JPH05194104A - 農薬組成物とその施用方法 - Google Patents

農薬組成物とその施用方法

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JPH05194104A
JPH05194104A JP4256088A JP25608892A JPH05194104A JP H05194104 A JPH05194104 A JP H05194104A JP 4256088 A JP4256088 A JP 4256088A JP 25608892 A JP25608892 A JP 25608892A JP H05194104 A JPH05194104 A JP H05194104A
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寛 佐飛
Kazuhiko Tsubota
和彦 坪田
Yasuhiro Tsujino
泰宏 辻野
Toyokuni Honma
豊邦 本間
Masahiro Teramura
正弘 寺村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】水中で又は水面で容易に崩壊分散又は溶解する
農薬粒剤を、撥水剤と拡展剤とで被覆し、被覆後の農薬
粒剤の水面浮遊率が10秒後に80%以上であり、30
分後に20%以下であり、そして水面拡展距離が30秒
に1m以上であるように調製したものを、水溶性物質と
共存させ、更に水で破袋分散又は溶解するシート又は容
器に包んだ形態とした農薬組成物。 【効果】この農薬組成物を水面に投げこむことにより散
布を省力化でき、粒剤を均一に処理したのと同程度の生
物効果を挙げることができて、しかも薬害は殆ど発生し
ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農薬組成物及びその処
理方法に関する。更に詳しくは、水中で或いは水面で、
容易に分散或いは溶解する農薬粒剤を、撥水剤と拡展剤
で被覆し、これに水溶性物質を加えて混合したものを、
水で破袋分散又は溶解するシート(以下水溶紙と略す)
又は容器に包んだ形態の農薬組成物、及び該組成物を水
田中に投げ込む農薬の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水田農薬はその使用の便のため
に、種々の剤型に製剤されている。すなわち、粉剤、水
和剤、乳剤、粒剤などに製剤され、水田または稲体に散
布されている。
【0003】しかし、粉剤や水和剤は、粉立ちによる使
用者や生産者の健康上の問題がある。特に粉剤は、散布
時のドリフトが多いため、周辺の住民や環境に対して悪
影響を与える可能性がある。また、水和剤は流動性が悪
く、製造工程においてトラブルの原因となることが多
い。乳剤は、有機溶媒による毒性の問題や火災の危険が
ある。粒剤は、こうした欠点は少ないが、活性成分によ
っては充分な防除効果が得られないことも多い。
【0004】これらのことから、最近、フロアブル(以
下FLと略す)やドライフロアブル(以下DFと略す)
といわれる新しい剤型が開発されてきた。DF剤は顆粒
水和剤とも言われ、流動性があり粉立ちが少なく、水中
で容易に分散し、水溶液または懸濁液となる。また、F
L剤は、連続相に水を用いるものと有機溶媒を用いるも
のがあり、これらはそれぞれ分散質が液体の場合(エマ
ルションタイプ)と固体の場合(サスペンションタイ
プ)に大別される。
【0005】これらFLやDFといわれる剤型は、粉立
ちがなく流動性があるという点で水和剤の上記の欠点を
解決した剤型といえるが、従来の剤型を含め、これらの
製剤を散布するためには、まずそれを水に溶解または分
散させたあとで、多くの場合、散布器具を必要とする。
また、散布に際し、水田に入ることが必要である。特に
小規模な兼業農家にとっては、溶解または分散させる容
器と散布器具とを準備し、水田に入って散布すること
は、経済的負担や安全面の不安ばかりでなく、労力的に
も時間的にも負担は大きい。特に、高齢者と女性に依存
することの大きい最近の小規模な農家にとっては、この
ような負担は耐え難いものとなっている。このため、最
近、散布に特殊な器具を必要とせず手軽に散布できる方
法として、除草剤のFLをプラボトルに入れ、これをキ
ャップ部に開けた小孔から水田中に振り込む方法が開発
された。この方法によれば、散布に特殊な器具を必要と
せず、手軽に散布できるという利点があるが、散布に際
しては依然として水田に入る必要があり労力を要するこ
とや、散布方法や風向きによっては薬液の飛沫が作業者
にかかり安全でないなどの欠点があるため、必ずしも従
来法の欠点を完全に除去し得たとは言い難い。また、使
用済みの空き瓶の処理についても、瓶内に農薬が残るた
め、安全面や環境上の問題を引き起こす可能性がある。
【0006】また、最近、有効成分に界面活性剤および
発泡剤を加えた水田用除草剤(特開平3−12830
1)や、有効成分、界面活性剤、ならびに結合剤を含有
する水田除草用錠剤またはカプセル(特開平3−173
802)に関する技術が開示された。これらの技術は、
簡単に水田除草剤の処理ができるという利点はあるもの
の、これら固形製剤の場合には、有効成分の水中での拡
散が遅く、圃場条件、気象条件等によっては、有効成分
の不均一による薬害や、効力のムラが生じ易い。また、
錠剤やカプセルを生産するためには、新たな設備投資が
必要となるうえ、新規な原材料を用いることによるコス
トアップの問題等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このため、散布に際し
て特別な器具を必要とせず、水田に入らなくても処理す
ることができ、安全で、散布むらがなく、容器の処理も
簡単な処理方法が要望されていた。そこで、本発明者等
は、水田に入らずに、また特別な散布装置を用いること
なしに、農薬を処理する方法を検討したが、先のFLや
錠剤またはカプセルを、水口より注入したり水田中に投
げ込む方法では、有効成分の不均一による薬害や効力の
ムラが生じ易く、これを防ぐためには、水田に投入後有
