12と総称
し、他の部分も同様に総称する。)は、四周を黒鉛製の
断熱壁14により囲繞され、その入口15および出口16は、
それぞれ扉17a〜17cおよび18a〜18cにより開閉されるよ
うになつている。20は扉17および18の開閉装置で、炉体
2に固設した図示しないガイドにより昇降自在に案内さ
れた枠21を、エアシリンダ22のピストンロツド23に連結
するとともに、枠21に平行リンク24を介して扉17および
18を連結して成る。下端部が図示しないストツパに当接
した扉17および18は、枠21がさらに下降することにより
入口15および出口16を密閉し、また枠21の引上により扉
17および18は入口15および出口16から離間後上方へ引上
げられるようになつている。25は加熱室12内に設けた電
熱ヒータから成る加熱装置である。また26は冷却用の熱
交換器、27は循環フアンである。一方31は真空待機室11
および冷却室13内に設けた搬送用ローラで、耐熱金属製
のローラを公知の駆動機構により回転駆動するものであ
る。また32は加熱帯である各加熱室12内および各加熱室
間に設置された搬送用ローラで、その詳細を第2図に示
す。搬送用ローラ32は、全体が黒鉛から成り、断熱壁14
から突出した軸部33a,33bの各端部を、気密ケーシング3
4内に配設した軸受35により回転自在に支持してある。
なお36は、被処理物28のトレー底面の凹溝に嵌合するガ
イド用のつば部である。37は軸部33aに取付けたスプロ
ケツトで、複数本(たとえは5本)の搬送用ローラ32を
連動するためのものである。また38は前記複数本の搬送
用ローラ32につき1本ずつ設けた駆動軸で、シール装置
39を介して気密ケーシング40外へその一部が突出し、公
知の駆動機構により回転駆動され、前記複数本の搬送用
ローラ32をチエーン駆動するものである。41は二重円筒
形の水冷ジヤケツトで、その内周面は搬送用ローラ32の
軸部33にすきま42をもつて嵌合している。この水冷ジヤ
ケツト41はカーボン繊維積層体から成る断熱材43を介し
て炉体2に固定され、図示しない冷却水供給源および排
水管路に接続されている。
上記構成の焼結炉1において真空焼結処理をおこなう
には、加熱室12b,12cおよび冷却室13を真空状態とし、
真空待機室11および加熱室12aを大気圧状態とし、入口
3から被処理物28を真空待機室11内に装入する。真空待
機室11および加熱室12aを真空状態に排気後、被処理物2
8を入口15から加熱室12a内へ移送し、扉17aを閉じて加
熱装置25により被処理物28を約600℃に加熱し脱ワツク
スをおこなう。この加熱は被処理物28を搬送用ローラ32
上に載置したまゝおこなう。(後述の他の加熱室におけ
る加熱も同様にしておこなう。)次に扉18aおよび17bを
開いて被処理物28を搬送用ローラ32により加熱室12b内
に移送し、扉17bを閉じて被処理物28を約1400℃に加熱
して焼結をおこなう。このとき加熱室12aにおいては後
続の被処理物28の装入および脱ワツクスをおこなつてい
る。焼結後の被処理物28は、扉18bおよび17cを開いて加
熱室12c内に移送し、扉17cを閉じて約600℃の温度に所
定時間保持して時効処理をおこない、次いで扉18cを開
いて被処理物28を冷却室13の搬送用ローラ31上に移送
し、冷却後扉6を開いて炉外へ取出す。
上記工程中において、搬送用ローラ32は被処理物28と
同程度の温度に加熱されるが、黒鉛製でありかつ真空雰
囲気中にあるため変形や損耗を生じることなく被処理物
28の支持および搬送をおこなうことができる。また加熱
室12において昇温した搬送用ローラ32の加熱室12内部分
から軸部33に伝熱された熱量は、軸部33に内面が対向す
る水冷ジヤケツト41により奪熱され、軸受35に至る熱量
が低減化される。また従来の水冷ローラの場合に必要と
した被処理物持上保持用のリフタ45(第1図参照。但し
同図にはリフタを1基のみ図示してあるが、各加熱用に
3基必要である。)は不要なので、炉の設置スペースは
小さくてすみ、また該リフタにより被処理物にシヨツク
が与えられることもなくなる。さらにシール装置39の設
