JPH089983A - タキサン型ジテルペンの製造方法 - Google Patents

タキサン型ジテルペンの製造方法

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JPH089983A
JPH089983A JP6146826A JP14682694A JPH089983A JP H089983 A JPH089983 A JP H089983A JP 6146826 A JP6146826 A JP 6146826A JP 14682694 A JP14682694 A JP 14682694A JP H089983 A JPH089983 A JP H089983A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の組織
及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気相中
の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満の条件下に培養初期
から制御して培養を行うか、或いは組織及び/又は細胞
と接する流動性の培地中の溶存酸素濃度をその温度にお
ける飽和溶存酸素濃度未満である条件下に培養初期から
制御して培養を行い、得られる培養物からタキサン型ジ
テルペンを回収することを特徴とするタキサン型ジテル
ペンの製造方法。 【効果】 本発明方法は、タキサン型ジテルペンの生産
性の向上を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、卵巣癌、乳癌、肺癌等
の治療薬として有用であるタキソールを含むタキサン型
ジテルペンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】卵巣癌、乳癌、肺癌等の治療薬として有
用であるタキソール(Taxol) は、イチイ科イチイ属植物
であるタイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia NUTT) よ
り単離同定されたタキサン型ジテルペンであり、活性と
関連する複雑なエステルグループを有している。タキソ
ールはタイヘイヨウイチイ植物体中のどの部位にも存在
し、その含量は樹皮で最も高いことが報告されている。
現在、タキソールは天然の又は栽培された植物体から採
取されているが、イチイ属植物は地上20cmの高さに
成長するのに10年以上かかる生育の遅い植物であり、
また樹皮を剥ぐと木が枯れてしまうことから容易に大量
のタキソールを得ることは困難である。もし、タキソー
ル又はタキソールの前駆物質であるバッカチンIII(bacc
atin III)等のタキサン型ジテルペンを組織培養を利用
して生産することができれば、樹木を伐採することな
く、大量のタキソールを容易に得ることができるので有
利である。
【0003】これまでの植物の培養細胞を利用したタキ
ソール生産方法については、タイヘイヨウイチイ(Taxus
brevifolia NUTT) 培養細胞による生産方法が米国で特
許(米国特許第5019504 号)になっているが、そのタキ
ソール生産量は1〜3mg/l と記載されており、工業的生
産には不十分である。また、細胞培養によるタキソール
の生産性は不安定であり、選抜で一次的に生産性の高い
細胞が得られても、継代培養してその含量を維持するこ
とは難しい[E.R.M.Wickremesine et al., World Congr
ess on Cell and Tissue Culture(1992)]。
【0004】一方、タキソール生産法の先行技術として
は、タキソール生合成前駆体であるバッカチンIII から
の半合成法がHoltonらの米国特許第5015744 号明細書に
開示されている。植物の組織培養法を用いれば、バッカ
チンIII 等の半合成原料の生産も可能であり、前記半合
成法によるタキソール生産にも利用できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、植物組織培
養によるタキサン型ジテルペンの簡便な製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、タキサン型ジテルペンを産生する植物の組織及
び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気相中の
酸素濃度を大気中の酸素濃度未満の条件下に培養初期か
ら制御して培養を行うか、或いは組織及び/又は細胞と
接する流動性の培地中の溶存酸素濃度をその温度におけ
る飽和溶存酸素濃度未満である条件下に培養初期から制
御して培養を行うと、タキサン型ジテルペン生産性が向
上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、タキサン型ジテルペンを
産生する植物の組織及び/又は細胞を培養するに当た
り、培養器内の気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未
満の条件下に培養初期から制御して培養を行うか、或い
は組織及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸
素濃度をその温度における飽和溶存酸素濃度未満である
条件下に培養初期から制御して培養を行い、得られる培
養物からタキサン型ジテルペンを回収することを特徴と
