JPH1052295A - タキサン類化合物の製造方法(ii) - Google Patents
タキサン類化合物の製造方法(ii)Info
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- JPH1052295A JPH1052295A JP8227480A JP22748096A JPH1052295A JP H1052295 A JPH1052295 A JP H1052295A JP 8227480 A JP8227480 A JP 8227480A JP 22748096 A JP22748096 A JP 22748096A JP H1052295 A JPH1052295 A JP H1052295A
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- Epoxy Compounds (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 抗腫瘍活性を有するタキサン類化合物の生産
性を著しく向上させたタキサン類化合物の製造方法の提
供。 【解決手段】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類を産生することのできる細胞を、インドール酪酸
を高濃度に添加した培地で培養し、タキサン類化合物を
産生せしめ、この培養物からタキサン類化合物を回収す
る。細胞培養は、固体培地で誘導し、増殖させたカルス
を、インドール酪酸を添加した液体培地を用いて、培養
する。インドール酪酸は培地濃度として4〜120 mg/Lに
なるように添加することが適当である。
性を著しく向上させたタキサン類化合物の製造方法の提
供。 【解決手段】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類を産生することのできる細胞を、インドール酪酸
を高濃度に添加した培地で培養し、タキサン類化合物を
産生せしめ、この培養物からタキサン類化合物を回収す
る。細胞培養は、固体培地で誘導し、増殖させたカルス
を、インドール酪酸を添加した液体培地を用いて、培養
する。インドール酪酸は培地濃度として4〜120 mg/Lに
なるように添加することが適当である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タクサス属植物由
来の細胞を培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、こ
のタキサン類化合物を培養物から回収することからなる
タキサン類化合物の製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、タクサス属植物由来の細胞の培養物であ
るカルスまたは液体培養細胞から高収率でタキサン類化
合物を産生させ、これを回収するタキサン類化合物の製
造方法に関する。
来の細胞を培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、こ
のタキサン類化合物を培養物から回収することからなる
タキサン類化合物の製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、タクサス属植物由来の細胞の培養物であ
るカルスまたは液体培養細胞から高収率でタキサン類化
合物を産生させ、これを回収するタキサン類化合物の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タクサス属植物 (Taxus sp.)植物
体中に、タキソールおよびその誘導体が存在することが
知られていた。また、これらのタキソール類化合物がメ
ラノーマB16を含む種々のセルラインにおいて高い抗
腫瘍活性を示すことが知られており、タキソール類化合
物の抗腫瘍成分としての有効性について各種の臨床試験
が報告されている。
体中に、タキソールおよびその誘導体が存在することが
知られていた。また、これらのタキソール類化合物がメ
ラノーマB16を含む種々のセルラインにおいて高い抗
腫瘍活性を示すことが知られており、タキソール類化合
物の抗腫瘍成分としての有効性について各種の臨床試験
が報告されている。
【0003】これらのタキソール類化合物を用いた臨床
試験および商業規模での化学療法には大量のタキソール
類化合物が必要とされるが、天然起源のタキソール類化
合物を大量に生産することは技術的に六難しく、現在ま
で行われていない。タキソール類化合物は、複雑な構造
の化合物であり、化学合成による生産もこれまで行われ
ていない。従って、タキソールの各種誘導体の調製も、
その出発材料は天然起源のものが用いられている。
試験および商業規模での化学療法には大量のタキソール
類化合物が必要とされるが、天然起源のタキソール類化
合物を大量に生産することは技術的に六難しく、現在ま
