JPH0622781A - ダウリシンの製造法 - Google Patents

ダウリシンの製造法

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JPH0622781A
JPH0622781A JP20186692A JP20186692A JPH0622781A JP H0622781 A JPH0622781 A JP H0622781A JP 20186692 A JP20186692 A JP 20186692A JP 20186692 A JP20186692 A JP 20186692A JP H0622781 A JPH0622781 A JP H0622781A
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JP
Japan
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root
dauricin
cultured
culture
roots
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JP20186692A
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Inventor
Yukihiro Sugimoto
幸裕 杉本
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 オオツヅラフジの根若しくは不定根を器官培
養し、培養根よりダウリシンを分離、採取することを特
徴とするダウリシンの製造法。 【効果】本発明法によれば、天然植物資源によらず、工
業的に安定的にダウリシンを供給することが可能となる
ので、ダウリシンを抗炎症作用、降圧効果、中枢神経抑
制作用、血小板凝集阻害作用、膜の安定化等を有する薬
剤として開発するうえで極めて意義深いものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オオツヅラフジからダ
ウリシンを製造する方法に関し、さらに詳しくは、オオ
ツヅラフジの根を器官培養し、この培養根中に生成する
ダウリシンを分離、採取するダウリシンの製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】ダウリシンは、次の式
【化1】 であらわされる、ビスベンジルイソキノリンと呼ばれる
複雑なアルカロイドであり、抗炎症作用、降圧効果、中
枢神経抑制作用、血小板凝集阻害作用、膜の安定化等、
幅広い薬理作用を有することが知られている化合物であ
る。
【0003】この化合物を製造する化学合成法は既に知
られているが、この方法は多くの工程が必要とされ、し
かも操作も煩雑であり、経済性、実用性に乏しかった。
従って、ダウリシンの実質的な供給は、植物に頼らざる
を得ないのが現状である。
【0004】従来、ダウリシンを産生する植物として
は、メニスペルマム・カナデンス(Menispermum canaden
se)、コウモリカズラ( Menispermum dauricum)、ポ
リアルテア・ニチジシマ(Polyalthia nitidissima)、
ポポビィア・ピソカルパ(Popowia pisocarpa)等が知ら
れている。 しかし、これらの野生、自然植物を供給源
とする場合、地理的分布、成長時期、気象条件等の自然
的制約が多く、供給、価格の安定性には極めて問題が多
い。 従って、このことがダウリシンを生理活性物質と
して応用展開する上での隘路となっていた。
【0005】近年、資源的に乏しく、化学的に合成困難
な植物起源の有用物質の生産に、植物細胞系機能を有効
に活用した植物組織培養法が利用されている。 しか
し、ダウリシンについて、この方法を用いた生産例はこ
れまでのところ報告されていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、生理活性
物質として極めて興味深いダウリシンを植物組織培養で
生産する方法を開発すべく鋭意研究を進めた。 そし
て、特にツヅラフジ科植物に着目し、研究をおこなって
いたところ、従来、ダウリシンが単離された報告のない
オオツヅラフジ(Sinomenium acutum)の根を器官培養
することにより、ダウリシンが有利に得られることを見
い出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、オオツヅラフジの根若
