JPH05308976A - カフェー酸誘導体の製造法 - Google Patents

カフェー酸誘導体の製造法

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JPH05308976A
JPH05308976A JP14353192A JP14353192A JPH05308976A JP H05308976 A JPH05308976 A JP H05308976A JP 14353192 A JP14353192 A JP 14353192A JP 14353192 A JP14353192 A JP 14353192A JP H05308976 A JPH05308976 A JP H05308976A
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JP
Japan
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caffeic acid
acid derivative
buds
bud
plant
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Pending
Application number
JP14353192A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Fujita
晃 藤田
Hiroshi Sudo
浩 須藤
Yuji Matsunaga
祐士 松永
Yuji Saito
雄二 齋藤
Munehito Matsuda
宗人 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カフェー酸誘導体を大量かつ安定に供給する
ことを目的としている。 【構成】 イヌハッカ属植物の頂芽,側芽不定芽より選
ばれた一種を出発材料として、多芽体を誘導,増殖せし
め、該多芽体中に産生蓄積されたカフェー酸誘導体を取
得することを特徴とする、カフェー酸誘導体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イヌハッカ属植物の組
織培養により、抗炎症剤として有用なカフェー酸誘導体
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】イヌハッカ属植物はシソ科に属する植物
であり、例えばケイガイ,イヌハッカ,ミソガワソウ等
が知られている。
【0003】ケイガイは漢方で、防風通聖散,十味敗毒
湯などの漢方処方に配合される生薬の一つであり、鎮
痛,発汗,解毒などの薬効が知られている。
【0004】また、イヌハッカ属植物には、例えば以下
に示した成分等のカフェー酸誘導体が含まれており、こ
れらの成分は極めて強い抗炎症活性を有することから、
天然物由来の新規な抗炎症剤としての用途が期待されて
いる(特開平1−311077号公報等参照)。
【0005】(1)下記化1で表される3−(3,4−
ジヒドロキシフェニル)−2−プロペノイックアシッド
(化合物I:カフェ−酸)。
【0006】
【化1】
【0007】(2)下記化2で表される3,4−ジヒド
ロキシ−α−〔{3−(3,4−ジヒドロキシフェニ
ル)−1−オキソ−2−プロペニル}−オキソ〕−フェ
ニルプロピオン酸(化合物II:ロズマリン酸)。
【0008】
【化2】
【0009】(3)下記化3で表される(E)−3−
[3−{1−カルボキシ−2−(3,4−ジヒドロキシ
フェニル)エチルオキシカルボニル}−7−ヒドロキシ
−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゾフラン
−5−イル]プロペノイックアシッド(化合物 III)。
【0010】
【化3】
【0011】(4)下記化4で表される1−カルボキシ
−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチル(E)
−3−[3−{1−カルボキシ−2−(3,4−ジヒド
ロキシフェニル)エチルオキシカルボニル}−7−ヒド
ロキシ−2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゾ
フラン−5−イル]プロペノエート(化合物IV)。
【0012】
【化4】
【0013】これらのカフェー酸誘導体は通常生薬より
抽出し、単離精製することによって得られるが、生薬中
には僅かしか含まれていないうえに、生薬の産地,栽培
条件および環境によって、含有率が大きく異なるという
欠点がある〔日本生薬学会第37回年会講演要旨集,
P.79,(1970)〕。そのため生薬よりカフェー
酸誘導体を単離精製することは効率が悪く、大がかりな
装置と多大な労力を要する。また化学合成による供給と
いう手段も考えられるが、カフェー酸誘導体は構造が複
雑で化学合成が困難であり、合成できてもコストが高く
工業化には適していない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、組織
培養によりカフェー酸誘導体含有率の高いケイガイの組
織を効果的に大量に増殖させ、カフェー酸誘導体を大量
かつ安定に供給することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、イヌハッカ属
植物の頂芽,側芽,不定芽より選ばれた一種を出発材料
として、多芽体を誘導,増殖せしめ、該多芽体中に産生
蓄積されたカフェー酸誘導体を取得することを特徴とす
る、カフェー酸誘導体の製造法である。
【0016】本発明で用いられるイヌハッカ属植物とし
ては、例えばケイガイ,イヌハッカ,ミソガワソウ等が
挙げられる。
【0017】また、本発明で製造されるカフェー酸誘導
体とは、カフェー酸およびその2量体,3量体,4量体
