JPH0928392A - タキサン型ジテルペンの製造方法 - Google Patents

タキサン型ジテルペンの製造方法

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JPH0928392A
JPH0928392A JP18020695A JP18020695A JPH0928392A JP H0928392 A JPH0928392 A JP H0928392A JP 18020695 A JP18020695 A JP 18020695A JP 18020695 A JP18020695 A JP 18020695A JP H0928392 A JPH0928392 A JP H0928392A
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JP
Japan
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taxane
type diterpene
producing
carbon atoms
compound
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JP18020695A
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English (en)
Inventor
Homare Tabata
誉 多葉田
Yasuhiro Hara
康弘 原
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の組織
又は細胞を細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化合物
及び/又はプロテインキナーゼCを活性化させうる化合
物の存在下に培養し、得られる培養物及び/又は培地か
らタキサン型ジテルペンを回収することを特徴とするタ
キサン型ジテルペンの製造方法。 【効果】 本発明の方法は、タキサン型ジテルペンの生
産性の向上を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、卵巣癌、乳癌、肺癌等
の治療薬として有用であるタキソールを含むタキサン型
ジテルペンの製造法に関する。
【0002】
【従来技術】卵巣癌、乳癌、肺癌等の治療薬として有用
であるタキソール(Taxol)は、イチイ科イチイ属植物で
あるタイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia NUTT)より
単離同定されたタキサン型ジテルペンであり、活性と関
連する複雑なエステルグループを有している。タキソー
ルはタイヘイヨウイチイ植物体中のどの部位にも存在
し、その含量は樹皮で最も高いことが報告されている。
現在、タキソールは天然のまたは栽培された植物体中か
ら採取されているが、イチイ属植物は地上20cmの高
さに成長するのに10年以上かかる生育の遅い植物であ
り、また樹皮を剥ぐと木が枯れてしまうことから容易に
大量のタキソールを得ることは困難である。もし、タキ
ソールまたはタキソールの前駆物質であるバッカチンII
I等のタキサン型ジテルペンを組織培養を利用して生産
する事ができれば、樹木を伐採する事なく、大量のタキ
ソールを容易に得ることができるので有利である。
【0003】これまでの植物の培養細胞を利用したタキ
ソール生産方法については、タイヘイヨウイチイ(Taxu
s brevifolia NUTT)培養細胞によるタキソール生産が
米国で特許〔US Patent:5019504〕になっているが、そ
のタキソール生産量は1〜3mg/lと記載されており、工業
的生産には不十分である。また、細胞培養によるタキソ
ールの生産性は不安定であり、選抜で一次的に生産性の
高い細胞が得られても、継代培養してその含量を維持す
ることは難しい〔E.R.M.Wickremesine et al.,World Co
ngress on Cell and Tissue Culture(1992)〕。
【0004】一方、タキソール生産法の先行技術として
は、タキソール生合成前駆体であるバッカチンIII(bacc
atin III)からの半合成法がHoltonらの米国特許に開示
されている〔US Patent:5015744〕。植物の組織培養法
を用いれば、バッカチンIII等の半合成原料の生産も可
能であり、本法によるタキソール生産にも有利である。
【0005】
【発明の目的】本発明の目的は、植物組織培養により、
タキサン型ジテルペンの簡便な製造法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を達成するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、タキサン型ジテルペンを産生する植物の組織及
び/又は細胞を、細胞内カルシウム濃度を上昇させうる
化合物及び/又はプロテインキナーゼCを活性化させう
る化合物の存在下に培養を行うと、タキサン型ジテルペ
ンの生産性が向上することを見いだし、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、本発明はタキサン型ジテルペン
