JPH071177A - フラックス含有Al合金ろう材 - Google Patents
フラックス含有Al合金ろう材Info
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- JPH071177A JPH071177A JP14342493A JP14342493A JPH071177A JP H071177 A JPH071177 A JP H071177A JP 14342493 A JP14342493 A JP 14342493A JP 14342493 A JP14342493 A JP 14342493A JP H071177 A JPH071177 A JP H071177A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 低温においても十分なフラックス効果が得ら
れ、良好なろう付ができるフラックス含有Al合金ろう
材を目的とする。 【構成】 本発明の第1のフラックス含有Al合金ろう
材は、ろう材成分としてのAl、Si、Cuおよび、フ
ラックス成分を含有するフラックス含有Al合金ろう材
であって、前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜
20wt%、Cu含有量が5〜10wt%であり、前記フラ
ックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含み、かつ
これらがKF−LiF−CsFの三元状態図において5
50℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗化物系フ
ラックスであり、前記ろう材成分と前記フラックス成分
とが重量比で99.9:0.1〜70:30の割合で配
合され、かつ密度が理論値の90%以上であることを特
徴とする。また、第2のフラックス含有Al合金ろう材
は、前記ろう材成分としてさらに5〜20重量%のZn
を加えた組成のものである。
れ、良好なろう付ができるフラックス含有Al合金ろう
材を目的とする。 【構成】 本発明の第1のフラックス含有Al合金ろう
材は、ろう材成分としてのAl、Si、Cuおよび、フ
ラックス成分を含有するフラックス含有Al合金ろう材
であって、前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜
20wt%、Cu含有量が5〜10wt%であり、前記フラ
ックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含み、かつ
これらがKF−LiF−CsFの三元状態図において5
50℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗化物系フ
ラックスであり、前記ろう材成分と前記フラックス成分
とが重量比で99.9:0.1〜70:30の割合で配
合され、かつ密度が理論値の90%以上であることを特
徴とする。また、第2のフラックス含有Al合金ろう材
は、前記ろう材成分としてさらに5〜20重量%のZn
を加えた組成のものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム材、特に
固相線温度の低いアルミニウム材のろう付接合に好適に
用いられるフラックス含有Al合金ろう材に関するもの
である。
固相線温度の低いアルミニウム材のろう付接合に好適に
用いられるフラックス含有Al合金ろう材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウムまたはその合金材の
フラックスろう付においては、フラックスを懸濁液にし
て接合部に塗布する等ろう材とは別途にフラックスを供
給する必要があり、ろう付作業が非常に面倒であった。
しかも、供給するフラックス量にバラツキを生じ、供給
量が少ない場合にはろう付不良を起こし、また供給量が
多い場合にはろう付品にフラックスが残留して製品の外
観品質や表面処理性を低下させたり、ろう付中にフラッ
クスの垂れを生じてろう付炉を汚染する等の問題があっ
た。また、ろう材としてはAl−Si合金が用いられる
が、接合すべきアルミニウム材が鋳物材やJISA50
52合金等の固相線温度の低い材料である場合には、母
材に対するろう材の融点が相対的に高いことから、良好
なろう付けを行うことができないという問題点もあっ
た。
フラックスろう付においては、フラックスを懸濁液にし
て接合部に塗布する等ろう材とは別途にフラックスを供
給する必要があり、ろう付作業が非常に面倒であった。
しかも、供給するフラックス量にバラツキを生じ、供給
量が少ない場合にはろう付不良を起こし、また供給量が
