JPH05239528A - 大入熱溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法 - Google Patents

大入熱溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法

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JPH05239528A
JPH05239528A JP4275492A JP4275492A JPH05239528A JP H05239528 A JPH05239528 A JP H05239528A JP 4275492 A JP4275492 A JP 4275492A JP 4275492 A JP4275492 A JP 4275492A JP H05239528 A JPH05239528 A JP H05239528A
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JP
Japan
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toughness
steel material
steel
haz
affected zone
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Pending
Application number
JP4275492A
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English (en)
Inventor
Akira Ito
昭 伊藤
Hideki Yanagi
英樹 柳
Hiroshi Takezawa
博 竹澤
Takeshi Yoneda
剛 米田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大入熱溶接の溶接熱影響部において、靭性の
優れた鋼材の製造方法を得る。 【構成】 Al量が一定以下の溶鋼をTiで脱酸した後
にAlを添加し、C,Si,Mn,P,N及びBを特定
量とした溶鋼を鋳造後圧延することにより析出物を増加
させ、大入熱溶接熱影響部の組織を微細化することによ
り靭性を向上させる。 【効果】 大入熱溶接の溶接熱影響部において、−60
℃でのシャルピー衝撃試験において50J以上の優れた
靭性を示す鋼板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大入熱溶接を適用した
溶接熱影響部(以下HAZと称す)の靭性に優れた低温
用鋼材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、海洋構造物、船舶、貯蔵タンク等
の大型構造物に使用される溶接構造用鋼の材質特性に対
する要望は厳しさを増しており、破壊がもたらす被害の
大きさ及び社会不安の大きさから、鋼材自身の靭性と同
時に、HAZの靭性への要求も厳しさを増している。例
えば、−50℃の液化ガスを貯蔵するタンク用鋼材に対
するHAZの靭性の要求値として、−60℃におけるシ
ャルピー試験において測定される吸収エネルギーが50
J以上であることが求められつつある。また北極海で使
用される海洋構造物や砕氷船等でも、−60℃での使用
環境での靭性保証が要求されつつある。
【0003】さらにそのような構造物を建造する際、溶
接の効率化を促進するため、フラックス−銅バッキング
溶接に代表される片面1パス溶接法のような大入熱溶接
法の適用が希望されている。これを受け、大入熱溶接時
の鋼材のHAZ靭性に注目した提案は従来から数多くあ
る。例えば、特開昭58−110658号公報等に開示
されるように、S,N,B,Tiの含有量を一定範囲に
規定し、HAZの靭性を向上させる方法がある。この方
法は、固溶Nによる靭性低下を抑制し、さらにHAZの
粗大オーステナイト粒内に、MnSを核としてB系の析
出物を析出させ、これらの析出物を核としてフェライト
を生成させることにより靭性を向上させる方法であり、
1400℃以下の温度となるHAZ領域では、非常に良
好な大入熱溶接HAZ靭性が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、溶接金属との
境界(溶接ボンド部と称する)近傍の溶接熱影響部は、
1400℃以上の高温にさらされる。従って溶接ボンド
部近傍では、MnSの析出核となるTiNが固溶してし
まい、溶接後の冷却中に再析出するがその数は少ない。
そのため溶接ボンド部近傍は、所定の効果が得られにく
く、靭性が低下しやすい。そこで本発明はこれらの現状
を踏まえ、TiN−MnS−B系の析出物を用いた成分
系において、溶接ボンド近傍の組織を改善し、前記の大
型溶接構造物のHAZで要求されている靭性を安定して
満足させる低温用鋼材の製造方法を提供することを課題
とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために、Al量が0.003%以下の溶鋼中に最
終含有量が0.005〜0.020%となるTiを添加
して脱酸した後、最終含有量として0.010〜0.0
60%となるAlを添加し、その他の成分組成が重量%
で、C:0.03〜0.15%、Si:≦0.50%、
Mn:0.5〜1.80%、P:≦0.020%、S:
0.0010〜0.0050%、N:0.0020〜
0.0060%、B:0.0005〜0.0020%を
含有する溶鋼を鋳造後圧延することを特徴とする大入熱
溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法を第1
の手段とし、Al量が0.003%以下の溶鋼中に最終
含有量が0.005〜0.020%となるTiを添加し
て脱酸した後、最終含有量として0.010〜0.06
0%となるAlを添加し、その他の成分組成が重量%
で、C:0.03〜0.15%、Si:≦0.50%、
Mn:0.5〜1.80%、P:≦0.020%、S:
0.0010〜0.0050%、N:0.0020〜
0.0060%、B:0.0005〜0.0020%を
基本成分とし、さらにCu:≦1.0%、Ni:≦1.
