JPH0538748U - 自動車用空気調和装置の送風制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】抵抗部材における異常発熱時には、即座に作動
してモータ回路の導通を遮断する温度ヒューズを備えて
なる自動車用空気調和装置の送風制御装置を提供する。 【構成】抵抗部材Ｒを銀あるいは銀合金により形成し、
当該抵抗部材Ｒのモータ回路８を電気的に遮断する位置
に隘路１０を形成する。この隘路１０の表面にハンダ１
１を設け、抵抗部材Ｒのハンダ１１に近接した位置に、
抵抗部材Ｒの一般部１２より断面積が小さい発熱部１３
を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用空気調和装置のファンモータに印加する電圧を変化させる ことで車室内へ送風する空気の量を制御する送風制御装置に関し、特に、該送風 制御装置に取り付ける温度ヒューズの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、自動車用空気調和装置の送風機の回転を制御する送風制御装置は、フ ァンモータの回転数を、例えば、高速回転（以下Ｈi ）、中速回転（以下Ｍ）、 低速回転（以下Ｌo ）等に制御するものである。この制御回路は、所定の抵抗値 を有するレジスタンスを複数個直列に接続して成り、このレジスタンスの総抵抗 値を適宜変化させることにより、ファンモータへの印加電圧を変えるようにして いる。

【０００３】 この送風制御装置には、発熱をともなうレジスタンスを冷却する意味で、例え ば実開昭６２−１４０，７０５号公報に開示されているように、自動車用空気調 和装置のファンスクロール内に設置するものがある。また、この場合に、送風制 御装置に対して空気流が当たることにより生じる風切り音を減少させる等の理由 から、偏平な基板上に抵抗部材を添着してなる送風制御装置が提案されている （実願昭６２−６３，９９３号公報参照）。

【０００４】 この偏平な送風制御装置１について、図５〜図７を参照して詳述する。該装置 １は、剛性のある扁平な電気的絶縁基板２上に、銀合金（例えば、Ａｇ−Ｐｄ） よりなるレジスタンスＲを薄膜状の所定のパターンに印刷したものであり、この レジスタンスＲ（Ｒ1 〜3 の総称）は、第１レジスタンスＲ1 、第２レジスタン スＲ2 、第３レジスタンスＲ3 からなり、これら各レジスタンスＲ1 〜3 の端部 には、ファンモータＭの回転数を高速（Ｈi)，中高速（Ｍh)，中低速（ＭL)，低 速（Ｌo)の４段階に切換えるための各端子Ｔ（Ｔ1 〜3 の総称）が接続されてい る。また、この各端子Ｔには、切換スイッチＳＷ、車両のバッテリＢ、ファンＦ を回転するファンモータＭが接続されてなるモータ回路８が接続されている。

【０００５】 一方、前記基板２は、図６に示すように、母材となる鉄板３上にガラス等の耐 熱層４を電気的に施釉したいわゆるホーロー板である。この基板２上には、前記 レジスタンスＲが設けられ、さらにこの表面は、絶縁性を確保する等の理由から ガラス等の耐熱層５により覆われている。

【０００６】 また、基板２上には、図７に示すように、レジスタンスＲの導通を遮断する方 形形状の導通遮断部６と、これを架橋してレジスタンスＲを導通させるハンダ７ とで構成され、モータロックなどの異常時にモータ回路８を遮断する作用を行な う温度ヒューズ９が設けてあり、これにより、ファンモータＭの焼付き等を未然 に防止するようになっている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前述した従来の送風制御装置１にあっては、温度ヒューズ９の周囲が 異常に発熱したにも拘らず、温度ヒューズ９の作動が即座に行なわれない場合が 有るという問題点があった。 すなわち、従来の送風制御装置１に設けられた温度ヒューズ９にあっては、前 述したように、銀合金より成るレジスタンスＲの導通を遮断する方形形状の導通 遮断部６と、これを架橋してレジスタンスＲを導通させるハンダ７とで構成され ているが、この温度ヒューズ９の周囲が異常に発熱した場合を想定すると、ハン ダ７はこの熱を受けて溶融するが、この溶融したハンダ７は、レジスタンスＲを 構成する銀合金に対して「食いつき」が良いことから、図８に示すように、対向 する反対方向のレジスタンスＲ上へと吸引される。ところが、導通遮断部６が方 形形状であり、ハンダ７とレジスタンスＲとの境界線が長く取れない等の理由か ら、前記溶融して相対する方向へと吸引されたハンダ７が即座に両方向へと分離 せずに、温度ヒューズ９の作動が遅れる虞れがあった。