するタキサン型ジテルペンの製造方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
製造方法の対象となるタキサン型ジテルペンとしては、
タキサン骨格を有するジテルペンであれば特に制限はな
く、例えばタキソール、10−デアセチルタキソール、
7−エピタキソ−ル、バッカチンIII 、10−デアセチ
ルバッカチンIII 、7−エピバッカチンIII 、セファロ
マニン、10−デアセチルセファロマニン、7−エピセ
ファロマニン、タキサギフィン及びその類縁体、キシロ
シルセファロマニン、キシロシルタキソール等が挙げら
れる。
【0009】本発明の製造方法に用いられるタキサン型
ジテルペンを産生する植物としては、例えば、セイヨウ
イチイ(Taxus baccata LINN)、イチイ(T. cuspidata SI
EB.et ZUCC) 、キャラボク(T. cuspidata SIEB.et ZUCC
var. nana REHDER)、タイヘイヨウイチイ(T. brevifol
ia NUTT)、カナダイチイ(T. canadiensis MARSH)、中国
イチイ(T. chinensis)、T.media 等のイチイ属植物が挙
げられる。
【0010】前記植物の培養は、本発明により、植物の
組織及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気
相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満の条件下に培養
初期から制御して培養を行うか、或いは組織及び/又は
細胞と接する流動性の培地中の溶存酸素濃度をその温度
における飽和溶存酸素濃度未満である条件下に培養初期
から制御して培養を行うこと以外は、従来から知られて
いる方法によって行うことができる。
【0011】従来、タキサン型ジテルペン産生植物の培
養において、組織及び/又は細胞を培養する培養器に供
給する気相中の酸素濃度、或いは組織及び/又は細胞と
接する培地の溶存酸素濃度を、大気中の酸素濃度未満の
条件下に制御して培養を行うか、或いは飽和溶存酸素濃
度未満の条件下に制御して培養を行った例は報告されて
おらず、しかもそれによりタキサン型ジテルペンの産生
量が増大することは予想外のことであった。
【0012】本発明において、組織及び/又は細胞を培
養する培養器内の気相中の酸素濃度は、4ないし15%に
制御することが必要であり、特に6ないし12%に制御す
ることが好ましい。また、組織及び/又は細胞と接する
流動性の培地中の溶存酸素濃度は、その温度における飽
和溶存酸素濃度値の1ないし75%に制御することが必要
であり、特に10ないし75%に制御することが好ましい。
【0013】本発明に使用される培地としては、従来か
ら知られている植物の組織培養に用いられる培地、例え
ばムラシゲ・スクーグ(1962 年) [Murashige & Skoog
]の培地、リンスマイヤー・スクーグ(1965 年) [Lin
smaier Skoog ]の培地、ウッディー・プラント・メデ
ィウム(1981 年) [Woody Plant Medium]の培地、ガン
ボルグ[Gamborg ]のB−5培地、三井のM−9培地等
が挙げられる。
【0014】これら培地に植物ホルモンを添加し、更に
必要に応じて炭素源、無機成分、ビタミン類、アミノ酸
等を添加することもできる。炭素源としては、シュクロ
ース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコー
ス、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、デンプン
或いはこれら糖源の2種類以上を適当な比率で混合した
ものを使用できる。
【0015】無機成分としては、例えばリン、窒素、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マン
ガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウ
ム、ヨウ素、コバルト等が挙げられ、これらの成分は例
えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、
塩化カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カ
リウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナト
リウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸
亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸
化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の化合
物として添加できる。
【0016】植物ホルモンとしては、例えばインドール
酢酸(IAA) 、ナフタレン酢酸(NAA)、2, 4−ジクロロ
フェノキシ酢酸(2,4-D) 等のオーキシン類、カイネチ
ン、ゼアチン、ジヒドロゼアチン等のサイトカイニン類
が用いられる。ビタミン類としては、例えばビオチン、
チアミン(ビタミンB1 )、ピリドキシン(ビタミンB
6 )、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が用
いられる。