効成分が容易に元の単粒子に分散・溶解して、より早く
水田全体に拡散し、均一な処理層を形成する必要があっ
た。そこで、本発明者等は、投げ込み処理をした農薬
を、如何にして水田の全面に均一に拡げ、均一な処理層
を形成させるかについて種々検討した結果、水中で又は
水面で容易に分散又は溶解する農薬粒剤を撥水剤と拡展
剤で被覆し、これに水溶性物質を加えて混合したもの
を、水で破袋分散又は溶解するシートあるいは容器によ
り分包とし、これを水田中に投げ込むと、粒剤は袋の破
袋とともに一旦沈降したのち、水溶性物質の溶解に伴っ
て順次水面に浮上し、水面で拡展して、投入地点より遠
く離れた地点に至ってから水中に分散または溶解するた
め、有効成分の不均一による薬害や効力のムラが生じに
くく、容易に上記の目的を達成しうることを見出し、本
発明を完成した。
【0008】この方法によれば、散布器具を必要とせ
ず、水田に入らなくても処理できるため、きわめて簡単
に農薬を処理することができる。薬剤と直接接触するこ
とがないため、子供や高齢者にも安全に処理することが
可能なうえ、兼業農家にとっては、出勤の前などのわず
かな時間でも処理できる利点を有する。しかも、容器は
ガラス瓶やプラボトルを必要とせず、紙や樹脂の袋や箱
が使用できるので、用済み後は焼却処理が可能である。
また、本発明の方法によれば、従来の粒剤の生産設備が
そのまま使用でき、新たな設備投資を要しないため、経
済的な利点も大きい。
【0009】水田に処理した場合に同様の挙動を示す農
薬製剤として、水溶性キャリヤーをフィルム形成能を有
する物質とともに粒剤とし、この中に農薬有効成分を含
有させ、フィルムの浮上とともに有効成分を水面に浮上
させることを特長とする粒剤が提案されている(特公昭
63−30281号)。しかしながら、この粒剤は有効
成分を水面近くに留めることを目標とするものであっ
て、水溶性または水中で分散性の良い粒剤の表面に撥水
剤および拡展剤を被覆し、これに水溶性物質を加えて水
溶紙または水溶性容器により分包として田面水中に投入
し、投入された粒剤は一旦水中に沈降し、水溶性物質の
溶解に伴って、順次水面に浮上・拡展したのちは、短時
間のうちに、有効成分が水中に溶解または分散する本発
明の組成物とは基本的に異なるものである。
【0010】農薬粒剤は、1種又は2種以上の殺生物成
分を含む。
【0011】本発明に好適な有効成分は、殺虫剤では、
イソキサチオン、プロパホス、DEP、ダイアジノン、
エチルチオメトン、ホルモチオン、ジメトエート、モノ
クロトフォス、アセフェート、カルボスルファン、チオ
シクラム、カルタップ、ベンフラカルブ、フラチオカル
ブ、カルバリル、ブプロフェジン、BPMC、PHC、
イミダクロプリドなどの浸透移行性殺虫剤、シクロプロ
トリン、エトフェンプロックスなどのイネミズゾウムシ
やイネドロオイムシのような水中または水面近くに生息
する害虫に有効な合成ピレスロイドなどを挙げることが
できる。殺菌剤では、プロペナゾール、イソプロチオラ
ン、IBP、トリシクラゾールなどのいもち剤、フルト
ラニル、メプロニル、MON240、S658などのも
んがれ剤、テクロフタラムなどを挙げることができる。
除草剤では、ピラゾレート、ベンゾフェナップ、ピラゾ
キシフェン、ピリブチカルブ、ブロモブチド、メフェナ
セット、ベンスルフロンメチル、ブタクロール、プレチ
ラクロール、ベンチオカーブ、CNP、クロメトキシニ
ル、ダイムロン、ビフェノックス、ナプロアニリド、オ
キサジアゾン、ベンタゾン、モリネート、ピペロホス、
ジメピペレート、エスプロカルブ、ジチオピル、イマゾ
スルフロン、ベンフレセート、ACN、シンメスリン、
MCPB、キンクロラック、ピラゾスルフロンエチル、
KPP314、N−〔2´−(3´−メトキシ)−チエ
ニルメチル〕−N−クロロアセト−2、6−ジメチルア
ニリド(NSK850)、1−(2−クロロベンジル)
−3−(α、α−ジメチルベンジル)尿素(JC94
0)などの水田除草剤を挙げることができる。植物成長
調節剤では、イナベンフィド、パクロブトラゾール、ウ
ニコナゾール、トリアペンテノールなどを挙げることが
できる。
【0012】これらの有効成分は、水田に投入後、でき
るだけ早く田面水中に溶解拡散し、効力を発揮する必要
がある。長時間にわたり有効成分が局在すると、効力不
足や薬害を生じるなどの不都合を生じることは言うまで
もない。したがって、有効成分がたとえ水に対する溶解
度の高いものでも、固体の場合、ある程度微粉砕してお
く方が良い。有効成分が水に対する溶解度の低いもので
は、特に微粉砕が必要である。このような場合、ジエッ
トミルによる乾式粉砕や、サンドミルまたはアトライタ
ーなどによる湿式粉砕を行う。有効成分が液体の場合、
必要なら適当な溶媒に乳化剤とともに溶解し、適当なキ
ャリヤーに吸収させて粒状とすれば、固体原体と同様に
扱うことができる。
【0013】これらの有効成分は水田に投入したときに
容易に元の単粒子に分散して、溶解し、できるだけ速く
水田全体に拡散する必要がある。このため、十分な分散
剤、湿潤剤等を配合して水に濡れ易く、水中で崩壊・分
散し易い粒剤にする。粒剤に製剤するには、このほかに
必要に応じて、結合剤、粒子成長防止剤、安定剤、粉砕
助剤、キャリヤーなどを配合できる。しかし、水に不溶
性の助剤を大量に配合すると、粒剤が重くなりすぎて水
面に浮上しなくなったり、水田に分散沈降した有効成分
粒子が不溶性の助剤で覆われるため、有効成分の拡散が
遅れ、長時間局在することになり、効力不足や薬害の原
因になることがあるから、できるかぎり少量の配合にと
どめる方が有利である。
【0014】好適な分散剤としては、例えば、リグニン
スルホン酸塩、(アルキル)ナフタレンスルホン酸塩お
よびその縮合物、フェノールスルホン酸塩およびその縮
合物、スチレンスルホン酸塩およびその縮合物、マレイ
ン酸とスチレンスルホン酸との縮合物の塩、アクリル酸
やマレイン酸などのカルボン酸縮合物の塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェ
ートの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸
エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤を挙
げることができる。これらの分散剤は、湿潤剤としても
有用な物が多い。分散剤や湿潤剤はこれらに限らず、ノ
ニオン性やカチオン性或いは両性イオン性のものであっ
ても適当なものを使用できる。
【0015】キャリヤーは、水溶性のものが好ましく、
例えば、グルコース、砂糖、乳糖などの糖類、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ア
ンモニウム、塩化カリウムなどの水溶性無機塩類、尿素
等を挙げることができる。しかしながら、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、ベントナイト、タルク、クレ
ー、硅燥土、無晶形二酸化ケイ素等の一般的に農薬のキ
ャリヤーとして用いられる鉱物質も、必要に応じて生物
効果や薬害に悪影響を与えない範囲で配合しても差し支
えない。
【0016】好適な結合剤としては、低分子量のデキス
トリンやポリビニールアルコール、カルボキシメチルセ
ルロースのナトリウム塩などを挙げることができる。リ
グニンスルホン酸塩は分散剤と兼用でき、比較的安価の
ため増量剤としても用いることができるので特に有用で
ある。
【0017】これらの有効成分及び助剤は適当な造粒機
を用いて粒剤に製剤する。粒剤は、例えば撹拌造粒機、
転動造粒機、流動層造粒機、噴霧乾燥機、押し出し造粒
機、乾式造粒機等により造粒して得ることができる。こ
れらのうち、押し出し造粒法による粒剤は、粒度が揃う
ので撥水剤、拡展剤が被覆し易く特に好適である。その
うえ、従来我が国の農薬粒剤の生産に主として用いられ
てきた生産設備をそのまま使用できる利点があり、新た
な設備投資を必要としないため、経済的にも利点が大き
い。
【0018】農薬粒剤の適当な粒度は約0.1〜5mm
である。これより小さすぎると水中に投入した場合、一
旦沈降しなかったり、十分に水面で拡展するまでに崩壊
分散するため有効成分が広範囲に拡展しなかったり、逆
に大きすぎると重くなりすぎて、一旦沈んだあと浮上し
なくなり、薬害や効力ムラを生じる原因になったりす
る。ここに得られた粒剤は水濡れが良く、水中で容易に
崩壊分散する性質を有している必要がある。
【0019】得られた粒剤を暫くの間水面に浮かせ、且
つ水面を拡展させるためには、撥水剤と拡展剤とを粒剤
に被覆する。
【0020】撥水剤は水と親和性がなく、粒剤の周囲を
被覆することによって、一旦沈んだ粒剤を浮上させる性
質を有する必要がある。このような性質を有するために
は、撥水性を有する微細な粉末が適している。例えば、
ステアリン酸およびそのカルシウム、マグネシウム、ア
ルミニウム等の非水溶性塩類のごとき高級脂肪酸および
その塩類や、疎水性シリカ等を挙げることができる。
【0021】これらのうち、疎水性シリカは微粉末で、
粒剤に加え混合するだけで粒剤の周囲を被覆でき、少量
で粒剤を浮上させる作用があるので特に有用である。こ
のような疎水性シリカは、乾式法あるいは湿式法により
合成された非晶質の二酸化ケイ素にジメチルクロルシラ
ン等を処理して疎水加工したもので、アエロジルRシリ
ーズ(日本アエロジル株式会社製)、レオロシールMT
−10(徳山曹達株式会社製)、ニップシールSS−1
0(日本シリカ工業株式会社製)等の商品名で入手する
ことができる。
【0022】拡展剤は、浮遊する粒剤を、水面でできる
だけ広い範囲に拡げるために配合する。このような性質
を有するものとしては、各種の界面活性剤、テレピン油
や樟脳油または松脂のような樹脂油、ウッドロジン類、
オレイン酸やラウリン酸またはハートール油のような高
級脂肪酸、あるいはマシン油や流動パラフィンのような
鉱物油等を挙げることができる。これらの内、界面活性
剤はイオン性に関わりなく使用することができるが、例
えば、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸
塩、石鹸類、パーフルオロアルキルカルボン酸塩のごと
きフッ素系界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリスルホ
ン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等が好適であ
る。
【0023】これら撥水剤や拡展剤は単独で用いても良
いが、必要であれば2種以上を混合して用いても差し支
えない。また、撥水剤や拡展剤は上記のような性質を有
するものであれば良く、例記したものに限られるもので
はない。
【0024】これら撥水剤や拡展剤は、別々に粒剤に被
覆しても良いが、通常は混合して被覆する方が都合が良
い。このため両者は適当な粉砕機を用いて粉砕する等し
て、均一に混合したのち粒剤に被覆する。
【0025】上記混合物を該農薬粒剤に被覆する方法
は、例えば、リボンブレンダー、ナウターミキサー等の
混合機で粉末をまぶす程度に短時間の混合で十分であ
る。粒剤にこれらを被覆するために、水や有機溶媒ある
いは結合剤等を用いて完全なコーティングを行うと、粒
剤の崩壊分散性に悪影響を与えることがある。
【0026】撥水剤や拡展剤と該農薬粒剤の割合は、撥
水剤と拡展剤の種類及び配合比やあとで添加する水溶性
物質の配合量により異なるので、一概に言えないが、こ
れらを被覆したあとの粒剤が、後に述べる測定法で測定
して、(1)水面浮遊率が10秒後で80%以上、30
分後で20%以下であり、かつ、(2)水面拡展距離が
1m以上である条件を満足せねばならない。また、これ
ら撥水剤や拡展剤の量が多すぎると、あとで添加する水
溶性物質まで疎水化されてしまうことになり、水中へ一
旦沈まない事態を引き起こし、粒が水溶紙や容器の膜に
覆われるため、粒が自由に拡展できない状態となるので
好ましくない。
【0027】このようにして得られた浮遊拡展性の粒剤
のみを、水溶紙あるいは水溶性の容器に分包として水中
に投入すると、粒剤や水溶紙の性質や、それらの組合せ
によっては水溶紙や容器が溶解または分散しても、浮遊
