JP2598797B2 - 水性懸濁液 - Google Patents

水性懸濁液

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な組成を有するサリチル酸樹脂多価金
属化物の水性懸濁液、特に感圧複写紙用材料として用い
られる新規な油溶性サリチル酸樹脂多価金属化物の水性
懸濁液に関する。
更に詳細には色相、分散液の保存安定性および基紙塗
工用塗料の分散安定性を著しく改善した感圧複写紙用サ
リチル酸樹脂多価金属化物の水性懸濁液に関する。
〔従来の技術〕
一般に、感圧複写紙は、電子供与性有機化合物(いわ
ゆる感圧色素)を含有する不揮発性有機溶剤のマイクロ
カプセルが塗布されたシート(CB紙)と、電子受容性顕
色剤を含有する水性塗料組成物が塗布されたシート(CF
紙)との、それぞれの塗布面を対向させておき、ボール
ペン、タイプライターなどの印字圧力によってマイクロ
カプセルを破壊し流出させた感圧色素溶液を顕色剤に接
触し、呈色するようにしたものである。したがって、感
圧色素を含有するマイクロカプセル層と顕色剤層との組
合せを変えることにより、多数枚の複写を可能にした
り、また、単葉で発色する感圧複写紙(SC紙)の製造も
可能である。
このような感圧複写紙に使用される無色あるいは単色
の色素前駆体としては、 (1)クリスタルバイオレットラクトンなどのトリアリ
ールメタンフタリド系化合物 (2)3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオランなどのフルオラン系化合物 (3)ピリジルフタリド系化合物 (4)フェノチアジ系化合物 (5)リューコオーラミン系化合物 等から選ばれた1種または2種以上が疎水性高沸点溶剤
に溶解され、かつマイクロカプセル化されて使用され
る。
一方電子受容性顕色剤としては、従来より(1)酸性
白土、活性白土などの無機固体酸類、(2)油溶性フェ
ノール・ホルムアルデヒド縮合物およびそれらの多価金
属変性物あるいは(3)置換サリチル酸の多価金属塩な
どが使用されている。しかしながらこれらの顕色類は、
画像の安定性に欠け、保存時に発色像が変褪色したり、
耐水安定性、あるいは耐溶剤安定性が不充分であった。
これらの問題点を解決した顕色剤として、本発明者ら
は新規なサリチル酸樹脂多価金属化物を見出し、先に特
許出願した(特願昭62−201831号)。
一般に、顕色剤を用いて感圧複写紙を製造するために
は顕色剤を界面活性剤の存在下に湿式粒粉砕し、粒子径
1〜10μmの微粒子とした水性懸濁液化するが、そのた
めに分散剤を使用する。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、良好な分散系を得るための被分散粒子と分散
剤との組合せの選択は、半ば経験的なものが多く、一般
的法則はない。また、分散剤を選択する場合、単に分散
性のみならず、それが被分散粒子の作用に与える影響等
も考慮しなければならない。
そこで、上記サリチル酸樹脂多価金属化物とそれに適
合した分散剤とを組合わせ、分散性、安定性、顕色性等
種々の面で良好な性能をもった水性懸濁液をつくること
は容易ではない。即ち、現在、感圧複写紙用顕色剤とし
て用いられているP−フェニルフェノールホルムアルデ
ヒド重合体、P−オクチルフェノールホルムアルデヒド
重合体には通常、ポリカルボン酸型アニオン系高分子界
面活性剤、具体的には無水マレイン酸ジイソブチレン共
重合体のナトリウム塩等が分散剤として利用されるが、
これらが上記サリチル酸樹脂多価金属化物の水性懸濁液
化に分散剤として使用されると、多価金属とカルボン酸
塩との間で不都合な錯塩形成が生起する。そのため、分
散性能、分散安定性の著しい低下、消泡しがたい泡の生
成、被分散物質であるサリチル酸樹脂多価金属化物の変
質による顕色剤物性の変化などがおこり、到底実用に供
せられる水性懸濁液を得ることはできない。
また、フェノールホルムアルデヒド縮合物系顕色剤に
かつて使用されたナフタレンスルホン酸のホルムアルデ
ヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩などは、前記
サリチル酸樹脂多価金属化物に対する分散性能を有する
ものも存在するが、感圧複写紙に用いた場合、分散剤自
体に基く紙面の着色、あるいは光黄変性などの理由によ
り実用性に著しく欠けるものである。
本発明は、上記の問題点を解決するために為されたも
のであり、その主たる目的の第1は、分散性、安定性等
が良好であって、感圧複写紙の製造時に、極めて好都合
に利用できる水性懸濁液を提供することにある。その第
2は、画像安定性、耐水安定性、耐溶剤安定性が高く、
また紙面への着色や黄変性等、保存時に発色像が変褪色
しない高品質の感圧複写紙の製造を可能とする水性懸濁
液を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的は以下の本発明によって、達成できる。す
なわち、本発明は、 式 (式中R1、R2は水素原子またはメチル基を示し、R1は水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。) で表わされる構造単位からなり、構造単位(I)が5〜
40モル%、構造単位(II)が60〜95モル%であり、構造
単位(I)は構造単位(II)と結合しており、かつ重量
平均分子量が500〜10,000であるサリチル酸樹脂の多価
金属化物を、 (A)分子内にスルホン酸基を有するポリビニルアルコ
ール誘導体あるいはその塩よりなるアニオン性水溶性高
分子および/または(B)一般式(III) (式中、Rは水素原子、または炭素数1−5のアルキル
基、Mはアルカリ金属またはアンモニウムイオンを示
す) で表わされる化合物を必須成分とするホモポリマーある
いはコポリマーよりなるアニオン性水溶性高分子 の存在下に分散してなるサリチル酸樹脂多価金属化物の
水性懸濁液である。
本発明の水性懸濁液は、良好な顕色性能等を有するサ
リチル酸樹脂多価金属化物を、該金属化物に特に適合し
且つすぐれた特性の分散剤を用いて水性懸化してあるの
で、感圧複写紙の製造に好適に利用できるものであり、
しかもそれによってできた感圧複写紙も、発色性能等が
改善され、良好な性能を示す。
以下、本発明をより詳細に説明する。
まず、本発明において、分散剤として働く(A)、
(B)のアニオン性水溶性高分子について言及する。
(A)のアニオン性水溶性高分子は、分子内にスルホ