多い場合にはろう付品にフラックスが残留して製品の外
観品質や表面処理性を低下させたり、ろう付中にフラッ
クスの垂れを生じてろう付炉を汚染する等の問題があっ
た。また、ろう材としてはAl−Si合金が用いられる
が、接合すべきアルミニウム材が鋳物材やJISA50
52合金等の固相線温度の低い材料である場合には、母
材に対するろう材の融点が相対的に高いことから、良好
なろう付けを行うことができないという問題点もあっ
た。
【0003】そこで、これらの問題点を解決すべく、本
出願人は、Al、Si、Cu、Znを主体とするろう材
成分および弗化物系フラックス成分を含有するフラック
ス含有Al合金ろう材を開発した(特願平4−2323
23号等)。
出願人は、Al、Si、Cu、Znを主体とするろう材
成分および弗化物系フラックス成分を含有するフラック
ス含有Al合金ろう材を開発した(特願平4−2323
23号等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のフラックス含有
Al合金ろう材は、ろう付作業の簡略化、フラックスの
適量供給という点では所期の目的を達成し満足できるも
のであったし、CuおよびZnの添加によってろう材の
融点も下がり固相線温度の低い材料のろう付にも使用で
きるものであった。しかし、前記フラックス含有Al合
金ろう材では、弗化物系フラックスとしてKF−AlF
3 系のものが使用されているために、560℃以上に加
熱してろう付しなければフラックスが溶融せず、十分な
フラックス効果が得られなかった。このため、液相線温
度の低い母材やろう材を使用する場合でも、それらに見
合った低い温度ではフラックス効果が十分に発現せず、
低温で良好なろう付を達成することが困難であった。
Al合金ろう材は、ろう付作業の簡略化、フラックスの
適量供給という点では所期の目的を達成し満足できるも
のであったし、CuおよびZnの添加によってろう材の
融点も下がり固相線温度の低い材料のろう付にも使用で
きるものであった。しかし、前記フラックス含有Al合
金ろう材では、弗化物系フラックスとしてKF−AlF
3 系のものが使用されているために、560℃以上に加
熱してろう付しなければフラックスが溶融せず、十分な
フラックス効果が得られなかった。このため、液相線温
度の低い母材やろう材を使用する場合でも、それらに見
合った低い温度ではフラックス効果が十分に発現せず、
低温で良好なろう付を達成することが困難であった。
【0005】本発明は、前述されたような問題点を解決
することを目的として、ろう付作業の簡略化やフラック
スの適量供給はもとより、低温においても十分なフラッ
クス効果が得られ、良好なろう付ができるフラックス含
有Al合金ろう材を提供しようとするものである。
することを目的として、ろう付作業の簡略化やフラック
スの適量供給はもとより、低温においても十分なフラッ
クス効果が得られ、良好なろう付ができるフラックス含
有Al合金ろう材を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の第1のフラックス含有Al合金ろう材は、
ろう材成分としてのAl、Si、Cuおよび、フラッ
クス成分を含有するフラックス含有Al合金ろう材であ
って、前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜20
wt%、Cu含有量が5〜10wt%であり、前記フラック
ス成分が、KF、LiFおよびCsFを含み、かつこれ
らがKF−LiF−CsFの三元状態図において550
℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗化物系フラッ
クスであり、前記ろう材成分と前記フラックス成分とが
重量比で99.9:0.1〜70:30の割合で配合さ
れ、かつ密度が理論値の90%以上であることを特徴と
するものである。また、第2のフラックス含有Al合金
ろう材は、前記ろう材成分中にさらに5〜20wt%のZ
nを加えたものである。
に、本発明の第1のフラックス含有Al合金ろう材は、
ろう材成分としてのAl、Si、Cuおよび、フラッ
クス成分を含有するフラックス含有Al合金ろう材であ
って、前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜20
wt%、Cu含有量が5〜10wt%であり、前記フラック
ス成分が、KF、LiFおよびCsFを含み、かつこれ
らがKF−LiF−CsFの三元状態図において550
℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗化物系フラッ
クスであり、前記ろう材成分と前記フラックス成分とが
重量比で99.9:0.1〜70:30の割合で配合さ