【0017】アミノ酸類としては、例えばグリシン、フ
ェニルアラニン、ロイシン、グルタミン、システイン等
を添加できる。一般に前記の各成分は、炭素源が約1〜
約30g/l 、無機成分が約0.1 μM 〜約100mM 、植物ホル
モン類が約0.01〜約10μM 、ビタミン類及びアミノ酸類
がそれぞれ約0.1 〜約100mg/l の濃度で用いられる。
【0018】なお、本発明には液体培地及び寒天やゲラ
ンガム等を通常0.1 〜1%含有する固形培地のいずれも
使用できる。本発明における組織培養においては、前記
植物の根、生長点、葉、茎、種子、花粉、葯、がく等の
組織片又は細胞、或いはこれらを前記培地或いは他の従
来の培地によって組織培養して得られる培養細胞を使用
することができる。
【0019】また、本発明は、Agrobacterium tumefaci
ens 又はAgrobacterium rhizogenesによる感染によって
得られる腫瘍細胞及び/又は毛状根に適用することもで
きる。これらの組織及び/又は細胞を培養するに当た
り、培養器内の気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未
満の条件下に培養初期から制御して培養を行うか、或い
は組織及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸
素濃度をその温度における飽和溶存酸素濃度未満である
条件下に培養初期から制御して培養を行うと、通常の培
養条件下で組織培養した場合と比較してタキサン型ジテ
ルペン生産性の高い培養組織又は培養細胞が得られる。
【0020】本発明において、培養初期とは、培養開始
時ないし培養開始後7日目をいい、培養器内の気相中の
酸素濃度、又は組織及び/又は細胞と接する流動性の培
地中の溶存酸素濃度の制御は、培養開始時から行うこと
が好ましい。また、制御の期間としては、培養全期間を
通して該条件に制御してもよいし、培養全期間中の一部
期間のみを制御してもよく、特に限定するものではない
が、全培養期間中の、少なくとも3日間制御することが
好ましい。
【0021】本発明の製造方法は、各種のタキサン型ジ
テルペンの生産促進物質の存在下に培養する方法と併用
することにより、タキサン型ジテルペンの生産性を更に
高めることができる。タキサン型ジテルペンの生産促進
物質としては、例えば、特願平6−104213号明細
書に開示されている一般式(I):
【0022】
【化2】 [式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又は次式: −(CH2 n −CO−R6 (式中、R6 は水酸基、OM(ここで、Mはアルカリ金
属原子、アルカリ土類金属原子又はNH4 を表す。)、
NHR7 (ここで、R7 は、水素原子、炭素数1〜4の
アシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ酸残基
を表す。)又はOR8 (ここで、R8 は炭素数1〜4の
アルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表し、nは1
〜7の整数を表す。)で示される基を表し;R2
3 、R4 及びR5 は、それぞれ水素原子を表すか、或
いはR2 とR3 、R3 とR4 、又はR4とR5 は、共同
して二重結合を表してもよく;前記5員環は、更に水酸
基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で
二重結合を形成してもよい。]で示されるジャスモン酸
類、特願平6−104211号明細書に開示されている
一般式(II):
【0023】
【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は前記と同義
であり、R9 は水酸基又は−O−炭水化物残基を表
す。)で示されるジャスモン酸類、特願平6−1042
12号明細書に開示されている一般式 (III):
【0024】
【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 は前記と同義
である。)で示されるジャスモン酸類が挙げられる。前
記一般式(I)、(II)及び (III)において、R1 、R
7 又はR8 で表される炭素数1〜4のアルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル
基、t−ブチル基が挙げられる。
【0025】R6 がOMである場合において、Mで表さ
れるアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子として
は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げら
れる。R6 がNHR7 である場合において、R7 で表さ
れる炭素数1〜4のアシル基は、直鎖、分岐鎖のいずれ
でもよく、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニ
ル基、ブチリル基、アクリロイル基が挙げられる。
【0026】R6 がNHR7 である場合において、R7
で表されるアミノ酸残基としては、例えばイソロイシル
基、チロシル基、トリプトフィル基が挙げられる。R6
がOR8 である場合において、R8 で表される炭水化物
残基としては、例えばグルコピラノシル基が挙げられ
る。前記一般式(II)において、R9 が−O−炭水化物