を産生する植物の組織及び/又は細胞を細胞内カルシウ
ム濃度を上昇させうる化合物及び/又はプロテインキナ
ーゼCを活性化させうる化合物の存在下に培養し、得ら
れる培養物及び/又は培地からタキサン型ジテルペンを
回収することを特徴とするタキサン型ジテルペンの製造
方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。タキサン
型ジテルペンとしては、タキサン骨格を有するジテルペ
ンであれば特に制限はなく、例えばタキソール、10−
デアセチルタキソール、7−エピタキソ−ル、バッカチ
ンIII、10−デアセチルバッカチンIII、7−エピバッ
カチンIII、セファロマニン、10−デアセチルセファ
ロマニン、7−エピセファロマニン、バッカチンVI、
タキソールC、10−デアセチルタキソールC、タキサ
ギフィン及びその類縁体、タキサン 1a及びその類縁
体、キシロシルセファロマニン、キシロシルタキソール
等が挙げられる。
【0009】タキサン型ジテルペンを産生する植物とし
ては、例えばセイヨウイチイ(Taxusbaccata LINN)、イ
チイ(T. cuspidata SIEB.et ZUCC)、キャラボク(T. cus
pidata SIEB.et ZUCC var. nana REHDER)、タイヘイヨ
ウイチイ(T. brevifolia NUTT)、カナダイチイ(T. cana
densis MARSH)、中国イチイ(T. chinensis)、T.media等
のイチイ属植物を挙げる事ができる。
【0010】前記植物の培養は本発明により、植物の組
織及び/又は細胞を細胞内カルシウム濃度を上昇させう
る化合物及び/又はプロテインキナーゼCを活性化させ
うる化合物の存在下に培養を行う事以外は、従来から知
られている方法によって行うことができる。
【0011】細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化合
物としては、Ca2+-ATPase阻害剤、カルシウムイオノホ
アのいずれも利用可能である。Ca2+-ATPase阻害剤とし
ては例えばammonium vanadate、sodium vanadate等のva
nadate化合物、cyclopiazonic acid、2,5-di(tert-buty
l)-1,4-benzohydroquinone、thapsigargin、lanthanum
chloride等のlanthanum化合物を例示する事が出来る。
カルシウムイオノホアとしてはcalcium ionophore A231
87およびその類縁体、ionomycin、lasalocid(X-537A)、
prostaglandin B4、phosphatidic acid、1,4,5-triphos
phoinositol等を例示することが出来る。
【0012】前記Ca2+-ATPase阻害剤の培地における濃
度は、通常10-7〜10-2M、好ましくは10-7M〜10-3Mであ
り、この中でも特に10-5M〜10-4Mの範囲に調製すること
が本発明の方法にとって好ましい。前記カルシウムイオ
ノホアの培地における濃度は、通常10ー10〜10ー6M、好ま
しくは10-9M〜10-6Mであり、この中でも特に10-8M〜10
-7Mの範囲に調製することが本発明の方法にとって好ま
しい。
【0013】プロテインキナーゼCを活性化させうる化
合物としてはphorbol 12,13-diacetate(PDA)、phorbol
12-myristate 13-acetate、phorbol 12,13-dibutylate
等のホルボールエステル類を例示することができる。
記ホルボールエステル類の培地における濃度は通常1
-9M〜10-4Mであり、この中でも特に10-8M〜10-5Mの範
囲に調製することが本発明の方法にとって好ましい。
【0014】植物の組織培養物に細胞内カルシウム濃度
を上昇させうる化合物を添加して二次代謝産物が誘導さ
れる事を示した例としては、ニンジンの培養細胞にカル
シウムイオノホアを添加する事で、6−メトキシメイレ
ンの産生が誘導される事を示した報告〔F.Kurosaki,Y.T
surusawa,A.Nishi,Phytochemistry,26,1919(1987)〕を
例示する事が出来る。しかしながら、ニンジンとは植物
種の異なる、タキサン型ジテルペン産生植物の組織培養
に於いて、培地添加物としてカルシウムイオノホアを存
在させて組織培養を行った例は報告されておらず、しか
もそれにより6−メトキシメイレンとは生合成経路の全
く異なるタキサン型ジテルペンの産生量が増大すること
は予想外のことであった。
【0015】本発明の組織培養に使用される培地として
は、従来から知られている植物の組織培養に用いられる
培地、例えばムラシゲ・スクーグ(1962年)〔Murashige
& Skoog〕の培地、リンスマイヤー・スクーグ(1965年)
〔Linsmaier Skoog〕の培地、ウッディー・プラント・
メディウム(1981年) 〔Woody Plant Medium〕の培地、
ガンボルグ〔Gamborg〕のB−5培地、三井のM−9培
地等が挙げられる。これら培地に植物ホルモンを添加
し、更に必要に応じて炭素源、無機成分、ビタミン類、
アミノ酸等を添加することもできる。