置箇所は少なくてすみ、リーク箇所が減り、検査費用も
少なくてすむ。
次に第3図はこの発明の他の実施例を示し、加熱室12
の巾寸法よりやゝ長尺の黒鉛製のスリーブ状のローラ本
体50の両端に、断熱材製のブツシユ51を介して、金属製
の軸52a,52bを嵌着して搬送用ローラ53を構成し、ロー
ラ本体50への嵌着部の曲げモーメント軽減化のため軸52
を2個の軸受35で支持した点のみが前記実施例と異な
り、その他の構成は前記実施例と同様であるので、第2
図と同一部分に同一符号を付して図示してある。
この実施例においては、金属製の軸52はその外周に対
向する水冷ジヤケツト41により奪熱されて過度の昇温が
防止され、また軸受35への伝熱量も低減化される。
この発明は上記各実施例に限定されるものではなく、
たとえば上記実施例のように、隣り合う各加熱室12間に
ある搬送用ローラは、加熱室12を貫通する搬送用ローラ
32と同一構成とするのが好ましいが、他の構成のローラ
を用いることもできる。さらにこれとは逆に加熱帯の外
にある搬送用ローラ31を、搬送用ローラ32と同一構成の
ものとしてもよい。
またこの発明は焼結炉のほかの各種用途および構造の
ローラハース式真空炉にも適用できるものである。
〔発明の効果〕
以上説明したようにこの発明によれば、搬送用ローラ
の加熱室内部分は水冷を必要としないので、水冷損失が
少なく運転費の低減化を達成できるとともに、水冷ロー
ラの場合に比べて、各ローラの端部をシール装置を経て
炉外へ突出させてロータリージヨイントを取付ける必要
はないので、設備が簡潔でシール装置の設置箇所は少な
くてすみ、リーク箇所が減り、検査費用も少なくてす
む。またリフタが不要であるので、従来のリフタにより
被処理物にかかる上下方向のシヨツクはなくなり、炉設
置のための上下方向のスペースは小さくて済み、設備費
も低減化できる。また搬送用ローラの断熱壁から突出し
た軸部からの放射熱が、この軸部にすきまをへだてて対
向している水冷ジヤケツトの内周面を介して冷却水によ
り奪熱され、軸部を経て軸受に達する熱量が減少するの
で、軸受の熱負荷が低減化される。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例を示す焼結炉の縦断面図、
第2図は第1図のA−A線断面図、第3図はこの発明の
他の実施例を示す第2図相当図である。 1……焼結炉、2……炉体、3……入口、4……出口、
12a〜12c……加熱室、14……断熱壁、25……加熱装置、
31……搬送用ローラ、32……搬送用ローラ、33a,33b…
…軸部、35……軸受、41……水冷ジヤケツト、42……す
きま、43……断熱材、50……ローラ本体、52a,52b……
軸、53……搬送用ローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−62859(JP,A) 実開 昭62−167089(JP,U) 実公 昭58−55240(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F27B 9/00 - 9/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理物装入用の入口および被処理物取出
    用の出口を両端部にそなえた炉体内に、断熱壁で囲繞さ
    れ加熱装置を内部に有する加熱室を設け、前記入口から
    出口にかけて被処理物を搬送する搬送用ローラを並設し
    たローラハース式真空炉において、前記加熱室を貫通す
    る前記搬送用ローラの少なくとも前記加熱室内部分を、
    黒鉛により構成し、この搬送用ローラの前記断熱壁から
    突出した軸部を軸受により支持するとともに、前記断熱
    壁と前記軸受との間において、前記軸部を内面円筒状の
    水冷ジヤケツトにすきまをもつて嵌合させ、この水冷ジ
    ヤケツトを前記炉体に固定して冷却用水を給排水するよ
    うにしたことを特徴とするローラハース式真空炉。
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