JPH05286233A - 顕色剤組成物、水性懸濁液及びそれを用いた感圧複写紙用顕色シート - Google Patents

顕色剤組成物、水性懸濁液及びそれを用いた感圧複写紙用顕色シート

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JPH05286233A JP4173320A JP17332092A JPH05286233A JP H05286233 A JPH05286233 A JP H05286233A JP 4173320 A JP4173320 A JP 4173320A JP 17332092 A JP17332092 A JP 17332092A JP H05286233 A JPH05286233 A JP H05286233A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 サリチル酸とスチレンダイマー類を含むスチ
レン類から得られるサリチル酸樹脂多価金属化物から成
る顕色剤組成物、(a)分子内にスルホン酸を有するポ
リビニルアルコール誘導体及び塩、(b)スチレンスル
ホン酸塩を必須成分とする重合体あるいは共重合体より
成るアニオン性水溶性高分子群の少なくとも一種の存在
下に、湿式微粉砕して得られるその顕色剤組成物の水性
懸濁液及びそれを用いた感圧複写用顕色シート。 【効果】 サリチル酸樹脂の構造に分岐した結合を導入
することにより光に対する顕色剤としての性能が向上
し、この顕色剤組成物に適合した分散剤の選択により、
分散性、塗工適性の優れた水性懸濁液が得られ、これを
用いて製造した感圧複写用顕色シートは良好な性能を示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサリチル酸樹脂多価金属
化物から成る新規な顕色剤組成物及びその水性懸濁液に
関する。この顕色剤組成物は感圧紙、感熱紙、複写イン
キ組成物または転写型の複写紙用顕色剤等に使用でき
る。
【0002】
【従来の技術】感圧複写紙はノーカーボン紙とも称せら
れ、筆記、タイプライター等、機械的または衝撃的圧力
によって発色し、同時に複数枚の複写を取ることのでき
る複写紙であって、転移タイプと称するもの、あるいは
単体発色紙と称されるもの等があるが、その発色機構は
電子供与性の無色色素と電子受容性の顕色剤とによる発
色反応に基づくものである。
【0003】一般に、感圧複写紙は、電子供与性有機化
合物(感圧色素)を含有する不揮発性有機溶剤のマイク
ロカプセルが塗布されたシート(CB紙)と、電子受容
性顕色剤を含有する水性塗料組成物が塗布されたシート
(CF紙)とを、それぞれの塗布面を対向させておき、
前記の印字圧力によってマイクロカプセルを破壊して、
流出させた感圧色素溶液を顕色剤に接触させ、呈色する
ようにしたものである。したがって、感圧色素を有する
マイクロカプセル層と顕色剤層との組み合わせを変える
ことにより、多数枚の複写を可能にしたり、また、単葉
で発色する感圧複写紙(SC紙)の製造も可能である。
【0004】転移タイプの感圧複写紙を例にとりこれを
図1に示して説明すれば次のとおりである。
【0005】上葉紙1及び中葉紙2の裏面には無色の発
色性感圧色素を不揮発性オイルに溶解し感圧色素溶液と
し、それをゼラチン等の高分子被膜で包んだ直径数ミク
ロンないし十数ミクロンのマイクロカプセル4が塗布さ
れている。中葉紙2および下葉紙3の表面には上記の感
圧色素と接触すると反応を起こして発色させる性質を有
する顕色剤5を含んだ塗料が塗布されている。複写をと
るためには上−(中)−(中)−下の順に重ねて(色素
含有塗布面と顕色剤塗布面とを対向させる)、筆圧6や
タイプ打圧等の局部的圧力を加えるとその部分のカプセ
ル4が破れて感圧色素溶液が顕色剤5に転移して複写記
録が得られるものである。
【0006】このような感圧複写紙に使用される無色あ
るいは淡色の色素前駆体としては、 ・クリスタルバイオレットラクトン等のトリアリールメ
タンフタリド系化合物 ・3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフル
オラン等のフルオラン系化合物 ・ピリジルフタリド系化合物 ・フェノチアジン系化合物 ・リューコオーラミン系化合物 等があり、これらから選ばれた1種以上が疎水性高沸点
溶剤に溶解され、かつマイクロカプセル化されて使用さ
れる。
【0007】電子受容性顕色剤として、(1)USP
2,712,507に開示されている酸性白土、アタパ
ルガイド等の無機固体酸類、(2)特公昭40−930
9に開示されている置換フェノール及びジフェノール
類、(3)特公昭42−20144に開示されているp
−置換フェノール−ホルムアルデヒド重合体及びそれら
の多価金属変性物、(4)特公昭49−10856、特
公昭51−25174、特公昭52−1327、特開昭
54−148614、特開昭62−84045、特開昭
63−132857、特開昭63−112537、及び
特開平2−91042等に開示されている芳香族カルボ
ン酸金属塩等が提案され、一部実用化されている。
【0008】顕色シートが備えるべき性能条件として
は、常温における発色画像の濃度が濃いこと、長期
保存による発色画像の濃度の低下が少ないこと、殊に
低温下での発色画像の発色速度が大きいこと、保存及
び日光等の輻射線暴露による紙面黄変が少ないこと、
水または可塑剤により発色画像が容易に消失または褪色
しないこと、日光等の輻射線暴露による発色画像の褪
色が少ないこと等が挙げられる。
【0009】従来提案されている顕色剤及びそれを塗工
したシートは、下記のように一長一短がある。
【0010】1.無機固体酸類 例えば、無機固体酸類は安価であるが、保存時に空気中
のガスや水分を吸着して紙面の黄変や発色性能の低下を
生じる。また無機固体酸類は、日光等の輻射線暴露によ
る発色画像の褪色も大きい。
【0011】2.置換フェノール類 置換フェノール類は、発色性が不十分で発色画像の濃度
や低温での発色速度が低い。
【0012】 3.p−置換フェノールホルムアルデヒド重合体 p−置換フェノールホルムアルデヒド重合体としてもっ
ぱら用いられているp−フェニルフェノール−ノボラッ
ク樹脂は、発色画像の濃度や低温下での発色速度ならび
に水または可塑剤に対する耐性では優れているが、塗工
紙が日光等の輻射線暴露または保存(殊に空気中の窒素
酸化物)により黄変し、発色画像は著しく褪色する。
【0013】4.芳香族カルボン酸金属塩 従来の顕色剤の欠点を改良するものとして、芳香族カル
ボン酸金属塩類、殊にサリチル酸誘導体の金属塩類が、
いくつか提案されている。しかしながらこれらの顕色剤
を複写記録紙に使用した場合、塗工紙面の耐黄変性は改
善されるものの、従来から問題とされているような低温
における発色性、水または可塑剤に対する耐性及び光に
対する安定性等は、まだ改善されたとは言い難い。
【0014】このような欠点を改良する方法はいくつか
提案されている。すなわち、光に対する安定性及び水ま
たは可塑剤に対する耐性を改良する目的で、特公昭55
−1195(USP4,046,941)ではサリチル
酸化合物に相溶性のある樹脂を混合して使用する方法が
提案されている。このような方法は、耐水性や耐光性の
向上に対して確実に効果があるが、未だ低温における発
色速度や発色画像の濃度に関しては不十分な点がある。
【0015】また、顕色剤としてのサリチル酸化合物の
効果は、その置換基に依存するので、例えば単なるサリ
チル酸の金属塩を相溶性のある樹脂と混合して使用した
としても、顕色能は一般に小さい。したがって、このよ
うな方法で使用するサリチル酸化合物は、サリチル酸骨
格に芳香族置換基を導入することが必要条件である。
【0016】近年、低温下での発色性ならびに水または
可塑剤に対する耐性を改善する試みとして、サリチル酸
を樹脂化させてこの金属化物を利用する方法も提案され
ている。
【0017】例えば、特開昭63−132857(US
P4,879,368)に開示されているサリチル酸と
ベンジルハライドから得られるポリベンジルサリチル酸
の金属化物、特開昭63−112537(USP4,9
29,710)に開示されているをサリチル酸とスチレ
ン類から得られたサリチル酸樹脂の金属化物、または本
発明者らが先に提案した(1)特開昭63−18672
9、(2)特開昭63−254124、(3)特開昭6
3−289017、(4)特開昭64−56724及び
特開昭64−77575((1)〜(5)USP5,0
23,366)に示されるサリチル酸類と各種ベンジル
化物から成るサリチル酸樹脂の金属化物がある。
【0018】これらのサリチル酸樹脂金属化物を顕色剤
として使用した場合、一般に低温における発色速度や耐
水性は大幅に改善されることが特徴として述べられてい
る。
【0019】しかしながら、前記サリチル酸樹脂の多価
金属化物等においては光に対する安定性の向上がさらに
望まれている。これらの顕色剤においては光に対する安
定性が樹脂の構造や分子量分布等に微妙に左右されると
いう現実がある。すなわち、樹脂の構造で発色画像等の
光に対する安定性はサリチル酸に対するベンジル化合物
のα炭素にアルキル基等の置換基があれば向上する傾向
にある。また樹脂の結合様式は直線的のものよりランダ
ムな結合が、分子量分布は広がりが広い方がより好まし
い傾向にある。