ン酸基を有するポリビニルアルコール誘導体あるいはそ
の塩よりなるアニオン性水溶性高分子であるが、その重
合度は、200〜5000、好ましくは300〜2000である。
なお(A)群高分子においては、一般にスルホン酸基
はアルカリ金属(Na+,K+,Li+,Cs+,Rb+,Fr+)またはNH4 +
塩として用いられる。
(A)のアニオン性水溶性高分子の製造法としては、 (1)酢酸ビニルと分子内にスルホン酸基を含有するα
−β不飽和モノマーとの共重合、ケン化により得る方法 (2)ポリビニルアルコールと濃硫酸を反応させる方法 (3)ポリビニルアルコール臭素、ヨウ素などで酸化処
理したのち酸性亜硫酸ソーダと反応させる方法 (4)スルホン基を有するアルデヒド化合物を酸触媒の
存在下ポリビニルアルコールと反応させスルホアセター
ル化する方法 などが挙げられる。
これらのなかで(1)の方法が好ましい。
スルホン酸基を有するα,β−不飽和モノマーの具体
例として (1)スルホアルキルアクリレート類、例えば、スルホ
エチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート (2)ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸 (3)マレインイミド−N−アルカンスルホン酸、 (4)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスル
ホン酸 などが例示され、一般に酢酸ビニル100モル当り0.5〜20
モル、好ましくは1〜10モルの割合で共重合されたの
ち、酢酸ビニル基を常法によりアルカリ条件下でケン化
(50〜100%)することにより得ることができる。
(A)のアニオン性水溶性高分子は、酢酸ビニルとス
チレン等の芳香族性α,β−不飽和モノマーの共重合体
をスルホン化したのちケン化しても得ることができ、ま
た、酢酸ビニルと分子内にスルホン酸基を含有するα,
β−不飽和モノマー以外に他のα,β−不飽和モノマー
を共重合して得ることもでき、これらも(A)のアニオ
ン性水溶性高分子として包含する。
前記の式で示される(B)のアニオン性水溶性高分子
の代表例はスチレンスルホン酸、またはその誘導体ユニ
ットを分子内に有する高分子である。なかでも、平均重
合度5〜10000のポリスチレンスルホン酸塩、ポリα−
メチルスチレンスルホン酸塩が好適な例として挙げられ
る。
このようなホモポリマーは、どうように合成してもか
まわない。即ち、ポリスチレンスルホン酸誘導体の塩は
ポリスチレンをスルホン化させて合成しても良いし、ス
チレンスルホン酸(あるいはその塩)を重合させて合成
してもよい。
重合は公知法によればよい。例えば、0〜150℃での
ラジカル重合、イオン重合である。
(B)のアニオン性水溶性高分子がコポリマーである
具体例としては、スチレンスルホン酸と無水マレイン酸
の共重合体の塩、スチレンマレイン酸共重合体のスルホ
ン化物の塩、スチレンスルホン酸と他のビニル性化合物
の共重合体の塩、あるいはスチレンと他のビニル性モノ
マーの共重合体のスルホン化物の塩などが例示される。
これらもどのように合成しても良いが、イオン重合、
ラジカル重合等による常法によって合成できる。
本発明で分散剤として用いられる(A)、(B)高分
子の特性は次の通りである。
スルホン酸基を有する(A)のアニオン性水溶性高分
子は、一般的な完全ケン化型あるいは部分ケン化型ポリ
ビニルアルコールと異なり、水に対する溶解性が大でか
つ容易に溶解するとともに、広いpH範囲にわたり粘度変
化が少なくかつ、実質的に無色あるいは極めて淡色であ
る。そのため、それを用いて得られるサリチル酸樹脂多
価金属化物の水性懸濁液を着色させず、したがって該水
性懸濁液を用いて製造される感圧複写紙(CF紙)を着色
させない。このような分子内にスルホン酸基を有するポ
リビニルアルコール誘導体はそれ自身過酷な環境条件下
で変質、変色しないという特性を有しながら、サリチル
酸樹脂多価金属化物に対してすぐれた分散性能を有し、
熱的、機械的、化学的に安定なサリチル酸樹脂多価金属
化物の水性懸濁液を提供する。
さらに本発明で分散剤として用いられる(A)のアニ
オン性水溶性高分子は一般的に用いられる完全ケン化型
ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコ
ール、あるいはカルボキシル基等で変性されたポリビニ
ルアルコール等と異なり、起泡性が少なくかつ自己消泡
性にすぐれているため、分散作業時の泡によるトラブル
を解消することができる。
また、本発明において用いられる(B)のアニオン性
水溶性高分子も広いpH範囲にわたって安定な水溶液を提
供しかつ極めて淡色である。
このように、本発明に於て、分散剤として用いられる
(A)、(B)の水溶性アニオン性高分子は、それぞれ
サリチル酸樹脂多価金属化物に対し、極めてすぐれた分
散能力を有し、本発明の水性懸濁液は高濃度かつ低粘度
の安全なものとなる。しかも、一般のポリビニルアルコ
ールを用いた場合の如き、著しい起泡性あるいは消泡困
難などの問題を生起することがない。
また本発明に用いる(A)のアニオン性水溶性高分子
はアニオン性のみならずノニオン性を兼ねそなえており
すぐれた分散性能と共に、すぐれた保護コロイド能を有
するため、できあがった水性懸濁液は他の分散剤を用い
た水性懸濁液に比して著しく機械的安定性および熱的安
定性にすぐれている。
本発明に用いられるサリチル酸樹脂多価金属化物につ
いて次に説明する。
本発明に用いるサリチル酸樹脂多価金属化物は、前述
したような構造を有するが、その金属としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類を除く金
属を包含する。好ましい多価金属としては、カルシウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、銅、亜鉛、スズ、バ
リウム、コバルトおよびニッケル等が挙げられる。これ
らのなかで、亜鉛が特に有効である。
本発明に用いるサリチル酸樹脂多価金属化物は、例え
ば、次のようにして製造できる。
即ち、まず、 一般式(IV) (式中、R4は炭素数1〜12のアルキル基、アラルキル
基、アリール基もしくはシクロアルキル基を示す) で表わされるサリチル酸エステル類を一般式 (式中、R1、R2、R3は既出)で表わされるスチレン誘導
体と、強酸触媒の存在下でフリーデルクラフツ反応させ