【0016】炭素源としては、シュクロース、マルトー
ス、ラクトース等の二糖類、グルコース、フルクトー
ス、ガラクトース等の単糖類、デンプンあるいはこれら
糖源の2種類以上を適当な比率で混合したものを使用で
きる。
【0017】無機成分としては、例えばリン、窒素、カ
リウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マン
ガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウ
ム、ヨウ素、コバルト等があげられ、これらの成分は例
えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、
塩化カリウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素カ
リウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナト
リウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸
亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸
化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の化合
物として添加できる。
【0018】植物ホルモンとしては、例えばインドール
酢酸(IAA)、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフ
ェノキシ酢酸(2,4-D)等のオーキシン類、カイネチン、
ゼアチン、ジヒドロゼアチン等のサイトカイニン類が用
いられる。
【0019】ビタミン類としては、例えばビオチン、チ
アミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB
6)、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が用
いられる。
【0020】アミノ酸類としては、例えばグリシン、フ
ェニルアラニン、ロイシン、グルタミン、システイン等
を添加できる。一般に前記の各成分は、無機成分が約0.
1μM〜100mM、炭素源が約1〜約30g/l、植物ホルモン類
が約0.01〜約10μM、ビタミン類及びアミノ酸類がそれ
ぞれ約0.1〜約100mg/lの濃度で用いられる。
【0021】尚、本発明には液体培地及び寒天やゲラン
ガム等を通常0.1〜1%含有する固形培地のいずれも使用
できる。
【0022】本発明の組織培養においては、上記植物の
根、生長点、葉、茎、種子、花粉、葯、がく等の組織片
または細胞、あるいはこれらを上記培地あるいは他の従
来の培地によって組織培養して得られる培養細胞を使用
することができる。
【0023】また本発明は、Agrobacterium tumefacien
s或いはAgrobacterium rhizogenesを植物組織に感染す
ることによって得られる腫瘍細胞及び/又は毛状根にも
使用できる。
【0024】これらの組織及び/又は細胞を細胞内カル
シウム濃度を上昇させうる化合物及び/又はプロテイン
キナーゼCを活性化させうる化合物の存在下に培養する
と、通常の培養条件下で組織培養した場合と比較してタ
キサン型ジテルペンの高生産性培養組織又は培養細胞が
得られる。
【0025】本発明の効果をさらに高めるため、下記一
般式(I)で表される化合物を併用することができる。
【0026】
【化2】
【0027】[式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e及
びR1fは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1
〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表
し;R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に水
素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し;C1−C2
−C3−C4−C5−C6からなる側鎖は、1個以上の二重
結合を含んでいてもよく;R7は水酸基、OM(ここ
で、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又は
NH4を表す。)、NR8aR8b(ここでR8a及びR8b
は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアシル
基、炭素数1〜6のアルキル基又はアミノ酸残基を表
す。)、OR9(ここでR9は炭素数1〜6のアルキル基
又は炭水化物残基を表す。)又は炭素数1〜6のアルキ
ル基を表し;nは1〜7の整数を表し;前記5員環は、
隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよ
い。]
【0028】前記一般式(I)において、炭素数1〜6
のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n
−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブ
チル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチ
ル基、i−ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のア
ルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、
n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ
基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキ
シ基、n−ペンチルオキシ基、i−ヘキシルオキシ基が
挙げられる。アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子
としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げら
れる。炭素数1〜6のアシル基としては、例えばホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレ
リル基、ヘキサノイル基、アクリロイル基が挙げられ、
これらは直鎖状でも分岐状でもよい。アミノ酸残基とし
ては、イソロイシル基、チロシル基、トリプトフィル基
等が挙げられる。炭水化物残基としては、例えばグルコ
ピラノシル基が挙げられる。一般式(I)の化合物には
種々の立体異性体(シストランス異性体、光学異性体)
が存在するが、それぞれを単独で用いても、混合物を用
いてもよい。
【0029】一般式(I)の化合物の具体例としては、
ジャスモン酸、その塩またはそのアルキルエステル、特
にメチルエステルを挙げることができる。このような一
般式(I)の化合物の培地における濃度は、通常0.01〜
1000μMであり、特に0.1〜500μMの範囲に調製するの
が好ましい。
【0030】また、特願平6−104211号、特願平
6−104212号にタキサン系化合物の生産促進物質
として開示されている、ツベロン酸、ツベロン酸メチ
ル、ククルビン酸、ククルビン酸メチル等の化合物を併
用することによっても生産性を高めることができる。
【0031】以上のようにして得られた培養組織又は培
養細胞から、メタノール等の有機溶媒による抽出によっ
てタキサン型ジテルペンをを分離することができる。ま
た、培地中に適当な吸着剤や有機溶媒を共存させ、培養
中に連続的にタキサン型ジテルペンを回収することもで
きる。
【0032】本発明の組織培養の好ましい一例として
は、次の方法が挙げられる。先ずイチイ属に属する植物
の植物体、例えば根、生長点、葉、茎、種子などから採
取される植物片を殺菌処理後、ゲランガムで固めたウッ
ディー・プラント・メディウムの固体培地上に置床し、
10〜35℃で14〜60日程度経過させて組織片の一部をカル
ス化させる。このようにして得られたカルスを継代培養
すると生育速度が漸次高まり安定化したカルスが得られ
る。ここで、安定化したカルスとは、培養中にカルスの
一部がシュートや根に分化しないでカルスの状態を保持
する性質をもち細胞の生育速度が均質であるものをい
う。
【0033】この安定化したカルスを増殖に適した液体
培地、例えばウッディー・プラント・メディウムの液体
培地に移して増殖させる。液体培地において更に生育速
度が高められる。本発明では、この安定化したカルスま
たは該カルスを構成する細胞は、細胞内カルシウム濃度
を上昇させうる化合物存在下、固体培地又は液体培地で
培養される。
【0034】細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化合
物及び/又はプロテインキナーゼCを活性化させうる化
合物は、細胞が増殖期から定常期に移行する時期までに
添加することが効果的であり、特に増殖期に添加する事
が好ましい。また当該化合物は、一度に行っても良い
し、数回に分けて行っても良い。一般式(I)の化合物
の添加時期、添加方法も同様である。
【0035】本発明の組織培養における培養温度として
は、通常は約10〜約35℃、特に約23〜28℃が増殖速度が
大きいので好適である。また、培養期間としては、14〜
42日間が好適である。
【0036】本発明の培養方法において液体培地を用い
た場合には、培養終了後に培養細胞をデカンテーション
または濾過等の方法によって培地から分離し、培養細胞
および/または培地から目的とする代謝産物を有機溶媒
による抽出等の方法によって分離することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0038】〔実施例1〕α−ナフタレン酢酸を10-5M
の濃度になるように添加したウッディー・プラント・メ
ディウムの固体培地(ゲランガム0.25重量%)に、前も
って2%アンチホルミン溶液または70%エタノール溶液
等で滅菌処理したセイヨウイチイ(Taxus baccata LINN)
の茎の一部を置床し、25℃で暗所にて静置培養してセイ
ヨウイチイカルスを得た。次にこのカルス1g(新鮮
重)を、上記成分を同じ濃度で添加したウッディー・プ
ラント・メディウムの液体培地20ml入りの三角フラスコ
に移し、ロータリーシェーカー上で旋回培養(振幅25m