残基である場合における炭水化物残基としては、例えば
グルコピラノシル基が挙げられる。
【0027】前記一般式(I)、(II)又は (III)で示
される化合物の好ましいものとしては、R1 が−(CH
2 n COOH又は−(CH2 n COOCH3 であ
り、R 2 、R3 、R4 及びR5 が、それぞれ水素原子を
表すか、或いはR2 とR3 、R 3 とR4 、又はR4 とR
5 が、共同して二重結合を表す化合物が挙げられる。前
記一般式(I)で示されるジャスモン酸類の好ましい具
体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられ
る。
【0028】(化合物A) R1 :−(CH2 n COOH又は−(CH2 n CO
OCH3 (n=1〜3) R2 ,R3 :H R4 +R5 :二重結合
【0029】(化合物B) R1 :−CH2 COOH R2 ,R3 ,R4 ,R5 :H また、前記一般式(I)で示される化合物は、5員環
が、更に水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員
炭素原子間で二重結合を形成してもよい。5員環が、更
に水酸基で置換された化合物、又は隣接する環員炭素原
子間で二重結合が形成された化合物の具体例としては、
例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
【0030】(化合物C)
【化5】 (化合物D)
【化6】
【0031】(化合物E)
【化7】
【0032】(化合物F)
【化8】 前記一般式(II)で示されるジャスモン酸類の好ましい
具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられ
る。
【0033】(化合物G)
【化9】
【0034】(化合物H)
【化10】
【0035】(化合物I)
【化11】
【0036】(化合物J)
【化12】 前記一般式 (III)で示されるジャスモン酸類の好ましい
具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられ
る。
【0037】(化合物K)
【化13】
【0038】(化合物L)
【化14】
【0039】(化合物M)
【化15】
【0040】(化合物N)
【化16】 前記ジャスモン酸類には種々の立体異性体(シストラン
ス異性体、光学異性体)が存在するが、それぞれの異性
体を単独で用いても、混合物の形で用いてもよい。
【0041】以上のジャスモン酸類は、全てタキサン型
ジテルペンの生産性向上に効果を有するが、中でも前記
一般式(I)においてR1 が−CH2 COOH又は−C
2COOCH3 であり、R2 及びR3 が水素原子であ
り、R4 とR5 が共同して二重結合を形成している化合
物であるジャスモン酸又はジャスモン酸メチル、ツベロ
ン酸又はツベロン酸メチル、及びククルビン酸又はクク
ルビン酸メチルが生産性向上に対する効果の大きさの点
から特に好ましい。
【0042】これらジャスモン酸類は、合成により、又
は植物からの抽出等により調製される(H. Yamane et a
l., Agric. Biol. Chem., 44, 2857-2864(1980) )。一
方、ジャスモン酸類は、生長促進や組織の成熟、病害抵
抗性の発現にかかわる諸反応を誘起する植物ホルモン様
物質として、種々の植物が自ら生産することが、吉原照
彦著、植物細胞工学第2巻第4号523〜531頁(1
990年)に記載されている。
【0043】従って、前記ジャスモン酸類は、培養系外
から添加するほかに、使用する培養細胞又は培養組織に
自ら生産させることもできる。この内在性ジャスモン酸
類の培養細胞又は培養組織による生産を促進する方法と
しては、微生物の培養物又はその抽出物、熱処理物或い
は植物抽出物などの培地への添加を例示することがで
き、具体的にはM.J.Mueller et al., Proc. Natl. Aca
d. Sci. U.S.A.,90(16),7490-7494 (1993) に記載の、
カビ細胞壁画分を添加する方法を例示することができ
る。更に、使用する培養細胞又は培養組織に、機械的に
又は紫外線、熱などによって部分的に傷害を与えること
によっても、内在性ジャスモン酸の生産量を高めること
が可能であり、具体的には、R.A.Cleeman et al., Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,89(11), 4938-4941 (198
9) に記載の、機械的に一部の細胞を破壊する方法を例
示することができる。
【0044】ジャスモン酸類は、水に対して難溶性のた
め、通常エタノール、メタノール等の有機溶媒、又は界
面活性剤等に溶解した後、培地に添加する。また、遊離
形のジャスモン酸類は、そのまま用いてもよいし、アル
カリで中和して塩にして用いてもよい。ジャスモン酸類
は、5員環カルボニル基のα位が、酸、アルカリ、熱に
よってエピマー化を起こすため、不安定なシス型より安
定なトランス型になりやすい。天然又は合成ジャスモン
酸を用いた平衡実験では、トランス型が90%、シス型
が10%の状態で存在する。一般にはシス型の方が活性
が強いとされているが、本発明で使用することができる
ジャスモン酸類は、前記式(I)で示される全ての立体
異性体化合物及びその混合物を包含する。
【0045】ジャスモン酸類は、培地における濃度が0.