(以下第一段の反応という)、次に、得られた樹脂組成
物を加水分解し(以下第二段の反応という)、更にこの
加水分解後の樹脂組成物を多価金属塩と反応させて(以
下第三段の反応という)製造する。
第一段、第二段の反応で製造されるサリチル酸樹脂
は、公知の樹脂ではなく、本発明者らが新たに見出した
ものである。すなわち、サリチル酸樹脂多価金属化物は
従来の方法と異なる方法で得られるものであり、サリチ
ル酸エスエル類を強酸触媒の存在下でスチレン誘導体を
逐次反応させると、スチレン誘導体のα位がサリチル酸
骨格の水酸基に対し、オルト位および/またはパラ位へ
反応し、更には、余剰のスチレン類がサリチル酸骨格に
結合したスチレン誘導体のベンゼン環に反応し、分子量
が増加することがわかった。この結果として有用で新規
な共縮合樹脂が得られる。
この第一段の反応で使用するサリチル酸エステル類と
しては、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチ
ル酸−n−プロピル、サリチル酸イソプロピル、サリチ
ル酸−n−ブチル、サリチル酸−イソブチル、サリチル
酸−tert−ブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸
−tert−オクチル、サリチル酸ノニル、サリチル酸ドデ
シル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸フェニ
ル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸−α−メチルベン
ジル等が挙げられるがこれらに限定されるものではな
い。工業的に好ましくは安価なサリチル酸メチルであ
る。
つぎに、この反応において使用する一般式(V)で定
義したスチレン誘導体としては、スチレン、o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−イソプ
ロピルスチレ、m−イソプロピルスチレ、p−イソプロ
ピルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチル
スチレン、β−メチルスチレン等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。工業的に好ましくは安価
なスチレンである。
このスチレン誘導体の使用量はサリチル酸エステル類
に対し1〜20モル比、好ましくは2〜10モル比が用いら
れ、樹脂の平均分子500〜10000の範囲のものである。
この第一段の反応では、強酸触媒を使用する。
例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、塩化第2
鉄、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化第二錫、四塩化
チタン、三弗化ホウ素等のフリーデルクラフツ形触媒ま
たはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸
等の強酸触媒が使用できる。このうち、特に好ましいの
は安価な硫酸である。触媒の使用量はサリチル酸エステ
ル類とスチレン誘導体の全重量に対し、0.05〜200重量
%、好ましくは経済性を考慮して1〜100重量%の範囲
である。
また、この第一段の反応では溶剤を使用してもよい。
この溶剤としては、反応に不活性なもの、例えば、n−
ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン、シクロヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素類、エチルエーテル、エチレング
リコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、1,2−
ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、四塩化炭
素、クロロホルム、モノクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素溶剤、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類、その他ベンゼ
ン二硫化炭素、ニトロメタン、アセトニトリル、テトラ
ヒドロフラン等が挙げられる。
これらの溶剤の使用量は原料の全重量に対して経済性
を考慮すれば30容量/重量倍以下が望ましい。
第一段の方法を実施する際の反応温度は、−20℃〜18
0℃、好ましくは0〜120℃の範囲である。反応時間は1
〜30時間である。
第一段の反応の実施法としてはサリチル酸エステル類
およびその有機溶剤溶液に触媒を装入し、所定の温度で
もう一方の原料のスチレン誘導体を滴下させながら反応
させる方法が一般的である。この際、滴下時間は全反応
時間の50%以上が好ましく、通常は1〜20時間である。
反応後、使用した溶剤が水に不溶である場合は水を加え
二層で水洗分液したのち、溶剤を留去させて樹脂を得て
もよく、溶剤が水に溶解する場合は、水に投入して析出
した樹脂を得ることができる。
第一段の反応で得られらサリチル酸エステル強重合体
樹脂は、第二段の反応で加水分解されるが、それは酸ま
たはアルカリ水溶液を用いて実施すればよい。
酸による加水分解方法では、塩酸、硫酸等の鉱酸類、
硫酸と酢酸のような鉱酸と有機酸の併用、ベンゼンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸、クロロベンゼンスル
ホン酸、メタンスルホン酸のような有機スルホン酸類、
塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第二錫のようなルイ
ス酸、更にはトリフルオロメタンスルホン酸、Nafion H
(Du′pont社:商品名)のような超強酸類と水により実
施される。アルカリによる加水分解方法では、苛性ソー
ダー、苛性カリウムと水による方法が一般的である。
これら酸又はアルカリによる加水分解反応を実施する
場合、酸又はアルカリと水の割合は任意の割合で選択で
きるが、通常1:100〜99:1、好ましくは5:95〜95:5(重
量比)の範囲である。
又、第一段の反応で得られたサリチル酸エステル共縮
合樹脂に対して酸またはアルカリ等の使用量は、酸の場
合、任意の割合で行なえるが、通常は酸の強度により0.
