JPH05263335A - 織物およびその製造方法 - Google Patents

織物およびその製造方法

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JPH05263335A
JPH05263335A JP4089812A JP8981292A JPH05263335A JP H05263335 A JPH05263335 A JP H05263335A JP 4089812 A JP4089812 A JP 4089812A JP 8981292 A JP8981292 A JP 8981292A JP H05263335 A JPH05263335 A JP H05263335A
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正行 衡田
Akira Takagi
明 高木
Koichi Kubota
浩一 久保田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】単繊維繊度0.5デニール以下のポリエステル
フィラメントと単繊維繊度1.0デニール以下のポリア
ミドフィラメントからなる混繊糸条を緯糸および/また
は経糸とする織物において、ポリアミドフィラメントが
ナイロン6またはナイロン66成分を70〜95%含み
融点が185℃以上の共重合ポリアミドであって、織物
外層部に存在するポリエステルフィラメントの数Mとポ
リアミドフィラメントの数N、織物内層部に存在するポ
リエステルフィラメントの数Xとポリアミドフィラメン
トの数Yが、N/M≦(Y/X)×0.3の関係を満足
することを特徴とする織物。 【効果】実用上、分散染料で染色するだけで均一な染色
布が得られ、しかも摩耗による白化現象も起こりにく
い。風合いも柔軟で地厚感が大きい。あたかも起毛して
あるかのような良好な感触を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、織物およびその製造方
法に関するものである。さらに詳細には、風合い、感
触、嵩高性が良好であり、しかも湿潤堅牢度に優れ、摩
耗による白化現象の発生が抑制された織物およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリエステル成分とポリアミド成
分からなる剥離型複合繊維を使用することにより、柔軟
な風合いと良好な感触を有する布帛が得られることが提
案されている。例えば、特公昭53−35633号公報
に示されるように、ポリエステルとポリアミドからなる
剥離型複合繊維を用いた布帛をベンジルアルコールまた
はフェニルエチルアルコール乳化水溶液でフィブリル化
することにより、柔軟な風合いを得たり、特公昭62−
4798号公報に示されるように、ポリエステルとポリ
アミドからなる剥離型複合繊維を用いた布帛を苛性ソー
ダでフィブリル化することにより良好な風合いと感触を
得る方法が知られている。
【0003】また、特公平3−17953号公報に示さ
れるように、剥離型複合繊維に予め流体乱流処理を施し
ておくことにより、織物表面にポリエステル繊維の環や
たるみを形成させ、スパンライクな外観と風合いを得る
方法も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリエステル成分とポ
リアミド成分からなる剥離型複合繊維を使用して得られ
る布帛は、柔軟な風合いと良好な感触を有するが、ポリ
エステルとポリアミドという染色性の異なる成分を含
み、両者をそれぞれ染色する必要があったため、染色布
の染色堅牢度が劣っていた。
【0005】例えば、苛性ソーダ水溶液で剥離処理した
場合、織面表面は、ポリエステル繊維とポリアミド繊維
が混在した形態となるため、ポリエステル繊維を分散染
料で染色し、ポリアミド繊維を酸性染料で染色する必要
があった。
【0006】また、ベンジルアルコール乳化水溶液で剥
離処理した場合は、織物表面がほぼポリエステル繊維で
覆われるため、ポリエステル繊維を分散染料で染色する
だけで一応均一な染色布を得ることができる。しかし、
外層部にはポリアミド繊維が存在するため、摩耗により
これらのポリアミド繊維が容易に表面に現われ、白化現
象が発生する問題を有していた。
【0007】このように従来の公知の方法で剥離処理し
た場合、ポリアミド繊維が織物表面または外層部に存在
するため、染色のいらつきや摩耗による白化現象が発生
しないように、実用上、ポリエステル繊維を分散染料で
染色し、ポリアミド繊維を酸性染料で染色する必要があ
った。
【0008】しかし、酸性染料で染色することにより、
湿潤堅牢度が極端に悪くなることが多く、高湿潤堅牢性
が要求される用途への展開に制約があった。
【0009】また、剥離型複合繊維に予め流体乱流処理
を施しておくことにより、織物表面にポリエステル繊維
の環やたるみを形成させる方法についても、環やたるみ
を形成するポリエステル繊維の割合がごく限られたもの
であったため、上記と同様な問題を有していた。
【0010】本発明の課題は、湿潤堅牢度に優れ、摩耗
による白化現象の発生が抑制された、風合い、感触の良
好な染色された織物およびその製造方法を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の織物は、上記課
題を解決するために、次の構成を有する。すなわち、単
繊維繊度0.5デニール以下のポリエステルフィラメン
トと単繊維繊度1.0デニール以下のポリアミドフィラ
メントからなる混繊糸条を緯糸および/または経糸とす
る織物において、ポリアミドフィラメントがナイロン6
またはナイロン66成分を70〜95%含み融点が18
5℃以上の共重合ポリアミドであって、織物外層部に存
在するポリエステルフィラメントの数Mとポリアミドフ
ィラメントの数N、織物内層部に存在するポリエステル
フィラメントの数Xとポリアミドフィラメントの数Y
が、N/M≦(Y/X)×0.3の関係を満足すること
を特徴とする織物である。
【0012】また、本発明の製造方法は、次のいずれか
の構成を有する。すなわち、ポリエステル成分相とナイ
ロン6またはナイロン66成分を70〜95%含み融点
が185℃以上の共重合ポリアミド成分相からなる剥離
型複合繊維であって、それぞれの成分相が該剥離型複合
繊維の外周部を形成するかまたは一方成分の相が他方成
分の相によってほぼ完全に包囲されているものを、緯糸
および/または経糸として製織し、140〜220℃で
乾熱処理後、110℃以下で該複合繊維のポリエステル
成分相と共重合ポリアミド成分相の界面を剥離し、さら
に120〜140℃のアルカリ性水溶液中で処理するこ
とを特徴とする織物の製造方法(以下、第一の方法)、
または、単繊維繊度0.5デニール以下のポリエステル
フィラメントと単繊維繊度1.0デニール以下のナイロ
ン6またはナイロン66成分を70〜95%含み融点が
185℃以上の共重合ポリアミドフィラメントからなる
混繊糸条を緯糸および/または経糸ととして製織し、1
40〜220℃で乾熱処理後、120〜140℃のアル
カリ性水溶液中で処理することを特徴とする織物の製造
方法(以下、第二の方法)である。
【0013】以下、本発明の内容について詳述する。◎
本発明の織物において、「外層部」とは、織物の両表面
から厚さ方向にそれぞれ厚さの1/4ずつ内部に入るま
での部分をいい、両面の外層部の厚さの和は全体の厚さ
の半分を占める。「内層部」とは、上記「外層部」以外
の部分をいう。
【0014】本発明の織物においては、単繊維繊度0.