する粒剤の周りに膜状に付着し、個々の粒剤が自由に拡
展できないことがありうる。これを完全に防ぐために
は、分包中にさらに水溶性物質を配合して、一旦粒剤を
土壌表面に沈降させ、膜物質と分離させる必要がある。
従って、これら撥水剤や拡展剤の配合量は、水溶性物質
を混合し、水溶紙または水溶性容器に分包した粒剤を水
中に投入したときに、水溶紙や容器の溶解または分散に
伴い、田面水中に放出された粒剤の殆ど全量が、一旦水
中に沈降する量に調節しなければならない。これによ
り、沈降した粒剤は、水溶性物質の溶解に伴い順次水面
に浮上し、水面で拡展したのち、粒剤本来の水濡れ性と
崩壊分散性によって、水中に溶解あるいは分散しながら
沈降し得るようになる。
【0028】粒剤を一旦水中に沈降させるために配合す
る好適な水溶性物質としては、グルコース、砂糖、乳糖
などの糖類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫
酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム等の水
溶性無機塩類、尿素等を挙げることができる。これら水
溶性物質は細かく粉砕して粒状にすれば、嵩が低く、取
扱が便利になる。さらに、溶解速度が上がり、粒剤の水
面浮遊率にも悪影響を与えない。粒剤を一旦沈降させる
ために、鉱物質の破砕粒や鉱物質微粉末の造粒物などの
水不溶性物質を用いると、土壌表面に沈降した粒剤の上
に、これらの物質が”おもし”となり、粒の浮上を妨害
するので好ましくない。
【0029】粒剤と水溶性物質との比率は、一般に1:
0.5〜1:10程度が好ましい。1:0.5以下の配
合量では粒剤を沈めることができない。また、1:10
以上では粒剤が浮上するのに時間がかかりすぎて浮上率
が低下するうえ、1包が大きくなりすぎる欠点がある。
【0030】本発明の組成物には必要に応じて、更に本
発明の粒の浮上、拡展及び分散を損なわない量の発泡剤
を配合することもできる。発泡剤は、炭酸ナトリウム、
炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カリウム等の炭酸塩とクエン酸、シュウ酸、コ
ハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、ホウ酸、フタル酸、無
水フタル酸、無水マレイン酸、無水マロン酸、無水イタ
コン酸などの水溶性の固体酸を固体のまま混合すること
によって得ることができる。これらは農薬成分とともに
粉末のまま分包中に配合しても良いが、取扱の便のため
造粒するのが良い。この場合、両者を混合して造粒して
も良いし、炭酸塩と酸とを別々に造粒して配合しても良
い。両者を混合して造粒する場合、湿式造粒すると反応
するので乾式造粒するか打錠する。
【0031】本発明で使用しうる水溶紙または水溶性容
器は、水中で容易に溶解または分散する性質を有する必
要がある。水溶紙または容器の材質は、例えばセルロー
スまたはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース及びその塩のような
セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、プルラ
ン、デンプン系、ポリアルキレンオキサイド系等が使用
できるが、溶解した水溶紙が内容物の周りにゲル状に付
着すると内容物がきれいに分散しなくなることがある。
また、水溶紙は投げ込みに耐えうる強度が必要である。
この意味で、セルロース及びその誘導体より成るもの
は、破れにくくかつ水中では繊維がバラバラにほぐれ分
散するので好適である。また、ポリアルキレンオキサイ
ド系水溶紙やポリビニルアルコールよりなる水溶紙も強
度があり、水中での溶解時間が早く、ゲル状に付着しな
いので特に有用である。このような水溶紙は、プルラン
よりなるものとしてプルランフィルム(林原株式会社
製)、セルロース及びカルボキシメチルセルロースのナ
トリウム塩よりなるものとしてディゾルボ(三島製紙株
式会社製)、ポリビニルアルコールよりなるものとして
ソルブロン(アイセロ化学株式会社製)、ハイセロン
(日合フィルム株式会社製)、トスロン(東京セロハン
紙株式会社製)、クラレビニロンフィルム(クラレ株式
会社製)、ポリアルキレンオキサイド系のものとして、
アルコックス(ポリエチレンオキサイド樹脂)のフィル
ム(明成化学工業株式会社製)、フレキシーヌ(ポリオ
キシアルキレングリコールと多価カルボン酸及びその低
級アルキルエステルよりなる水溶性樹脂パオゲンをフィ
ルム状としたもの、第一工業製薬株式会社製)等の商品
名で入手することができる。
【0032】これらの水溶紙は成型できると便利であ
る。端部は糊で封じても良いが、作業性に問題がある。
この点で、ヒートシールができるものが好都合である。
この意味で、セルロースおよびカルボキシメチルセルロ
ースのみからなる水溶紙は成型性が悪く、強度面でもや
や劣る傾向があるが、これに適当な熱可塑性樹脂を塗布
したディゾルボWAPや、ポリビニルアルコールのフィ
ルムを貼り合わせたディゾルボWALはヒートシールが
可能となり強度も良好なため好適な包装材料となる。ま
た、ポリビニルアルコールやポリアルキレンオキサイド
系のフィルムはヒートシールが可能であるが、水溶性の
ため、高湿度下や濡れた手で触ると互いにくっついたり
穴が開いたりする傾向がある。このような場合、これら
のフィルムに簡単な防水加工を施すと、これらの欠点を
大幅に改良することができる。すなわち、これらのフィ
ルムにアルミニウム等の金属を蒸着させ、ごく薄い被膜
を形成させたり、エンボス加工を施すことにより、これ
らの欠点を実質的に改良することができる。
【0033】袋の形状は、投げ込み易く、小分けし易い
ものであれば良い。例えば、俵状、円柱状、球状、卵
状、ラグビーボール状、立方体、直方体等で良いが、ガ
ゼット袋は小分け包装のし易さの点で特に有利である。
【0034】また、包装材料として水溶性容器を用いる
と少々の濡れた手でも投げ込むことができ、強風下でも
目的地まで到達できる。この水溶性容器は可溶性の熱可
塑性樹脂より自由に成型して得ることができる。例え
