JP3882701B2 - 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法 - Google Patents

低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3882701B2
JP3882701B2 JP2002201400A JP2002201400A JP3882701B2 JP 3882701 B2 JP3882701 B2 JP 3882701B2 JP 2002201400 A JP2002201400 A JP 2002201400A JP 2002201400 A JP2002201400 A JP 2002201400A JP 3882701 B2 JP3882701 B2 JP 3882701B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toughness
steel
haz
amount
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002201400A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003089814A (ja
Inventor
聡 伊木
博幸 ▲角▼
善明 村上
敏文 小嶋
伸一 鈴木
龍至 平井
穣 松田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2002201400A priority Critical patent/JP3882701B2/ja
Publication of JP2003089814A publication Critical patent/JP2003089814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3882701B2 publication Critical patent/JP3882701B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海洋構造物、圧力容器、船舶、橋梁、建築及びラインパイプ等の大型溶接構造物に用いられる高張力鋼に関し、特に低温での大入熱HAZ靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、海洋構造物、圧力容器、船舶などの鋼構造物は大型化し、使用鋼材は高張力化かつ厚肉化の傾向にある。厚肉材の場合、仮付け溶接等の小入熱溶接時の低温割れや、作業能率を向上させるためのエレクトロガス溶接(EGW),サブマージアーク溶接(SAW)等の大入熱溶接による低温靭性の低下が問題とされる場合がある。
【0003】
そのため、厚肉材の製造においては、小入熱溶接時の低温割れ防止のため、低Ceq化、低Pcm化するとともに、大入熱溶接HAZ部の靭性劣化を防止する成分設計が通常行われている。
【0004】
しかし、最近では構造物によって、−40℃での低温靭性が要求される場合も見受けられるなど、従来より遥かに成分設計の困難度はましている。
【0005】
大入熱溶接HAZ靭性改善方法として、種々の提案がされており、例えば、特公昭55−26164号公報は、微細なTiNを析出させγ結晶粒の粗大化を抑制することを、特許第2950076号公報は、多量の微細なAl23析出物によりオーステナイトの粗大化を抑制する方法を提案している。
【0006】
そして、特開昭61−79745号公報は、Ti酸化物粒子を核生成サイトとして粒内フェライトを生成させて組織を微細化し、HAZ靭性を改善する方法を、特開平5−287374号公報は、Ca酸化物やCaオキシサルファイドを核として粒内アシキュラーフェライトを生成させ、組織を微細化する方法を提案している。
【0007】
また、特開平9−20955号公報では、N量をTi及びB量に応じて調整し、TiN,BNによりボンド部の靭性を改善する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、特公昭55−26164号公報記載の方法では、1400℃前後となるボンド部で、TiNの大部分が溶解するため、組織が粗大化し、ボンド部靭性は改善されない。
【0009】
また、特許第2950076号公報記載の方法でも、高温で長期に保持された場合は、Al23によってもオーステナイト粒径の粗大化を抑制することは困難である。
【0010】
特開昭61−79745号公報記載の方法では、Ti酸化物を鋼中に微細に分散するために強脱酸元素のAlは0.007%以下と極端に少ない特殊な成分であり、溶解での鋼種編成が複雑となる。
【0011】
同様に、特開平5−287374号公報記載の方法は、Ca酸化物を安定に確保するため、Oを0.0040%以下に、強脱酸元素であるAlを0.007%以下に制限するもので、脱酸方法、成分元素の添加などで精密な制御が必要で、更に溶接材料によっては溶接金属部の靭性が低下する問題も懸念される。