構造の化合物のことであり、例えば前記化1〜化4で表
される、カフェー酸,ロズマリン酸,化合物III,化合物
IV等が挙げられる。
【0018】以下、本発明の方法を詳細に説明する。
【0019】出発材料としては、植物の頂芽,側芽また
は不定芽を用いることができるが、頂芽,側芽を用いる
と、多芽体の誘導から増殖まで、全くホルモン類を添加
せずに培養を行うことができるので、ホルモン類による
該植物の形質変化,また該多芽体の乾燥粉末あるいは抽
出エキス中のホルモン残留の問題を心配する必要がない
という利点がある。
【0020】頂芽または側芽を用いる場合には、それら
を次亜塩素酸ナトリウム等の溶液を用いて常法により無
菌化処理する。ただし、無菌的に培養されている植物の
頂芽または側芽を用いる場合には無菌化処理を行う必要
はない。
【0021】不定芽は、植物体より葉,茎等の組織を取
り出し、頂芽,側芽の場合と同様にして無菌化処理を行
い、これを不定芽誘導用培地に置床することによって得
られる。不定芽誘導用培地としては下記の基本培地に、
サイトカイニン類,オーキシン類を添加したものが使用
される。
【0022】基本培地としては、植物組織培養に通常用
いられるムラシゲ・スクーグ,リンスマイヤー・スクー
グ,B5,ニッチ&ニッチ,ホワイト等が挙げられる
が、成育を促進するために、シュークロース,グルコー
ス等の糖類を0.1〜5重量%添加するのが好ましい。
【0023】次に、上記の様にして無菌化された頂芽,
側芽,不定芽を、多芽体誘導用培地に置床し、多芽体を
誘導する。多芽体とは多数の芽および幼植物体の集合体
である。該多芽体は、培養中に自然に分割されることは
ないが、機械的に力を加えることにより組織を傷つける
事なく容易に分割される。
【0024】多芽体誘導用培地としては、上述の基本培
地が挙げられるが、必要に応じてサイトカイニン類およ
びオーキシン類を添加してもよい。
【0025】サイトカイニン類としては、例えばベンジ
ルアデニン(BA),カイネチン,ゼアチン等が挙げら
れる。また、オーキシン類としては、例えばインドール
−3−酢酸(IAA),インドール−3−酪酸(IB
A),α−ナフタレン酢酸(NAA),2,4ジクロロ
フェノキシ酢酸(2,4−D)等が挙げられる。
【0026】多芽体誘導培養に用いるサイトカイニン類
及びオーキシン類のホルモンバランスは、通常サイトカ
イニン類が0〜50μM,オーキシン類が0〜10μM
である。
【0027】このような培地を用いてフラスコ内で10
00〜20000Luxの光照射下、15〜35℃、に
て多芽体誘導培養を行うことにより、10〜30日後に
は1個の頂芽及び/または側芽から、5〜20個の芽及
び幼植物体の集合体である多芽体が形成される。
【0028】次に誘導された多芽体を同様の培地に移植
して継代培養を行う。培養条件は多芽体誘導時と同様で
よい。このように継代を行うことにより、多芽体は3週
間で30〜50倍に増殖する。
【0029】また、カフェー酸誘導体の前駆体を培地に
添加することにより、多芽体のカフェー酸誘導体含有率
を高めることができる。前駆体としてはチロシン,ケイ
ヒ酸,パラヒドロキシケイヒ酸,フェニルアラニン,
3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン,3,4−ジヒ
ドロキシフェニルピルビン酸,パラヒドロキシフェニル
ピルビン酸,カフェー酸,ロズマリン酸等が挙げられ
る。
【0030】また、エリシターを培地に添加することに
よっても、多芽体のカフェー酸誘導体含有率を高めるこ
とができる。エリシターとしてはイーストエキス,イー
ストエキストラクト等が挙げられる。
【0031】本発明の方法によって大量に得られたケイ
ガイの多芽体には、カフェー酸誘導体が親植物より多い
含有率で含まれており、中でも特にロズマリン酸の含有
率が著しく上昇している。これらのカフェー酸誘導体
は、エタノール,メタノール,水等の溶媒を使用し常法
によって、抽出することができる。また、シリカゲル等
を用いたカラムクロマトやTLCにより精製を行うこと
ができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例によって、本発明をさらに詳細
に説明する。実施例に先立って、本発明の評価に用いた
カフェー酸誘導体の抽出法および定量法について記載す
る。
【0033】〈カフェー酸誘導体の抽出法〉凍結乾燥し
た試料を磨砕し、重量を計った後、その100倍量(V
/W)の70%メタノールによって抽出した。
【0034】〈カフェー酸誘導体の定量法〉上記抽出法
により得られた濾液を、表1に示す条件の高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)で検出し、定量した。な
お、定量の際の標品として、実施例2で精製したロズマ
リン酸および化合物IVを用いた。
【0035】
【表1】
【0036】この条件下でのロズマリン酸および化合物
IVのリテンションタイムは、それぞれ約4.7分および
約12.1分である。
【0037】実施例1 ケイガイの種子を0.1%界面活性剤を添加した3%次
亜塩素酸ナトリウム水溶液に5分間浸すことによって、
滅菌処理を行った。滅菌水で3回洗浄後、1重量%寒天
によって固形化した1/2濃度のムラシゲ・スクーグの
培地に播種した。これらの種子は、培養温度27℃、照
度3000Luxの条件下で3日後に発芽し、40日後
には植物体に生長した。このようにして得た植物体から
4週ごとにその頂芽、あるいは側芽を含む組織を約2c
m切りだし、1重量%寒天で固形化し、3重量%のシュ
ークロースを添加した1/2濃度のムラシゲ・スクーグ
培地に置床(挿し木)することにより継代培養した。
【0038】次に植物体より頂芽または側芽を含む節を
切り出し、300ml三角フラスコ内の液体培地に投入
した。この液体培地はリンスマイヤー・スクーグの培地