ば、上記樹脂を加熱溶解し、金型に流し込み、冷やして
成型する射出成型やブロー成型による方法、または上記
樹脂の厚めのフィルムを温めながら金型に押し付け成型
するPTP包装による方法がある。これらに適する樹脂
は先に述べたアルコックスやパオゲンの如きポリアルキ
レンオキサイド系の樹脂である。これらの樹脂は熱可塑
性があり、成型性が良いので好適である。これら容器の
口部は水溶性又は水分散性のシートで封じておくと、短
時間のうちに内容物が水中に放出される。容器の形状
は、俵状、円柱状、球状、卵状、ラグビーボール状、立
方体、直方体等投げ易い形状であれば良い。
【0035】分包1包の重量は、約30g〜200gが
最も投げ込み易い。この程度の重さであれば、子供、女
性、高齢者でも容易に15m程度以内の目標とした地点
に投げ込むことが可能である。これ以上重いと投げ込む
のが苦痛となり、広い面積を処理するのは容易ではな
い。また、これ以下では風の影響を受けて目標とした場
所に到達せず、投げ込む際にかなり力を入れないと遠く
まで投げられない。
【0036】10アール当たりの投げ込み分包数は、少
ないほど省力になるが、数十アール当たり1包といった
ように極端に少ない数では、有効成分の性質によって
は、効力不足になったり薬害が生じたりすることがあ
る。しかし、あまり多くなりすぎると省力の意味をなさ
なくなるから、10アール当たり30包程度以下にとど
めると良い。この場合、数歩に1包を投げ込むことにな
る。好適な投げ込み分包数は、10アール当たり3〜2
0包程度である。
【0037】このような分包は、紙や樹脂等の袋や箱で
外装する。ただ、水溶紙は水がかかると破れるため、適
当な防水加工を施した外装を用いることが望ましい。発
泡剤を配合する場合には、吸湿によって反応し発泡しな
くなる場合があるので、アルミ箔を張り合わせる等して
密閉した包装が望ましい。
【0038】このようにして得られた本発明の農薬組成
物を水田中に投げ込むと、水溶性の包装材料が破れ、内
容物は水溶性物質の沈降とともに一旦水中に沈降する
が、水溶性物質が溶解するに伴い、粒剤が撥水剤の作用
によって浮上し、拡展剤の作用によって拡展したのち、
水面で個々に散らばった粒剤が湿潤剤、分散剤の作用に
よって崩壊分散または分解して、有効成分が水田中に均
一に処理されることになる。
【0039】
【実施例】以下に実施例・試験例を挙げて本発明の実施
態様をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0040】実施例1〜5 表1(表中の数字の単位はグラムである)の処方により
本発明の水田投げ込み用除草剤を得た。何れの例におい
ても得られた除草剤の各分包1袋中にはメフェナセット
10.5g、ベンスルフロンメチル0.51g、ダイム
ロン4.5gを含有する。なお、製剤方法は以下の方法
によった。
【0041】ベンスルフロンメチル原体(以下、原体と
は純度100%換算したものをいう)1.79部、メフ
ェナセット原体36.75部、ダイムロン原体15.7
5部、バニレックスN(変成リグニンスルホン酸のナト
リウム塩、山陽国策パルプ株式会社製)30.00部、
粒状炭酸カルシウムK3(三共精粉株式会社製)10.
00部、カルフィン−600(炭酸カルシウム、足立石
灰工業株式会社製)5.51部を混合し、これをジェッ
トオーマイザー0101型(セイシン企業株式会社製、
エアー圧7kg/cm 、エアー量1m /min)で
粉砕した。この粉砕物99.8部にネオコールSW−C
E(ジエチルヘキシルスルホサクシネートのナトリウム
塩、第一工業製薬株式会社製)0.2部と水25.0部
の混合液を加えて、ニーダー(不二パウダル株式会社
製)で混練した。この混練物をディスクペレッターPV
−5(不二パウダル株式会社製、スクリーン0.7mm
φ)により押し出し造粒し、60℃で2時間乾燥したの
ち、1000μm〜297μmで篩別し、水で容易に崩
壊分散する除草剤の粒剤を得た。(1) 別に、アエロジルR−972の50部、フレークマルセ
ル(混合脂肪酸ソーダ石鹸、花王株式会社製)50部を
混合し、エックサンプルミル(不二パウダル株式会社
製、スクリーン2mmφ)で粉砕し、撥水剤と拡展剤の
混合粉末を得た。(2) また別に、砂糖100部をエックサンプルミル(スクリ
ーン1mmφ)で粉砕し、水3部を加えて混練した。こ
の混練物をバスケット型造粒機RG−5M(菊水製作所
製、スクリーン0.9mmφ)により押し出し造粒し,
60℃で1時間乾燥して、砂糖の粒を得た。(3) (1)に(2)を被覆したのち、(3)を混合し、ハイ
セロンC−200に小分けして、本発明の水田投げ込み
用除草剤組成物を得た。なお、実施例5においては、ハ
イセロンC−200の代りにPTP包装機により調製し
た半球状(容量220ミリリットル)のパオゲンよりな
る容器に入れ、口部は厚さ30μmのフレキシーヌでヒ
ートシールした。
【0042】比較例1〜2 表1の処方により比較例の水田投げ込み用除草剤を得
た。何れの例においても得られた除草剤の各分包1袋中
にはメフェナセット10.5g、ベンスルフロンメチル
0.51g、ダイムロン4.5gを含有する。なお、製
剤方法は実施例に準じた。
【0043】
【表1】
【0044】比較例3 メフェナセット原体17.5部、ベンスルフロンメチル
原体0.85部、ダイムロン原体7.5部、ディクスゾ
ールW−27(ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルと非晶質合成シリカよりなる湿潤分散剤、第一工業
製薬株式会社製)5.2部、粒状炭酸カルシウムK3の
3.95部を混合後、ジェットオーマイザー0101型
を用いて粉砕した。この粉砕品35部に、製紙用ジーク
ライト(ジークライト化学礦業株式会社製)65部を加
えて混合し、エックサンプルミル(スクリーン1.0m
mφ)により粉砕した。
【0045】別に、無水コハク酸42.4部、セロゲン
PR(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工
業製薬株式会社製)5.2部、重炭酸ナトリウム31.