【0012】
特開平9−20955号公報記載の方法では、N量をTiあるいはB窒化物として固定される量以上添加するため、加熱温度が1000〜1200℃となるHAZが固溶Nにより脆化する。
【0013】
特許第2931065号公報は、溶接熱影響部におけるTiNが、入熱量500kJ/cm〜1000kJ/cmという超大入熱で高温に長時間曝される状態においても溶解しない寸法、および微細化に必要な個数が得られるよう製造条件を規定し、更に、BNとの相乗効果により溶接ボンド部を含むHAZ全域での低温靭性を改善することを提案している。
【0014】
しかし、粗大なTiNが、母材や入熱が低下した場合のHAZに残存し、鋼材の清浄性を低下させることが懸念され、また、最近、特に大型化の著しいコンテナ船用として多量の鋼板を製造する場合、鋳片の冷却速度を5℃/分以下とすることは生産性の観点から好ましくない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在、生産性を損なうことなく、大入熱溶接のHAZ全域で優れた低温靭性が得られる鋼板製造技術は十分確立されているとは言い難く、特に、構造物の局所脆化をもたらし安全性低下をさせるため好ましくないとされるシャルピー衝撃値変動幅を十分小さくする技術は提供されていない。
【0016】
本発明は、生産性に優れ、大入熱溶接(400kJ/cm以上)のHAZ全域(Bond,Bond+1mm、3mm、5mm)での靭性が、−40℃でのシャルピー衝撃値(vE−40)として個々の試験片で、100J以上となる、板厚70mmまでの厚肉で降伏強度390N/mm2級の高強度を有する溶接構造用鋼の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、先行技術を基に、超大入熱溶接HAZ靭性に及ぼす成分組成の影響について検討を行った。
【0018】
その結果、特許第2931065号は、上述したように超大入熱溶接特有の長い高温滞留時間でも溶解消滅しない粗大TiNを生成させること、およびHAZにおいて固定されない過剰なNによりHAZ靭性が劣化するのを防止するためN量をTi,B量との関係において規定することを特徴とするものであるが、その規定されているTi量の範囲内において、鋼板の表面性状や清浄性を考慮してTi添加量を低く抑えた場合、靭性を改善するBの効果は必ずしも安定して得られず、特に−40℃のように従来経験されなかった低温の場合では、むしろその焼入れ性向上効果によるものと推測される靭性値の変動が切欠位置によっては観察され、優れた技術ではあるものの、いっそうの靭性改善が必要であることが判明した。
【0019】
そこで、本発明者等は、鋳造凝固過程の冷却速度を遅くするなどして生産性を阻害することなく靭性改善効果をより一層向上させる方法について鋭意検討を行い、新たな知見として、転炉ゼロスラグ吹錬法という製鋼プロセスを用い、二次精錬の初期において一定寸法の微細なAl23を鋼中に適当量析出させ、化学成分として鋼中Al、O量を適正化し、N量をTi、B量の関係において規定した場合、−40℃においてもHAZ全域(BOND、BOND+1〜5mm)で変動幅が小さく安定して良好な靭性が得られることを見出した。
【0020】
すなわち本発明は、鋳造凝固過程において析出する微細なAl23析出物がTiNやBNの析出核となり、さらにTiNとBNがフェライト変態の析出核となってHAZ組織を微細フェライト組織とし、またTiやBと窒化物を形成しないHAZの固溶Nを十分な量のAl量でAlNとして捕捉し、固溶Nを低減することでフェライト地組織の靭性改善を図る技術である。
【0021】
このようにTiNやBNをフェライト析出サイトとして利用するためには、所定量のAl23の確保が必要であり、Alを多量に添加する必要がある。しかしながら、高Al添加は固溶Nの低減効果により靭性を改善するものの、粗大なAl23が増大して靭性低下を招く場合がある。特に−40℃のような低温では、BOND部で粗大Al23が脆性破壊発生のトリガーとなり靭性低下を生じる。
【0022】
そこで本発明では、粗大Al23を低減させるために、転炉ゼロスラグ吹錬法という製鋼プロセスを用いる点に特徴を有している。この転炉ゼロスラグ吹錬法(Zero Slag Process,以下ZSP)は、例えば特開平10−306306号公報に記載されており、溶銑中のP含有量を製品規格値(成分規格値)以下まで低減することで、転炉で脱燐のために発生するスラグを「ゼロ化」する方法である。
【0023】
ZSPの場合、転炉で脱酸しないため溶存酸素量が少なく、その後の二次精錬において初期に生成するAl23量が減少する。この結果、同じ投入Al量であれば、特に粗大なAl23が減少し、微細Al23の数は変わらない。すなわち、ZSPの方が粗大なAl23が減少し、NをAlNとして捕捉できるAl量が増えることになる。よって、Alの多量添加とZSPの組合せによって、微細Al23による析出サイトの確保と、HAZの固溶N低減効果が図られ、HAZ靭性を向上させることが可能となる。