れ、かつ密度が理論値の90%以上であることを特徴と
するものである。また、第2のフラックス含有Al合金
ろう材は、前記ろう材成分中にさらに5〜20wt%のZ
nを加えたものである。
【0007】本発明のフラックス含有Al合金ろう材に
おいて、前記ろう材成分は接合用ろう材として機能する
ものであり、Al、Si、Cu、Znの他にろう材の機
能向上のために任意に添加される少量の金属および不可
避不純物が含まれていても良い。
おいて、前記ろう材成分は接合用ろう材として機能する
ものであり、Al、Si、Cu、Znの他にろう材の機
能向上のために任意に添加される少量の金属および不可
避不純物が含まれていても良い。
【0008】前記ろう材成分におけるSi含有量0.0
5wt%未満ではろう材の融点を下げる効果に乏しい。ま
た、20wt%を超えると却ってろう材の液相線が高くな
ってろう付が困難となるのみならず、他成分と混合して
固形化する際の保形性が悪化する。したがって、ろう材
成分中のSi含有量は0.05〜20wt%に規定されな
ければならない。特に好ましいSi含有量の範囲は5〜
15wt%である。
5wt%未満ではろう材の融点を下げる効果に乏しい。ま
た、20wt%を超えると却ってろう材の液相線が高くな
ってろう付が困難となるのみならず、他成分と混合して
固形化する際の保形性が悪化する。したがって、ろう材
成分中のSi含有量は0.05〜20wt%に規定されな
ければならない。特に好ましいSi含有量の範囲は5〜
15wt%である。
【0009】CuはSiと同様にろう材の融点低下に有
効な元素である。ろう材成分中のCu含有量が5wt%未
満ではろう材の融点を下げる効果に乏しい。また、10
wt%を超えると却ってろう材の液相線が高くなってろう
付が困難となるのみならず、他成分と混合して固形化す
る際の保形性が悪化する。さらに、Cuを多量に添加す
るとろう材の耐食性を損なう危険性があるが、10wt%
以下では実用上問題とはならずろう材の融点低下を促進
する利点の方が大きい。したがって、ろう材成分中のC
u含有量は5〜10wt%に規定されなければならない。
特に好ましいCu含有量の範囲は6〜8wt%である。
効な元素である。ろう材成分中のCu含有量が5wt%未
満ではろう材の融点を下げる効果に乏しい。また、10
wt%を超えると却ってろう材の液相線が高くなってろう
付が困難となるのみならず、他成分と混合して固形化す
る際の保形性が悪化する。さらに、Cuを多量に添加す
るとろう材の耐食性を損なう危険性があるが、10wt%
以下では実用上問題とはならずろう材の融点低下を促進
する利点の方が大きい。したがって、ろう材成分中のC
u含有量は5〜10wt%に規定されなければならない。
特に好ましいCu含有量の範囲は6〜8wt%である。
【0010】前記ろう材成分において任意に添加される
Znは、CuおよびSiと同様にろう材の融点低下に有
効な元素であり、またCuの添加により電気化学的にろ
う材の電位が貴となることを抑制しろう材の耐食性を向
上させる。ろう材成分中のZn含有量が5wt%未満では
ろう材の融点を下げる効果に乏しい。また、20wt%を
超えると却ってろう材の液相線が高くなってろう付が困
難となるのみならず、他成分と混合して固形化する際の
保形性が悪化する。したがって、ろう材成分中のZn含
有量は5〜20wt%に規定されなければならない。特に
好ましいZn含有量の範囲は6〜10wt%である。
Znは、CuおよびSiと同様にろう材の融点低下に有
効な元素であり、またCuの添加により電気化学的にろ
う材の電位が貴となることを抑制しろう材の耐食性を向
上させる。ろう材成分中のZn含有量が5wt%未満では
ろう材の融点を下げる効果に乏しい。また、20wt%を
超えると却ってろう材の液相線が高くなってろう付が困
難となるのみならず、他成分と混合して固形化する際の
保形性が悪化する。したがって、ろう材成分中のZn含
有量は5〜20wt%に規定されなければならない。特に
好ましいZn含有量の範囲は6〜10wt%である。
【0011】前記フラックス成分としては、KF、Li
FおよびCsFを含む3成分系の弗化物系フラックスを
使用する。これら3成分の配合割合は、図1に示されて
いるKF−LiF−CsFの三元状態図において、55
0℃の液相線A−B−C−D−Eで囲まれた範囲のもの
であることを要する。このような範囲にあるKF−Li
F−CsFとしては、これらの単体の混合物の他、これ
らの錯体物、モル比で30%KF−45.5LiF−2
4.5%CsFの共晶組成物(図1におけるF点)等を
使用できる。なお、図1の状態図において、A点は4
3.1%KF−56.9%LiF、B点は55.3%K
F−44.7%LiF、C点は34.2%KF−16.