0%、Nb:≦0.030%、V:≦0.1%、Cr:
≦0.6%、Mo:≦0.6%の1種または2種以上を
含有する溶鋼を鋳造後圧延することを特徴とする大入熱
溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法を第2
の手段とする。
【0006】本発明において、Al,Ti,C,Si,
Mn,P,S,Cu,Ni,Nb,V,Nの限定量とそ
の理由を以下に述べる。Alは、溶鋼中に存在すると溶
存酸素と結合して、溶鋼中の溶存酸素量を下げる。従っ
てAlが多量に存在するとTi脱酸時にTi酸化物を得
ることができないため、Ti添加時はAlの含有量を
0.003%以下とする。またTiで脱酸した後は、T
i酸化物を還元させないために、Alの含有量を0.0
10〜0.060%とする。
【0007】Tiは、Ti酸化物及びTi窒化物の生成
を目的として添加するため0.005%を下限とし、添
加量が多すぎると炭化物(TiC)を生成して靭性を低
下させるため、0.020%を上限とした。
【0008】Cは、強度を得るために重要であることか
ら下限を0.03%とし、鋼材の溶接性のためには低い
ことが望ましいことから0.15%を上限とした。Si
は、溶鋼の予備脱酸のために添加しているが、HAZの
硬化により靭性が低下するのを防止するために0.5%
を上限とした。Mnは、鋼材の強度を向上する成分とし
て0.5%以上の添加が必要であり、過剰な含有量では
硬化等の原因によりHAZの靭性が低下するため、1.
8%を上限とした。Pは、含有量が少ないほど望ましい
が、これを工業的に低下させるためには多大なコストが
かかることから、0.020%を上限とした。Sは、後
述のようにフェライト変態の核となるB析出物の生成核
となるMnSを形成させるため0.0010%を下限と
し、含有量が多くなると鋼材の異方性や靭性が低下する
ため、0.0050%を上限とした。Nは、後述のよう
にTiN析出物及びB析出物の生成に必要であることか
ら0.0020%を下限とし、固溶Nの増加はHAZ靭
性の低下を招くことから0.0060%を上限とした。
【0009】Cuは、鋼材の強度を向上させるために有
効であるが、1.0%を超えるとHAZ靭性を低下させ
ることから、1.0%を上限とした。Niは、鋼材の強
度及び靭性を向上させるために有効であるが、1.0%
を超えるとHAZ靭性を低下させることから、1.0%
を上限とした。Nbは、焼入れ性を向上させることによ
り母材の強度及び靭性を向上させるために非常に有効な
元素であるが、HAZ部においては過剰な添加は靭性を
著しく低下させるため、0.030%を上限とした。
【0010】V,Cr,MoについてもNbと同様な効
果を有することから、それぞれ0.10%,0.60
%,0.60%を上限とした。また鋼材の圧延方法にお
いては、当該分野において従来から適用されている方法
を用いてもHAZ靭性に関しては何ら影響を及ぼさない
ため、従来の方法を適用できる。
【0011】
【作用】本発明は前記従来技術が有する課題を解消する
ために、下記の観察結果及び仮説を基に実験を行った結
果得られた知見を基に構成されたものである。 〈溶接ボンド付近での観察結果〉 B(ホウ素)系析出物(BN析出物及びFex (C
B)y 析出物)を最外殻に有する複合析出物は、フェラ
イト変態核となる。 B系析出物内には、MnS及びTiNが観察される。 TiN中にも、微細なものが観察されることがある。
しかし、この析出物は微細すぎるため、成分の特定がで
きない。 〈析出物に関する仮説〉 TiN中の微細なものは酸化物であり、TiNはこの
微細な酸化物を核にして生成する。 上記の微細な酸化物は溶接ボンド部近傍でも溶解せ
ず、溶接後の冷却中にTiNの析出核となり、TiNは
その後のMnS及びB系析出物の生成核となる。 上記の結果として、溶接ボンド部近傍の組織が微細化
し、靭性が向上する。そこで本発明者らは、脱酸条件を
検討することによって析出物量を変化させることができ
るとの思想に基づき種々の脱酸実験を行った。その結
果、図1に示すように、Tiで脱酸した後にAlを添加
した場合に、Al脱酸後にTiを添加する従来工程に比
