JPH05140244A - アクリル樹脂組成物 - Google Patents

アクリル樹脂組成物

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JPH05140244A
JPH05140244A JP30928091A JP30928091A JPH05140244A JP H05140244 A JPH05140244 A JP H05140244A JP 30928091 A JP30928091 A JP 30928091A JP 30928091 A JP30928091 A JP 30928091A JP H05140244 A JPH05140244 A JP H05140244A
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alkyl
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Suehiro Tayama
末広 田山
Masao Inoue
雅勇 井上
Kazuhiko Nakagawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性、耐衝撃性に優れ、熱硬化性樹脂との
接着性の良好なアクリル樹脂組成物を提供する。 【構成】 最内層重合体(A)、架橋弾性層重合体
(B)、最外層重合体(C)および中間層重合体(D)
から構成されゲル含有量が少なくとも50%、残存金属
含有量が500ppm以下である多層構造重合体を有す
るアクリル樹脂組成物。 【効果】 フィルムあるいはシート状に成形した後、熱
接着することで極めて簡便に熱硬化性樹脂と接着できる
アクリル樹脂組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性、耐衝撃性に優
れ、かつメラミン樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性
樹脂との接着性の良好なアクリル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】メラミン樹脂やフェノール樹脂は表面硬
度、耐溶剤性などの特徴を生かして内壁材、床材等とし
て使用されているが、耐候性に乏しく長期間の使用によ
り変色、劣化の問題がある。一方、アクリル樹脂はその
耐候性の良さから接着あるいは積層することにより基材
の耐候性劣化を抑えることができ、例えば特開昭51−
129449号公報や同52−56150号公報に記載
されているようなテイパー構造を有する多層構造重合体
を素材としたメチルメタクリレートを主成分とするアク
リル系樹脂フィルムはラミネートすることで基材の耐候
性劣化を抑えることだけでなく、耐衝撃性、耐水白化
性、耐溶剤性、耐ストレス白化性に優れ、基材に意匠性
を与える働きも有するが、メラミン樹脂やフェノール樹
脂のような熱硬化性樹脂との接着性に乏しく、熱接着で
は充分な接着力が得られないという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とすると
ころは耐候性、耐衝撃性、耐溶剤性、耐水白化性、耐ス
トレス白化性に優れ、かつメラミン樹脂やフェノール樹
脂等の熱硬化性樹脂との接着性に優れたアクリル樹脂組
成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、下記最内層重合体(A)、架橋弾性層重合体
(B)、最外層重合体(C)および中間層重合体(D)
から成り、ゲル含有量が少なくとも50%、残存金属含
有量が500ppm以下である多層構造重合体を有する
アクリル樹脂組成物である。 最内層重合体(A) 80〜100重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレートおよび/または炭素数1〜4の
アルキル基を有するアルキルメタクリレート(A1) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
(A2) 0〜10重量部の多官能性単量体(A3) (A1)〜(A3)の合計量100重量部に対し0.1〜
5重量部のグラフト交叉剤(A4) の組成から得られる、芯部に存在する重合体 架橋弾性層重合体(B) 80〜100重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有す
るアルキルアクリレート(B1) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
(B2) 0〜10重量部の多官能性単量体(B3) (B1)〜(B3)の合計量100重量部に対し0.1〜
5重量部のグラフト交叉剤(B4)の組成から得られ
る、最内層重合体(A)の外側に存在する重合体 最外層重合体(C) 51〜100重量部の炭素数1〜4のアルキルメタクリ
レート(C1) 0.1〜40重量部の炭素1〜8のアルキル基を有する