しくは不定根を器官培養し、培養根よりダウリシンを分
離、採取することを特徴とするダウリシンの製造法を提
供するものである。
【0008】本発明方法において、培養の出発材料とし
て用いられる根としては、オオツヅラフジの根、植物体
切片より直接誘導した根及び植物体切片より得られたカ
ルスから誘導した根が挙げられる。
【0009】上記根のうち、植物体切片から根を誘導す
るには、植物体切片を常法より滅菌し、植物組織培養用
培地に置床、培養すればよい。オオツヅラフジ植物体切
片からの根の誘導は、まず、オオツヅラフジ植物体切片
(茎等)を、例えば、70%エタノール中で10分、つ
づいて1%NaOCl溶液中で10分撹拌して滅菌処理
し、次いで、これを炭素源、オーキシンおよびサイトカ
イニンの植物ホルモンを含有する植物組織培養用基本培
地に置床、培養すれば良い。
【0010】植物組織培養用基本培地としては、LS、
MS、B5、ホワイト等の基本培地が挙げられ、就中、
LS培地が好ましい。この植物組織培養用基本培地に添
加する炭素源としては、シュークロース、グルコース、
フラクトース、マルトース、マンノース、ラムノース等
の単糖、二糖類及び可溶性澱粉等が好ましく、就中、シ
ュークロース及びグルコースが好ましい。
【0011】また、基本培地中に添加するオーキシンと
しては、ナフタレン酢酸、インドール酢酸、インドール
酪酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸等が挙げられ、
就中、ナフタレン酢酸が好ましい。 基本培地中のオー
キシン濃度は0.1×10-5〜10×10-5M、好まし
くは0.5×10-5〜5×10-5Mである。更に、サイ
トカイニンとしては、ベンジルアデニン、カイネチン、
ゼアチン等が挙げられ、就中、ベンジルアデニンが好ま
しい。 サイトカイニンの濃度は0.1×10-6〜10×
10-6M、好ましくは0.5×10-6〜5×10-6Mで
ある。
【0012】なお、上記の培養における培養温度は、2
0〜30℃、好ましくは25〜28℃であり、培養中光
は照射しない方が好ましい。
【0013】一方、オオツヅラフジの植物体切片よりカ
ルスを得るには、根、茎、葉等の植物体切片を常法に従
って殺菌し、炭素源、オーキシン、サイトカイニン等の
植物ホルモン、寒天及び必要に応じてアミノ酸等の窒素
源を添加した植物組織培養用基本培地に置床、培養すれ
ば良い。培養開始後、1週間からカルスの形成が始ま
り、該カルスの継代培養中に不定根の誘導が起こるの
で、これを培養の出発材料として用いることができる。
【0014】上記カルスの培養及び不定根の誘導におい
て、植物組織培養用基本培地、添加する炭素源、培養条
件等はオオツヅラフジ植物切片の培養の場合と同一であ
り、また、植物ホルモンについても、その濃度が、オー
キシンでは10-3〜10-7M、就中10-5〜10-6Mが
好ましく、サイトカイニンでは10-4〜10-8M、就中
10-6〜10-7Mが好ましいことを除き上記培養の場合
と同一である。
【0015】オオツヅラフジの根若しくは誘導根の器官
培養は、これらの根を0.5〜1cmの長に切り取り、
炭素源、オーキシン等の植物ホルモン及び必要に応じて
窒素源を添加した植物組織培養用基本培地に移植し、培
養することによりおこなわれる。
【0016】培地中に添加する炭素源やオーキシンの種
類は、上記オオツヅラフジ塊根切片の培養の場合と同一
であるが、オーキシンの濃度は10-4〜10-7M、就中
10-5〜10-6Mが好ましく、また、オーキシンのうち
特に好ましいものとしては、インドール酢酸、インドー
ル酪酸、ナフタレン酢酸が挙げられる。
【0017】上記根の器官培養は、20〜30℃程度、
好ましくは25〜28℃の温度条件で、2〜8週間、好
ましくは4〜6週間の期間、80〜100rpmの振盪
培養とすることが好ましい。以上述べた方法に従って培
養をおこなうと、約1週間後から側根の分化、伸長が認
められ、6週間にはこれらの根を採取できる。
【0018】斯くして得られた培養誘導根中からのダウ
リシンの分離・採取は、例えば次の如くしておこなわれ
る。すなわち、まず培養誘導根を乾燥、磨砕し、有機溶
媒にて抽出する。 有機溶媒としては、メタノール、エ
タノール等の低級アルコール;酢酸メチル、酢酸エチル
等の脂肪酸エステル;クロロホルム、メチレンクロライ
ド等のハロゲン化アルキル等の極性有機溶媒が好まし
く、就中、低級アルコール特にメタノールが好適であ