で行われていない。タキソール類化合物は、複雑な構造
の化合物であり、化学合成による生産もこれまで行われ
ていない。従って、タキソールの各種誘導体の調製も、
その出発材料は天然起源のものが用いられている。
【0004】しかしながら、タキソールおよびその誘導
体を含有するタクサス属植物は、特殊な植物であり、成
長が遅く、人工的な栽培も行われていない状況にある。
また、タキソール類化合物の生産には大量のタクサス属
植物のバルクが必要とされるだけでなくバルクからタキ
ソール類化合物を分離、回収するのに複雑な工程が必要
とされ、また、回収された生産物が変質し易いなどの問
題点があった。
体を含有するタクサス属植物は、特殊な植物であり、成
長が遅く、人工的な栽培も行われていない状況にある。
また、タキソール類化合物の生産には大量のタクサス属
植物のバルクが必要とされるだけでなくバルクからタキ
ソール類化合物を分離、回収するのに複雑な工程が必要
とされ、また、回収された生産物が変質し易いなどの問
題点があった。
【0005】また、最近になって、タクサス属植物の生
組織を特定の培地で培養することによりタキサン骨格を
含むアルカロイド化合物を生産させ、これを分離、回収
することも研究されている。これは、タクサス属植物の
生組織を用いて組織培養法によりタキサン骨格を含むア
ルカロイド化合物を生産する点で従来の天然バルク抽出
法に比較して新しい生産技術であると言える。
組織を特定の培地で培養することによりタキサン骨格を
含むアルカロイド化合物を生産させ、これを分離、回収
することも研究されている。これは、タクサス属植物の
生組織を用いて組織培養法によりタキサン骨格を含むア
ルカロイド化合物を生産する点で従来の天然バルク抽出
法に比較して新しい生産技術であると言える。
【0006】しかしながら、従来報告されているもの
は、アルカロイド化合物の生産性が充分なものではな
く、薬剤試験および化学療法など薬剤成分が大量に必要
とされる応用、利用研究およびその実用化のためには目
的化合物の生産性が低い点で全く不充分なものであり、
これらタキサン骨格を含むアルカロイド化合物を高い生
産性をもって生産することが可能な新しい生産技術を開
発することが強く要請されている状況にあった。
は、アルカロイド化合物の生産性が充分なものではな
く、薬剤試験および化学療法など薬剤成分が大量に必要
とされる応用、利用研究およびその実用化のためには目
的化合物の生産性が低い点で全く不充分なものであり、
これらタキサン骨格を含むアルカロイド化合物を高い生
産性をもって生産することが可能な新しい生産技術を開
発することが強く要請されている状況にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑み
て、本発明者らは、抗腫瘍成分として有用性の高いタキ
ソール類およびバッカテイン類などのタキサン類化合物
を高い生産性をもって生産することが可能な新しい生産
技術を開発することを目的として鋭意研究を積み重ねた
結果、タクサス属植物に由来し、タキサン類化合物を産
生することのできる細胞を特定の成分を高濃度に添加し
た培地を用いて培養することにより、従来のタクサス属
植物の組織培養法に比較して細胞の増殖率を高め、タキ
サン類化合物の生産性が著しく向上することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
て、本発明者らは、抗腫瘍成分として有用性の高いタキ
ソール類およびバッカテイン類などのタキサン類化合物
を高い生産性をもって生産することが可能な新しい生産
技術を開発することを目的として鋭意研究を積み重ねた
結果、タクサス属植物に由来し、タキサン類化合物を産
生することのできる細胞を特定の成分を高濃度に添加し
た培地を用いて培養することにより、従来のタクサス属
植物の組織培養法に比較して細胞の増殖率を高め、タキ
サン類化合物の生産性が著しく向上することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、特定の成分を従来の
添加量より高濃度に添加した培地でタクサス属植物由来
の細胞を培養することにより該細胞の増殖率を高め、高
い生産性でタキサン類化合物を生産させるタキサン類化
合物の新規製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
添加量より高濃度に添加した培地でタクサス属植物由来
の細胞を培養することにより該細胞の増殖率を高め、高
い生産性でタキサン類化合物を生産させるタキサン類化
合物の新規製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するためになされたものであって、タクサス属
植物 (Taxus sp.)由来のタキサン類化合物を産生するこ
とのできる細胞を、インドール酪酸を高濃度に添加した