【0020】このような知見に基づき本発明者等は先に
改良したサリチル酸樹脂多価金属化物の製造方法を提案
した特開平1−133780(USP4,952,64
8)。この方法はサリチル酸エステル類にスチレン類を
反応させて分子量分布の広いサリチル酸エステル樹脂を
得、これを加水分解後、多価金属塩と反応させてサリチ
ル酸樹脂多価金属化物とする製法である。この方法で得
られた樹脂はその構造や分子量分布がより好ましい方向
に改良された。しかしながら、さらにもう一段の改良が
求められている。
【0021】一般に、顕色剤を用いて感圧複写紙を製造
するためには、顕色剤を界面活性剤の存在下に湿式粉砕
し、粒子径1〜10μmの微粒子として水性懸濁液化す
る。この際、分散剤を使用するが、良好な分散系を得る
ための被分散粒子と分散剤との組み合わせの選択は、な
かば経験的なものが多く、一般的な法則はない。また、
分散剤を選択する場合、単に分散性のみならず、それら
が被分散粒子との相互作用に与える影響も考慮しなけれ
ばならない。例えば、感圧複写紙用顕色剤として用いら
れてきたフェノール・ホルムアルデヒド縮合物には、通
常、ポリカルボン酸型アニオン系高分子界面活性剤、具
体的には、無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体の
ナトリウム塩が分散剤として利用される。しかし、これ
らを上記のサリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤
組成物の水性懸濁化の際に使用すると、多価金属とカル
ボン酸塩との間で不都合な錯塩形成が起こり、分散性能
及び分散安定性の著しい低下、消泡しがたい泡の生成、
被分散物質であるサリチル酸樹脂多価金属化物の変質に
よる顕色剤物性の変化等が起こり、実用に供せられる水
性懸濁液を得ることができない。また、かって、フェノ
ール・ホルムアルデヒド縮合物系顕色剤に使用されたナ
フレタンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物の塩、リ
グニンスルホン酸の塩等は、サリチル酸樹脂多価金属化
物から成る顕色剤組成物に対して分散性能を示すものも
あるが、それらを感圧複写紙に用いた場合、分散剤自体
に基づく紙面の着色あるいは光黄変性等の欠点があり、
実用性に著しく欠けるものである。
【0022】したがって、上記サリチル酸樹脂多価金属
化物から成る顕色剤組成物とそれに適合した分散剤とを
組み合わせ、分散性、安定性、顕色性等種々の面で良好
な性能をもった水性懸濁液をつくることは容易ではな
い。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、顕色シートにおける発色画像の耐水性、耐可塑剤
性、耐光性、長期間にわたる安定性ならびに低温下での
発色性等を満足させ、かつ安価に製造し得る顕色剤を提
供することにある。
【0024】本発明の第二の目的は、上記顕色剤を用い
分散性、保存安定性、塗工安定性等が良好であって、感
圧複写紙の製造に極めて好都合に利用できる水性懸濁液
を提供することにある。さらに、発色画像安定性(光、
水、溶剤、筆記用具、可塑剤等)に優れ、また、紙面の
着色や光黄変性等、保存時に変化のない高品質の感圧複
写紙の製造を可能とする水性懸濁液を提供することにあ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記目的を
解決するために鋭意検討した結果、サリチル酸樹脂多価
金属化物の樹脂構造でスチレン類の結合が自身のベンゼ
ン環以外、すなわち側鎖で結合した部分を導入すれば前
記性能を大幅に向上させ得るということを見出し、本発
明を完成させた。
【0026】すなわち、本発明は一般式(I)
【0027】
【化5】 (式中、R1 は炭素数1〜12のアルキル基、アラルキ
ル基、アリール基もしくはシクロアルキル基を示す。)
で表されるサリチル酸エステル類に一般式(II)
【0028】
【化6】 (式中、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で
表されるスチレン類と一般式(III)
【0029】
【化7】 (式中、R4 ,R5 ,R6 は水素原子またはメチル基を
示し、R3 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
を示す。)及び/または一般式(IV)
【0030】
【化8】 (式中、R7 ,R8 は水素原子またはメチル基を示し、
3 は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示
す。)で表されるスチレンダイマー類の混合物を反応さ
せ、得られたサリチル酸エステル樹脂を加水分解した
後、多価金属化合物と反応させて得られる軟化点50〜
180℃、重量平均分子量500〜10000のサリチ
ル酸樹脂多価金属化物において、物質(A)/(B)+
2(C)のモルト比が1/1.5〜20であり、このと
きB/Cの重量比が5〜95/95〜5であるこの金属
化物から成る顕色剤組成物である。
【0031】さらに本発明は上記顕色剤組成物を、
(a)分子内スルホン酸基を有するポリビニルアルコー
ル誘導体またはその塩、(b)一般式(V)で表される
スチレンスルホン酸塩
【0032】
【化9】 (式中、R9 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル
基、MはNa+ ,K+,Cs+ ,Fr+ またはNH4 +
示す)を必須成分とする重合体あるいは共重合体より成
るアニオン性水溶性高分子群より選ばれた1種以上の化
合物の存在下に、湿式微粉砕することを特徴とするサリ
チル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤組成物の水性懸
濁液である。
【0033】本発明の顕色剤組成物を用いた顕色シート
は芳香族カルボン酸金属塩として典型的なサリチル酸系
化合物の金属塩と比較した場合、発色画像の水や可塑剤
に対する耐性、耐光性、長期間にわたる安定性ならびに
低温における発色性等が向上した。一方、既知の方法で
得られるサリチル酸樹脂多価金属化物に比較した場合、
光に対する安定性が向上し、高性能な顕色剤を安価に提
供することが可能となった。
【0034】本発明の顕色剤組成物の特徴は、一般式
(III)及び/または(IV)で表されるスチレンダイマー
類と一般式(II)で表されるスチレン類を混用してサリ
チル酸エステル類に反応させ、サリチル酸エステル樹脂
を製造するので、その加水分解後の多価金属化物では、
樹脂構造中に通常の結合様式以外の分岐構造を含む部分
が存在する。すなわち、通常の結合様式ではサリチル酸
のベンゼン環にスチレン類の分子がα炭素を介して結合
し、さらにその結合したスチレン分子のベンゼン環に幾
つかのスチレン類の分子がα炭素を介して結合するとい
う構造が考えられている。
【0035】これに対し、本発明の樹脂構造では前記の
樹脂構造に加え樹脂構造中に分岐した部分を含むもので
あり、このような樹脂の構造を部分的に表すと式(VI)
【0036】
【化10】 または式(VII)
【0037】
【化11】 (ここでZはM′/mを示し、M′はm価の金属イオン
であり、mは整数である。R2 ,R3 ,R4 ,R5 及び
6 は前記式(II),(III)と同じ意味をもつ。)に例
示するようなスチレンダイマー成分を含む不規則な樹脂
の構造を示すことができる。この結果、樹脂の分子量分
布の広がりも比較的大きくなり顕色剤としての性能が向
上する。
【0038】これは特開平1−133780(前出)に
開示されたようなサリチル酸エステル類とスチレン類と
から導かれる顕色剤に比べて、発色画像の耐光性や長期
間の安定性が改良されるということである。
【0039】この発色画像の安定性では、特に太陽光下
に暴露された場合に顕著な有為差が認められる。
【0040】これはカーボンアークによる波長領域の狭
い光線(350〜450nm)照射よりも太陽光全領域
から成る光線に加え酸化劣化の存在も重要なファクター
として考えられている。
【0041】晴天屋外5日間の暴露条件下で、前記開示
された顕色剤を用いた発色画像の劣化程度は18ポイン
トであるのに対し、本発明で得られる分岐構造を含有す
るもの顕色剤による発色画像では11〜15.3ポイン
トの範囲であった(実施例1〜6、比較例1参照)。
【0042】このような差は目視において、より明瞭な
差として判別される。また、未発色紙においても同様の
耐光劣化が生じ、その差が判別されている。すなわち、
未発色紙を晴天屋外5日間暴露させた後の発色性能を試
験すると、本発明の分岐構造を導入したもの(4.1〜
6.1ポイント低下)は公知の樹脂(7.2ポイント低
下)に比べて発色性能の低下が少ない(実施例1〜6、
比較例1参照)。
【0043】このような発色画像の劣化及び未発色紙の
性能低下は感圧複写紙の長期間における保存安定性の点
で重要な問題である。
【0044】本発明の課題のひとつはこのような問題に
対して改良し、有効な手段を見出したものである。すな
わち、顕色剤として用いるサリチル酸樹脂多価金属化物
の構造中に分岐構造を導入することで改良した。
【0045】この分岐した部分を樹脂構造中に導入する
方法としては、サリチル酸エステル類にスチレン類を反