01〜1000μMとすることが必要であり、この中でも特に
ジャスモン酸類の濃度を 0.1〜500 μMの範囲に調整す
ることが好ましい。ジャスモン酸類は、培養細胞の増殖
期ないし定常期に添加することが効果的であり、この中
でも特に増殖期から定常期に移行する時期にジャスモン
酸類を添加することが好ましい。また、内在性ジャスモ
ン酸類の生産量を高めるための処理の時期についてもこ
れと同様である。例えば、21日おきに細胞を移植してい
る場合には7〜16日目がジャスモン酸類の添加又は内在
性ジャスモン酸類の生産量を高めるための処理の適期に
あたる。また、ジャスモン酸類の添加及び内在性ジャス
モン酸類の生産量を高める処理は、一度に行ってもよい
し、複数回に分けて行ってもよい。
【0046】また、本発明は、特願平5−284893
号、同6−104213号明細書に開示されている、細
胞を比重の違いにより複数の層に分け、少なくとも1つ
の層に含まれる細胞を培養する方法と併用することもで
きる。細胞を比重によって分離する方法としては、一般
に遠心分離用媒体を用いて密度勾配を作成し、細胞を重
層した後、遠心分離する方法が知られている。
【0047】遠心分離用媒体としては、Ficoll、Percol
l (共にPharmacia LKB Biotechnology 社製)、ショ
糖、塩化セシウム等が用いられる。密度勾配を形成する
層の数に特に制限はない。各層の比重差は、特に限定さ
れるものではなく、また各比重差は同じであっても異な
っていてもよい。従って、この密度勾配の定義には勾配
が連続的に変化する場合(密度勾配を形成する層の数が
無限大、各層の比重差が0に近い状態)も含む。
【0048】このようにして密度勾配を形成し、細胞を
重層、遠心分離することにより細胞を比重の違いにより
複数の層に分けることができる。作成する層の比重は、
通常1.00〜1.20g/ml、好ましくは1.03〜1.11g/mlの範囲
である。培養の対象となる層としては、少なくとも1つ
の層を選択し、また全ての層を選択して培養してもよ
い。
【0049】複数の層を選択して培養する場合、これら
の複数の層は、それぞれ個別に培養することもできる
が、選択した複数の層のうちの2層以上の層を混合して
培養することもできる。タキサン型ジテルペン産生能の
高い培養細胞は、通常、比重が1.07以下の層に含まれる
細胞を培養して得られるが、培養する細胞や培養の条件
により変動する場合があり、必ずしもこの範囲に限定さ
れるものではない。また、単に比重の違いによって分画
しただけでは、比重の高い層の細胞の方がタキサン型ジ
テルペン含量が高くなる傾向が認められる。従って、よ
り確実にタキサン型ジテルペン高産生培養細胞を取得す
るためには、分画された全ての層の細胞を一定期間培養
した後、各層の細胞に含まれるタキサン型ジテルペン濃
度を測定し、それらの中からタキサン型ジテルペン高産
生細胞を含む層を選択することが望ましい。
【0050】また、例えば1.07g/mlのように、ある1つ
の特定の比重の遠心分離媒体を作成し、前述の方法で遠
心分離することによっても、培養細胞を比重の違いによ
り複数の層に分けることができる。また、本発明の製造
方法は、前述したジャスモン酸類の存在下に培養する方
法と細胞を比重の違いにより複数の層に分け、少なくと
も1つの層に含まれる細胞を培養する方法の両者と併用
することもできる。以上のようにして得られた培養組
織、培養細胞、培地等の培養物から、メタノール等の有
機溶媒による抽出によってタキサン型ジテルペンを分離
することができる。
【0051】本発明における組織培養の好ましい一例と
しては、次の方法が挙げられる。先ず、イチイ属に属す
る植物の植物体、例えば根、生長点、葉、茎、種子など
から採取される植物片を殺菌処理後、ゲランガムで固め
たウッディー・プラント・メディウムの固体培地上に置
床し、10〜35℃で14〜60日程度経過させて組織片の一部
をカルス化させる。このようにして得られたカルスを継
代培養すると生育速度が漸次高まり安定化したカルスが
得られる。ここで、安定化したカルスとは、培養中にカ
ルスの一部がシュートや根に分化しないでカルスの状態
を保持する性質をもち細胞の生育速度が均質であるもの
をいう。
【0052】この安定化したカルスを増殖に適した液体
培地、例えばウッディー・プラント・メディウムの液体
培地に移して増殖させる。液体培地において更に生育速
度が高められる。本発明では、この安定化したカルス又
は該カルスを構成する細胞は、培養器内の気相中の酸素
濃度が大気中の酸素濃度未満に培養初期から制御されて
いるか、或いは組織及び/又は細胞と接する流動性の培
地中の溶存酸素濃度がその温度における飽和溶存酸素濃
度未満に培養初期から制御された培養条件下にて培養さ
れる。
【0053】組織及び/又は細胞は、酸素を消費(呼
吸)することで自らの個体の維持又は増殖に必要なエネ