4部、炭酸ナトリウム21.0部を混合し、エックサン
プルミル(スクリーン1.0mmφ)により粉砕し、発
泡粉末を得た。
【0046】前記粉砕品60gと発泡粉末40gとを混
合し、打錠機を用いて、圧力150〜160kg/cm
で2分間圧縮成型して、直径5cm、厚さ2.5cm
の錠剤を得た。この錠剤1錠中には、実施例1と同一量
の除草剤を含有する。
【0047】比較例4 メフェナセット原体17.5部、ベンスルフロンメチル
原体0.85部、ダイムロン原体7.5部、ディクスゾ
ールW−27の5.2部、粒状炭酸カルシウムK3の
3.95部、Reax85A(リグニンスルホン酸ナト
リウム、Westvaco社製)10.0部、グラニュ
ー糖15.0部を混合後、ジェットオーマイザー010
1型を用いて粉砕した。この粉砕品60.0部に、重炭
酸ナトリウム20.0部、マレイン酸20.0部を加え
て混合し、エックサンプルミル(スクリーン1.0mm
φ)により粉砕した。次いでこの粉砕品100gを比較
例3と同様に打錠して同一量の除草剤を含有する錠剤を
調製した。
【0048】比較例5 砂糖粒の代りに、鉱物質微粉よりなる粒状キャリヤーを
同量配合した他は実施例3と全く同様にして小分けし
た。尚、鉱物質よりなる粒状キャリヤーは、カルフィン
−600の69.8部、ベントナイト(豊順鉱業株式会
社製、穂高印)30.0部を混合し、これにネオコール
SW−CE0.2部と水15.0部の混合液を加えて混
練し、この混練物をバスケット型造粒機RG−5M(ス
クリーン0.9mmφ)で押し出し造粒し、110℃で
乾燥後1000μm〜500μmで篩別することによっ
て得た。
【0049】試験例1 水面浮遊率および水面拡展距離
の測定 実施例1〜5の組成物および比較例1〜2の組成物につ
いて、水面浮遊率および水面拡展距離を測定した。本明
細書において、水面浮遊率および水面拡展距離とは、以
下の試験法により得られる数値を指称する。結果を表2
に示す。
【0050】《水面浮遊率》容量1リットルのガラスビ
ーカー2個に20℃の精製水を1リットルずつ入れる。
水面が静まるのを待って、水面より10cmの高さか
ら、撥水拡展処理をした粒剤を各1.0g投入する。そ
れぞれ、10秒後と30分後に浮遊している粒剤と上層
の水約100mリットルを減圧により吸入する。吸入し
た水中の有効成分含量を分析し、浮遊している粒剤の割
合を求める。
【0051】《水面拡展距離》内径15cm、長さ2m
の塩化ビニル製樋を水平に設置し、水道水15リットル
を入れる。水面が静まるのを待って、樋の端から5cm
の位置に撥水拡展処理をした粒剤を約1g落とし、30
秒経過後粒剤の先端が到達した地点までの距離を測定す
る。
【0052】
【表2】
【0053】試験例2 生物試験 代かきした水田に箱育苗した2葉期の稲を移植した。こ
の圃場に横10m×縦10mの試験区を畔シートを用い
て設けた。移植7日後に実施例1〜5および比較例1〜
6のサンプルをそれぞれ1区当たり1個中央に投げ込ん
だ。この状況を図1に示す。図1の○印の地点より、処
理5日後に田面水を、30日後に土壌を採取し、有効成
分量を分析した。また、同じく30日後に、図1に示す
通り試験区を16等分し、各枠の除草効果(自然発生の
タイヌビエ、コナギ、広葉雑草、ホタルイ等)と水稲の
成育状況を肉眼で観察調査した。対照区として、ザーク
D粒剤(3kg/10a)を均一散布して実施例および
比較例と比較した。尚、試験時の水深は6cm、減水深
は0.5cm/日以下、処理時の風力は2m/秒であっ
た。表3に田面水の分析結果を、表4に土壌の分析結果
を、図2に除草効果および薬害の試験結果をそれぞれ示
した。表3の単位はppb、表4の単位はppmであ
る。また両表中、Mはメフェナセットを、Dはダイムロ
ンを、Bはベンスルフロンメチルを示す。また図2にお
いて、Aは効力拡大を、Bは僅かに残草ありを、Cは効
力不足を示し、また( )は生育抑制株数を、〇は欠株
数を示す。
【0054】尚、処理時の観察では、実施例のサンプル
は、いずれも投入後、袋の破袋とともに内容物が一旦水
中に沈み、しばらくすると粒剤が順次浮上し、水面を拡
展して、水田の広い範囲に拡がったのち、崩壊・分散し
ながら水中に沈降した。比較例1のサンプルも実施例1
と同様の状態を示したが、水面に浮上する粒剤の量が少
なかった。また、比較例2のサンプルは、袋が破袋して
も粒剤は沈降せず、袋が膜状となって覆ったため、粒の
拡展も見られなかった。粒剤はこの状態でしばらく漂っ
たのち、塊状となって水中に沈降した。比較例3、4の
サンプルは水中または水面で激しく発泡し、約10分後
に消滅したが、投入地点の周囲の土壌面には、白い原体
の沈降跡が見られた。比較例5のサンプルは投入後、袋
の破袋とともに内容物が水中に沈んだが、水面に浮上す
る粒剤の量は極めて少なかった。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】実施例のサンプルはいずれも、土壌中濃度
の採取地点によるバラツキが少なく、除草効果、薬害も
問題になるほどのものではなかったが、比較例では土壌
中濃度の採取地点によるバラツキが大きく、処理地点の
近く及び風下にあたるところで欠株を含む重篤な薬害が
見られた。除草効果も特に風上に当たる水口部で不十分
な区が見られた。
【0058】実施例6 ベンスルフロンメチル原体2.55部、ピリブチカルブ
原体28.5部、ダイムロン原体22.5部、バニレッ
クスNの30.0部、粒状炭酸カルシウムK3の10.