4LiF−49.4%CsF、D点は70.2%CsF
−29.8LiF、E点は43.3%CsF−56.7
LiFである。
FおよびCsFを含む3成分系の弗化物系フラックスを
使用する。これら3成分の配合割合は、図1に示されて
いるKF−LiF−CsFの三元状態図において、55
0℃の液相線A−B−C−D−Eで囲まれた範囲のもの
であることを要する。このような範囲にあるKF−Li
F−CsFとしては、これらの単体の混合物の他、これ
らの錯体物、モル比で30%KF−45.5LiF−2
4.5%CsFの共晶組成物(図1におけるF点)等を
使用できる。なお、図1の状態図において、A点は4
3.1%KF−56.9%LiF、B点は55.3%K
F−44.7%LiF、C点は34.2%KF−16.
4LiF−49.4%CsF、D点は70.2%CsF
−29.8LiF、E点は43.3%CsF−56.7
LiFである。
【0012】また、フラックス含有Al合金ろう材中の
ろう材成分およびフラックス成分の配合割合は重量比で
99.9:0.1〜70:30の範囲に規定されなけれ
ばならない。フラックス成分が99.9:0.1よりも
少なくなると、十分なフラックス効果が発現せずろうの
濡れが悪くなってろう付が困難となり、一方70:30
を超えてフラックスが多くなると、ろう材成分およびフ
ラックス成分を混合しての固形化が困難となりろう材そ
のものの製造が困難となるからである。ろう材成分およ
びフラックス成分の好ましい配合割合は99.9:0.
1〜85:15であり、特に好ましくは98:2〜9
0:10である。
ろう材成分およびフラックス成分の配合割合は重量比で
99.9:0.1〜70:30の範囲に規定されなけれ
ばならない。フラックス成分が99.9:0.1よりも
少なくなると、十分なフラックス効果が発現せずろうの
濡れが悪くなってろう付が困難となり、一方70:30
を超えてフラックスが多くなると、ろう材成分およびフ
ラックス成分を混合しての固形化が困難となりろう材そ
のものの製造が困難となるからである。ろう材成分およ
びフラックス成分の好ましい配合割合は99.9:0.
1〜85:15であり、特に好ましくは98:2〜9
0:10である。
【0013】本発明に係るフラックス含有Al合金ろう
材は、一般には、Al粉末、Si粉末、Cu粉末、Zn
粉末、所定組成の合金粉末等のろう材成分粉末および、
KF粉末、LiF粉末、CsF粉末等のフラックス成分
粉末を加えて混合し、熱間プレス等により圧粉固化して
製造されるが、通常、ろう材の密度は内部空気の残留に
より各材料粉末単体のそれぞれから計算される理論値よ
りも小さくなる。本発明においては、理論値に対して9
0%以上であることを要する。フラックス含有Al合金
ろう材の密度が90%未満では、前記材料粉末が固化し
ているものの、内部までポア連通して脆いものとなって
いる危険性があり、接合材に適した形状への二次成形加
工も困難で、実際上フラックス含有Al合金ろう材とし
ての機能に劣るものとなる。特に好ましくは、フラック
ス含有Al合金ろう材の密度はこれを理論値の95%以
上とするのが良い。また、前記ろう材成分粉末およびフ
ラックス成分粉末は、これらの均一混合およびろう材組
織の緻密化を図るために微粉砕しておくのが好ましく、
例えばAl粉末は平均粒径44μm以下、Si粉末は平
均粒径5μm以下、フラックス粉末は平均粒径30μm
以下の微粉末が好ましい。
材は、一般には、Al粉末、Si粉末、Cu粉末、Zn
粉末、所定組成の合金粉末等のろう材成分粉末および、
KF粉末、LiF粉末、CsF粉末等のフラックス成分
粉末を加えて混合し、熱間プレス等により圧粉固化して
製造されるが、通常、ろう材の密度は内部空気の残留に
より各材料粉末単体のそれぞれから計算される理論値よ
りも小さくなる。本発明においては、理論値に対して9
0%以上であることを要する。フラックス含有Al合金
ろう材の密度が90%未満では、前記材料粉末が固化し
ているものの、内部までポア連通して脆いものとなって
いる危険性があり、接合材に適した形状への二次成形加
工も困難で、実際上フラックス含有Al合金ろう材とし
ての機能に劣るものとなる。特に好ましくは、フラック
ス含有Al合金ろう材の密度はこれを理論値の95%以
上とするのが良い。また、前記ろう材成分粉末およびフ
ラックス成分粉末は、これらの均一混合およびろう材組
織の緻密化を図るために微粉砕しておくのが好ましく、
例えばAl粉末は平均粒径44μm以下、Si粉末は平
均粒径5μm以下、フラックス粉末は平均粒径30μm
以下の微粉末が好ましい。
【0014】
【作用】本発明のフラックス含有Al合金ろう材は、所
定割合でろう材成分およびフラックス成分が配合されて
いるために、接合部にはこれらの成分が同時に供給され
る。また、ろう材成分としてAlに融点を降下効果のあ
るSiおよびCu、あるいはこれらにZnが適宜量添加
されているために、ろう材の融点が580℃以下とな