応させる際に、スチレン類に予めスチレンダイマー類を
含むものを使用して行うことで達成される。
【0046】このような分岐構造を含む複雑な樹脂組成
物から成る顕色剤が、その用途において耐光性能あるい
は長期間の安定性に優れる原因として、詳細は明らかで
ない。
【0047】しかしながら、発色種であるサリチル酸多
価金属塩部分への電子またはラジカルの移動が抑制され
ることによるものと推測している。
【0048】また、本発明の顕色剤組成物では、サリチ
ル酸分を含まないスチレン誘導体類の自己縮合樹脂成分
を含んでもよい。これら自己縮合樹脂成分の含有量は多
くても50重量%である。これらの自己縮合樹脂成分は
希アルカリ水溶液に溶解しないため、サリチル酸樹脂生
成の段階で分離することもできる。
【0049】本発明の顕色剤組成物において、サリチル
酸樹脂の構造にスチレンダイマー成分から成る分岐した
結合部分の存在は確認できる。例えば、カラムクロマト
法または前記アルカリ抽出水溶液を中和してサリチル酸
を含む樹脂成分のみを得、これを 1H−NMRで解析す
る。すなわち、分岐した結合部分に存在するメチレンプ
ロトン(2〜2.7ppm)を確認することで判断でき
る。
【0050】本発明の顕色剤組成物はサリチル酸エステ
ル類にスチレン類とスチレンダイマー成分の混合物を反
応させる第一段の反応と、第一段の反応で得られるサリ
チル酸エステル樹脂を加水分解反応させる第二段の反応
と、さらにこの第二段の反応で得られるサリチル酸樹脂
を多価金属化合物と反応させる第三段の反応によって得
られる。
【0051】サリチル酸に直接スチレン類を反応させる
方法は特開昭62−84045(U.S.P.4,74
8,259)に開示されている。
【0052】上記方法では電子吸引性基をもつサリチル
酸の反応性が低いために、比較的多量に酸触媒を用い高
温で反応させて対応する芳香族置換サリチル酸化合物を
得ている。
【0053】しかしながらこのような過激な条件下では
使用するスチレン誘導体の重合が起こりやすく、また、
反応熱の制御にも難点がある。さらにこれらの芳香族置
換サリチル酸化合物は2種類のサリチル酸化合物のみが
得られているにすぎない。
【0054】これは同様にサリチル酸の反応性が低いか
らであり、本発明のように、油溶成分を増加させ樹脂化
することによる発色性の向上、光及び水に対する安定性
の向上は望めない。
【0055】本発明では前記のようなサリチル酸の低反
応性に対し、サリチル酸のエステル類を使用すること
で、分子量の増大が達成できるものである。
【0056】次に、本発明の顕色剤組成物を製造する方
法についてより詳細に述べる。
【0057】第一段の反応はサリチル酸エステル類を強
酸触媒の存在下で一般式(II)
【0058】
【化12】 (式中、R2 は水素原子またはメチル基を示し、R3
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で
表されるスチレン類と一般式(III)
【0059】
【化13】 及び/または一般式(IV)
【0060】
【化14】 (式中、R4 ,R5 ,R6 ,R7 ,R8 は水素原子また
はメチル基を示し、R 3 は水素原子または炭素数1〜4
のアルキル基を示す。)で表されるスチレンダイマー類
との混合物を反応させサリチル酸エステル樹脂を製造す
る。
【0061】この第一段の反応で使用するサリチル酸エ
ステル類としては、サリチル酸メチル、サリチル酸エチ
ル、サリチル酸−n−プロピル、サリチル酸イソプロピ
ル、サリチル酸−n−ブチル、サリチル酸−イソブチ
ル、サリチル酸−tert−ブチル、サリチル酸イソア
ミル、サリチル酸−tert−オクチル、サリチル酸ノ
ニル、サリチル酸ドデシル、サリチル酸シクロヘキシ
ル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、サリチ
ル酸−α−メチルベンジル等が挙げられるがこれらに限
定されるものではない。工業的に好ましくは安価なサリ
チル酸メチルである。
【0062】次に、この反応において使用する一般式
(II)で定義したスチレン類としては、スチレン、o−
メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−
イソプロピルスチレン、m−イソプロピルスチレン、p
−イソプロピルスチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレン等が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。工業的に好ましくは安価なスチ
レンである。
【0063】一般式(III)または(IV)で定義したスチ
レンダイマー類としては前記スチレン類のダイマー化合
物が使用される。これらの具体例を示すと以下のような
化合物(A)〜(I)が例示できるがこれらのみに限定
されるものではない。
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
【化20】
【0070】
【化21】
【0071】
【化22】
【0072】
【化23】 これらは通常2種の異性体混合物として存在する場合が
多く、したがって2種以上を併用することは何ら問題と
はならない。これらのうち工業的に好ましくはスチレン
から誘導される(A),(B)の化合物である。
【0073】このスチレンダイマー類はスチレン類に適
当な酸触媒を存在させて反応させることにより容易に調
製できる。例えば特開昭51−115449で開示され
た方法で得ることができる。
【0074】本発明の場合、スチレン類とそれらから誘
導されるダイマーを混用することが特徴であり、したが
って、ダイマーを製造する際スチレン類からダイマーを
分別する必要もなく、混合物で使用できる。また、スチ
レン類と、分別した別種のスチレンからのダイマーとを
混合して使用することは何ら問題とはならない。
【0075】第一段の反応で使用するスチレン類及びダ
イマー類の混合物では、スチレン類対スチレンダイマー
類の重量比が5〜95対95〜5の任意の範囲が選択で
きる。
【0076】しかしながら、この混合物においてスチレ
ンダイマー類の割合が増加しても、顕色剤性能の向上に
とって一定の限度があり、また少なすぎると効果が小さ
いので、作業性や経済性を考慮すれば、好ましくは50
〜95対5〜50の重量比であり、より好ましくは70
〜90対10〜30の重量比がよい。
【0077】これらスチレン誘導体の使用量はダイマー
成分1モルをスチレン類2モルと計算するとサリチル酸
エステル類1モルに対し、1.5〜20モル、好ましく
は2〜10モルである。スチレン誘導体の使用量が上記
範囲より少ない場合は、上葉紙のマイクロカプセル中に
ある不揮発性オイルとの相溶性や水に対する不溶性も幾
分損なわれ、多い場合は、サリチル酸分の相対的な割合
が減少し、発色濃度が所望の水準に達しない。この使用
量の範囲で生成するサリチル酸エステル樹脂の重量平均
分子量は500〜10,000の範囲である。
【0078】この第一段の反応は、強酸触媒を使用す
る。
【0079】例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、
塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化第二
錫、四塩化チタン、三弗化ホウ素等のフリーデルクラフ
ツ形触媒またはメタンスルホン酸、トリフルオロメタン
スルホン酸等の強酸触媒が使用できる。このうち、特に
好ましいのは安価な硫酸である。触媒の使用量はサリチ
ル酸エステル類とスチレン類及びスチレンダイマー類の
全重量に対し、0.05〜200重量%、好ましくは経
済性を考慮して1〜50重量%の範囲である。
【0080】また、この第一段の反応では溶剤を使用し
てもよい。この溶剤としては、反応に不活性なもの、例
えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホル
ム、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶剤、
酢酸、プロピオン酸等の有機酸類等が挙げられる。
【0081】これらの溶剤の使用量は反応原料の全重量
に対して経済性を考慮すれば30(容量/重量)倍以下
が望ましい。
【0082】第一段の反応の反応温度は、−20℃〜8
0℃、好ましくは0〜50℃の範囲である。反応時間は
1〜30時間である。
【0083】第一段の反応ではサリチル酸エステル類を
その有機溶剤溶液にして触媒を装入し、所定の温度でも
う一方の原料のスチレン及びスチレンダイマー混合物を
滴下させながら反応させる方法が一般的である。この
際、滴下時間は全反応時間の50%以上とすることが好
ましく、通常の滴下時間は1〜20時間である。反応
後、使用した溶剤が水に不溶である場合は水を加え二層
で水洗分液した後、溶剤を留去して樹脂を得てもよく、
溶剤が水に溶解する場合は、水に投入して該樹脂を析出
させることにより得ることができる。
【0084】第一段の反応で得られたサルチル酸エステ
ル樹脂を加水分解する(第二段の反応)には、通常の酸
またはアルカリ水溶液による方法が用いられる。すなわ
ち、酸による加水分解では、塩酸、硫酸等の鉱酸類、硫