5デニール以下のポリエステルフィラメントと単繊維繊
度1.0デニール以下の共重合ポリアミドフィラメント
(以下、ポリアミドフィラメント)が含まれるものであ
る。特に、嵩高性を付与する観点からポリエステルフィ
ラメントの単繊維繊度を0.05〜0.5デニール、ア
ルカリ性熱水浴処理時の収縮応力を大きくして織物内層
部に容易に選択的に配置させる観点からポリアミドフィ
ラメントの単繊維繊度を0.4〜1.0デニールとする
ことが好ましい。ポリエステルフィラメントとポリアミ
ドフィラメントがこのように極細繊維であることによ
り、良好な感触と柔軟な風合いを有する織物を得ること
が可能となる。ポリエステルフィラメントの単繊維繊度
が0.5デニールより大きいと良好な感触が得られず、
ポリアミドフィラメントの単繊維繊度が1.0デニール
より大きいと柔軟な風合いが得られない。
【0015】また、ポリアミドフィラメントは、ナイロ
ン6またはナイロン66を70〜95%含み融点が18
5℃以上の共重合ポリアミドからなるものである。かか
る共重合ポリアミド以外のポリアミドフィラメントで
は、後述する方法によっても大きな収縮を発現させるこ
とができず、本発明の構造を有する織物を得ることがで
きない。一般的に使用されるナイロン6やナイロン66
は、本発明においては不適当である。
【0016】本発明の第一の方法において用いる複合繊
維のポリアミド成分としては、上記と同様の観点から、
ナイロン6あるいはナイロン66を主成分として70〜
95%含み融点が185℃以上である共重合ポリアミド
を用いるものである。
【0017】この共重合ポリアミドとしては、例えばナ
イロン6を主とし、ナイロン66、ナイロン6I、ナイ
ロン610、ナイロン12等の1種以上の共重合成分を
5〜20%共重合させる共重合ポリアミド:ナイロン6
6を主とし、ナイロン6、ナイロン6I、ナイロン61
0、ナイロン12等の1種以上の共重合成分を10〜3
0%共重合されてなる共重合ポリアミドが挙げられる。
なかでも、ナイロン6とナイロン66とからなる共重合
ポリアミドが重合時の生産性や溶融製糸時の製糸性の点
から好ましい。
【0018】さらに、この共重合ポリアミドは、染色、
熱セット等の高次加工を、ポリエステル成分と一緒に加
工性良く行なうために、185℃以上の融点を有するも
のである。特に190℃以上の融点を有するものである
ことが好ましい。この融点とは、パーキン−エルマー
(PERKIN−ELMER)社製の示差走査型熱量計
DSC−4を用いて窒素気流下、昇温速度10℃/分の
条件で、セカンド・ランのサーモグラフをとったときの
吸熱ピークの温度をいう。
【0019】その融点の値は、共重合組成を適性化する
ことにより所望の範囲とすることができる。また、その
重合度は、硫酸相対粘度ηで2.5〜3.2程度であ
ればよい。
【0020】なお、上記共重合ポリアミドはその基本的
特性を損なわない範囲で添加剤を配合して用いてもよ
い。またこの共重合ポリアミドは、2種以上のポリマ
(例えば、ナイロン6ポリマとナイロン6/66共重合
体)をチップブレンド、または溶融ブレンドして所望の
組成としたポリマーであってもよい。
【0021】また、ポリエステル成分としては、ポリエ
チレンテレフタレート等の通常のポリエステルを用いれ
ばよく、その重合度は衣料用繊維として通常の水準程
度、例えば、オルソクロロフェノール極限粘度で0.6
〜0.7程度であればよい。また、その基本的物理特性
を損なわない範囲で、添加剤が配合されていてもよい
し、また、イソフタル酸等の第3成分が共重合されてい
てもよい。
【0022】これらポリエステルポリマーと共重合ポリ
アミドポリマーの溶融粘度差は小さい方が複合繊維を紡
糸する際の形状安定性が良好となるので好ましく、例え
ば、溶融紡糸温度における溶融粘度差は500ポイズ以
下程度とすることが好ましい。
【0023】本発明の第一の方法に用いる複合繊維は、
上記ポリアミドとポリエステルとを別々に溶融し複合紡
糸口金中で複合して紡出するという通常の方法で複合紡
糸し、冷却、給油した後一旦未延伸糸として巻取り、そ
の後に延伸する方法によって製造することもできるが、
上記冷却、給油した未延伸糸を引取り、引続いて延伸
し、巻取るという直接紡糸延伸法によって製造すること
が好ましい。
【0024】この直接紡糸延伸法としては、例えば、特
公昭63−53292号公報に記載された高速直接紡糸
延伸が用いられる。この高速直接紡糸延伸法により得ら
れる複合繊維では、延伸倍率や延伸温度などの延伸条件
の最適値が異なるポリエステルとポリアミドとを複合紡
糸しているにもかかわらず、得られる複合繊維は繊度斑
の小さい繊維とすることができる。さらに、剥離処理す
る前の工程における複合成分の剥離、分割が生じ難いの
で、製糸性や製編織性を向上させることができる。
【0025】また、ポリアミドとポリエステルとを複合
紡出する際には、紡糸口金面の温度をポリマー組成およ
び組合わせに応じた適正温度に制御することが、高速引
取り時の曳糸性を良好にするために好ましい。例えば、
ポリエステルとして通常のポリエチレンテレフタレート
を使用する場合には、280〜295℃程度とすること
が好ましい。
【0026】本発明の織物は、外層部に存在する該ポリ
エステルフィラメントの数Mと該ポリアミドフィラメン
トの数N、内層部に存在する該ポリエステルフィラメン
トの数Xと該ポリアミドフィラメントの数Yが、N/M
≦(Y/X)×0.3を満足するものであり、換言すれ
ば、外層部がほとんどポリエステルフィラメントで占め
られ、内層部にポリアミドフィラメントが沈み込んだ構
造をしているものである。この条件を満たすことによ
り、実質的に酸性染料を用いずに染色することが可能と
なる。
【0027】すなわち、実質的に分散染料のみで染色さ
れた本発明に係る織物は、表面が均一に染色されてお
り、摩耗による白化現象が発生しにくい。染料として実
質的に分散染料のみが使用されるため、従来のようにポ
リエステルフィラメントを分散染料で染色し、ポリアミ
ドフィラメントを酸性染料で染色する場合に比べ、湿潤