り、フラックス成分としてKF、LiF、CsFが所定
範囲で混合されているために550℃以下で溶融する。
したがって、前記ろう材成分組成とフラックス成分組成
を適宜組み合わせることにより、450〜600℃程度
の範囲の低温で良好なろう付が可能である。
定割合でろう材成分およびフラックス成分が配合されて
いるために、接合部にはこれらの成分が同時に供給され
る。また、ろう材成分としてAlに融点を降下効果のあ
るSiおよびCu、あるいはこれらにZnが適宜量添加
されているために、ろう材の融点が580℃以下とな
り、フラックス成分としてKF、LiF、CsFが所定
範囲で混合されているために550℃以下で溶融する。
したがって、前記ろう材成分組成とフラックス成分組成
を適宜組み合わせることにより、450〜600℃程度
の範囲の低温で良好なろう付が可能である。
【0015】
【実施例】次に、本発明に係るフラックス含有Al合金
ろう材の具体的実施例について、図面を参照しつつ説明
する。
ろう材の具体的実施例について、図面を参照しつつ説明
する。
【0016】本実施例においては、ろう材成分として平
均粒径44μmのAl粉末、Cu粉末、Zn粉末および
平均粒径5μmのSi粉末、フラックス成分として平均
粒径20μmのKF粉末、LiF粉末およびCsF粉末
を使用した。
均粒径44μmのAl粉末、Cu粉末、Zn粉末および
平均粒径5μmのSi粉末、フラックス成分として平均
粒径20μmのKF粉末、LiF粉末およびCsF粉末
を使用した。
【0017】まず、前記材料粉末を後掲の表1の各N
o.に示す割合で配合して混合粉末を調製した。次い
で、外径3インチ×長さ200mmの円筒形のAl容器に
前記混合粉末を充填して380℃の炉中に配置し、炉内
を1mmHg以下の真空にして脱ガスした。さらに、380
℃で熱間プレスを用いて最大圧力400トンにて熱圧成
形することにより、混合粉末は圧粉されて固形化し、所
定組成のフラックス含有Al合金ろう材となった。
o.に示す割合で配合して混合粉末を調製した。次い
で、外径3インチ×長さ200mmの円筒形のAl容器に
前記混合粉末を充填して380℃の炉中に配置し、炉内
を1mmHg以下の真空にして脱ガスした。さらに、380
℃で熱間プレスを用いて最大圧力400トンにて熱圧成
形することにより、混合粉末は圧粉されて固形化し、所
定組成のフラックス含有Al合金ろう材となった。
【0018】さらに、Al容器の部分を切削除去後、熱
間押出機により温度380℃で厚さ3mm×幅30mmの平
板に押出成形した。この二次成形においては、いずれの
ろう材も良好に押出すことができ、前記平板状のフラッ
クス含有Al合金ろう材の密度も各出発材料から計算さ
れる理論値の98%を超える緻密なものであった。
間押出機により温度380℃で厚さ3mm×幅30mmの平
板に押出成形した。この二次成形においては、いずれの
ろう材も良好に押出すことができ、前記平板状のフラッ
クス含有Al合金ろう材の密度も各出発材料から計算さ
れる理論値の98%を超える緻密なものであった。
【0019】なお、前記各フラックス含有Al合金ろう
材に使用したフラックス成分組成は、図1の状態図にお
いて、No.1はP点で、No.3はQ点で、No.5
はR点で、No.7はS点で、No.2、4、9はT点
で、No.6、8、10はU点で示される組成である。
材に使用したフラックス成分組成は、図1の状態図にお
いて、No.1はP点で、No.3はQ点で、No.5
はR点で、No.7はS点で、No.2、4、9はT点
で、No.6、8、10はU点で示される組成である。
【0020】これらのフラックス含有Al合金ろう材に
つき、ろう付性について、次の方法で評価した。
つき、ろう付性について、次の方法で評価した。
【0021】前記平板状の各フラックス含有Al合金ろ
う材を幅10mm×長さ10mmに切出し、この切出片をA
3003Al−Mn合金およびA5052Al−Mg合
金からなる厚さ2mm×幅50mm×長さ50mmの平板上に
置き、これをN2 ガス雰囲気中および大気中で450〜
600℃で5分間加熱した。そして、ろう材の濡れ拡が
った状態を観察した。
う材を幅10mm×長さ10mmに切出し、この切出片をA
3003Al−Mn合金およびA5052Al−Mg合
金からなる厚さ2mm×幅50mm×長さ50mmの平板上に
置き、これをN2 ガス雰囲気中および大気中で450〜
600℃で5分間加熱した。そして、ろう材の濡れ拡が
った状態を観察した。
【0022】これらの評価結果を表1に併せて示す。
【0023】
【表1】 表1の結果から明らかなように、本発明のフラックス含
有Al合金ろう材No.1、3、5、7は、KF、Li
FおよびCsFの配合組成によりろう付温度450℃以
上でフラックス効果を発現し優れたろう付性を示してい
る。これに対して、フラックス成分の液相線が550℃
を超える比較例2、4、6、8〜10は、600℃以下
でのろう付温度ではろうの濡れ拡がりが悪かった。