酸と酢酸のような鉱酸と有機酸の併用、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロベンゼンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸のような有機スルホン酸類、塩
化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二錫のようなルイス
酸、さらにはトリフルオロメタンスルホン酸、Nafi
on H(Du’pont社:商品名)のような超強酸
類と水により実施される。アルカリによる加水分解で
は、苛性ソーダ、苛性カリウムと水による方法が一般的
である。
【0085】酸またはアルカリと水の割合は任意の割合
で選択できるが、通常1:99〜99:1、好ましくは
5:95〜95:5(重量比)の範囲である。
【0086】酸またはアルカリのサリチル酸エステル樹
脂に対する使用量は、酸の場合、任意の割合で行える
が、通常は酸の強度により0.05〜30倍モルの範囲
で行う。アルカリの場合は、原料のサリチル酸エステル
に対し、当量以上〜30倍モルの範囲である。
【0087】反応温度は50〜200℃の範囲、好まし
くは80〜160℃の範囲である。高温下で行う場合
は、オートクレーブ中で自然発生圧力下で行うが、圧力
の範囲は1〜30atmである。反応時間は1〜50時
間の範囲である。反応時間を短縮する目的で四級アンモ
ニウム塩、四級ホスホニウム塩、クラウンエーテル、ク
リプテート、ポリエチレングリコール類等の相間移動触
媒を反応促進剤として加えてもよい。
【0088】この反応では、通常有機溶剤を使用しない
が、有機溶剤を使用してもよい。この溶剤としてはN−
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホトリ
アミド等の非プロトン性極性溶剤、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、2−
メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のグリ
コール類が使用でき、さらにトルエン、キシレン、モノ
クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2
−トリクロロエタン等の水と混和しない溶剤も使用でき
る。この溶剤の使用量は、原料に対し、0.5〜10
(容量/重量)倍で十分である。
【0089】反応終了後、反応液から一般的な方法、例
えば、分液、希釈、濃縮等の手段でサリチル酸エステル
樹脂の加水分解物、すなわちサリチル酸樹脂を得ること
ができる。
【0090】このように製造されたサリチル酸樹脂から
第三段の反応で金属化物を製造するにはいくつかの公知
の手段を適用できる。
【0091】例えば、該サリチル酸樹脂のアルカリ金属
塩及び水溶性多価金属塩の双方を、水または双方が可溶
である溶剤中で反応させて製造できる。すなわち、該樹
脂に対してアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩またはアル
コキシド等を反応させて、樹脂のアルカリ金属塩の水溶
液、アルコール溶液、あるいは水−アルコール混合溶液
を得た後、水溶性多価金属塩を反応せしめて生成する方
法である。サリチル酸1モル当たり約0.5〜1グラム
等量の水溶性多価金属塩を反応させることが望ましい。
【0092】また、サリチル酸樹脂とギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、吉草酸、カプロン酸、ステアリン酸または安
息香酸等の有機カルボン酸の多価金属塩とを混合し、加
熱溶融反応することによりサリチル酸樹脂多価金属化物
を製造できる。場合によっては、さらに塩基性物質、例
えば炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アン
モニウム、安息香酸アンモニウムを添加して、加熱溶融
反応させてもよい。
【0093】さらに、サリチル酸樹脂と多価金属の炭酸
塩、酸化物、水酸化物を使用し、加熱溶融して反応させ
た後冷却してサリチル酸樹脂多価金属化物を製造でき
る。この際、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カ
プロン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、安
息香酸アンモニウム等の有機カルボン酸アンモニウム等
の塩基性物質を添加して反応させてもよい。
【0094】反応物質を加熱溶融してサリチル酸樹脂の
多価金属化物を製造する場合、反応温度は通常100〜
180℃で行い、反応時間は樹脂組成、反応温度、多価
金属塩の種類、使用量によるが、1〜数時間程度であ
る。また多価金属塩は、得られる該樹脂金属化物全重量
に対して金属が1〜約20重量%存在するように多価金
属の有機カルボン酸塩、炭酸塩、酸化物、または/及び
水酸化物を使用することが望ましい。
【0095】塩基性物質の使用量については特に制限は
ないが、通常得られる該樹脂金属化物全重量に対して1
〜15重量%使用する。塩基性物質を使用する際は、予
め多価金属塩と混合して使用するのがさらに好ましい。
【0096】上述の種々の方法で製造されるサリチル酸
樹脂多価金属化物の軟化点(JIS−K−2548によ
る環球軟化点測定法)範囲は50〜180℃である。
【0097】本発明で用いる金属化物の金属としては、
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類を
除く金属を包含するが、好ましくい多価金属としては、
カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、亜鉛、
スズ、バリウム、コバルト及びニッケル等が挙げられ
る。これらのうち、亜鉛が特に有効である。
【0098】以上説明した方法により得られるサリチル
酸樹脂多価金属化物は、顕色剤として優れた特性をもつ
ものである。該金属化物を顕色剤として用いるには、例
えばサンドグラインディングミルによって粉砕し、適当
な粒度にして用いるとよい。実際に使用するには、さら
に該顕色剤を溶剤に懸濁させるか、溶解させて所望の形
態にして用いればよく、既知の顕色剤との併用、すなわ
ち、活性白土のような無機固体酸、フェノール−ホルム
アルデヒド樹脂のような有機重合体、または芳香族カル
ボン酸金属等との併用も可能であり、さらに亜鉛、マグ
ネシウム、アルミニウム、鉛、チタン、カルシウム、コ
バルト、ニッケル、マンガン及びバリウムから成る群か
ら選ばれた多価金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩の
少なくとも1種とを併用してもよい。
【0099】本発明の顕色剤により感圧複写紙用顕色シ
ートを調製する方法としては、(1)該金属化物の水性
懸濁液を用いて水性塗料を調製し紙等の支持体に塗布す
る方法、(2)抄紙時に該金属化物を漉き込む方法、
(3)該金属化物を有機溶剤に溶解または懸濁したもの
を用いて塗料を調製し支持体に塗布する方法等のいずれ
も使用できる。
【0100】塗工により紙等の支持体上に顕色剤層を形
成するには、顕色剤は適当な粘度、塗工適性を有してい
ることが望ましく、前記(1),(3)のように水性懸
濁液としたり、溶剤に溶解または懸濁させた後さらにカ
オリン粘土類、炭酸カルシウム、でん粉、合成または天
然ラテックス等を配合して適当な粘度、塗工適性に調整
し塗料として用いる。
【0101】該塗料において顕色剤成分が占める割合は
全固形分中の10〜70%が望ましく、顕色剤の成分の
割合が10%未満では十分な発色性を発揮し得ず、また
70%を超えると顕色シートの紙面特性が低下する。塗
料の塗布量は乾燥重量で0.5g/m2 以上、好ましく
は1〜10g/m2 である。
【0102】本発明により得られる新規なサリチル酸樹
脂多価金属化物を用いた顕色シートは無機固体酸または
p−フェニルフェノールノボラック樹脂を用いた顕色シ
ートに比較して、同等またはそれ以上の発色性を有し、
さらに日光照射による黄変も改良され、特に空気中の窒
素酸化物による耐黄変性は大幅に向上し、取り扱い及び
保存に極めて有利である。
【0103】一方、芳香族カルボン酸金属塩として典型
的なサリチル酸系化合物の金属塩と比較した場合、低温
における発色性、光による安定性及び水に対する耐性は
著しく向上する。また、安価な原料を用い、簡単な工程
で製造できるため極めて有利である。
【0104】次に、本発明の水性懸濁について述べる。
【0105】本発明の水性懸濁液は、前記の良好な顕色
剤性能等を有するサリチル酸樹脂多価金属物から成る顕
色剤組成物を、水性懸濁液化するに当たり、その金属化
物に特に適合し、かつ、優れた特性をもつアニオン性水
溶性高分子を分散剤として用いて水性懸濁化したのもで
あり、感圧複写紙の製造に好適に利用できるもので、し
かも、得られた感熱複写紙は、発色性能等が改善され、
極めて良好な性能を示すものである。
【0106】本発明において、分散剤として用いるアニ
オン性水溶性高分子(a),(b)について述べる。
【0107】アニオン性水溶性高分子(a)は、分子内
にスルホン酸基を有するポリビニルアルコール誘導体あ
るいはその塩より成り、その重合度は、200〜500
0、好ましくは200〜2000である。また、スルホ