べて、溶接ボンド部近傍の析出物の数を著しく増加させ
ることができることを見いだした。
【0012】これらの析出物は、溶接前の鋼材ではTi
Nが主体、溶接ボンド部近傍ではTiN+MnS+B系
の析出物が主体であり、図2に示すようにフェライト変
態の核となって組織を微細化する。またTiN中及びT
iN+MnS+B系析出物中には核らしきものが観察さ
れた。この核らしきものは非常に微細であったため成分
の特定はできていないが、Ti−Al系の複合酸化物で
あると推定している。
【0013】これらの析出物の効果により、上記鋼材の
溶接ボンド部近傍の組織は微細な組織となり、靭性も良
好となる。本発明は、以上の知見に基づく新しい作用の
適用によりなされたもので、これにより本発明の課題を
達成したのである。
【0014】
【実施例】表1に、本発明鋼及び比較鋼の成分及び大入
熱溶接でのHAZの靭性を示す。
【表1】
【0015】本発明例のA,D,F,G,H,I,J
は、何れも−60℃で50J以上の優れた特性を示し
た。一方、比較例のB,C,Eは、何れも−60℃で5
0J未満の低い靭性しか示さなかった。
【0016】
【発明の効果】本発明は、大入熱溶接法を適用した、海
洋構造物、船舶、貯蔵タンク等の大型溶接構造物の破壊
に対する厳しい靭性要求を満足する鋼板を供給するもの
であり、この種の産業分野にもたらす効果は極めて大き
く、さらに構造物の安全性の意味から社会に対する貢献
も非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼及び従来鋼の溶接ボンド近傍のTiN
+MnS+B系析出物の数の図表である。
【図2】本発明鋼の析出物の電子顕微鏡により撮影した
標式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 剛 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al量が0.003%以下の溶鋼中に最
    終含有量が0.005〜0.020%となるTiを添加
    して脱酸した後、最終含有量として0.010〜0.0
    60%となるAlを添加し、その他の成分組成が重量%
    で、 C :0.03〜0.15% Si:≦0.5
    0% Mn:0.5〜1.80% P :≦0.0
    20% S :0.0010〜0.0050% N :0.00
    20〜0.0060% B :0.0005〜0.0020% を含有する溶鋼を鋳造後圧延することを特徴とする大入
    熱溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法。
  2. 【請求項2】 Cu:≦1.0% Ni:≦1.0% Nb:≦0.030% V :≦0.1% Cr:≦0.6% Mo:≦0.6% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1記載の大入熱溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材
    の製造方法。
JP4275492A 1992-02-28 1992-02-28 大入熱溶接熱影響部靭性の優れた低温用鋼材の製造方法 Pending JPH05239528A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150057998A (ko) 2013-11-19 2015-05-28 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 강판

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150057998A (ko) 2013-11-19 2015-05-28 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 강판

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