培地で培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、この培
養物から産生したタキサン類化合物を回収することより
なるタキサン類化合物の製造方法に関する。
的を達成するためになされたものであって、タクサス属
植物 (Taxus sp.)由来のタキサン類化合物を産生するこ
とのできる細胞を、インドール酪酸を高濃度に添加した
培地で培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、この培
養物から産生したタキサン類化合物を回収することより
なるタキサン類化合物の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるタクサス属植物と
しては、タクサス ブレビホリア(Taxus brevifoli
a)、タクサス カナデンシス(T.canadensis) 、タク
サス x メジア cv.ヒクシー(T. x media cv.hicksi
i)、タクサス クスピダータ (T. cuspidata) などが例
示される。利用する植物の部位としては、根、葉、胚、
幹、茎、メリステムなど植物組織の適宜の細胞が対象と
なり、タクサス属植物の生組織を含む切片の形で用いら
れる。切片の切り出し部位としては、新芽、若い葉、成
熟した種子の中身、内部の胚、赤色の仮種皮、緑色の仮
種皮などが用いられる。
しては、タクサス ブレビホリア(Taxus brevifoli
a)、タクサス カナデンシス(T.canadensis) 、タク
サス x メジア cv.ヒクシー(T. x media cv.hicksi
i)、タクサス クスピダータ (T. cuspidata) などが例
示される。利用する植物の部位としては、根、葉、胚、
幹、茎、メリステムなど植物組織の適宜の細胞が対象と
なり、タクサス属植物の生組織を含む切片の形で用いら
れる。切片の切り出し部位としては、新芽、若い葉、成
熟した種子の中身、内部の胚、赤色の仮種皮、緑色の仮
種皮などが用いられる。
【0011】切片の培養は、まず、切片を滅菌処理し、
これをオーキシン、サイトカイニン等を添加した寒天培
地などの固体培地上で培養してカルスを誘導させる。誘
導されたカルスを同様の固体培地上で充分に増殖させ
る。切片の滅菌は、エタノール表面殺菌、次亜塩素酸塩
による処理、滅菌した蒸留イオン交換水による洗浄など
により行う。
これをオーキシン、サイトカイニン等を添加した寒天培
地などの固体培地上で培養してカルスを誘導させる。誘
導されたカルスを同様の固体培地上で充分に増殖させ
る。切片の滅菌は、エタノール表面殺菌、次亜塩素酸塩
による処理、滅菌した蒸留イオン交換水による洗浄など
により行う。
【0012】培地は、ガンボルグ(Gamborg) B5、ムラシ
ゲ・スクーグ(Murashige-Skoog) 、ニッチ・ニッチ(Nit
ch+Nitch)などのような無機塩、ビタミン類を含有する
基礎培地に、炭素源としてショ糖などの糖類、2, 4−ジ
クロロフェノキシ酢酸(2, 4-D) 、ナフタレン酢酸(N
AA)、インドール酪酸、インドール酢酸、ベンジルア
デニン、カイネチンなどの植物ホルモン、寒天などを添
加して構成し、これにフェノール吸着作用を有する化合
物を添加したものが用いられる。培養は、暗所に静置
し、20℃から26℃前後で約50日間実施する。一般に、生
成したフェノール類化合物が酸化して生じるキノン類が
重合して着色物質になるため培養の過程で褐変が生起す
るが、褐変防止剤を添加することにより培地の褐変が防
止される。2, 4-D、カイネチンなどの植物ホルモンの濃
度も褐変およびカルスの増殖に影響し、これらの使用量
は、用いる培地、培養条件に応じて決定されるが、例え
ば、オーキシンとサイトカイニンについては、0から4
mg/lのオーキシンと0から4mg/lのサイトカイニンを含
有する培地を用いることが好ましい。増殖したカルスを
液体培地に移し、さらに液体培養して培養細胞および培
養液上清中にタキサン類化合物を生産させ、これを抽出
し、精製する。
ゲ・スクーグ(Murashige-Skoog) 、ニッチ・ニッチ(Nit
ch+Nitch)などのような無機塩、ビタミン類を含有する
基礎培地に、炭素源としてショ糖などの糖類、2, 4−ジ
クロロフェノキシ酢酸(2, 4-D) 、ナフタレン酢酸(N
AA)、インドール酪酸、インドール酢酸、ベンジルア
デニン、カイネチンなどの植物ホルモン、寒天などを添
加して構成し、これにフェノール吸着作用を有する化合
物を添加したものが用いられる。培養は、暗所に静置
し、20℃から26℃前後で約50日間実施する。一般に、生
成したフェノール類化合物が酸化して生じるキノン類が
重合して着色物質になるため培養の過程で褐変が生起す
るが、褐変防止剤を添加することにより培地の褐変が防
止される。2, 4-D、カイネチンなどの植物ホルモンの濃