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C2) 0〜49重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
(C3)の組成から得られる、外表面に存在する重合体 中間層重合体(D) 10〜90重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有する
アルキルアクリレート(D1) 90〜10重量部の炭素数1〜4のアルキル基を有する
アルキルメタクリレート(D2) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
(D3) 0〜10重量部の多官能性単量体(D4) (D1)〜(D4)の合計量100重量部に対し0.1〜
5重量部のグラフト交叉剤(D5) の組成から得られ、架橋弾性層重合体(B)と最外層重
合体(C)の中間に存在し、かつアルキルアクリレート
(D1)量が架橋弾性層重合体(B)から最外層重合体
(C)に向かって単調減少するように調整された重合体
【0005】本発明のアクリル樹脂組成物は、特定のア
ルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレ
ートを主成分とする最内層重合体(A)の存在下におい
てアルキルアクリレートを主成分とする架橋弾性層重合
体(B)を重合し、最外層としてアルキルメタクリレー
トを主成分とし特定のヒドロキシル基含有モノマー成分
を含有する最外層重合体(C)を配置し、該重合体
(B)層と該重合体(C)層との間に、モノマー成分で
あるアルキルアクリレートの量が該重合体(B)層から
該重合体(C)層に向かって単調減少するように調整さ
れた中間層重合体(D)層を介在させた多層構造重合体
である。しかもこの多層構造重合体は、最外層重合体
(C)以外の各重合体層中に特定範囲量のグラフト交叉
剤を用い最終重合体組成物のゲル含有量と残存金属含有
量が特定量に規定されたものである。
【0006】一般にアクリル系ゴムはジエン系ゴムに比
べると耐候性に優れる反面、弾性回復が遅くストレスに
対する変形が大きく、かつゴム効率も小さい性質を示
す。即ち、優れた耐候性を保持したまま耐溶剤性、耐水
白化性等の諸性質をも具備させるためには従来の一層の
みから成る弾性構造では限度がある。本発明においては
このような欠点を解決するために架橋弾性層重合体
(B)の芯に最内層重合体(A)を存在させたものであ
る。即ち、ストレスを与えたときに架橋弾性層重合体
(B)層中に集中される応力を最内層重合体(A)の存
在によって分散させて緩和させ、この結果ミクロボイド
の発生率も大となって見かけ上応力白化を生じなくても
優れた耐衝撃性を示すものと考えられる。
【0007】以下に、本発明の多層構造を有する樹脂組
成物の各層について説明する。まず、最内層重合体
(A)について説明する。最内層重合体(A)を構成す
る炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレ
ート(A1)としては直鎖状、分岐状のいずれでも良く
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オ
クチルアクリレート等が単独でまたは混合して用いられ
るが、ガラス転移点Tgの低いものがより好ましい。ま
た、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタク
リレート(A1)としては直鎖状、分岐状のいずれでも
良くメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プ
ロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等が単独
でまたは混合して用いられる。また、これらのアルキル
アクリレートとアルキルメタクリレートを混合して用い
ても良い。これらのアルキル(メタ)アクリレート(A
1)は80〜100重量部の範囲で用いられる。また、
これらのアルキル(メタ)アクリレート(A1)はその
後、全多段層(A)〜(D)に統一して用いるのが好ま
しいが、(A)〜(D)のいずれにおいても最終目的に
よっては2種以上の単量体を混合したり、別種のアクリ
レートを用いても良い。
【0008】共重合可能な二重結合を有する単量体(A
2)としては低級アルキルアクリレート、低級アルコキ
シアクリレート、シアノエチルアクリレート、アクリル
アミド、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル性単量
体、スチレン、アルキル置換スチレン等の芳香族ビニル
単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシ
アノビニル単量体が挙げられ、0〜20重量部の範囲で
用いられる。
【0009】多官能性単量体(A3)にはエチレングリ
コールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタ
クリレートおよびプロピレングリコールジメタクリレー
トのようなアルキレングリコールジメタクリレートが好
ましく、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポ
リビニルベンゼンおよびアルキレングリコールジアクリ
レート等も使用可能である。多官能性単量体(A3)は
全く使用されなくてもグラフト交叉剤(A4)が存在す
る限りかなり安定な多層構造重合体が得られるが、熱間
強度が厳しく要求されたりする場合などには添加するの
が好ましく、0〜10重量部の範囲で使用される。
【0010】グラフト交叉剤(A4)は付加重合性を有
する不飽和基を2個以上有し、その各不飽和基の重合反
応性に大きな差のある化合物を指し、例えば共重合性の
α、β−不飽和カルボン酸またはジカルボン酸のアリ
ル、メタリルまたはクロチルエステル、好ましくはアク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびフマル酸のア
リルエステルが用いられ、特にアリルメタクリレートが
優れた効果を奏する。その他トリアリルシアヌレート、
トリアリルイソシアヌレート等も有効である。これらは
単独でまたは混合して用いられる。このようなグラフト
交叉剤は、主としてそのエステルの共役不飽和結合がア
リル基、メタリル基またはクロチル基よりはるかに速く
反応し、化学的に結合する。この間、アリル基、メタリ
ル基またはクロチル基の実質上のかなりの部分は次層の
架橋弾性層重合体(B)の重合中に有効に働き隣接2層
間にグラフト結合を与える。
【0011】グラフト交叉剤(A4)の使用量は極めて
重要で上記成分(A1)〜(A3)の合計量100重量部
に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部
の範囲で用いられる。0.1重量部未満ではグラフト結
合の有効量が少なく、また5重量部を超えると2段目に
重合形成される架橋弾性層重合体(B)との反応量が大
となり、本発明の特徴の1つである二層弾性体構造から
成る二層架橋ゴム弾性体の弾性低下を招く。
【0012】最内層重合体(A)のTgは最終重合体の
要求される物性に応じて適宜設定されるものである。ま
たその架橋密度は一般に架橋弾性層重合体(B)と同じ
か、むしろ高い方が品質的に有利である。なお最内層重
合体(A)と架橋弾性層重合体(B)とは同一組成の場
合もあり得るが、その場合でも一時仕込とするのではな
く、あくまでも二段重合による二層弾性体構造とするこ
とが重要であり、触媒量、架橋密度等の設定は重合体
(A)の方が高い方が有利である。初期重合性を考慮す
ると最内層重合体(A)の存在は、安定した多層構造重
合体を得るために極めて重要であり、一般に触媒量は各
重合体層中最も多く仕込むことが好ましい。
【0013】グラフト交叉剤(A4)の使用は2段目に
形成される架橋弾性層重合体(B)との間に化学的に結
合させた二層弾性体構造を有効に合成させるために必須
のものである。このグラフト結合がないと二層弾性体構
造は溶融形成時に容易に相破壊を生じ、ゴム効率が低下
するばかりか所期の目的の優れた耐候性、耐溶剤性、耐
水白化性等を示さなくなる。多層構造重合体中の最内層
重合体(A)の含有量は5〜35重量%、さらには5〜
15重量%が好ましく、架橋弾性層重合体(B)の含有
量より低いことが好ましい。
【0014】次に、架橋弾性層重合体(B)について説
明する。架橋弾性層重合体(B)は多層構造重合体にゴ
ム弾性を与える主要な成分であり、これを構成する(B
1)〜(B4)には前述した最内層重合体(A)で使用さ
れる(A1)〜(A4)がそれぞれ用いられる。(B1
成分は80〜100重量部、(B2)成分は0〜20重
量部、(B3)成分は0〜10重量部、(B4)成分は
(B1)〜(B3)の合計量100部に対して0.1〜5
重量部の範囲でそれぞれ用いられる。架橋弾性層重合体
(B)単独のTgは0℃以下、さらには−30℃以下が
好ましい物性を与える。
【0015】多層構造重合体中の架橋弾性層重合体
(B)の含有量は10〜45重量%の範囲が好ましく、
また最内層重合体(A)の含有量より高いことが好まし
い。このように最内層重合体(A)と架橋弾性層重合体
(B)とがグラフト重合された二層弾性体構造からなる
二層架橋ゴム弾性体を有することにより従来の単一系ゴ
ムでは到達できなかった種々の諸性質を同時に満足させ
ることが可能になる。なおこの二層架橋ゴム弾性体は下
記の測定法で求めたゲル含量が85%以上、膨潤度が3
〜13の範囲に設定されていることが優れた耐溶剤性お
よび耐水白化性を得るために好ましい。
【0016】(ゲル含量、膨潤度の測定法)JIS K
−6388に準じ二層架橋ゴム弾性体を所定量採取し、
25℃で48時間メチルエチルケトン(以下MEKと称
す)中に浸漬膨潤後引き上げ、付着したMEKを拭い取
った後その重量を測定し、その後減圧乾燥機中でMEK
を乾燥除去し恒量になった絶乾重量を読みとり次式によ
