JPH1052294A - タキサン類化合物の製造方法(i) - Google Patents
タキサン類化合物の製造方法(i)Info
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- JPH1052294A JPH1052294A JP8227479A JP22747996A JPH1052294A JP H1052294 A JPH1052294 A JP H1052294A JP 8227479 A JP8227479 A JP 8227479A JP 22747996 A JP22747996 A JP 22747996A JP H1052294 A JPH1052294 A JP H1052294A
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- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Epoxy Compounds (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 抗腫瘍活性を有するタキサン類化合物の生産
性を著しく向上させたタキサン類化合物の製造方法の提
供。 【解決手段】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類を産生することのできる細胞を炭水化物を添加し
た培地で培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、この
培養物からタキサン類化合物を回収する。細胞培養は、
固体培地で誘導し、増殖させたカルスを、炭水化物を添
加した液体培地を用いて培養する。炭水化物としては、
フラクトース、マルトース、ラクトース、ラフィノース
等が適当である。
性を著しく向上させたタキサン類化合物の製造方法の提
供。 【解決手段】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類を産生することのできる細胞を炭水化物を添加し
た培地で培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、この
培養物からタキサン類化合物を回収する。細胞培養は、
固体培地で誘導し、増殖させたカルスを、炭水化物を添
加した液体培地を用いて培養する。炭水化物としては、
フラクトース、マルトース、ラクトース、ラフィノース
等が適当である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タクサス属植物由
来の細胞を培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、こ
のタキサン類化合物を培養物から回収することからなる
タキサン類化合物の製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、タクサス属植物由来の細胞の培養物であ
るカルスまたは液体培養細胞から高収率でタキサン類化
合物を産生させ、これを回収するタキサン類化合物の製
造方法に関する。
来の細胞を培養し、タキサン類化合物を産生せしめ、こ
のタキサン類化合物を培養物から回収することからなる
タキサン類化合物の製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、タクサス属植物由来の細胞の培養物であ
るカルスまたは液体培養細胞から高収率でタキサン類化
合物を産生させ、これを回収するタキサン類化合物の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タクサス属植物 (Taxus sp.)植物
体中に、タキソールおよびその誘導体が存在することが
知られていた。また、これらのタキソール類化合物がメ
ラノーマB16を含む種々のセルラインにおいて高い抗
腫瘍活性を示すことが知られており、タキソール類化合
物の抗腫瘍成分としての有効性について各種の臨床試験
が報告されている。
体中に、タキソールおよびその誘導体が存在することが
知られていた。また、これらのタキソール類化合物がメ
ラノーマB16を含む種々のセルラインにおいて高い抗
腫瘍活性を示すことが知られており、タキソール類化合
物の抗腫瘍成分としての有効性について各種の臨床試験
が報告されている。
【0003】これらのタキソール類化合物を用いた臨床
試験および商業規模での化学療法には大量のタキソール
類化合物が必要とされるが、天然起源のタキソール類化
合物を大量に生産することは技術的に六難しく、現在ま
で行われていない。タキソール類化合物は、複雑な構造