ン酸基は、一般にアルカリ金属塩(Na+ ,K+ ,Cs
+ ,Fr+ )またはNH4 +塩として用いられる。この高
分子(a)の製造方法としては、(1)酢酸ビニルとス
ルホン酸基を含有するα,β−不飽和モノマーとを共重
合した後、ケン化する方法、(2)ポリビニルアルコー
ルと濃硫酸を反応させる方法、(3)ポリビニルアルコ
ールを臭素、ヨウ素等で酸化処理した後、酸性亜硫酸ソ
ーダと反応させる方法、(4)スルホン酸基を有するア
ルデヒド化合物を酸触媒の存在下に、ポリビニルアルコ
ールと反応させてスルホアセタール化する方法等が挙げ
られるが、(1)の方法が好ましい。
【0108】(1)の方法で用いられるスルホン酸基を
含有するα,β−不飽和モノマーの具体例として、 (i)スルホアルキル(メタ)アクリレート類、例え
ば、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリ
レート (ii)ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸 (iii)マレインイミド−N−アルカンスルホン酸 (iv)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスル
ホン酸 等が例示される。高分子(a)は一般に、これらのモノ
マーを、酢酸ビニル100モル当たり、0.5〜20モ
ル、好ましくは1〜10モルの割合で共重合させた後、
酢酸ビニル基を常法によりアルカリ条件下でケン化(5
0〜100%)することにより得ることができる。
【0109】また、高分子(a)は、酢酸ビニルにスチ
レン等の芳香性のα,β−不飽和モノマーを共重合さ
せ、スルホン化した後、ケン化して得ることもでき、さ
らにまた、酢酸ビニル分子内にスルホン酸基を含有する
α,β−不飽和モノマー及びその他のα,β−不飽和モ
ノマーを共重合させて得ることもできる。
【0110】前記の一般式(V)で示されるスルホン酸
を必須成分とする重合体あるいは共重合体であるアニオ
ン性水溶性高分子(b)の代表例は、スチレンスルホン
酸、または、その誘導体ユニットを分子内に有する高分
子である。なかでも、平均重合度5〜1000のポリス
チレンスルホン酸塩、ポリα−メチルスチレンスルホン
酸塩が好適な例として挙げられる。このようなホモポリ
マーは、どのように合成してもよい。すなわち、ポリス
チレンスルホン酸の誘導体の塩はポリスチレンをスルホ
ン化させて合成してもよいし、スチレンスルホン酸(あ
るいはその塩)を重合させてもよい。重合法としては公
知の方法を用いればよく、例えば、0〜150℃でのラ
ジカル重合法、イオン重合法等である。また、コポリマ
ーである高分子(b)の具体例としては、スチレンスル
ホン酸と無水マレイン酸共重合体の塩、スチレン・マレ
イン酸共重合体のスルホン化物の塩、スチレンと他のビ
ニル性モノマーの共重合性のスルホン化物の塩等が例示
される。
【0111】本発明で分散剤として用いるアニオン性水
溶性高分子(a),(b)の特性は次の通りである。ス
ルホン酸基を有する高分子(a)は、一般的な完全ケン
化型あるいは部分ケン化型ポリビニルアルコールと異な
り、水に対する溶解性が大で、かつ、容易に溶解すると
ともに、広いpH範囲にわたり粘度変化が少なく、か
つ、実質的に無色あるいは極めて淡色である。そのた
め、これを用いて得られるサリチル酸樹脂多価金属化物
から成る顕色剤組成物の水性懸濁液は着色が少なく、し
たがって、その水性懸濁液を用いると白色度の高い感圧
複写紙(CF紙)が得られる。このように、分子内にス
ルホン酸基を有するポリビニルアルコール誘導体は、そ
れ自身、過酷な環境条件下で、変質、変色しないという
特性を有しながら、しかも、サリチル酸樹脂多価金属化
物から成る顕色剤組成物に対して、優れた分散性を有
し、熱的、機械的、化学的に安定な水性懸濁液を提供す
る。さらにまた、高分子(a)は、一般に用いられる完
全ケン化型、部分ケン化型ポリビニルアルコールあるい
はカルボキシ基等で変性されたポリビニルアルコール等
と異なり、起泡性が少なく、かつ、自己消泡性に優れて
いるため、分散作業時の泡によるトラブルを解消するこ
ともできる。
【0112】本発明において用いるアニオン性水溶性高
分子(b)もまた、広いpH範囲にわたり安定な水溶液
を提供することができ、かつ、極めて淡色である。
【0113】このように、本発明において、分散剤とし
て用いられるアニオン性水溶性高分子(a),(b)
は、各々、サリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤
組成物に対し、極めて優れた分散能力を有し、本発明の
水性懸濁液は、高濃度、かつ、低粘度の安定なものとな
る。しかも、一般のポリビニルアルコールを用いた場合
のように、激しい起泡性あるいは消泡困難な問題を生じ
ることがない。
【0114】また、本発明に用いるアニオン性水溶性高
分子(a)は、アニオン性のみならずノニオン性を兼ね
備えており、優れた分散性能とともに、優れた保護コロ
イド能を有するために、できあがった水性懸濁液は、他
の分散剤を用いた水性懸濁液に比べて、機械的及び熱的
安定性に著しく優れている。
【0115】次に、アニオン性水溶性高分子(a),
(b)とサリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤組
成物とから、本発明の水性懸濁液を調製する方法につい
て説明する。
【0116】アニオン性水溶性高分子(a),(b)
は、いずれも、通常、水に易溶な白色の粉体あるいは水
溶液として得られるので、必要に応じて、水に溶解させ
て使用するが、その液pHを4〜10の範囲、好ましく
は6〜9の範囲に調節する。このように調製された高分
子水溶液に、サリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色
剤組成物の粉体を装入し、攪拌、スラリー化した後、湿
式微粉砕装置、例えば、ボールミル、アトライター、サ
ンドグラインダー等、球状の粉砕用メジャーを用いて湿
式微粉砕を行う装置により、平均粒子径1〜20μmに
湿式粉砕して、水性懸濁液を得る。このような湿式微粉
砕は、バッチ式でも連続処理方式でも可能であり、目的
とする粒子サイズまで微粉砕して作業を終える。サリチ
ル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤組成物が低軟化点
であって、水の沸点以下で容易に液状化する場合には、
温〜熱水中で高速攪拌により乳化させた後、冷却して水
性懸濁液を得ることができる。
【0117】本発明のアニオン性水溶性高分子(a)及
び/または(b)の使用量は、用いる被分散物質(顕色
剤組成物)及び目的とする水性懸濁液の物性(濃度、粒
度、粘度等)により異なり、特に限定されるものではな
いが、実用的な水性懸濁液(平均粒子径1〜10μm)
を得るにはサリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤
組成物100重量部当たり、0.5重量部以上、好まし
くは2〜30重量部である。なお、水性懸濁液の濃度
は、30〜80重量%が好ましい。分散剤は、アニオン
性水溶性高分子(a),(b)のどちらを用いてもよい
が、それらを併用することが好ましい。両者を併用する
ことにより、水性懸濁液化時に、単独使用の場合より分
散剤使用量を低減することが可能となり、単独で用いた
場合に比して、より安定な水性懸濁液を得ることができ
る。アニオン性水溶性高分子(a)及び(b)を併用し
た場合は、顕色剤組成物100重量部当たり10重量部
以下で、極めて安定な水性懸濁液を得ることができる。
水性懸濁液の粘度レオロジー特性を調整するために、他
のアニオン系または非イオン系界面活性剤、水溶性高分
子等を併用することもできる。
【0118】水性懸濁液中のサリチル酸樹脂多価金属化
物から成る顕色剤組成物の平均粒子径は、10μm以
下、好ましくは0.5〜10μmの範囲である。10μ
mを超える粒子が多いと水性懸濁液の静置保存時の沈降
物が多くなり、また、感圧複写紙の発色性能、特に発色
直後の濃度が低下する。他方、0.5 μm未満の粒子
が多いと水性懸濁液の粘度が上昇し、高濃度化及び水性
懸濁液の取り扱いが容易でなくなる。
【0119】本発明の水性懸濁液を用いて感圧複写紙の
作製するに際しては、まず、感圧複写紙の紙面特性を調
整するために、無機または有機顔料、コーティングバイ
ンダー、顔料分散剤、その他各種添加剤等を混合した後
に、塗工様式にあわせて水性塗料を調製する。そして、
この水性塗料を支持体に塗工、乾燥して感圧複写紙とす
る。無機または有機顔料としては、カオリン、焼成カオ
リン、ベントナイト、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バ
リウム、酸化アルミニウム、シリカ、チタンホワイト、
酸化チタン、ポリスチレンエマルション、尿素樹脂エマ
ルション等が、コーティングバインダーとしては、酸化
澱粉、酵素化澱粉、尿素リン酸澱粉、アルキル化澱粉等
の変性澱粉、カゼイン、ゼラチン等の水溶性蛋白質、ス
チレン−ブタジエン(SBR)ラテックス、メチルメタ
アクリレート−ブタジエン(MBR)ラテックス、酢酸
ビニル重合体エマルション、ポリビニルアルコール、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース等の合成、半合成バインダー等