0部、カルフィン−600の6.25部を均一に混合
し、これを実施例1と同一条件で粉砕した。この粉砕物
99.8部にネオコールSW−CEの0.2部と水2
5.0部の混合液を加えて、ニーダーで混練し、以下実
施例1と同条件で造粒し、除草剤の粒剤を得た。(4) 別に、アエロジルR−972の80部、エマールO(ア
ルキル硫酸ナトリウム塩、花王株式会社製)20部を混
合し、エックサンプルミル(スクリーン2mmφ)で粉
砕し、撥水剤と拡展剤の混合粉末を得た。(5) また別に、無水クエン酸50部をエックサンプルミル
(スクリーン4mmφ)で粉砕し、カルフィン−600
の50部を加えて混合し、ローラーコンパクターミニ型
(フロイント産業株式会社製、ロール圧100kg/c
m )を用いて乾式造粒した。この造粒品を0.5〜
3.35mm区分に整粒し、発泡剤を得た。(6) (4)20gに(5)1gを被覆したのち、(3)79
g、(6)10gを混合し、ディゾルボWAPに小分け
した。
【0059】この浮遊拡展性粒剤の水面浮遊率は10秒
後92%、30分後2%、水面拡展距離は1.8mであ
った。
【0060】実施例7 ピラゾレート原体50.0部、ピラゾスルフロンエチル
原体0.4部、ネオコールSW−CE1.0部、トキサ
ノンGR−31A(アクリル酸系ポリソープの40%水
溶液、三洋化成工業株式会社製)1.0部、サンエキス
P252(リグニンスルホン酸ナトリウム、山陽国策パ
ルプ株式会社製)48.2部、水100.0部を混合
し、アトライター1S型(三井三池製作所株式会社製)
により1時間粉砕し、ピラゾレートとピラゾスルフロン
エチルの混合スラリーを得た。このスラリーをスプレー
ドライヤーL−8型(大川原化工機株式会社製、熱風温
度110℃)で噴霧乾燥し、ピラゾレート50%及びピ
ラゾスルフロンエチル0.4%を含む粉末を得た。この
粉末をフローコーターFLミニ型(フロイント産業株式
会社製)を用いて水を噴霧して造粒し、粒径0.5〜
1.5mm区分に整粒して、ピラゾレート50%及びピ
ラゾスルフロンエチル0.4%を含有する除草剤の粒剤
を得た。(7) 別に、乳糖100部をエックサンプルミル(スクリーン
1mmφ)で粉砕し、適量の水を加えて混練した。この
混練物をバスケット型造粒機RG−5M(スクリーン
0.9mmφ)により押し出し造粒し、60℃で1時間
乾燥し、乳糖の粒を得た。(8) (7)40.00gに(2)3.75gを被覆したの
ち、(8)56.25gを混合し、厚さ30μmのフレ
キシーヌに小分けした。
【0061】この被覆粒剤の水面浮遊率は10秒後98
%、30分後14%、水面拡展距離は1.4mであっ
た。
【0062】実施例8 ベンゾフェナップ原体24.0部、ピリブチカルブ原体
11.4部、JC−940原体30.0部、デモールE
Pパウダー(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、
花王株式会社製)10.0部、粒状炭酸カルシウムK3
の10.0部、カルフィン−600の14.4部を混合
し、これを実施例1と同一条件で2回粉砕した。この粉
砕物99.8部にネオコールSW−CEの0.2部と適
量の水の混合液を加えて、ニーダーで混練し、この混練
物を押し出し造粒機EXK−1型(不二パウダル株式会
社製、スクリーン0.7mmφ)により押し出し造粒
し,60℃で2時間乾燥し,1000μm〜297μm
で篩別し、除草剤の粒剤を得た。(10) 別に、レオロシールMT−10の50部、フレークマル
セル50部を混合し、エックサンプルミル(スクリーン
2mmφ)で粉砕し、撥水剤と拡展剤の混合粉末を得
た。(11) また別に、グルコース100部をエックサンプルミル
(スクリーン1mmφ)で粉砕し、適量の水を加えて混
練した。この混練物をバスケット型造粒機RG−5M
(スクリーン0.9mmφ)により押し出し造粒し、6
0℃で1時間乾燥し、グルコースの粒を得た。(12) (10)50.0gに(11)2.5gを被覆したの
ち、(12)97.5gを混合して、ハイセロンC−2
00に小分けした。
【0063】この被覆粒剤の水面浮遊率は10秒後98
%、30分後12%、水面拡展距離は1.6mであっ
た。
【0064】試験例2と同様に準備された田植え4日後
の水田に、実施例6,7及び8で調製した分包をそれぞ
れ1区当たり1個中央に投げ込んだ。実施例6の分包は
約30秒後に発泡を伴って袋が破れ、また、実施例7、
8の分包は水田投入直後に、破袋して粒剤が水中に沈ん
だ。約2分後から、粒剤が順次浮上し、水面を拡展し
て、水田の広い範囲に拡がったのち、水中に分散しなが
ら沈降した。薬剤処理後30日後に除草効果及び薬害を
観察したが、両区とも極大の効果が得られ、薬害も見ら
れなかった。
【0065】実施例9 ジメトエート原体90部、ネオゲンパウダー(ドデシル
ベンゼンスルホン酸のナトリウム塩を主成分とする湿潤
分散剤、第一工業製薬株式会社製)4部、粒状炭酸カル
シウムK3の6部を混合し、実施例1と同一条件で粉砕
した。この粉砕物65部、グルコース25部、サンエキ
スP252の10部を混合し、スパルタンリューザーR
MO−2H型(不二パウダル株式会社製、チョッパー回
転数5300rpm)で水をスプレーしながら造粒し、
60℃で2時間乾燥して、粒径0.3〜1.5mm区分
の殺虫剤の粒剤を得た。(9) (9)34.19gに(2)1.81gを被覆したの
