JPH05281233A - 免疫測定試薬 - Google Patents

免疫測定試薬

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JPH05281233A
JPH05281233A JP8387692A JP8387692A JPH05281233A JP H05281233 A JPH05281233 A JP H05281233A JP 8387692 A JP8387692 A JP 8387692A JP 8387692 A JP8387692 A JP 8387692A JP H05281233 A JPH05281233 A JP H05281233A
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antigen
antibody
liposome
reagent
immunoassay
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JP8387692A
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Kanji Tomioka
寛治 冨岡
Masaaki Kishimura
昌明 岸村
Fumiko Kii
史子 紀伊
Hideki Fukuda
秀樹 福田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱安定性に優れ、補体の活性化にもとづく非
特異反応を抑制することができ、簡単な操作で高感度、
正確、安価かつ短時間に被検体中の抗体(または抗原)
を測定する免疫測定試薬および測定法を提供しようとす
るものである。 【構成】 脂質中の炭化水素鎖がグリセロール部分とエ
ーテル結合を少なくとも1箇所以上有するリン脂質また
は糖脂質を主要構成成分とするリポソームの表面に、抗
原もしくは抗原を含むタンパク質または抗体もしくは抗
体を含むタンパク質を結合または吸着させ、かつ該リポ
ソーム内に標識物質を封入することを特徴とする免疫測
定試薬およびこれを用いる免疫測定法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中に存在する特定
の抗原または抗体を定量分析するための免疫測定試薬お
よび測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】試料中の特定の抗原または抗体の定量分
析方法には、交差免疫電気泳動法(CIE)、二次元免
疫拡散法(MO)、受身赤血球凝集反応(PHA)、免
疫粘着赤血球凝集反応(IAHA)、酸素免疫測定法
(EIA)、放射免疫測定法(RIA)などが知られて
いる。現在では、おもに酸素免疫測定法(EIA)が用
いられている。
【0003】このうち、CIEおよびMOは測定時間が
長く、感度も低い。また、PHAおよびIAHAは安定
した抗原被膜赤血球を用意することが困難であり、試薬
価格も高く定量はコントロールを比較として段階的にし
か決めることができない。さらに、EIAおよびRIA
は感度の高い点ではMOの5,000 〜50,000倍にもなる
が、試薬価格が高く、測定に数日かかるという欠点を有
している。
【0004】これらの問題を解決すべく、先に特開昭63
-309864 号公報に示されるように、表面に親水性の抗体
または抗原を固定化し、内部に親水性の標識物質(たと
えば蛍光物質)を封入したリポソーム試薬を用いた測定
法を開示した。この方法はリポソームイムノライシスア
ッセイ(LILA)(ジャーナル オブ イムノロジカ
ル メソッド(Journal of Immunological Method)、75
351〜360 頁、(1984)参照)と称され、前記リポソーム
試薬はリン脂質および糖脂質のうち少なくともいずれか
一方を組成とするものが用いられている。このLILA
は以下のようなものである。すなわち、抗原または抗体
が存在する試料中にリポソーム試薬を加え、これと別に
補体を加えると、抗原−抗体反応およびそれにともなう
補体の活性化が起こり、補体の膜障害作用によってリポ
ソームが破壊され、封入されていた標識物質が放出す
る。この放出した標識物質の量と、試料中の被検物質
(抗体または抗原)との間には相関関係があるので、流
