JP3874910B2 - 車両用内装材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に設備される内装材の一部に衝撃吸収材を設けてなる車両用内装材であって、特にその衝撃吸収性を高めると共に、車両用内装材のリサイクル性をも高めることができる構成となした車両用内装材の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車の車室内に設備される内装材例えばインストルメントパネル、インストルメントロアパネル、ドアパネル、リヤピラー、センターピラー、フロントピラー等の車両用内装材にあっては、例えば自動車の衝撃発生時等において、その衝撃力から乗員を保護するために、上記車両用内装材の最も乗員衝撃を受け易い部分的位置に、弾性パッド部材を設けている構造のものが知られている。このような弾性パッド部材を部分的に設けられている自動車用内装材の代表的なものとして、例えば図1で示すように、インストルメントパネル1の助手席対応位置にクラッシュパッド部材2を取付けているものがある。
【0003】
そして、かかるクラッシュパッド部材2を作成する従来例の概要は、例えば図9及び図10で示すように、表皮層3と発泡層4とが二重に層成されているラミネートシート5を、キャビティ型6とコア型7との間に位置せしめ、次いで上記キャビティ型6とコア型7とを型閉めしながら、上記コア型7とラミネートシート5間に、芯材を形成すべき樹脂8を射出し、次いで上記コア型7とキャビティ型6による型閉めによりラミネートシート5と樹脂8とをプレスすることにより図10で示すが如きクラッシュパッド部材2を成形する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かくして、形成されたクラッシュパッド部材2は、離型後、その外周のトリミング処理を別工程で行なっているために、クラッシュパッド部材2の完成までに多くの手間がかかり、生産性、経済性の点で問題があった。また上記のクラッシュパッド部材2をインストルメントパネル1に組み付けるには、金属製の取付ねじを用いて、そのクラッシュパッド部材2をねじ付けしているために、その取付作業性が悪く、その上、クラッシュパッド部材2及びインストルメントパネル1とは異材質の取付ねじを用いていることから、リサイクル性が悪いという問題点があった。
【0005】
さらに上記構成のクラッシュパッド部材2における発泡層4の厚さは、表皮層3に対してラミネートされた比較的肉薄であるために、表皮表面側からの接触性が悪く、その上押した時の底突きが生じるつまり弾力性(ソフト感)に欠け、クラッシュパッドとして満足できる衝撃吸収が果たせないという問題点もあった。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に着目してなされたもので、クラッシュパッド等の弾性パッド部材を発泡体の表面に発泡シート及び表皮シートを接着する構成となして十分な衝撃吸収性を保有することができる弾性パット部材の提供を第1の目的とする。
【0007】
また、本発明では弾性パッド部材の取付け(組付け)に加熱加締め手段を採用して、異質の取付部材を一切使用しないで、リサイクル性を高めることを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、本発明の請求項1では、樹脂製パネル部材(1)に、発泡樹脂性ビーズ製の発泡体(12)と該発泡体(12)の表面に貼り合わされた表皮(15)とからなる弾性パッド部材(11)を、取付けてなる車両用内装材において、前記弾性パッド部材(11)の辺縁に、前記表皮(15)から延長成形されかつ取付孔(27)が穿設された取付け舌片(25)が形成され、前記樹脂製パネル部材(1)に、前記取付け舌片(25)を該樹脂製パネル部材(1)の裏面側に挿通しうる舌片通し孔(29)を設けると共に、前記樹脂製パネル部材(1)の裏面に、前記取付け舌片(25)に穿設された取付孔(27)に挿入された後に、該取付け舌片(25)部を固定するために、加熱加締めされる係止ピン(30)を、設けてなる車両用内装材であることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態は、図1で示される樹脂製パネル部材1(インストルメントパネル)の所望個所に取付け使用されるクラッシュパッドの如き弾性パッド部材11の構成を示すものであって、先ずはその弾性パッド部材11の構成部材について説明する。