の化合物であり、化学合成による生産もこれまで行われ
ていない。従って、タキソールの各種誘導体の調製も、
その出発材料は天然起源のものが用いられている。
試験および商業規模での化学療法には大量のタキソール
類化合物が必要とされるが、天然起源のタキソール類化
合物を大量に生産することは技術的に六難しく、現在ま
で行われていない。タキソール類化合物は、複雑な構造
の化合物であり、化学合成による生産もこれまで行われ
ていない。従って、タキソールの各種誘導体の調製も、
その出発材料は天然起源のものが用いられている。
【0004】しかしながら、タキソールおよびその誘導
体を含有するタクサス属植物は、特殊な植物であり、成
長が遅く、人工的な栽培も行われていない状況にある。
また、タキソール類化合物の生産には大量のタクサス属
植物のバルクが必要とされるだけでなくバルクからタキ
ソール類化合物を分離、回収するのに複雑な工程が必要
とされ、また、回収された生産物が変質し易いなどの問
題点があった。
体を含有するタクサス属植物は、特殊な植物であり、成
長が遅く、人工的な栽培も行われていない状況にある。
また、タキソール類化合物の生産には大量のタクサス属
植物のバルクが必要とされるだけでなくバルクからタキ
ソール類化合物を分離、回収するのに複雑な工程が必要
とされ、また、回収された生産物が変質し易いなどの問
題点があった。
【0005】また、最近になって、タクサス属植物の生
組織を特定の培地で培養することによりタキサン骨格を
含むアルカロイド化合物を生産させ、これを分離、回収
することも研究されている。これは、タクサス属植物の
生組織を用いて組織培養法によりタキサン骨格を含むア
ルカロイド化合物を生産する点で従来の天然バルク抽出
法に比較して新しい生産技術であると言える。
組織を特定の培地で培養することによりタキサン骨格を
含むアルカロイド化合物を生産させ、これを分離、回収
することも研究されている。これは、タクサス属植物の
生組織を用いて組織培養法によりタキサン骨格を含むア
ルカロイド化合物を生産する点で従来の天然バルク抽出
法に比較して新しい生産技術であると言える。
【0006】しかしながら、従来報告されているもの
は、アルカロイド化合物の生産性が充分なものではな
く、薬剤試験および化学療法など薬剤成分が大量に必要
とされる応用、利用研究およびその実用化のためには目
的化合物の生産性が低い点で全く不充分なものであり、
これらタキサン骨格を含むアルカロイド化合物を高い生
産性をもって生産することが可能な新しい生産技術を開
発することが強く要請されている状況にあった。
は、アルカロイド化合物の生産性が充分なものではな
く、薬剤試験および化学療法など薬剤成分が大量に必要
とされる応用、利用研究およびその実用化のためには目
的化合物の生産性が低い点で全く不充分なものであり、
これらタキサン骨格を含むアルカロイド化合物を高い生
産性をもって生産することが可能な新しい生産技術を開
発することが強く要請されている状況にあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑み
て、本発明者らは、抗腫瘍成分として有用性の高いタキ
ソール類およびバッカテイン類などのタキサン類化合物
を高い生産性をもって生産することが可能な新しい生産
技術を開発することを目的として鋭意研究を積み重ねた
結果、タクサス属植物に由来し、タキサン類化合物を産
生することのできる細胞を特定の成分を添加した培地を
用いて培養することにより、従来のタクサス属植物の組
織培養法に比較して細胞の増殖率を高め、タキサン類化
合物の生産性が著しく向上することを見い出し、本発明
を完成するに至った。
て、本発明者らは、抗腫瘍成分として有用性の高いタキ
ソール類およびバッカテイン類などのタキサン類化合物
を高い生産性をもって生産することが可能な新しい生産
技術を開発することを目的として鋭意研究を積み重ねた
結果、タクサス属植物に由来し、タキサン類化合物を産
生することのできる細胞を特定の成分を添加した培地を
用いて培養することにより、従来のタクサス属植物の組
織培養法に比較して細胞の増殖率を高め、タキサン類化
合物の生産性が著しく向上することを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、特定の成分を添加し
た培地でタクサス属植物由来の細胞を培養することによ
り該細胞の増殖率を高め、高い生産性でタキサン類化合
物を生産させるタキサン類化合物の新規製造方法を提供
することを目的とするものである。
た培地でタクサス属植物由来の細胞を培養することによ
り該細胞の増殖率を高め、高い生産性でタキサン類化合