出した標識物質を所定の分析方法(たとえば蛍光分析)
によって定量することにより、被検物質を定量すること
ができる。したがってこのLILAによれば前記の問題
は解決される。なお、LILAにおける一連の反応系で
は、反応温度は習慣上37℃前後に設定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、LILAでは目
的の抗原−抗体反応にともなう補体の活性化に起因する
リポソームの破壊以外に、補体の作用による非特異反応
や、熱などの熱力学的作用による非特異反応によるリポ
ソームの破壊が起るという問題がある。すなわち被検物
質の有無にかかわらずリポソームが破壊され内部の標識
物質は放出されるようになり、測定の信頼性を損うこと
になる。
【0006】本発明は以上のような問題に鑑みなされた
ものであり、非特異反応を抑制する免疫測定試薬を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、脂質中の炭化
水素鎖がグリセロール部分とエーテル結合を少なくとも
1箇所以上有するリン脂質または糖脂質を主要構成成分
とするリポソームの表面に、抗原もしくは抗原を含むタ
ンパク質または抗体もしくは抗体を含むタンパク質を結
合または吸着させ、かつ該リポソーム内に標識物質を封
入することを特徴とする免疫測定試薬に関する。また本
発明は脂質中の炭化水素鎖がグリセロール部分とエーテ
ル結合を少なくとも1箇所以上有するリン脂質または糖
脂質を主要構成成分とするリポソームの表面に、抗原も
しくは抗原を含むタンパク質または抗体もしくは抗体を
含むタンパク質を結合または吸着させ、かつ該リポソー
ム内に標識物質を封入した免疫測定試薬を用い、前記リ
ポソームの膜上で生じる抗原−抗体反応にともないリポ
ソーム膜溶解が生じ、放出される標識物質を定量するこ
とにより、試料中の抗原または抗体量を測定することを
特徴とする免疫測定法に関する。
【0008】
【実施例】本発明のリポソーム試薬について説明する。
【0009】本発明におけるリポソームは、リン脂質ま
たは糖脂質がその炭化水素鎖がグリセロール部に少なく
とも1箇所以上でエーテル結合するものであれば、とく
に限定されることはない。炭化水素鎖がグリセロール部
にエーテル結合するリン脂質または糖脂質としては、た
とえば、海産生物に含まれる1- アルキル- 2- アセチ
ル- sn- グリセロール- 3- フォスホリルコリンとし
て一般的に表わされるグリセリルエーテル、または古細
菌に属する好熱性菌脂質などが好ましく、天然の抽出物
であってもそれをモデルとした人工合成物であってもよ
い。人工合成による脂質においては、炭化水素鎖として
ポリイソプレノイド鎖、アルキル鎖またはアルケン鎖な
どが好ましく、ポリイソプレノイド鎖においては、鎖の
途中に五員環を形成してもよい。また、アルキル鎖また
はアルケン鎖は側鎖に別の炭化水素化合物を有してもよ
い。また、グリセロール部にエーテル結合する炭化水素
鎖の炭素数は、脂質がリポソーム膜を形成できるもので
あればとくに限定されないが、12〜40が好ましい。
【0010】これらのリン脂質または糖脂質を主要構成
成分とするリポソームは補体の非特異反応や熱力学的作
用による非特異反応に対する安定性に優れたものであ
る。
【0011】本発明に用いられるリポソームの形状は、
多重層リポソーム(multi lamellarvesicle(以下MLV
と略す))、小さな一枚膜リポソーム(small unilamell
arvesicle(以下SUVと略す))、大きな一枚膜リポソ
ーム(large unilamellarvesicle(以下LUVと略す))
の何れであってもよい。
【0012】リポソームに固定化する抗体または抗原は
被検目的(被検抗原または抗体)に応じて適宜選択され
る。たとえば、HBsAg、HBcAg、Anti H
Bs、HCVAg、Anti HCV、HIVAg、ヒ
ューマン・Tセル・ロイケミア・ウイルス−I型(HT
LV−I)、ヒューマン・Tセル・ロイケミア・ウイル
ス−III 型(HTLV−III)などのウイルス関連の抗原
抗体や血中の各種ホルモンやIgG等の血漿タンパク
質、さらにはハプテンなどの抗原となり得る化学物質が
あげられる。
【0013】リポソーム内に封入される標識物質は、リ
ポソーム外に溶出された際に定量可能な物質でなければ