ルギーを獲得する。一般に組織及び/又は細胞を培養す
ると、培養日数の経過に伴い細胞量が増加し、これと共
に酸素の消費量も増加することが知られている。従っ
て、組織及び/又は細胞を含む培養器内の気相中の酸素
濃度、或いは組織及び/又は細胞と接する培地中の溶存
酸素濃度も、培養日数の経過に伴い自然に大気中の酸素
濃度未満、或いはその温度における飽和溶存酸素濃度未
満の値に低下して行くこととなる。
【0054】本発明は、組織及び/又は細胞を含む培養
器内の気相中の酸素濃度或いは培地中の溶存酸素濃度
を、大気中の酸素濃度未満か或いはその温度における飽
和溶存酸素濃度未満である条件下に積極的に制御した条
件下で培養を行うという点で前述の知見とは内容を異に
する。特に本発明の効果を高める方法として、培養器内
の気相中の酸素濃度或いは流動性の培地中の溶存酸素濃
度を、組織及び/又は細胞を該培養器内に移植するより
前に、予め大気中の酸素濃度未満か或いはその温度にお
ける飽和溶存酸素濃度未満に制御する方法が例示され
る。
【0055】また、制御の期間としては、前述したよう
に、特に制限はないが、全培養期間中の、少なくとも3
日間制御することが好ましい。更に制御の方法として
は、組織及び/又は細胞を含む培養器内の気相中の酸素
濃度、或いは組織及び/又は細胞と接する流動性の培地
中の溶存酸素濃度を、大気中の酸素濃度未満か、或いは
その温度における飽和溶存酸素濃度未満に制御可能な培
養条件下であれば特に制限はなく、例えば空気に窒素等
を混合して酸素濃度を低下させることにより酸素濃度を
調節した気体を、培養器内の気相中及び/又は培地中に
直接通気するか、或いは通気槽等の培養器外で培地中に
直接通気した後、該培地を培養器内に灌流するか、或い
は該培養器内に供給する空気等の気体を供給速度を制限
して気相中及び/又は培地中に直接通気するか、或いは
通気槽等の培養器外で該気体を供給速度を制限して培地
中に直接通気した後、該培地を培養器内に灌流するか、
或いは培養器を低酸素雰囲気下に置き培養するか、或い
は酸素吸着剤存在下で培養する方法等が挙げられる。
【0056】本発明における組織培養の培養温度として
は、通常は約10〜約35℃、特に約23〜約28℃が増殖速度
が大きいので好適である。また、培養期間としては、14
〜42日間が好適である。本発明における培養において液
体培地を用いた場合には、培養終了後に培養細胞をデカ
ンテーション又は濾過等の方法によって培地から分離
し、培養細胞及び/又は培地から目的とするタキサン型
ジテルペンを有機溶媒による抽出等の方法によって分離
することができる。また、吸着剤や適当な有機溶媒を培
養系内に共存させ、培養中連続的に目的化合物を回収す
ることもできる。
【0057】
【実施例】以下、実施例、比較例及び参考例により本発
明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの
実施例に限定されるものではない。 (実施例1)ナフタレン酢酸を10-5M の濃度になるよう
に添加したウッディー・プラント・メディウムの固体培
地(ゲランガム0.25重量%)に、前もって市販のアンチ
ホルミン溶液を5倍希釈した溶液又は70%エタノール溶
液等で滅菌処理したセイヨウイチイ(Taxus baccata LIN
N)の茎の一部を置床し、25℃で暗所にて静置培養してセ
イヨウイチイカルスを得た。次にこのカルス1g(新鮮
重)を、前記成分を同じ濃度で添加したウッディー・プ
ラント・メディウムの液体培地20ml入りの三角フラスコ
に移し、ロータリーシェーカー上で旋回培養(振幅25m
m、100rpm)し、21日毎に植えつぎ、該カルスの生育速
度を速めた。
【0058】このようにして得られた培養細胞1g(新
鮮重)を、前記成分を同じ濃度で添加したウッディー・
プラント・メディウムの液体培地20ml入りの三角フラス
コに移植した後、該フラスコを気体供給口と排出口を有
する容器(内容量3000ml)内に入れ密閉した。そして空
気と窒素を用いて、該培養細胞に供給する酸素濃度が4
ないし15%となるよう混合比を調節後、毎分25mlの割合
で該気体を供給口より供給しながら、25℃で21日間旋回
培養を行った。
【0059】培養終了後、セイヨウイチイ培養細胞を濾
過により採取し、凍結乾燥した後、その乾燥重量を測定
し、生育倍率を求めた。得られた乾燥カルスからメタノ
ール等を用いてタキサン型ジテルペンを抽出し、高速液
体クロマトグラフィーを用いて標準品タキソール、セフ
ァロマニン、バッカチンIII と比較定量することによっ
てタキサン型ジテルペン収量を測定した。その結果を表
1に示す。
【0060】(比較例1)実施例1において、細胞に供
給する酸素濃度が20%になるよう調節した混合気体を
供給したこと以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。 (参考例)実施例1において、培養細胞を移植したフラ