堅牢度が著しく向上する。かかる観点から、N/Mは小
さいほど、摩耗による白化現象が発生しにくいので好ま
しく、好ましくはN/M≦(Y/X)×0.1であり、
さらに好ましくは、外層部にポリアミドフィラメントが
存在しない構造、すなわちN/M=0の場合である。N
/M>(Y/X)×0.3の場合には、分散染料で染色
された織物は摩耗によりポリアミドフィラメントが容易
に表面に現われ、白化現象として問題になる。
【0028】ここで、実質的に酸性染料で染色されてい
ないとは、ポリアミドフィラメントが酸性染料で全く染
色されていない場合のほか、1.0%owf以下の酸性
染料で染着されている場合も含むものである。ポリアミ
ドフィラメントに対する酸性染料の染着量は、小さいほ
ど湿潤堅牢度の面で好ましく、全く酸性染料で染色され
ていないのが特に好ましいが、酸性染料で染着されてい
る場合には、1.0%owf以下、さらには0.5%o
wf以下とするのが好ましい。
【0029】本発明に係るポリアミドフィラメントは、
1.0デニール以下の極細繊維であるため、分散染料に
よる汚染が起こりやすく、特に分散染料と酸性染料が併
用される場合には、分散染料による汚染を完全に防止す
ることが困難であり、湿潤堅牢度が不良になる傾向にあ
る。
【0030】本発明において、外層部に存在するポリエ
ステルフィラメントの数M、外層部に存在するポリアミ
ドフィラメントの数N、内層部に存在するポリエステル
フィラメントの数X、内層部に存在するポリアミドフィ
ラメントの数Yは、次のようにして求めた数をいう。
【0031】まず、ポリエステルフィラメントとポリア
ミドフィラメントの断面形状が異なり、顕微鏡で拡大し
て観察することにより識別可能な場合は、次のようにし
て求める。◎複合繊維の断面を垂直に切るように、カミ
ソリ刃等を用いて織物を切断する。次に、走査型電子顕
微鏡(例えば、日立製作所製S−2100A形走査型電
子顕微鏡)を使用して織物断面を写真撮影する。得られ
た織物断面写真(例えば、図8)を基にして、図9に示
すように織物表面の輪郭線a,bを描く。輪郭線aにつ
いて、ほぼ中央に直線lを引く。このlが織物の表面を
表わす。次に、lに垂直に任意に直線c,dを引く。
c,d間の距離をeとする。a,b,c,dで囲まれた
部分の面積をAとすると織物の厚さfはf=A/eで求
められる。lから距離fだけ離れた直線が織物の裏面を
表わす線1′である。l,l′からf/4ずつ内部に入
ったところに、l,l′と平行に直線m,m′を引く。
m,m′は、本発明でいう外層部と内層部の境界面に相
当する。
【0032】a,m,c,dで囲まれた部分とb,
m′,c,dで囲まれた部分が外層部であり、この部分
に存在するポリエステルフィラメントの数Mとポリアミ
ドフィラメントの数Nを数える。また、内層部は、m,
m′,c,dで囲まれた部分であり、この部分に存在す
るポリエステルフィラメントの数Xとポリアミドフィラ
メントの数Yを数える。ただし、M,N,X,Yの総和
が300未満の場合は、総和が300以上になるまで別
の断面箇所について同様な作業を繰り返し、M,N,
X,Yを求める。
【0033】ポリエステルフィラメントとポリアミドフ
ィラメントの断面形状が同一または似ているために識別
困難な場合には、次のようにして求める。
【0034】試料が未染色の場合、まず、試料を分散染
料Dianix Navy Blue ER−FS 3
%owfを使用し、pH6の酸性領域下で120℃で加
圧染色した後、苛性ソーダ、ハイドロサルファイト、非
イオン界面活性剤を用いて80℃の水中で還元洗浄し、
120℃で乾燥する。
【0035】まず、前述した方法と同様に、織物断面を
写真撮影し、外層に存在するポリエステルフィラメント
の数とポリアミドフィラメントの数の小計Pと、内層に
存在するポリエステルフィラメントの数とポリアミドフ
ィラメントの数の小計Qを求める。
【0036】PとQの総和が300未満の場合は、総和
が300以上になるまで別の断面箇所について同様な作
業を繰り返す。
【0037】次に、試料を濃度88wt%、20℃のギ
酸水溶液中に浸漬し、ポリアミド成分を完全に溶出除去
し、水洗、乾燥する。ポリアミド成分溶出後の試料を前
述した方法と同様に、同一拡大倍率で織物断面を写真撮
影し、図9のc,d間の距離eを同一にして外層に存在
するポリエステルフィラメントの数Mと内層に存在する
ポリエステルフィラメントの数Xを求める。ここで、作
業の繰返し回数は、PとQを求めた時と同一回数とす
る。
【0038】外層に存在するポリアミドフィラメントの
数NはN=P−M、内層に存在するポリアミドフィラメ
ントの数YはY=Q−Xで求められる。
【0039】本発明の織物に含まれる単繊維繊度0.5
デニール以下のポリエステルフィラメントと単繊維繊度
1.0デニール以下のポリアミドフィラメントを得る方
法としては、ポリエステル成分とポリアミド成分からな
る複合繊維を剥離する方法、各々のマルチフィラメント
を混繊する方法、同時に紡糸することによりポリエステ
ルフィラメントとポリアミドフィラメントからなるマル
チフィラメントを得る方法が挙げられるが、複合繊維を
剥離する方法が工業的に容易かつ安定して本発明の織物
を得ることができるので好ましい。
【0040】複合繊維を剥離する場合の複合繊維の構造
は、糸横断面において、ポリアミド成分相と、ポリエス
テル成分相が、それぞれ複合繊維の外層部を形成するか
または一方成分の相が他成分の相によってほぼ完全に包
囲された構造とするものである。具体的には、図1のよ
うなサイドバイサイド型、図2のようなサイドバイサイ
ド繰り返し型、図3のような中空部を有するサイドバイ
サイド繰り返し型、図4、図5のように連続して存在す
る一方成分によって他方成分が複数個に分割された型、
図6、図7のように少くとも一部が複合糸の外周部を形
成する相と他方成分によってほぼ完全に包囲された相が
混在する型などが挙げられる。
【0041】ここで、「ほぼ完全に包囲された」とは、
後に施される剥離処理によってポリエステル成分の相と
ポリアミド成分の相が完全に剥離されうる程度に包囲さ