m、100rpm)し、21日毎に植えつぎ、該カルスの生育速
度を速めた。
【0039】このようにして得られた培養細胞1g(新
鮮重)を、上記成分を同じ濃度で添加したウッディー・
プラント・メディウムの液体培地20ml入りの三角フラス
コに移し、calcium ionophore A23187をその終濃度が10
-10M〜10-5Mになるように添加して25℃で21日間旋回培
養を行った。
【0040】培養終了後、セイヨウイチイ培養細胞を濾
過により採取し、凍結乾燥した後その乾燥重量を測定
し、生育倍率を求めた。得られた乾燥カルスからメタノ
ール等を用いてタキサン型ジテルペンを抽出し、高速液
体クロマトグラフィーを用いて標準品タキソール、セフ
ァロマニン、バッカチンIIIと比較定量することによっ
てタキサン型ジテルペン収量を測定した。その結果を表
1に示す。
【0041】〔実施例2〕実施例1に於いて、calcium
ionophore A23187を培養14日目に添加し、その後7日間
培養した。培養終了後は該実施例と同様に操作した。そ
の結果を表1に示す。 〔実施例3〕実施例1に於いて、calcium ionophore A2
3187を培養開始時(0日目)より4日置きに計5回逐次添
加(1回当たりの終濃度は2X10-8M、合計10-7M)するこ
と以外は該実施例と同様に操作した。その結果を表1に
示す。 〔実施例4〕実施例1に於いて、培養14日目にジャスモ
ン酸のメチルエステルをその終濃度が10-4Mになるよう
添加すること以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表1に示す。 〔比較例1〕実施例1に於いて、calcium ionophore A2
3187を添加しない以外は該実施例と同様に操作した。そ
の結果を表1〜3に示す。
【0042】〔実施例5〕実施例2に於いて、ammonium
vanadateを、その終濃度が10-8M〜10-2Mになるように
添加したこと以外は該実施例と同様に操作した。その結
果を表2に示す。 〔参考例1〕Ammonium vanadateの効果がCa2+-ATPase阻
害による細胞内Ca2+濃度の上昇であるならば、カルシウ
ムキレート剤で細胞内の遊離のCa2+濃度を下げることに
より、ammonium vanadateの効果は低下すると考えられ
る。そこで実施例5に於いて、ammonium vanadateを、
その終濃度が10-5Mになるよう添加し、さらにカルシウ
ムキレート剤FuraII-AMをその終濃度が10-8M〜10-6Mに
なるよう添加したこと以外は該実施例と同様に操作し
た。その結果を表2に示す。
【0043】〔実施例6〕実施例2に於いて、phorbol-
12,13-diacetate(PDA)を、さらにその終濃度が10 -9M〜1
0-4Mになるように添加したこと以外は該実施例と同様に
操作した。その結果を表3に示す。 〔実施例7〕実施例2に於いて、phorbol-12,13-diacet
ate(PDA)をその終濃度が10-7Mになるよう添加し、培養1
4日目にジャスモン酸のメチルエステルをその終濃度が1
0-4Mになるよう添加すること以外は該実施例と同様に操
作した。その結果を表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、植物の組織又は細胞を
細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化合物の存在下及
び/又はプロテインキナーゼCを活性化させうる化合物
の存在下に培養することにより、植物由来の代謝産物を
大量に且つ簡便に得ることが可能となった。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を、細胞内カルシウム濃度を上昇さ
    せうる化合物の存在下に培養し、得られる培養物及び/
    又は培地からタキサン型ジテルペンを回収することを特
    徴とするタキサン型ジテルペンの製造方法。
  2. 【請求項2】 細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化
    合物が、Ca2+-ATPase阻害剤である事を特徴とする請求
    項1記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  3. 【請求項3】 Ca2+-ATPase阻害剤がvanadate化合物、c
    yclopiazonic acid、2,5-di(tert-butyl)-1,4-benzohyd
    roquinone、thapsigargin,lanthanum化合物から選ばれ
    る少なくとも1種類以上である事を特徴とする請求項2
    記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  4. 【請求項4】 Ca2+-ATPase阻害剤の濃度が、10-7M〜10
    -3Mであることを特徴とする請求項2記載のタキサン型
    ジテルペンの製造方法。
  5. 【請求項5】 細胞内カルシウム濃度を上昇させうる化
    合物が、カルシウムイオノホアである事を特徴とする請