【０００８】 本考案は、上述した問題点に着目してなされたもので、抵抗部材における異常 発熱時には、即座に作動してモータ回路の導通を遮断する温度ヒューズを備えて なる自動車用空気調和装置の送風制御装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案は、扁平な電気的絶縁基板（２）上に添着さ れた抵抗部材（Ｒ）の総抵抗値を適宜変化させることにより、自動車用空気調和 装置の送風ファン回転用モータ（Ｍ）への印加電圧を制御し、該モータ（Ｍ）の 回転数を制御するように構成するとともに、前記抵抗部材（Ｒ）における異常発 熱を検知して、モータ回路（８）を電気的に遮断する温度ヒューズ（９）を備え てなる自動車用空気調和装置の送風制御装置において、前記抵抗部材（Ｒ）を銀 あるいは銀合金により形成し、当該抵抗部材（Ｒ）の前記モータ回路（８）を電 気的に遮断する位置に隘路（１０）を形成すると共に、この隘路（１０）の表面 にハンダ（１１）を設け、さらに、前記抵抗部材（Ｒ）の前記ハンダ（１１）に 近接した位置に、抵抗部材（Ｒ）の一般部（１２）より断面積が小さい発熱部 （１３）を形成したことを特徴とする自動車用空気調和装置の送風制御装置であ る。

【００１０】

【作用】

このように構成した本考案にあっては、モータロック等の異常が発生して抵抗 部材（Ｒ）に異常電流が流れると、抵抗部材（Ｒ）に形成された発熱部（１３） が高温に発熱し、この熱によってハンダ（１１）が溶融する。そして、溶融した ハンダ（１１）は銀あるいは銀合金よりなる抵抗部材（Ｒ）を浸食して、いわゆ るハンダ食われ現象が生じ、ハンダ（１１）と抵抗部材（Ｒ）との間に極めて僅 かな隙間（Ｓ）が形成される。これにより、モータ回路（８）の導通が即時に遮 断される。また、ハンダが設けられている抵抗部材には隘路（１０）が形成され ているので、さらにハンダ食われ現象による導通遮断が助長される。

【００１１】

【実施例】 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１は本考案の一実施例を示す要部斜視図、図２は本考案の他の実施例を示す 要部斜視図、図３は本考案の作用を説明する図であって溶断前の図１のＡ−Ａ線 に沿う断面図、図４は同じく本考案の作用を説明する図であって溶断後の図１の Ａ−Ａ線に沿う断面図、図５は本考案と従来例とに共通するモータ回路の概略構 成図、図６は本考案と従来例とに共通する送風制御装置の外観を示す斜視図であ る。なお、図１〜図４と図６とに共通する部材間には同一符号を付し、その説明 は省略する。また、図５及び図６についても既に説明済であるため、その説明を 省略する。

【００１２】 図１に示すように、本考案に係る送風制御装置１の基板２上には、銀あるいは 銀−パラジウム合金に代表される銀合金よりなる抵抗部材としてのレジスタンス Ｒが薄膜状に所定のパターンをもって印刷されている。本実施例に係る温度ヒュ ーズは、レジスタンスＲの導通を遮断し易くするために当該レジスタンスＲに形 成された隘路１０と、この隘路１０上に設けられたハンダ１１と、このハンダ１ １に近接した位置に形成された発熱部１３によって構成され、モータロックなど の異常時にモータ回路８を遮断する作用を行なう。