05〜30倍モルの範囲で行なう。アルカリの場合は、原料
のサリチル酸エステルに対し、当量以上〜30倍モルの範
囲である。
反応温度は50〜200℃の範囲、好ましくは80〜160℃の
範囲である。高温下で行なう場合は、オートクレーブ中
で自然発生圧力下で行なうが圧力の範囲は0〜30atmで
ある。反応時間は1〜50時間の範囲である。反応時間を
短縮する目的で四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム
塩、クラウンエーテル、クリプテート、ポリエチレング
リコール類等の相間移動触媒を反応促進剤として加えて
もよい。
又、第二段の反応は、通常無溶媒で行なうが、溶媒を
使用してもよい。この溶媒としてはN−メチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリド
ン、ヘキサメチルホスホトリアミド等の非プロトン性極
性溶媒、エチレングリコール、ポリエチレングリコール
ジアルキルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エ
トキシエタール等のグリコール類が使用でき、更にトル
エン、キシレン、モノクロロベンゼン、1,2−ジクロロ
エタン、1,1,2−トリクロロエタン等の水と混和しない
溶媒も使用できる。この溶媒の使用量は、原料に対し0.
5〜10容量/重量倍で十分である。
反応終了後、反応液から目的物を得る方法は一般的な
方法、すなわち、分液、希釈、濃縮等の手段で加水分解
後の樹脂を得ることができる。
このように、加水分解して得られたサリチル酸樹脂組
成物からサリチル酸樹脂多価金属化物を得る第三段の反
応は、いくつかの公知の方法、例えば(1)〜(3)の
方法が採用できる。
(1)樹脂に対してアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩ま
たはアルコキシド等を反応させて、樹脂のアルカリ金属
塩またはそれらの水溶液アルコール溶液、あるいは水−
アルコール混合溶液を得たのち、水溶性多価金属塩を0
〜100℃で反応せしめて生成する方法。この場合、樹脂
中のサリチル酸1モルに対して約0.5〜1グラム当量の
水溶性多価金属塩を0〜100℃で反応させることが望ま
しい。
(2)樹脂とギ酸、酢酸、プロピオン酸、吉草酸、カプ
ロン酸、ステアリン酸または安息香酸等の有機カルボン
酸の多価金属塩とを混合し、加熱溶融する方法。場合に
よっては、更に塩基性物質、例えば炭酸アンモニウム、
重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アン
モニウムを添加して、加熱溶融反応させてもよい。
(3)樹脂と多価金属の炭酸塩、塩化物、水酸化物を使
用し、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、カプロン
酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、安息香酸
アンモニウム等の有機カルボン酸アンモニウム等の塩基
性物質と加熱溶融し、冷却する方法。溶融温度は通常10
0〜180℃で行い、反応時間は1〜数時間程度である。ま
た、多価金属塩は、樹脂全重量に対して金属が1重量%
〜20重量%存在するように使用することが好ましい。
上記のようにして製造可能な、本発明に用いられるサ
リチル酸樹脂多価金属化物は、従来から知られている芳
香族カルボン酸金属塩の顕色剤としての欠点である (イ)無色の発色性色素を溶解させた不揮発性オイルと
の相溶性不足 (ロ)幾分、水に溶解する (ハ)光により発色像が消失する (ニ)高価である 等を改善させることができる。即ち、該サリチル酸多価
金属化物は、顕色剤として機能する場合、上葉紙のマイ
クロカプセル中のオイルとの相溶性に優れ、低温におけ
る発色の速度が従来品に比べて著しく向上し、また、水
に対する溶解性も全くなくなる。従って、低温における
発色性、光および水に対する発色画像の安定性、耐久性
等が向上し、安価で有用な顕色剤である。
次に、上記(A),(B)のアニオン性水溶性高分子
とサリチル酸樹脂多価金属化物とから、本発明の水性懸
濁液を調製する方法について説明する。
(A),(B)のアニオン性水溶性高分子は、共に一
般に水に易溶白色の粉体、あるいは水溶液として得られ
るので、必要な場合には予め水に溶解させる。そして、
その後pHを4〜10の範囲、好ましくは6〜9の範囲に調
節する。
このように調製された高分子水溶液にサリチル酸樹脂
多価金属化物の粉体を装入し、撹拌スラリー化したの
ち、湿式微粉砕装置、例えばボールミル、アトライタ
ー、サンドグラインダーなどの球状の粉砕用メジャーを
用いて湿式微粉砕を行なう装置により平均粒子径1〜20
μmに湿式微粉砕して、水性懸濁液を得る。このような
湿式微粉砕はバッチ方式でも連続処理方式でも可能であ
り、目的とする粒子サイズまで微粉砕して作業を終え
る。サリチル酸樹脂多価金属化物が低軟化点であって水
の沸点以下で容易に液状化する場合には温〜熱水中で高
速撹拌により、サリチル酸樹脂多価金属化物を水中に乳
化させたのち、冷却して水性懸濁液を得ることができ
る。
本発明の水性懸濁液において、(A)および/または
(B)のアニオン性水溶性高分子の使用量は、用いる被
分散物質(サリチル酸樹脂多価金属化物)および目的と
する水性懸濁液の物性(濃度、被分散物質の粒度等)に
より異なる特に限定されるものではないが、実用的な水