って算出する。 膨潤度=(MEK膨潤後の重量−絶乾重量)/絶乾重量 ゲル含有量(%)=(絶乾重量/採取サンプルの重量)
×100
【0017】一般に架橋弾性層重合体(B)の重合度は
できるだけ高いと最終重合体に高い衝撃強度が付与され
る。一方、芯となる最内層重合体(A)についてはこの
限りではなく、むしろ粒子形成を含めた所期重合の安定
性のためにも触媒使用量が多く、またグラフト活性剤も
多量に用いられたほうが二層架橋ゴム弾性体としての性
能が良好になりやすい。このような複合効果は従来の単
独の一層ゴム重合体系では得られないものである。
【0018】最外層重合体(C)は多層構造重合体に接
着性、成形性、機械的性質等に寄与するべきものであ
り、これを構成する(C1)には(A1)成分、(C3
成分には(A2)成分に用いられるものがそれぞれ用い
られる。また、炭素数1〜8のアルキル基を有するヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート(C3)としては
直鎖状、分岐状のいずれでもよくヒドロキシメチルアク
リレート、ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロ
キシブチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレ
ート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルメタクリレート等が単独でまたは混合して用
いられる。
【0019】本発明においては、この最外層重合体
(C)において0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜
20重量部の炭素数1〜8のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートを共重合することにより前述した所期
の目的を達成することができる。多層構造重合体中の最
外層重合体(C)の含有量は10〜80重量%、さらに
は40〜60重量%が好ましい。
【0020】本発明の多層構造重合体は、上記最内層重
合体(A)、架橋弾性層重合体(B)および最外層重合
体(C)を基本構成単位とし、さらに架橋弾性層重合体
(B)層と最外層重合体(C)層の間に中間層重合体
(D)が存在する。この中間層重合体(D)は10〜9
0重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキル
アクリレート(D1)、90〜10重量部の炭素数1〜
4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート
(D2)、0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有
する単量体(D3)、0〜10重量部の多官能性単量体
(D4)、およびこれら(D1)〜(D4)の合計量10
0重量部に対し0.1〜5重量部のグラフト交叉剤
(D5)の組成から構成される。中間層重合体(D)層
は、該中間層重合体(D)層中のアルキルアクリレート
成分の量が架橋弾性層重合体(B)層から最外層重合体
(C)層に向かって単調減少するように少なくとも一層
配置されているものである。
【0021】ここで(D1)には(A1)に使用できるア
ルキルアクリレートが、(D2)には(A1)に使用でき
るアルキルメタクリレートが使用でき、(D3)〜
(D5)の各成分は前記(A2)〜(A4)に使用できる
各成分を用いることができる。中間層(D)に使用され
るグラフト交叉剤(D5)は、各重合体層を密に結合さ
せ、優れた諸性質を得るのに必須である。(B)層と
(C)層は屈折率が異なるため、屈折率の勾配をつける
ために(D)層を設ける。(D)層では必ずアクリレー
ト成分量が単調減少しなければならないが、アクリレー
ト成分分布を制御するにはアクリレートの供給量を変化
させればよい。多層構造重合体中の中間層(D)の含有
量は5〜35重量%が好ましく、5重量%未満では中間
層としての機能が充分でなく、35重量%を超えると最
終重合体のバランスを崩すおそれがある。
【0022】多層構造重合体は上記(A)、(B)、
(C)および(D)の重合体層から構成されるものであ
るが、さらに優れた耐溶剤性、耐水白化性を得るために
はゲル含有量が少なくとも50%であることが必要であ
り、これが本発明の大きな特徴の一つである。この場合
のゲル含有量は二層架橋ゴム弾性体(最内層重合体
(A)および架橋弾性層重合体(B)から成る)自体
と、中間層重合体(D)および最外層重合体(C)のほ
か架橋ゴム弾性体へのグラフト成分を含むものであり、
ここでゲル含有量の定義は前記と同じである。成分とし
ては二層架橋ゴム弾性体とグラフト鎖との加算重量であ
りグラフト率で置き換えることもできるが、本発明では
多層構造重合体が特殊な構造を有するのでゲル含有量を
持ってグラフト量の目安とした。耐溶剤性の点からいう
とゲル含有量は大きいほど有利であるが、易成形性の点