物を生産させるタキサン類化合物の新規製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するためになされたものであって、タクサス属
植物 (Taxus sp.)由来のタキサン類化合物を産生するこ
とのできる細胞を、炭水化物を添加した培地で培養し、
タキサン類化合物を産生せしめ、この培養物から産生し
たタキサン類化合物を回収することよりなるタキサン類
化合物の製造方法に関する。
的を達成するためになされたものであって、タクサス属
植物 (Taxus sp.)由来のタキサン類化合物を産生するこ
とのできる細胞を、炭水化物を添加した培地で培養し、
タキサン類化合物を産生せしめ、この培養物から産生し
たタキサン類化合物を回収することよりなるタキサン類
化合物の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるタクサス属植物と
しては、タクサス ブレビホリア(Taxus brevifoli
a)、タクサス カナデンシス(T.canadensis) 、タク
サス x メジア cv.ヒクシー(T. x media cv.hicksi
i)、タクサス クスピダータ (T. cuspidata) などが例
示される。利用する植物の部位としては、根、葉、胚、
幹、茎、メリステムなど植物組織の適宜の細胞が対象と
なり、タクサス属植物の生組織を含む切片の形で用いら
れる。切片の切り出し部位としては、新芽、若い葉、成
熟した種子の中身、内部の胚、赤色の仮種皮、緑色の仮
種皮などが用いられる。
しては、タクサス ブレビホリア(Taxus brevifoli
a)、タクサス カナデンシス(T.canadensis) 、タク
サス x メジア cv.ヒクシー(T. x media cv.hicksi
i)、タクサス クスピダータ (T. cuspidata) などが例
示される。利用する植物の部位としては、根、葉、胚、
幹、茎、メリステムなど植物組織の適宜の細胞が対象と
なり、タクサス属植物の生組織を含む切片の形で用いら
れる。切片の切り出し部位としては、新芽、若い葉、成
熟した種子の中身、内部の胚、赤色の仮種皮、緑色の仮
種皮などが用いられる。
【0011】切片の培養は、まず、切片を滅菌処理し、
これをオーキシン、サイトカイニン等を添加した寒天培
地などの固体培地上で培養してカルスを誘導させる。誘
導されたカルスを同様の固体培地上で充分に増殖させ
る。切片の滅菌は、エタノール表面殺菌、次亜塩素酸塩
による処理、滅菌した蒸留イオン交換水による洗浄など
により行う。
これをオーキシン、サイトカイニン等を添加した寒天培
地などの固体培地上で培養してカルスを誘導させる。誘
導されたカルスを同様の固体培地上で充分に増殖させ
る。切片の滅菌は、エタノール表面殺菌、次亜塩素酸塩
による処理、滅菌した蒸留イオン交換水による洗浄など
により行う。
【0012】培地は、ガンボルグ(Gamborg) B5、ムラシ
ゲ・スクーグ(Murashige-Skoog) 、ニッチ・ニッチ(Nit
ch+Nitch)などのような無機塩、ビタミン類を含有する
基礎培地に、炭素源としてショ糖などの糖類、2, 4−ジ
クロロフェノキシ酢酸(2, 4-D) 、ナフタレン酢酸(N
AA)、インドール酪酸、インドール酢酸、ベンジルア
デニン、カイネチンなどの植物ホルモン、寒天などを添
加して構成し、これにフェノール吸着作用を有する化合
物を添加したものが用いられる。培養は、暗所に静置
し、20℃から26℃前後で約50日間実施する。一般に、生
成したフェノール類化合物が酸化して生じるキノン類が
重合して着色物質になるため培養の過程で褐変が生起す
るが、褐変防止剤を添加することにより培地の褐変が防
止される。2, 4-D、カイネチンなどの植物ホルモンの濃
度も褐変およびカルスの増殖に影響し、これらの使用量
は、用いる培地、培養条件に応じて決定されるが、例え
ば、オーキシンとサイトカイニンについては、0から4
mg/lのオーキシンと0から4mg/lのサイトカイニンを含
有する培地を用いることが好ましい。増殖したカルスを
液体培地に移し、さらに液体培養して培養細胞および培
養液上清中にタキサン類化合物を生産させ、これを抽出
し、精製する。
ゲ・スクーグ(Murashige-Skoog) 、ニッチ・ニッチ(Nit
ch+Nitch)などのような無機塩、ビタミン類を含有する
基礎培地に、炭素源としてショ糖などの糖類、2, 4−ジ
クロロフェノキシ酢酸(2, 4-D) 、ナフタレン酢酸(N
AA)、インドール酪酸、インドール酢酸、ベンジルア
デニン、カイネチンなどの植物ホルモン、寒天などを添
加して構成し、これにフェノール吸着作用を有する化合
物を添加したものが用いられる。培養は、暗所に静置
し、20℃から26℃前後で約50日間実施する。一般に、生