ち、(3)64.00gを混合して、トスロンET−2
0に小分けした。
【0066】この被覆粒剤の水面浮遊率は10秒後94
%、30分後10%、水面拡展距離は1.4mであっ
た。
【0067】得られた分包を10a当たり15個の割合
で最高分けつ期の水田中に投げ込んだ。分包は水田投入
直後に破袋して粒剤が水中に沈んだが、約2分後から粒
剤が順次浮上し、水面を拡展して広範囲に拡がったの
ち、水中に分散しながら溶解した。同時に処理したジメ
トエート粒剤区(ジメトエート5%含有:6kg/10
aを均一散布)とツマグロヨコバイに対する密度抑制効
果を、すくい取り法により比較したが、効果に有意差は
見られなかった。また、薬害は見られなかった。
【0068】実施例10 テクロフタラム原体80部、粒状炭酸カルシウムK3の
3部、ネカールBXドライ(ジアルキルナフタレンスル
ホン酸のナトリウム塩、BASF社製)16.8部を混
合してジェットオーマイザー0101型(エアー圧7k
g/cm ,エアー量1m /min)を用いて粉砕し
た。この粉砕品99.8部にネオコールSW−CE0.
2部と適量の水の混合液を加えて練合し、ディスクペレ
ッターPV−5(スクリーン0.8mmφ)により押し
出し造粒し,60℃で乾燥後、1000μm〜297μ
mで篩別し、殺菌剤の粒剤を得た。 (13) (13)の粒剤25gに(2)1.5gを被覆した後、
(3)73.5gを加えて厚さ30μmのフレキシーヌ
に小分けした。
【0069】この被覆粒剤の水面浮遊率は10秒後98
%、30分後7%、水面拡展距離は1.8mであった。
【0070】得られた殺菌剤の分包を、10a当たり1
0袋の割合で、穂ばらみ前期の水田に処理した。水田中
で分包は直ちに破袋し、粒剤は沈降したが、約3分後か
ら粒剤が順次浮上し、水面を拡展して広範囲に拡がった
のち、水中に分散しながら沈降した。
【0071】シラハガレ病に対する効果を、同時に処理
したシラハゲン粉剤S(テクロフタラム1%含有、4k
g/10a均一散布)と比較したところ、両者間に有意
差は認められなかった。また、両区とも薬害は見られな
かった。
【0072】
【結果】以上のように、本発明は、特殊な散布器具を用
いることなく、水田に入らずに農薬を施用することが可
能となる新規な組成物と処理技術を提供するものであ
る。従来の農薬製剤およびその処理方法に比べて簡単か
つ省力的で、作業者および環境に対する安全性、経済性
の面で農業の発展に寄与するところが極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2における試験区設定、薬剤処理点、田
面水および土壌採取地点等を示したものである。
【図2】実施例1、実施例2,4,5、実施例3、比較
例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5および
粒剤区の除草効果と水稲に対する薬害の状況を示したも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻野 泰宏 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内 (72)発明者 本間 豊邦 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内 (72)発明者 寺村 正弘 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水中で又は水面で容易に崩壊分散又は溶解
    する農薬粒剤を、撥水剤と拡展剤とで被覆し被覆後の農
    薬粒剤の水面浮遊率が10秒後に80%以上であり、3
    0分後に20%以下であり、そして水面拡展距離が30
    秒後に1m以上であるように調製したものを、水溶性物
    質と共存させ、更に、水で破袋分散又は溶解するシート
    又は容器に包んだ形態としたことを特徴とする農薬組成
    物。
  2. 【請求項2】農薬粒剤が押し出し造粒法で製造された粒
    剤である請求項1に記載の農薬組成物。
  3. 【請求項3】撥水剤が疎水性シリカである請求項1又は
    2に記載の農薬組成物。
  4. 【請求項4】農薬粒剤と水溶性物質の割合が1:0.5
    〜1:10の範囲にある請求項1乃至3に記載の農薬組
    成物。
  5. 【請求項5】1個の重量が30g乃至200gである請
    求項1乃至4に記載の農薬組成物。
  6. 【請求項6】シート又は容器がセルロースもしくはその
    誘導体又はその表面加工されたものである請求項1乃至
    5に記載の農薬組成物。
  7. 【請求項7】シート又は容器がポリアルキレンオキサイ
    ド系の水溶性樹脂又はその表面加工されたものである請
    求項1乃至5に記載の農薬組成物。
  8. 【請求項8】シート又は容器がポリビニールアルコール
    又はその表面加工されたものである請求項1乃至5に記
    載の農薬組成物。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8に記載の農薬組成物を水田
    へ投げ込む農薬の処理方法。
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