JPH05170905A - 成形加工性良好なポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

成形加工性良好なポリイミドおよびその製造方法

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JPH05170905A
JPH05170905A JP3198096A JP19809691A JPH05170905A JP H05170905 A JPH05170905 A JP H05170905A JP 3198096 A JP3198096 A JP 3198096A JP 19809691 A JP19809691 A JP 19809691A JP H05170905 A JPH05170905 A JP H05170905A
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Teruhiro Yamaguchi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶融成形可能なポリイミドを提供することで
ある。 【構成】 ポリマー分子末端が、式 (4) 【化1】 で表わされる無水フタル酸から誘導される二価の芳香族
基で封止され、式(1) 【化2】 で表される繰り返し構造単位から実質的になる溶融成形
用ポリイミドおよびその製造方法である。 【効果】 溶融流動安定性に優れ、成形加工性を大幅に
改良された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融成形用ポリイミド
に関する。更に詳しくは、成形加工性に優れたポリイミ
ドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラカルボン酸二無水物とジアミンの
反応によって得られるポリイミドは、耐熱性が極めて高
く、その上、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃性、
電気絶縁性などにも優れている。ポリイミドはこのよう
な好ましい性能を有するため、従来から、電気・電子機
器、宇宙航空用機器、輸送機器などの分野で使用されて
おり、今後、益々、耐熱性が要求される分野に広く用い
られることが期待されている機能性樹脂である。このよ
うな利用分野の拡大に伴い、要求される適用方法が多様
化し、これらの要求に適合するような、優れた特性を示
すポリイミドが種々開発されている。
【0003】しかしながら、これらのポリイミドには、
耐熱性に優れていても明瞭なガラス転移温度を有しない
ものがあり、成形材料として用いる場合に焼結成形など
の手法を用いて加工しなければならないとか、またある
ポリイミドでは、加工性は優れていてもハロゲン化炭化
水素等の溶剤に可溶で、耐溶剤性の面において問題点が
あるとか、すでに開発されているポリイミドはその性能
に一長一短を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
イミドが本来有する優れた耐熱性に加え、優れた加工性
を有し、耐薬品性が良好でしかも透明性の優れたポリイ
ミドを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この目的
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成
した。すなわち、本発明は、ポリマー分子末端が無水フ
タル酸から誘導される二価の芳香族基で封止され、式
(1)
【化6】 で表される繰り返し構造単位から実質的になる溶融成形
用ポリイミド、およびこのポリイミドを、ジアミンとテ
トラカルボン酸二無水物を反応させ、得られたポリアミ
ド酸を熱的又は化学的にイミド化してポリイミドを製造
する方法に於いて、(イ)ジアミンが、式(2)
【化7】 で表されるジアミノジフェニルエーテル類であり、
(ロ)テトラカルボン酸二無水物が、式(3)
【化8】 で表わされる 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物であり、(ハ)さらに、反応を式(4)
【化9】 で表わされる無水フタル酸の存在下に行い、(ニ)かつ
式(4)で表わされる無水フタル酸を式(2)で表わさ
れるジアミノジフェニルエーテル類1モル当たり、 0.0
01〜1.0 モルの割合で反応させて得られることを特徴と
する溶融成形用ポリイミドの製造方法である。
【0006】本発明のポリイミドは、ポリマーの分子末
端が式(4)
【化10】 で表される無水フタル酸から誘導される二価の芳香族基
で封止され、式(1)
【化11】 で表される繰り返し構造単位から実質的になるポリイミ
ドである。このような本発明のポリイミドは、式(2)
【化12】 で表わされるジアミノジフェニルエーテル類を、式
(3)
【化13】 で表される 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物と、式(4)
【化14】 で表される無水フタル酸の存在下に反応させ、得られる
ポリマー分子の末端が無水フタル酸から誘導される2価
の基で封止されたポリアミド酸を熱的または化学的にイ
ミド化させて製造することができる。
【0007】この方法で用いられるジアミノジフェニル
エーテル類としては、4,4'−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2'−ジアミ
ノジフェニルエーテル、2,3'−ジアミノジフェニルエー
テル、2,4'−ジアミノジフェニルエーテルまたは3,4'−
ジアミノジフェニルエーテルが挙げられ、これらを単独
または2以上を混合して用いられる。
【0008】なお、本発明のポリイミドは、ジアミン成
分として、これらのジアミノジフェニルエーテル類を原
料として用いるものであるが、このポリイミドの良好な
物性を損なわない範囲内で他のジアミンを混合して使用
することもできる。混合して使用できるジアミンとして
は、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレン
ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジ
ルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミ
ノフェニル) スルフィド、(3−アミノフェニル)(4
−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェ
ニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホ
キシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニ
ル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホ
キシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−
アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビ
ス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3'−ジアミノベ
ンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−
ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメ
タン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミ
ノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕メタン、 1,1−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕エタン、 1,1−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2 −ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、
1,2 −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
エタン、 2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン、 2,2−ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、 2,2−ビス〔4
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −
ヘキサフルオロプロパン、 2,2−ビス〔4(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3 −ヘキサフルオ
ロプロパン、 1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、 1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、 1,4−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス
(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4
−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ) フェニル〕スルホキ
シド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕
スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕エーテル、 1,4−ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、 1,3
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベ
ンゼン、4,4'−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4'−ビス〔3−(3
−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテ
ル、4,4'−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチル
ベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4'−ビス
〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノ
キシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、ビ
ス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}
フェニル〕スルホン、 1,4−ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)−α,α−ジメチルベンゼン、1,3 −ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベ
ンゼン等が挙げられ、これらは単独または2種以上混合
して用いられる。
【0009】また、本発明で用いられる式(4)で表わ
される無水フタル酸の一部をポリイミドの良好な物性を
損わない範囲で、他のジカルボン酸無水物で代替して用
いることは何ら差し支えない。一部代替えして用いるこ
とのできるジカルボン酸無水物としては、 2,3−ベンゾ
フェノンジカルボン酸無水物、 3,4−ベンゾフェノンジ
カルボン酸無水物、 2,3−ジカルボキシフェニルフェニ
ルエーテル無水物、 3,4−ジカルボキシフェニルフェニ
ルエーテル無水物、 2,3−ビフェニルジカルボン酸無水
物、 3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、 2,3−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、 3,4−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、 2,3−ジカ
ルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、 3,4−ジ
カルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、 1,2−
ナフタレンジカルボン酸無水物、 2,3−ナフタレンジカ
ルボン酸無水物、 1,8−ナフタレンジカルボン酸無水
物、 1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、 2,3−ア
ントラセンジカルボン酸無水物、1,9 −アントラセンジ
カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0010】本発明において用いられる無水フタル酸の
量は、式(2)で表わされるジアミノジフェニルエーテ
ル1モル当り、 0.001〜1.0 モルの割合である。 0.001
モル未満では、高温成形時に粘度の上昇が見られ成形加
工性低下の原因となる。また1.0モルを越えると機械的
特性が低下する。好ましい使用量は、0.01〜0.5 モルの
割合である。
【0011】本発明のポリイミドの製造方法は、有機溶
媒中で反応を行うのが特に好ましく、用いられる有機溶
剤としては、例えば、 N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、 N,N−ジエチルアセトア
ミド、 N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、 N−メチ
ル−2−ピロリドン、 1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノン、 N−メチルカプロラクタム、 1,2−ジメトキシ
エタンビス(2−メトキシエチル)エーテル、 1,2−ビ
ス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス{2−(2−
メトキシエトキシ)エチル}エーテル、テトラヒドロフ
ラン、 1,3−ジオキサン、 1,4−ジオキサン、ピリジ
ン、ピコリン、ジメチルスルホキシドジメチルスルホ
ン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、
フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−ク
レゾール、m−クレゾール酸、p−クロロフェノール、
アニソールなどが挙げられる。また、これらの有機溶剤
は単独でもまたは2種以上混合して用いても差し支えな
い。
【0012】本発明の方法において、有機溶媒に、ジア
ミノジフェニルエーテル類、 3,3',4,4'−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、無水フタル酸を添加、反応さ
せる方法としては、(イ) 3,3',4,4'−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物と、ジアミノジフェニルエーテル
を反応させた後に、無水フタル酸を添加して反応を続け
る方法。(ロ)ジアミノジフェニルエーテルに無水フタ
ル酸を加えて反応させた後、 3,3',4,4'−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物を添加し、さらに反応を続ける
方法。(ハ) 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、ジアミノジフェニルエーテル、無水フタル酸
を同時に添加し反応させる方法。など、いずれの添加方
法をとっても差し支えない。
【0013】反応温度は通常 250℃以下、好ましくは50
℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分
実施できる。反応時間は、ジアミノジフェニルエーテル
の種類、溶剤の種類および反応温度により異なり、通常
4〜24時間で充分である。更に得られたポリアミド酸を
100〜400 ℃に加熱してイミド化するか、または無水酢
酸などのイミド化剤を用いて化学イミド化することによ
り、ポリアミド酸に対応する繰り返し単位を有するポリ
イミドが得られる。
【0014】また、 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物とジアミノジフェニルエーテル、無水フ
タル酸とを有機溶媒中に懸濁または溶解させた後、加熱
し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の生成と、
同時にイミド化を行うことにより、ポリイミドを得るこ
とも可能である。すなわち、従来公知の手法を用いて、
フィルム状もしくは粉体状のポリイミドを得ることがで
きる。
【0015】また、本発明のポリイミドを溶融成形に供
する場合、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑
性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、変性ポリフェニレンオキシドなどを目的に
応じて適当量を配合することも可能である。
【0016】また、さらに通常の樹脂組成物に使用する
次のような充填剤などを、発明の目的を損なわない程度
で用いてもよい。すなわち、グラファイト、カーボラン
ダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂などの
耐摩耗性向上剤、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊
維、炭化ケイ素繊維、カーボンウィスカー、アスベス
ト、金属繊維、セラミック繊維などの補強材、三酸化ア
ンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの難
燃性向上剤、クレー、マイカなどの電気的特性向上剤、
アスベスト、シリカ、グラファイトなどの耐トラッキン