成したフェノール類化合物が酸化して生じるキノン類が
重合して着色物質になるため培養の過程で褐変が生起す
るが、褐変防止剤を添加することにより培地の褐変が防
止される。2, 4-D、カイネチンなどの植物ホルモンの濃
度も褐変およびカルスの増殖に影響し、これらの使用量
は、用いる培地、培養条件に応じて決定されるが、例え
ば、オーキシンとサイトカイニンについては、0から4
mg/lのオーキシンと0から4mg/lのサイトカイニンを含
有する培地を用いることが好ましい。増殖したカルスを
液体培地に移し、さらに液体培養して培養細胞および培
養液上清中にタキサン類化合物を生産させ、これを抽出
し、精製する。
【0013】本発明では、固体培地および液体培地に炭
水化物を添加する。しかし、炭水化物の添加は、固体培
養及び液体培養を行なってタクサス属植物由来の細胞が
充分な量に達した後添加することが望ましい。この点か
らみて液体培養の後半の段階で添加することが望まし
い。添加される炭水化物としては、デンプン、アミロペ
クチン等の多糖類、ラフィノース等の三糖類、ラクトー
ス、イソマルトース、セロビオース、アルトース等の二
糖類、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単
糖類が用いられる。これらの炭水化物は単独で用いても
よいし、また数種の炭水化物を混合して用いることもで
きる。
水化物を添加する。しかし、炭水化物の添加は、固体培
養及び液体培養を行なってタクサス属植物由来の細胞が
充分な量に達した後添加することが望ましい。この点か
らみて液体培養の後半の段階で添加することが望まし
い。添加される炭水化物としては、デンプン、アミロペ
クチン等の多糖類、ラフィノース等の三糖類、ラクトー
ス、イソマルトース、セロビオース、アルトース等の二
糖類、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単
糖類が用いられる。これらの炭水化物は単独で用いても
よいし、また数種の炭水化物を混合して用いることもで
きる。
【0014】さらに本発明では、これらの炭水化物とア
ミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導体、イソプレ
ノイド誘導体等を適宜併用してもよい。アミノ酸として
は、メチオニン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロ
イシン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、
アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、アス
パラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロリン、ヒド
ロキシリジン等の脂肪族アミノ酸が用いられる。また、
トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチ
ジン等の芳香族アミノ酸を用いてもよい。また、トロポ
ロン誘導体としては、トロポロン、7-ヒドロキシトロポ
ロン、3,3- ジヒドロキシトロポロン、β- ケセプリン
(ヒノキチオール) 等が用いられる。バニリン誘導体と
しては、バニリン、O-バニリン、バニリン酸、バニリル
アミン、バニリルアルコール、バニリル乳酸、バニリル
マンデル酸、カプサイシン等が用いられる。イソプレノ
イド誘導体としては、酢酸、メバロン酸、ラクトン、ジ
メチルアリルアルコール、ジメチルアリルピロリン酸、
イソペンテニルアルコール、イソペンテニルピロリン
酸、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲ
ラニルピロリン酸、ネオセンブレン等が用いられる。こ
れらの化合物はアミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン
誘導体、イソプレノイド誘導体のなかからその1種を炭
水化物と併用してもよいし、さらにこれらの化合物を数
種組合せて用いてもよい。
ミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン誘導体、イソプレ
ノイド誘導体等を適宜併用してもよい。アミノ酸として
は、メチオニン、バリン、アラニン、ロイシン、イソロ
イシン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、
アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、アス
パラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロリン、ヒド
ロキシリジン等の脂肪族アミノ酸が用いられる。また、
トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチ
ジン等の芳香族アミノ酸を用いてもよい。また、トロポ
ロン誘導体としては、トロポロン、7-ヒドロキシトロポ
ロン、3,3- ジヒドロキシトロポロン、β- ケセプリン
(ヒノキチオール) 等が用いられる。バニリン誘導体と
しては、バニリン、O-バニリン、バニリン酸、バニリル
アミン、バニリルアルコール、バニリル乳酸、バニリル
マンデル酸、カプサイシン等が用いられる。イソプレノ
イド誘導体としては、酢酸、メバロン酸、ラクトン、ジ
メチルアリルアルコール、ジメチルアリルピロリン酸、
イソペンテニルアルコール、イソペンテニルピロリン
酸、ゲラニオール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲ
ラニルピロリン酸、ネオセンブレン等が用いられる。こ
れらの化合物はアミノ酸、トロポロン誘導体、バニリン
誘導体、イソプレノイド誘導体のなかからその1種を炭
水化物と併用してもよいし、さらにこれらの化合物を数
種組合せて用いてもよい。
【0015】本発明における炭水化物の添加量は、培地
に対し 0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7 重量%、よ
り好ましくは 1〜4 重量%とする。また、アミノ酸、ト
ロポロン誘導体、バニリン誘導体、イソプレノイド誘導
体を併用するときは、上記の添加量の範囲で 0.1〜4 重
量%程度を炭水化物に代えて使用し、炭水化物と併用し
てもよい。
に対し 0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7 重量%、よ
り好ましくは 1〜4 重量%とする。また、アミノ酸、ト
ロポロン誘導体、バニリン誘導体、イソプレノイド誘導
体を併用するときは、上記の添加量の範囲で 0.1〜4 重
量%程度を炭水化物に代えて使用し、炭水化物と併用し
てもよい。
【0016】このような化合物を培地中に添加すること
により、タキサン類化合物産生細胞の増殖率を高め、タ
キサン類化合物の生産性を著しく向上することができ
る。このように、二次代謝産物の生産性を向上させる上
で前記化合物の培地への添加は、きわめて有効である。
0.1重量%以下だとタキサン類化合物の生産性を向上す
ることができず、10重量%以上だとかえってカルスの増
殖を阻害するので好ましくない。
により、タキサン類化合物産生細胞の増殖率を高め、タ
キサン類化合物の生産性を著しく向上することができ
る。このように、二次代謝産物の生産性を向上させる上
で前記化合物の培地への添加は、きわめて有効である。
0.1重量%以下だとタキサン類化合物の生産性を向上す
ることができず、10重量%以上だとかえってカルスの増
殖を阻害するので好ましくない。
【0017】このようにして得られた培養細胞及び培養
液上清を乾燥し、これからタキサン類化合物を抽出し、
必要に応じて精製する。すなわち、生産されたタキサン
類化合物を、ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン抽
出などにより抽出し、分離、回収する。分離、回収に
は、抽出、カラム分離等従来化合物の分離精製に用いら
れている通常の方法が用いられる。また、この抽出液を
乾燥してこれをタキサン類化合物として用いてもよい
し、さらにタキサン類化合物を単離してもよい。目的化
合物のタキサン類化合物の分析にはHPLC分析などが
用いられる。目的化合物のタキサン類化合物としては、
以下の式で示されるタキサン骨格を有するタキソール
(I)、セファロマニン (II) 、10−デアセチルセファ
ロマニン (III)、バカテインIII (IV)、10−デアセチ
ルバカテインIII(V) などの化合物を例示することがで
きる。
液上清を乾燥し、これからタキサン類化合物を抽出し、
必要に応じて精製する。すなわち、生産されたタキサン
類化合物を、ジクロロメタン、メタノール、ヘキサン抽
出などにより抽出し、分離、回収する。分離、回収に
は、抽出、カラム分離等従来化合物の分離精製に用いら
れている通常の方法が用いられる。また、この抽出液を
乾燥してこれをタキサン類化合物として用いてもよい
し、さらにタキサン類化合物を単離してもよい。目的化
合物のタキサン類化合物の分析にはHPLC分析などが
用いられる。目的化合物のタキサン類化合物としては、
以下の式で示されるタキサン骨格を有するタキソール
(I)、セファロマニン (II) 、10−デアセチルセファ