性懸濁液(平均粒子径1〜10μm)を得るにはサリチル
酸樹脂多価金属化物100重量部あたり0.5重量部以上、好
ましくは2〜20重量部である。なお、サリチル酸樹脂多
価金属塩/水性懸濁液は30〜60重量%が好ましい。
本発明に用いる分散剤としては、(A)、(B)どち
らの高分子を用いてもよいが、それらを併用することが
好ましい。両者を併用することにより、水性懸濁液化時
に必要な分散剤使用量を低減することが可能となり、単
独で用いた場合に比してより安定な、サリチル酸樹脂多
価金属塩の水性懸濁液を得ることができる。
(A)および(B)のアニオン性水溶性高分子を併用
した場合は10重量部以下で極めて安定な水性懸濁液を得
ることができる。更に、水性懸濁液の粘度レオロジー特
性を調製するために他のアニオン径および/または非イ
オン系界面活性剤あるいは水溶性高分子を併用して用い
ることもできる。
水性懸濁液中のサリチル酸樹脂多価金属化物の平均粒
子径は、10ミクロン以下、好ましくは0.5〜5ミクロン
の範囲とする。10ミクロンを越える粒子が多いと水性懸
濁液の静置保存時の沈降物が多くなり、また、感圧複写
紙の発色性能、とくに発色直後の濃度が低下する。他方
1ミクロン以下では、水性懸濁液が増粘挙動を示し、高
濃度化および水性懸濁液の取扱いが容易でなくなる。
以上のようにして調製された本発明の水性懸濁液を用
いて感圧複写紙を作成するに際しては、まず感圧複写紙
の紙面特性を調節するために、(1)無機または有機顔
料、(2)顔料分散剤、(3)コーティングバインダ
ー、(4)その他の各種添加剤を混合して、塗工様式に
あわせて水性塗料を調製する。そして、この水性塗料を
原紙に塗工、乾燥して感圧複写紙とする。
ここで用いられる(1)無機または有機顔料として
は、カオリン、焼成カオリン、ベントナイト、タルク、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム(ア
ルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、サチンホワイト、酸
化チタン、ポリスチレンエマルジョンなどが、(2)顔
料分散剤としては、メタリン酸ソーダ、ヘキサメタリン
酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダなどのリン酸塩類およ
びポリアクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸塩が、
(3)コーティングバインダーとしては、酸化でん粉、
酵素化でん粉、尿素リン酸でん粉、アルキル化でん粉な
どの変性でん粉類、カゼイン、ゼラチンなどの水溶性た
ん白質、スチレン−ブタジエンラテックス(SBR)、メ
チルメタアクリレート−ブタジエンラテックス(MB
R)、酢酸ビニール重合体エマルジョン、ポリビニール
アルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、メチルセルロースなどの合成、半合
成バインダーが、(4)その他の各種添加剤としては、
螢光増白剤、消泡剤、粘度調節剤、ダスティング防止
剤、潤滑剤、耐水化剤などが用いられる。
本発明のサリチル酸樹脂多価金属化物の水溶性懸濁液
と前記の各種成分を混合分散して調製した水性塗料は、
エアナイフコーター、ブレードコーター、ブラシコータ
ーロールコーター、バーコーター、グラビアコート等で
基紙上に塗布乾燥して感圧複写紙顕色シートとする。
一般に水性塗料の塗布量は、乾燥重量で0.5g/m2
上、好ましくは1〜10g/m2である。水性塗料を塗布した
シートの発色性能は、主として水性塗料中のサリチル酸
樹脂多価金属化物の濃度に支配され、10g/m2以上の塗布
量は発色性能の向上には効果がなく、また経済的にも不
利である。
本発明の水性懸濁液が感圧複写紙の製造に好適なこと
は、具体的には次のような点等に認められる。例えば、
本発明の水性懸濁液は、増粘傾向が少ないために、それ
を主成分とする水性塗料塗工時の作業性を著しく改善す
る。また、塗工時に低粘度塗液を用いるエアナイフコー
ティング方式を、該水性塗料塗布のために利用すれば、
水性塗液循環時の発泡が著しく抑制され好都合である。
また、本発明の水性懸濁液は、感圧複写紙に用いる水性
塗料を作成するに際し、一般的に用いられる他の成分、
例えば、カオリン粘土、炭酸アルシウムなどの白色無機
顔料等との混合時の増粘傾向(ショック)もみられな
い。さらに、当該水性懸濁液は高固型分で熱的安定性に
すぐれ、これを用いる水性塗料は熱的および機械的安定
性にすぐれているため、とくにブレードコーティング、
ロールコーティング等、高固型分水性塗料を用いて塗工
する形式の塗工機に好適に適用できる。
また、本発明の水性懸濁液を利用して製造された、新
規な感圧複写紙用顕色シートは、無機固体酸またはp−
フェニルフェノールノボラック樹脂を用いた顕色シート
に比較して、同等またはそれ以上の発色性を有し、さら
に日光照射による耐黄変性は大幅に向上し、取り扱いお
よび保存に極めて有利等の長所をもつ。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように、本発明の水性懸濁液は、 ・長期間保存しても沈降または凝集を生ぜず、特に高い
気温での長時間の保存に対して安定で、かつ、高い固型
分を有し、 ・他の成分と混合して水性塗液を得れば、その水性塗液
を塗工適性(レオロジー性)、耐熱および機械的安定性
にすぐれ、起泡性が少ないものとすることができ、 ・色色度が高く(着色が少なく)、ひいては高度に白色