グ向上剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウ
ムなどの耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム
粉、銅粉などの熱電導度向上剤、その他ガラスビーズ、
ガラス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバル
ン、水和アルミナ、金属酸化物、着色料などである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により、
更に詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の物
性は以下の様な手法により測定した。 Tg,Tc,Tm; (島津DT-40シリーズ、DSC-41M)により測定 5%重量減少温度;空気中にてDTG(島津DT-40 シリー
ズ、DTG-40M)により測定 溶融粘度;島津高化式フローテスター CFT500Aにより荷
重 100kgで測定
【0018】実施例1 攪拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル 120.0g
(0.6モル) 、 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物 169.3g(0.576モル) 、無水フタル酸7.10g
(0.048モル) 、γ−ピコリン 8.4g、m−クレゾール12
00gを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら 145
℃まで加熱昇温した。この間約20ccの水の留出が確認さ
れた。さらに 140〜150 ℃で4時間反応を行った。その
後、室温まで冷却し、約10lのメチルエチルケトンに排
出した後、ポリイミド粉を濾別した。このポリイミド粉
をメチルエチルケトンで洗浄した後、180℃で24時間減
圧乾燥して 271.0g(98.6 %)のポリイミド粉を得た。
かくして得られたポリイミド粉の対数粘度は0.60dl/g
であった。なお、対数粘度は、ポリイミド粉0.50gをp
−クロルフェノール/フェノール(重量比9/1)混合
溶媒 100mlに加熱溶解した後、35℃において測定した値
である。このポリイミド粉のガラス転移温度は(Tg)は 2
47℃、結晶化温度(Tc)は275℃、結晶溶解温度は 401℃
であり、空気中での5%重量減少温度は 557℃であっ
た。また、このポリイミド粉の赤外吸収スペクトル図を
図1に示す。このスペクトル図では、イミド特性吸収帯
である1780cm-1と1720cm-1付近およびエーテル結合の特
性吸収帯である1240cm-1付近の吸収が顕著に認められ
た。また、得られたポリイミド粉の元素分析値は以下の
通りであった。 このポリイミド粉は、メチレンクロリド、クロロホルム
等のハロゲン化炭化水素溶剤に不溶であった。本実施例
で得られたポリイミド粉末の溶融粘度を高化式フローテ
スターを使用し、 100kgの荷重、および直径 0.1cm、長
さ1cmのオリフィスを用いて測定した。 420℃における
溶融粘度は8100ポイズであった。ここに得られたストラ
ンドは淡黄色の可撓性に富んだものであった。また、本
実施例で得られたポリイミドの成形安定性をフローテス
ターのシリンダー内滞留時間を変えて測定した。温度は
420℃、荷重 100kgで行った。結果を図2に示す。シリ
ンダー内での滞留時間が長くなっても溶融粘度は殆ど変
化せず、熱安定性の良好なことがわかる。
【0019】比較例1 実施例1と同様な反応装置に、3,4'−ジアミノジフェニ
ルエーテル 120.0g(0.6モル) 、ピロメリット酸二無水
物125.57g(0.576モル) 、無水フタル酸7.10g(0.048モ
ル) 、γ−ピコリン 8.4g、m−クレゾール 980gを装
入し、実施例1と同様な手法によりポリイミド粉 228.8
g (99.0%) を得た。このポリイミド粉は明瞭なガラス
転移温度を有さず、また 420℃においても全く溶融流動
しなかった。
【0020】比較例2 実施例1と全く同様に、但し無水フタル酸を使用せずに
ポリイミド粉を得た。ポリイミド粉のガラス転移温度は
246℃、対数粘度は0.60dl/gであった。実施例1と同
様の方法でフローテスターシリンダー内での滞留時間を
変え、溶融粘度を測定したところ、図2に示す通り、滞
留時間が長くなるに従って溶融粘度が増加し、実施例1
で得られたポリイミドに比べて熱安定性の劣るものであ
った。
【0021】実施例2 攪拌機、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル 12.00g
(0.06モル) 、 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物17.02g(0.0579 モル) 、無水フタル酸 0.62
2g(4.2×10-3モル)、γ−ピコリン0.84g、m−クレゾ
ール 120gを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しなが
ら 145℃まで加熱昇温した。この間薬2ccの水の留出が
確認された。さらに 140〜150 ℃で4時間反応を行っ
た。その後、室温まで冷却し、約1000ccのメチルエチル
ケトンに排出した後、ポリイミド粉を濾別した。このポ
リイミド粉をメチルエチルケトンで洗浄した後、180℃
で24時間減圧乾燥して27.07g (収率98.5%)のポリイ
ミド粉を得た。このポリイミド粉の対数粘度は0.48dl/
gであった。また、このポリイミド粉のガラス転移温度
は 233℃であり、空気中での5%重量減少温度は548 ℃
であった。このポリイミド粉の赤外吸収スペクトル図を
第3図に示す。このスペクトル図ではイミド特性吸収帯
である1780cm-1と1720cm-1付近およびエーテル結合の特
性吸収帯である1240cm-1付近の吸収が顕著に認められ
た。 また得られたポリイミド粉の元素分析値は以下の
通りであった。 さらにこのポリイミドの溶融粘度を測定したところ、 4
00℃において6500ポイズであった。ここに得られたスト
ランドは淡黄色の可撓性に富んだものであった。