【0024】
本発明は、上記知見を基になされたものであり、すなわち、請求項1記載の発明は、転炉ゼロスラグ吹錬法によって溶製した後に、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2%、S:0.001〜0.01%、sol.Al:0.04〜0.08%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.003%、N:0.004〜0.007%、O:0.001〜0.005%かつ0.9×IN≦1.2×INを満足するNを含有する残部が不可避不純物及びFeからなる鋼に成分調整する工程と、得られた鋼を連続鋳造によりスラブとし、熱間圧延後、加速冷却または焼入れ焼戻しする工程と、を具備することを特徴とする。
【0025】
但し、IN=Ti/3.4+1.3B,Ti,B及びNは含有量(%)とする。
【0026】
また、請求項2記載の発明は、前記成分調整工程において、鋼が質量%でさらにCu≦0.5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、Mo≦0.5%、V≦0.1%、Nb≦0.03%の群から選択される一種または二種以上を含有するように成分調整することを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の成分限定理由について詳細に説明する。
【0028】
(1)C
Cは、強度を確保するために必要で、その効果を得るため、0.04%以上添加する。一方、0.12%を超えて添加すると高炭素島状マルテンサイトが生成し、HAZ靭性および溶接性が低下するため、0.04〜0.12%(0.04%以上、0.12%以下)とする。尚、0.04%未満の場合、強度を確保するため、焼入れ性向上元素を多量に添加しなければならず、生産原価が上昇し、靭性、溶接性が劣化する。
【0029】
(2)Si
Siは、強度の確保と、製鋼過程における脱酸剤として必要で、その効果を得るため、0.01%以上添加する。一方、0.5%を超えて添加すると高炭素島状マルテンサイトが生成しやすくなり、HAZ靭性が劣化するため、0.01〜0.5%とする。
【0030】
(3)Mn
Mnは、強度を確保するため、0.5%以上添加する。一方、2%を超えると焼入れ性が増大し、溶接性、HAZ靭性を劣化させるため、0.5〜2%とする。
【0031】
(4)S
Sは、HAZ部でのフェライトの核生成サイトとなるMnSを生成するため必要で、0.001%以上とする。一方、0.01%を超えると、母材および溶接部の靭性が低下するため、0.001〜0.01%とする。
【0032】
(5)Ti
Tiは、HAZ部でのオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、フェライトの核生成サイトとなるTiNを生成するため必要で、0.005%以上添加する。一方、0.03%を超えて添加すると、母材及びHAZ靭性に有害な粗大なTiCが析出し、鋼板の表面疵も多発するため、0.005〜0.03%とする。
【0033】
(6)B
Bは、フェライトの核生成サイトとなるBNを生成させるため、0.0005%以上添加する。一方、0.003%を超えて添加するとHAZ靭性が低下するため、0.0005〜0.003%とする。
【0034】
(7)sol.Al
sol.Alは、脱酸およびHAZ靭性に有害な固溶Nを低減させ、Al23を生成させるため0.04%以上とする。一方、0.08%を超えると、粗大なAl系介在物が生じるようになり、靭性が低下するため、0.04〜0.08%とする。
【0035】
図2は、HAZ全域でのシャルピー衝撃値(vE−40)に及ぼすZSPとsol.Alの影響を示すものである。シャルピー衝撃試験結果は平均値である。ZSPで溶製され本発明範囲内のsol.Alを含有する鋼は、BOND部からHAZ5mmまでのHAZ全域で100J以上の安定したシャルピー衝撃値を示した。
【0036】
一方、ZSPを行わずに製造され本発明の成分範囲内のsol.Alを含有する鋼の場合、AlによるHAZの固溶Nの低減効果によりHAZでは100J以上の値を示したが、BOND部で靭性の低下が見られた。また、sol.Alが本発明範囲より低い鋼では、HAZ1mm、3mmの靭性が低下した。
【0037】
図3は、図2の試験結果において、切欠位置をHAZ+1mmとしたシャルピー衝撃試験における個々の衝撃値(vE−40)と平均値を示すもので、sol.Al量が本発明範囲外で低い供試鋼の場合、平均値とかけはなれた極めて低い衝撃値が発生する不安定な挙動を示し、局所脆化による安全性が懸念される結果となっている。
【0038】