からはフリーポリマーの存在が必要であるためゲル含有
量の上限は80%程度が好ましい。
【0023】多層構造重合体を製造するに際しては水系
分散重合法が好適であり、最終重合体の分散粒子径は特
に制限はないが800〜2000オングストローム程度
の範囲が最もバランスのとれた構造が得られる。なお、
製造に際して使用する界面活性剤、触媒等には特別の制
限はなく、必要に応じて酸化防止剤、滑剤等の添加剤を
加えて塩析処理することができる。ここで金属塩を用い
て塩析処理する場合、最終生成物中への残存金属含有量
を500ppm以下にすることが極めて重要であり、これ
は本発明の大きな特徴の一つである。特にマグネシウ
ム、ナトリウム等の水との親和性の強い金属塩を塩析剤
として使用する際は、その残存金属含有量を極力少なく
しないと最終重合体を沸水中に浸漬したときに白化減少
を生じ実用上大きな問題となる。なお、カルシウム系、
硫酸系凝固を行うと比較的良好な傾向を示すが、いずれ
にしても優れた耐水白化性を与えるためには重合体を洗
浄する等の方法により残存金属含有量を500ppm以下
にすることが必要であり、残存金属は微量であるほどよ
い。多層構造重合体の製造方法としては、乳化重合によ
る逐次多段重合法が最も適した重合法であるが、これに
限らず例えば乳化重合後最外層重合体(C)の重合時に
懸濁重合系に転換させる乳化懸濁重合法によっても行う
ことができる。
【0024】本発明のアクリル樹脂組成物は単独で使用
することもできるが、さらに炭素数1〜8のアルキル
(メタ)アクリレートの単独重合体または共重合体とブ
レンドして使用することも可能である。本発明のアクリ
ル樹脂組成物をメラミン樹脂やフェノール樹脂のような
熱硬化性樹脂基材と接着させるには、該アクリル樹脂組
成物をフィルムあるいはシート状に成形した後、基材と
熱接着する方法や該アクリル樹脂組成物を適当な有機溶
媒に溶解させて基材に塗布した後乾燥させる方法が挙げ
られ、目的に応じて任意に選択すれば良い。本発明のア
クリル樹脂組成物を用いてフィルムあるいはシート状に
成形する場合は単層あるいは双層のいずれでもよく、双
層の場合は少なくとも基材との接着層に本アクリル樹脂
組成物が配されていれば良い。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を
表す。 実施例1〜3 (アクリル樹脂組成物の製造)冷却器付き重合容器内に
イオン交換水250部、スルフォコハク酸のエステルソ
ーダ塩2部、ロンガリット(SFS)0.05部を仕込
み、窒素下で攪拌後メチルメタクリレート(MMA)
1.6部、ブチルアクリレート(BuA)8部、1,3−
ブチレングリコールジメタクリレート(BD)0.4
部、アリルメタクリレート(AMA)0.1部およびク
メンヒドロパーオキサイド(CHP)0.04部から成
る混合物を仕込んだ。70℃に昇温後60分間反応を継
続させ最内層重合体(A)の重合を完結した。続いてM
MA1.5部、BuA22.5部、BD1.0部およびA
MA0.25部から成る架橋弾性層重合体(B)を形成
する単量体混合物を60分間で添加し重合して、最内層
重合体(A)を架橋弾性層重合体(B)で覆った二層架
橋ゴム弾性体を得た。この場合、架橋弾性層重合体
(B)の形成に対して用いたCHPの量は当該単量体混
合物に対して0.05重量%であった。
【0026】得られた二層架橋ゴム弾性体の膨潤度、ゲ
ル含量を求めたところ夫々10.0%、90%であっ
た。続いて中間層重合体(D)を形成させるためにMM
A5部、BuA5部、BD5部およびAMA0.1部の
混合物を反応させ、最後に最外層重合体(C)を形成さ
せるための単量体混合物として表1に示すものを用い、
各種アクリル樹脂組成物を得た。生成した重合体エマル
ジョンを重合体固形分100部に対して5部の塩化カル
シウムを用いて塩析し、洗浄後乾燥し安定剤を添加後、
賦型して種々の評価を行った。また、得られた最終重合
体中のカルシウムの残存量およびゲル含有率を表1に示
した。
【0027】次に、得られた多層構造重合体を下記の条
件で押出成形し、9種類のフィルムを得た。 40mmφ(スクリュー径)押出機 樹脂温度 245℃ 吐出量 17kg/時(厚さ50mm用) 得られた9種類の積層フィルムとメラミン樹脂含浸紙と
を金属板に挟み140℃および160℃で50kg/cm2
で30分加熱プレスしフィルム層にカッターで切り込み
を入れ、手で剥離できるか否かで接着性を評価した。結
果を表2に示す。 表2の結果より、本アクリル樹脂組
成物がメラミン樹脂のような被覆剤との接着性に優れて
いることが明らかである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明のアクリル樹脂組成物は耐候性が
良好であり、メラミン樹脂やフェノール樹脂のような熱
硬化性樹脂との接着性も極めて優れているため、フィル
ムあるいはシート状に成形した後、熱接着することで極
めて簡便に優れた接着強度を得ることが可能となり、ま
たバインダーとして用いることで熱硬化性樹脂と塩化ビ