が、顔料分散剤としては、メタリン酸ソーダ、ヘキサメ
タリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等のリン酸塩類
及びポリアクリル酸ソーダ等のポリカルボン酸塩等が、
また、その他各種添加剤としては、蛍光増白剤、消泡
剤、粘度調節剤、ダスティング防止剤、潤滑剤、耐水化
剤等が用いられる。
【0120】本発明の水性懸濁液と前記の各種成分を混
合分散して調製した水性塗料は、エアナイフコーター、
ブレードコーター、ブラシコーター、ロールコーター、
バーコーター、グラビアコーター等で、紙、フィルム等
の支持体上に塗布、乾燥して感圧複写紙顕色シートが得
られる。一般に、水性塗料の塗布量は、乾燥重量で、
0.5g/m2 以上、好ましくは1〜10g/m2 の範
囲である。水性塗料を塗布したシートの発色性能は、主
として、水性塗料中のサリチル酸樹脂多価金属化物から
成る顕色剤組成物の濃度に支配されるが、10g/m2
を超える塗布量は発色性能の向上には効果がなく、また
経済的にも不利である。
【0121】本発明の水性懸濁液が感圧複写紙の製造に
好適なことは、具体的には次のような点に認められる。
すなわち、本発明の水性懸濁液は、増粘傾向が少ないた
めに、それを主成分とする水性塗料塗工時の作業性を著
しく改善し、また、塗工時に低粘度塗液を用いるエアー
ナイフ−コーティング方式を、これら水性塗料塗工のた
めに利用すれば、水性塗料循環時の発泡が著しく抑制さ
れ好都合である。また、本発明の水性懸濁液は、感圧複
写紙に用いる水性塗料を作成するに際し、一般に用いら
れる他の成分、例えばカオリン粘土、炭酸カルシウム、
酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の白色顔料との混合時の
増粘傾向(ショック)もみられない。さらに、これら水
性懸濁液は高固形分で熱的安定性に優れ、これを用いる
水性塗料は熱的及び機械的安定性に優れているため、特
にブレードコータ、ロールコータ等の高固形分水性塗料
を塗工するために用いられる塗工機に好適に適合でき
る。上記のようにして製造されるサリチル酸樹脂多価金
属化物から成る顕色剤組成物を使用した感圧複写紙用顕
色シートは、従来から知られている芳香族カルボン酸金
属塩の顕色剤と比較した場合、低温における発色性、光
による安定性及び水に対する耐性に著しく優れている。
また、p−フェニルフェノール−ノボラック樹脂との比
較では、同等またはそれ以上の発色性を有し、さらに日
光照射による黄変も改良され、特に空気中の窒素酸化物
による耐黄変性は大幅に向上する。
【0122】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0123】まず、本発明の顕色剤組成物について実施
例1〜6及び比較例1〜4によって説明し、次いで本発
明の水性懸濁液についての実施例を実施例7〜13及び
比較例5〜8によって示す。
【0124】本発明の顕色剤組成物を顕色剤として用い
た感圧複写紙顕色シートの作成及びその顕色シートの性
能測定法 1.顕色シートの作成 後述する実施例1〜6で得られたサリチル酸樹脂多価金
属化物及び比較例1〜4の化合物を顕色剤として用い
た。各実施例又は比較例において顕色剤を下記組成でサ
ンドグラインディングミルで分散させて懸濁液を調製し
た。
【0125】 顕色剤 6重量部 ポリビニルアルコール(クラレ#117)10%水溶液 3重量部 水 22.5重量部 次に該懸濁液を用いて下記組成の塗料を調製した。
【0126】 懸濁液 10重量部 軽質炭酸カルシウム 10重量部 澱粉 0.8重量部 合成ゴムラテックス 0.8重量部 水 32.5重量部 これらの塗料を上質紙に乾燥時塗布量が5.0〜5.5
g/m2 となるように塗布乾燥し、顕色シートを得た。
【0127】2.発色速度及び濃度(5℃,60%RH
及び20℃,65%RHの恒温恒湿室内で実施) クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を主な感圧
色素とする市販の青発色用上葉紙(十條製紙製NW−4
0T)を用い、水性塗料を塗布した顕色シート(下葉
紙)との両塗布面を対向させて重ね合わせ、電子タイプ
ライターで打圧発色させる。
【0128】打刻1分30秒後、及び24時間後の2点
について測色しY値で表示する。
【0129】3.発色像の耐光堅牢度 (3−1)2の方法で発色させた顕色シートをカーボン
アークフェドメーター(スガ試験機製)に、2時間(及
び4時間)暴露し照射後の反射率をΣ−80色差計を用
いて測定しY値で表示した。
【0130】Y値が低く、かつ試験前値との差が小さい
ほど光による褪色が少なく好ましい。
【0131】(3−2)2の方法で発色させた顕色シー
トを晴天下の屋外に5日間暴露した後、反射率をΣ−8
0色差計を用いて測定しY値で表示した。
【0132】4.耐可塑剤性 ジオクチルフタレート(DOP)を芯物質とする平均粒
子径5.0μのメラミン−ホルムアルデヒド樹脂膜マイ
クロカプセルを調製し、少量の液状澱粉系バインダーを
加えて塗液とし、エアナイフコータで上質紙上に乾燥塗
布量が5g/m 2 となるよう塗布乾燥させDOPマイク
ロカプセル塗布紙とする。該DOPマイクロカプセル塗
布紙と2で発色させて顕色シートの発色面を対向させた
後100kg/cmの線圧を有するスーパーカレンダー
ロールを通過させ、発色面にDOPを均一に浸透させ
る。
【0133】1時間後の反射率をΣ−80色差計を用い
て測定しY値で表示する。Y値が低くかつ試験前値との
差が小さいほど発色像の可塑剤耐性が良好であることを
意味する。
【0134】5.発色画像の耐水性 2の方法で発色させた顕色シートを水中に2時間浸透
し、発色像の濃度変化を肉眼で観察した。
【0135】6.顕色シートの黄変性 (6−1)NOX による黄変 JIS L−1055[染色物及び染料の酸化窒素ガス
堅牢度試験方法]に基づき、顕色シートをNaNO2
(亜硝酸ナトリウム)とH3 PO4 (リン酸)との反応
により発生するNOX ガス雰囲気の密閉容器中に1時間
保存して、黄変の程度を調べる。
【0136】保存終了後、1時間目にΣ−80色差計を
用いWB値で表示する。WB値が大きく、かつNOX
スに曝されていないシート(表2には未試験シートと表
示)のWB値との差が小さいほどNOX 雰囲気下での黄
変性が少ないことを意味する。
【0137】(6−2)フェドメーター暴露による黄変 顕色シートをカーボンアークフェドメーター(スガ試験
機製)に4時間照射し、照射後Σ−80色差計を用いW
B値で表示する。WB値が大きく、かつ未照射シート
(表2には未試験シートと表示)のWB値との差が小さ
いほど光照射による黄変性が小さいことを意味する。
【0138】6−3)太陽光暴露による黄変 顕色シートを晴天下の屋外に5日間暴露した後、Σ−8
0色差計を用いWB値で表示する。WB値の見方は(6
−2)と同じである。
【0139】7.太陽光暴露による顕色シートの発色速
度及び濃度(20℃,65%RHの恒温室内で実施) クリスタルバイオレットラクトン(CVL)を主な感圧
色素とする市販の青発色用紙(十條製紙製NW−40
T)を用い(6−3)の試験で使用した顕色シートと両
塗布面を対向させて重ね合わせ、電子タイプライターで
打圧発色させる。打刻1分30秒後、及び24時間後の
2点について測色しY値で表示する。
【0140】実施例1 サリチル酸メチル152.2g(1.0モル)、1,2
−ジクロロエタン350g及び95%の濃硫酸21.5
gをガラス製反応器に仕込み、激しく攪拌しながら26
重量%のスチレンダイマーを含有するスチレン組成物4
16.6g(スチレン換算4.0モル)を0〜5℃の温
度範囲で5時間かけて滴下した。その後、同温度で2時
間熟成を行って第一段階の反応を終了した。次に、この
反応液に水350gを滴下し、104℃まで加熱昇温し
て溶剤の1,2−ジクロロエタンを留去させた。この
後、45%苛性ソーダ−151g(1.7モル)を滴下
し、98〜102℃の温度で2時間、第二段の反応を行
った。
【0141】この第二段階の反応液の一部を分析用に採
取し、希硫酸でpH6に中和し樹脂状物を沈殿させた。
これを分離、真空乾燥して淡黄色透明な樹脂を得た。
【0142】この淡黄色透明な樹脂2gをシリカゲルを
使用したカラムでベンゼン溶媒により溶出させて、溶出
分をドライアップして得た成分は0.21gであった。
次にシリカゲルカラムに吸着されている成分をアセトン
によって溶離させた。この溶離液をドライアップして得
た成分は1.7gであった。この成分はサリチル酸を含
む樹脂成分であり、KBr錠剤法によりIR分析の結果
を図2、 1H−NMRの測定結果を図3に示す。
【0143】前記第二段の反応で得られた反応液を水2
500gで希釈し、希硫酸でpH10.5に調整した。
【0144】次に、この水溶液に予め硫酸亜鉛7水和物
145g(0.5モル)を水400gに溶解させた溶液
を温度30〜35℃で2時間かけて滴下した。
【0145】この第三段の反応で析出した白色沈殿を濾
過、水洗後、乾燥してサリチル酸樹脂亜鉛化物585g
を得た。この樹脂の軟化点は125℃であり、重量平均
分子量は1820であった。
【0146】実施例2 実施例1の第一段の反応でサリチル酸メチル1モルに対