スコを大気中で培養すること以外は該実施例と同様に操
作した。その結果を表1に示す。
【0061】(実施例2)実施例1において、細胞に供
給する酸素濃度が10%になるよう調節した混合気体
を、培養開始時から3日間供給した後、培養終了時まで
(18日間)空気を供給したこと以外は該実施例と同様
に操作した。その結果を表1に示す。 (実施例3)実施例1において、細胞に供給する酸素濃
度が10%になるよう調節した混合気体を、培養開始時
から7日間供給した後、培養終了時まで(14日間)空
気を供給したこと以外は該実施例と同様に操作した。そ
の結果を表1に示す。
【0062】(実施例4)実施例1において、細胞に供
給する酸素濃度が10%になるよう調節した混合気体
を、培養開始時から14日間供給した後、培養終了時ま
で(7日間)空気を供給したこと以外は該実施例と同様
に操作した。その結果を表1に示す。 (実施例5)実施例1において、培養14日目にジャスモ
ン酸類としてジャスモン酸のメチルエステル(式(I)
において、R1 が−CH2 COOCH3 であり、R2
びR 3 が水素原子であり、R4 とR5 が共同して二重結
合を形成する化合物、トランス型90%,シス型10%)を
その終濃度が10ないし1000μMになるよう添加したこと
以外は該実施例と同様に操作した。その結果を表2に示
す。低濃度酸素供給処理とジャスモン酸のメチルエステ
ルの添加とを組み合わせることによりタキサン型ジテル
ペンの生産性を大幅に向上させることができた。
【0063】(実施例6)実施例1において得られる生
育の早くなった培養細胞85g(新鮮重)を、溶存酸素
濃度計及び溶存酸素濃度制御装置を備えた通気撹拌培養
槽(内容量3000ml)にウッディー・プラント・メディウ
ムの液体培地1700mlを入れた後、移植した。そして空気
と窒素を用いて、該培地中の溶存酸素濃度が0.1ppm以下
になるよう混合比を調節しながら25℃で21日間通気撹拌
培養を行った。培養装置の概略図を図1に示すと共に、
結果を表3に示す。
【0064】(実施例7)実施例6において、溶存酸素
濃度が1ppm 以下になるよう混合比を調節したこと以外
は該実施例と同様に操作した。その結果を表3に示す。 (実施例8)実施例6において、溶存酸素濃度が2ppm
以下になるよう混合比を調節したこと以外は該実施例と
同様に操作した。その結果を表3に示す。
【0065】(実施例9)実施例6において、溶存酸素
濃度が4ppm 以下になるよう混合比を調節したこと以外
は該実施例と同様に操作した。その結果を表3に示す。 (実施例10)実施例6において、溶存酸素濃度が6ppm
以下になるよう混合比を調節したこと以外は該実施例と
同様に操作した。その結果を表3に示す。
【0066】(比較例2)実施例6において、空気を通
気したこと以外は該実施例と同様に操作した。その結果
を表3に示す。 (実施例11)実施例6において、培養開始時から3日間
培地の溶存酸素濃度が4ppm 以下になるよう混合比を調
節しながら培養した後、培養終了時までの間(18日間)
空気を供給したこと以外は該実施例と同様に操作した。
その結果を表3に示す。
【0067】(実施例12)実施例6において、培養開始
時から7日間培地の溶存酸素濃度が4ppm 以下になるよ
う混合比を調節しながら培養した後、培養終了時まで
(14日間)空気を供給したこと以外は該実施例と同様に
操作した。その結果を表3に示す。 (実施例13)実施例6において、培養開始時から14日間
培地の溶存酸素濃度が4ppm 以下になるよう混合比を調
節しながら培養した後、培養終了時まで(7日間)空気
を供給したこと以外は該実施例と同様に操作した。その
結果を表3に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、タキサン型ジテルペン
を産生する植物の組織及び/又は細胞を培養するに当た
り、培養器内の気相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未
満の条件下に培養初期から制御して培養を行うか、或い
は組織及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸
素濃度をその温度における飽和溶存酸素濃度未満である
条件下に培養初期から制御して培養を行うことにより、
大量のタキサン型ジテルペンを簡便に得ることが可能に
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により組織培養を行うに当たって用いら
れる培養装置の例を示した図である。
【符号の説明】
1 空気供給管 2 窒素供給管 3 培養槽 4 酸素含有ガス供給口 5 溶存酸素濃度計 6 溶存酸素濃度制御装置 7 ガス排気管 8 バルブ 9 酸素流量制御バルブ 10 エアフィルター 11 撹拌翼

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気
