JPH0541275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、エアコンプレツサや機関用過給機等
に用いられる容積型圧縮機の改良に関する。

（従来の技術） 第５図及び第６図は、一般的な容積型圧縮機を
あらわし、図中１はケーシングで、このケーシン
グ１の両側にケーシング内部と連通する流体の吸
込口２と吐出口３が形成される。

吸込口２から内部に取り込まれた流体は、互い
に噛み合う２つのロータ４，５の回転と共にロー
タ４，５の外周面４ａ，５ａとケーシング内周面
６とで挟まれながら、ロータ軸７，８を介して反
対側の空間部に送られ、ここから吐出口３を経て
外部に圧送供給される。

容積型圧縮機の駆動は、例えば図示しないエン
ジンからのベルトを介してプーリ９を回転させ、
プーリ９と嵌合するロータ軸８が回転してこれと
同時にロータ軸８の他端で歯車１０，１１を介し
てロータ軸７を同期回転することにより行う。

ところで、このような容積型圧縮機は、ロータ
４とロータ５との間およびロータ４，５の外周面
４ａ，５ａとケーシング内周面６との間を非接触
状態に保ちながら作動するため、ロータ４とロー
タ５との間およびロータ４，５の外周面４ａ，５
ａとケーシング内周面６との間のスキマを一定量
確保する必要がある。ここで、一定量とは、カン
シヨウ防止ならびに部品の加工精度、ガタ等から
決まるものと、吸入流体に含まれる異物がスキマ
に入ること等を考慮して決まるものがある。

そして、圧縮機の効率を向上するためには、上
記スキマを縮小する必要があるが、部品の加工精
度やガタ等を考慮して所定以上の大きさのスキマ
に設定される。また、吸入流体中に含まれる異物
がスキマに入ることに対しては、圧縮機の上流側
にエアクリーナ等を設けて対処できるが、どうし
ても微小の異物の侵入は避けることができず、こ
の微小異物の進入まで防止しようとすれば、より
微細な異物捕集用エアクリーナを必要とするなど
吸気抵抗の増大、取り付けスペースの増大等の弊
害を免れない。

また、従来の容積型圧縮機としては、ロータを
特殊な形状にして加工精度を出しやすくし、それ
だけスキマを小さめに設定するという考案が提案
されているが（実願昭58−028044号）、この従来
の考案においては、外部から侵入する吸入流体中
の異物に対する処理は何ら考慮していない。

（考案が解決しようとする課題） 本考案の課題は、ケーシング内面とロータ外面
間、或いは、２つのロータ同士の外面間に形成さ
れるスキマを最小限度の大きさに設定してブロア
効率を向上させると共に、吸入流体中の異物によ
るブロアの異常作動や機能低下を確実に防止する
ことである。

〔考案の効果〕

（課題を解決するための手段） そのために、本考案の容積型圧縮機は、ケーシ
ングのロータが収容される内壁面上に、吸入流体
中の異物を吸収する複数の細溝を形成するもので
ある。細溝の深さ及び幅は異物の吸収能力を考慮
して100μｍ〜1000μｍにするのがよい。1000μｍ
以上では異物吸収能力がでがたく、100μｍ未満
にしても格別の効果がでない。

（作用） このような構成によれば、ブロアの駆動時に吸
込口からケーシング内部に流体を吸い込んた時、
吸入流体中の異物をケーシング内壁面上の細溝に
吸収してしまうため、ブロアの機能低下を回避す
ることができる。

（実施例） 本考案の実施例を図面に基づいて説明するが、
第５図・第６図と実質的に同一の構成部分には同
一符番号を付す。

第１図および第２図において、容積型圧縮機の
ケーシング１の両側面には、流体を取り込む吸込
口２と、その反対側から流体を外部に圧送する吐
出口３とが形成される。

ケーシング１の内部には互いに平行なロータ軸
７，８に嵌合するロータ４，５が外周面４ａ，５
ａ同士で噛み合うように設けられ、ロータ軸８の
一端に固定されるプーリ９に、例えば機関駆動力
が伝達されると、他端に嵌まる歯車１０が歯車１
１と噛み合つてロータ軸８とロータ軸７とを同期
回転させる。

ロータ４，５およびケーシング１は、共にアル
ミニウム合金製であり、その熱膨張係数は互いに
等しい。

そして、ケーシング１の内周面６及び内側面１
２（この内周面６と内側面１２とでケーシングの
内壁面が構成される）には、第３図に示す如く複
数の細溝１３ａ，１３ｂが略500μｍの幅ａ、深
さｂをもつて設けられている。

尚、この実施例においては、細溝１３ａ，１３
ｂをケーシング１の内壁面全面（内周面６及び内
側面１２）に形成したが、ケーシング内周面６の
み、あるいはケーシング内側面１２のみに細溝を
形成してもよい。また、溝形状は、第４図の１３
ｃに示す如く形状でもよい。

〔考案の効果〕

異物の混入に対し、ケーシング内面とロータ外
面との間、あるいは、２つのロータの外面間にか
じりが生じないようスキマを大きくする方法もあ
るが、これでは圧縮流体が逃げやすくブロア効率
が低下する。これに対し、本考案のものは細溝を
ケーシング内壁面上に多数設けるだけのため、最
小スキマが確保できブロア効率は低下しない。

また、ロータ外周面上に細溝を設けたもので
は、ロータ自体が高速回転するために細溝中に取
り込んだ異物が遠心力により飛び出し、圧縮機の
機能に悪影響を及ぼすが、本考案によれば細溝が
ロータ等の回転体に形成されていないので、上記
したような不具合はない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案実施例の容積型圧縮機の断面
図を示す。第２図は、第１図における−断面
図を示す。第３図は、第２図におけるケーシング
１の内周面の部分拡大断面図を示す。第４図は、
第３図とは異なる溝形状の拡大断面図を示す。第
５図は、従来技術の容積型圧縮機の断面図を示
す。第６図は、第５図における−断面図を示
す。 １……ケーシング、２……吸込口、４，５……
ロータ、１３ａ，１３ｂ，１３ｃ……細溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸込口と吐出口を設けたケーシングの内部に互
   いの外周面側で噛み合いながら同期回転する２つ
   のロータを設け、吸込口から吸入した流体を、ロ
   ータ外周面とケーシング内周面で挟み込みながら
   これらロータを介して反対側の吐出口を経て外部
   に圧送供給するようにした容積型圧縮機におい
   て、前記ケーシングの前記ロータが収容される内
   壁面上に吸入流体中の異物を吸収する複数の細溝
   を形成したことを特徴とする容積型圧縮機。