JPH0541999U - 自動車用内装部品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 側突用パッドを接着剤を使用することなく、
芯材に簡単に取付けることができ、しかも側突用パッド
の衝撃吸収特性を簡単に調整することを可能にした自動
車用内装部品を提供することを目的とする。 【構成】 硬質ウレタン芯材１２のモールド成形時、側
突用パッド２０を硬質ウレタン芯材１２に一体化させる
とともに、側突用パッド２０に矩形状もしくは鋸刃状の
凹凸２１、２２、２３、２４を設定し、側突用パッド２
０の凹部２１、２３内に硬質ウレタン芯材１２を入込ま
せることにより、側突用パッド２０の衝撃吸収特性を調
整する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、側方からの衝撃に対して乗員を保護する側突用パッドを設置した 自動車用内装部品に係り、特に接着剤を使用することなく側突用パッドを内装部 品側に取付けることができ、しかも、側突用パッドの衝撃吸収特性を簡単に調整 できるようにした自動車用内装部品に関する。

【０００２】

【従来の技術】

通常、図７に示すように、ドアインナーパネル１の室内側には内装材としての 自動車用ドアトリム２が装着されている。

【０００３】 この自動車用ドアトリム２は、所要の曲面形状に成形された芯材３と、この芯 材３の表面側に一体貼着され、製品にソフト感を付与する表皮材４とから構成さ れており、さらに、側方からの衝撃に対して乗員を保護する目的で、芯材３の裏 面所定箇所に衝撃吸収性能に優れたパッド（以下、側突用パッドという）５が設 定されている。

【０００４】 上記芯材３としては、ポリプロピレン複合樹脂板をコールド成形したもの、ハ ードボード等を熱圧成形したもの、あるいは、モールド成形された硬質ウレタン 芯材等種々のものが使用されているが、これら芯材３に対して側突用パッド５の 固着は、接着剤を使用した圧着固定が大部分である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このように、従来では側突用パッド５を接着剤を介して、ドアトリム２の裏面 側に圧着固定して取付けているため、接着剤の塗布工程、乾燥工程、側突用パッ ド５の圧着工程など多くの工程を必要とし、作業性が非常に悪いものであるとと もに、接着剤の溶媒として有機溶剤を使用する関係で、作業環境も好ましいもの ではなかった。

【０００６】 さらに、側突用パッド５の衝撃吸収特性は、弾性度、厚み、設定面積により決 定されるが、ドアトリム２とドアインナーパネル１との間のクリアランスや取付 箇所に制限があるため、従来側突用パッド５の衝撃吸収特性は側突用パッド５の 弾性度を変えること、すなわち発泡倍率を調整することにより行なわれており、 非常に面倒なものであった。

【０００７】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、本考案の目的とすると ころは、内装部品の裏面に側突用パッドを接着剤を使用することなく簡単に取付 けることができるとともに、側突用パッドの衝撃吸収特性を簡単に調整すること を可能にした自動車用内装部品を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、所望の曲面形状にモールド成形された 硬質ウレタン芯材の表面を、パッド材，表皮材により被覆して構成され、上記硬 質ウレタン芯材の裏面所定箇所に側突用パッドを固着してなる自動車用内装部品 において、 前記硬質ウレタン芯材のモールド成形時、上記側突用パッドが硬質ウレタン芯 材に一体化されるとともに、側突用パッドの硬質ウレタン芯材に対する面に凹凸 が設けられ、この凹部内に硬質ウレタン芯材が入込むことにより、側突用パッド の衝撃吸収特性を可変させたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

以上の構成から明らかなように、側突用パッドは硬質ウレタン芯材のモールド 成形時に芯材に一体化されるため、接着剤が廃止でき、かつ接着剤使用に付随す る工程（接着剤塗布工程、接着剤乾燥工程等）が廃止できる。