にショ糖を3%添加したもので、ホルモン等は全く含ま
れていない。これを5000Luxの光照射下、27±
1℃、回転数95rpmで回転振とう培養を行うことに
より、30日後には1個の頂芽及び/または側芽から、
約10個の幼植物体の集合体である多芽体が形成され
た。
【0039】このように誘導された多芽体は誘導時と同
じ培地を用いて継代培養することができ、このときの増
殖率は3週間で約40倍であった。1年間で1.7×1
27倍に増殖する計算になる。
【0040】得られたケイガイ多芽体から、前述した方
法に従い、カフェー酸誘導体の抽出・定量を行った。
【0041】化合物IVおよびロズマリン酸の多芽体粉末
中の含有率を計算し、親植物,及び荊芥穂(ケイガイの
生薬;中国湖北省産)粉末中の含有率とともに、表2に
示した。
【0042】
【表2】
【0043】表2から分かる通り、化合物IVの含有率は
親植物の約4.4倍,荊芥穂の約12倍であった。ま
た、ロズマリン酸の含有率は親植物の約12倍、荊芥穂
の約110倍であった。
【0044】実施例2 実施例1で得られた多芽体4.5kgを凍結乾燥後粉砕
し、この粉末270gに70%エタノール5.4Lを加
え、70℃で30分間加熱還流抽出を行った。この抽出
液5Lを濃縮した後、ジクロロメタンで洗浄し、水層を
酢酸エチルで分配した。酢酸エチル層を濃縮乾固し、約
17gのエキスを得た。これを下記の条件(表3)のH
PLCによって精製し、化合物IV1.54g及びロズマ
リン酸4.62gを単離した。
【0045】
【表3】
【0046】また、単離した化合物IV及びロズマリン酸
の同定をNMRを用いて行った。化合物IV,ロズマリン
酸のNMRスペクトルを測定したところ、文献記載の値
(化合物IV:特開平1−311077号,ロズマリン
酸:Charles J.Kelley等,Journ
al of Organic Chemistry,4
1巻,449頁,1976年参照)と一致した。
【0047】実施例3 実施例1によって得られた多芽体を95Lジャーファー
メンターを用いて培養した。多芽体250gを50Lの
液体培地に投入し培養を開始した。この液体培地は実施
例1で多芽体の増殖用に用いたものと同様である。これ
を10000Luxの光照射下,27℃,通気量0.1
vvmで培養を行ったところ、4週間で47倍に増殖
し、新鮮重量で,11.9kgの多芽体が得られた。こ
の多芽体中には約23gの化合物IV,及び約70gのロ
ズマリン酸が含まれており、実施例2に示した精製法に
より15gの化合物IV,及び40gのロズマリン酸を単
離した。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法により生産したケイガイの
多芽体は増殖が速くかつカフェー酸誘導体を非常に多量
に含有しているので、従来法に比べてはるかに効率よく
カフェー酸誘導体を製造することができる。また、大型
のジャーファーメンターを用いて多芽体培養のスケール
を大きくすることにより工業的なレベルでのカフェー酸
誘導体の製造が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 宗人 大阪府八尾市沼1丁目68番地の65 朝日プ ラザシティ八尾南1番館313号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イヌハッカ属植物の頂芽,側芽,不定芽
    より選ばれた一種を出発材料として、多芽体を誘導,増
    殖せしめ、該多芽体中に産生蓄積されたカフェー酸誘導
    体を取得することを特徴とする、カフェー酸誘導体の製
    造法。
JP14353192A 1992-05-09 1992-05-09 カフェー酸誘導体の製造法 Pending JPH05308976A (ja)

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JP14353192A JPH05308976A (ja) 1992-05-09 1992-05-09 カフェー酸誘導体の製造法

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JP14353192A JPH05308976A (ja) 1992-05-09 1992-05-09 カフェー酸誘導体の製造法

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JPH05308976A true JPH05308976A (ja) 1993-11-22

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ID=15340913

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JP14353192A Pending JPH05308976A (ja) 1992-05-09 1992-05-09 カフェー酸誘導体の製造法

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JP (1) JPH05308976A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5898799B1 (ja) * 2015-03-31 2016-04-06 株式会社ナリス化粧品 抗酸化剤及び皮膚外用剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5898799B1 (ja) * 2015-03-31 2016-04-06 株式会社ナリス化粧品 抗酸化剤及び皮膚外用剤

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