ならない。かかる物質としては、たとえば、ラジオイム
ノアッセイで用いられる 125Iや 131Iなどの放射性同
位元素;低濃度域(10-3M以下)でも非常に強い蛍光を
発するカルボキシフルオレセインまたはフルオレセイン
イソチオシアネートのような蛍光性化合物;リポソーム
外での酸化反応により発光するルミノールやルシフェリ
ンのような発光性化合物;可視部あるいは紫外部に特異
的な吸収帯を有する吸光性化合物(水溶性色素など);
酸化酵素の作用により分解され、酸素消費もしくは過酸
化水素生成をもたらすグルコースまたはスクロースなど
の糖類;テトラペンチルアンモニウムのような比較的大
きなイオン性化合物;カルシウムイオンなどの金属;ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)のよう
な補酵素類;メチルピオロゲンを初めとするラジカル化
合物;酵素免疫測定法などで用いられるβ- ガラクトシ
ダーゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素類などが好まし
い。標識物質としてカルシウムイオンを用いたばあいに
はカルシウム依存性酵素(カルバイン、プロテインキナ
ーゼC、トランスグルタミラーゼなど)を、酵素を用い
た場合には基質(前述の酵素に対する基質としては、そ
れぞれ、4- メチルウムベリフェニルβ- D- ガラクト
シド、p- ヒドロキシフェニルプロピオン酸があげられ
る)を、リポソーム破壊によりこれらの物質が放出した
際に用いることにより、はじめて定量が可能となる。
【0014】本発明の抗体測定試薬は、たとえば次の方
法で製造される。
【0015】まずリン脂質または糖脂質をフラスコに入
れ、溶媒、たとえばクロロホルムを加えて反応させた
後、溶媒を留去し、吸引乾燥する。しかるのちに、壁面
に薄膜が形成されたフラスコ内に所定の標識物質の水溶
液を加え、密栓をして振盪し、標識物質封入リポソーム
をえる。
【0016】一方、抗原、たとえばB型肝炎表面抗原
(HBs抗原)と架橋剤とを緩衝液、たとえばリン酸緩
衝生理食塩水(PBS)中で反応させて架橋基を導入
し、しかるのち、必要であれば、架橋基を還元する試薬
(たとえばジチオスレイトール:DTT)と反応させ
て、修飾抗原をえる。
【0017】最後に、標識物質封入リポソームと修飾抗
原とを緩衝液中で反応せしめることにより、本発明の抗
体測定試薬である抗原結合リポソームがえられる。かか
る抗体測定試薬は、通常、標識物質を内包し、表面に固
定化された抗原を担持したマイクロカプセルとしてえら
れる。
【0018】抗体または抗原またはこれらを含むタンパ
ク質のマイクロカプセルへの結合は公知の方法に従って
行えばよい。たとえば、レスルマン(Lesrman)らの方法
(ネイチャー(Nature)、288 、604 〜606 、1980)、
マルチン(Martin)らの方法(バイオケミストリー(Bi
ochemistry)、20、4229〜4238、1981)などにより行わ
れる。
【0019】前記製造法における架橋剤としては、たと
えば、N- スクシンイミジル3- (2- ピリジルジチ
オ)プロピオネート(SPDP)、N- スクシンイミジ
ル4-(p- マレイミドフェニル)ブチレート(SMP
B)、N- スクシンイミジル4- (p- マレイミドフェ
ニル)アセテート(SMPA)、N- スクシンイミジル
4- (p- マレイミドフェニル)プロピオネート(SM
PP)、N- (γ- マレイミドブチリルオキシ)スクシ
ンイミド(GMBS)、N- (ε- マレイミドカプロイ
ルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、グルタルアル
デヒド、テレフタルアルデヒドなどのジアルデヒドなど
があげられる。
【0020】このようにして調製した抗体測定試薬を用
いて、被検体中の抗体を測定するには、被検体中にその
試薬および補体を加え、抗原−抗体と補体との結合反応
を引き起こさせる。すると、かかる反応量に比例して、
リポソーム内から標識物質が放出されてくる。ついで、
この標識物質に応じた分析方法(たとえば、標識物質が
蛍光物質であれば、蛍光分析法)により定量を行ない、
たとえば、あらかじめ作成した検量線により、試料中の
抗体の量を測定することができる。