【００１０】 さらに、側突用パッドの凹部内に硬質ウレタン芯材が入り込むため、両者の接 合面積が拡大され、強固な接合が期待できる。

【００１１】 また、側突用パッドの凹部内に硬質ウレタン芯材が入込み、凹部の容積や凹部 深さを調整することにより、側突用パッドに所望の衝撃吸収特性を付与すること ができる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案による自動車用内装部品の実施例について、添付図面を参照しな がら詳細に説明する。

【００１３】 図１は本考案を適用した自動車用ドアトリムを示す断面図、図２は同自動車用 ドアトリムの変形例を示す断面図、図３乃至図６は図１に示す自動車用ドアトリ ムの製造工程を示す各断面図である。

【００１４】 まず、図１において、本考案による自動車用ドアトリム１０は、ガラスマット １１を内層し、所要形状にモールド成形された硬質ウレタン芯材１２と、この硬 質ウレタン芯材１２の表面側に積層され、所望のクッション性を付与するポレウ レタンフォーム等のパッド材１３と、それらの外表面を被覆する表皮材１４とか ら大略構成されている。

【００１５】 また、硬質ウレタン芯材１２の裏面所定箇所に側方からの衝撃に対して乗員を 保護する側突用パッド２０が設置されている。

【００１６】 さらに詳しくは、パッド材１３の一面にはウレタンフィルム１３ａがラミネー トされており、硬質ウレタン芯材１２のモールド成形時、硬質ウレタン樹脂液が パッド材１３内部に浸込むのを防止している。また、表皮材１４としては、表面 外観、感触の良好なスラッシュスキン層１４ａと、スラッシュ発泡層１４ｂとを 積層させたスラッシュ成形表皮材が使用されている。

【００１７】 上記、側突用パッド２０は、硬質ウレタン芯材１２のモールド成形時、硬質ウ レタン芯材１２と一体化され、硬質ウレタン芯材１２側には、図示するように、 矩形状の凹凸２１、２２（凹部２１、凸部２２とする）が設定されている。

【００１８】 このように本考案によれば、側突用パッド２０は硬質ウレタン芯材１２のモー ルド成形時、硬質ウレタン芯材１２と一体化されているため、従来の接着固定の ものに比べ、接着剤が廃止できるとともに、接着剤使用に伴う各種工程（接着剤 塗布工程、接着剤乾燥工程等）が廃止でき、作業性が著しく向上するとともに、 有機溶剤を使用しないため、作業環境も改善される。

【００１９】 また、側突用パッド２０に形成されている矩形状の凹凸部２１、２２により側 突用パッド２０と硬質ウレタン芯材１２との接合面積が大幅に拡大され、強固な 接合強度が得られる。

【００２０】 そして、このことが一番重要な点であるが、側突用パッド２０に形成されてい る矩形状の凹凸部２１、２２によりこの凹部２１内に硬質ウレタン芯材１２が入 込むため、この凹部２１の容積及び凹部２１の深さ寸法を適切に設定することに より、側突用パッド２０の衝撃吸収特性を任意に調整でき、従来の発泡倍率を調 整する形式のものに比べ、簡単に側突用パッド２０の衝撃吸収特性を可変させる ことができる。

【００２１】 尚、側突用パッド２０に形成される凹凸部２１、２２の形状は矩形状に限定さ れることがなく、図２に示すように、鋸刃状の凹凸部２３、２４を形成してもよ く、図２に示す実施例のほうが加工が容易である。

【００２２】 次いで、図３乃至図６は、図１に示すドアトリム１０の製造工程を工程順に示 すもので、まず、図３に示すように、発泡成形用下型３０の型面上にパッド材１ ３及びガラスマット１１をこの順序でセットするとともに、発泡成形用上型３１ に側突用パッド２０をその凹凸部２１、２２を下側に向けてセットする。