し、P−メチルスルチレンから誘導されたダイマー成分
41.5重量%を含む、P−メチルスチレン組成物38
4g(P−メチルスチレン換算3モル)を使用した以外
は実施例1と同様に行って軟化点142℃、重量平均分
子量1280のサリチル酸樹脂亜鉛化物548gを得
た。
【0147】実施例3 実施例1の第一段の反応でサリチル酸メチル1モルに対
し、スチレンダイマー成分63.8%を含む、スチレン
組成物624g(スチレン換算6モル)を反応させた。
この後、第二段の反応を同様に行って、サリチル酸樹脂
ナトリウム塩水溶液を得た。この溶液にトルエン150
0mlを加え、引き続き10%硫酸水溶液でpH6にな
るまで中和した。静置して二層に分液し、下層の水層を
除去した。得られたサリチル酸樹脂のトルエン溶液に酸
化亜鉛41g(0.5モル)を加え、加熱昇温してトル
エンを留去させながら第三段の反応を行った。最後に1
45〜150℃の温度でアスピレーターの真空下に30
分保った後、磁製皿に排出して赤褐色透明なサリチル酸
樹脂の亜鉛化物を得た。
【0148】収量775gで、軟化点97℃、重量平均
分子量は2350であった。
【0149】実施例4 実施例1の第一段の反応でサリチル酸メチル1モルに対
し、スチレンダイマー成分8.5重量%を含むスチレン
416g(スチレン換算4モル)を反応させた。この後
の反応は実施例3と同様に行って軟化点104℃、重量
平均分子量1620の赤褐色透明なサリチル酸樹脂亜鉛
化物575gを得た。
【0150】実施例5 実施例1の第一段の反応でサリチル酸メチル1モルに対
し、触媒に95%濃硫酸38.0gを用いスチレンダイ
マー成分17重量%を含むスチレン520g(スチレン
換算5モル)を反応させた。この後の反応は実施例3と
同様に行って軟化点91℃、重量平均分子量980の赤
褐色透明なサリチル酸樹脂亜鉛化物672gを得た。
【0151】実施例6 スチレンダイマー成分12.3重量%を含むスチレン7
80g(スチレン換算7.5モル)を使用した以外は実
施例5と同様に行って軟化点86℃、重量平均分子量1
150のサリチル酸樹脂亜鉛化物を得た。
【0152】比較例1 実施例1の第一段の反応でサリチル酸メチル15.2g
(0.1モル)に対し、触媒に95%濃硫酸3.8gを
用いスチレン41.7g(0.4モル)を反応させた。
【0153】この後の反応は実施例3と同様に行って軟
化点95℃、重量平均分子量1050の赤褐色透明なサ
リチル酸樹脂亜鉛化物55.5gを得た。
【0154】比較例2 3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩 比較例3 サリチル酸13.8g(0.1モル)、無水塩化亜鉛
0.5g及び1,2−ジクロロエタン50mlをガラス
製反応器に装入し、これにベンジルクロリド50.6g
(0.4モル)を内温70〜80℃で3時間かけて滴下
させた。その後、熟成を2時間行って縮合反応を終了し
た。次に、この反応液を加熱昇温しながら、減圧下で溶
剤の1,2−ジクロロエタンを留去させた。得られたサ
リチル酸樹脂を、苛性ソーダ4.3gを含む水1000
mlに溶解させて、これに予め硫酸亜鉛7水和物15.
8g(0.055モル)を水50mlに溶解させた溶液
を滴下させた。析出した白色の沈殿を濾過、水洗後乾燥
してポリベンジルサリチル酸亜鉛化物を得た。
【0155】比較例4 クロロベンゼン120ml中にサリチル酸55.2gと
濃硫酸2gとの混合物に約50〜60℃でスチレン12
4.8gを加えた。その後、130℃で3時間攪拌して
得られた透明な溶液を冷却し、これに50℃で酢酸亜鉛
2水和物43.8gを加えた。その後、全ての溶媒を真
空蒸留で除いた。このようにして得られたサリチル酸樹
脂亜鉛化物はやわらかい平均分子量400の淡黄色の樹
脂であった。
【0156】
【表1】
【0157】
【表2】
【0158】
【表3】 上記実施例に示したように本発明のサリチル酸樹脂多価
金属化物は安価な原料を用い、簡単な作業工程で調製さ
れる。これを使用した感圧複写紙用顕色シートにおいて
は、顕色剤成分及び塗料の塗布量が少なくて済み、また
塗料の濃度、粘度等を比較的広範囲に変えられることか
ら、オンマシン塗工、オフマシン塗工いずれも可能とな
り、感圧紙製造工程に大きなメリットが生ずる。
【0159】本発明の顕色シートは光及び空気中の窒素
酸化物等のガスによる黄変性もなく、また、光及び可塑
剤等に対して発色像が安定で、発色濃度の低下を起こさ
ず、耐水性も良好であるため、長期保存安定性を必要と
されるが故に従来品では不適であった用途への利用拡大
が可能になりその実用上の意義は極めて大きいものであ
る。
【0160】次に、本発明の水性懸濁液についての実施
例に先立ち、各種性能試験方法を次に示す。
【0161】A)水性懸濁液の性状 ・色相:水性懸濁液をメイヤーバーで、上質紙に乾燥重
量で5g/m2 となるように塗布したシート(水性懸濁
液塗布シート)を4枚重ね合わせ、Σ−80色差計(日
本電色工業(株)製)で測定し、WB値で表示する。
【0162】WB値が大きいほど、水性懸濁液が白いこ
とを示し、その差が1ポイント程度あると肉眼で優劣の
識別が可能である。
【0163】・粘度:微粒化して得た水性懸濁液の固形
分を40重量%に調整後、B型粘度計で測定した数値で
表示する(測定条件:25℃、No.1ローター、60
rpm、単位:cps)。
【0164】・高温保存安定性:水性懸濁液2kgを内
容積31のステンレスビーカーに装入しガラス製攪拌羽
根(イカリ型、径100mm)を用い、100rpmで
攪拌しながら、40℃で1週間保存し、保存前後の濾過
性を直径7.5cmの200メッシュ篩の濾過時間(s
ec)で比較する。
【0165】高温保存安定性の不良な分散液は、水性懸
濁液中でサリチル酸樹脂多価金属物から成る顕色剤組成
物が凝集し、粒子サイズの成長とともに篩濾過が低下す
る。
【0166】B)水性塗液の性状 実施例及び比較例の水性懸濁液を用いて、次のような組
成の感圧複写紙ブレードコーティング用水性塗料(固形
分50%)を調製し、その性状を測定した。
【0167】 成分 重量部(固形分比) (a)水性懸濁液 18 (液中のサリチル酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤組成物として) (b)軽質炭酸カルシウム 100 (c)スチレンブタジエンラテックス 6 (d)酸化澱粉 6 (e)ポリアクリル酸ソーダ(顔料分散剤) 0.5 ・粘度:B型粘度計(No.3ローター、60rpm)
で、増粘の有無を調べる。好ましい粘度は300〜10
00cpsである。
【0168】・機械的安定性:上記の50%固形分の水
性塗料を用い、JIS K−8392(NBR合成ラテ
ックスの試験方法)に準じ、マロン式機械的安定性試験
装置により凝集物の生成量を測定し(測定条件:サンプ
ル量100g,1000rpm,10min.荷重20
kg)、水性塗料の機械的安定性の尺度とする。試験後
に200メッシュ篩で濾過して、凝集物量(絶乾後)を
秤量する。表示は凝集物生成率(%)で表示する。
【0169】この試験法により凝集物生成率が大きな値
を示した水性塗料は、ブレードコーティングあるいはゲ
ートロールコーティング等、コーティング時に強い剪断
力のかかる高速コーティング時に、水性塗料の分散状態
の破壊や凝集等によるコーティングトラブルを生じやす
い。
【0170】C)感圧複写紙としての性能 前項で述べたマロンによる機械的安定性の測定に用いた
水性塗料を、上質紙に乾燥塗布量が5g/m2 になるよ
うにメイヤーバーで塗布乾燥して、顕色シートを作成し
た。
【0171】・発色速度及び濃度(20℃,65%RH
の恒温恒湿室内で実施):クリスタルバイオレットラク
トンを主たる色素とする市販の青発色上葉紙(三菱製紙
製、N−40)を用い、上記の顕色シートと組み合わ
せ、電子タイプライターで打圧発色させる。打刻105
秒後及び24時間後の2点について反射率をΣ−80色
差計で測定し、Y値を表示する。
【0172】・顕色シートの白色度:上記の顕色シート
を4枚重ね合わせ、反射率をΣ−80色差計で測定し、
WB値で表示する。
【0173】顕色シートの白色度(白さ)は、その差が
1ポイント程度であれば肉眼で判定可能である。
【0174】・NOX による黄変:JISL−1055
[染色物及び染料の酸化窒素ガス堅牢度試験方法]に基
づき、顕色シートをNaNO2 (亜硝酸ナトリウム)と
3 PO4 (リン酸)との反応により発生するNOX
ス雰囲気の密閉容器中に1時間保存して、黄変の程度を
調べる。
【0175】保存終了後、1時間目にΣ−80色差計を
用いWB値で表示する。WB値が大きく、かつNOX
スに曝されていないシート(表2には未試験シートと表
示)のWB値との差が小さいほどNOX 雰囲気下での黄
変性が少ないことを意味する。
【0176】実施例7 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸N
a単位が5モル%のポリビニルアルコール(平均重合度
300,ケン化度90%)の20%水溶液25gと水8
5gを予め混合し、pHを8.0に調節した水溶液中
に、実施例1で得た樹脂の微粉100gを装入し、攪
拌、スラリー化した後、径1mmのガラスビーズを使い
サンドグラインダーで2時間処理して平均粒子径が2.