    相中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満の条件下に培養
    初期から制御して培養を行うか、或いは組織及び/又は
    細胞と接する流動性の培地中の溶存酸素濃度をその温度
    における飽和溶存酸素濃度未満である条件下に培養初期
    から制御して培養を行い、得られる培養物からタキサン
    型ジテルペンを回収することを特徴とするタキサン型ジ
    テルペンの製造方法。
  2. 【請求項2】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気
    相中の酸素濃度を4ないし15%に制御するか、或いは組
    織及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸素濃
    度をその温度における飽和溶存酸素濃度値の1ないし75
    %に制御することを特徴とする請求項1記載のタキサン
    型ジテルペンの製造方法。
  3. 【請求項3】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気
    相中の酸素濃度を6ないし12%に制御するか、或いは組
    織及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸素濃
    度をその温度における飽和溶存酸素濃度値の10ないし75
    %に制御することを特徴とする請求項1記載のタキサン
    型ジテルペンの製造方法。
  4. 【請求項4】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を培養するに当たり、培養器内の気
    相中の酸素濃度又は流動性の培地中の溶存酸素濃度を、
    培養器及び/又は培地に供給する気体の酸素濃度を調節
    することによって制御するか、或いは培養器及び/又は
    培地に供給する気体の供給速度を調節することによって
    制御することを特徴とする請求項1記載のタキサン型ジ
    テルペンの製造方法。
  5. 【請求項5】 培養器内の気相中の酸素濃度、又は組織
    及び/又は細胞と接する流動性の培地中の溶存酸素濃度
    の制御を培養開始時ないし培養開始後7日目に開始し、
    その後少なくとも3日間行うことを特徴とする請求項1
    記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  6. 【請求項6】 タキサン型ジテルペンが、タキソール、
    10−デアセチルタキソール、7−エピタキソ−ル、バ
    ッカチンIII 、10−デアセチルバッカチンIII 、7−
    エピバッカチンIII 、セファロマニン、10−デアセチ
    ルセファロマニン、7−エピセファロマニン、タキサギ
    フィン、キシロシルセファロマニン及び/又はキシロシ
    ルタキソールであることを特徴とする請求項1記載のタ
    キサン型ジテルペンの製造方法。
  7. 【請求項7】 タキサン型ジテルペンを産生する植物が
    イチイ属植物であることを特徴とする請求項1記載のタ
    キサン型ジテルペンの製造方法。
  8. 【請求項8】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を一般式(I): 【化1】 [式中、R1 は炭素数1〜4のアルキル基又は次式: −(CH2 n −CO−R6 (式中、R6 は水酸基、OM(ここで、Mはアルカリ金
    属原子、アルカリ土類金属原子又はNH4 を表す。)、
    NHR7 (ここで、R7 は、水素原子、炭素数1〜4の
    アシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ酸残基
    を表す。)又はOR8 (ここで、R8 は炭素数1〜4の
    アルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表し、nは1
    〜7の整数を表す。)で示される基を表し;R2
    3 、R4 及びR5 は、それぞれ水素原子を表すか、或
    いはR2 とR3 、R3 とR4 、又はR4とR5 は、共同
    して二重結合を表してもよく;前記5員環は、更に水酸
    基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で
    二重結合を形成してもよい。]で示されるジャスモン酸
    類の存在下に培養することを特徴とする請求項1記載の
    タキサン型ジテルペンの製造方法。
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