有Al合金ろう材No.1、3、5、7は、KF、Li
FおよびCsFの配合組成によりろう付温度450℃以
上でフラックス効果を発現し優れたろう付性を示してい
る。これに対して、フラックス成分の液相線が550℃
を超える比較例2、4、6、8〜10は、600℃以下
でのろう付温度ではろうの濡れ拡がりが悪かった。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明のフラックス含有
Al合金ろう材は、ろう材成分としてのAl、Si、C
uあるいはさらにZnおよび、フラックス成分を含有す
るフラックス含有Al合金ろう材であって、前記ろう材
成分中のSi含有量が0.05〜20wt%、Cu含有量
が5〜10wt%、Zn含有量が5〜20wt%であり、前
記フラックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含
み、かつこれらがKF−LiF−CsFの三元状態図に
おいて550℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗
化物系フラックスであり、前記ろう材成分と前記フラッ
クス成分とが重量比で99.9:0.1〜70:30の
割合で配合され、かつ密度が理論値の90%以上である
から、450〜600℃の低温域でもろう材成分のみな
らずフラックス成分も十分に溶融して接合部に供給され
る。したがって、Al鋳物材やA5052合金等の固相
線温度の低い部材を良好にろう付することができる。
Al合金ろう材は、ろう材成分としてのAl、Si、C
uあるいはさらにZnおよび、フラックス成分を含有す
るフラックス含有Al合金ろう材であって、前記ろう材
成分中のSi含有量が0.05〜20wt%、Cu含有量
が5〜10wt%、Zn含有量が5〜20wt%であり、前
記フラックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含
み、かつこれらがKF−LiF−CsFの三元状態図に
おいて550℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗
化物系フラックスであり、前記ろう材成分と前記フラッ
クス成分とが重量比で99.9:0.1〜70:30の
割合で配合され、かつ密度が理論値の90%以上である
から、450〜600℃の低温域でもろう材成分のみな
らずフラックス成分も十分に溶融して接合部に供給され
る。したがって、Al鋳物材やA5052合金等の固相
線温度の低い部材を良好にろう付することができる。
【0025】また、本発明のフラックス含有Al合金ろ
う材は一定割合で均一にフラックス成分が含有され、適
量のフラックスがろう材と同時に接合部に満遍なく供給
され、フラックスを別途供給する必要がなくろう付作業
を簡略化できる。さらに、過剰量のフラックスが接合部
に残留することがなく、外観品質および表面処理性の低
下、ろう付不良も起こらない。
う材は一定割合で均一にフラックス成分が含有され、適
量のフラックスがろう材と同時に接合部に満遍なく供給
され、フラックスを別途供給する必要がなくろう付作業
を簡略化できる。さらに、過剰量のフラックスが接合部
に残留することがなく、外観品質および表面処理性の低
下、ろう付不良も起こらない。
【図1】本発明のフラックス含有Al合金ろう材のフラ
ックス成分として使用するKF−LiF−CsFの三元
状態図である。
ックス成分として使用するKF−LiF−CsFの三元
状態図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 21/10
Claims (2)
- 【請求項1】 ろう材成分としてのAl、Si、Cuお
よび、フラックス成分を含有するフラックス含有Al合
金ろう材であって、 前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜20wt%、
Cu含有量が5〜10wt%であり、 前記フラックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含
み、かつこれらがKF−LiF−CsFの三元状態図に
おいて550℃の液相線で囲まれた範囲に配合された弗
化物系フラックスであり、 前記ろう材成分と前記フラックス成分とが重量比で9
9.9:0.1〜70:30の割合で配合され、 かつ密度が理論値の90%以上であることを特徴とする
フラックス含有Al合金ろう材。 - 【請求項2】 ろう材成分としてのAl、Si、Cu、
Znおよび、フラックス成分を含有するフラックス含有
Al合金ろう材であって、 前記ろう材成分中のSi含有量が0.05〜20wt%、
Cu含有量が5〜10wt%、Zn含有量が5〜20wt%
であり、 前記フラックス成分が、KF、LiFおよびCsFを含
み、かつこれらがKF−LiF−CsFの三元系状態図