【0013】
12は弾性パッド部材11の芯材となるべき発泡体であって、この発泡体12は、ビーズ状である例えばPP粒体を素材として、所定の成形型(図示せず)を用いて所望の芯材形状に予め発泡形成されているものであって柔軟性を有している。またこの発泡体12には、その成形時において、発泡体の厚さ方向に貫通する多数の通気孔13と、発泡体の表面に沿って形成される多数の通気溝14が形成されている。
【0014】
15は上記発泡体12の表面に被着される表皮であって、この表皮15は、例えば、TPO樹脂からなる表皮シート16と、この表皮シート16の裏面に接着されている例えばPP樹脂からなる発泡シート17とからなる二層構造であって、これら表皮シート16と発泡シート17とは、加熱プレス成形、加熱真空成形又は加熱プレス真空成形手段により加熱又は接着剤にて一体に貼り合せられている。また上記発泡シート17の裏面には上記表皮15の成形時において、図5で示すように溝付きローラ18の接圧力により多数の細溝19が形成されている。
【0015】
本実施形態の弾性パッド部材11は、上記の発泡体12と表皮15を基にして構成されるものであって、次にその構成手順について説明する。
【0016】
図6で示すように、先ずは所定の真空型21に、予め形成されている上記の発泡体12をセットする。次にその発泡体12の上部に、クランプ20により挟持されている表皮15を位置させ、該表皮15をヒータ22により加熱軟化せしめる。
【0017】
次いでそのヒータ22を除去せしめた後に、真空型21上に載置されている発泡体12の上面に熱軟化されている表皮15を当てがった上で真空型21に関連している真空ポンプ23を駆動することで、その発泡体12の表面に表皮15が吸引接着される。この表皮15の裏面つまり発泡シート17には、上記のように、多数の細溝19が形成されており、また発泡体12の表面には、多数の通気溝14が形成されているために、表皮15と発泡体12との間に介在された空気は、それらの細溝19及び通気溝14と発泡体12の内部に穿設されている通気孔13を経て真空ポンプ23へ吸引されるために、発泡体12と表皮15との間で空気溜りが生じることがなく、その発泡体と表皮15との接着性が高められる。また発泡体と表皮15との接着手段は熱溶着、あるいは適宜接着剤を使用する接着であってもよい。
【0018】
次に上記真空型21に賦形されている表皮15の周縁部を、図7で示すように真空型21に賦形されたままの状態で周縁トリムカッタ24によりカッテイングして、図8で示す複数の取付け舌片25を一体形成すると同時に、穿孔機26を駆動して、各取付け舌片25に取付孔27を穿設して弾性パッド部材11としての完成品を得る。
【0019】
以上のようにして製作された弾性パッド部材11を、例えば図1、図2で示す如き樹脂製パネル部材1に取付ける手段として、先ずは、その樹脂製パネル部材1の所定位置に、弾性パッド部材11の取付凹段部28を形成する。この取付凹段部28には、上記取付け舌片25を挿通せしめるための舌片通し孔29を、上記弾性パッド部材11に設けられている取付け舌片25の数と位置に合せて形成し、さらに上記取付凹段部28の裏側には、上記各取付け舌片25に穿設されている取付孔27が挿通される係止ピン30を、樹脂製パネル部材1の樹脂成形時においてその樹脂製パネル部材1と一体に突設形成しておく。
【0020】
従って上記構成の弾性パッド部材11を上記樹脂製パネル部材1に取付けるには、その弾性パッド部材11に設けられている各取付け舌片25を、樹脂製パネル部材1に設けられている各舌片通し孔29を通して樹脂製パネル部材1の裏側に挿通し、さらにその樹脂製パネル部材1の裏側に挿通された各取付け舌片25を折り曲げて各取付け舌片25に穿設されている取付孔27に係止ピン30を挿通させる。次にそれらの各係止ピン30の突出端を、加熱軟化して加締めることにより、上記弾性パッド部材11を樹脂製パネル部材1に取付ける(固定する)ことができる。