ニル樹脂化粧板などの熱可塑性樹脂とを容易に接着する
ことが可能となり、その工業的意義は大きい。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」とあるのは「重量部」を
表す。 実施例1〜 (アクリル樹脂組成物の製造)冷却器付き重合容器内に
イオン交換水250部、スルフォコハク酸のエステルソ
ーダ塩2部、ロンガリット(SFS)0.05部を仕込
み、窒素下で攪拌後メチルメタクリレート(MMA)
1.6部、ブチルアクリレート(BuA)8部、1,3−
ブチレングリコールジメタクリレート(BD)0.4
部、アリルメタクリレート(AMA)0.1部およびク
メンヒドロパーオキサイド(CHP)0.04部から成
る混合物を仕込んだ。70℃に昇温後60分間反応を継
続させ最内層重合体(A)の重合を完結した。続いてM
MA1.5部、BuA22.5部、BD1.0部およびA
MA0.25部から成る架橋弾性層重合体(B)を形成
する単量体混合物を60分間で添加し重合して、最内層
重合体(A)を架橋弾性層重合体(B)で覆った二層架
橋ゴム弾性体を得た。この場合、架橋弾性層重合体
(B)の形成に対して用いたCHPの量は当該単量体混
合物に対して0.05重量%であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】次に、得られた多層構造重合体を下記の条
件で押出成形し、9種類のフィルムを得た。 40mmφ(スクリュー径)押出機 樹脂温度 245℃ 吐出量 17kg/時(厚さ50μm用) 得られた9種類の積層フィルムとメラミン樹脂含浸紙と
を金属板に挟み140℃および160℃で50kg/cm2
で30分加熱プレスしフィルム層にカッターで切り込み
を入れ、手で剥離できるか否かで接着性を評価した。結
果を表2に示す。表2の結果より、本アクリル樹脂組成
物がメラミン樹脂のような被覆剤との接着性に優れてい
ることが明らかである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記最内層重合体(A)、架橋弾性層重
    合体(B)、最外層重合体(C)および中間層重合体
    (D)から成る、ゲル含有量が少なくとも50%、残存
    金属含有量が500ppm以下である多層構造重合体を
    有するアクリル樹脂組成物。 最内層重合体(A) 80〜100重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有す
    るアルキルアクリレートおよび/または炭素数1〜4の
    アルキル基を有するアルキルメタクリレート(A1) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
    (A2) 0〜10重量部の多官能性単量体(A3) (A1)〜(A3)の合計量100重量部に対し0.1〜
    5重量部のグラフト交叉剤(A4) の組成から得られる、芯部に存在する重合体 架橋弾性層重合体(B) 80〜100重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有す
    るアルキルアクリレート(B1) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
    (B2) 0〜10重量部の多官能性単量体(B3) (B1)〜(B3)の合計量100重量部に対し0.1〜
    5重量部のグラフト交叉剤(B4) の組成から得られる、最内層重合体(A)の外側に存在
    する重合体 最外層重合体(C) 51〜100重量部の炭素数1〜4のアルキルメタクリ
    レート(C1) 0.1〜40重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有す
    るヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(C2) 0〜49重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
    (C3) の組成から得られる、外表面に存在する重合体 中間層重合体(D) 10〜90重量部の炭素数1〜8のアルキル基を有する
    アルキルアクリレート(D1) 90〜10重量部の炭素数1〜4のアルキル基を有する
    アルキルメタクリレート(D2) 0〜20重量部の共重合可能な二重結合を有する単量体
    (D3) 0〜10重量部の多官能性単量体(D4) (D1)〜(D4)の合計量100重量部に対し0.1〜
    5重量部のグラフト交叉剤(D5) の組成から得られ、架橋弾性層重合体(B)と最外層重
    合体(C)の中間に存在し、かつアルキルアクリレート
    (D1)量が架橋弾性層重合体(B)から最外層重合体
    (C)に向かって単調減少するように調整された重合体
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