JPH05177386A - フラックス含有Al合金ろう材 - Google Patents

フラックス含有Al合金ろう材

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JPH05177386A
JPH05177386A JP3346994A JP34699491A JPH05177386A JP H05177386 A JPH05177386 A JP H05177386A JP 3346994 A JP3346994 A JP 3346994A JP 34699491 A JP34699491 A JP 34699491A JP H05177386 A JPH05177386 A JP H05177386A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルミニウムまたはその合金材のフラックスろ
う付において、フラックス塗布量のバラツキや塗布量が
多い場合のフラックスの垂れを防止するとともに、バイ
ンダーによるろう付不良の発生を防止することを目的と
し、そのためのフラックス含有ろう材を提供する。 【構成】ろう材は、Siとフッ化物系フラックスを含
み、さらにAl及び不可避不純物を含む。Si含有量は
フッ化物系フラックスを除く元素の合計含有量に対して
3〜15wt%である。かつフッ化物系フラックスを除く
元素の合計とフッ化物系フラックスとが重量比で99.
9:0.1〜70:30の割合で配合され、かつ密度が
理論値の90%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウムまたは
その合金材のフラックスろう付に用いられるAl合金ろ
う材、特にフラックスを含有した新規なAl合金ろう材
に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】従来、アルミニウムまたはそ
の合金材のフラックスろう付は、接合部にろう材を供給
するとともにフラックスを懸濁液の塗布等により付着せ
しめ、この状態で加熱することにより行われていた。
【0003】しかしながら、かかる従来のフラックスろ
う付けでは、ろう材とフラックスとを接合部に別々に供
給しなければならないため、作業が面倒であった。しか
も、塗布したフラックス量にバラツキを生じるうえ、塗
布量が多い場合にはろう付中にフラックスの垂れを生じ
てろう付炉を汚染する等の問題があった。
【0004】一方また、フラックスとろう材の接合部へ
の別供給をなくすため、ろう材を構成するAl−Si粉
末とフラックス粉末とをアクリル等のバインダーに混入
して液状とし、これを接合部材に塗布することで作業の
簡素化を図ることも行われている。
【0005】しかし、この場合にはバインダーによりろ
う付性が低下する危険があった。
【0006】この発明は係る技術的背景に鑑みてなされ
たものであって、アルミニウムまたはその合金材のフラ
ックスろう付において、フラックス塗布量のバラツキや
塗布量が多い場合のフラックスの垂れを防止するととも
に、バインダーを用いた場合のろう付不良の発生を防止
することを目的とし、そのためのフラックス含有Al合
金ろう材を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、Siとフッ化物系フラックスを含み、
さらにAl及び不可避不純物を含み、フッ化物系フラッ
クスを除く元素の合計含有量に対してSi含有量が3〜
15wt%であり、かつフラックスを除く元素の合計とフ
ッ化物系フラックスとが重量比で99.9:0.1〜7
0:30の割合で配合され、かつ密度が理論値の90%
以上であることを特徴とするフラックス含有Al合金ろ
う材を要旨とするものである。
【0008】上記において、AlとSiとはアルミニウ
ムまたはその合金接合用のろう材として機能するもので
あるが、フッ化物系フラックスを除く元素の合計含有量
に対してSi含有量が3wt%未満の場合、あるいは15
wt%を越える場合には液相線温度が高くなりろう付が困
難となる。従って、Si含有量はフラックスを除く元素
の合計値に対して3〜15wt%の範囲に規定されなけれ
ばならない。特に好ましいSiの含有範囲は6〜12wt
%である。
【0009】また、Siのほかにろう材の強度向上のた
めにCuを含有せしめても良い。Cuの含有量はフラッ
クスを除く元素の合計値に対して0.05〜5wt%とす
るのが良い。
【0010】前記フッ化物系フラックスの種類は特に限
定されるものではなく、例えばフッ化カリウム(KF)
とフッ化アルミニウム(AlF3 )とを45.8〜5
4.2の共晶組成ないしはそれに近い組成範囲に含んで
実質的に錯体化された錯体混合物、KAlF4 、K2
lF5 、K3 AlF6 等の錯体化物を用いれば良い。
【0011】ろう材中のAl、Si、フラックスの配合
比率は、フラックスを除く元素の合計量とフラックスと
が重量比で99.9:0.1〜70:30となるように
設定されなければならない。フラックス量が重量比で9
9.9:0.1よりも少なくなると、十分なフラックス
作用を発揮できずろう付が困難となるからである。一
方、70:30よりもフラックス量が多すぎると、両者
を配合しての固形化が困難となり、フラックス含有ろう
材そのものの製造が困難となる。フッ化物系フラックス
を除く元素の合計とフラックスとの好ましい配合比率
は、重量比で99.9:0.1〜85:15であり、特
に好ましくは重量比で98:2〜90:10である。
【0012】この発明に係るフラックス含有Al合金ろ
う材は、一般には、Al粉末とSi粉末等とフラックス