【0021】
このように本発明による弾性パッド部材11は、発泡体12と、その発泡体12の表面に接着される表皮シート16及び発泡シート17からなる表皮15とからなり、特にその発泡体12が柔軟性を有していることから、その弾性パッド部材11の全体が柔軟性に富み、緩衝性に優れる構成となっている。また上記弾性パッド部材11を構成する発泡体12自体には、通気孔13及びその表面には通気溝14を設けており、さらにその発泡体12の表面に重り合う表皮の裏面、つまり発泡シート17の裏面には、多数の細溝19を形成していることから、それらの通気孔13、通気溝及び細溝19により、真空ポンプ23の駆動時における負圧力が、上記発泡体12を介して表皮シート15の裏面全体に有効に作用し、このために発泡体12と表皮15との間に空気溜り等が生じることがなく品質の良好な表皮接着が可能となる。
【0022】
また弾性パッド部材11と、樹脂製パネル部材1とは、その弾性パッド部材11に形成されている取付け舌片25と、樹脂製パネル部材1の裏面に予め突設されている係止ピン30とを係止させ、その係止ピン30の加熱加締め手段により、弾性パッド部材11を樹脂製パネル部材1に取付けることができるので、従来の取付ねじを使用する取付け手段と比して作業性、経済性が大幅に向上される。
【0023】
さらに弾性パッド部材11の樹脂製パネル部材1への取付け時において、金属製である異材質の取付部材を使用していないので、上記弾性パッド部材を取付けた樹脂製パネル部材のリサイクル性が高められる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明の車両用内装材によれば、その車両用内装材に取付けられる弾性パッド部材に十分な柔軟性を保有せしめることができ弾性パッド部材としての性能が高められる。また車両用内装材に弾性パッド部材を取付けるに当り、それら車両用内装材及び弾性パッド部材の材質とは異なる材質の取付部材を使用する必要がないので、リサイクル性が高められるという作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂製パネル部材の全体形状を示した斜視図。
【図2】図1におけるA−A線断面図の本発明実施形態を示した断面図。
【図3】本発明実施形態である車両用内装材の取付状態を示した要部背面図。
【図4】本発明実施形態である発泡体のみの斜視図。
【図5】本発明実施形態である表皮の構造説明図。
【図6】本発明実施形態である車両用内装材の製造過程を示した説明図。
【図7】本発明実施形態である車両用内装材の製造過程を示した説明図。
【図8】本発明実施形態である完成された車両用内装材の斜視図。
【図9】従来の車両用内装材の成形説明図。
【図10】従来の車両用内装材の断面図。
【符号の説明】
11…弾性パッド部材 12…発泡体
13…通気孔 14…通気溝
15…表皮 16…表皮シート
17…発泡シート 18…溝付きローラ
19…細溝 20…クランプ
21…真空型 22…ヒータ
23…真空ポンプ 24…周縁トリムカッタ
25…取付け舌片 26…穿孔機
27…取付孔 28…取付凹段部
29…舌片通し孔 30…係止ピン
Claims (1)
- 樹脂製パネル部材(1)に、発泡樹脂性ビーズ製の発泡体(12)と該発泡体(12)の表面に貼り合わされた表皮(15)とからなる弾性パッド部材(11)を、取付けてなる車両用内装材において、
前記弾性パッド部材(11)の辺縁に、前記表皮(15)から延長成形されかつ取付孔(27)が穿設された取付け舌片(25)が形成され、
前記樹脂製パネル部材(1)に、前記取付け舌片(25)を該樹脂製パネル部材(1)の裏面側に挿通しうる舌片通し孔(29)を設けると共に、
前記樹脂製パネル部材(1)の裏面に、前記取付け舌片(25)に穿設された取付孔(27)に挿入された後に、該取付け舌片(25)部を固定するために、加熱加締めされる係止ピン(30)を、設けてなることを特徴とする車両用内装材。
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