度も褐変およびカルスの増殖に影響し、これらの使用量
は、用いる培地、培養条件に応じて決定されるが、例え
ば、オーキシンとサイトカイニンについては、0から4
mg/lのオーキシンと0から4mg/lのサイトカイニンを含
有する培地を用いることが好ましい。増殖したカルスを
液体培地に移し、さらに液体培養して培養細胞および培
養液上清中にタキサン類化合物を生産させ、これを抽出
し、精製する。
【0013】本発明では、上記方法において固体培地ま
たは液体培地にインドール酪酸を従来用いられている量
より高濃度に植物ホルモンとして添加する。添加量は、
培地におけるインドール酪酸の濃度が、4〜120mg/L 、
好ましくは、4〜20mg/L、より好ましくは4〜8mg/Lと
なるように添加する。インドール酪酸は、従来植物ホル
モンとして細胞培養に使用されているがその量は通常4
mg/Lを越えることはない。本発明のように、インドール
酪酸濃度が4mg/Lを越えると細胞の増殖率が急激に上昇
し、高いタキサン類化合物生産性を示す。
たは液体培地にインドール酪酸を従来用いられている量
より高濃度に植物ホルモンとして添加する。添加量は、
培地におけるインドール酪酸の濃度が、4〜120mg/L 、
好ましくは、4〜20mg/L、より好ましくは4〜8mg/Lと
なるように添加する。インドール酪酸は、従来植物ホル
モンとして細胞培養に使用されているがその量は通常4
mg/Lを越えることはない。本発明のように、インドール
酪酸濃度が4mg/Lを越えると細胞の増殖率が急激に上昇
し、高いタキサン類化合物生産性を示す。
【0014】さらに本発明では、これらのインドール酪
酸と炭水化物、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン
誘導体、イソプレノイド誘導体等を適宜併用してもよ
い。炭水化物としては、デンプン、アミロペクチン等の
多糖類、ラフィノース等の三糖類、ラクトース、イソマ
ルトース、セロビオース、アルドース等の二糖類、フル
クトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類が用い
られる。アミノ酸としては、メチオニン、バリン、アラ
ニン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、セリン、ト
レオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、リ
ジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒ
ドロキシプロリン、ヒドロキシリジン等の脂肪族アミノ
酸が用いられる。また、トリプトファン、フェニルアラ
ニン、チロシン、ヒスチジン等の芳香族アミノ酸を用い
てもよい。また、トロポロン誘導体としては、トロポロ
ン、7-ヒドロキシトロポロン、3,3- ジヒドロキシトロ
ポロン、β- ケセプリン (ヒノキチオール) 等が用いら
れる。バニリン誘導体としては、バニリン、O-バニリ
ン、バニリン酸、バニリルアミン、バニリルアルコー
ル、バニリル乳酸、バニリルマンデル酸、カプサイシン
等が用いられる。イソプレノイド誘導体としては、酢
酸、メバロン酸、ラクトン、ジメチルアリルアルコー
ル、ジメチルアリルピロリン酸、イソペンテニルアルコ
ール、イソペンテニルピロリン酸、ゲラニオール、ゲラ
ニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルピロリン酸、ネオ
センブレン等が用いられる。これらの化合物は炭化水
素、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導体、イ
ソプレノイド誘導体のなかからその1種をインドール酪
酸と併用してもよいし、さらにこれらの化合物を数種組
合せて用いてもよい。
酸と炭水化物、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン
誘導体、イソプレノイド誘導体等を適宜併用してもよ
い。炭水化物としては、デンプン、アミロペクチン等の
多糖類、ラフィノース等の三糖類、ラクトース、イソマ
ルトース、セロビオース、アルドース等の二糖類、フル
クトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類が用い
られる。アミノ酸としては、メチオニン、バリン、アラ
ニン、ロイシン、イソロイシン、グリシン、セリン、ト
レオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、リ
ジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒ
ドロキシプロリン、ヒドロキシリジン等の脂肪族アミノ
酸が用いられる。また、トリプトファン、フェニルアラ