で、また、例えばp−フェニルフェノールノボラック樹
脂を用いた感圧複写紙に比較して、同等またはそれ以上
の発色性を有する等、すぐれた商品価値をもつ感圧複写
紙の製造を可能にし、 ・光暴露時または保存下に、着色変化する成分を含ま
ず、耐黄変性が大幅に向上し、取り扱いや保存に極めて
有利な感圧複写紙の製造を可能にし、 ・製造途中の、湿式微粉砕による水性懸濁化に際して、
広いpH範囲で作業が行なわれ、かつ微粒化時に発泡、増
粘など作業性を低下させることのないものである。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例および比較例をあげて具体的に
詳述する。
なお、実施例および比較例により得られた水性懸濁液
の性能および水性塗料、感圧複写紙の性能は表−1にま
とめて示す。
各種性能試験方法をつぎに示す。
A)水性懸濁液の性能 (I)色 相 水性懸濁液をメイヤーバーで、上質紙上に乾燥重量で
5g/m2となるように塗布したシート(水性懸濁液塗布シ
ート)を4枚重ね合わせ、TSS型ハンター比色計(東洋
精機製)でブルーフィルターを用いて反射率を求める。
水性懸濁液塗布シートの白色度(白さ)は、反射率
(A)で表示する。
反射率(A)が高い程、水性懸濁液が白いことを示
し、その差が1ポイント(%)程度あると肉眼で優劣の
識別可能である。
(II)粘 度 微粒化して得た水性懸濁液を25℃で、B型粘度計、No
1ローター、60rpmの条件で粘度測定した数字で表わす
(単位cp)。
(III)高温保存安定性 水性懸濁液2kgを内容積2のステンレスビーカーに
装入し、ガラス製撹拌羽根(イカリ型、径100mm)100rp
mで撹拌しながら、40℃で1週間保存し、保存前後の濾
過性を直径7.5cmの200メッシュ篩の濾過時間(sec)で
比較する。高温保存安定性の不良な分散液は、水性懸濁
液中で、サリチル酸樹脂多価金属化物粒子が凝縮融着
し、粒子サイズの成長と共に篩濾過性が低下する。
B)水性塗液の性能 実施例および比較例の水性懸濁液を用いて、次のよう
な組成の感圧複写紙ブレードコーティング用水性塗液
(固型分50%)を調製してその性能を測定した。
組 成 固型重量部 (a)水性懸濁液(液中のサリチル酸 樹脂多価金属化物として) 18 (b)軽質炭酸カルシウム 100 (c)スチレンブタジエンラテックス 6 (d)酸化澱粉 6 (e)ポリアクリル酸ソーダ塩(顔料分散剤) 0.5 (I)粘度 B型粘度系(No.3ローター、60rpm)で増粘の有無を
調べる。好ましい粘度は300〜1000cpsである。
(II)機械的安定性 上記の50%固型分の水性塗液を用いJIS K−6392(NBR
合成ラテックスの試験方法)に準じマロン式機械的安定
度試験装置により凝集物の生成量を測定し、水性塗料の
機械的安定性の尺度とする。測定条件、サンプル100g、
試験条件1000rpm、10min、荷重20Kg。試験後に200メッ
シュ篩を通し濾過し、凝集物量(絶乾後)を秤量する。
表示は凝集物生成率(%)で表示する。
この試験法により凝集物生成率が大きな値を示した水
性塗液は、ブレードコーティングあるいはゲートロール
コーティングなどのコーティング時に強い剪断力のかか
る高速コーティング時に水性塗液の分散破壊凝集等によ
るコーティングトラブルを生起しやすい。
C)感圧複写紙としての性能 前項で述べたホモミキサーによる機械的および熱的安
定性試験を終えた水性塗料を上質紙に乾燥塗布量が6g/m
2となるようにメイヤーバーで塗布乾燥して、複葉型感
圧複写紙顕色シートを得る。
(I)発色濃度および速度 複葉型感圧複写紙顕色シートにおいては、クリスタル
バイオレットラクトン(CVL)を主たる感圧色素とする
市販の上葉紙(十条製紙製NW−40T)と顕色シートの両
塗布面を対向させ、上下に上質紙をあわせて、また単葉
型感圧複写紙顕色シートは上下に上質紙をあわせて、電
動タイプライターでコバルトブルーに発色させ、TSS型
ハンター比色計でアンバーフィルターを用いて反射率を
求める。発色濃度の測定は打圧発生後1分、発色後20時
間目について行ない、発色前、発色後1分、発色後20時
間の反射率I0、I1、I2を用いて で表示する。初期発色率と到達発色率の差が小さく、到
達発色率が高いことが発色速度、濃度ともに好ましい。
(II)顕色シートの白色度 前掲の方法で塗布乾燥した顕色シートを4枚重ね合わ
せ、ハンター比色計でブルーフィルターを用いて反射率
を求める。顕色シートの白色度(白さ)は反射率〔F〕
で表示し、〔F〕が大きい程顕色シートが白いことを示
し、その差が0.5ポイント程度で肉眼で判別可能であ
る。
(III)耐光黄変性 未発色の顕色シートを10時間日光照射し、照射前後の
反射率K1、K2(ハンター比色計、ブルーフィルター使
用)を測定する。K1とK2の差はサリチル酸樹脂多価金属
化物の光酸化黄変と分散剤の光黄変に基づく顕色シート
の黄変の程度を示す。
光黄変の程度はΔK=K1−K2で表示し、ΔKが小さい
程顕色シートの光黄変が少ないことを示す。
(IV)NOxによる黄変 JIS L−1055〔染色物および染料の酸化窒素ガス堅牢
度試験方法〕に基づき、顕色シートをNaNO2(亜硝酸ナ
トリウム)とH3PO4(リン酸)との反応により発生するN
Oxガス雰囲気の密閉容器中に1時間保存して、黄変の程
度を調べる。
NOxガス処理前および処理1時間後にハンター比色計
(ブルーフィルター使用)を用いて反射率を測定する。