ロマニン (III)、バカテインIII (IV)、10−デアセチ
ルバカテインIII(V) などの化合物を例示することがで
きる。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】以下、実施例にもとづいて本発明をさらに
詳細に説明する。
詳細に説明する。
【実施例1】植物材料として、タクサス クスピダータ
(Taxus cuspidata) の茎の切片を用いた。この切片を蒸
留水で洗浄し、70%エタノールで表面殺菌を30〜60秒行
い、1.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(数滴のTween 2
0添加) に20〜30分浸漬し、さらに滅菌した蒸留水で3
回洗浄して切片の滅菌を行った。この切片をガンボルグ
B5基本培地に、ショ糖2%、寒天 0.8%、2, 4-D1mg/
L 、カイネチン1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加して調製した固体培地を用いて、26℃、暗所に静置
して培養することによりカルスを誘導させた。培養28日
目に植え継ぎ、同様の固体培地を用いてカルスを増殖さ
せた。
(Taxus cuspidata) の茎の切片を用いた。この切片を蒸
留水で洗浄し、70%エタノールで表面殺菌を30〜60秒行
い、1.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(数滴のTween 2
0添加) に20〜30分浸漬し、さらに滅菌した蒸留水で3
回洗浄して切片の滅菌を行った。この切片をガンボルグ
B5基本培地に、ショ糖2%、寒天 0.8%、2, 4-D1mg/
L 、カイネチン1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加して調製した固体培地を用いて、26℃、暗所に静置
して培養することによりカルスを誘導させた。培養28日
目に植え継ぎ、同様の固体培地を用いてカルスを増殖さ
せた。
【0022】得られたカルスを蔗糖3% 2, 4-D 4mg/L
、カイネチン 1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加したガンボルグB5液体培地に移し、26℃、暗所で
80 rpmで攪拌下に培養を行なった。28日ごとに培養液を
交換し、植え継いで細胞を増殖させた。
、カイネチン 1mg/L、ポリビニルピロリドン 1.5%を
添加したガンボルグB5液体培地に移し、26℃、暗所で
80 rpmで攪拌下に培養を行なった。28日ごとに培養液を
交換し、植え継いで細胞を増殖させた。
【0023】このようにして得られた培養細胞 0.2g(新
鮮細胞質量) を36mmφのマイクロプレートウェルに移
し、蔗糖のかわりにフラクトース(Fr)、マルトース(Mal
t)、ラクトース(Lac) またはラフィノース(Raff)を3%
加えた、前記液体培地 3.8 mL中で培養を行なった。こ
の培養は、25℃の暗所で培地を80 rpmで旋回させながら
14日間培養を行なった。また、比較例として前記フラク
トース等に代えて、シュクロース(Suc) 3%を炭素源と
して加えて、前記液体培地で同様の培養を行なった。
鮮細胞質量) を36mmφのマイクロプレートウェルに移
し、蔗糖のかわりにフラクトース(Fr)、マルトース(Mal
t)、ラクトース(Lac) またはラフィノース(Raff)を3%
加えた、前記液体培地 3.8 mL中で培養を行なった。こ
の培養は、25℃の暗所で培地を80 rpmで旋回させながら
14日間培養を行なった。また、比較例として前記フラク
トース等に代えて、シュクロース(Suc) 3%を炭素源と
して加えて、前記液体培地で同様の培養を行なった。
【0024】培養終了後、培養液から細胞を分離し、こ
の細胞を凍結乾燥し、破砕し、40mLのメタノール: ジク
ロロメタン(1 : 1) の溶媒で室温の下に1時間超音波条
件下で抽出を行なった。この抽出液を 2500kg で20分間
遠心分離して上澄み (粗抽出液) を得た。この粗抽出液
を25℃で乾燥し、メタノール 500μL に溶解し濾紙で濾
過した。濾液には、タキソール、バッカチンIII 、10-
デアセチルバッカチンIII 、セファロマニンなどのタキ
ソール類化合物を 0.1%以上の収率で含有していた。前
記炭水化物を添加した液体培地中での培養細胞の増殖率
及びタキソールの収率を表1に示した。
の細胞を凍結乾燥し、破砕し、40mLのメタノール: ジク
ロロメタン(1 : 1) の溶媒で室温の下に1時間超音波条
件下で抽出を行なった。この抽出液を 2500kg で20分間