粉末とを混合し、熱間プレス等により圧粉固化して製作
されるが、内部空気の残留によりフラックス含有ろう材
の密度は、Al、Si、フラックス等単体のそれぞれの
密度から計算される理論値よりも一般には小さくなる。
而してこの発明では、ろう材の密度が理論値に対して9
0%以上でなければならない。ろう材の密度が理論値の
90%未満では、Al、Si等とフラックスとが固化し
ているものの内部までポアが連通して脆いものとなって
いる危険が有り、その後の二次加工も困難で実際上ろう
材としての機能にも劣るものとなる。特に好ましくは、
ろう材の密度はこれを理論値の95%以上とするのが良
い。
【0013】この発明に係るフラックス含有ろう材の好
ましい具体的な製法を述べると次のとおりである。即
ち、まず出発材料としてAl粉末、Si粉末、フラック
ス粉末或いはさらにCu粉末を用意する。これら粉末
は、その均一混合を図るべくAl粉末は平均粒径44μ
m以下に、Si粉末は平均粒径5μm以下に、フラック
ス粉末は平均粒径30μm以下にそれぞれ微粉砕してお
くのが好ましい。なお、出発材料として必ずしもAlと
Si等を単体で用いなければならないものではなく、A
l−Si系合金の粉末を用いても良い。
【0014】次に、上記各粉末を、前述した所定の配合
比率になるように混合した後、Al缶等の容器に充填し
たのち、容器内を1mmHg以下に脱ガスし、次いで熱
間プレス等により加熱圧粉する。
【0015】次に、得られた熱圧成形体の外側の缶体を
切削除去した後、成形体に押出等の二次加工を施して所
期するろう材を得る。
【0016】
【実施例】次に、この発明の実施例を説明する。
【0017】純度99.5%のアルミニウム粉末(平均
粒径44μm)とSi粉末(平均粒径5μm)とフッ化
物系フラックス粉末(平均粒径30μm)を用意した。
なお、フラックスとしてはKFとAlF3 の共晶組成物
を用いた。
【0018】次に、上記のAl粉末、Si粉末、フラッ
クス粉末を、後掲の表1に示すような各比率となるよう
に混合比率を変えて室温で均一に混合した後、各混合物
を直径3インチ×長さ200mmのAl缶にそれぞれ大
気中にて充填した。
【0019】次に、上気各Al缶を500℃の炉中に配
置してAl缶内を1mmHg以下に真空脱ガスした。
【0020】その後、上記Al缶を480℃に加熱した
のち、熱間プレスを用いて最大圧力400トンにて熱圧
成形したところ、成形体の長さは110mmとなった。
【0021】その後、成形体の外側に付着しているAl
缶体を切削で除去した後、熱間押出機により温度500
℃の温度で厚さ3mm×幅30mmの平板に押出した。
そのときの押出成形の可否を表1に示す。
【0022】上記により押出が可能であった平板状フラ
ックス含有ろう材については、その密度を求め、出発材
料を基に計算された理論密度と比較した。その結果を表
1に示す。
【0023】続いて、上記ろう材を長さ10mm×幅1
0mm×厚さ3mmに切り出した。そしてこれら切出し
片を、長さ100mm×幅50mm×厚さ2mmのA3
003Al合金板上に配置し、N2 雰囲気中及び大気中
の両方にて600〜620℃×10分加熱してろう付を
行い、ろう付性を評価した。その結果を表1に合わせて
示す。
【0024】
【表1】 表1の結果から、この発明に係るフラックス含有Al合
金ろう材によれば、フラックスを別途塗布しなくても優
れたろう付性を発揮し得ることを確認し得た。
【0025】
【作用】ろう付時には、ろう付内部に配合されたフラッ
クスにより接合部の表面酸化膜が除去され、ろう材が濡
れ拡がって、フラックスを別途塗布した場合と同様に良
好かつ強固なろう付接合が達成される。従って、フラッ
クスを別途塗布する必要はもはやなくなる。
【0026】
【発明の効果】この発明は上述の次第で、Siとフッ化
物系フラックスを含み、さらにAl及び不可避不純物を
含み、フッ化物系フラックスを除く元素の合計含有量に
対してSi含有量が3〜15wt%であり、かつフラック
スを除く元素の合計とフッ化物系フラックスとが重量比
で99.9:0.1〜70:30の割合で配合され、か
つ密度が理論値の90%以上であることを特徴とするも
のであるから、このろう材のみを接合部に供給するだけ
で良好なろう付を行うことができ、フラックスを別途供
給する必要はなくなる。このため、フラックスの塗布工
程を不要となしえ、接合作業効率を向上しえ、ひいては
アルミニウムろう付品の生産性を向上し得る。
【0027】しかも、ろう材中に配合されたフラックス
量は一定範囲内に規定されているから、フラックスを塗
布する場合のようなフラックス量のバラツキが生じる恐
れはなく、確実にフラックス作用を発揮させることがで
きるとともに、フラックス塗布量が多すぎてろう付炉内
が汚染される等の不都合を解消し得る。
【0028】しかもまた、不活性ガス雰囲気中はもとよ
り、大気中においても良好なろう付を行うことができ、
ろう付設備も簡易となし得る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siとフッ化物系フラックスを含み、さ
    らにAl及び不可避不純物を含み、フッ化物系フラック
    スを除く元素の合計含有量に対してSi含有量が3〜1
    5wt%であり、かつフラックスを除く元素の合計とフッ
    化物系フラックスとが重量比で99.9:0.1〜7
    0:30の割合で配合され、かつ密度が理論値の90%
    以上であることを特徴とするフラックス含有Al合金ろ
    う材。
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