において550℃の液相線で囲まれた範囲に配合された
弗化物系フラックスであり、 前記ろう材成分と前記フラックス成分とが重量比で9
9.9:0.1〜70:30の割合で配合され、 かつ密度が理論値の90%以上であることを特徴とする
フラックス含有Al合金ろう材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14342493A JPH071177A (ja) | 1993-06-15 | 1993-06-15 | フラックス含有Al合金ろう材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14342493A JPH071177A (ja) | 1993-06-15 | 1993-06-15 | フラックス含有Al合金ろう材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH071177A true JPH071177A (ja) | 1995-01-06 |
Family
ID=15338420
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14342493A Pending JPH071177A (ja) | 1993-06-15 | 1993-06-15 | フラックス含有Al合金ろう材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH071177A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007083271A (ja) * | 2005-09-21 | 2007-04-05 | Nippon Light Metal Co Ltd | アルミニウム合金鋳物のろう付け方法及びろう付けされた液冷部品 |
WO2013008731A1 (ja) | 2011-07-11 | 2013-01-17 | 第一稀元素化学工業株式会社 | アルミニウム系材料のろう付用フラックス |
WO2013008729A1 (ja) | 2011-07-11 | 2013-01-17 | 第一稀元素化学工業株式会社 | アルミニウム系材料のろう付用フラックス |
JP2013018048A (ja) * | 2011-07-11 | 2013-01-31 | Daiichi Kigensokagaku Kogyo Co Ltd | アルミニウム系材料のろう付用フラックス |
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-
1993
- 1993-06-15 JP JP14342493A patent/JPH071177A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013008731A1 (ja) | 2011-07-11 | 2013-01-17 | 第一稀元素化学工業株式会社 | アルミニウム系材料のろう付用フラックス |
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JP2013018049A (ja) * | 2011-07-11 | 2013-01-31 | Daiichi Kigensokagaku Kogyo Co Ltd | アルミニウム系材料のろう付用フラックス |
CN103648710A (zh) * | 2011-07-11 | 2014-03-19 | 第一稀元素化学工业株式会社 | 铝系材料的钎焊用助熔剂 |
US9314881B2 (en) | 2011-07-11 | 2016-04-19 | Daiichi Kigenso Kagaku Kogyo Co., Ltd. | Flux for brazing aluminum materials |
CN103648710B (zh) * | 2011-07-11 | 2016-08-17 | 第一稀元素化学工业株式会社 | 铝系材料的钎焊用助熔剂 |
WO2017073003A1 (ja) * | 2015-10-29 | 2017-05-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 熱交換器アルミニウム管ろう付け用ろう材、並びに、これを用いた熱交換器アルミニウム管の接合方法および熱交換器アルミニウム管の接合構造 |
JP2017080783A (ja) * | 2015-10-29 | 2017-05-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 熱交換器アルミニウム管ろう付け用ろう材、並びに、これを用いた熱交換器アルミニウム管の接合方法および熱交換器アルミニウム管の接合構造 |
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