    求項1記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  6. 【請求項6】 カルシウムイオノホアがcalcium ionoph
    ore A23187およびその類縁体、ionomycin、lasalocid(X
    -537A)、prostaglandin B4、phosphatidic acid、1,4,5
    -triphosphoinositolから選ばれる少なくとも1種類以
    上である事を特徴とする請求項5記載のタキサン型ジテ
    ルペンの製造方法。
  7. 【請求項7】 カルシウムイオノホアの濃度が、10-9M
    〜10-6Mであることを特徴とする請求項5記載のタキサ
    ン型ジテルペンの製造方法。
  8. 【請求項8】 タキサン型ジテルペンを産生する植物の
    組織及び/又は細胞を、プロテインキナーゼCを活性化
    させうる化合物の存在下に培養し、得られる培養物及び
    /又は培地からタキサン型ジテルペンを回収することを
    特徴とするタキサン型ジテルペンの製造方法。
  9. 【請求項9】 プロテインキナーゼCを活性化させうる
    化合物がホルボールエステル類である事を特徴とする請
    求項8記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  10. 【請求項10】 ホルボールエステル類の濃度が、10-9
    M〜10-4Mであることを特徴とする請求項8記載のタキサ
    ン型ジテルペンの製造方法。
  11. 【請求項11】 タキサン型ジテルペンが、タキソー
    ル、10−デアセチルタキソール、7−エピタキソ−
    ル、バッカチンIII、10−デアセチルバッカチンIII、
    7−エピバッカチンIII、セファロマニン、10−デア
    セチルセファロマニン及び7−エピセファロマニン、バ
    ッカチンVI、タキソールC、10−デアセチルタキソ
    ールC、タキサギフィン及びその類縁体、タキサン 1
    a及びその類縁体、キシロシルセファロマニン、キシロ
    シルタキソールであることを特徴とする請求項1および
    8記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  12. 【請求項12】 タキサン型ジテルペンを産生する植物
    がイチイ属植物であることを特徴とする請求項1および
    8記載のタキサン型ジテルペンの製造方法。
  13. 【請求項13】 タキサン型ジテルペンを植物の組織及
    び/又は細胞を下記の一般式(I)で表される化合物の
    存在下に培養することを特徴とする請求項1および8記
    載のタキサン型ジテルペンの製造方法。 【化1】 [式中、R1a、R1b、R1c、R1d、R1e及びR1fは、そ
    れぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキ
    ル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し;R2、R
    3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立に水素原子又は炭
    素数1〜6のアルキル基を表し;C1−C2−C3−C4−
    C5−C6からなる側鎖は、1個以上の二重結合を含んで
    いてもよく;R7は水酸基、OM(ここで、Mはアルカ
    リ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH4を表
    す。)、NR8aR8b(ここでR8a及びR8bは、それぞれ
    独立に水素原子、炭素数1〜6のアシル基、炭素数1〜
    6のアルキル基又はアミノ酸残基を表す。)、OR9
    (ここでR9は炭素数1〜6のアルキル基又は炭水化物
    残基を表す。)又は炭素数1〜6のアルキル基を表し;
    nは1〜7の整数を表し;前記5員環は、隣接する環員
    炭素原子間で二重結合を形成してもよい。]
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7264951B1 (en) 1992-02-20 2007-09-04 Phyton, Inc. Enhanced production of taxol and taxanes by cell cultures of Taxus species
US8058314B2 (en) 1999-10-27 2011-11-15 Yale University Conductance of improperly folded proteins through the secretory pathway and related methods for treating disease
US8338143B2 (en) 1996-05-24 2012-12-25 Phyton Holdings, Llc Enhanced production of paclitaxel and taxanes by cell cultures of Taxus species

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