【0021】この測定操作において使用する補体は、と
くに限定されないが、通常、モルモット血清が用いられ
る。しかし、ウサギ、マウス、ヒトなどの血清を使用し
てもよい。
【0022】つぎに本発明を実施例をあげて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0023】実施例1 HBs抗原結合リポソームの調製 (1)反応性リポソームの調製 N- スクシンイミジル4- (p- マレイミドフェニル)
ブチレート(SMPB)28.1μmol とジパルミトイルフ
ォスファチジルエタノールアミン(DPPE)20μmol
をクロロホルム4.5ml と無水メタノール0.5ml との混液
に溶解した。これにトリエチルアミン20μmol を添加
し、窒素封入下室温で2時間撹拌し反応させた。反応終
了後、メタノール3.5ml 、蒸留水2mlを加え、よく振盪
した。これを静置し、クロロホルム相をとり、溶媒を蒸
発させたのち、約5mlのクロロホルムを添加し溶解し
た。この溶液を、150 ℃で12時間以上乾燥させクロロホ
ルムで平衡化した10ml容量のシリカゲル(Wakogel C-10
0 、和光純薬工業(株)製)カラムに負荷し、クロロホ
ルム−メタノール(20:1、v/v)40〜50mlで洗浄し
た。クロロホルム−メタノール(5:1、v/v)によ
り溶出する画分を集め、溶媒を蒸発させたのち、新たに
5mlのクロロホルムに溶解した。以上の操作により、N
-(4-(p- マレイミドフェニル)ブチリル)ジパルミト
イルホスファチジルエタノールアミン(MPB−DPP
E)を調製した。
【0024】100ml ナス型フラスコに、特願平3-262142
号公報記載の方法にしたがい合成した1,2- ジ- O-
フタニルグリセロ- 3- フォスホコリン(Phy−P
C)150 μmol 、リン酸ジセチル(DCP)7.5μmol 、
MPB−DPPE7.5 μmolをとり、約10mlのクロロホ
ルムに溶解し、42℃以上の水溶液中にてロータリーエバ
ポレーターで溶媒を除去したのち、残った脂質薄膜に、
標識物質水溶液として自己消光性の蛍光物質である0.2
Mカルボキシフルオレセイン(CF)15mlを加えてボル
テックス(Vortex)ミキサーで10分間振盪撹拌しMLV
を調製した。これを15分間プローブ型超音波発振装置
(US−300 (株)日本精機製作所製)で超音波処理す
ることによって均一化したSUVにした。ついでリポソ
ームに封入されなかったCFを除去するためセファデッ
クスG−25(商品名、ファルマシア社製)カラムにてク
ロマト分離し、反応性リポソームをえた。
【0025】(2)反応性リポソームへのHBs抗原の
結合 0.5 mg/mlのHBs抗原(サブタイプay、ケミコンイ
ンターナショナル社製)のリン酸緩衝生理食塩水溶液1.
5ml に40mM N- スクシンイミジル- 3- (2- ピリジ
ルジチオ)プロピオネイト(SPDP)エタノール溶液
を0.0323ml加え、室温で10分間撹拌し反応させた。未反
応のSPDPを除くために、20mMMES緩衝液(0.15M
NaCl含有、pH6.0 )で平衡化したエコノパックP6カ
ートリッジ(商品名、バイオラッド社製)カラムでクロ
マト分離した。最初のピーク部分を集め、これに100mM
になるようにジチオスライトール(DTT)を固体のま
ま加えて溶解し、窒素封入下室温で30分間放置した。反
応終了後リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4 )
で平衡化したエコノパックP6カートリッジカラムでク
ロマト分離し、最初のピーク部分を集めた。以上の操作
によりSPDPを通じてHBs抗原にSH基を導入し、
SH基入りHBs抗原を調製した。
【0026】つぎに、反応性リポソームを2倍に希釈し
たものと前記操作(1) でえたSH基導入HBs抗原を
1:1(v/v)の割合で混合し、窒素封入下4℃で20
時間放置し反応させたのち、リポソームに結合しなかっ
たSH基導入HBs抗原を除くためベロナール緩衝液
(VB)(pH7.5)で平衡化したバイオゲルA−15m(商
品名、バイオラッド社製)カラムでクロマト分離し、H
Bs抗原結合リポソームをえた。
【0027】前記の抗原結合リポソームを、その初期蛍
光強度が適当なものとなるように、0.5mM MgCl2 および