れて両成分相が配置されていることをいう。
【0042】複合繊維の断面形状としては、特に、連続
して存在するポリアミド成分相によりポリエステル成分
相が複数個に分割されている断面形状が、本発明の織物
を得るのに好ましい。
【0043】ポリアミド成分とポリエステル成分の複合
比率は、熱アルカリ性水溶液中で処理する際の収縮応力
を一定以上に保ち、ポリアミドフィラメントを織物内部
に沈み込ませるのを容易とし、一方、風合いが粗硬にな
るのを防止する観点からポリアミド成分の断面積比を1
0〜70%とすることが好ましい。複合比率は得られる
織物製品に要求される腰張り、風合い等の特性や複合紡
糸口金構造等を勘案してこの範囲で決めると所望特性を
有する本発明の織物を得ることができる。
【0044】本発明の織物を得るための第一の方法にお
いては、上述した複合繊維を経糸および/または緯糸に
使用して製織する。複合繊維とともに他の繊維を混用し
ても良く、その場合の混用繊維は、ポリエステル繊維が
好ましい。特に、単繊維繊度1.5デニール以下、好ま
しくは1.0デニール以下のポリエステル繊維が適して
いる。
【0045】得られた織物は、まず、140〜220℃
で乾熱処理し、ポリエステル成分を熱固定するものであ
る。熱固定は、通常ピンまたはクリップ方式で織物の縦
横方向に緊張下で行われる。乾熱処理後の織物の巾は、
熱固定を効果的なものとし、一方、織物がペーパーライ
クになるのを防ぐ観点から、処理前に対して95〜11
5%とすることが好ましい。この熱処理を行わないと、
後に施される剥離処理または熱アルカリ性水溶液処理で
複合繊維またはポリエステルフィラメントが大きく収縮
してしまうため、ポリエステルフィラメントが織物表面
に浮いた構造を得ることができない。乾熱処理前または
乾熱処理後であって、剥離処理前に110℃以下で通常
の糊抜精練処理を行ってもよい。
【0046】乾熱処理された織物に含まれる複合繊維
は、110℃以下でポリエステルフィラメントとポリア
ミドフィラメントに剥離される。剥離処理は、物理的揉
みによる方法、溶解剤による方法(ポリエステルであれ
ばアルカリ水溶液処理、ポリアミドであれば酸水溶液処
理)、ベンジルアルコールまたはフェニルエチルアルコ
ール乳化水溶液等の膨潤剤による方法を単独または併用
して施すことが可能である。
【0047】この中で、アルカリ水溶液による剥離処理
は、ポリエステル布帛の減量処理として一般的に使用さ
れている処理と基本的に同じであり、剥離の確実性、安
定性に優れているので、特に好ましい。アルカリとして
は、例えば苛性ソーダ等のアルカリ金属の水酸化物ある
いは炭酸ソーダ等のアルカリ金属の弱酸塩等を用いるこ
とができる。また、このアルカリに、アルカリ分解促進
剤、例えば、ラウリルジメチルアンモニウムクロライド
などの第4アンモニウム塩やクロルベンゼン、アルキル
ナフタレン等のキャリヤ(繊維膨潤剤)を併用すること
もできる。剥離処理の温度条件は、短時間で処理し、一
方、後に施される120〜140℃のアルカリ性水溶液
処理で2種類の繊維間の収縮差を十分に確保する観点か
ら、20〜110℃とするのが好ましい。ポリエステル
成分の減量率は、ポリエステル成分とポリアミド成分の
界面が剥離される程度でよく、十分に剥離させ、一方、
繊維の引裂強力低下を防ぐ観点から、0.05〜30w
t%、さらには0.1〜5wt%が好ましい。
【0048】物理的揉みによる方法は、かなりの物理的
外力が必要であり、ベンジルアルコール等の膨潤剤によ
る方法は、使用薬剤の排水処理に注意が必要であるた
め、これらを単独で行なうのは工業上得策ではない。
【0049】なお、ベンジルアルコール乳化水溶液等の
膨潤剤で剥離処理した場合、ポリアミド成分が収縮する
ため、織物表面はほぼポリエステルフィラメントに覆わ
れた構造が形成される。
【0050】しかしながら、ポリアミドフィラメントと
ポリエステルフィラメントは、比較的剥離前の位置関係
を保っており、織物外層部には少なからずポリアミドフ
ィラメントが存在する。その理由は明確ではないが、複
合繊維のポリアミド成分とポリエステル成分の接着性が
意外に大きいため、ポリアミド成分が収縮する過程の初
期段階では、まだ十分に剥離が進行しないためと推定さ
れる。
【0051】いずれにしても、剥離処理を行った織物
は、未だ織物外層部にポリアミドフィラメントが多く存
在している。
【0052】複合繊維が剥離している様子は、剥離処理
後の織物断面を顕微鏡で適当な倍率に拡大して観察する
と、剥離して得られるフィラメントの特徴である不連続
なエッジ状の部分を有する断面のフィラメントが見出さ
れるか、または、完全に剥離していなくとも針先で適当
にしごくと容易に単繊維に分離されることなどから確認
することができる。
【0053】本発明の第一の方法においては、剥離処理
を行った織物について、織物外層部のほとんどがポリエ
ステルフィラメントで構成されるようにするために、さ
らに120〜140℃のアルカリ性水溶液中で処理する
ものである。本発明に用いるポリアミドフィラメントは
ポリエステルフィラメントに比べてはるかに大きな収縮
を示すため、かかる処理によりポリエステルフィラメン
トが選択的に織物外層部に浮き出て、本発明の織物を得
ることができるのである。アルカリ性水溶液の温度が1
20℃未満では、ポリエステルフィラメントとポリアミ
ドフィラメントの収縮に大きな差がないため、目的の構
造とすることができない。一方、アルカリ性水溶液の温
度が140℃より高いとポリアミドフィラメントが脆化
する恐れがある。
【0054】アルカリ性水溶液中のアルカリは、炭酸ソ
ーダ、アンモニア、苛性ソーダなどを用いることができ
るが、織物の地厚感や強力を保つためにはポリエステル
フィラメントが加水分解されにくい条件が好ましい。熱
アルカリ性水溶液の好ましいpHは8〜12である。水
溶液のpHが7以下の場合は、ポリアミドフィラメント
の収縮が十分でなく、脆化する恐れがあるため不適当で
ある。
【0055】また、本発明の第二の方法においては、織
物外層部のほとんどがポリエステルフィラメントで構成