ニン、チロシン、ヒスチジン等の芳香族アミノ酸を用い
てもよい。また、トロポロン誘導体としては、トロポロ
ン、7-ヒドロキシトロポロン、3,3- ジヒドロキシトロ
ポロン、β- ケセプリン (ヒノキチオール) 等が用いら
れる。バニリン誘導体としては、バニリン、O-バニリ
ン、バニリン酸、バニリルアミン、バニリルアルコー
ル、バニリル乳酸、バニリルマンデル酸、カプサイシン
等が用いられる。イソプレノイド誘導体としては、酢
酸、メバロン酸、ラクトン、ジメチルアリルアルコー
ル、ジメチルアリルピロリン酸、イソペンテニルアルコ
ール、イソペンテニルピロリン酸、ゲラニオール、ゲラ
ニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルピロリン酸、ネオ
センブレン等が用いられる。これらの化合物は炭化水
素、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導体、イ
ソプレノイド誘導体のなかからその1種をインドール酪
酸と併用してもよいし、さらにこれらの化合物を数種組
合せて用いてもよい。
【0015】本発明におけるインドール酪酸の添加量
は、培地濃度が4〜120mg/L 、好ましくは4〜20mg/L、
より好ましくは4〜8mg/Lとなるように添加されるが、
炭水化物、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導
体、イソプレノイド誘導体を併用するときは、上記の添
加量を適宜変更してもよい。
は、培地濃度が4〜120mg/L 、好ましくは4〜20mg/L、
より好ましくは4〜8mg/Lとなるように添加されるが、
炭水化物、アミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導
体、イソプレノイド誘導体を併用するときは、上記の添
加量を適宜変更してもよい。
【0016】このような化合物を培地中に添加すること
により、タキサン類化合物産生細胞の増殖率を高め、タ
キサン類化合物の生産性を著しく向上することができ
る。このように、二次代謝産物の生産性を向上させる上
で前記化合物の培地への添加は、きわめて有効である。
培地濃度 4mg/L以下だと細胞の増殖が遅くタキサン類化
合物の生産性を向上することができず、10重量%以上だ
とかえって細胞の増殖を阻害するので好ましくない。
により、タキサン類化合物産生細胞の増殖率を高め、タ
キサン類化合物の生産性を著しく向上することができ
る。このように、二次代謝産物の生産性を向上させる上
で前記化合物の培地への添加は、きわめて有効である。
培地濃度 4mg/L以下だと細胞の増殖が遅くタキサン類化
合物の生産性を向上することができず、10重量%以上だ
とかえって細胞の増殖を阻害するので好ましくない。
【0017】このようにして得られた培養細胞及び培養
液上清を乾燥し、これからタキサン類化合物を抽出し、
必要に応じて精製する。すなわち、生産されたタキサン
類化合物を、ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン抽
出などにより抽出し、分離、回収する。分離、回収に
は、抽出、カラム分離等従来化合物の分離精製に用いら
れている通常の方法が用いられる。また、この抽出液を
乾燥してこれをタキサン類化合物として用いてもよい
し、さらにタキサン類化合物を単離してもよい。目的化
合物のタキサン類化合物の分析にはHPLC分析などが
用いられる。目的化合物のタキサン類化合物としては、
以下の式で示されるタキサン骨格を有するタキソール
(I)、セファロマニン (II) 、10- デアセチルセファロ
マニン(III)、バカテインIII (IV)、10- デアセチルバ
カテインIII(V) などの化合物を例示することができ
る。
液上清を乾燥し、これからタキサン類化合物を抽出し、
必要に応じて精製する。すなわち、生産されたタキサン
類化合物を、ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン抽
出などにより抽出し、分離、回収する。分離、回収に
は、抽出、カラム分離等従来化合物の分離精製に用いら
れている通常の方法が用いられる。また、この抽出液を
乾燥してこれをタキサン類化合物として用いてもよい
し、さらにタキサン類化合物を単離してもよい。目的化
合物のタキサン類化合物の分析にはHPLC分析などが
用いられる。目的化合物のタキサン類化合物としては、
以下の式で示されるタキサン骨格を有するタキソール
(I)、セファロマニン (II) 、10- デアセチルセファロ
マニン(III)、バカテインIII (IV)、10- デアセチルバ
カテインIII(V) などの化合物を例示することができ
る。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】以下、実施例にもとづいて本発明をさらに