4μmの白色の水性懸濁液(固形分50重量%)を得
た。
【0177】実施例8 エチレンスルホン酸含有量3モル%のエチレンスルホン
酸−酢酸ビニル共重合体を苛性ソーダによりケン化し、
3モル%に相当するスルホン酸基と、1モル%のアセチ
ル基を含有するポロビニルアルコール(平均重合度30
0)を得た。このスルホン酸基を有するポリビニルアル
コールの20%水溶液25gと水85gを予め混合し、
pHを8.4に調節した水溶液中に、実施例2で得た樹
脂の微粉100gを装入し、攪拌、スラリー化した後、
アトライター(三井三池製作所製、径5mmのジルコニ
ウムメジャー)で水冷下に2時間処理して平均粒子径が
2.1μmの白色の水性懸濁液(固形分45重量%)を
得た。
【0178】実施例9 エチレンスルホン酸含有量5モル%のポリビニルアルコ
ール(平均重合度250,ケン化度88%)の20%水
溶液15gとポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(ラ
イオン(株)、キャロン3301)33%水溶液4.5
gと水109gを予め混合し、pHを8.0に調節した
水溶液中に、実施例3で得た樹脂の微粉100gを装入
し、攪拌、スラリー化した後、径1mmのガラスビーズ
を使いサンドグラインダーで2時間処理して平均粒子径
が2.1μmの白色の水性懸濁液(固形分50重量%)
を得た。
【0179】実施例10 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(分子量1000
0,スルホン化度70%)20%水溶液25gと水85
gを予め混合し、pHを8.0に調節した水溶液中に、
実施例1で得た樹脂の微粉100gを装入し、攪拌、ス
ラリー化した後、径1mmのガラスビーズを使いサンド
グラインダーで2時間処理して平均粒子径が2.2μm
の白色の水性懸濁液(固形分50重量%)を得た。
【0180】実施例11 ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩(三洋化成
(株)、ケミスタット6500)20%水溶液25gと
水85gを予め混合し、pHを8.0に調節した水溶液
中に、実施例1で得た樹脂の微粉100gを装入し、攪
拌、スラリー化した後、径1mmのガラスビーズを使い
サンドグラインダーで2時間処理して平均粒子径が2.
4μmの白色の水性懸濁液(固形分50重量%)を得
た。
【0181】実施例12 エチレンスルホン酸含有量5モル%のポリビニルアルコ
ール(平均重合度250,ケン化度88%)の20%水
溶液15gとポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(日
本合成化学(株)OKS−3376)30%水溶液5g
と水89gを予め混合し、pHを8.0に調節した水溶
液中に、実施例2で得た樹脂の微粉100gを装入し、
攪拌、スラリー化した後、径1mmのガラスビーズを使
い密閉式サンドグラインダー(Dynomill)で
1.5時間処理して平均粒子径が2.1μmの白色の水
性懸濁液(固形分50重量%)を得た。
【0182】実施例13 スルホン化したスチレン−マレイン酸共重合体ナトリウ
ム塩(Arco社、SMA−1000)の30%水溶液
17gと水93gを予め混合し、pHを8.0に調節し
た水溶液中に、実施例3で得た樹脂の微粉100gを装
入し、攪拌、スラリー化した後、径1mmのガラスビー
ズを使いサンドグラインダーで2時間処理して平均粒子
径が2.5μmの白色の水性懸濁液(固形分50重量
%)を得た。
【0183】比較例5 スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに代えて、
ナフタリンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物のナト
リウム塩を用いた以外は、実施例7と同様に処理した
が、固形分50%は分散不能となった。水によりさらに
希釈して、固形分40%として平均粒子径が3.1μm
の白色の水性懸濁液を得た。
【0184】比較例6 スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに代えて、
部分ケン化ポリビニルアルコール(クラレ製、ボバール
117)を用いた以外は、実施例7と同様にして処理し
たが、サンドグラインダー処理後、数10分で激しい泡
と増粘のために、分散不能となった。水によりさらに希
釈して、固形分を40%として平均粒子径が2.8μm
の白色の水性懸濁液を得た。処理後も泡の消えるまで一
昼夜を要し、作業効率が著しく劣っていた。
【0185】比較例7 実施例−2で得た樹脂の微粉100gを、リグニンスル
ホン酸ナトリウム塩(ITTレオニア社、オーザンC
D)10gを溶解した水134g中に分散、スラリー化
し、実施例7と同様にサンドグラインダー処理して褐色
の水性懸濁液(平均粒子径2.5μm、固形分45重量
%)を得た。
【0186】比較例8 スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに代えて、
ポリカルボン酸ナトリウム塩(日本油脂(株)ポリスタ
ーOM)を同量用いて、実施例7と同様に処理したとこ
ろ、分散状態が悪く全体が固いペースト状になり、水性
懸濁液は得られなかった。
【0187】上記の実施例及び比較例で得られた水性懸
濁液、この水性懸濁液を用いて、前記方法で調製した水
性塗液及びその水性塗液を塗布して得た感圧複写紙につ
いて、前記した試験法で評価した結果を表4、表5に示
した。
【0188】
【表4】
【0189】
【表5】 表4、表5から明らかなように、本発明によれば、顕色
剤組成物の水性懸濁液を得るに際し、分散剤として、本
発明のアニオン性水性高分子を用いることにより、 着色が少ない 極めて安定に分散され、高温度下での長期保存でも凝
集や沈殿物が少ない 水性懸濁液化作業中の増粘や発泡が少ない 感圧複写紙製造用塗料が熱及び機械的に安定性に優れ
ている 分散剤自身が光暴露時あるいは保存時に黄色に変色
し、品質低下をきたしてしまうことのない優れた感圧複
写紙を与える 等の優れた特徴を有する顕色剤組成物の水性懸濁液を製
造できることが明らかである。
【0190】本発明により、分散性、保存安定性、塗工
安定性等が良好であって、感圧複写紙の製造に、極めて
好都合に利用できる水性懸濁液を提供することが可能と
なった。さらに本発明の水性懸濁液を用いることによ
り、発色画像安定性(光、水、溶剤、マーカーペン等の
筆記用具、可塑剤等)に優れ、また、紙面の着色、光黄
変等、保存時に変化のない高品質の感圧複写紙の製造が
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】感圧複写紙の構造を示す図である。
【図2】本発明の顕色剤組成物の製造工程中に得られる
サリチル酸樹脂のIR吸収スペクトルの一例である。
【図3】図2に使用したサンプルの 1H−NMRスペク
トルである。
【符号の説明】
1 上葉紙 2 中葉紙 3 下葉紙 4 マイクロカプセル 5 顕色剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)サリチル酸エステル類〔一般式
    (I)〕 (B)スチレン類〔(一般式(II)〕 (C)スチレンダイマー類〔一般式(III)及び/または
    (IV)〕 【化1】 【化2】 【化3】 (式中、R1 は炭素数1〜12のアルキル基、アラルキ
    ル基、アリール基もしくはシクロアルキル基を示し、R
    2 ,R4 〜R8 は水素原子またはメチル基、R 3 は水素
    原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。) (第1工程) (A)に(B)と(C)の混合物を反応させ、サリチル
    酸エステル樹脂を製造する工程。 (第2工程)第1工程で得られたサリチル酸エステル樹
    脂を加水分解してサリチル酸樹脂を製造する工程。 (第3工程)第2工程で得られたサリチル酸樹脂を多価
    金属塩と反応させて多価金属化する工程。 これら3工程によって得られる軟化点50〜180℃、
    重量平均分子量500〜10,000のサリチル酸樹脂
    多価金属化物において、物質(A)/(B)+2(C)
    のモル比が1/1.5〜20であり、かつ(B)/
    (C)の重量比が5〜95/95〜5である該金属化物
    から成る顕色剤組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1のサリチル酸樹脂多価金属化物
    から成る顕色剤組成物を含有する顕色シート。
  3. 【請求項3】a)分子内にスルホン酸基を有するポリビ
    ニルアコール誘導体またはその塩。 b)一般式(V) 【化4】 (式中、R9 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル
    基、MはNa+ ,K+,Cs+ ,Fr+ またはNH4 +
    示す。)で表されるスチレンスルホン酸塩を必須成分と
    する重合体あるいは共重合体より成るアニオン性水溶性
    高分子群より選ばれた1種以上の化合物の存在下に、湿
    式微粉砕することを特徴とする請求項1記載のサリチル
    酸樹脂多価金属化物から成る顕色剤組成物の水性懸濁
    液。
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