処理前の反射率L1と処理後の反射率L2の差ΔL=L1
L2が小さい程顕色シートのNOx黄変が少ないことを示
す。
次に実施例および比較例に使用したサリチル酸樹脂金
属化物の合成例を示す。
合成例1 サリチル酸メチル15.2g(0.1モル)、1,2−ジクロロ
エタン50ml、96%濃硫酸3.75gをガラス製反応器に仕込
み激しく撹拌しながらスチレン52g(0.5モル)を0〜2
℃で6時間かけて滴下した。その後、同温度で3時間熟
成を行なって反応を終了した。つぎに反応液に85%硫酸
水溶液50gを加え、加熱して1,2−ジクロロエタンを留去
した。この中に酢酸50mlを加え還流下で18時間加水分解
反応を行なった。反応終了後、反応液を水300mlに投入
し、静置すると茶褐色の樹脂が沈降した。これを傾斜し
て上層の水を捨て、更に温水300mlで2回洗浄した。
得られたサリチル酸共縮合樹脂の重量平均分子量は96
0であった。この樹脂を別の反応器に入れ、温度150〜16
0℃であらかじめ安息香酸亜鉛16.3gと重炭酸アンモニウ
ム10gを混合させたものを30分で徐々に添加した。添加
後、同温度で1時間撹拌をつづけ、排出して冷却後粉砕
してサリチル酸樹脂の安息香酸亜鉛改質物79.5gを得
た。このものの軟化点をJIS−K−2548による環球軟化
点測定装置で測定したところ82℃であった。これをサリ
チル酸樹脂多価金属化物[A]とする。
合成例2 サリチル酸ベンジル22.8g(0.1モル)、塩化メチレン
75ml、96%濃硫酸15.9gをガラス製反応器に仕込みスチ
レン83.2g(0.8モル)を温度5〜12℃で8.5時間かけて
滴下し反応させた。同温度で3時間熟成させたのち、希
アンモニア水で中和し分液して共縮合樹脂の塩化メチレ
ン溶液を得た。この共縮合樹脂の重量平均分子量は1380
であった。つぎに、上記溶液を加熱しながら溶剤を留去
させ、120℃まで昇温した。やや粘調な共縮合樹脂へ20
%塩化亜鉛水溶液35g(0.05モル)を滴下し、還流状態
で12時間撹拌した。その後、昇温して、温度140℃で2
時間撹拌したのち、トルエン250mlを加えた。つぎに温
度70〜80℃に保ち、これに28%アンモニア水7.3g(0.12
モル)を滴下し1時間撹拌した。ついで、静置し下層の
水層を分液して除いたのち、昇温してトルエンを留去さ
せた。赤褐色の樹脂液を排出して冷却後粉砕を行なって
サリチル酸共縮合樹脂の亜鉛改質物93.5gを得た。この
ものの軟化点は76℃であった。これをサリチル酸樹脂多
価金属化物[B]とする。
合成例3 合成例1の第一段の反応でスチレンの替りにp−メチ
ルスチレン38.4g(0.3モル)を使用し、同様の反応を行
なった。つぎに、この反応液に10%苛性ソーダー水溶液
80g(0.2モル)を加え、加熱昇温して溶剤を留去させ
た。ついで、温度100〜102℃で12時間加水分解反応を行
なった。反応溶液はやや白濁した状態の溶液であり、こ
れに水850mlを加えて希釈したのち、5%硫酸亜鉛水溶
液400g(0.07モル)を温度20〜25℃で3時間かけて滴下
した。析出した沈澱物を濾過、水洗後真空乾燥して白色
のサリチル酸樹脂亜鉛塩52gを得た。軟化点は112℃であ
った。これをサリチル酸樹脂多価金属化物[C]とす
る。
合成例4 合成例1の反応でスチレンの替りにα−メチルスチレ
ンを使用した以外は実施例1と同様に行なって重量平均
分子量720のサリチル酸共縮合樹脂を得た。この樹脂に
酸化亜鉛4.1g(0.05モル)を加え140〜150℃の温度で2
時間反応させたところ赤褐色透明なサリチル酸共縮合樹
脂の亜鉛改質物76gを得た。軟化点は71℃であった。こ
れをサリチル酸樹脂多価金属化物[D]とする。
実施例−1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
Na単位が5モル%のポリビニルアルコール(平均重合度
300、ケン化度90%)の20%水溶液25gと水135.7gを予め
混合し、pHを8.0に調節した水溶液中に合成例−1で得
た、サリチル酸樹脂多価金属化物〔A〕の微粉100gを装
入し、撹拌スラリー化したのち径1mmのガラスビーズを
メジャーとするサンドグライダーで3時間処理して平均
粒子径が2.5μmの白色の水性懸濁液(固型分40重量
%)を得た。
実施例−2 エチレンスルホン酸含有量3モル%のエチレンスルホ
ン酸−酢酸ビニル共重合体を苛性ソーダによりケン化
し、3モル%に相当するスルホン酸基と、1モル%のア
セチル基を含有するポリビニルアルコール(平均重合度
300)を得た。
該スルホン酸基を有するポリビニルアルコールの20%
水溶液50gおよび水90gを予め混合した水溶液中(pH8.
4)に合成例−2で得たサリチル酸樹脂多価金属化物
〔B〕100gを装入撹拌スラリー化したのちアトライター
(三井三池製作所製、直径5mmのジルコニウムメジャー
使用)で水冷下に5時間分散処理して、白色の水性懸濁
液(固型分45重量%、平均粒子径2.4μm)を得た。
実施例−3 80%硫酸(O℃に保ってある)にポリビニルアルコー
ルを加えて、反応させたのち、中和、精製を行なって得
たスルホン化ポリビニルアルコール(全モノマーユニッ
トの5モル%に相当するスルホン基と10モル%のアセチ
ル基含有)の20%の水溶液25gと水85gを予め混合した水
溶液を90℃に加温し、合成例−3で得たサリチル酸樹脂
多価金属化物〔C〕100gを加え、ホモミキサー(特殊機
化工製)により高速乳化分散したのち室温まで冷却し
て、固型分50重量%の白色の水性懸濁液(平均粒子径2.