【0022】実施例3 攪拌機、還流冷却器および窒素導入管を備えた容器に、
3,4'−ジアミノジフェニルエーテル12.00 g (0.06モ
ル) 、 N,N−ジメチルアセトアミド 118.6 g、3,3',
4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 17.47g
(0.0594モル) を溶液温度の上昇に注意しながら分割し
て加え、室温で約20時間かきまぜた。その後、無水フタ
ル酸 0.177g(1.2×10-3モル) を加え、さらに3時間攪
拌を続けた。かくして得られたポリアミド酸の対数粘度
は 1.06dl/gであった。なお、ポリアミド酸の対数粘
度は N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒とし、 0.5g/
100 ml溶媒35℃で測定した値である。このポリアミド酸
溶液の一部を取りガラス板上にキャストした後、 100
℃、 200℃および 250℃で各々1時間加熱して厚さ約50
μmのポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィ
ルムの引張り強さは16.1kg/mm2 、引張弾性率 340kg/
mm2 、引張り伸び率5.7 %であった。(測定方法はASTM
D-822に拠る)。
【0023】実施例4 実施例3と同様な反応装置を用い、3,4'−ジアミノジフ
ェニルエーテルを3,3'−ジアミノジフェニルエーテルに
変えた以外は全く同様にしてポリアミド酸溶液を得た。
かくして得られたポリアミド酸の対数粘度は0.84dl/g
であった。このポリアミド酸溶液を用いて実施例3と同
様な手法により、厚み50μmのポリイミドフィルムを得
た。このポリイミドフィルムの全光線透過率は80.0%ヘ
イズは 0.8%であった。(測定法はASTM D-1003 に拠
る。以下同様)
【0024】比較例3 市販されているカプトン200H (Kapton 200H;デュポン
社、商品名) を用いて実施例4と同様な手法で全光線透
過率を測定したところ透過率は49.0%、ヘイズは1.3%
であった。
【0025】実施例5 実施例1と同様な反応装置を用い、3,4'−ジアミノジフ
ェニルエーテルを4,4'−ジアミノジフェニルエーテルに
変えた以外は全く同様にしてポリイミド粉を得た。この
ポリイミド粉の対数粘度は0.61dl/gであった。このポ
リイミド粉の赤外吸収スペクトル図を図4に示す。この
スペクトル図ではイミド特性吸収帯である1780cm-1と17
20cm-1付近およびエーテル結合の特性吸収帯である1240
cm-1付近の吸収が顕著に認められた。 また得られたポ
リイミド粉の元素分析値は以下の通りであった。 また、このポリイミド粉はメチレンクロリド、クロロホ
ルム等のハロゲン化炭化水素溶剤に不溶であった。
【0026】
【効果】本発明のポリイミドは、テトラカルボン酸二無
水物成分として 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物を用いることを特徴とし、特に優れた加工性
および耐薬品性を有する高耐熱性のポリイミドである。
ちなみに、 3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物のかわりに、下記式(3)
【化15】 で表わされるテトラカルボン酸二無水物、すなわち、ピ
ロメリット酸二無水物を用い、 4,4' −ジアミノジフェ
ニルエーテルと反応させて得られる式(5)
【化16】 で表わされる基本骨格からなるポリイミドは、明瞭なガ
ラス転移温度を有さず耐熱性に優れているものの、成形
材料として用いる場合に加工が難しく、焼結成形などの
手法を用いて加工しなければならないことが広く知られ
ている。また、本発明のポリイミドは、優れた耐熱性を
有していながら熱可塑性であり、加工性に優れている。
すなわち、本発明のポリイミドの中には高耐熱性の溶融
成形可能なポリイミドが含まれる。さらに、本発明のポ
リイミドは優れた耐薬品性を有しており、前記の優れた
加工性を考え合わせると、宇宙・航空機用基材、電気・
電子部品用基材として、さらには耐熱性接着剤として極
めて有用なポリイミドである。このように本発明のポリ
イミドは、従来公知のポリイミドと比べ溶融流動安定性
に優れ、成形加工性を大幅に改良されたポリイミドであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリイミド粉の赤外線吸収
スペクトルの図を示す。
【図2】実施例1で得られたポリイミド粉の成形安定性
を比較例2で得られたポリイミド粉と比較して温度 420
℃、荷重 100kgでフローテスターのシリンダー内滞留時
間を変えて測定した結果を示す。
【図3】実施例2で得られたポリイミド粉の赤外スペク
トル図を示す。
【図4】実施例5で得られたポリイミド粉の赤外スペク
トル図を示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー分子末端が、式 (4) 【化1】 で表わされる無水フタル酸から誘導される二価の芳香族
    基で封止され、式(1) 【化2】 で表される繰り返し構造単位から実質的になる溶融成形
    用ポリイミド。
  2. 【請求項2】 ジアミンとテトラカルボン酸二無水物と
    を反応させ、得られたポリアミド酸を熱的または化学的
    にイミド化することにより得られるポリイミドに於い
    て、本質的に(イ)ジアミンが式(2) 【化3】 で表わされるジアミノジフェニルエーテル類であり、
    (ロ)テトラカルボン酸二無水物が式(3) 【化4】 で表わされる3,3',4,4' −ビフェニルテトラカルボン酸
    二無水物であり、(ハ)さらに反応が下記式(4) 【化5】 で表わされる無水フタル酸の存在下に行い、(ニ)式
    (4)で示される無水フタル酸の量が、式(2)で示さ
    れるジアミン成分1モル当たり0.001 〜1.0 モルの割合
    で反応して得られることを特徴とする溶融成形用ポリイ
    ミドの製造方法。
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