sol.Al量が低い供試鋼の場合、最高加熱温度がボンド部より低いHAZ+1mmでは、AlNを形成せず、TiあるいはBとの窒化物とならない固溶Nにより、フェライト地組織の靭性劣化が生じたものと思われる。
【0039】
(8)N
Nは、HAZにおいてオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、また、フェライトの核生成サイトとなるBN,TiNを生成させるため0.004%以上とする。一方、0.007%を超えると固溶N量がAl窒化物の形成によっても過剰となり、靭性が低下するため、0.004〜0.007%とする。
【0040】
本発明では、更にN量を0.004〜0.007%の範囲内において、IN=Ti/3.4+1.3B(Ti,B及びNは含有量(%))を用いて、0.9×IN≦N≦1.2×INに規定し、含有するNの大部分をTiN,BNとすることが必要である。
【0041】
(9)O
鋼中O量は、BN,TiNの析出サイトとなるAl23析出物を十分確保し、また、過剰な添加による粗大介在物の生成を防止するため、0.001〜0.005%とする。
【0042】
(10)Al23析出物
本発明の化学成分、製造方法で得られる鋼中のAl23析出物は、フェライト析出核となるTiN,BNを析出させ、HAZ部を微細フェライト組織とし低温靭性を向上させるため、円相当直径で0.5μm以上、3μm以下で、その個数が1×103個/mm2以上とすることが望ましい。円相当直径が0.5μm未満ではTiNやBNの析出核としては不十分であり、3μmを超えて粗大化すると脆性破壊発生のトリガーとなり靭性低下を生じる。また、その個数が1×103個/mm2未満ではTiNやBNの析出核としては不十分であり、微細フェライト組織が得られない。
【0043】
尚、本発明でAl23析出物とは、Al23析出物およびAl23を主体とした他の酸化物(例えば、SiO2)との複合析出物も含まれる。
【0044】
図1に、相当円直径が0.5μm以上、3μm以下のAl23析出物数に及ぼすsol.Al量の影響を示す。供試鋼は、ZSPにて溶製され請求項1記載の成分組成を有する本発明鋼と、該発明鋼において、N量のみまたはsol.Al量のみを本発明範囲外とする比較鋼とした。
【0045】
その結果、sol.Al量が本発明範囲内となる鋼では、いずれも円相当直径で0.5μm以上、3μm以下のAl23析出物が1×103個/mm2以上析出しており、本発明鋼はBOND、HAZ1mmのいずれにおいても−40℃で100J以上の良好な靭性値を示した。
【0046】
一方、N量が本発明範囲外となる比較鋼は、微細Al23が1×103個/mm2以上析出していても、靭性値のバラツキがあり安定した結果が得られなかった。
【0047】
sol.Alが本発明の範囲外となる鋼では、円相当直径で0.5μm以上、3μm以下となるAl23析出物の個数が少なくやはりシャルピー衝撃試験結果が不安定となっていた。
【0048】
本発明は以上の構成により十分な特性が得られるが、更にその特性を向上させるため、Cu,Ni,Cr,Mo,V,Nbの一種又は二種以上を添加することができる。これらの元素を添加する場合、Cu≦0.5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、Mo≦0.5%、V≦0.1%、Nb≦0.03%とする。
【0049】
尚、本発明において、「残部が不可避不純物及びFe」とは、本発明の作用効果を損なわない範囲で、他の微量元素を含有することを意味する。
【0050】
次に製造条件について述べる。
【0051】
本発明では、溶銑を精錬容器内で溶銑中のP含有量を粗鋼で要求されている鋼の成分規格値以下に脱燐精錬し、脱燐精錬された溶銑を転炉に装入し、実質的に焼石灰等の造滓材を溶銑に添加することなく脱炭精錬を行う。この脱燐溶銑を使用することで、転炉での脱燐精錬は不要となる。転炉吹錬後、所定の成分範囲に調整したのち連続鋳造によりスラブとし、所要の条件で加熱をした後に、圧延等の加工を施して厚鋼板とする。
【0052】
本発明では、微細Al23を析出核とするTiN、BNによるHAZ組織の微細フェライト組織化とHAZ組織における固溶N量の低減の重畳効果により、HAZ靭性を向上させるため、ZSP後の鋳造凝固過程は常法によるものでよく、特に鋳造凝固冷却速度を5℃/分以下と遅くする必要はない。
【0053】
スラブ加熱条件や熱間圧延条件は、所望の板厚、強度に応じて適宜設定すればよいが、圧延後は所望の強度となるように、加速冷却あるいはオンラインまたはオフラインで焼入れ焼戻しを行う。
【0054】
【実施例】
表1に示す成分組成の鋼を溶製し、連続鋳造法でスラブとした後、1100〜1250℃に加熱し、TMCP(制御圧延・加速冷却)、熱間圧延後DQ−T(直接焼き入れ・焼き戻し)等により板厚50〜70mmの鋼板を製造した。表2に示すように、実施例1〜15の鋼は本発明に従いZSPを用いて製造し、比較例16〜35の鋼はZSPは行わずに通常の製鋼プロセスにより製造した。