る。 また抽出方法としては、常法の抽出操作で良い
が、特に浸漬し、超音波をかける方法が簡便で好まし
い。
【0019】次いで抽出溶媒留去後、pH3以下の酸性
水溶液で抽出し、この水抽出液にアルカリを加えてpH
9〜10に調整し、再度有機溶媒にて抽出する。 酸性
水溶液としては、塩酸、硫酸、クエン酸等の水溶液、特
にクエン酸が好適である。また、アルカリとしては、N
aOH、KOH、NH3等、特にアンモニアが好適であ
る。 さらに有機溶媒としては、クロロホルムが好まし
く、低級アルコールは水と混和するために不適である。
【0020】このようにして得られた抽出物から溶媒を
留去することにより、ダウリシンを含む粗塩基性画分が
調製される。 これをさらにクロマトグラフィーを用い
れば、ダウリシンを単離精製することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明法によれば、天然植物資源によら
ず、工業的に安定的にダウリシンを供給することが可能
となるので、ダウリシンを抗炎症作用、降圧効果、中枢
神経抑制作用、血小板凝集阻害作用、膜の安定化等を有
する薬剤として開発するうえで極めて意義の深いもので
ある。
【0022】
【実施例】次に例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例になんら制約されるもので
はない。
【0023】実 施 例 1 4月に採取したオオツヅラフジの葉を水洗いした後、7
0%エタノールに10分、1%アンチホルミン液に10
分浸し、ついで滅菌水で洗浄した。 滅菌した葉切片を
1cm角に切り分け、ナフタレン酢酸 10-5M、ベン
ジルアデニン10-6M、ショ糖3%、寒天1%を含むL
S基本培地に置床し、27℃で培養した。 培養30日
後にカルスの形成が認められた。 このカルスを同培地
で継代培養すると、発根が認められた。 この根を切り
取りインドール酪酸 10-5Mショ糖3%を含むガンボ
ーグ(Gamborg)のB5培地で27℃、85rpmで振
盪培養した。 培養根を1−2ケ月おきに3年間にわたり
新しい培地へ植え継ぎを繰り返すことで、安定に増殖す
る根の器官培養系を確立した。
【0024】こうして増殖させた根を抽出原料として以
下に示すごとくしてダウリシンを単離した。 すなわち
抽出原料50gにメタノール500mlを加え、超音波
をかけながら15分間抽出した後一晩放置した。 この
抽出操作を4回繰り返した後、メタノールを留去して粗
抽出物を得た。 これに500mlの10%クエン酸溶
液を加え、不溶物を濾別し、濾液に濃アンモニア水を加
えてpH9−10に調製した後、エーテル250mlで
4回抽出した。 エーテル層を5%水酸化ナトリウム水
溶液250mlで4回抽出し、水層に塩化アンモニウム
を加え、pHを10に調整した。
【0025】この水溶液をエーテル250mlで4回抽
出し、エーテルを留去することにより粗ダウリシン0.
33gを得た。 これを調製HPLCを用いてさらに精
製することによりダウリシンを単離した。 このダウリ
シンは、1H−NMR、13C−NMR、IRおよびMS
を測定し、標品と比較することにより同定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によって得られたダウリシンの1H−
NMRスペクトルを示す図面
【図2】 本発明によって得られたダウリシンの13C−
NMRスペクトルを示す図面
【図3】 本発明によって得られたダウリシンのIRス
ペクトルを示す図面
【図4】 本発明によって得られたダウリシンのMSス
ペクトルを示す図面 以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オオツヅラフジの根若しくは不定根を器
    官培養し、培養根よりダウリシンを分離、採取すること
    を特徴とするダウリシンの製造法。
  2. 【請求項2】 器官培養を、炭素源、オーキシンおよび
    サイトカイニンの植物ホルモンを含有する植物組織培養
    用基本培地でおこなう請求項1記載のダウリシンの製造
    法。
JP20186692A 1992-07-07 1992-07-07 ダウリシンの製造法 Pending JPH0622781A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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