1μm)を得た。
実施例−4 エチレンスルホン酸含有量5モル%のポリビニルアル
コール(平均重合度250、ケン化度88%)の20%水溶液1
5g、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩30%水溶液
6.7gを水140.8gに混合した水溶液に、合成例−4で得た
サリチル酸縮合樹脂多価金属化物〔D〕の微粉100gを装
入し、撹拌スラリー化後、直径1mmのガラスビーズをメ
ジャーとするサンドミルで2時間処理して白色の水性懸
濁液(固型分40%、平均粒子径2.3μm)を得た。
実施例−5 ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(分子量10000,
スルホン化度70%)の20%水溶液25gと水135.7gを予め
混合しpHを8.0に調節した水溶液中に、合成例−1で得
たサリチル酸樹脂多価金属化物〔A〕の微粉100gを装入
して、実施例と同様にして平均粒子径2.2μの白色の水
性懸濁液(固型分40wt%,平均粒子径2.0μm)を得
た。
実施例−6 ポリスチレンスルホン酸アンモニウム(三洋化成ケミ
スタット6500)30%水溶液30gと水88gの混合物(希アン
モニヤ水でpH8.5に調節した中に、合成例−2で得たサ
リチル酸樹脂多価金属化物〔B〕の微粉100gを装入し撹
拌スラリー化したのち実施例−2と同様に分散処理して
白色の水性懸濁液(固型分45重量%,平均粒子径1.9μ
m)を得た。
実施例−7 エチレンスルホン酸含有量5モル%のポリビニルアル
コール(平均重合度250,ケン化度88%)の20%水溶液10
g、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の30%水溶液
(日本合成化学OKS−3376)5gを水112.1gに混合した水
溶液に、合成例−3で得たサリチル酸樹脂多価金属化物
〔C〕の微粉100gを装入し径0.8mmのガラスビーズをメ
ジャーとする密閉式サンドグラインダー(Dynomill)で
1.5時間処理して、平均粒子径2.2μの白色の水性懸濁液
(固型分48%)を得た。
実施例−8 スルホン化したスチレンマレイン酸共重合体ナトリウ
ム塩(Arco社S−SMA−1000)30%水溶液13.3gと水117.
8gを混合した水溶液中に合成例−4で得たサリチル酸樹
脂多価金属化物〔D〕100gを装入し径1.0mmのガラスビ
ーズをメジャーとする横型サンドミルで2時間処理して
平均粒子径2.3μの白色の水性懸濁液(固型分45%)を
得た。
比較例−1 スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに代えて
ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物のNa塩
を同量用いた以外は実施例−1と同様に処理して平均粒
子径2.8μmの褐色の水性懸濁液を得た。
比較例−2 スルホン酸基を有するポリビニルアルコールに代えて
部分ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ、ポバール
117)を同量用いた以外は実施例−1と同様にして水性
懸濁液化を行なった。サンドグラインダー処理前の撹拌
スラリー化時およびサンドグラインダー処理時に著しい
起泡が生起し、処理後も泡が消えるまでに一昼夜を要
し、作業効率の著しく劣るものであった。でき上った水
性懸濁液は平均粒子径2.6μmの年稠な白色水性懸濁液
であった。
比較例−3 合成例−2で得たサリチル酸樹脂多価金属化物〔B〕
の微粉100gをリグニンスルホン酸ナトリウム(ITTレオ
ニア社、オーザンCD)10gを溶解した水120g中に分散ス
ラリー化し、実施例−1と同様にサンドグラインダーで
処理して褐色の水性懸濁液(固型分47.8%、平均粒子径
2.5μm)を得た。
比較例−4 スルホン酸を有するポリビニルアルコールに代えてポ
リカルボン酸Na塩(C5留分と無水マレイン酸との共重合
体のNa塩…日本ゼオンQuinflow540)を同量を用いて処
理したところ、分散状態が悪く全体が固いペースト状と
なり、水性懸濁液として取り出すことができなかった。
比較例−5 p−フェニルフェノール170g、80%パラホルムアルデ
ヒド22.5g、p−トルエンスルホン酸2.0gおよびベンゼ
ン200gをガラス製反応器に装入し、撹拌させながら加熱
して反応による生成水をベンゼンとの共沸で系外に留去
させながら70〜80℃で2時間反応させた。反応後10%水
酸化ナトリウム水溶液320gを加え、水蒸気蒸留によりベ
ンゼンを留去した。次に冷却して希硫酸を滴下し析出し
たp−フェニルフェノールホルムアルデヒド重合体を濾
取、水洗、乾燥して白色粉末176gを得た。
このp−フェニルフェノールホルムアルデヒド重合体
の粉末100gをポリカルボン酸Na塩(日本油脂・ポリスタ
ーOM)の25%水溶液12gを溶解した水160g中に分散スラ
リー化し、実施例−1と同様に、サンドグラインダーで
処理して白色の水性懸濁液(固形分39.6%、平均粒径25
μ)を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 良満 神奈川県横浜市栄区飯島町2070 (56)参考文献 特開 平1−133780(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 (式中R1、R2は水素原子またはメチル基を示し、R1は水
    素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。) で表わされる構造単位からなり、構造単位(I)が5〜
    40モル%、構造単位(II)が60〜95モル%であり、構造
    単位(I)は構造単位(II)と結合しており、かつ重量
    平均分子量が500〜10,000であるサリチル酸樹脂の多価
    金属化物を、 (A)分子内にスルホン酸基を有するポリビニルアルコ
    ール誘導体あるいはその塩よりなるアニオン性水溶性高
    分子および/または(B)一般式(III) (式中、Rは水素原子、または炭素数1−5のアルキル
    基、Mはアルカリ金属またはアンモニウムイオンを示
    す) で表わされる化合物を必須成分とするホモポリマーある
    いはコポリマーよりなるアニオン性水溶性高分子 の存在下に分散してなるサリチル酸樹脂多価金属化物の
    水性懸濁液。
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