詳細に説明する。
詳細に説明する。
【実施例1】植物材料として、タクサス クスピダータ
(Taxus cuspidata) の茎の切片を用いた。この切片を蒸
留水で洗浄し、70%エタノールで表面殺菌を30〜60秒行
い、1.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(数滴のTween 2
0添加) に20〜30分浸漬し、さらに滅菌した蒸留水で3
回洗浄して切片の滅菌を行った。この切片をガンボルグ
B5基本培地に、ショ糖2%、寒天 0.8%、2, 4-D1mg/
L 、カイネチン1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加して調製した固体培地を用いて、26℃、暗所に静置
して培養することによりカルスを誘導させた。培養28日
目に植え継ぎ、同様の固体培地を用いてカルスを増殖さ
せた。
(Taxus cuspidata) の茎の切片を用いた。この切片を蒸
留水で洗浄し、70%エタノールで表面殺菌を30〜60秒行
い、1.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(数滴のTween 2
0添加) に20〜30分浸漬し、さらに滅菌した蒸留水で3
回洗浄して切片の滅菌を行った。この切片をガンボルグ
B5基本培地に、ショ糖2%、寒天 0.8%、2, 4-D1mg/
L 、カイネチン1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加して調製した固体培地を用いて、26℃、暗所に静置
して培養することによりカルスを誘導させた。培養28日
目に植え継ぎ、同様の固体培地を用いてカルスを増殖さ
せた。
【0022】得られたカルスを蔗糖3% 2, 4-D 4mg/L
、カイネチン 1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加したガンボルグB5液体培地に移し、26℃、暗所で
80 rpmで攪拌下に培養を行なった。28日ごとに培養液を
交換し、植え継いで細胞を増殖させた。
、カイネチン 1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加したガンボルグB5液体培地に移し、26℃、暗所で
80 rpmで攪拌下に培養を行なった。28日ごとに培養液を
交換し、植え継いで細胞を増殖させた。
【0023】このようにして得られた培養細胞 0.2g(新
鮮細胞質量) を36mmφのマイクロプレートウェルに移
し、インドール酪酸(IBA)4mg/L、16mg/L及び64mg/Lをさ
らに加えた、前記液体培地 3.8 mL 中で培養を行なっ
た。この培養は、25℃の暗所で培地を80 rpmで旋回させ
ながら21日間培養を行なった。また、比較例としてイン
ドール酪酸等に代えて、2, 4- ジクロロフェノキシ酢酸
(2, 4-D)1mg/Lを植物ホルモンとして加えて、前記液体
培地で同様の培養を行なった。
鮮細胞質量) を36mmφのマイクロプレートウェルに移
し、インドール酪酸(IBA)4mg/L、16mg/L及び64mg/Lをさ
らに加えた、前記液体培地 3.8 mL 中で培養を行なっ
た。この培養は、25℃の暗所で培地を80 rpmで旋回させ
ながら21日間培養を行なった。また、比較例としてイン
ドール酪酸等に代えて、2, 4- ジクロロフェノキシ酢酸
(2, 4-D)1mg/Lを植物ホルモンとして加えて、前記液体
培地で同様の培養を行なった。
【0024】培養終了後、培養液から細胞を分離し、こ
の細胞を凍結乾燥し、破砕し、40mLのメタノール: ジク
ロロメタン(1 : 1) の溶媒で室温の下に1時間超音波条
件下で抽出を行なった。この抽出液を 2500kg で20分間
遠心分離して上澄み (粗抽出液) を得た。この粗抽出液
を25℃で乾燥し、メタノール 500μL に溶解し濾紙で濾
過した。濾液には、タキソール、バッカチンIII 、10-
デアセチルバッカチンIII 、セファロマニンなどのタキ
ソール類化合物を 0.1%以上の収率で含有していた。前
記炭水化物を添加した液体培地中での培養細胞の増殖率
及びタキソールの収率は表2に示した。
の細胞を凍結乾燥し、破砕し、40mLのメタノール: ジク
ロロメタン(1 : 1) の溶媒で室温の下に1時間超音波条
件下で抽出を行なった。この抽出液を 2500kg で20分間
遠心分離して上澄み (粗抽出液) を得た。この粗抽出液
を25℃で乾燥し、メタノール 500μL に溶解し濾紙で濾
過した。濾液には、タキソール、バッカチンIII 、10-
デアセチルバッカチンIII 、セファロマニンなどのタキ
ソール類化合物を 0.1%以上の収率で含有していた。前
記炭水化物を添加した液体培地中での培養細胞の増殖率
