JPH0523376Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪考案の分野≫ この考案は、軽トラツク等に内装される簡易型
ドアトリムに係り、特にクロス製表皮材を使用し
た場合の表皮材端末処理構造に関する。

≪従来技術とその問題点≫ 例えば、軽トラツク等のドアパネルに内装され
るフルトリムタイプのドアトリムとしては、第４
図に示すように比較的簡易な構成のものが使用さ
れている。

すなわち係るドアトリム１はほぼフラツトなボ
ード芯材２、ウレタンフオーム等のパツド材３、
クロス材等の表皮材４をそれぞれ積層させ、高周
波溶着加工によりドアトリム１表面に所望の模様
加工５を形成するとともに、三者を一体化させて
ドアトリム１を成形するようにしており、更に上
記表皮材４、パツド材３は芯材２上端縁から上方
に所定長さ延設させた延出部６を形成するように
し、そして、ドアインナーパネル７に上記ドアト
リム１を取付けるに当たつては、インナーパネル
７の中央フラツト部７ａに上記ボード芯材２の裏
面を添装させるとともに、芯材２の裏面からイン
ナーパネル７側に突出させた樹脂クリツプ（図示
せず）をインナーパネル７の適宜箇所に開口され
た取付孔（図示せず）に嵌着することにより、ド
アトリム１をインナーパネル７に取付けるように
しており、更にインナーパネル７の上方湾曲部７
ｂに対しては、上記延出部６を被覆することによ
りドアトリム１の取付を行なつている。

このとき、表皮材３の上端縁の裏面側には、両
面テープ８（両面に接着剤をコーテイング処理し
た紙テープ）が接着されており、インナーパネル
７の上端縁の裏面側に、この両面テープ８を接
着、仮止めした後、シールラバー９をその上側か
ら嵌着固定し、このことによりドアトリム１の装
着を完了するようにしている。

しかしながら、係る構造のドアトリムにあつて
は、クロス製表皮材を用いているため、このクロ
ス製表皮材と両面テープとの接着性が極めて悪
く、クロス製表皮材上端縁をインナーパネル先端
縁に巻込んだ状態で、仮止めする作業が非常に面
倒である。更に、この仮止め状態を維持すること
ができず、クロス製表皮材がその原形に戻ろうと
する反発力が働くため、シールラバー９の嵌め込
み作業に困難を伴うなど極めて作業性の悪いもの
となつていた。

加えて、クロス製表皮材をインナーパネルの上
端縁に沿つて折返すためインナーパネルの上端縁
の厚みが増し、シールラバー９の間隙を大きく設
定しなければならず、ハーフトリム（インナーパ
ネル上方湾曲部を露出し、ドアトリムで被覆しな
いタイプのドアトリム）に使用するシールラバー
を適用することができず、間隙を大きく設定した
別個のシールラバーが必要となり、部品点数の増
大、並びに製造コストの高騰を招来していた。

≪考案の目的≫ この考案は、上述の事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、クロス製表皮材を
用いたフルトリムタイプの自動車用ドアトリムに
おいて、この表皮材の端末処理作業を簡素化する
とともに、ハーフトリムタイプのドアトリムに使
用するシールラバーを共用化できるようにした表
皮材の端末処理構造を提供することにある。

≪考案の構成と効果≫ 上記目的を達成するために、この考案は、ほぼ
フラツトなボード芯材表面に、パツド材、クロス
製表皮材を積層一体化したドアトリムをドアイン
ナーパネルの中央フラツト部に装着するととも
に、上記芯材上端縁から上方に延設させたクロス
製表皮材により、ドアインナーパネルの上方湾曲
部を被覆してなる自動車用ドアトリムにおいて、 前記クロス製表皮材の上端縁に沿つてPVC樹
脂シート片を高周波ウエルダー加工により固着
し、このPVC樹脂シート片をドアインナーパネ
ル上縁から裏面側に巻込み固定するとともに、
PVC樹脂シート片をシールラバーにより被覆し
たことを特徴とする。