【００１３】 すなわち、本実施例に係る隘路１０はレジスタンスＲの縦断面積が一般部１２ に比べて小さいものの、従来の温度ヒューズの如く切断されていない。しかも、 この隘路１０の表面にはハンダ１１を設けているために、レジスタンスＲのこの 部分は従来の送風制御装置に比べ、導通しやすくなっている。一方、このハンダ １１に近接して設けられた発熱部１３は一般部１２よりも縦断面積が小さく形成 されており、これによって所定量以上の電流が流れるとその大きな抵抗値によっ て発熱し、近接するハンダ１１を溶融せしめる。

【００１４】 なお、本考案に係る発熱部１３の形成位置は、上述した実施例にのみ限定され ることなく、レジスタンスＲに設けられたハンダ１１に近接した位置であって、 レジスタンスＲに異常電流が流れた場合に発熱してハンダ１１を溶融させるもの であれば良い。したがって、図２に示すように、ハンダ１１の前後に設けても良 く、また、発熱部１３の縦断面積を小さくすれば発熱量が増加することからハン ダ１１との距離を比較的遠ざけることも可能である。

【００１５】 このように構成すれば、モータロック等の異常が発生してレジスタンスＲに異 常電流が流れると、レジスタンスＲに形成された発熱部１３が高温に発熱し、こ の熱によってハンダ１１が溶融する。そして、溶融したハンダ１１は銀あるいは 銀合金よりなるレジスタンスＲを浸食して、図４に示すように、ハンダ１１とレ ジスタンスＲとの間に極めて僅かな隙間Ｓが形成される。このような現象は、一 般に「ハンダ食われ」と称されるが、溶融したハンダに吸収され易いのは銀であ ることが判明している。

【００１６】 これにより、モータ回路８の導通が即時に遮断される。また、ハンダ１１が設 けられているレジスタンスＲには隘路１０が形成されているので、さらにハンダ 食われ現象による導通遮断が助長されることになる。

【００１７】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案によれば、抵抗部材を銀あるいは銀合 金により形成し、当該抵抗部材のモータ回路を電気的に遮断する位置に隘路を形 成すると共に、この隘路の表面にハンダを設け、さらに、抵抗部材のハンダに近 接した位置に、抵抗部材の一般部より断面積が小さい発熱部を形成したので、モ ータロックなどの異常発生時にはモータ回路が即座に遮断されることとなり、安 全性が飛躍的に向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の一実施例を示す要部斜視図であ
る。

【図２】図２は本考案の他の実施例を示す要部斜視図で
ある。

【図３】図３は本考案の作用を説明する図であって溶断
前の図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】図４は同じく本考案の作用を説明する図であっ
て溶断後の図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図５】図５は本考案と従来例とに共通するモータ回路
の概略構成図である。

【図６】図６は本考案と従来例とに共通する送風制御装
置の外観を示す斜視図である。

【図７】図７は従来例の不具合の説明に供する斜視図で
ある。

【図８】図８は同じく従来例の不具合の説明に供する斜
視図である。

【符号の説明】

２…電気的絶縁基板、 ８…モータ回
路、９…温度ヒューズ、 １０…隘路、１１…ハンダ、
１２…抵抗部材の一般部、１３
…発熱部、 Ｒ…抵抗部材、Ｍ…
送風ファン回転用モータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扁平な電気的絶縁基板（２）上に添着され
   た抵抗部材（Ｒ）の総抵抗値を適宜変化させることによ
   り、自動車用空気調和装置の送風ファン回転用モータ
   （Ｍ）への印加電圧を制御し、該モータ（Ｍ）の回転数
   を制御するように構成するとともに、前記抵抗部材
   （Ｒ）における異常発熱を検知して、モータ回路（８）
   を電気的に遮断する温度ヒューズ（９）を備えてなる自
   動車用空気調和装置の送風制御装置において、 前記抵抗部材（Ｒ）を銀あるいは銀合金により形成し、
   当該抵抗部材（Ｒ）の前記モータ回路（８）を電気的に
   遮断する位置に隘路（１０）を形成すると共に、この隘
   路（１０）の表面にハンダ（１１）を設け、さらに、前
   記抵抗部材（Ｒ）の前記ハンダ（１１）に近接した位置
   に、抵抗部材（Ｒ）の一般部（１２）より断面積が小さ
   い発熱部（１３）を形成したことを特徴とする自動車用
   空気調和装置の送風制御装置。