及びタキソールの収率は表2に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によると、タクサス属植物由来の
細胞をインドール酪酸を添加した培地で培養し、タキサ
ン類化合物を産生させ、この培養物からタキサン類化合
物を回収することを特徴とするものであり、このことに
より、従来の組織培養法と比較して細胞の増殖率を高
め、タキサン類化合物の生産性を著しく向上させること
ができる。
細胞をインドール酪酸を添加した培地で培養し、タキサ
ン類化合物を産生させ、この培養物からタキサン類化合
物を回収することを特徴とするものであり、このことに
より、従来の組織培養法と比較して細胞の増殖率を高
め、タキサン類化合物の生産性を著しく向上させること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12N 5/04 C12R 1:91)
Claims (1)
- 【請求項1】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類化合物を産生することのできる細胞を、インドー
ル酪酸を高濃度に添加した培地で培養し、タキサン類化
合物を産生せしめ、この培養物から該化合物を回収する
ことを特徴とするタキサン類化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8227480A JPH1052295A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(ii) |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8227480A JPH1052295A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(ii) |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1052295A true JPH1052295A (ja) | 1998-02-24 |
Family
ID=16861547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8227480A Pending JPH1052295A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(ii) |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1052295A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7264951B1 (en) | 1992-02-20 | 2007-09-04 | Phyton, Inc. | Enhanced production of taxol and taxanes by cell cultures of Taxus species |
JP2012507579A (ja) * | 2008-11-06 | 2012-03-29 | 株式会社ウンファ | 天然高麗人参または高麗人参を含む高麗人参類の形成層由来植物幹細胞株を有効成分として含有する癌予防または治療用組成物 |
US8338143B2 (en) | 1996-05-24 | 2012-12-25 | Phyton Holdings, Llc | Enhanced production of paclitaxel and taxanes by cell cultures of Taxus species |
-
1996
- 1996-08-09 JP JP8227480A patent/JPH1052295A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7264951B1 (en) | 1992-02-20 | 2007-09-04 | Phyton, Inc. | Enhanced production of taxol and taxanes by cell cultures of Taxus species |
US8338143B2 (en) | 1996-05-24 | 2012-12-25 | Phyton Holdings, Llc | Enhanced production of paclitaxel and taxanes by cell cultures of Taxus species |
JP2012507579A (ja) * | 2008-11-06 | 2012-03-29 | 株式会社ウンファ | 天然高麗人参または高麗人参を含む高麗人参類の形成層由来植物幹細胞株を有効成分として含有する癌予防または治療用組成物 |
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