JP3011565U - 自動車用空調機の送風機制御用抵抗器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送風機制御用抵抗器の温度過昇に即応して回
路を切断し、安全性を高める。 【構成】 抵抗箔を加工した複数の抵抗素子の集合体１
を絶縁化された板状ヒートシンク２と合成マイカ板３と
でサンドイッチ状に挟んだ抵抗構体を、ベース部材９に
植設されたターミナル４で支持する。また、抵抗素子に
直列に接続された温度ヒューズ(低融点合金)８を、絶縁
化された板状ヒートシンク２の面に近接して設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車に搭載する空調機の送風機制御用抵抗器に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

本考案者らは、先に、抵抗箔をエッチング若しくは打ち抜き加工して複数の抵 抗素子の集合体を作り、これを絶縁化された２枚の板状ヒートシンクでサンドイ ッチ状に挟んでなる抵抗構体を、ベース部材から立ち上がったターミナルでベー ス部材に略平行に保持した構造の抵抗器を提案した(実開平２−145506号公報参 照)。

【０００３】 この種の送風機制御用抵抗器は、自動車搭載の空調機の通風路に配置され、通 常の使用時は送風機の送風により強制空冷される。そこで、抵抗構体がターミナ ルによりベース部材に対し若干の間隔を介して略平行に支持され、かつその抵抗 構体やターミナルの広い面が風の流れに平行になるように通風路に配置すること により、通気抵抗を大きくすることなく、しかも小型のヒートシンクで放熱効果 を高くすることができる。

【０００４】 一方、送風機の送風により強制空冷されているときは、ヒートシンクの表面温 度はさほど上昇しないが、送風機モータのシャフトロックや異物侵入により、送 風機が止まり、強制空冷がなくなると抵抗器に全負荷が加わり、抵抗器が過熱状 態になる。発熱源である抵抗素子の過熱した熱は直ちにヒートシンク表面に伝わ り、長期使用でヒートシンク表面に付着したほこり等が発火する危険がある。そ こで、一方のヒートシンクに近接して、板バネを曲げてその先端を低融点合金で 抵抗素子の一端に接合した温度ヒューズを設け、ヒートシンクの過熱により、そ の低融点合金が溶融して板バネがそのバネ性により抵抗素子の一端から離れ、回 路が開成して火災等の事故を未然に防ぐことができるようになっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記構成の従来技術の場合、抵抗素子の両面にヒートシンクが 配設されているので、送風機モータが停止した場合は、抵抗素子の熱が両方のヒ ートシンクに伝導され、ヒートシンクが温度ヒューズの溶断温度に達するまでに 時間がかかって応答が遅いという問題があり、安全性に若干の不安があった。

【０００６】 本考案は、上記問題点を解決しようとするもので、放熱効果が高く、しかも送 風機モータのシャフトロック等(以下、モータロックという)で送風機が止まり、 強制空冷がなくなった際の緊急時に、温度ヒューズが迅速に溶断して安全性を確 保するようにした、小型，コンパクトな自動車用空調機の送風機制御用抵抗器を 提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために、本考案の送風機制御用抵抗器は、抵抗箔を加工し た複数の抵抗素子の集合体を絶縁化された板状ヒートシンクと合成マイカ板とで サンドイッチ状に挟み、この抵抗構体をベース部材に植設されたターミナルで支 持した構成とする。また、抵抗素子に直列に接続された温度ヒューズを有し、こ の温度ヒューズは絶縁化された板状ヒートシンクの面に近接して設けられる。

【０００８】

【作用】

上記構成によれば、抵抗素子集合体の一方の面にはヒートシンク、他方の面に は合成マイカ板が設けられており、合成マイカ板はヒートシンクに比較して熱伝 導性が極端に悪いので、モータロック等で送風機が止まった場合、抵抗素子で発 生する熱はほとんどヒートシンク側に伝導され、ヒートシンクの温度は急激に上 昇する。従って、そのヒートシンクの面に近接して設けられた温度ヒューズは迅 速に溶断され、安全性が確保される。

【０００９】 通常の使用時では、抵抗素子の発熱は一つのヒートシンクを介して送風機の送 風により強制的に放散されるので特に問題はなく、合成マイカ板は低コスト材で あるから、従来品と同様の小型，コンパクトで、安価な送風機制御用抵抗器とす ることができる。

【００１０】

【実施例】

以下、図面を参照して実施例を詳細に説明する。図１は、本考案の一実施例を 示したものであり、図２は、その分解斜視図である。図１及び図２において、１ は、抵抗箔をエッチング若しくは打ち抜き加工して形成した複数の抵抗素子の集 合体、２は抵抗素子集合体１をサンドイッチ状に挟む一方の絶縁化された板状の ヒートシンクで、例えばメタルコアセラミックである。３は抵抗素子集合体１を サンドイッチ状に挟む他方の合成マイカ板である。４はベース部材９に植設され た複数のターミナル(外部接続端子)で、前記抵抗素子集合体１を絶縁化された板 状ヒートシンク２と合成マイカ板３でサンドイッチ状に挟んだ抵抗構体を支持す る。ターミナル４は、ベース部材９から下方へ突出した外部取出端子部４aと、 抵抗構体を載せる支持部４bと、抵抗素子に接続されて抵抗値を取り出す接続部 ４cと、折り曲げることにより抵抗構体を係止する係止部４dとを備えている。