遠心分離して上澄み (粗抽出液) を得た。この粗抽出液
を25℃で乾燥し、メタノール 500μL に溶解し濾紙で濾
過した。濾液には、タキソール、バッカチンIII 、10-
デアセチルバッカチンIII 、セファロマニンなどのタキ
ソール類化合物を 0.1%以上の収率で含有していた。前
記炭水化物を添加した液体培地中での培養細胞の増殖率
及びタキソールの収率を表1に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】本発明によると、タクサス属植物由来の
細胞を炭化水素を添加した培地で培養し、タキサン類化
合物を産生させ、この培養物からタキサン類化合物を回
収することを特徴とするものであり、このことにより、
従来の組織培養法と比較して細胞の増殖率を高め、タキ
サン類化合物の生産性を著しく向上させることができ
る。
細胞を炭化水素を添加した培地で培養し、タキサン類化
合物を産生させ、この培養物からタキサン類化合物を回
収することを特徴とするものであり、このことにより、
従来の組織培養法と比較して細胞の増殖率を高め、タキ
サン類化合物の生産性を著しく向上させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12N 5/04 C12R 1:91)
Claims (1)
- 【請求項1】 タクサス属植物(Taxus sp.)由来のタキ
サン類化合物を産生することのできる細胞を炭水化物を
添加した培地で培養し、タキサン類化合物を産生せし
め、この培養物から該化合物を回収することを特徴とす
るタキサン類化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8227479A JPH1052294A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(i) |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8227479A JPH1052294A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(i) |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1052294A true JPH1052294A (ja) | 1998-02-24 |
Family
ID=16861532
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8227479A Pending JPH1052294A (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | タキサン類化合物の製造方法(i) |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1052294A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7264951B1 (en) | 1992-02-20 | 2007-09-04 | Phyton, Inc. | Enhanced production of taxol and taxanes by cell cultures of Taxus species |
US8338143B2 (en) | 1996-05-24 | 2012-12-25 | Phyton Holdings, Llc | Enhanced production of paclitaxel and taxanes by cell cultures of Taxus species |
-
1996
- 1996-08-09 JP JP8227479A patent/JPH1052294A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7264951B1 (en) | 1992-02-20 | 2007-09-04 | Phyton, Inc. | Enhanced production of taxol and taxanes by cell cultures of Taxus species |
US8338143B2 (en) | 1996-05-24 | 2012-12-25 | Phyton Holdings, Llc | Enhanced production of paclitaxel and taxanes by cell cultures of Taxus species |
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