【0055】
これらの鋼板について、母材の機械的性質およびエレクトロガスアーク溶接(入熱400〜530kJ/cm)のHAZ靭性を調査した。HAZ靭性はシャルピー衝撃試験により、切欠位置をボンド部、ボンド部からHAZ側に1mm、3mm,5mmとし、試験温度−40℃でのシャルピー衝撃値(平均値、個々の値)によって評価した。表示は平均値のみとした。
【0056】
【表1−1】
Figure 0003882701
【0057】
【表1−2】
Figure 0003882701
表2に製造条件、これらの試験結果を示す。本発明に従い製造した実施例1〜15の本発明鋼は、母材の降伏強度がいずれも390N/mm2以上であり、−40℃でのシャルピー衝撃値200J以上、ボンド部を含むHAZ全域での−40℃でのシャルピー衝撃値(平均値)として100J以上が得られている。更に、表には示さなかったものの個々の衝撃値の変動幅も小さく、何れの試験結果においても平均値の±20%以内であった。
【0058】
これに対して、比較鋼である比較例16〜35の鋼は、母材特性としては本発明鋼と同等であるが、HAZの靭性値が低下した。
【0059】
比較例16〜18の比較鋼は化学成分は本発明の範囲内であるがZSPを用いなかったため、目的とする靭性値を満足しなかった。これは粗大な酸化物が生じ、靭性が低下したものと考えられる。
【0060】
比較例19〜24、26、28、30〜34の比較鋼はTi、B及びNのバランスが悪く、INが本発明の範囲外であり、比較例20、21、23〜25、27、29、31、35の比較鋼はsol.Al量が本発明で規定する範囲を逸脱している。このため、比較鋼は大入熱ボンド部およびHAZ1mm、3mm、5mmでの靭性のうちのいずれかがvE−40で100J以上を満足しなかった。
【0061】
【表2−1】
Figure 0003882701
【0062】
【表2−2】
Figure 0003882701
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、エレクトロガスアーク溶接等の400kJ/cm以上の大入熱溶接継手部HAZ全域で安定して優れた低温靭性となり、板厚70mmまでの厚肉で降伏強度390N/mm2級の高強度を有する溶接構造用鋼が得られ、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al23の析出状態に及ぼすsol.Al量の影響を示す図。
【図2】HAZ靭性(vE−40の平均値:J)に及ぼすsol.Al量の影響を示す図。
【図3】HAZ靭性(vE−40の個々の衝撃値:J)に及ぼすsol.Al量の影響を示す図。

Claims (2)

  1. 転炉ゼロスラグ吹錬法によって溶製した後に、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.5〜2%、S:0.001〜0.01%、sol.Al:0.04〜0.08%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.003%、N:0.004〜0.007%、O:0.001〜0.005%かつ0.9×IN≦1.2×INを満足するNを含有する残部が不可避不純物及びFeからなる鋼に成分調整する工程と、
    得られた鋼を連続鋳造によりスラブとし、熱間圧延後、加速冷却または焼入れ焼戻しする工程と、
    を具備することを特徴とする低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法。
    但し、IN=Ti/3.4+1.3B,Ti,B及びNは含有量(%)とする。
  2. 前記成分調整工程において、鋼が質量%でさらにCu≦0.5%、Ni≦1.0%、Cr≦0.5%、Mo≦0.5%、V≦0.1%、Nb≦0.03%の群から選択される一種または二種以上を含有するように成分調整することを特徴とする請求項1記載の方法。
JP2002201400A 2001-07-10 2002-07-10 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3882701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002201400A JP3882701B2 (ja) 2001-07-10 2002-07-10 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001209697 2001-07-10
JP2001-209697 2001-07-10
JP2002201400A JP3882701B2 (ja) 2001-07-10 2002-07-10 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003089814A JP2003089814A (ja) 2003-03-28