【００１１】 抵抗構体に設けられた孔にリベット７により固定されたターミナル５に板バネ ６の一端がかしめ等により固着されており、板バネ６の他端は、板バネが湾曲さ れた状態で、ヒートシンク２の開口部を通して抵抗素子の一端に低融点合金８に より接合され、温度ヒューズが構成されている。

【００１２】 本考案の特徴部は、図３に示したように、抵抗素子集合体１をヒートシンク２ と合成マイカ板３とでサンドイッチ状に挟んだ構造を有する点にある。これに対 して従来構成のものは、図４に示したように、抵抗素子集合体１を２つのヒート シンク２でサンドイッチ状に挟んだ構造を有していた。

【００１３】 図５は、送風機駆動用モータの回転速度を調節するための電気回路を示したも のである。図５において、破線で囲んだ部分Ａが本実施例の送風機制御用抵抗器 であり、送風機駆動用モータ11に直列に接続される。各抵抗素子12ａ,12ｂ,12ｃ から引き出された外部接続端子13ａ〜13ｄは、切換スイッチ14の切換端子Ｈ(高 速)、ＭH(中高速)、ＭL(中低速)及びＬ(低速)にそれぞれ接続されている。なお 、15はバッテリー、16は電流ヒューズ、17は電源スイッチ、18は温度ヒューズで ある。

【００１４】 上記回路において、電源スイッチ17を閉成し、切換スイッチ14を切換端子Ｌに 接続すると、モータ11に３個の抵抗素子12ａ，12ｂ，12ｃが直列に挿入されるの でモータの両端電圧は最も低くなり、従って、低速回転となる。切換スイッチ14 をＭL，ＭH，Ｈ側に切り換える程モータの両端電圧は高くなり、従って、回転は 高速となる。そして、モータの回転速度に応じて空調機の送風の強弱が決まるこ とは言うまでもない。

【００１５】 以上のように構成された本実施例では、抵抗構体が抵抗素子集合体１をヒート シンク２と合成マイカ板３とでサンドイッチ状に挟んだ構造を有しており、合成 マイカ板の熱伝導率は0.0016cal／℃・sec・cm、ヒートシンクの熱伝導率は0.05 cal／℃・sec・cmであるから、その比は約１／30であり、従って、モータロック状 態で、強制空冷が停止されると、抵抗素子の発熱はほとんどヒートシンク側に伝 導され、ヒートシンクの表面が急激に高温となる。

【００１６】 一方、ヒートシンク２の表面に近接して温度ヒューズが設置されているので、 温度ヒューズを構成する低融点合金８が直ちに融解し、予め湾曲されていた板バ ネ６がその復帰力により抵抗素子から離れ、回路が切断される。このようにして 、モータロック等の緊急時に迅速に応答し、火災発生を未然に防ぐことができ、 安全性を高めることができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、小型，コンパクトで、十分な放熱効果 が得られ、しかもモータロック等の緊急時に即応し、火災の発生を未然に防止す ることができ、安全性を非常に高めることができる効果がある。さらに、コスト 低減を図ることができる。

【００１８】 なお、従来品と本考案品との応答性およびコストを比較すると(表１)の通りで ある。

【００１９】

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の送風機制御用抵抗器の構成
図である。

【図２】本考案の一実施例の送風機制御用抵抗器の分解
斜視図である。

【図３】本考案の一実施例の実施例の抵抗構体の断面図
である。

【図４】従来例の抵抗構体の断面図である。

【図５】送風機制御用抵抗器及びその駆動回路の回路図
である。 １…抵抗素子集合体、 ２…絶縁化されたヒートシン
ク、 ３…合成マイカ板、４，５…ターミナル、 ６…
板ばね、 ８…低融点合金、 ９…ベース部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空調用送風通路内に配置され、複数の抵
   抗素子を有し、送風機駆動用モータの回転速度を段階的
   に調節するために前記モータと接続される抵抗値を切り
   換えるようにした送風機制御用抵抗器であって、抵抗箔
   を加工した複数の抵抗素子の集合体を絶縁化された板状
   ヒートシンクと合成マイカ板とでサンドイッチ状に挟ん
   だ抵抗構体を、ベース部材に植設されたターミナルで支
   持し、かつ、抵抗素子に直列に接続された温度ヒューズ
   を前記絶縁化された板状ヒートシンクの面に近接して設
   けたことを特徴とする自動車用空調機の送風機制御用抵
   抗器。