0.15mM CaCl2 を含有したゼラチンベロナール緩衝液
(GVB2+)で100 倍程度に希釈したもの25μlに、H
Bs抗体測定試薬(オーサブ・EIA、商品名(ダイナ
ボット社製))により陽性と判断された、GVB2+で5
倍に希釈した非働化ヒト血清(HBs抗体血清)を倍々
希釈したものを25μl加え36℃で10分間放置して反応さ
せた。その後、5CH50/mlにGVB2+で希釈したモルモ
ット全補体(石津製薬社製)50μlを加えたサンプルを
6バッチ用意し、それぞれ25、30、36、40、45、49℃で
60分間放置して反応させたのち、各試料の蛍光強度をマ
イクロプレート用蛍光光度計 MTP−32(コロナ社)で測
定した(励起波長490nm 、蛍光波長520nm )。
【0028】なお、測定値は、測定終了後測定試料に1
- プロパノール(n- プロピルアルコール)を100 μl
加え、リポソームを完全に破壊したのちの蛍光強度を2
倍した。結果を図1に示す。このように、いずれの温度
条件でも測定可能であるが、体温(36.0℃)においても
非特異反応による不安定性がない。さらに、40.0℃以上
の高温でも熱によるリポソームの破壊が起こらず抗原抗
体結合物によって活性化される補体系によるリポソーム
膜溶解反応により精度よく抗体が定量可能であることが
わかる。
【0029】参考例1 従来法によるHBs抗原結合リポソームの調製およびH
Bs抗体測定 1,2- ジ- O- フタニルグリセロ- 3- フォスホコリ
ン(Phy−PC)150μmol のかわりに、ジパルミトイ
ルホスファチジルコリン(DPPC)75μmol、コレス
テロール75μmol を使用し、実施例1の(1)と同様に
リポソームを作成し、実施例1の(2)と同様にHBs
抗原を結合し、HBs抗体血清を測定した。結果は、図
2に示されるように、30.0℃以上では熱不安定性による
標識物質の放出に起因するバックグランドの上昇という
弊害が生じている。
【0030】実施例2 反応性リポソームへのチトクロームCの結合 0.25mg/mlチトクロムC(ウマ心臓由来、シグマ社製)
のリン酸緩衝生理食塩水溶液1.5ml に40mM N- サクシ
ンイミジル- 3- (2- ピリジルジチオ)プロピオネイ
ト(SPDP)エタノール溶液を0.0323ml加え、室温で
10分間撹拌し反応させた。未反応のSPDPを除くため
に、20mM MES緩衝液(0.15M NaCl含有、pH6.0 )
で平衡化したエコノパックP6カートリッジ(商品名、
バイオラッド社製)カラムでクロマト分離した。最初の
ピーク部分を集め、これに100mMになるようにジチオス
ライトール(DTT)を固体のまま加えて溶解し、窒素
封入下室温で30分間放置した。反応終了後リン酸緩衝生
理食塩水(PBS)(pH7.4 )で平衡化したエコノパ
ックP6カートリッジカラムでクロマト分離し、最初の
ピーク部分を集めた。以上の操作によりSPDPを通じ
てチトクロムCにSH基を導入し、SH基入チトクロム
Cを調製した。
【0031】つぎに、反応性リポソームを2倍に希釈し
たものと実施例1の(1) でえたSH基導入HBs抗原を
1:1(v/v)の割合で混合し、窒素封入下4℃で20
時間放置し反応させたのち、リポソームに結合しなかっ
たSH基導入HBs抗原を除くためVB(pH7.5)で平
衡化したバイオゲルA−15m カラムでクロマト分離し、
チトクロムC結合リポソームをえた。
【0032】前記の抗原結合リポソームを、その初期蛍
光強度が適当なものとなるように、0.5mM MgCl2 および
0.15mM CaCl2 を含有したゼラチンベロナール緩衝液
(GVB2+)で100 倍程度に希釈したもの25μlに、ウ
サギに免疫してえた精製ウサギ抗ウマチトクロムC抗体
を、0.0,0.16,0.65,1.63,6.52 μg/mlとなるように調製
したものを25μl加え36℃で60分間放置して反応させ
た。その後、5CH50/mlにGVB2+で希釈したモルモッ
ト全補体(石津製薬社製)50μlを加え、45℃で60分間
放置して反応させたのち、各試料の蛍光強度をマイクロ
プレート用蛍光光度計MTP-32で測定した(励起波長490n
m 、蛍光波長520nm)。なお、測定値は、測定終了後測定
試料に1- プロパノール(n- プロピルアルコール)を
100 μl加えリポソームを完全に破壊したのちの蛍光強
度を2倍したものと、ウサギ抗ウマチトクロムC抗体の
代りにGVB2+を25μl 添加したものの差を100 %とし
て、各被検試料の蛍光強度を相対的に換算したものを標
識物質遊離率(%)とした。結果を、図3に示す。この
ように、高温(45.0 ℃)においても非特異反応による不
安定性がない。
【0033】参考例2 従来法によるチトクロムC結合リポソームの調製および
ウサギ抗ウマチトクロムC抗体測定 1,2- ジ- O- フタニルグリセロ- 3- フォスホコリ
ン(Phy−PC)150μmol のかわりに、ジパルミトイ
ルホスファチジルコリン(DPPC)75μmol、コレス
テロール75μmol を使用し、実施例1の(1)と同様に
リポソームを作成し、実施例2と同様にチトクロムCを
結合し、ウサギ抗ウマチトクロムC抗体を測定した。結
果は、図3に示されるように、45.0℃では熱不安定性に
よる標識物質の放出に起因するバックグランドの上昇と
いう弊害が生じ測定不能となっている。
【0034】
【発明の効果】前述のように、本発明の免疫測定試薬
は、補体の非特異反応や熱力学的作用による非特異反応
に対して安定なリポソームを用いるため、抗原抗体結合
物による補体の活性化にもとづく膜損傷反応を正確に見
積もることができ、測定の信頼性を回復することができ
る。それゆえ、簡単な操作で、高感度、正確、安価かつ
短時間に被検体中の抗体(または抗原)を測定すること
ができ、しかもその自動化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱安定性の良好な免疫測定試薬を用い
た免疫測定方法の実施例によってえられた反応温度別の
試料の蛍光強度を示すグラフである。
【図2】従来のLILA免疫測定試薬を用いた方法の実
施例によってえられた反応温度別の試料の蛍光強度を示
すグラフである。
【図3】本発明の熱安定性の良好な免疫測定試薬を用い
た免疫測定法の実施例によってえられた45.0℃における
試料の蛍光強度と従来のLILA免疫測定試薬を用いた
方法の実施例によってえられた45.0℃における試料の蛍
光強度を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂質中の炭化水素鎖がグリセロール部分
    とエーテル結合を少なくとも1箇所以上有するリン脂質
    または糖脂質を主要構成成分とするリポソームの表面
    に、抗原もしくは抗原を含むタンパク質または抗体もし
    くは抗体を含むタンパク質を結合または吸着させ、かつ
    該リポソーム内に標識物質を封入することを特徴とする
    免疫測定試薬。
  2. 【請求項2】 脂質中の炭化水素鎖がグリセロール部分
    とエーテル結合を少なくとも1箇所以上有するリン脂質
    または糖脂質を主要構成成分とするリポソームの表面
    に、抗原もしくは抗原を含むタンパク質または抗体もし
    くは抗体を含むタンパク質を結合または吸着させ、かつ
    該リポソーム内に標識物質を封入した免疫測定試薬を用
    い、前記リポソームの膜上で生じる抗原−抗体反応にと
    もないリポソーム膜溶解が生じ、放出される標識物質を
    定量することにより、試料中の抗原または抗体量を測定
    することを特徴とする免疫測定法。
  3. 【請求項3】 リポソームの膜上で生じる抗原−抗体反
    応にともなうリポソーム膜溶解が補体の活性化によるも
    のである請求項2記載の免疫測定法。
JP8387692A 1992-04-06 1992-04-06 免疫測定試薬 Pending JPH05281233A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009532167A (ja) * 2006-04-03 2009-09-10 ギブン イメージング リミテッド 生体内分析のための装置、システムおよび方法
US8663093B2 (en) 2006-04-03 2014-03-04 Given Imaging Ltd. Device, system and method for in-vivo analysis

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