すなわち本考案はガーニツシユレスタイプの簡
易形自動車用ドアトリムであつて、特に表皮材と
してクロス製材料を用いた場合の表皮材の上部端
末処理構造に特徴があり、クロス製表皮材の巻込
みしろとして、PVC樹脂シート片をクロス製表
皮材上端縁に接合したものであるから、この
PVC樹脂シート片の可撓性により、巻込み作業
が極めて容易なものとなるとともに、両面テープ
とPVC樹脂シート片との接着性も良好で、かつ
インナーパネルの上端縁にPVC樹脂シート片を
折返した状態においても、この部位の厚みはそれ
ほど厚くなく、インナーパネルの板厚とそれほど
変りはない。

従つて、表皮材の端末処理作業を極めて簡易な
ものにすることができ、著しく作業性を向上させ
る効果を有するとともに、この部位に嵌着させる
シールラバーについては、ハーフトリムに使用す
るシールラバーを共用化することができ、部品管
理工数の削減、製造コストの引下げ等の利点を有
する。

更に、クロス製表皮材の上側にPVC樹脂シー
ト片を固着するものであるから、両者の見切り線
の形成により、意匠性の向上にもつながるなど
種々の効果を有する。

≪実施例の説明≫ 以下、本考案の一実施例につき添付図面を参照
しながら詳細に説明する。

第１図は本考案に係る自動車用ドアトリムをイ
ンナーパネルに組付ける前の状態を示す全体図、
第２図はドアトリムをインナーパネルに取付けた
状態を示す縦断面図、第３図は別の実施例を示す
ドアトリムをインナーパネルに取付ける状態を示
す縦断面図である。

第１図、第２図において、図中符号１０は自動
車用ドアトリムであり、 上記ドアトリム１０は、ハードボード、複合樹
脂板等からなるほぼフラツトな芯材１１と、ウレ
タンフオーム等からなるパツド材１２と、クロス
材等からなる表皮材１３とをこの順序で積層し、
更に高周波ウエルダ加工により、ウエルダパター
ン１４に沿つてこれら三者、芯材１１，パツド材
１２、表皮材１３を一体化して形成されている。

更に、上記芯材１１の上端から表皮材１３並び
にパツド材１２を上方に延設させて延出部１５を
形成し、また本願にあつては、上記表皮材１３の
上端縁に沿つてPVC樹脂シート片１６が、高周
波ウエルダ加工により溶着ライン１７に沿つて固
着され、かつこのPVC樹脂シート片１６の裏面
側には両面テープ１８が装着されている。

このように構成された自動車用ドアトリム１０
をインナーパネル１９に取付けるに当たつては、
芯材１１に装着された樹脂クリツプ２０を、この
樹脂クリツプ２０の装着位置に対応してインナー
パネル１９の中央フラツト部１９ａに適宜設けら
れた取付孔２１内に嵌着することにより、まずイ
ンナーパネル１９の中央フラツト部１９ａにドア
トリム１０を装着する。

次いで、インナーパネル１９の上方湾曲部１９
ｂの湾曲面に沿つて、上記芯材１１の上端側から
上方に延設させた延出部１５を被覆し、更に巻込
みしろとしてのPVC樹脂シート片１６をインナ
ーパネル１９の上端縁１９ｃに折返し、インナー
パネル１９の裏面側に両面テープ１８を接着する
ことにより、ドアトリム１０をインナーパネル１
９に対して仮止め装着作業を完了する。

しかる後に、インナーパネル１９の上端縁１９
ｃに折曲したPVC樹脂シート片１６の上方から
シールラバー２２を嵌込んで、ドアトリム１０の
取付を完了する。このシールラバー２２は、内部
保形性を備えた金属芯材２３をインサートした断
面略Ｕ字状の樹脂製条体２４から構成され、この
シールラバー２２の溝部２２ａの間隙により、イ
ンナーパネル１９の上端縁１９ｃに巻込まれた
PVC樹脂シート片１６を堅固に挾持固定するよ
うにしている。

上記ドアトリム１０の取付作業において、特に
延出部１５をインナーパネル１９の上方湾曲部１
９ｂに沿つて仮止めする作業において、上記
PVC樹脂シート片１６はその可撓性のため、イ
ンナーパネル１９の上端縁１９ｃに巻込む作業が
極めて容易であり、また両面テープ１８との接着
性も良好なところから、仮止め状態を確実に維持
できるので、作業性の向上に役立つとともに、こ
のPVC樹脂シート片１６はクロス製表皮材１３
に比べ、その厚みが極めて薄いものであるから、
これらの上側から嵌着するシールラバー２２は、
ハーフトリム兼用のシールラバー２２を共用化す
ることができる。

なお、上記PVC樹脂シート片１６は、表皮材
１３の上端縁に沿つてその上側に高周波溶着加工
により熱溶着されているが、接着剤による接着止
めもしくはタツカ等による機械止め等を用いて両
者を固着してもよいが、本実施例のように、高周
波溶着加工を使用すれば、ドアトリム１０の一体
成形工程と同時に、表皮材３、PVC樹脂シート
片１６両者の固着を行なうことができ、作業工程
上有利である。

なお、上記PVC樹脂シート片１６と表皮材１
３との間に見切りライン２５が形成されているこ
とにより、意匠性が向上するという附随的な効果
もある。

なお、上述実施例のものは、延出部１５として
パツド材１２、表皮材１３の両者を延設した構成
であるが、第３図に示すように、表皮材１３のみ
を延設し、インナーパネル１９の上方湾曲部１９
ｂ面に前もつて別のパツド材２６を貼着するよう
にしてもよい。このように、当業者が容易に考え
られる変更例は本考案の範疇に含まれるものであ
り、何等本願の権利範囲を制限するものではな
い。

要するに、本願はクロス製表皮材を用いたフル
トリムタイプのドアトリムに係り、クロス製表皮
材の上端縁に沿つて巻込みしろとしてのPVC樹
脂シート片を設けるという簡易な構成でありなが
ら、ドアトリムのインナーパネルへの組付け作業
を著しく簡素化し、かつハーフトリムに使用する
シールラバーを共用化することができる等その実
用的価値の大きな考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すもので、ドア
トリムの組付け状態を説明する全体図、第２図は
同ドアトリム組付状態を示す縦断面図、第３図は
本考案の別実施例を示す自動車用ドアトリムの取
付状態を示す縦断面図、第４図は従来の自動車用
ドアトリムの取付状態を示す縦断面図である。 １０……自動車用ドアトリム、１１……芯材、
１２……パツド材、１３……表皮材、１５……延
出部、１６……PVC樹脂シート片、１７……ウ
エルダライン、１８……両面テープ、１９……イ
ンナーパネル、１９ａ……中央フラツト部、１９
ｂ……上方湾曲部、１９ｃ……上端縁、２２……
シールラバー、２５……見切りライン、２６……
パツド材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ほぼフラツトなボード芯材表面に、パツド材、
   クロス製表皮材を積層一体化したドアトリムをド
   アインナーパネルの中央フラツト部に装着すると
   ともに、上記芯材上端縁から上方に延設させたク
   ロス製表皮材により、ドアインナーパネルの上方
   湾曲部を被覆してなる自動車用ドアトリムにおい
   て、 前記クロス製表皮材の上端縁に沿つてPVC樹
   脂シート片をウエルダー加工により固着し、この
   PVC樹脂シート片をドアインナーパネル上縁か
   ら裏面側に巻込み固定するとともに、PVC樹脂
   シート片をシールラバーにより被覆したことを特
   徴とする自動車用ドアトリムにおける表皮材の端
   末処理構造。