【００２３】 次に、図４に示すように、発泡成形機のノズル３２を通して硬質ウレタン樹脂 液３３を発泡成形用下型３０の型面上に注入する。

【００２４】 その後、図５に示すように、発泡成形用下型３０に対して発泡成形用上型３１ を閉鎖して、発泡成形用上下型３０、３１のキャビティ内で硬質ウレタン樹脂液 ３３を所要形状にモールド成形し、ガラスマット１１を内装した硬質ウレタン芯 材１２を成形するとともに、この硬質ウレタン芯材１２の表面側にパッド材１３ を一体化し、かつ、硬質ウレタン芯材１２の裏面所定箇所に側突用パッド２０を 一体化させる。

【００２５】 そして、最後に、発泡成形用上下型３０、３１から脱型した半製品（硬質ウレ タン芯材１２にパッド材１３を一体化したもの）に対して表皮材１４を圧着一体 化して図１に示す自動車用ドアトリム１０の製作を完了する。

【００２６】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案による自動車用内装部品によれば、以下に記載する 格別の作用効果を有する。

【００２７】 （１）本考案によれば、側突用パッドは硬質ウレタン芯材のモールド成形時、硬 質ウレタン芯材に一体化されるという構成であるため、従来の側突用パッドの接 着固定に比べ、接着剤が廃止でき、しかも接着剤使用に伴う各種工程（接着剤塗 布工程、接着剤乾燥工程、側突用パッドの圧着工程）を廃止でき、側突用パッド の取付における作業性を著しく向上させるという効果を有する。

【００２８】 （２）本考案によれば、接着剤を使用することなく、側突用パッドを硬質ウレタ ン芯材に一体化するというものであり、接着剤を廃止することにより、有機溶剤 を使用しないため作業環境が良好になるという効果を有する。

【００２９】 （３）本考案によれば、側突用パッドに凹凸部を設け、硬質ウレタン芯材に対す る接合面積を拡大することより、強固な側突用パッドの固定が図れるとともに、 側突用パッドに設けられる凹部の容積や寸法を調整することにより、側突用パッ ドの衝撃吸収特性を簡単に可変させることができ、従来のようにパッドの発泡倍 率を調整する手法に比べ、パッド材の衝撃吸収特性を簡単に調整できるという効 果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用した自動車用ドアトリムの構成を
示す断面図。

【図２】本考案に使用する側突用パッドの変形例を示す
断面図。

【図３】図１に示す自動車用ドアトリムの製造工程中、
素材のセット工程を示す断面図。

【図４】図１に示す自動車用ドアトリムの製造工程中、
硬質ウレタン樹脂液の注入工程を示す断面図。

【図５】図１に示す自動車用ドアトリムの製造工程中、
発泡成形工程を示す断面図。

【図６】図１に示す自動車用ドアトリムの製造工程中、
表皮材の圧着工程を示す断面図。

【図７】従来の自動車用ドアトリムの構成を示す断面
図。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム １１ ガラスマット １２ 硬質ウレタン芯材 １３ パッド材 １４ 表皮材 １４ａ スラッシュスキン層 １４ｂ スラッシュ発泡層 ２０ 側突用パッド ２１，２３ 凹部 ２２，２４ 凸部 ３０ 発泡成形用下型 ３１ 発泡成形用上型 ３３ 硬質ウレタン樹脂液

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所望の曲面形状にモールド成形された硬
   質ウレタン芯材（１２）の表面を、パッド材（１３），
   表皮材（１４）により被覆して構成され、上記硬質ウレ
   タン芯材（１２）の裏面所定箇所に側突用パッド（２
   ０）を固着してなる自動車用内装部品において、 前記硬質ウレタン芯材（１２）のモールド成形時、上記
   側突用パッド（２０）が硬質ウレタン芯材（１２）に一
   体化されるとともに、側突用パッド（２０）の硬質ウレ
   タン芯材（１２）に対する面に凹凸（２１，２２，２
   ３，２４）が設けられ、この凹部（２１，２３）内に硬
   質ウレタン芯材（１２）が入込むことにより、側突用パ
   ッド（２０）の衝撃吸収特性を可変させたことを特徴と
   する自動車用内装部品。