JP3882701B2 true JP3882701B2 (ja) 2007-02-21

Family

ID=26618454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002201400A Expired - Fee Related JP3882701B2 (ja) 2001-07-10 2002-07-10 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3882701B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101879442B (zh) * 2010-06-04 2012-05-02 西南科技大学 高炉钛矿渣制备具有光催化性能的钛硅铝溶胶的方法
CN109097701A (zh) * 2018-08-31 2018-12-28 舞阳钢铁有限责任公司 一种合金结构用15MnVB钢板及其生产方法
CN113897532B (zh) * 2021-10-13 2022-10-25 四川德胜集团钒钛有限公司 一种高硫低锰钒钛铁水制备q235b铸坯的方法
CN117802413B (zh) * 2024-03-01 2024-05-03 日钢营口中板有限公司 一种具有优异焊接性能的400MPa级TMCP钢板及其生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003089814A (ja) 2003-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5085364B2 (ja) 脆性破壊伝播停止特性と大入熱溶接熱影響部靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法、及び、脆性破壊伝播停止特性と大入熱溶接熱影響部靭性に優れた厚手高強度鋼板
EP1533392A1 (en) Steel product for high heat input welding and method for production thereof
JP4317499B2 (ja) 音響異方性が小さく溶接性に優れる引張強さ570MPa級以上の高張力鋼板およびその製造方法
JP3879607B2 (ja) 低温靭性に優れた溶接構造用鋼
JPH0860292A (ja) 溶接熱影響部靱性の優れた高張力鋼
JP2653594B2 (ja) 溶接熱影響部靭性の優れた厚鋼板の製造方法
JP2001342537A (ja) 溶接熱影響部靭性の優れた鋼材およびその製造方法
JPH0527703B2 (ja)
JP3882701B2 (ja) 低温靭性に優れた溶接構造用鋼の製造方法
JPH0873983A (ja) 溶接継手の疲労強度に優れた溶接構造用厚鋼板およびその製造方法
JPH02125812A (ja) 溶接熱影響部靭性の優れたCu添加鋼の製造法
JP2011208213A (ja) 耐溶接割れ性と溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力厚鋼板
JP2004162085A (ja) 疲労き裂伝播抵抗に優れた鋼板およびその製造方法
JPH09194990A (ja) 溶接熱影響部靱性の優れた高張力鋼
JP2007224404A (ja) 強度および低温靭性の優れた高張力鋼板および高張力鋼板の製造方法
JP2002371338A (ja) レーザー溶接部の靭性に優れた鋼
JP3854412B2 (ja) 溶接熱影響部靱性に優れた耐サワー鋼板およびその製造法
JPH05245657A (ja) 母材の脆性破壊伝播停止特性に優れた高ニッケル合金クラッド鋼板の製造方法
JP2021004407A (ja) 鋼材及びその製造方法
JP4299743B2 (ja) 母材靭性と超大入熱溶接部haz靭性に優れた高強度溶接構造用高靭性鋼とその製造方法
JP2005029841A (ja) 大入熱溶接部hazの低温靭性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法
JP4105991B2 (ja) 超大入熱溶接部haz靭性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法
JP2000054065A (ja) 溶接熱影響部靱性に優れた溶接用高張力鋼材とその製造方法
JP4599770B2 (ja) 低温靭性に優れた溶接構造用鋼
JP4959401B2 (ja) 耐表面割れ特性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060801

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees