JPH05214573A - ガス減極電極構造体並びにそれを用いて電気化学的反応を行うための方法及び装置 - Google Patents

ガス減極電極構造体並びにそれを用いて電気化学的反応を行うための方法及び装置

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JPH05214573A
JPH05214573A JP4169386A JP16938692A JPH05214573A JP H05214573 A JPH05214573 A JP H05214573A JP 4169386 A JP4169386 A JP 4169386A JP 16938692 A JP16938692 A JP 16938692A JP H05214573 A JPH05214573 A JP H05214573A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】種々の電気化学反応を、エネルギー低消費、高
効率、かつ安定して行えるガス減極電極構造体並びに、
それを用いた電解装置及び電解方法を提供する。 【構成】イオン交換膜13の電解液と接触する面の反対
側に、電極触媒シート12及び給電体14を加圧接触し
てガス減極電極構造体を構成し、これに反応ガスを供給
して電極の減極を行うと共に、ガスをイオン化して膜1
3を通して電解液中に供給する。該電極構造体は、陽極
又は陰極として、隔膜法又は無隔膜法の電解に用いられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス減極電極構造体並
びにそれを用いて電気化学的反応を行うための方法及び
装置に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】塩素−アルカリの電解生成
は、電気化学分野で最も広く行われている方法であり、
一般的には、電解電流を加えることで水酸化ナトリウム
と塩素が生成される塩化ナトリウムが使用されている。
また、水酸化カリウムと塩素を最終生成物として得る方
法として、塩化カリウムを出発材として用いる方法もあ
る。
【0003】更に、塩素と苛性ソーダは、それぞれ次の
ような方法で生成することも出来る。有機物の塩素化の
副産物として大量に得ることが出来る塩酸の電気分解な
いし接触酸化。塩酸を更に塩化ナトリウムと硫酸間の反
応により得ることが出来、硫酸ナトリウムが副次的に形
成される。
【0004】炭酸ナトリウム溶液の石灰での苛性化とそ
の後の副産物の固体炭酸カルシウムの濾過および石灰お
よび炭酸ナトリウム溶液から生じる様々な不純物を含ん
だ水酸化ナトリウムの希釈溶液の濃縮。
【0005】炭酸ナトリウムは、通常ソルベイの開発し
た方法で、塩化ナトリウム塩水をほとんど不溶性の重炭
酸ナトリウムにアンモニアと二酸化炭素の化学反応によ
り変換し、アンモニアをリサイクルして生成する。そし
て次に重炭酸塩をばい焼により炭酸ナトリウムに変換し
ている。
【0006】従って原材料は塩化ナトリウム、石灰、二
酸化炭素(両方とも炭酸カルシウムから得る)、及び不
可避のロスを埋め合わせるのに必要なアンモニアを含ん
でいる。
【0007】炭酸ナトリウムの更なる源として、炭酸ナ
トリウムと重炭酸塩および塩化ナトリウムなどの他の成
分を小量含んでいるトロナあるいはナコライト原鉱があ
る。
【0008】上述の代替法は操業コストが高い複雑な方
法に基づいたものである事は明らかである。このため、
これらの方法は過去において徐々に廃棄され、市場は、
益々、水銀陰極セルに基づいた技術が、段階的にダイア
フラム・セルおよび現在のイオン交換膜セルに発展する
につれて、本来的に簡単でエネルギー的に効率のよい塩
素−アルカリ電解方法に傾斜している。
【0009】しかし今日、塩素−アルカリ電解方法は下
降傾向にあり、その原因として水酸化ナトリウムと塩素
の生成量の間の厳密な化学量論的なバランスが関係して
いる。この厳密な関係は塩素市場(PVC、塩素系溶
剤、製紙業界での漂白、様々な化学反応)と水酸化ナト
リウム市場(ガラス業界、製紙業界、様々な化学的用
途)の2つの市場が実質的にバランスが取れていれば問
題はない。
【0010】しかし最近では、近い将来増大すると見ら
れる苛性ソーダに対する強固な需要と結び付いた塩素市
場の持続的な下降傾向(PVCと塩素系溶剤の利用の減
少、製紙業界での使用の減少)により、業界では一部の
ケースでは望ましくない副産物とさえ考えられる塩素の
同時的な生成を行わずに水酸化ナトリウムを生成する別
の方法を考えるようになっている。これは炭酸ナトリウ
ム苛性化方法をその複雑さや高いコストにもかかわらず
復活させることを意味している。
【0011】これを背景に電解業界は、既存の方法
(C.L.マンテル「工業電解法」マックグローヒルを
参照)から発達した別の方法を提案する準備をしてお
り、新しい材料が得られるようになり、高度に選択的な
イオン交換膜が製作されて、より競合するようになって
いる。最も興味深い提案は、採掘されたあるいは様々な
化学プロセスの副産物としての硫酸ナトリウムの溶液の
電解に代表される。電気分解はカチオン交換膜により分
離された2つの電解室を有する基本セルで作られた電解
槽ないしより高度な設計では、アニオン、カチオン交換
膜を含む3つの電解室よりなる単位電解セルで作られた
電解槽で行う。この硫酸ナトリウムの分解としても知ら
れるプロセスにより、水酸化ナトリウム(15−25%)、
水素、酸素、そして最も単純な設計では硫酸を含む希釈
硫酸ナトリウムが生成され、最も高度な設計では、希釈
硫酸ナトリウムと純粋な硫酸が生成される。水酸化ナト
リウムは望む生成物であるが、純粋な硫酸更に硫酸ナト
リウムの酸性溶液は深刻な問題を提起する。実際、これ
らの生成物は工場内の他のプラントにリサイクルできな
ければ、触媒的な大規模なプラントで低いコストで生成
される96−98%硫酸を大量に入手できることで通常特徴
づけられるむしろ難しい市場で市販する前に、高いコス
トをかけて濃縮しなければならない。電解槽の単位セル
の陽極での酸素の発生は更に高いセル電圧を伴い、単純
な設計では3.5 ボルト、高度な設計では 4.5−5ボルト
を示し、両方とも3000アンペア/m2 の膜で作動する。
これらの高い電圧によりエネルギー消費量は高くなる
(2,700−3,700kWh/トン当りの苛性ソーダ)。
【0012】上記の問題を解決する方法は、アライド社
に譲渡されたK.N.マニほかの米国特許4,636,289 号
で開示された方法で提供されている。この発明の教示に
よると、ナトリウム塩の水溶液、出来れば硫酸ナトリウ
ムをバイポーラー膜を装備した電解槽(水分離器)に送
り、希釈硫酸ナトリウムと硫酸からなる出て来る酸を炭
酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムあるいはその混合物に
より中和する。生じた中性ナトリウム塩溶液は精製し、
水分離器にリサイクルする(間接電解)。米国特許4,63
6,289 号で詳しく述べていなくとも、この方法により限
られたエネルギー消費量(1500−2000kWh/トン当り
の苛性ソーダ)で苛性ソーダを得ることが出来る。この
技術に影響を及ぼしている問題は、酸化性物質に攻撃さ
れ、低い電流密度(1000アンペア/m2 の範囲)やMg
++といった二価金属を取り除くために非常に効率的なナ
トリウム塩溶液の精製、比較的低い酸性濃度を必要とす
るバイポーラー膜の弱さと、リサイクルする溶液の流量
が高い故に操業コストが増大するということがある。更
に最良の操業条件下でも、バイポーラー膜の寿命は約1
年間と短いことがある。これらの欠点は、前記米国特許
4,636,289号により説明された水分離器を、カチオン交
換膜により2つの電解室に分けられた単位セルからな
り、先述した酸素発生陽極を備えた電解槽で置き換える
ことにより克服することが出来る。これらの電解槽は、
既に述べたようにエネルギー消費量は高いが、いくつか
の重要な利点をもたらす。実際カチオン交換膜は2年以
上、一般に3年の非常に満足できる寿命を有しており、
約3000アンペア/m2 の高い電流密度下でも作動するこ
とが出来る。Mg++といった二価金属イオンの含有量に
関しては、必要許容限度はバイポーラー膜を装備した水
分離器ほど厳密ではない。しかし有機物質や塩化物のよ
うな特定の不純物は、酸素発生陽極の早期の不活性化を
もたらすことがあるので、制御する必要がある。更に塩
化物は酸化されてこのプロセスの主産物である酸素と混
合する塩素になり、その場合には酸素は大気に放出する
前にアルカリ洗浄を行って塩素を吸収する必要がある。
【0013】電解槽でのエネルギー消費量を削減するシ
ステムは、例えばH.V.プレッセンほか「化学合成技
術」61号(1989年)N.12、p.935 の化学技術文献にみ
られる。この教示によると、酸素発生陽極は水素を供給
されるガス拡散陽極と置き換えることが出来る。そのよ
うなガス拡散陽極は、例えば欧州特許0357077 号に教示
されているように多孔性シートからなり、多孔性シート
では孔の内部に固定された液体を維持するため適切に疎
水性を持たせた触媒を分散している。しかしこの種の陽
極は、その寸法を例えば工業用に必要とされる1平方メ
ートルに増大したとき及び商業用電解槽の場合のように
数多くのセルに挿入したときに、信頼性が全くなくな
る。実際、製造あるいは誤動作により欠陥が存在する箇
所で、液体の望ましくない浸透が生じる。それらの浸透
により水素は触媒箇所に到達できなくなり、水素循環系
の危険な閉塞を生じる。更に、シートの孔の内部の触媒
に入ってきて接触する溶液は、電解する溶液にしばしば
見られる重金属のような特定の不純物が存在すると不活
性化を起こすことがある。更に触媒と接触する溶液が水
素と容易に反応する還元種を含む場合は、望ましくない
副産物が形成され、プロセスの効率は減少する。
【0014】水素減極陽極のこれらの欠点は、米国特許
3,124,520 号で開示された構造体により克服することが
出来る。この発明の教示によると、水素減極陽極構造体
はカチオン交換膜と、面と面で接触する多孔性の電気触
媒シートからなる。膜は電解室の浸透からシートを守
り、シートの触媒粒子と電解室内に含まれる有毒な不純
物や還元物質の間の接触を防止する。
【0015】硫酸ナトリウム電解法に適用した米国特許
3,124,520 号の教示は、米国特許4,561,945 号にみら
れ、ここでも構造的な詳細が例示されている。特に米国
特許4,561,945 号によると、電極触媒シートは触媒粒子
とポリマー粒子の混合物を焼結し、焼結した電極触媒シ
ートを熱と圧力を加えて膜の表面に結合することで得る
ことが出来る。この特定種類の構成方法は、米国特許4,
561,945 号の水素減極陽極構造体で必要となり、前記電
極触媒シートの触媒粒子は水素ガスと膜だけに接触し、
膜のこちら側には電解液は存在せず、反対側に存在す
る。電解液により確保される導電経路はないので、水素
のイオン化は触媒粒子と膜の間の直接接触点でだけ生じ
ることが出来る。膜と接触していない触媒粒子の残りの
表面は完全に不活性になる。その結果、工業応用用に有
用な電流密度を得るため、非常に多くの数の個々の粒子
が複数の点で膜と接触することが必要になる。この要件
は該技術の教示では、膜と電極触媒シートを結合するこ
とによってのみ達成することが出来る。前記の製作方法
は特に高価で、各々の生産ロットについて数百個の単位
で大量に生成するためそれぞれ1−2平方メートルの範
囲の大きな単位面積の電極に適用したときに本来的に信
頼性がなくなることがすぐに分かる。実際には制御下の
温度で作動する強力な圧力装置が必要で、加圧、加熱下
の膜が過度に脱水されれば破壊あるいは亀裂を生じる可
能性がかなり高い。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
電極触媒シートと膜の間の結合を避けることの出来る新
規のガス減極電極構造体並びにそれを備えた少なくとも
1つの単位電解セルを含む電解槽と関連電解法を提供し
て、従来の技術に影響を与えた問題を解決することであ
る。そのような電極構造体を、陽極構造体として、塩の
水溶液の膜電解法に適用して適切な塩基と酸を生成する
場合、液体の浸透を受けず、電解液に含まれる重金属の
ような不純物の有害な作用に対して高度に耐性があり、
電解液内に含まれる還元される物質を還元しないという
特徴を有している。前記陽極構造体には、水素含有ガス
を供給することが出来、更に前記電解槽の陰極で発生し
た水素を供給することが出来る。その結果セル電圧は特
に低くなり、生成される塩基のトン当りのエネルギー消
費量も低くなる。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の電極構造体並び
にそれを用いた電解槽は、電極構造体を陽極として用い
た場合、イオン交換膜により電解室に仕切られた少なく
とも1つの単位電解セルからなり、電解室には電解液を
供給する循環系と、電解生成液を抜き出す循環系を備
え、前記単位電解セルは、陰極と、水素含有ガスを供給
する水素ガス室を形成する水素減極陽極構造体を備えて
いる。前記構造体は、カチオン交換膜、多孔性で柔軟性
を有する電極触媒シートと、多孔性の剛性の給電体の3
つの要素で構成する。電極触媒シートと給電体の両方の
孔は、水素ガスが上記シート内部にある触媒粒子に到達
し、上記膜と直接接触するために必要となる。
【0018】本発明の構造体を構成する3つの要素、即
ち膜、電極触媒シート及び給電体は、電極触媒シートと
接触する反対側の膜の表面に存在する電解液と電解槽の
内部反発構造により加えられる圧力により、単に共に押
圧されているだけである。そのような特性は、例えば電
解槽の電解室内に設置する弾性マットレスないし同様の
装置によりもたらすことが出来る。
【0019】前記の給電体が剛性を持つと共に適切な厚
さを持ち、前記電極触媒シートとの多数の接触点を備
え、前記電極触媒シートが柔軟性をもつ場合、驚くべき
ことに工業的に有用な電流密度で行った電気分解中のセ
ル電圧は著しく低くなり、従来技術で説明した結合した
膜−電極触媒シートで得られたものと類似していること
が分かった。この結果は電極触媒シートと接触する膜の
側、即ち水素ガス室では、電解液は存在せず、従って水
素のイオン化反応は、膜と直接接触した上記電極触媒シ
ートの触媒粒子の表面部分のみで起こることが出来ると
いうことを考えると更に驚くべきものである。
【0020】膜と電極触媒シートの結合手順を避けるこ
とができることで、単純かつ信頼性を持つ水素減極陽極
構造体を費用効果的に製作することが出来るので、その
利点は最大限工業に有益な業績となる。実際、膜、電極
触媒シート、給電体を別々に製作ないし購入して、例え
ば電解槽自身の内部構造内に含まれる弾性手段によりか
けられる単純な圧力により組み合わせて配置することが
出来る。膜も電極触媒シートも、圧力、加熱下での結合
手段では一般的な激しい応力を受けることはない。従っ
て膜や電極触媒シートの製造中の日常的な品質管理で、
作動中の水素減極構造体の高い信頼性を十分保証するこ
とが出来る。
【0021】本発明の実施例では、給電体は必要な剛性
をもたらし、一次給電を行う機能を持つ導電性の平ら
な、目の粗い及び分厚いスクリーンと、前記の電極触媒
シートとの数多くの接触点をもたらす機能を有する導電
性の目の細かい柔軟性のあるスクリーンからなる。
【0022】以下の説明での「スクリーン」という用語
は、ワイヤメッシュ、エクスパンデツド・メタル、孔を
開けたシート、焼結シート、ベネチアン・ブラインドの
ような開口部を持つシートのようなあらゆる形態の導電
性で、孔を有するシートを意図するものとする。上記の
目の細かいスクリーンは、電解液により加えられる圧力
あるいは膜及び電極触媒シートに対する電解槽内部の弾
性構造体により上記の目の粗い剛性を持つスクリーンに
単純に押圧することが出来る。又上記の細かいスクリー
ンは例えばスポット溶接で粗いスクリーンに機械的に固
定することもできる。
【0023】目の細かい及び粗いスクリーンがエクスパ
ンデッド・メタルシートで出来ている場合、1000から40
00アンペア/平方メートルの範囲の電流密度を電解槽に
適用した場合、より低いセル電圧の最適結果は、1から
3mmの厚さで、4から20mmの範囲のひし形の開口部
の対角線の長さを持つ目の粗いエクスパンデッド・メタ
ルシートで得ることが出来る。目の細かいエクスパンデ
ッド・メタルシートは一般的に1mmまでの厚さを持
ち、0.5 から12mmの範囲のひし形の開口部の対角線の
長さを持つ必要がある。細かいスクリーンはいずれの場
合も、機械的に粗いスクリーンに固定しない場合、電解
液ないし電解槽の内部弾性構造体により加えられる圧力
下で粗いスクリーンに適応するために、柔軟性を持つ必
要がある。同様に上記の細かいスクリーンは、例えばス
ポット溶接による機械的な固定化作業中にも剛性の粗い
スクリーンに完全に適応するため、十分柔軟性を有して
いなければならない。最終結果は、目の細かいスクリー
ンは、剛性の目の粗いスクリーンに機械的に固定され、
あるいは固定されていない、いずれの場合でも、剛性の
粗いスクリーンの表面全体に対して均一に接触する必要
がある。別の実施例として、給電体は、剛性と接触点の
多数性が同時に確保されるならば、異なる幾何学的な解
法で構成することが出来る。例えば、2mmの最大孔径
と1から3mmの厚さを持つ焼結した導電シートからな
る給電体は十分な性能をもたらすが、そのコストは粗い
及び細かいスクリーンで出来た給電体のものよりもかな
り高くなる。
【0024】上述の給電体は、良好で時間的に安定した
表面導電性で特徴付けられる導電材で作ることが出来
る。そのような材料例として黒鉛、黒鉛−高分子化合
物、様々な種類のステンレス・スチール及びニッケル合
金、ニッケル、銅、銀がある。チタン、ジルコニウム、
タンタルのような弁金属のような絶縁表面膜を形成する
材料を使用する場合は、給電体の表面には、金、白金族
の金属のような貴金属やその酸化物ないしそれらの酸化
物と弁金属酸化物との混合物で出来た導電コーティング
を設ける必要がある。
【0025】給電体の上述の特性、即ち剛性、厚さ、及
び電極触媒シートとの多数の接触点を有する事は、すべ
て絶対的に不可欠のものである。実際、その剛性により
膜と電極触媒シートを給電体に対して押圧することが出
来、膜をその周囲に沿って同時に変形することなく3つ
の要素間の高い接触圧を得ることが出来る(柔軟な給電
体では、弱い膜を不可避的に破壊することがある)。
【0026】その厚さにより、大きな表面に対して均等
な給電が出来るようになる。多数の接触点があること
で、微細スケールで均等な給電が出来、それは実際、大
方の場合、電極触媒シートは低減横断導電性により特徴
付けられるので必要である。更に、給電体と電極触媒シ
ートの間の多数の接触点により、電極触媒シートと膜間
にも同様に多数の接触点がもたらされ、それにより前記
シートの表面触媒側の実質的に完全な利用ができ、各々
の側への効率的な給電が出来て、結果的にセル電圧を低
くすることが出来る。多孔性の電極触媒シートは、触媒
粒子とバインダの焼結により得た薄膜、ミクロンの大き
さの粒子ないし被覆の形での小量の触媒を含有するカー
ボンないし黒鉛の多孔性の積層板、あるいは更に細かい
金属ワイヤ・メッシュあるいは薄い触媒層により被覆し
た焼結金属シートとすることが出来る。触媒は、真空下
での蒸着、プラズマ溶射、電気メッキ、あるいは適切な
前駆成分の熱分解析出といったいくつかの既知の手法の
1つで適用することが出来る。いずれの場合も、電極触
媒シートは多孔性の給電体を通って拡散する水素が、膜
と直接に接触している触媒側に到着することが出来るよ
うに多孔性でなければならない。上記のシートも十分柔
軟性があり、給電体の形と適合し、給電体自身の上述の
ジオメトリにより既に望まれている接触点の数をできる
だけ多くする必要がある。他方で膜の固有の柔軟性によ
り、それが固い給電体により支持されているならば、シ
ートの触媒の表面と膜自身の間の接触点の数を最大限に
することが出来る。電気分解中に膜内に、移動する陽子
の蓄増があるので、前記の膜は強力な酸に対して高い化
学的耐性を持つものとすべきである。
【0027】以下、本発明を、図面を参照して説明す
る。図1で単位電解セルはカチオン交換膜2により2つ
の電解室、すなわち陰極3を含み入口ノズル5、出口ノ
ズル6を備えた陰極室40と、スペーサ29を含み入口
ノズル10と出口ノズル11を備えた陽極室41に分割
されている。上記陽極室は更に水素ガス室4を形成する
本発明の水素減極陽極構造体により限定されている。水
素ガス室4には水素含有ガス流を供給するための入口ノ
ズル27と残ガスを排気するための出口ノズル28が設
けられている。本発明の水素減極陽極構造体はカチオン
交換膜13、電極触媒シート12および電極触媒シート
12との必要な多数の接触点をもたらす細かい導電スク
リーン14aと全体的な電導性と給電体の剛性をもたら
す粗い導電スクリーン14bで作られた給電体からな
る。スペーサ29は膜2と本発明の陽極構造体の間の所
定の間隔を維持するようにされている。スペーサ29は
1つないし複数のプラスチック・メッシュないし1つな
いし複数のプラスチック・マットレスで構成でき、陽極
室41内の電解液の流れのプロモータとしても作動する
ようにする。スペーサ29を1つないし複数のプラスチ
ック・マットレスで構成する場合、一般に結果的な反発
力により膜2上に陰極3により加えられた圧力を、剛性
の給電体14aと14bの協同的な抵抗により本発明の
水素減極陽極構造体に移される。陰極室40、膜2、陽
極室41、本発明の陽極構造体、水素ガス室4の間の周
囲に沿ったシーリングはガスケット26により得る。
【0028】図2は従来技術で知られている水素減極陽
極を備えた電解槽の略図である。この図でも1つの基本
セルだけに限って例示している。図1で例示した同一部
分は、この場合、孔の内部にブロックされた陽極室41
から浸透した液体を維持するため疎水性にした多孔性の
電極触媒シート30によってのみ構成されている水素減
極陽極構造体を除き、同一参照数字で示す。上記多孔性
の電極触媒シートは、給電体14と接触している。この
種の減極陽極は、従来技術の説明で既に述べたように、
溶液の浸透、触媒の被毒化、還元されうる物質の還元と
いった工業的用途を妨げる一連の不都合により否定的に
影響される。これらの後者の不都合は、多孔性シートの
触媒と電気分解する溶液の間で生じる直接接触と関連し
ている。
【0029】図3は本発明の電解槽に基づく電解法の際
だった特徴を再び示し、簡潔にするため1つの基本セル
のみを例示しているが、電解槽1は陽極室41、本発明
の水素減極陽極構造体を含む水素ガス室4、陰極3を含
む陰極室40からなる。以下の説明では、このプロセス
は、硫酸ナトリウム溶液の電気分解におけるものと仮定
する。この場合、陰極室40と陽極室41は膜2により
分離されている。硫酸ナトリウム溶液は入口ノズル10
から陽極室41に供給される。本発明の陽極構造体と陰
極3の間の電流の通過により、次の反応が起こる。
【0030】陰極3:OH- を伴う水素発生とNa+ の
膜2を通しての陽極室41から陰極室40への移動と苛
性ソーダの生成。
【0031】本発明の陽極構造体:陰極3で生成された
水素8は、その中に混入された苛性ソーダの痕跡を除去
するために、制御下の温度の水で洗浄する(図示せ
ず)。洗浄した水素は次に電解液が存在しない水素ガス
室4に供給され、先述した適切な多孔性の給電体14と
カチオン交換膜13の間で押圧された電極触媒の多孔性
シート12からなる本発明の陽極構造体の背後に流れ
る。通電下で、水素は電極触媒シート12とカチオン交
換膜13の間の境界面でイオン化される。このようにし
て形成されたH+ イオンはカチオン交換膜13を通って
中間室41に移動し、そこで陰極室40へ移動したNa
+ イオンと置換される。硫酸の正味の形成はこのように
して得られる。
【0032】硫酸は膜2の種類による最大許容限度まで
蓄積できるが、それ以上では苛性ソーダの生産効率が低
下することが分かっている。この減少は膜2を通過して
のH+ イオンの移動の増大による。水素を含有する苛性
ソーダ液は出口ノズル6を通って陰極室40を出て、ガ
ス分離装置7に送られる。湿性水素8は洗浄(図示せ
ず)に送られ、次に水素ガス室4に供給されるが、苛性
ソーダ液は入口ノズル5を通してセルにリサイクルされ
る。必要な水はノズル9を通してセルの陰極循環系に供
給して、苛性ソーダを所望の濃度を保つ(一般に10−35
%の範囲)。生成された苛性ソーダは流路23に送られ
て利用される。他の電解循環系に関する限り、酸性硫酸
ナトリウムはノズル11を通してセルを出て、全部ある
いは部分的に槽15に送られ、そこで溶液には結晶の炭
酸ないし重炭酸ナトリウムあるいはその混合物17、水
16、そして電解液の一定の濃度を保つことが必要な場
合は硫酸ナトリウムあるいは硫酸24を加える。セル内
で生成された酸は硫酸ナトリウムに再変換され、水と二
酸化炭素が副次的に形成される。
【0033】炭酸ないし重炭酸ナトリウムを溶液として
与えることもできる。槽15からきた湿性及び純粋二酸
化炭素流25はオプションとして圧縮して利用でき、槽
15を出るアルカリ溶液は精製槽18に送られ、そこで
炭酸塩と多価金属の不溶性の水酸化物を濾過することが
出来る。塩溶液の精製の後、中和していない部分をオプ
ションで加え、セルのノズル10にリサイクルする。硫
酸ナトリウム溶液の循環は、ポンプを通して行い、苛性
ソーダ溶液の循環はガスリフト再循環により得ることが
出来る。
【0034】ここで分かるように、本発明の過程では炭
酸ないし重炭酸ナトリウムないしその混合物を利用して
苛性ソーダをもたらし、以下の反応を行う。
【0035】Na2CO3 + 2H2O → 2NaO
H + H2CO32CO3 → H2O + CO2 従って本発明のプロセスでは炭酸ないし重炭酸ナトリウ
ムを2つの成分、即ち苛性ソーダと不安定で水と二酸化
炭素に分解する炭酸に分解する。その結果、苛性ソーダ
を、酸性硫酸ナトリウムや純粋硫酸の場合のように市販
に困難が伴う副産物無しに生成することが出来る。
【0036】更に、本発明の水素減極陽極構造体を使用
することで、セル単体の電圧は3000アンペア/m2 で僅
か2.3−2.5ボルトで、エネルギー消費量はトン当りの苛
性ソーダに対して約1800kWhである。
【0037】本発明のプロセスでは、陽極室41内で行
われる酸性化処理によりセル内での沈澱につながり、導
管を閉塞するほとんど不溶性の重炭酸ナトリウムを生成
するので、炭酸ナトリウムを直接電気分解しない。その
ような問題を避けるとすれば、セルと槽15の間には高
速の再循環を設けるべきである。それは再循環に対する
高いエネルギー消費量とポンプ及びセル、槽15、精製
槽18を構成する関連循環系に対するかなりの投資コス
トにより、電解法を不利な立場に置くことになる。
【0038】更に、炭酸ないし重炭酸ナトリウム溶液の
導電性は硫酸ナトリウムないし硫酸溶液の導電性よりも
かなり低いので、本発明に一般的なものに関してかなり
高いセル電圧が経験されるはずである。
【0039】17を通して槽15に供給される炭酸ない
し重炭酸塩の純度により、システムで一定のパ−ジが必
要となる。この場合、硫酸ナトリウムの酸性溶液の一部
は、中和を行う処理装置19に送られる。
【0040】単なる指標であり、本発明を限定するもの
でないが、溶液には20を通して中和剤としての追加炭
酸カルシウムが加えられ、22で沈澱した硫酸カルシウ
ムを分離する。硫酸ナトリウムと炭酸ないし重炭酸ナト
リウムと共に導入され循環系で蓄積された不純物からな
る液体21は希釈後、排出される。槽15ないし精製槽
18を出る別法の溶液は、例えば蒸発ないし結晶化によ
り精製して溶液の一部を抜き出すことからなる。この場
合、結晶化した硫酸ナトリウムは24を通してリサイク
ルされ、不純物で濃縮された硫酸ナトリウムの小量の濃
縮液を含む母液は希釈後、放出される。ほとんどの場
合、炭酸ないし重炭酸塩ないしその混合物に伴う(特に
トロナ鉱物)そしてそれ故に硫酸ナトリウム溶液内に蓄
積する水溶性の不純物は、塩化ナトリウムである。
【0041】酸素発生陽極による場合、硫酸ナトリウム
溶液中に塩化物が存在することは、実際的な問題とな
る。実際、塩化物は容易に酸化されて依然主要なガス状
産物である酸素と混合する塩素となる。一定値以上に塩
素が存在すると、酸素を大気に自由に放出する際に妨げ
になる。このため硫酸ナトリウム溶液中の塩化物の濃度
は、実質的なパ−ジにより出来る限り低くするかあるい
は代わりに塩素含有酸素をアルカリ溶液で洗浄しなけれ
ばならない。本発明の水素減極陽極を使用することで、
非常な改善をもたらすことが出来る。
【0042】実際、膜13は液体と電極触媒シートを完
全に分離する物理的障壁になる。更に負のイオン化基が
豊富なカチオン膜の内部構造は、塩化物のような負のイ
オンに対して強力な反発力を加える。たまたま、塩化物
が膜を通過して移動することに成功しても、それらは水
素により電圧が低く維持された電極触媒シートにより酸
化されることはない。
【0043】図3の11で得られた酸性溶液を工場で直
接使用することが出来るならば、図3のプロセスは図4
に例示されたように適切に変更することが出来る。
【0044】この場合、循環系に24で供給される原材
料は、結晶の硫酸ナトリウムないしセスキ硫酸ナトリウ
ムあるいは、場合により、その溶液で形成する。プロセ
スの全体的な質量バランスに必要ならば、16を通して
水を加えることが出来る。槽15を出た溶液は精製槽1
8で不溶性の物質が濾過され、ノズル10で電解槽1に
供給される。ノズル11から取り出された電気分解され
た液体は部分的に槽15に供給され、又部分的に利用す
るために流路33に送られる。上記の液体は硫酸を含有
した硫酸ナトリウム溶液で出来ており、硫酸の最大許容
濃度は膜2を通過するNa+ の代わりにH+ の移行によ
る、水酸化ナトリウムの形成での効率ロスを避ける必要
性により決定される。しかし上記の最大許容濃度は、流
路33を様々な化学的プロセスで利用できるようにする
ものである。陰極側は、図3の説明に関してと不変のま
まである。酸性硫酸ナトリウム溶液が有用でなければ、
流路33から取り出された液体は炭酸カルシウムで中和
することが出来る。この場合、このプロセスでは硫酸ナ
トリウムを原材料として用い、苛性ソーダを有用な産物
として生成し、液化して市販できる純粋な二酸化炭素並
び不活性固体廃棄物として廃棄することが出来るあるい
は適切に処理して建設業界で使用するようにすることが
出来る硫酸カルシウムを生成する。 純粋な硫酸の生産
が望ましい場合は、図4のプロセスを図5のものに変換
することが出来る。陰極側は図3に関してと不変である
が、中間室42の硫酸ナトリウム循環系では24で硫酸ナ
トリウムを加え、所定の限度内で全体的な水のバランス
と酸度を保つために、水と炭酸ナトリウムを加えること
がある。ナトリウムイオンはカチオン交換膜2を通して
移動して陰極室40内で苛性ソーダを形成するが、硫酸イ
オンは同様にアニオン交換膜34を通して移動し、膜34と
本発明の陽極構造体の間に含まれる陽極室41で硫酸を
形成する。H+ イオンは本発明の減極陽極により供給さ
れる。該図は、硫酸濃度を制御下に保つため貯蔵タンク
35と37での水の噴射を有する硫酸循環系を有するた
め、より複雑になっている。純粋な硫酸は流路36で抜
き出され、使用するために送出される。単位電解セル
も、硫酸を形成するための室41と中間室42を含むた
め、より複雑になっている。膜2と膜34及び膜34と
本発明の陽極構造体の間のギャップは2つのスペーサ2
9と38により維持され、それは必要に応じて本発明の
陽極構造体に圧力を加えるのに有用な電解槽の内部構造
に対して一定の反発力を確保する役に立つ。残りの部分
に付いては、単位電解セルは図1のものと同様である。
【0045】最も望ましい水素源は陰極で発生する水素
であるが、本発明の減極陽極には異なる源(炭化水素の
スチーム・リフォーミング、精製水素、様々な化学的プ
ロセスのパ−ジ流、隔膜法塩素アルカリ電解槽からの水
素)から来る水素を供給することが出来ることは明かで
ある。水素は不活性ガスで希釈することが出来るが、唯
一の注意は、水素イオン化反応を行う触媒のありうる被
毒物質をなくすることである(一般的に一酸化炭素、硫
化水素およびそれらの派生物)。上記の例の作動温度に
関しては、電解液と膜の導電性をできる限り増大するた
めに、一般的に70−90゜Cの範囲が望ましい。
【0046】上記の説明で、硫酸ナトリウムを含有した
循環電解液のみを引用したが、これは例を提供すること
だけを意図したものであり、例えば炭酸ないし重炭酸酸
ナトリウムの間接電気分解の場合(図3)、酸性硫酸ナ
トリウムを含有する循環液は、酢酸ナトリウムなどの別
の塩あるいは酢酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどの塩
の混合物を含有する溶液で置き換えることが出来る。
【0047】同様に、酸性塩あるいは純粋な酸(図4、
5)を生成するプロセスは、硫酸ナトリウム以外の異な
る塩の利用に適応することが出来る。例えば結晶形態あ
るいは溶液の硝酸ナトリウムを24に供給する場合(図
4、5)、残留硝酸ナトリウムと硝酸の混合物を含有す
る溶液は流路33で得ることが出来(図4)、あるいは
純粋な硝酸溶液を36で得ることが出来る(図5)。
【0048】同様に、塩素酸ナトリウムを24に供給す
る場合(図4、5)、塩素酸ナトリウムと塩酸の混合物
を含有する溶液、あるいは純粋な塩酸を得ることが出来
る。塩素酸ナトリウムを含有する溶液内で硫酸ナトリウ
ムないし他の塩が存在する可能性からは、複雑さは生じ
ない。従来の技術で知られる水素減極陽極での電気分解
は、重大な問題が伴う(図2)。既に述べたように、こ
れらの陽極では、電解液、水素及び触媒は孔の内部で直
接接触するようになり、従って塩素酸から塩化物への還
元は不可避であり、結果的にプロセスの効率は失われ
る。 更に、塩を塩基と酸の2つの親成分に分離するプ
ロセスは、本発明の教示にしたがって行えば、有機酸の
アルカリ塩ないし有機塩基のハロゲン化物叉は硫酸塩と
いった有機的な性質を持つ塩に対して不都合なく適用す
ることが出来る。又、本発明による水素滅極陽極は、こ
れまでイオン交換膜等の隔膜で仕切った電解槽に適用し
た例に関して説明したが、隔膜を用いない無隔膜の電解
槽にも適用することができる。すなわち、本発明の水素
滅極陽極構造体は、イオン交換膜により電解液が電極触
媒シートと接触することがなく、水素の酸化によるH+
の供給が行われるのみであるから、電解液中の物質の陽
極酸化は起こらず、目的とする陰極反応のみを効率良く
行うことができる。
【0049】陰極による還元反応で生成物を得る場合、
例えば有機電解還元合成反応等では有機物が陽極と接触
すると酸化分解してしまう問題があり、また、電気メッ
キ等では添加物が陽極酸化により分解してしまう問題が
ある。その解決のため、隔膜を使用して陰極室と陽極室
を仕切ることが行われるが、電解槽の構造が複雑とな
り、電解電圧の上昇を来たし、しかも、特に極性を有し
ない有機物では、隔膜としてイオン交換膜を使用しても
陽極室への漏洩が起こり、陽極で分解されてスラッジが
生成し、隔膜の目詰まりや、電極の析出物被覆や被毒に
よる短寿命化等の困難な問題がある。本発明の水素滅極
陽極構造体を用いることにより、隔膜を用いることなし
に、上記したような陰極還元反応を何らそのような問題
や困難なしに行うことができる。
【0050】更に、本発明によるガス滅極電極は、陽極
だけでなく陰極にも適用することができる。従来からこ
の種の電極は、云わゆる酸素又は空気滅極陰極として種
々知られているが、電解液と陰極との接触により電極の
腐食が避けられず、実用化が困難であった。本発明によ
れば、イオン交換膜としてアニオン交換膜を用い、これ
に密着させた電極触媒シートに給電して湿潤酸素(又は
空気)から O2+2H2O+4e- → 4OH- なる反応で、OH- を生成し、イオン交換膜を通して生
成OH- を陰極室に移行させるガス滅極陰極構造体を構
成するので、電解液と陰極が接触せず、上記の困難な
く、低い電圧で長期間安定した電解を行うことができ
る。先述した陽極の場合と同様に電極触媒シートとして
は、例えば、導電性の炭素に白金等の触媒物質を担持さ
せたものをシート状に形成し、これを該イオン交換膜に
給電体と共に圧接させればよい。電極触媒層は電解液と
は接触しないが、湿潤酸素によって表面を水で覆われ酸
素との接触が不十分になるおそれがあるので、フッ素樹
脂等を混在させてある程度撥水性を保持させることが好
ましい。
【0051】腐食性の電解液に接触するイオン交換膜と
しては、フッ素樹脂系の耐食性のあるアニオン交換膜が
好ましい。給電体は、導電性であれば、雰囲気が腐食性
でないので特に限定されないが、ニッケルやステンレス
スチールの厚さ 0.2〜0.5mm位のエキスパンドメッシュ
や有孔板が好適に用いられ、更に白金等をメッキしたも
のであれば導電性がより向上する。
【0052】更に、本発明の電解プロセスは、アルカリ
及び酸を用いる種々の化学製造プロセスに適用すること
ができる。例えば、本発明のプロセスを第6図に例示し
た現行のアセテート・レーヨン製造プロセスに組み合わ
せることにより、第7図に例示するように該プロセスで
大きな問題である生成芒硝(硫酸ナトリウム)の排出な
しに使用する苛性ソーダと硫酸を系内で再使用し、リサ
イクルすることができる。すなわち、アセテート・レー
ヨンの製造は、図示したようにパルプに18%程度の苛性
ソーダを加えてアルカリセルロースを得、更に CS2(二
硫化炭素)を加えて粘稠体とした後、脱気し、希硫酸液
中に吹き出しノスズルから加圧吹き出し紡糸して繊維と
する。この後に洗浄脱硫してアセテートレーヨン繊維と
するが、繊維製造プロセスの硫酸液中には多量の苛性ソ
ーダが入るため、芒硝(硫酸ナトリウム)が含まれた硫
酸液となっており、これより適宜芒硝を取り出し、硫酸
を加えている。この芒硝は、市場性が低い等のためかな
りの量を廃棄せざるを得ないのが実情である。そこで、
生成される芒硝が混入した硫酸を2室法のガス滅極陽極
を使用する、図4の本発明の電解プロセスの陽極室に導
入し、陰極室より苛性ソーダを得、これを濃度調整後苛
性ソーダ処理工程へ戻し、また硫酸濃度が増した陽極液
を濃度調整して紡糸工程へ戻すことによりクローズ化
し、リサイクルが可能となる。その際、液管理上、ガス
電極を使用し、実質的に陽分極されない陽極を使用する
ことが必要であるが、本発明のプロセスを適用すること
により酸、アルカリの分離が可能となり、また、わずか
に混入する CS2や溶解繊維部分もそのままリサイクルさ
れるので、定常状態では硫酸中に含まれるこれらの不純
物も増加せず一定値に安定し、実質的に回収効率の向上
が図れ、同時に苛性ソーダ及び硫酸の消費を最小限にで
きることがわかる。
【0053】
【実施例】以下にいくつかの例を説明するが、これらは
本発明を分かりやすく例示するためのもので、本発明を
限定するものではない。
【0054】
【実施例1】図1に示したセルは、透明なポリメタルク
リレート樹脂による2つのハーフ・セルと、同じ材料で
作られたフレームをアセンブルすることによって形成さ
れており、3つの部分の断面積は10×10cm2であっ
た。
【0055】Du Pont社製のNafion(登録商標)324 に
よるカチオン交換膜2が、陰極ハーフ・セル40とフレ
ーム間に挿入され、周縁は、フラットなEPDMガスケ
ットによって密封された。 Du Pont社製のNafion(登録
商標)117 による第2のカチオン交換膜13が、フレー
ムのもう一方の側と陽極ハーフ・セル(水素ガス室4)
の間に挿入され、周縁はフラットな EPDMガスケッ
トによって密封された。イオン交換膜の水素ガス室40
に面する側は、柔軟性かつ多孔性の電極触媒シート12
と接触した状態に保たれた。該シートはポリテトラフル
オロエチレン粒子と白金粒子を、例えば、米国特許第
4,224,121号に記載にような既知の技法に従って、加熱
下で焼結することにより得られた。
【0056】陽極給電体は、剛性の目の粗いエキスパン
デッド金属スクリーン(14b) と、目の細かい柔軟性のエ
キスパンデッド金属スクリーン(14a) から構成され、2
つのスクリーンは、スポット溶接により予め互に結合さ
れた。目の粗いスクリーンと目の細かいスクリーンは、
両者共、チタニウム製で、白金族金属と弁金属の酸化物
混合体からなる導電性被覆により周知の方法で被覆され
た。 陰極は、厚さ2mmのエキスパンデッドニッケルメ
ッシュで構成し、イオン交換膜2に押し付けられ、そし
て、陽極給電体は本発明の陽極構造体、より詳しくは電
極触媒シートに押し付けられた。イオン交換膜2と本発
明の陽極構造体は、その間に挿入されたポリプロピレン
エキスパンドメッシュを多数重ねた層で作られたスペー
サー29の弾性反作用で所定の位置に保持された。 イ
オン交換膜2と陽極構造体との間隔は約3mmであった。
該セルは、総容量が8リットルを有する図3に示す回路に挿
入された。はじめに、陰極室40には、15%苛性ソーダ
が供給され、セルの陽極室41、槽15、精製槽18
(不溶物のフィルターからなる)及び排液処理装置19
によって形成される回路には、16%硫酸ナトリウムが供
給された。
【0057】水素ガス室4には、図示されていないスク
ラバーで適宜洗浄された、陰極室からの純水素が供給さ
れた。該回路には、0.03%の塩化ナトリウムを含む固体
炭酸ナトリウムが供給された。塩化物の蓄積は、毎時数
ミリリットルの溶液を放出することによって、約1g/
lに維持された。総電流は30Aで温度は80℃であっ
た。苛性ソーダと硫酸ナトリウムの各循環溶液の水力圧
ヘッドは、電極触媒シートと給電体に押し付けられたイ
オン交換膜13と、ポリプロピレンスペーサ−に押し付
けられたイオン交換膜2の状態を維持するために、適宜
調整された。
【0058】これらの条件下で、該システムは、約40g
/hで、17%苛性ソーダを生成し(ファラデー収率約90
%)、平均消費量は、Na2CO3としての炭酸ナトリウムが
約50g/hで、水素が約15リットル/h(周囲温度)で
あった。
【0059】セル電圧は、時間と共に、下記の目の粗い
及び細かいスクリーンのタイプの関数として記録され
た。
【0060】1.目の粗い、平滑化されたエキスパンデ
ッド金属シート 素チタニウム、厚さ3mm、菱形開口の短径10mm、長径20
mm 2.厚さ1mm、それ以外は1と同じ 3.厚さ1.5mm 、短径4mm、長径8mm、それ以外は1と
同じ 4.目の細かい平滑化されたエキスパンデッド金属シー
ト 0.5 μm の電気メッキ白金で被覆したチタニウム、厚さ
1mm、菱形開口の短径2mm、長径4mm 5.短径6mm、長径12mm、それ以外は4と同じ 6.厚さ0.5mm 、短径1.5mm 、長径3mm、それ以外は4
と同じ 7.穴を明けたチタニウムシート、厚さ1mm、穴の直径
1.5mm、0.5μmの電気メッキ白金被覆を有する 8.穴を明けたチタニウムシート、厚さ0.3mm、穴の直
径1mm、0.5μmの電気メッキ白金被覆を有する
【0061】表1に、かくして得られた結果を示すが、
それらは時間と共にすべて安定であった。
【0062】
【0063】これらの結果は、給電体に用いられた材料
がチタニウムの場合、セル電圧は目の粗いスクリーンの
1mmに至る厚みが低くなると共に、20mmに至る開口の対
角径が長くなると共に、増大することを明瞭に示してい
る。おそらく、これらのセル電圧の増大はオーム損失に
帰因することは確実で、このケースでは、厚みと開口の
対角寸法の臨界値は金属の電気伝導度の関数である。
【0064】目の細かいチタニウムスクリーンに関して
は、表1に示したデータは、テスト範囲で、その厚みは
運転成績に影響しないことを示している。おそらく、厚
さが1mmを越えれば、より低下する柔軟性、及びその結
果の、目の細かいスクリーンの目の粗いスクリーン形状
に対するより低下する適合性に帰因して、より不満足な
運転成績をもたらすであろうことは確実である。
【0065】逆に、開口の寸法は運転成績に非常に影響
し、12mmが最大許容限度値であることを示している。12
mmでのセル電圧の強い増加は、おそらく、電極触媒シー
トの余剰部分が圧縮されずに残り、イオン交換膜との接
触を取り失うことに帰因する。それ故、この限度値は、
目の細かいスクリーンを作る材料のタイプとは無関係に
有効であると考えられる。
【0066】該セルは酸素発生陽極を備えていないの
で、塩素ガスの発生に結びつく諸問題が除去される。そ
れ故、本実施例のプロセスにより、塩化物蓄積の最大許
容限度は本例での1g/リットルの値に関して、大きく
増加されて良く、その結果、かなりのパージの減少とな
る。
【0067】
【実施例2】実施例1における表1の3+7の組み合わ
せが、0.5 μm の電気メッキ白金被覆を有する、同じ粗
いエキスパンデッドチタニウムシートと、ハステロイ
C−276ニッケル合金製の、単に該目の粗いエキスパ
ンデッドチタニウムシートに押し付けた、目の細かい線
メッシュにより作られた同様の組み合わせに置き換えら
れた。該線メッシュは、直径0.5mm の線を間隔1mmとし
たものである。得られた結果は、該3+7の組み合わせ
で得られたものと同じであり、このことは、電極触媒シ
ートに接触する物質のタイプは、決定的ではなく、目の
細かい及び粗いスクリーン間のスポット溶接は、役に立
つ必要手段ではないことを示している。
【0068】該目の細かい線メッシュは、次に、厚さ0.
5mm の焼結チタニウム柔軟シートに置き換えられ、該シ
ートに浸み込ませた前駆化合物を含む溶液の熱分解によ
り得た、ルテニウムとチタニウムの混合酸化物の被覆を
施した。このケースの場合も、該シートは、0.5 μm の
電気メッキ白金被覆を有する目の粗いエキスパンデッド
チタニウムメッシュに、単に押し付けられた。 その結
果は、該3+7の組み合わせのものと同じであり、この
ことは、更に、目の細かいスクリーンに要求されること
は柔軟性及び電極触媒シートとの接触点の数の多さであ
り、一方、そのような柔軟性や多数の接触点を形成する
方法である、その構造は決定的ではないことを示してい
る。
【0069】
【実施例3】実施例1で用いたセルを解体し、給電体
(目の粗い及び細かい金属スクリーン)を厚さ10mmで平
均孔径が約 0.5mmの多孔性グラファイトのシートで置き
換えられた。残りの要素は変えずに、セルは再構成さ
れ、実施例1と同じ電解回路に挿入された。該セルは、
2.3V−2.4Vの間のセル電圧で運転され、実質的に時間と
共に安定していた。同様の結果は、グラファイトシート
の代わりに、厚さ10mmの、平均直径1mmの孔を有するス
テンレス鋼スポンジ(網状金属体として知られている)
シートを用いて得られた。
【0070】これら2つの実験は、本発明の目的を達成
するために、給電体を、そのエレメントが剛性や電極触
媒シートとの接触点の多さといった電流の均一な分布を
保証する特性と結びつくものであれば、単一のエレメン
トによっても構成してよいことを示している。しかし、
単一エレメントで作られた給電体は、高コスト(焼結金
属、金属スポンジ)で、もろい(多孔性グラファイトシ
ート)特性がある。
【0071】これらの理由で、実施例1及び実施例2の
目の粗いスクリーンと目の細かいスクリーンを有する給
電体は、本発明の最良具体化例である。
【0072】
【実施例4】実施例3に記載のテストに用いたセルは、
次いで解体され、該金属スポンジシ−トは、実施例1で
番号1として特定したものと同じ特性を有する、目の粗
いエキスパンデッドチタニウムスクリーンのみで置き変
えられた。該スクリーンは、0.5 μm の電気メッキ白金
被覆が施された。残りの要素は変更せず、セルは再構成
されて電解回路に挿入された。
【0073】前記したと同じ条件下で運転を行い、3.4V
のセル電圧が検出され、このことは、給電体と電極触媒
シートの間の接触点の数が不十分であったことを示して
いる。更なるテストで、該単一の目の粗いエキスパンデ
ッドチタニウムスクリーンは、実施例1で番号4として
特定したものと同じ特性を有する、目の細かいエキスパ
ンデッドチタニウムスクリーンで置き換えられ、0.5μ
mの電気メッキ白金被覆を施されていた。
【0074】そして該セルは、前記したと同じ条件で運
転され、セル電圧の結果は、2.8V−2.9V の間を示し
た。このケースで、比較的高いセル電圧は、給電体の過
度の薄さに帰因するオーム損失に、実質的に帰せられ
る。この理由で、厚さ3mm、菱形開口の短径2mm、長径
4mmの単一エキスパンデッドチタニウムスクリーンで作
られた給電体によって、更なるテストが行われた。再
び、セル電圧の結果は、2.8−3Vの間を示した。この高
いセル電圧の理由は、製造技術上の問題で減らすことが
できない値である約2mmに達するスクリーンの固定金属
部分の広がりに見出される。
【0075】この過度の広がりは、電極触媒シートの部
分的目隠し域を限定し、かくして、触媒部分を水素ガス
に対して有効でなくさせる。該広がりは、エキスパンデ
ッド金属スクリーンが、1mm又はそれ以下といった、十
分に薄い厚みの時のみに、1mm又はそれ以下に減少する
ことができる。このように、均一な分布、剛性、接触点
の多さを同時にもたせる要求を満たすことは単一エキス
パンデッド金属スクリーンによっては得られないことが
わかる。
【0076】
【実施例5】実施例1の3+7の組み合わせが、電極触
媒とバインダーの粒子の焼結により得られた柔軟性電極
触媒シートを、ELAT なる商標で、米国E−TEK
社により製造された活性化カーボンフェルトで作られた
柔軟性電極触媒シートに置き換えられて、更にテストさ
れた。
【0077】このケースでも、運転成績は実施例1の表
1に示したものと同じであった。更に、該3+7の組み
合わせは、該柔軟性活性化カーボンフェルトを、商品名
TGPH510で、東レ社により、製造された多孔性カ
ーボンシート上に、適当する前駆物質溶液の熱分解によ
り得た白金電極触媒を適用して得られた活性化カーボン
シートに置き換えてテストされた。このカーボンシート
は、殆ど柔軟性がなく、給電体との接触は、電解液とセ
ルの内部弾性構造体によるイオン交換膜上への作用圧力
下においてもかなり不十分で、その原因は、カーボンシ
ートの、完全に平担化できない給電体の形状に適合する
能力の無さに帰せられる。
【0078】セル電圧の結果は、3.2Vであり、時間と共
に増加する傾向を示した。このテストは、給電体の典型
的特性である、厚さ、剛性及び接触的の多さのほかに、
電極触媒シートが柔軟性であることが本質的に重要であ
ることを明らかに示している。
【0079】
【実施例6】実施例1の該3+7組み合わせによるセル
が、実施例1と同様の運転条件下で用いられた。但し、
唯一異なる点は、硫酸ナトリウム溶液に、水素イオン化
反応に対する毒作用物質として良く知られた、鉛及び水
銀イオンを数mg/リットル意図的にえたことである。
【0080】セル電圧は変わらなかった。この、不活性
化に対する驚くべき抵抗力は、毒作用物質を含む溶液と
電極触媒シート12の間の効果的保護障壁として作用す
る、イオン交換膜13の存在の結果である。同じ電解
が、EP0357077 に記載のような水素減極陽極を装着し
た電解槽によって行われた。この電解は、耐え難いセル
電圧の上昇が見られ、極めて短時間の運後中断しなけれ
ばならなかった。その最大の原因は、該シートの孔の内
部で溶液によりぬらされる触媒の被毒に帰せられる。
【0081】
【実施例7】該3+7の組み合わせによる実施例1に記
載したと同じ様なテストが繰り返された。但し、循環液
を下記に、運転温度を65℃に変更した。即ち、硫酸ナト
リウムの代わりに、 −塩化ナトリウム 200g/リットル −酢酸ナトリウム 250g/リットル −10%硫酸ナトリウムと10%酢酸ナトリウムの混合
物 −10%塩化ナトリウムと10%酢酸ナトリウムの混合
物 が用いられた。
【0082】それらの結果は、実施例1で示したものと
同じであり、このことは、酸のキャリア機能は、硫酸ナ
トリウム以外の異なるタイプの塩によって達成し得るこ
とを示している。唯一の差は、生成された酸の強度に関
係するもので、塩酸では高く、硫酸では中間で酢酸では
弱いものであった。苛性ソーダ生成のファラデー効率が
低化する前の、酸の最大蓄積許容量は、酸の強度が増す
につれて減少した。従って、酸溶液の流量速度(図3、
槽15への)は、釣り合うように変えなければならなか
った。
【0083】最良の結果は、塩の混合物の場合に得ら
れ、そこでは、強酸の塩、すなわち塩化ナトリウムは高
い電気伝導性を確保することに向けられ、一方、弱酸の
塩、すなわち酢酸は、酸蓄積体の働きをすることに向け
られていた。特に、10%塩化ナトリウム及び10%酢酸ナ
トリウム溶液の場合では、総電流30A(3000A/m2)
でセル電圧は2.5Vが検出され、エネルギ消費は、生成苛
性ソーダ1kg当り1.9kwhであった。
【0084】
【実施例8】実施例1の該3+7の組み合わせで記載し
た、本発明の水素減極陽極構造体を装着したセルが、図
4に記載した回路に用いられた。一般的条件は次の通り
であった。 −循環溶液濃度;120g/l硫酸及び250g/l硫酸
ナトリウム ;該溶液の一部は連続的に抜き出された(図4、33) −15への供給;固体硫酸ナトリウム、テクニカルグレ
ード −総電流;30A(3000A/m2) −温度;80℃ −苛性ソーダ;17% −苛性ソーダ及び硫酸ナトリウムの酸性溶液の、給電体
に押し付けられたNafion(登録商標)117 イオン交換膜
と電極触媒シート、及びポリプロピレンス ペ
ーサーに押し付けられたNafion(登録商標)324 イオン
交換膜をその状態 に維持するため調整された、
水力圧ヘッド
【0085】その結果、セル電圧は2.3Vで、生成苛性ソ
ーダ1kg当りの消費エネルギーは1.8kwh であった。ア
ルカリ性硫酸ナトリウム又は、セスキ硫酸ナトリウムを
供給した場合、結果は実質的に変わらなかった。
【0086】
【実施例9】酸溶液を抜き出さずに、粒状の化学的純炭
酸カルシウム(図4、15に供給)で完全に中和される
こと以外は、実施例8と同じ条件で運転した。また、結
晶硫酸ナトリウム及び水が該回路に加えられた。全体の
反応は、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム及び水を、苛
性ソーダ、硫酸カルシウム(図4、18で濾過される)
及び二酸化炭素に転換するものであった。
【0087】安定した運転を得るのに特に困難はなく、
総電流30A、セル電圧2.4Vで、18%苛性ソーダの生成
量40g/h(90% ファラデー効率、 1.9kwh/kg)及び約70g/
h の固体硫酸カルシウムを生成し、Na2SO4として70g/h
の硫酸ナトリウム及び50g/hの炭酸カルシウムが消費さ
れた。本発明のこの代替実施例により、実施例8の酸性
溶液が固体硫酸カルシウムに置き換えられ、それが、適
当な処理で無害な固体廃棄物とされ、または、建築産業
に利用され得ることは明らかである。
【0088】
【実施例10】実施例8の硫酸ナトリウム溶液の電解プ
ロセスが第5図の最も複雑な実施態様で再び行われた。
セルは、2つの透明なメタクリル樹脂によるハーフ・セ
ルと、同じ材料の2つのフレームを組み立てて作られ、
断面積は、10×10cm2であった。Du Pont 社製のカ
チオン交換膜Nafion(登録商標)324(図5の2)が陰
極ハーフ・セルと第1のフレーム間に配置され、周縁は
フラットなEPDMガスケットでシールされた。
【0089】旭硝子社製の、第2のアニオン交換膜Sele
mion(登録商標)AAV(図5の34)が第1及び第2の
フレーム間に配置され、周縁はフラットなEPDMガス
ケットでシールされた。
【0090】Nafion(登録商標)117 イオン交換膜1
3、登録商標ELAT、米国E−TEK社製の、電極触
媒性黒鉛化カーボンフェルト12、及び給電体14とし
て実施例1の3+7組み合わせからなる本発明の水素減
極陽極構造体が、第2のフレーム及び水素ガス室4の間
に配置された。
【0091】各フレーム及び関連するガスケットの厚さ
に相当する、イオン交換膜間の距離は3mmで、関連する
空間は、ポリプロピレン製の目の粗いメッシュ織物の多
数層から作られた弾力性のあるスペーサー(図5の29
及び38)で充填された。陰極3及び給電体14は、ス
ペーサーの弾性反作用でしっかりと位置を保持された該
イオン交換膜に押し付けられた。
【0092】はじめに、該セルに供給された溶液は、15
%苛性ソーダ、16%硫酸ナトリウム、5%硫酸であっ
た。化学的純硫酸ナトリウム、液量及び濃度を不変に保
つための水、および硫酸ナトリウム溶液をほぼ中性に保
つための苛性ソーダが回路に供給された(図5の1
5)。
【0093】総電流30Aで、該システムは、3.7V、60
℃で連続運転され、40g/h の17%苛性ソーダ(ファラデ
ー効率90%)及び41g/h の12%硫酸を生成し、60g/h の
固体硫酸ナトリウム及び6.5g/hの苛性ソーダを、平均で
消費した。エネルギー消費は、生成苛性ソーダ1kg当り
2.9kwhであったが、硫酸ナトリウム溶液の中性を保つた
めに要する苛性ソーダ消費を算入すると、実際に得られ
る苛性ソーダでは 3.3kwh/kgとなる。
【0094】
【実施例11】実施例10の水素減極陽極構造体を備え
たセルが、同じ条件で、但し、結晶硫酸ナトリウム及び
16%硫酸ナトリウム溶液を、それぞれ、化学的純固体塩
化ナトリウム及び20%塩化ナトリウム溶液で置き換えて
運転された。同じ運転条件で、18%苛性ソーダ溶液及び
2%塩酸溶液が、同じファラデー効率及び低エネルギ消
費で得られた。銘記すべきは、該陽極構造体の存在が、
アニオン交換膜に取り返しのつかない損傷を与えるはず
の塩素の生成を回避することである。
【0095】同様の結果は、15%の硝酸ナトリウム溶液
及び結晶硝酸ナトリウムを用いて得られ、このケースで
は、15%苛性ソーダ溶液及び3%硝酸溶液が得られ、常
に安定した運転条件のもとに高いファラデー効率と低い
エネルギ消費であった。この実施例11のセルは、ま
た、有機酸又は塩基の塩の電気分解に用いられた。第1
のケースでは、セルは、始期12%乳酸ナトリウム溶液及
び固体乳酸ナトリウムで運転された。実施例10と同じ
条件で運転し、高ファラデー効率、低エネルギ−消費及
び副産物なしで、13%苛性ソーダ溶液及び10%乳酸溶液
が得られた。たいていの有機酸で起こることであるが、
乳酸は陽極酸化に耐えられないので、酸素発生陽極によ
る従来の技術では、全く不満足な結果となるはずであ
る。
【0096】更に、本発明の水素陽極構造体を備えたセ
ルは、上記乳酸ナトリウムで記した条件下で、テトラエ
チルアンモニウム臭化物を電解的に分解するのに用いら
れた。苛性ソーダの代わりに、デリケートなアニオン交
換膜を直ちに損傷するはずの臭素の同時生成なしで、水
酸化テトラエチルアンモニウム溶液及び2%臭素酸溶液
が得られた。ファラデー効率は、依然高く、エネルギ消
費はとりわけ低かった。
【0097】
【実施例12】実施例8に記したと同じ様のテストが再
び行われた。その際、硫酸ナトリウム及び硫酸からなる
循環溶液を、第1のケースでは、始期約 600g/リットル
の塩素酸ナトリウムを含む溶液で、第2のケースでは、
始期200g/リットルの硫酸ナトリウム及び 200g/リット
ルの塩素酸ナトリウムを含む溶液で置き換えた。
【0098】両ケースにおける運転条件は次の通りであ
った。 −温度;60℃ −総電流;30A (300A/m2) セル電圧約2.3Vで −14%苛性ソーダ −第1ケースは塩素酸ナトリウム 第2ケースは塩素酸ナトリウム+硫酸ナトリウム(図4
の15に供給) −イオン交換膜13及び電極触媒シート12を給電体1
4に押し付け、そしてイオン交換膜2をポリプロピレン
スペーサーに押し付けた状態を維持するような、苛性ソ
ーダと塩素酸ナトリウム溶液の水力圧ヘッド
【0099】その結果、エネルギ消費は苛性ソーダ1kg
当り約2kwh であった。
【0100】電流効率の明らかな低下を観測する前の、
循環する酸と塩の溶液中に得られる最大許容酸性度は、
第1のケースで約 0.5−1ノルマルで、第2のケースで
約2−2.5 ノルマルであった。本発明の水素減極陽極
を、EP0357077 に記載の水素減極陽極に置き換えて、
該テストを行う試みは、数時間の運転後、電解液、水素
及び触媒粒子が直接接触することになるところの、電極
の孔中で生起する、塩素酸の塩化物への非常な還元のた
め失敗した。
【0101】
【実施例13】陽イオン交換膜としてDu Pont社製Nafio
n(登録商標)117を用い、炭素繊維シートに多孔性グラ
ファイト粉末を約50μm の厚さに被覆した担体に塩化ル
テニウム水溶液を塗布し、水素雰囲気中で 300℃で加熱
してルテニウムを担持させた電極触媒層を前記イオン交
換膜上に載置し、更に該触媒シートに厚さ0.2mm のジル
コニウムエキスパンドメッシ給電体を接触させて陽極構
造体を構成した。これと純鉛の陰極とで無隔膜の電解槽
を構成し、陽極構造体側に理論量の5%増の水素を送り
ながら電解還元を行った。
【0102】電解液としてm−アミノ安息香酸エチルエ
ステル90g 、濃硫酸200g及び水1710g からなる液(PH=0.
18) を注入しながら、電流密度7A/dm2、温度約20℃で電
解を行った。その結果、12時間の電解によりm−アミノ
ベンジルアルコール45g が得られ、その際電解液には全
くスラッジ等の生成はなく、更に電解を続行することが
できた。一方、陽極及び陰極を白金メッキチタンとし無
隔膜で同様に電解したところ、12時間で電極液は黒色ス
ラッジに覆われて電解の継続が不可能となり、またm−
アミノベンジルアルコールの生成量はわずかに 20gであ
った。
【0103】
【実施例14】イオン交換膜として、東ソー社製のフッ
素系のアニオン交換交換膜(商品名トスフレックスIE
−SA−48−5)を用い、電極触媒担持体としての、
大阪ガス社製炭素繊維布に、平均粒径5μm のグラファ
イト粉末をPTFE樹脂と混練した層状物を形成し、該
層に塩化白金酸の水溶液を塗布し、ヒドラジン液で還元
処理した後 200℃で30分加熱して電極触媒シートとし、
該シートを前記イオン交換膜の片面に、厚さ0.2mm のニ
ッケル製エキスパンドメッシュ給電体と共に圧接して、
陰極構造体を構成した。この陰極構造体を陽イオン交換
膜で2室に仕切った電解槽の陰極として設置し、陽極と
して、チタンメッシ上に酸化イリジウムを被覆した不溶
性電極を用いた。該電解槽の陽極室に20%Na2SO4水溶液
を送り、陰極室には20%NaOHとなるように脱イオン水を
送りながら、温度70℃、電流 20A/dm2で電解を行った。
陰極構造体側には、理論量の20%増の酸素を供給した。
その結果、槽電圧は2.6Vであった。これに対し、陰極を
従来のラネーニッケルを被覆したニッケルメッシュから
なる活性化陰極として同様の電解を行ったところ、槽電
圧は3.4Vとなり、本発明により約800mV の電圧低下が得
られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単位電解セルの概要を例示する図であ
る。
【図2】先行技術による水素減極陽極構造体を備えた電
解槽の概要を例示する図である。
【図3】本発明の水素減極陽極構造体を備えた電解槽の
概要によって行われるプロセスの概要を例示する図であ
る。
【図4】本発明の水素減極陽極構造体を備えた電解槽の
概要によって行われる他のプロセスの概要を例示する図
である。
【図5】図4のプロセスの代替実施態様の概要を例示す
る図である。
【図6】従来のビスコ−スレ−ヨン製造プロセスの概要
を例示する説明図である。
【図7】図6のプロセスに、本発明の電解プロセスを適
用したプロセスの概要を例示する説明図である。
【符号の説明】
1 単位電解セル 2 カチオン交換膜 3 陰極 4 ガス室 7 ガス分離装置 12 電極触媒シ−ト 13 カチオン交換膜 14 給電体 15 槽 18 精製槽 19 処理装置 26 ガスケット 29 スペ−サ− 30 多孔性電極シ−ト 34 アニオン交換膜 35 貯蔵槽 38 スペ−サ− 40 陰極室 41 陽極室 42 中間室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01D 5/06 102 A 7199−3B

Claims (75)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一枚のイオン交換膜によって
    仕切られた室と、各室に電解液を供給する循環系と、各
    室からの電解生成物を抜き出す循環系と、陰極と、水素
    含有ガスが供給され、水素ガス室を形成する水素減極陽
    極構造体とからなる少なくとも一つの単位電解セルから
    なり、 前記水素減極陽極構造体が、カチオン交換膜と、多孔性
    かつ柔軟性の電極触媒シ−トと、前記電極触媒シ−トと
    多数の接触点を有する導電性かつ多孔性の給電体とから
    なり、前記カチオン交換膜、電極触媒シ−ト及び給電体
    を、結合することなしに、加圧手段によって、ともに接
    触せしめたことを特徴とする電解槽。
  2. 【請求項2】 前記陽極構造体のカチオン交換膜が、耐
    酸性膜であることを特徴とする請求項1に記載の電解
    槽。
  3. 【請求項3】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン化
    のための電極触媒を含有するカ−ボンまたは、黒鉛化さ
    れた薄層よりなることを特徴とする請求項1に記載の電
    解槽。
  4. 【請求項4】 前記電極触媒シ−トが、結合剤と、水素
    のイオン化のための電気導電性でかつ電極触媒性の粒子
    を含むフィルムであることを特徴とする請求項1に記載
    の電解槽。
  5. 【請求項5】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン化
    のための電極触媒よりなる被覆を有する微細な網状金属
    シ−トよりなることを特徴とする請求項1に記載の電解
    槽。
  6. 【請求項6】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン化
    のための電極触媒を含む焼結金属シ−トよりなることを
    特徴とする請求項1に記載の電解槽。
  7. 【請求項7】 前記給電体が、弁金属よりなり、電気導
    電性被覆を有することを特徴とする請求項1に記載の電
    解槽。
  8. 【請求項8】 前記給電体が、多孔性で、目の粗い、剛
    性の金属スクリ−ンと、多孔性で、目の細かい、柔軟性
    の金属スクリ−ンとよりなり、互いに接触されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電解槽。
  9. 【請求項9】 前記目の粗い金属スクリ−ンと前記目の
    細かい金属スクリ−ンが、スポット溶接によって、互い
    に結合されていることを特徴とする請求項8に記載の電
    解槽。
  10. 【請求項10】 前記目の粗い金属スクリ−ンが、目の
    粗いエキスパンデッド金属シ−トであり、前記目の細か
    い金属スクリ−ンが、目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トであることを特徴とする請求項8に記載の電解
    槽。
  11. 【請求項11】 前記目の粗いエキスパンデッド金属シ
    −トの最小の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線の
    最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、20ミリメ
    −トルであることを特徴とする請求項10に記載の電解
    槽。
  12. 【請求項12】 前記目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トの最大の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線
    の最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、12ミリ
    メ−トルであることを特徴とする請求項10に記載の電
    解槽。
  13. 【請求項13】 前記給電体が、多孔性黒鉛の単一シ−
    トよりなることを特徴とする請求項1に記載の電解槽。
  14. 【請求項14】 前記給電体が、金属スポンジの単一シ
    −トよりなることを特徴とする請求項1に記載の電解
    槽。
  15. 【請求項15】 前記加圧手段が、前記カチオン交換膜
    の、前記電極触媒シ−トと接触する側と反対側の面と接
    触する電解液による圧力であることを特徴とする請求項
    1に記載の電解槽。
  16. 【請求項16】 前記加圧手段が、弾性力によることを
    特徴とする請求項1に記載の電解槽。
  17. 【請求項17】 前記単位電解セルが、一枚のカチオン
    交換膜によって仕切られた陽極室と陰極室との二室より
    なることを特徴とする請求項1に記載の電解槽。
  18. 【請求項18】 前記単位電解セルが一枚のカチオン交
    換膜と一枚のアニオン交換膜によって仕切られた陽極室
    と陰極室と中間室の三室よりなることを特徴とする請求
    項1に記載の電解槽。
  19. 【請求項19】 塩の溶液の電解によってアルカリ及び
    酸を含有する溶液を製造する方法であって、1枚のカチ
    オン交換膜で陰極室と陽極室に仕切った、少なくとも一
    つの単位電解セルよりなる請求項17に記載の電解槽を
    用い、 (a)前記カチオン交換膜と前記陽極構造体によって仕
    切られた陽極室の陽極液の循環系に、固体または液体と
    して塩を供給すること (b)前記陽極液の循環系から、残留する塩及び酸を分
    離すること (c)前記陰極液の循環系から、アルカリを分離するこ
    と (d)前記水素含有ガスを、前記水素ガス室に供給する
    こと を特徴とする電解方法。
  20. 【請求項20】 塩の溶液の電解によってアルカリ及び
    純粋な酸を含有する溶液を製造する方法であって、1枚
    のカチオン交換膜と一枚のアニオン交換膜とによって陰
    極室と陽極室と中間室とに仕切った、少なくとも一つの
    単位電解セルよりなる請求項18に記載の電解槽を用
    い、 (a)前記カチオン交換膜とアニオン交換膜によって仕
    切られた中間室の溶液の循環系に、固体または液体とし
    て塩を供給すること (b)前記中間室の溶液の循環系から、塩の希釈溶液を
    分離すること (c)前記カチオン交換膜によって仕切られた、陰極室
    の陰極液の循環系からアルカリを分離すること (d)前記アニオン交換膜と前記陽極構造体とによって
    仕切られた、陽極室の陽極液の循環系から純粋な酸溶液
    を分離すること (e)水素含有ガスを、前記水素ガス室に供給すること を特徴とする電解方法。
  21. 【請求項21】 固体または液体としての前記塩が、前
    記陽極構造体の水素イオン化触媒のための毒作用剤を含
    有し、いかなる精製処理をも施さない事を特徴とする請
    求項19または20に記載の電解方法。
  22. 【請求項22】 固体または液体としての前記塩が、還
    元されうる物質を含有する事を特徴とする請求項19ま
    たは20に記載の電解方法。
  23. 【請求項23】 固体または液体としての前記塩が、中
    性である事を特徴とする請求項19または20に記載の
    電解方法。
  24. 【請求項24】 固体または液体としての前記塩が、ア
    ルカリ性である事を特徴とする請求項19または20に
    記載の電解方法。
  25. 【請求項25】 固体または液体としての前記塩が、酸
    性である事を特徴とする請求項19または20に記載の
    電解方法。
  26. 【請求項26】 固体または液体としての前記塩が、硫
    酸ナトリウムまたはセスキ硫酸ナトリウムであり、アル
    カリの前記溶液が水酸化ナトリウムであり、残留する塩
    及び酸を含有する溶液が、硫酸ナトリウムと硫酸を含有
    する事を特徴とする請求項19に記載の電解方法。
  27. 【請求項27】 硫酸ナトリウムと硫酸を含有する前記
    塩が、炭酸カルシウムによって、少なくとも部分的に中
    和され、硫酸カルシウムとして除去するためろ過され、
    必要に応じて精製され、電解に戻される事を特徴とする
    請求項26に記載の電解方法。
  28. 【請求項28】 硫酸ナトリウムと硫酸を含有する前記
    塩が、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムによっ
    て、少なくとも部分的に中和され、不溶性物質を除去す
    るためろ過され、必要に応じて精製され、電解に戻され
    る事を特徴とする請求項26に記載の電解方法。
  29. 【請求項29】 固体または液体としての前記塩が、塩
    化ナトリウムである事を特徴とする請求項19または2
    0に記載の電解方法。
  30. 【請求項30】 固体または液体としての前記塩が、塩
    素酸ナトリウムである事を特徴とする請求項19または
    20に記載の電解方法。
  31. 【請求項31】 固体または液体としての前記塩が、有
    機酸の塩である事を特徴とする請求項19または20に
    記載の電解方法。
  32. 【請求項32】 固体または液体としての前記塩が、有
    機塩基の塩である事を特徴とする請求項19または20
    に記載の電解方法。
  33. 【請求項33】 固体または液体としての前記塩が、塩
    の混合物である事を特徴とする請求項19に記載の電解
    方法。
  34. 【請求項34】 前記塩の混合物が、塩化ナトリウム及
    び酢酸ナトリウムよりなり、アルカリの溶液が水酸化ナ
    トリウムであり、残留する塩及び酸の溶液が、塩化ナト
    リウム、酢酸ナトリウム及び酢酸を含有し、炭酸ナトリ
    ウムまたは重炭酸ナトリウムによって、少なくとも部分
    的に中和され、不溶性物質を除去するためろ過され、必
    要に応じて精製され、電解に戻される事を特徴とする請
    求項33に記載の電解方法。
  35. 【請求項35】 前記塩の混合物が、塩素酸ナトリウム
    及び硫酸ナトリウムまたはセスキ硫酸ナトリウムよりな
    る事を特徴とする請求項33に記載の電解方法。
  36. 【請求項36】 固体または液体としての前記塩が、硫
    酸ナトリウムまたはセスキ硫酸ナトリウムよりなり、前
    記アリカリの溶液が水酸化ナトリウムであり、前記純粋
    な酸の溶液が純粋な硫酸である事を特徴とする請求項2
    0に記載の電解方法。
  37. 【請求項37】 前記水素含有ガスが、前記単位電解セ
    ルの前記陰極で生成される水素である事を特徴とする請
    求項19または20に記載の電解方法。
  38. 【請求項38】 無隔膜の電解室と、該電解室に電解液
    を供給する循環系と、該電解室からの電解生成物を抜き
    出す循環系と、陰極と、水素含有ガスが供給される水素
    ガス室を形成する水素減極陽極構造体とからなる少なく
    とも一つの単位電解セルからなり、前記水素減極陽極構
    造体が、カチオン交換膜と、多孔性かつ柔軟性の電極触
    媒シ−トと、前記電極触媒シ−トと多数の接触点を有す
    る導電性かつ多孔性の給電体とからなり、前記カチオン
    交換膜、電極触媒シ−ト及び給電体を、結合することな
    しに、加圧手段によって、ともに接触せしめたことを特
    徴とする電解槽。
  39. 【請求項39】 前記陽極構造体のカチオン交換膜が、
    耐酸性膜であることを特徴とする請求項38に記載の電
    解槽。
  40. 【請求項40】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒を含有するカ−ボンまたは、黒鉛化
    された薄層よりなることを特徴とする請求項38に記載
    の電解槽。
  41. 【請求項41】 前記電極触媒シ−トが、結合剤と、水
    素のイオン化のための電気導電性でかつ電極触媒性の粒
    子を含むフィルムであることを特徴とする請求項38に
    記載の電解槽。
  42. 【請求項42】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒よりなる被覆を有する微細な網状金
    属シ−トよりなることを特徴とする請求項38に記載の
    電解槽。
  43. 【請求項43】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒を含む焼結金属シ−トよりなること
    を特徴とする請求項38に記載の電解槽。
  44. 【請求項44】 前記給電体が、弁金属よりなり、電気
    導電性被覆を有することを特徴とする請求項38に記載
    の電解槽。
  45. 【請求項45】 前記給電体が、多孔性で、目の粗い、
    剛性の金属スクリ−ンと、多孔性で、目の細かい、柔軟
    性の金属スクリ−ンとよりなり、互いに接触されている
    ことを特徴とする請求項38に記載の電解槽。
  46. 【請求項46】 前記目の粗い金属スクリ−ンと前記目
    の細かい金属スクリ−ンが、スポット溶接によって、互
    いに結合されていることを特徴とする請求項45に記載
    の電解槽。
  47. 【請求項47】 前記目の粗い金属スクリ−ンが、目の
    粗いエキスパンデッド金属シ−トであり、前記目の細か
    い金属スクリ−ンが、目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トであることを特徴とする請求項45に記載の電解
    槽。
  48. 【請求項48】 前記目の粗いエキスパンデッド金属シ
    −トの最小の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線の
    最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、20ミリメ
    −トルであることを特徴とする請求項47に記載の電解
    槽。
  49. 【請求項49】 前記目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トの最大の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線
    の最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、12ミリ
    メ−トルであることを特徴とする請求項47に記載の電
    解槽。
  50. 【請求項50】 前記給電体が、多孔性黒鉛の単一シ−
    トよりなることを特徴とする請求項38に記載の電解
    槽。
  51. 【請求項51】 前記給電体が、金属スポンジの単一シ
    −トよりなることを特徴とする請求項38に記載の電解
    槽。
  52. 【請求項52】 前記加圧手段が、前記カチオン交換膜
    の、前記電極触媒シ−トと接触する側と反対側の面と接
    触する電解液による圧力であることを特徴とする請求項
    38に記載の電解槽。
  53. 【請求項53】 前記加圧手段が、弾性力によることを
    特徴とする請求項38に記載の電解槽。
  54. 【請求項54】 無隔膜の電解室と、該電解室に電解液
    を供給する循環系と、該電解室からの電解生成物を抜き
    出す循環系と、陰極と、水素含有ガスが供給される水素
    ガス室を形成する水素減極陽極構造体とからなる少なく
    とも一つの単位電解セルからなり、前記水素減極陽極構
    造体が、カチオン交換膜と、多孔性かつ柔軟性の電極触
    媒シ−トと、前記電極触媒シ−トと多数の接触点を有す
    る導電性かつ多孔性の給電体とからなり、前記カチオン
    交換膜、電極触媒シ−ト及び給電体を、結合することな
    しに、加圧手段によって、ともに接触せしめた電解槽を
    用い、前記電解室に塩の溶液を供給し、前記陰極におい
    て電解還元を行う事を特徴とする電解方法。
  55. 【請求項55】 前記電解液が、有機化合物の溶液であ
    ることを特徴とする請求項54に記載の電解方法。
  56. 【請求項56】 前記電解液が、金属の塩の溶液であ
    り、前記陰極に該金属を還元析出させることを特徴とす
    る請求項54に記載の電解方法。
  57. 【請求項57】 イオン交換膜と、多孔性かつ柔軟性の
    電極触媒シ−トと、該電極触媒シ−トと多数の接触点を
    有する導電性かつ多孔性の給電体とからなり、該イオン
    交換膜、電極触媒シ−ト及び給電体を、結合することな
    しに、加圧手段によって、ともに接触せしめて一体と
    し、該イオン交換膜を電解液側に配置し、該電極触媒シ
    −ト側に反応ガスを供給し、該給電体に給電することを
    特徴とする電解用電極構造体。
  58. 【請求項58】 前記イオン交換膜がカチオン交換膜で
    あり、反応ガスが水素であり、電極反応が水素の酸化で
    ある請求項57に記載の電解用電極構造体。
  59. 【請求項59】 前記イオン交換膜がフッ素系カチオン
    交換膜である請求項57に記載の電解用電極構造体。
  60. 【請求項60】 前記イオン交換膜がアニオン交換膜で
    あり、反応ガスが酸素であり、電極反応が酸素の還元反
    応である請求項57に記載の電解用電極構造体。
  61. 【請求項61】 前記イオン交換膜がフッ素系アニオン
    交換膜である請求項57に記載の電解用電極構造体。
  62. 【請求項62】 前記イオン交換膜が、耐酸性膜である
    ことを特徴とする請求項57に記載の電解用電極構造
    体。
  63. 【請求項63】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒を含有するカ−ボンまたは、黒鉛化
    された薄層よりなることを特徴とする請求項57に記載
    の電解用電極構造体。
  64. 【請求項64】 前記電極触媒シ−トが、結合剤と、水
    素のイオン化のための電気導電性でかつ電極触媒性の粒
    子を含むフィルムであることを特徴とする請求項57に
    記載の電解用電極構造体。
  65. 【請求項65】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒よりなる被覆を有する微細な網状金
    属シ−トよりなることを特徴とする請求項57に記載の
    電解用電極構造体。
  66. 【請求項66】 前記電極触媒シ−トが、水素のイオン
    化のための電極触媒を含む焼結金属シ−トよりなること
    を特徴とする請求項57に記載の電解用電極構造体。
  67. 【請求項67】 前記給電体が、弁金属よりなり、電気
    導電性被覆を有することを特徴とする請求項57に記載
    の電解用電極構造体。
  68. 【請求項68】 前記給電体が、多孔性で、目の粗い、
    剛性の金属スクリ−ンと、多孔性で、目の細かい、柔軟
    性の金属スクリ−ンとよりなり、互いに接触されている
    ことを特徴とする請求項57に記載の電解用電極構造
    体。
  69. 【請求項69】 前記目の粗い金属スクリ−ンと前記目
    の細かい金属スクリ−ンが、スポット溶接によって、互
    いに結合されていることを特徴とする請求項68に記載
    の電解用電極構造体。
  70. 【請求項70】 前記目の粗い金属スクリ−ンが、目の
    粗いエキスパンデッド金属シ−トであり、前記目の細か
    い金属スクリ−ンが、目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トであることを特徴とする請求項68に記載の電解
    用電極構造体。
  71. 【請求項71】 前記目の粗いエキスパンデッド金属シ
    −トの最小の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線の
    最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、20ミリメ
    −トルであることを特徴とする請求項68に記載の電解
    用電極構造体。
  72. 【請求項72】 前記目の細かいエキスパンデッド金属
    シ−トの最大の厚さと、該金属シ−トの開口部の対角線
    の最大の長さが、それぞれ、1ミリメ−トル、12ミリ
    メ−トルであることを特徴とする請求項68に記載の電
    解用電極構造体。
  73. 【請求項73】 前記給電体が、多孔性黒鉛の単一シ−
    トよりなることを特徴とする請求項57に記載の電解用
    電極構造体。
  74. 【請求項74】 前記給電体が、金属スポンジの単一シ
    ートよりなることを特徴とする請求項57に記載の電解
    用電極構造体。
  75. 【請求項75】 ビスコースからの紡糸を、硫酸ナトリ
    ウムと硫酸混合液中で行うビスコースレーヨンを製造す
    る方法において、紡糸用に使用した硫酸ナトリウムと硫
    酸混合液を、請求項17に記載の二室法イオン交換膜電
    解槽の前記陽極室に送って、電解塩分離を行い、前記陰
    極室において苛性ソーダを生成させ、その苛性ソーダを
    アルカリセルロース製造プロセスにもどすと共に、陽極
    液である硫酸過剰の硫酸ナトリウム混合液をビスコース
    紡糸液にもどすことを特徴とする、苛性ソーダ、及び硫
    酸の消費を最小限とするビスコースレーヨンの製造にお
    ける電解方法。
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