されるようにするために、140〜220℃の乾熱処理
後、剥離処理することなく、直ちに120〜140℃の
アルカリ性水溶液中で処理するものである。
【0056】本発明に用いる特定のポリアミドフィラメ
ントが120〜140℃のアルカリ性水溶液中で極めて
大きな収縮を発現するにもかかわらず、脆化が起こり難
いという性質を利用して、乾熱処理と剥離処理を経た
後、剥離処理温度より10℃以上高い120℃以上のア
ルカリ性水溶液処理を行なうことにより、ポリアミドフ
ィラメントとポリエステルフィラメント間に大きな収縮
差を発現させることが、第一の方法、第二の方法に共通
する重要な点である。
【0057】熱アルカリ性水溶液中で処理した織物は、
分散染料を使って通常の方法により染色することができ
る。
【0058】分散染料としては、例えば、Disper
sol(アイ・シー・アイ・ジャパン(株))、Dia
nix(三菱化成(株))、Foron(サンド
(株))、Kayalon Polyester(日本
化薬(株))、Miketon Polyester
(三井東圧染料(株))、Samaron(ヘキストジ
ャパン(株))、Palanil(BASFジャパン
(株))、Sumikaron(住友化学工業
(株))、Terasil(日本チバガイギー(株))
等の冠称名染料が挙げられる。
【0059】染色温度は、染色性およびポリアミドフィ
ラメントの脆化防止の面から115〜130℃が好まし
い。染色後は、還元洗浄を十分に実施し、未固着染料や
ポリアミドフィラメントを汚染した染料を除去すること
が好ましい。
【0060】得られた染色布は、実質的に分散染料のみ
を使用し、還元洗浄がなされているため、従来のように
ポリエステルフィラメントとポリアミドフィラメントを
分散染料と酸性染料で染色する場合に比べて、湿潤堅牢
度がはるかに良好である。また、外層部にポリアミドフ
ィラメントがほとんど存在しないため、摩耗による白化
現象も発生しにくい。
【0061】ポリアミドフィラメントは、酸性染料で染
色しないことが最も好ましいが、ポリアミドフィラメン
トの重量に対して酸性染料1%owf以下、好ましくは
0.5%owf以下で染色してもよい。酸性染料の染着
率が1%owf以下より大きいと湿潤堅牢度が悪くな
る。
【0062】酸性染料としては、例えばAminyl,
Lanyl(住友化学工業(株))、Diacid(三
菱化成(株))、Kayanol(日本化薬(株))、
Mitsui Lanafast(三井東圧染料
(株))、Erionyl,Irgalan,Pola
r(日本チバガイギー(株))、Nylosan(サン
ド(株))、Telon(バイエルジャパン(株))等
の冠称名染料が挙げられる。堅牢度の面からは、Irg
alan、Lanafast,Lanyl等、金属錯塩
型の酸性染料が好ましい。
【0063】分散染料と酸性染料の2種の染料で染色す
る場合の染色方法としては、分散染料と酸性染料を併用
し115〜130℃位で同浴で染色・ソーピングする方
法と、分散染料で115〜130℃位で染色・還元洗浄
後、酸性染料で100℃以下で染色・ソーピングする方
法が可能である。いずれにしても、染色後、タンニン
酸、吐酒石や合成フィックス剤を使用してフィックス処
理することが堅牢度の上から好ましい。特に、分散染料
を2%owf以上使用する場合には、分散染料で115
〜130℃で染色、還元洗浄後、酸性染料で80℃以下
で染色、ソーピングする方法が湿潤堅牢度の面から好ま
しい。
【0064】ポリアミドフィラメントの染着率は、次の
方法で求めるものである。◎染色された織物を一定量
(1.0g)秤量し、20℃のギ酸88%溶液30ml
中に5分間浸漬し、ポリアミドとその中に染着された染
料を溶解し、比色計(日立製作所(株)製、U−340
0 Spectro Photometer)により最
大吸収波長での吸光度を測定する。また、染色前の織物
を一定量(1.0g)秤量し、20℃のギ酸88%溶液
30ml中に、所定量(0.5mg、1.0mg、2.0m
g)の染料とともに溶解させ、比色計により吸光度を求
め、この染料の場合の吸光度と染着率との関係を検量線
として作図する。この検量線により、上述の実染着での
ポリアミドの吸光度の値から染着量の値を求める。
【0065】アルカリ性の熱水浴中で処理された織物の
構造は、染色後もほとんど変わることがなく、良好な風
合いと触感が保たれる。なお、熱水浴処理後または染色
後の乾燥は、良好な風合いと感触を保つため、できるだ
け低張力下で行うことが好ましい。
【0066】本発明の織物は、染色後、仕上加工剤、例
えば撥水剤、柔軟剤、難燃剤、抗菌防臭加工剤などで処
理を行ってもよい。特に、本発明の織物は、極細繊維を
含むため撥水加工処理を行うと良好な撥水性能が得られ
やすい。撥水加工剤としては例えば、パーフルオロアル
キルアクリレート等の弗素系撥水剤やシリコン系撥水剤
があるが、特に弗素系撥水剤が好ましい。付与量は織物
重量に対して固形分で0.1〜5wt%程度が適当であ
る。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。◎ (実施例1〜3、比較例1〜4)ε−カプロラクタム、
ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート(66塩)、
ヘキサメチレンジアンモニウムイソフタレート(6I
塩)のうちの1種以上を用いて通常の方法で重合するこ
とにより、7種の、共重合ポリアミドあるいは単独ポリ
アミドを製造した。得られたポリアミドの共重合比、硫
酸相対粘度および融点は、表1に示すとおりであった。
【0068】得られたポリアミドチップは、常法により
乾燥し、チップ水分を0.05wt%として溶融紡糸に
供した。
【0069】また、ポリエステルとしては、IV(オル
ソクロロフェノール溶液での極限粘度)が0.63のポ
リエチレンテレフタレート(PET)を用い、そのチッ
プを常法により160℃、6時間減圧乾燥した後に溶融
紡糸に供した。
【0070】上記両ポリマを別々に290℃で溶融した
後、ギヤポンプを介して通常の分割型複合紡糸装置に供
し、ポリアミド成分によりポリエステル成分が放射状に
8分割される図1に示す複合構造および70/30のポ
リエステル/ポリアミド複合割合を有する複合繊維にし
て円形吐出孔から紡出した。紡出後、通常の方法で、冷
却、給油、交絡処理した後、引取りローラにより300
0m/分で引取り、続いて140℃の加熱延伸ローラと
の間で、1.67倍に延伸し、0.14g/dの巻取張
力で巻き取った。
【0071】得られた複合繊維糸(50デニール、18
フィラメント)は、表1に示す特性を有していた。
【0072】
【表1】 得られた複合糸をタテ糸、75D−96filのポリエ
ステル糸をヨコ糸に使用して、タテ密度212本/イン
チ、ヨコ密度110本/インチの2/1組織のツイル生
地を製織した。
【0073】得られた織物を90℃の水中で非イオン界
面活性剤および炭酸ソーダによる通常の精練を行ない、
120℃で乾燥後、180℃で乾熱処理し、次いで、苛
性ソーダ1wt%水溶液中で80℃,40分処理するこ
とにより複合糸を剥離した(剥離処理によるポリエステ
ル成分の減量率は2.1wt%)。さらに、炭酸ソーダ
を2g/l添加したpH11の熱水浴中で125℃,3
0分処理した。熱水浴中で処理された織物を分散染料D
ianix Navy Blue ER−FS3%ow
fを使用し、pH6の酸性領域下で120℃で加圧染色
した後、苛性ソーダ、ハイドロサルファイト、非イオン
界面活性剤を含む80℃の水中で還元洗浄、120℃で
乾燥した。得られた染色布の断面をSEMで写真撮影
し、タテ糸中の単繊維の分布を解析した。
【0074】また、染色布の摩耗変色を評価するため、
JIS L1096D法に従って染色布を処理(ただ
し、処理時間は30秒)し、白化現象の程度を肉眼観察
した。染色布の洗濯堅牢度はJIS L0844A法
(A−2号)に従って評価した。
【0075】評価結果を表2(実施例1〜3)、表3
(比較例1〜4)に示す。◎複合糸No.1〜3を使用
したものは、織物外層部にポリエステルフィラメントが
偏在した断面構造をしており、摩耗変色(白化現象)
は、ほとんど見られなかった。織物表面の触感も非常に
良好であった。複合糸No.4〜7を使用したものは、
摩耗変色が大きく、織物表面の触感も複合糸No.1〜
3を使用したものに比べて劣っていた。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】 (実施例4)乾熱処理を150℃とした以外は実施例2
と全く同じ処理を施し、染色布を作製した。得られた織
物は、摩耗変色がほとんど見られず、触感も良好であっ
た。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例5)剥離処理条件を苛性ソーダ2wt%水溶
液、100℃,40分(剥離処理によるポリエステル成
分の減量率は10.8wt%)とした以外は実施例2と
全く同じ処理を施し、染色布を作製した。得られた織物
は、摩耗変色がほとんど見られず、触感も良好であっ
た。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例6)実施例2において精練した織物に、苛性ソ
ーダによる剥離処理の代わりにベンジルアルコール乳化
液による剥離処理を行った。すなわち、乾熱処理を施し
た織物をベンジルアルコール15wt%、サンモール
(日華化学工業(株)製)1.5wt%の乳化液に浸漬
し、60℃,20分処理することにより剥離した。剥離
処理した織物を十分に洗浄した後、炭酸ソーダを2g/
l添加したpH11の熱水浴中で125℃×30分処理
し、次いで分散染料Dianix Navy Blue
ER−FS 3%owfを使用し、pH6の酸性領域
下で120℃で加圧染色し、還元洗浄、乾燥した。
【0078】得られた織物は、摩耗変色がほとんど見ら
れず、触感も良好であった。評価結果を表2に併せて示
す。 (実施例7)アルカリ性熱水浴中の添加剤を炭酸ソーダ
0.5g/l(pH9)とした以外は実施例2と全く同
じ処理を施した染色布を作製した。得られた織物は、摩
耗変色がほとんど見られず、触感も良好であった。評価
結果を表2に併せて示す。 (実施例8)アルカリ性熱水浴中の添加剤をアンモニア
水0.12g/l(pH8)とした以外は実施例2と全
く同じ処理を施した染色布を作製した。得られた織物
は、摩耗変色がほとんど見られず、触感も良好であっ
た。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例9)アルカリ性熱水浴中の添加剤を苛性ソーダ
0.15g/l(pH10)とした以外は実施例2と全
く同じ処理を施した染色布を作製した。得られた織物
は、摩耗変色がほとんど見られず、触感も良好であっ
た。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例10)アルカリ性熱水浴の温度を130℃とし
た以外は実施例2と全く同じ処理を施した染色布を作製
した。得られた織物は、摩耗変色がほとんど見られず、
触感も良好であった。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例11)実施例2で得られた染色布に、さらに酸
性染料Nylosan Blue N−GFL(サンド
(株)製)をポリアミド繊維の重量対比0.5%使用
し、pH6の酸性領域下で80℃で染色後、サンライフ
TA−50K(日華化学工業(株)製)3%owfを使
用し、pH6の酸性領域下で80℃でフィックス処理し
た。ソーピング、湯洗、乾燥して得られた織物は、摩耗
変色がほとんど見られず、洗濯堅牢度試験での色落ちも
比較的良好であった。評価結果を表2に併せて示す。 (実施例12)実施例2で使用したポリアミドチップを
常法により乾燥し、チップ水分を0.05wt%として
紡糸温度275℃で円形吐出孔から紡出した。800m
/分で引取り、次いで延伸倍率3.5で冷延伸し、70
デニール、98フィラメントのポリアミド糸条を得た。
【0079】一方、実施例2で使用したポリエチレンテ
レフタレートのチップを常法により160℃で6時間減
圧乾燥し、紡糸温度285℃で円形吐出孔から紡出し
た。1500m/分で引取り、次いで85℃,倍率2.
7で延伸し、120℃で熱処理し、60デニール、14
4フィラメントのポリエステル糸条を得た。
【0080】このようにして得たポリアミド糸条1本と
ポリエステル糸条2本を引揃えて1本とした混繊糸条を
経糸に、75デニール、96フィラメントのポリエステ
ル糸条を緯糸に用い、経密度60本/インチ、緯密度1
10本/インチの2/1組織のツイル織物を製織した。
【0081】このようにして得た織物に、剥離処理を省
略する以外は実施例2と全く同様しして染色布を作製し
た。
【0082】最終的に得られた染色布は磨耗変色がほと
んど見られず、触感も良好であった。評価結果を表2に
併せて示す。 (比較例5)乾熱処理を省略した以外は実施例2と全く
同じ処理を施し、染色布を作製した。摩耗変色が大き
く、実施例2で得られた織物に比べ、触感に劣ってい
た。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例6)剥離処理条件を苛性ソーダ0.8wt%水
溶液、120℃,40分(剥離処理によるポリエステル
成分の減量率は12.3wt%)とした以外は実施例2
と全く同じ処理を施し、染色布を作製した。摩耗変色が
大きく、実施例2で得られた織物に比べ、触感に劣って
いた。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例7)アルカリ性熱水浴処理を省略した以外は実
施例2と全く同じ処理を施した染色布を作製した。摩耗
変色が大きく、実施例2で得られた織物に比べ、触感に
劣っていた。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例8)アルカリ性熱水浴の温度を115℃とした
以外は実施例2と全く同じ処理を施し、染色布を作製し
た。摩耗変色が大きく、実施例2で得られた織物に比
べ、触感に劣っていた。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例9)アルカリ性熱水浴処理に代え、125℃の
熱水浴(pH7)で30分処理した以外は実施例2と全
く同じ処理を施し、染色布を作製した。摩耗変色が大き
く、実施例2で得られた織物に比べ、触感に劣ってい
た。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例10)アルカリ性熱水浴処理に代え、125℃
の酢酸1g/l水溶液(pH6)で30分処理した以外
は実施例2と全く同じ処理を施し、染色布を作製した。
摩耗変色が大きく、実施例2で得られた織物に比べ、触
感に劣っていた。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例11)実施例6で剥離処理した織物を十分に洗
浄した後、分散染料Dianix Navy Blue
ER−FS 3%owfを使用し、pH6の酸性領域
下で120℃で加圧染色、還元洗浄、乾燥して染色布を
作製した。摩耗変色が大きく、実施例6で得られた織物
に比べ、触感に劣っていた。評価結果を表3に併せて示
す。 (比較例12)アルカリ性熱水浴の温度を145℃とし
た以外は実施例2と同様に処理したところ、ポリアミド
フィラメントが脆化脱落してしまい、触感が非常に劣っ
たものになった。評価結果を表3に併せて示す。 (比較例13)実施例2で得られた染色布を、さらに酸
性染料Nylosan Blue N−GFL(サンド
(株)製)をポリアミドフィラメントの重量対比1.5
%使用し、pH6の酸性領域下で80℃で染色後、サン
ライフTA−50K(日華化学工業(株)製)3%ow
fを使用し、pH6の酸性領域下で80℃でフィックス
処理した。ソーピング、湯洗、乾燥して得られた織物
は、洗濯堅牢度が劣っていた。評価結果を表3に併せて
示す。 (比較例14)熱アルカリ水溶液処理に代え、125℃
の酢酸1g/l水溶液(pH6)で30分処理した以外
は、実施例12と全く同様にして染色布を得た。
【0083】最終的に得られた染色布は磨耗変色が大き
く、実施例12で得た織物に比べ触感も劣っていた。評
価結果を表3に併せて示す。
【0084】
【発明の効果】本発明の織物は、外層部にポリエステル
フィラメントが浮き出て、内層部にポリアミドフィラメ
ントが沈んだ構造を有しているため、実用上、分散染料
で染色するだけで均一な染色布が得られ、しかも摩耗に
よる白化現象も起こりにくい。
【0085】ポリエステル極細フィラメントとポリアミ
ドフィラメントを含み、単繊維間隙の大きい嵩高な構造
となっているため、風合いも柔軟で地厚感が大きい。ま
た、ポリアミドフィラメント独特のヌメリ感を有し、繊
維表面には、ポリエステル極細繊維が浮き出た構造にな
っているため、起毛処理していないにもかかわらず、あ
たかも起毛してあるかのような良好な感触を有してい
る。このため、コート、ブルゾン、スキーウェア、ウイ
ンドブレーカー、防寒衣、ダウンジャケットなどの衣料
用途やバッグ、敷物、カバー地など建寝装用途に好適で
ある。
【0086】さらに、眼鏡レンズ表面に付着している汚
れなどを拭い取るのにも適しており、良好なワイピング
性能を示す。水保持性も良好なため、水拭き用ワイピン
グクロスとしても好適である。
【0087】本発明の製造方法においては、製織後に複
合糸の剥離、新規な構造の発現がなされているため、紡
糸、延伸、製織工程の通過性が良好である。本発明に係
る乾熱処理工程、剥離処理工程、熱水浴処理工程におい
ても、安定的に効率良く生産することができ、有用性が
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図2】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図3】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図4】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図5】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図6】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図7】本発明に用いる分割型複合糸の横断面の一例を
示した模式図である。
【図8】本発明に係る織物の横断面の電子顕微鏡写真で
あり、剥離して得られた0.2デニールのポリエステル
フィラメントが外層に浮き出て、0.8デニールのポリ
アミドフィラメントが内層に沈み込んだ構造になってい
る様子がわかる。
【図9】図8の断面写真から断面の輪郭を模写した図で
ある。
【符号の説明】
1:一方成分 2:他方成分
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】近年、ポリエステル成分とポリアミド成
分からなる剥離型複合繊維を使用することにより、柔軟
な風合いと良好な感触を有する布帛が得られることが提
案されている。例えば、特公昭53−35633号公報
に示されるように、ポリエステルとポリアミドからなる
剥離型複合繊維を用いた布帛をベンジルアルコールまた
はフェニルエチルアルコール乳化水溶液でフィブリル化
することにより、柔軟な風合いを得たり、特公昭62−
47981号公報に示されるように、ポリエステルとポ
リアミドからなる剥離型複合繊維を用いた布帛を苛性ソ
ーダでフィブリル化することにより良好な風合いと感触
を得る方法が知られている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】酸性染料としては、例えばAminyl,
Lanyl(住友化学工業(株))、Diacid(三
菱化成(株))、Kayanol(日本化薬(株))、
Mitsui,Lanafast(三井東圧染料
(株))、Erionyl,Irgalan,Pola
r(日本チバガイギー(株))、Nylosan(サン
ド(株))、Telon(バイエルジャパン(株))等
の冠称名染料が挙げられる。堅牢度の面からは、Irg
alan、Lanafast,Lanyl等、金属錯塩
型の酸性染料が好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】上記両ポリマを別々に290℃で溶融した
後、ギヤポンプを介して通常の分割型複合紡糸装置に供
し、ポリアミド成分によりポリエステル成分が放射状に
8分割される図5に示す複合構造および70/30のポ
リエステル/ポリアミド複合割合を有する複合繊維にし
て円形吐出孔から紡出した。紡出後、通常の方法で、冷
却、給油、交絡処理した後、引取りローラにより300
0m/分で引取り、続いて140℃の加熱延伸ローラと
の間で、1.67倍に延伸し、0.14g/dの巻取張
力で巻き取った。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正内容】
【0072】
【表1】 得られた複合糸をタテ糸、75D−96filのポリエ
ステル糸をヨコ糸に使用して、タテ密度212本/イン
チ、ヨコ密度110本/インチの2/1組織のツイル生
地を製織した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 N D06M 11/38 D06P 3/82 H 7306−4H // D01F 6/60 321 E 7199−3B C 7199−3B D06M 101:32 101:34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維繊度0.5デニール以下のポリエス
    テルフィラメントと単繊維繊度1.0デニール以下のポ
    リアミドフィラメントからなる混繊糸条を緯糸および/
    または経糸とする織物において、ポリアミドフィラメン
    トがナイロン6またはナイロン66成分を70〜95%
    含み融点が185℃以上の共重合ポリアミドであって、
    織物外層部に存在するポリエステルフィラメントの数M
    とポリアミドフィラメントの数N、織物内層部に存在す
    るポリエステルフィラメントの数Xとポリアミドフィラ
    メントの数Yが、N/M≦(Y/X)×0.3の関係を
    満足することを特徴とする織物。
  2. 【請求項2】ポリアミドフィラメントが実質的に酸性染
    料で染着されていないことを特徴とする請求項1記載の
    織物。
  3. 【請求項3】ポリエステルフィラメントとポリアミドフ
    ィラメントが複合糸を剥離して得られたものであること
    を特徴とする請求項1記載の織物。
  4. 【請求項4】ポリエステル成分相とナイロン6またはナ
    イロン66成分を70〜95%含み融点が185℃以上
    の共重合ポリアミド成分相からなる剥離型複合繊維であ
    って、それぞれの成分相が該剥離型複合繊維の外周部を
    形成するかまたは一方成分の相が他方成分の相によって
    ほぼ完全に包囲されているものを、緯糸および/または
    経糸として製織し、140〜220℃で乾熱処理後、1
    10℃以下で該複合繊維のポリエステル成分相と共重合
    ポリアミド成分相の界面を剥離し、さらに120〜14
    0℃のアルカリ性水溶液中で処理することを特徴とする
    織物の製造方法。
  5. 【請求項5】単繊維繊度0.5デニール以下のポリエス
    テルフィラメントと単繊維繊度1.0デニール以下のナ
    イロン6またはナイロン66成分を70〜95%含み融
    点が185℃以上の共重合ポリアミドフィラメントから
    なる混繊糸条を緯糸および/または経糸として製織し、
    140〜220℃で乾熱処理後、120〜140℃のア
    ルカリ性水溶液中で処理することを特徴とする織物の製
    造方法。
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